音響信号処理装置、端末装置及び音響信号処理に使用するパラメータの参照方法
【課題】 音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、端末装置からアクセスして容易に行えるようにする。
【解決手段】 ミキサ10に、外部装置50と信号処理chとの対応関係を記憶させておき、そのうち1の外部装置の選択を受け付けさせ、選択された外部装置と対応するchに関するパラメータを扱う画面の画面ID及びミキサ10自身のアドレス情報を含むコード記号73を印刷出力させ、その外部装置にコード記号73を貼付するようにした。また、そのコード記号73を読み取ったターミナル30から画面IDを受信した場合に、その画面IDが示す画面の画面データと、その画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを含む端末用データを、画面IDの送信元であるターミナル30に送信し、その端末用データに基づく画面の表示を行わせるようにした。
【解決手段】 ミキサ10に、外部装置50と信号処理chとの対応関係を記憶させておき、そのうち1の外部装置の選択を受け付けさせ、選択された外部装置と対応するchに関するパラメータを扱う画面の画面ID及びミキサ10自身のアドレス情報を含むコード記号73を印刷出力させ、その外部装置にコード記号73を貼付するようにした。また、そのコード記号73を読み取ったターミナル30から画面IDを受信した場合に、その画面IDが示す画面の画面データと、その画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを含む端末用データを、画面IDの送信元であるターミナル30に送信し、その端末用データに基づく画面の表示を行わせるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響信号を所定のパラメータの値に従って処理する音響信号処理装置、このような音響信号処理装置にアクセスするための端末装置、および上記の端末装置を用いて上記の音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照する音響信号処理に使用するパラメータの参照方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音響信号処理装置であるデジタルミキサ(以下単に「ミキサ」という)をイーサネット(登録商標)等のネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)と接続し、PCを端末装置として用いて、そのPCの画面に表示させた編集画面を操作することにより、ミキサにおいて音響信号処理に使用するパラメータの値を参照及び編集できるようにすることが行われている。
このようなミキサの遠隔操作については、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
この文献に記載の技術の場合、PCによりミキサを遠隔操作してパラメータの値を設定しようとする場合には、PCに予め所定の遠隔操作用アプリケーションソフトをインストールしておき、そのPCとミキサとをネットワークを介して接続する。そして、PC側でパラメータを編集したいミキサを選択し、アプリケーションに適切な設定を行って選択したミキサが備える機能に合った編集画面を用意し、全てのパラメータについてミキサ側と同期を取った上で、用意した多数の編集画面の中から所望のパラメータを編集するための画面を呼び出し、その画面に対して操作を行う、という手順で、パラメータの編集を行っていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「M7CL Editor 取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の遠隔操作では、PCを操作するユーザが手動で操作対象のミキサを選択し、さらに編集したいパラメータに応じた編集画面を選択する必要があった。
一方、操作可能なパラメータの種類は多岐に亘り、それに応じて選択可能な編集画面の数は多い。さらに、大規模な利用環境では、操作対象となり得る機器も複数存在する場合がある。
【0006】
このため、操作対象機器の選択や編集画面の選択に手間がかかり、また、ユーザの勘違いや操作ミスにより、選択間違いが起こる可能性があるという問題があった。特に、音響信号処理装置に接続されている外部機器を意識したパラメータの編集を行おうとする場合にこの問題が顕著であった。
例えば、特定のスピーカへ出力する音響信号のレベルや、特定のマイクから入力する音響信号のレベル等を調整しようとする場合、どのスピーカやどのマイクがどの機器のどの信号処理チャンネルに接続されているかを認識した上で、そのチャンネルのパラメータを編集する画面を選択しなければならず、この操作は、ユーザに高い注意力を要求するものであった。
また、これらの問題は、パラメータの編集を行う場合だけでなく、単にパラメータの値を参照する場合にも、同様に存在するものである。
【0007】
この発明は、このような問題を解決し、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることを目的とする。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、自身にアクセスするための端末装置と通信可能な音響信号処理装置において、外部装置から入力する音響信号を複数のチャンネルで処理して外部装置に出力する音響信号処理手段と、その音響信号処理装置に直接に又は他の装置を介して接続される外部装置と、その外部装置から入力する音響信号が供給されるチャンネル又はその外部装置へ出力する音響信号を供給するチャンネルとの対応関係を記憶する第1の記憶手段と、上記各チャンネルについて、上記音響信号処理手段がそのチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備えた画面の内容を示す画面データ及びその画面の画面IDを記憶する第2の記憶手段と、上記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置の選択を受け付ける選択受付手段と、上記選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する出力手段と、上記端末装置から画面IDを受信した場合に、その画面IDが示す画面の画面データと、その画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを上記画面IDの送信元である端末装置に送信する送信手段とを設けたものである。
【0009】
このような音響信号処理装置において、上記選択受付手段を、上記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置に加えて複数の外部装置の選択も受け付ける手段とし、上記選択受付手段が上記複数の外部装置の選択を受け付けた場合に、選択された複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備える新たな画面のデータを作成すると共に、その新たな編集画面に画面IDを割り当て、その画面ID及びその新たな画面の内容を示す画面データを上記第2の記憶手段に記憶させる画面データ作成手段を設け、上記出力手段を、上記選択受付手段が1の外部装置の選択を受け付けた場合には、その選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力し、上記選択受付手段が複数の外部装置の選択を受け付けた場合には、その選択に応じて上記画面データ作成手段が作成した画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する手段とするとよい」。
【0010】
また、この発明の端末装置は、上記のいずれかの音響信号処理装置にアクセスするための端末装置において、表示器と、上記出力手段が出力した識別コードを光学的に読み取る読取手段と、上記読取手段が読み取った識別コードから画面ID及びアドレス情報を抽出し、その抽出したアドレス情報が示す音響信号処理装置に対し、その抽出した画面IDを送信する送信手段と、その画面IDの送信に応じて上記音響信号処理装置が送信してくる画面データ及びパラメータの現在値を受信する受信手段と、その受信手段が受信した画面データに基づいて上記表示器に画面を表示すると共に、その受信手段が受信した現在値のデータを、その画面において表示するパラメータの値の現在値として設定し、その画面により上記音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行う表示制御手段とを設けたものである。
【0011】
また、この発明の音響信号処理に使用するパラメータの参照方法は、上記のいずれかの音響信号処理装置の出力手段に、選択した1の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び上記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、その印刷出力させた識別コードを、上記選択した1の外部装置に貼付する工程を、使用予定の外部装置について予め行っておき、上記の端末装置の読取手段に、所望の外部装置に貼付した識別コードを読み取らせ、上記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、その送信に応じて上記音響信号処理装置が上記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて上記端末装置が表示する画面を参照することにより、上記所望の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照するものである。
また、この発明の別の音響信号処理に使用するパラメータの参照方法は、上記の音響信号処理装置の出力手段に、選択した複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び上記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、その印刷出力させた識別コードを、上記選択した複数の外部装置からなる外部装置群の近傍に貼付する工程を、使用予定の外部装置群について予め行っておき、上記の端末装置の読取手段に、所望の外部装置群の周辺に貼付した識別コードを読み取らせ、上記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、その送信に応じて上記音響信号処理装置が上記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて上記端末装置が表示する画面を参照することにより、上記所望の外部装置群と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のようなこの発明の音響信号処理装置及び端末装置を組み合わせて用いることにより、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることができる。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるミキサ及びこの発明の端末装置の実施形態であるターミナルの使用状態を示す図である。
【図2】図1に示したミキサのハードウェア構成を示す図である。
【図3】同じくターミナルのハードウェア構成を示す図である。
【図4】同じくミキサ及びターミナルにおいて使用するGUI画面の例を示す図である。
【図5】第1の動作例におけるミキサとターミナルの動作の概略について説明するための図である。
【0014】
【図6】同じく動作の概略について説明するための別の図である。
【図7】同じく動作の概略について説明するためのさらに別の図である。
【図8】第1の動作例においてミキサのCPUが実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【図9】ターミナルのCPUが実行する画面ID送信処理のフローチャートである。
【図10】ミキサのCPUが実行する端末用データ送信処理のフローチャートである。
【0015】
【図11】ターミナルのCPUが実行する画面表示処理のフローチャートである。
【図12】第2の動作例におけるミキサとターミナルの動作の概略について説明するための図である。
【図13】機器情報テーブルの例を示す図である。
【図14】入力パッチデータの例を示す図である。
【図15】第2の動作例においてミキサのCPUが実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるミキサ及びこの発明の端末装置の実施形態であるターミナルの使用状態を示す。
【0017】
ここで、ミキサ10は、マイク、スピーカ、アンプ、レコーダ、イコライザ、エフェクタ、楽器等の種々の外部装置50を接続し、これらの外部装置50のうち音響信号の供給源から入力する音響信号を、複数の入力チャンネル(ch)で処理し、その処理結果をミキシングし、ミキシング結果をさらに出力chで処理して、処理後の音響信号を外部装置50のうち所定の出力先に出力する装置である。
また、ターミナル30は、ユーザが携帯して持ち歩き、ミキサ10が信号処理に使用するパラメータの値を離れた場所から参照したり、またそのパラメータの値を編集したりするための装置である。
【0018】
図1に示すように、このようなミキサ10(10a〜10c)とターミナル30(30a、30b)とは、ネットワークNにより接続し、相互に通信可能な状態で使用する。このネットワークNについては、例えばイーサネット(登録商標)規格のLAN(ローカルエリアネットワーク)を用いることができるが、特に規格に制限はない。なお、有線でも無線でもよいが、少なくともターミナル30については、無線接続が可能であることが、可搬性の観点から好ましい。
【0019】
外部装置50については、ここでは全ての外部装置50をミキサ10にローカルに接続する例を示したが、ミキサ10がネットワークNを介して接続される外部装置50あるいは他のミキサ10との間で音響信号の入出力を行う場合もある。
プリンタ60は、ミキサ10からの指示により後述するコード記号を印刷出力するための印刷装置である。ここではネットワークNに接続した状態を示しているが、ミキサ10にローカル接続したり、ミキサ10に印刷機能を設けてそれを用いたりしてもよい。
【0020】
次に、図2に、ミキサ10のハードウェア構成を示す。
図2に示すように、ミキサ10は、CPU11,ROM12,RAM13,通信I/F14,操作検出回路15,表示制御回路16,波形I/O17,信号処理部(DSP)18を備え、これらがシステムバス19によって接続されている。また、操作検出回路15には操作子21が、表示制御回路16には表示器22がそれぞれ接続されている。
【0021】
そして、CPU11は、このミキサ10の動作を制御する制御手段であり、ROM12に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、通信I/F14を介したターミナル30等の他の装置との通信の制御、操作検出回路15を介した操作子21の操作内容検出、表示制御回路16を介した表示器22の表示制御、DSP18における信号処理の制御等の種々の制御を行うことができる。
【0022】
ROM12は、CPU11が実行する制御プログラム等を記憶する、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM13は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
通信I/F14は、ネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0023】
操作検出回路15は、操作子21における操作を検出するための回路である。操作子21は、ミキサ10に対する操作を受け付けるためのものであり、種々のキー、ボタン、ダイヤル、スライダ及び、表示器22を構成する液晶ディスプレイ(LCD)に積層したタッチパネル等によって構成することができる。
【0024】
表示制御回路16は、CPU11からの指示に従って表示器22における表示を制御するための回路である。表示器22は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)等によって構成され、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)や、パラメータの値等の種々の情報を表示する表示手段である。
【0025】
波形I/O17は、DSP18で処理すべき音響信号の入力を受け付け、また処理後の音響信号を出力するためのインタフェースである。そして、この波形I/O17には、A/D変換回路を備えたアナログ入力端子,D/A変換回路を備えたアナログ出力端子,デジタル入出力用のデジタル入力端子及びデジタル出力端子を適宜組み合わせて複数設けている。
【0026】
DSP18は、信号処理回路を含み、波形I/O17から入力する音響信号に対し、カレントメモリに記憶してある各種パラメータの現在値に従って、ミキシング、イコライジング等の各種信号処理を施して波形I/O17に出力する信号処理手段である。カレントメモリの記憶領域は、RAM13あるいはDSP18自身に備えるメモリに用意することが考えられる。
【0027】
次に、図3に、ターミナル30のハードウェア構成を示す。
図3に示すように、ターミナル30は、CPU31,ROM32,RAM33,通信I/F34,操作検出回路35,表示制御回路36,画像処理回路37を備え、これらがシステムバス38によって接続されている。また、操作検出回路35には操作子41が、表示制御回路36には表示器42が、画像処理回路37にはカメラ43がそれぞれ接続されている。
【0028】
そして、CPU31は、ターミナル30の動作を制御する制御手段であり、ROM32に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、通信I/F34を介したミキサ10等の他の装置との通信の制御、操作検出回路35を介した操作子41の操作内容検出、表示制御回路36を介した表示器42の表示制御、画像処理回路37における画像解析とコード記号のデコードの制御等の種々の制御を行うことができる。
【0029】
ROM32は、CPU31が実行する制御プログラム等を記憶する、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM33は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU31のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
通信I/F34は、ネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0030】
操作検出回路35は、操作子41における操作を検出するための回路である。操作子41は、ターミナル30に対する操作を受け付けるためのものであり、表示器42と一体化した、LCDに積層したタッチパネルを主な構成としている。その他にもいくつかのキーやボタンを設けているが、ターミナル30を小型化して容易に持ち運びできるようにするため、操作子の数は比較的少なく抑えている。
【0031】
表示制御回路36は、CPU31からの指示に従って表示器42における表示を制御するための回路である。表示器42は、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)や、ミキサ10が使用するパラメータの値等の種々の情報を表示する表示手段であり、上記のLCD及びいくつかのLEDにより構成されている。
【0032】
画像処理回路37は、カメラ43により撮影して得た画情報を処理し、CPU31が扱える画像データ又は、画像中のコード記号をデコードして得られるデータに変換する回路である。カメラ43は、対象を撮影し、CMOSイメージセンサ等のセンサによりその画情報を電気信号として出力する撮影手段であり、適宜公知のものを採用すればよい。
【0033】
以上のような構成を有するミキサ10及びターミナル30において、特徴的な点は、ターミナル30(及びミキサ10)のユーザが、ターミナル30に所望の情報を表示させ、またターミナル30を用いて所望のパラメータを編集できるようにするための操作である。そこで、以下、この操作による情報の表示及びパラメータの編集を実現するために、ミキサ10及びターミナル30に実行させる動作について説明する。
【0034】
〔第1の動作例:図4乃至図11〕
まず、第1の動作例として、ターミナル30に、ユーザが選択した画面を表示させる場合のミキサ10及びターミナル30の動作について説明する。
まず、図4に、ミキサ10及びターミナル30において使用するGUI画面の例を示す。
【0035】
ミキサ10においては、ユーザの操作を受け付けるための画面として、表示器22に表示させる種々のGUI画面が用意されているが、その一例として図4に入力ch設定画面100を示す。この画面は、chストリップ110を8つ備え、その8つのchストリップ110により1番目から8番目までの入力chのパラメータの設定を行うための画面である。
そして、各chストリップ110には、パンつまみ111、SELスイッチ112、ONスイッチ113、フェーダ114、レベルメータ115、ch番号表示部116を設けている。
【0036】
ただし、ミキサ10においては、これらの各部は、対応するパン、ch選択状態、ch出力オンオフ、フェーダのパラメータの値、chで処理中の信号レベル、およびchの番号を表示するための表示部であり、パラメータの編集操作は、図示しない操作パネルに設けた、これらの表示部と対応する操作子により行う。
また、chストリップ110の部分をタッチすることにより、対応するchについてより詳細な設定を行うための、ch毎に用意された画面に移行することが可能である。
【0037】
このような画面の内容を示す画面データは、画面を特定するための画面IDと共に、ミキサ10のROM12に記憶されている。ここでいう「内容」には、画面の機能も含む。すなわち、例えば入力ch設定画面100の画面データは、chストリップ110がタッチされた場合に所定の画面IDのch毎の詳細設定画面に移動する、操作パネル上のフェーダが操作された場合に対応するchのフェーダパラメータの値をそれに応じて変更する、等の、画面表示中に検出したイベントに応じて行う動作の内容を規定するデータも含むものである。
【0038】
また、ミキサ10においては、ミキサ10において用いる各GUI画面と対応させて、ターミナル30において表示器42に表示させ、ミキサ10側と同等な機能あるいは一部簡略化した機能を実現させるためのGUI画面の画面データも用意し、ROM12に記憶させている。画面の対応関係は、同じ画面IDを付すことにより容易に把握できるようにしている。
【0039】
例えば、この実施形態のミキサ10においては、図4に示す入力ch設定画面100について、ターミナル30側で用いる画面として、ミキサ10側と同じ外見の画面を用意している。ただし、ミキサ10とターミナル30では、画面に対する操作を行うための操作子の数や種類が異なるため、画面の機能は、同一ではない。
【0040】
ターミナル30側では、入力ch設定画面100に対する操作を行うための操作子として、押下操作の可能なロータリーエンコーダを1つだけ用意し、パンつまみ111、SELスイッチ112、ONスイッチ113、およびフェーダ114へのタッチ操作に応じてそのスイッチをロータリーエンコーダに割り当て、そのロータリーエンコーダにより、割り当てられたパラメータの編集操作を受け付けるようにしている。
また、ch毎に用意された画面への移行は、chストリップ110への2回続けてのタッチで受け付けることとしている。
【0041】
なお、ミキサ10とターミナル30では表示器のサイズが異なることが通常であるので、表示するパラメータの種類や画面のデザインがそれに応じて異なっていても、特に問題はない。例えば、ミキサ10では1画面に表示される内容が、ターミナル30ではタブやハイパーリンクなどにより切り替えられる複数の画面に表示される等である。
【0042】
次に、図5乃至図7を用いて、この動作例におけるミキサ10とターミナル30の動作の概略について説明する。
この動作例において、ミキサ10は、ユーザから、ミキサ10において用いるGUI画面のうち、ターミナル30で使用したい画面の選択を受け付ける。そして、その選択に応じて、図5に示すように、選択された画面と対応するターミナル30用の画面をターミナル30に表示させるために必要な情報を含むコード記号70を、識別コードとして表示器22に表示させる。この「必要な情報」は、表示させる画面の画面IDと、その画面を持つミキサ10のネットワークN上のアドレスである。
【0043】
そして、ターミナル30のユーザが、ターミナル30に備えるカメラ43によりコード記号70を撮影すると、ターミナル30がこれをデコードして画面IDとアドレスを取得し、そのアドレス(コード記号70を表示しているミキサ10のアドレスである)に対してその画面IDを送信する。
【0044】
ミキサ10は、この画面IDを受信すると、その画面IDの画面の表示に必要なデータとして、画面データ及びその画面で表示及び/又は編集するパラメータの現在値を含む端末用データをターミナル30に返し、ターミナル30はその端末用データに基づいてGUI画面を表示器42に表示させる。
【0045】
このとき、表示中のGUI画面がミキサ10におけるパラメータの値の表示や編集を行うための画面であることは、ターミナル30側で把握できる。従って、表示内容を最新の設定内容に合わせるための、ミキサ側でのパラメータの値の変更の監視や、ターミナル30側で受けた編集操作に応じたパラメータの値の変更要求のための通信先も、ターミナル30が自動的に設定する。
【0046】
以上の動作を行うことにより、ユーザは、ターミナル30の操作としては、単にコード記号を撮影するだけで、所望のミキサ10について所望の画面をターミナル30に表示させ、ミキサ10が信号処理に用いるパラメータの参照や編集を行うことができる。この場合において、ターミナル30側では、ユーザが手動でアクセス対象のミキサや表示させる画面を選択する必要がないので、携帯性に優れた、操作子の少ない小型のターミナル30を用いたとしても、操作間違いは起こらず、また操作の煩わしさも大幅に軽減される。特に、アクセス対象については、同じ機種が複数台並んでいるような紛らわしい場合でも、個々の装置のアドレスや名称を気にすることなく、所望の装置を選択できるため、間違い低減や操作性向上の効果が大きい。
【0047】
ミキサ10側で所望の画面を選択する必要はあるが、一般に、ミキサ10においては画面選択のための操作子が充実しているため、ターミナル30側で選択操作を行うよりは、はるかに効率的かつ誤りの少ない操作が可能であると考えられる。
【0048】
また、ターミナル30がGUI画面を表示する際に、必要な範囲で自動的にミキサ10との間のパラメータの同期を取ることができる(ミキサ10側とターミナル30側とで、パラメータの現在値を揃えることができる)ので、パラメータの同期に関する操作は不要であり、この点でも操作性を向上させることができる。さらに、ターミナル30に表示させる画面で扱うパラメータについてのみ同期を取るので、全パラメータを同期させる場合に比べ、同期処理を高速化することができる。
【0049】
なお、ミキサ10においては、ターミナル30に表示させる画面として、複数の画面を同時に選択することもできる。
図6に示すのがこの場合の動作例である。
この場合でも、基本的な動作は図5の場合と変わらないが、ミキサ10は、選択された複数の画面が備える表示部を全て備える新たな画面を生成して画面IDを割り当て、その画面IDを含むコード記号71を表示器22に表示させる。
【0050】
ここで、レベルメータ115のように本質的に値の表示のみを行う部分だけでなく、パンつまみ111やフェーダ114のように、形状としては操作子であり、ターミナル30側で、あるいはミキサ10側でもパラメータの編集操作の受け付けに用いる部分であっても、値の表示にも用いる部分であれば表示部に含まれる。
また、通常は、複数の画面に備える全ての表示部を1つの画面に収めることはできないと考えられるため、生成する「新たな画面」は、図6の表示器42に示すように、選択された複数の画面をタブにより切替えることができるような構成にすることが考えられる。
【0051】
また、ミキサ10においては、ターミナル30に表示させる対象として、画面全体だけでなく、画面中の一部の操作子を選択することも可能である。
図7に示すのがこの場合の動作例である。
この場合でも、基本的な動作は図5の場合と変わらないが、ミキサ10は、選択された表示部を全て備える新たな画面を生成して画面IDを割り当て、その画面IDを含むコード記号72を表示器22に表示させる。
【0052】
ここで、表示部は、複数の画面から任意の数ずつ選択することができる。また、選択の単位も、パンつまみ111やフェーダ114のように個別の表示部毎に選択できるようにしてもよいし、chストリップ110のように、表示部がいくつか集まったグループ毎にのみ選択できるようにしてもよい。どちらの選択もできるようにしてもよい。
また、新たな画面を生成する際には、表示部の選択順や、表示部が属する画面毎等、所定の順番で空白の画面に表示部を配置していけばよい。そして、1画面で配置しきれない場合には、図6に示した例と同様に、複数の画面をタブにより切替えることができるような構成とすればよい。
【0053】
次に、図8乃至図11を用いて、以上説明した動作を実現するためにミキサ10のCPU11及びターミナル30のCPU31が実行する処理について説明する。
まず、図8に、ミキサ10のCPU11が実行するコード記号出力処理のフローチャートを示す。
ミキサ10において、図5乃至図7に示すようなコード記号の表示は、操作子を操作してパラメータを編集する通常動作モードとは異なる、登録モードの処理として行う。
【0054】
そして、ユーザが登録モードに入る指示を行うと、ミキサ10のCPU11は、図8のフローチャートに示す処理を開始すると共に、表示器22に表示させる不図示のGUI上で、ターミナル30に表示させる画面又は表示部の選択と、選択された対象に関する画面のコード記号の出力指示とを受け付ける。
【0055】
そして、図8の処理において、CPU11は、コード記号の出力指示があるまで待機し(S11)、出力指示があると、ステップS12以下の処理に進む。
そして、この時点でターミナル30に表示させる対象として、画面が1つのみ選択されている場合には(S12,S13の両方でYES)、新たな画面を作成する必要がないため、選択されている画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレス(例えばIPアドレス)との情報を含むコード記号を作成し(S14)、これを出力して(S15)ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0056】
また、複数の画面が選択されていたり(S12でYES、S13でNO)、表示部が選択されていたり(S12でNO、S16でYES)した場合には、それらの選択された対象をターミナル30に表示させるためのターミナル30用GUI画面を図6及び図7の説明で述べたように作成し、その画面に画面IDを割り当て、画面ID及び、その画面の内容を示す画面データを、ROM12あるいはRAM13に保存する(S17)。そして、その作成した画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレスとの情報を含むコード記号を作成し(S18)、これを出力して(S15)ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
ステップS16でNOの場合には、対象の選択がない旨を表示器22に表示させ(S19)、ステップS11に戻って処理を繰り返す。
そしてこの処理は、登録モードから抜ける指示があった場合に、中断して終了する。
【0057】
ここで、コード記号としては、図5等に示したようなバーコードを用いてもよいが、QRコードを初めとする二次元コードなど、種々の形式のものを用いることができる。コード記号は画面IDとアドレスを表現できれば足りるので、比較的情報量の少ない単純な形式のものも用いることができる。
また、コード記号の出力は、この第1の動作例の場合、撮影時にミキサ10との対応関係が分かりやすいよう、表示器22に表示して行うことが好ましい。しかし、ターミナル30のカメラ43で撮影可能な状態で出力できれば出力方法に制限はなく、プリンタ60を用いた印刷出力等も考えられる。
【0058】
以上の処理により、CPU11は、必要に応じて新たな画面を作成した上で、ターミナル30に表示させるべき画面の画面IDと、ターミナル30がコード記号の読み取りに応じてアクセスすべきアクセス先の情報とを含むコード記号を、ターミナル30が読み取ることのできる状態で出力することができる。
以上の処理において、CPU11は、ステップS15で出力手段として、ステップS17で画面データ作成手段として、それぞれ機能する。
【0059】
次に、図9にターミナル30のCPU31が実行する画面ID送信処理のフローチャートを示す。
ターミナル30のCPU31は、ユーザからの、コード記号を用いたミキサへのアクセス設定を行う旨の指示があると、カメラ43を起動して画像の撮影が可能な状態とすると共に、図9のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、まずカメラ43が撮影した画像の画像データを取得し(S31)、その画像データを解析して、画像中に含まれるコード記号をデコードする(S32)。ミキサ10が図8のステップS15で出力したコード記号をカメラ43により適切に撮影できた場合、このデコードにより、画面IDとミキサ10のアドレスが得られるはずである。
【0060】
ここでデコードが成功しなかった場合には(S33のNO)、ステップS31に戻って処理を繰り返し、成功した場合には(S33のYES)、コード記号が示す画面ID及びアドレスの情報を取得する(S34)。
そして、その取得したアドレスの装置(コード記号を出力したミキサ10のはずである)に対し、取得した画面IDを送信し(S35)、処理を終了する。
以上の処理により、ターミナル30は、コード記号を出力したミキサ10に対し、そのコード記号が示す画面の画面データを要求することができる。この処理において、CPU31は、ステップS35で送信手段として機能する。
【0061】
次に、図10に、ミキサ10のCPU11が実行する端末用データ送信処理のフローチャートを示す。
ミキサ10のCPU11は、ターミナル30が図9のステップS35で送信してくる画面IDを受信すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。この処理は、ミキサ10が登録モードであるか通常動作モードであるかに関わらず実行することができる。
【0062】
そして、図10の処理においては、まず受信した画面IDと対応するターミナル30用画面の画面データを取得し(S41)、その画面で表示又は編集するパラメータの現在値を、カレントメモリから読み出して取得する(S42)。その後、それらの画面データ及び現在値をパッケージ化して端末用データを生成し(S43)、その端末用データを画面IDの送信元であるターミナル30に送信して(S44)、処理を終了する。
【0063】
ミキサ10は、以上の処理により、ターミナル30からのアクセスに応じて、ターミナル30に表示させるべき画面(ターミナル30が撮影したコード記号が示す画面)の表示に必要な情報を、ターミナル30に送信することができる。この処理において、CPU11は、ステップS43及びS44で送信手段として機能する。なお、ステップS43でのパッケージ化は、必ずしも行わなくてもよい。
【0064】
次に、図11に、ターミナル30のCPU31が実行する画面表示処理のフローチャートを示す。
ターミナル30のCPU31は、ミキサ10が図10のステップS44で送信してくる端末用データを受信すると、図11のフローチャートに示す処理を開始する。
【0065】
そして、受信した端末用データに含まれる画面データに基づき表示器42に画面を表示させる(S51)と共に、その表示させた画面で表示又は編集するパラメータの現在値を記憶させるカレントメモリを、RAM33に確保する(S52)。その後、受信した端末用データに含まれるパラメータの現在値を確保したカレントメモリにコピーし(S53)、そのパラメータの値に基づいて画面の表示を更新する(S54)。そして、端末用データを送信してきたミキサ10(図9のステップS35における画面IDの送信先)との間のリアルタイム通信に必要な通信路をネットワークN上に確保して(S55)、処理を終了する。
【0066】
ターミナル30は、以上の処理により、ミキサ10から受信したデータに基づき、図9のステップS31で撮影したコード記号と対応する画面を表示器42に表示させると共に、その画面で扱うパラメータにつき、ミキサ10側との同期を取ることができる。以上の処理において、CPU31は表示制御手段として機能する。
【0067】
また、具体的な処理の図示は省略するが、以上の処理の後、ミキサ10とターミナル30は、どちらが能動的にアクセスしてもよいが、相互に定期的に通信してカレントメモリの内容を交換し、その同期を取り、ターミナル30における画面の表示に、常にミキサ10における最新のカレントメモリの状態が反映されるようにする。
また、ターミナル30において、パラメータの値の変更を指示する操作があった場合、ターミナル30のCPU31は、その操作内容又はその操作に係るパラメータの値の変更量をミキサ10に通知して、指示に従った変更を行わせる。そしてこのことにより、ターミナル30からミキサ10を遠隔操作することができる。
【0068】
〔第2の動作例:図12乃至図15〕
次に、第2の動作例として、ターミナル30に、特定の外部装置と対応するchのパラメータに関する画面を表示させる場合のミキサ10及びターミナル30の動作について説明する。
【0069】
図12に、この動作例におけるミキサ10とターミナル30の動作の概略を示す。
この動作例において、ミキサ10は、ユーザから、ミキサ10に接続されている外部装置50(例えばマイクやスピーカ)の選択を受け付け、その選択に応じて、ターミナル30にその装置と対応するchのパラメータに関する画面を表示させるために必要な情報を含むコード記号73を、プリンタ60に指示して印刷出力させる。この「必要な情報」は、第1の動作例の場合と同じく、表示させる画面の画面IDと、その画面を持つミキサ10のネットワークN上のアドレスである。そして、ユーザは、そのコード記号73を、選択した外部装置50に貼付し、装置との対応関係がわかるようにしておく。
【0070】
そして、ターミナル30を操作するユーザが、特定の外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面を表示させたい場合、その外部装置50に貼付されているコード記号73を、ターミナル30に備えるカメラ43により撮影する。すると、ターミナル30がこれをデコードして画面IDとアドレスを取得し、そのアドレス(コード記号73を出力した、表示したい画面を有するミキサ10)に対してその画面IDを送信する。
【0071】
以降、ミキサ10とターミナル30とが第1の動作例の場合と同様な動作を行うことにより、ユーザは、ターミナル30の操作としては、単に所望の外部装置50に貼付してあるコード記号を撮影するだけで、その外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面をターミナル30に表示させ、ミキサ10がそのchの信号処理に用いるパラメータの参照や編集を行うことができる。
【0072】
この場合においても、ターミナル30側では、ユーザが手動でアクセス対象のミキサや表示させる画面を選択する必要がないので、操作間違いは起こらず、また操作の煩わしさも大幅に軽減される。特に、外部装置50がホールやステージに配置されている場合、その状態では、外部装置50とミキサ10のchとの対応関係がわかりづらいが、上述の機能を利用することにより、ユーザがその対応関係を把握していなくても、簡単に外部装置50と対応するchに関する画面を表示させることができるので、間違い低減や操作性向上の効果が大きい。
【0073】
ここで、ある外部装置と対応するchとは、その外部装置から入力する音響信号が供給される入力ch又はその外部装置へ出力する音響信号を供給する出力chを指す。このとき、外部装置は、ミキサ10に直接接続されていても、アンプ、イコライザ、エフェクタ等の他の装置を介して間接に接続されていてもよい。
ミキサ10には、このような外部装置とchとの対応関係の情報を、予め記憶させておく。
【0074】
図13に、その情報を登録した機器情報テーブルの例を示す。
機器情報テーブルには、まず、外部装置50の名称と、その外部装置50を接続する端子又はポートの情報を登録する。
外部装置50をケーブル(途中に無線の箇所があってもよい)によりミキサ10の入出力端子に接続する場合には、ミキサ10側ではどの端子にどのような装置が接続されるかは把握できないので、この登録はユーザが手動で行う。また、実際にミキサ10を使用する際に、登録通りに外部装置を接続する必要もある。なお、ミキサ10にアンプを介してスピーカを接続するような場合には、外部装置としてアンプを登録してもスピーカを登録しても構わない。
【0075】
また、外部装置50をネットワークNを介してミキサ10と接続する場合には、その外部装置50との音響信号の送受信に用いるポートは、ミキサ10が自動で決定する場合もあり、またこれに際して接続先装置の名称も自動で取得できることがある。従って、このような場合は、装置名と接続先ポートを、ミキサ10が自動で登録するようにするとよい。
【0076】
いずれの場合も、外部装置50が接続されるのが入力端子/ポートであるか出力端子/ポートであるかを示す入出の項目は、接続先端子/ポートの設定内容に応じて自動的に設定することができる。
また、各端子やポートから入力する音響信号は、入力パッチにより、供給先の入力chが決定される。そこで、機器情報テーブルにおける使用chの項目は、接続先端子/ポートに基づいて入力パッチの設定内容を参照し、自動的に設定することができる。
【0077】
図14に、その入力パッチの設定内容を示す入力パッチデータの例を示すが、入力パッチデータとしては、ミキサ10が信号入力を受け付け可能な全ての端子及びポートにつき、そこから入力する信号をどの入力chに供給するかが設定されている。
また、以上と同様に、出力端子/ポートに接続される外部装置と出力chとの対応関係は、出力パッチの設定内容に応じて自動的に設定することができる。
【0078】
なお、パッチの設定内容は、ユーザの操作に応じて変更可能であり、変更があった場合には、それに応じて機器情報テーブルの内容を更新する。しかし、この変更を行ってしまうと、外部装置とchとの対応関係が変化してしまうので、コード記号73の印刷と外部装置への貼付を行った後は、パッチの設定変更を行わないことが好ましい。
【0079】
また、以上の対応関係に基づいて決定される、選択された外部装置50と対応するchに関する画面とは、ミキサ10のDSP18が、そのchの信号処理に使用するパラメータを表示及び/又は参照するための画面である。
そして、この実施形態のミキサ10においては、図4の説明で述べたように、各chについて、そのchに関するパラメータを扱うための画面が個別に用意されているので、外部装置50と対応するchに関する画面として、その画面をそのまま用いればよいので、外部装置50の選択に応じて新たな画面を作成する必要はない。
【0080】
しかし、図4に示したような、複数のchに関するパラメータを扱うための画面しか用意されていない場合には、この画面から、選択された外部装置50と対応するchに関するパラメータを扱う表示部を切り出して、新たな画面を作成する。この際には、第1の動作例の場合と同様、作成した画面に新たな画面IDを割り当てる。
【0081】
また、ミキサ10は、1つの外部装置だけでなく、複数の外部装置の選択を受け付けることもできる。そして、複数の外部装置が選択された場合、選択された各外部装置とそれぞれ対応する複数のchに関するパラメータを扱う表示部を全て含む、新たな画面を生成する。この場合、1ch分のパラメータを扱うための複数の画面を、図6の場合と同様にタブで切替えられるようにしても、図7の場合と同様に、chストリップ等の簡易化された表示部を複数ch分並べて配置してもよい。
【0082】
いずれにせよ、この場合、ミキサ10が印刷出力するのは、複数の外部装置からなる外部装置群と対応するコード記号である。従って、このコード記号は、外部装置そのものではなく、外部装置群の近傍に貼付することが好ましい。
このようなコード記号の利用は、例えばステージ上に配置されたマイクやスピーカについてまとめて設定を変更したい場合に備え、それらの装置群と対応するコード記号をステージ上に貼付しておくといった場合に有効である。あるいは、配置位置毎にグループ化した外部装置群と対応するコード記号を、ホールの地図等の台紙に貼付けて持ち歩き、どこからでも所望の位置の装置に関する設定を変更できるようにする等の用途も考えられる。
【0083】
次に、図15を用いて、以上説明した動作を実現するためにミキサ10のCPU11及びターミナル30のCPU31が実行する処理について説明する。
図15に示すのは、この動作例においてミキサ10のCPU11が実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【0084】
第1の動作例の場合と同様、ミキサ10において、ユーザが登録モードに入る指示を行うと、ミキサ10のCPU11は、図15のフローチャートに示す処理を開始すると共に、表示器22に表示させる図示しないGUI上で、図13に示した機器情報テーブルに登録されている外部装置の中から、1又は複数の外部装置の選択を受け付ける。
【0085】
そして、図15の処理において、CPU11は、コード記号の出力指示があるまで待機し(S61)、出力指示があると、ステップS62以下の処理に進む。なお、この指示は、図8のステップS11で監視する指示とは別のものとする。
そして、この時点で外部装置が1つ選択されている場合には(S62,S63の両方でYES)、新たな画面を作成する必要がないため、機器情報テーブルを参照し、選択された外部装置と対応するchのパラメータを表示/編集するための画面を特定し(S64)、その画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレス(例えばIPアドレス)との情報を含むコード記号を作成し(S65)、これを出力して(S66)ステップS61に戻り、処理を繰り返す。
【0086】
また、複数の装置が選択されていた場合には、(S62でYES、S63でNO)、機器情報テーブルを参照し、選択された外部装置と対応するchを全て特定する(S67)。そして、特定した全てのchのパラメータを表示/編集するための表示部を配置した、ターミナル30に表示させるためのターミナル30用GUI画面を、図12の説明で述べたように作成し、その画面に画面IDを割り当て、画面ID及び、その画面の内容を示す画面データを、ROM12あるいはRAM13に保存する(S68)。そして、その作成した画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレスとの情報を含むコード記号を作成し(S69)、これを出力して(S66)ステップS61に戻り、処理を繰り返す。
【0087】
ステップS62でNOの場合には、対象の選択がない旨を表示器22に表示させ(S70)、ステップS61に戻って処理を繰り返す。
そしてこの処理は、登録モードから抜ける指示があった場合に、中断して終了する。
コード記号の形式は、第1の動作例の場合と同様である。また、図12では印刷出力する例について説明したが、第1の動作例と同様に、コード記号を画面に出力してその場で撮影するようにすることも可能である。
【0088】
以上の処理により、CPU11は、必要に応じて新たな画面を作成した上で、選択された外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面の画面IDと、ターミナル30がコード記号の読み取りに応じてアクセスすべきアクセス先の情報とを含むコード記号を、ターミナル30が読み取ることのできる状態で出力することができる。
以上の処理において、CPU11は、ステップS66で出力手段として、ステップS68で画面データ作成手段として、それぞれ機能する。
また、この動作例においても、ターミナル30のカメラ43を用いてコード記号を撮影する以降の処理は、図9乃至図11を用いて第1の動作例で説明した処理と同じである。
【0089】
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や具体的な処理内容、画面の表示例、操作方法、データ形式等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、ターミナル30がコード記号をカメラで撮影する例について説明したが、バーコードの場合、カメラではなく、レーザビームによってコード記号をスキャンするタイプの読取装置を用いることもできる。いずれにせよ、コード記号の種類に適した、光学的な読取手段を用いればよい。
また、ターミナル30のハードウェアとして公知の携帯型PCや携帯情報端末(PDA)を用いてもよい。これらのPCやPDAが読取手段を搭載していない場合には、これらに接続可能な外部の読取手段を利用することもできる。
【0091】
また、上述した実施形態では、ミキサ10を例に取って説明したが、この発明が、エフェクタ、レコーダ、アンプ等の他の音響信号処理装置及びその音響信号処理装置にアクセスする端末装置に適用可能であることはもちろんである。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上の説明から明らかなように、この発明の音響信号処理装置及び端末装置を組み合わせて用いることにより、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることができる。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、音響信号処理装置の運用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0093】
10…ミキサ、11,31…CPU、12,32…ROM、13,33…RAM、14,34…通信I/F、15,35…操作検出回路、16,36…表示制御回路、17…波形I/O、18…DSP、19,38…システムバス、21,41…操作子、22,42…表示器、30…ターミナル、37…画像処理回路、43…カメラ、50…外部装置、60…プリンタ、70〜73…コード記号
【技術分野】
【0001】
この発明は、音響信号を所定のパラメータの値に従って処理する音響信号処理装置、このような音響信号処理装置にアクセスするための端末装置、および上記の端末装置を用いて上記の音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照する音響信号処理に使用するパラメータの参照方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音響信号処理装置であるデジタルミキサ(以下単に「ミキサ」という)をイーサネット(登録商標)等のネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)と接続し、PCを端末装置として用いて、そのPCの画面に表示させた編集画面を操作することにより、ミキサにおいて音響信号処理に使用するパラメータの値を参照及び編集できるようにすることが行われている。
このようなミキサの遠隔操作については、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
この文献に記載の技術の場合、PCによりミキサを遠隔操作してパラメータの値を設定しようとする場合には、PCに予め所定の遠隔操作用アプリケーションソフトをインストールしておき、そのPCとミキサとをネットワークを介して接続する。そして、PC側でパラメータを編集したいミキサを選択し、アプリケーションに適切な設定を行って選択したミキサが備える機能に合った編集画面を用意し、全てのパラメータについてミキサ側と同期を取った上で、用意した多数の編集画面の中から所望のパラメータを編集するための画面を呼び出し、その画面に対して操作を行う、という手順で、パラメータの編集を行っていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「M7CL Editor 取扱説明書」,ヤマハ株式会社,2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の遠隔操作では、PCを操作するユーザが手動で操作対象のミキサを選択し、さらに編集したいパラメータに応じた編集画面を選択する必要があった。
一方、操作可能なパラメータの種類は多岐に亘り、それに応じて選択可能な編集画面の数は多い。さらに、大規模な利用環境では、操作対象となり得る機器も複数存在する場合がある。
【0006】
このため、操作対象機器の選択や編集画面の選択に手間がかかり、また、ユーザの勘違いや操作ミスにより、選択間違いが起こる可能性があるという問題があった。特に、音響信号処理装置に接続されている外部機器を意識したパラメータの編集を行おうとする場合にこの問題が顕著であった。
例えば、特定のスピーカへ出力する音響信号のレベルや、特定のマイクから入力する音響信号のレベル等を調整しようとする場合、どのスピーカやどのマイクがどの機器のどの信号処理チャンネルに接続されているかを認識した上で、そのチャンネルのパラメータを編集する画面を選択しなければならず、この操作は、ユーザに高い注意力を要求するものであった。
また、これらの問題は、パラメータの編集を行う場合だけでなく、単にパラメータの値を参照する場合にも、同様に存在するものである。
【0007】
この発明は、このような問題を解決し、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることを目的とする。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、自身にアクセスするための端末装置と通信可能な音響信号処理装置において、外部装置から入力する音響信号を複数のチャンネルで処理して外部装置に出力する音響信号処理手段と、その音響信号処理装置に直接に又は他の装置を介して接続される外部装置と、その外部装置から入力する音響信号が供給されるチャンネル又はその外部装置へ出力する音響信号を供給するチャンネルとの対応関係を記憶する第1の記憶手段と、上記各チャンネルについて、上記音響信号処理手段がそのチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備えた画面の内容を示す画面データ及びその画面の画面IDを記憶する第2の記憶手段と、上記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置の選択を受け付ける選択受付手段と、上記選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する出力手段と、上記端末装置から画面IDを受信した場合に、その画面IDが示す画面の画面データと、その画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを上記画面IDの送信元である端末装置に送信する送信手段とを設けたものである。
【0009】
このような音響信号処理装置において、上記選択受付手段を、上記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置に加えて複数の外部装置の選択も受け付ける手段とし、上記選択受付手段が上記複数の外部装置の選択を受け付けた場合に、選択された複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備える新たな画面のデータを作成すると共に、その新たな編集画面に画面IDを割り当て、その画面ID及びその新たな画面の内容を示す画面データを上記第2の記憶手段に記憶させる画面データ作成手段を設け、上記出力手段を、上記選択受付手段が1の外部装置の選択を受け付けた場合には、その選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力し、上記選択受付手段が複数の外部装置の選択を受け付けた場合には、その選択に応じて上記画面データ作成手段が作成した画面の画面ID及びその音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する手段とするとよい」。
【0010】
また、この発明の端末装置は、上記のいずれかの音響信号処理装置にアクセスするための端末装置において、表示器と、上記出力手段が出力した識別コードを光学的に読み取る読取手段と、上記読取手段が読み取った識別コードから画面ID及びアドレス情報を抽出し、その抽出したアドレス情報が示す音響信号処理装置に対し、その抽出した画面IDを送信する送信手段と、その画面IDの送信に応じて上記音響信号処理装置が送信してくる画面データ及びパラメータの現在値を受信する受信手段と、その受信手段が受信した画面データに基づいて上記表示器に画面を表示すると共に、その受信手段が受信した現在値のデータを、その画面において表示するパラメータの値の現在値として設定し、その画面により上記音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行う表示制御手段とを設けたものである。
【0011】
また、この発明の音響信号処理に使用するパラメータの参照方法は、上記のいずれかの音響信号処理装置の出力手段に、選択した1の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び上記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、その印刷出力させた識別コードを、上記選択した1の外部装置に貼付する工程を、使用予定の外部装置について予め行っておき、上記の端末装置の読取手段に、所望の外部装置に貼付した識別コードを読み取らせ、上記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、その送信に応じて上記音響信号処理装置が上記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて上記端末装置が表示する画面を参照することにより、上記所望の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照するものである。
また、この発明の別の音響信号処理に使用するパラメータの参照方法は、上記の音響信号処理装置の出力手段に、選択した複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び上記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、その印刷出力させた識別コードを、上記選択した複数の外部装置からなる外部装置群の近傍に貼付する工程を、使用予定の外部装置群について予め行っておき、上記の端末装置の読取手段に、所望の外部装置群の周辺に貼付した識別コードを読み取らせ、上記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、その送信に応じて上記音響信号処理装置が上記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて上記端末装置が表示する画面を参照することにより、上記所望の外部装置群と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照するものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のようなこの発明の音響信号処理装置及び端末装置を組み合わせて用いることにより、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることができる。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の音響信号処理装置の実施形態であるミキサ及びこの発明の端末装置の実施形態であるターミナルの使用状態を示す図である。
【図2】図1に示したミキサのハードウェア構成を示す図である。
【図3】同じくターミナルのハードウェア構成を示す図である。
【図4】同じくミキサ及びターミナルにおいて使用するGUI画面の例を示す図である。
【図5】第1の動作例におけるミキサとターミナルの動作の概略について説明するための図である。
【0014】
【図6】同じく動作の概略について説明するための別の図である。
【図7】同じく動作の概略について説明するためのさらに別の図である。
【図8】第1の動作例においてミキサのCPUが実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【図9】ターミナルのCPUが実行する画面ID送信処理のフローチャートである。
【図10】ミキサのCPUが実行する端末用データ送信処理のフローチャートである。
【0015】
【図11】ターミナルのCPUが実行する画面表示処理のフローチャートである。
【図12】第2の動作例におけるミキサとターミナルの動作の概略について説明するための図である。
【図13】機器情報テーブルの例を示す図である。
【図14】入力パッチデータの例を示す図である。
【図15】第2の動作例においてミキサのCPUが実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1に、この発明の音響信号処理装置の実施形態であるミキサ及びこの発明の端末装置の実施形態であるターミナルの使用状態を示す。
【0017】
ここで、ミキサ10は、マイク、スピーカ、アンプ、レコーダ、イコライザ、エフェクタ、楽器等の種々の外部装置50を接続し、これらの外部装置50のうち音響信号の供給源から入力する音響信号を、複数の入力チャンネル(ch)で処理し、その処理結果をミキシングし、ミキシング結果をさらに出力chで処理して、処理後の音響信号を外部装置50のうち所定の出力先に出力する装置である。
また、ターミナル30は、ユーザが携帯して持ち歩き、ミキサ10が信号処理に使用するパラメータの値を離れた場所から参照したり、またそのパラメータの値を編集したりするための装置である。
【0018】
図1に示すように、このようなミキサ10(10a〜10c)とターミナル30(30a、30b)とは、ネットワークNにより接続し、相互に通信可能な状態で使用する。このネットワークNについては、例えばイーサネット(登録商標)規格のLAN(ローカルエリアネットワーク)を用いることができるが、特に規格に制限はない。なお、有線でも無線でもよいが、少なくともターミナル30については、無線接続が可能であることが、可搬性の観点から好ましい。
【0019】
外部装置50については、ここでは全ての外部装置50をミキサ10にローカルに接続する例を示したが、ミキサ10がネットワークNを介して接続される外部装置50あるいは他のミキサ10との間で音響信号の入出力を行う場合もある。
プリンタ60は、ミキサ10からの指示により後述するコード記号を印刷出力するための印刷装置である。ここではネットワークNに接続した状態を示しているが、ミキサ10にローカル接続したり、ミキサ10に印刷機能を設けてそれを用いたりしてもよい。
【0020】
次に、図2に、ミキサ10のハードウェア構成を示す。
図2に示すように、ミキサ10は、CPU11,ROM12,RAM13,通信I/F14,操作検出回路15,表示制御回路16,波形I/O17,信号処理部(DSP)18を備え、これらがシステムバス19によって接続されている。また、操作検出回路15には操作子21が、表示制御回路16には表示器22がそれぞれ接続されている。
【0021】
そして、CPU11は、このミキサ10の動作を制御する制御手段であり、ROM12に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、通信I/F14を介したターミナル30等の他の装置との通信の制御、操作検出回路15を介した操作子21の操作内容検出、表示制御回路16を介した表示器22の表示制御、DSP18における信号処理の制御等の種々の制御を行うことができる。
【0022】
ROM12は、CPU11が実行する制御プログラム等を記憶する、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM13は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
通信I/F14は、ネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0023】
操作検出回路15は、操作子21における操作を検出するための回路である。操作子21は、ミキサ10に対する操作を受け付けるためのものであり、種々のキー、ボタン、ダイヤル、スライダ及び、表示器22を構成する液晶ディスプレイ(LCD)に積層したタッチパネル等によって構成することができる。
【0024】
表示制御回路16は、CPU11からの指示に従って表示器22における表示を制御するための回路である。表示器22は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)等によって構成され、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)や、パラメータの値等の種々の情報を表示する表示手段である。
【0025】
波形I/O17は、DSP18で処理すべき音響信号の入力を受け付け、また処理後の音響信号を出力するためのインタフェースである。そして、この波形I/O17には、A/D変換回路を備えたアナログ入力端子,D/A変換回路を備えたアナログ出力端子,デジタル入出力用のデジタル入力端子及びデジタル出力端子を適宜組み合わせて複数設けている。
【0026】
DSP18は、信号処理回路を含み、波形I/O17から入力する音響信号に対し、カレントメモリに記憶してある各種パラメータの現在値に従って、ミキシング、イコライジング等の各種信号処理を施して波形I/O17に出力する信号処理手段である。カレントメモリの記憶領域は、RAM13あるいはDSP18自身に備えるメモリに用意することが考えられる。
【0027】
次に、図3に、ターミナル30のハードウェア構成を示す。
図3に示すように、ターミナル30は、CPU31,ROM32,RAM33,通信I/F34,操作検出回路35,表示制御回路36,画像処理回路37を備え、これらがシステムバス38によって接続されている。また、操作検出回路35には操作子41が、表示制御回路36には表示器42が、画像処理回路37にはカメラ43がそれぞれ接続されている。
【0028】
そして、CPU31は、ターミナル30の動作を制御する制御手段であり、ROM32に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、通信I/F34を介したミキサ10等の他の装置との通信の制御、操作検出回路35を介した操作子41の操作内容検出、表示制御回路36を介した表示器42の表示制御、画像処理回路37における画像解析とコード記号のデコードの制御等の種々の制御を行うことができる。
【0029】
ROM32は、CPU31が実行する制御プログラム等を記憶する、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM33は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU31のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
通信I/F34は、ネットワークNに接続するためのインタフェースである。
【0030】
操作検出回路35は、操作子41における操作を検出するための回路である。操作子41は、ターミナル30に対する操作を受け付けるためのものであり、表示器42と一体化した、LCDに積層したタッチパネルを主な構成としている。その他にもいくつかのキーやボタンを設けているが、ターミナル30を小型化して容易に持ち運びできるようにするため、操作子の数は比較的少なく抑えている。
【0031】
表示制御回路36は、CPU31からの指示に従って表示器42における表示を制御するための回路である。表示器42は、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)や、ミキサ10が使用するパラメータの値等の種々の情報を表示する表示手段であり、上記のLCD及びいくつかのLEDにより構成されている。
【0032】
画像処理回路37は、カメラ43により撮影して得た画情報を処理し、CPU31が扱える画像データ又は、画像中のコード記号をデコードして得られるデータに変換する回路である。カメラ43は、対象を撮影し、CMOSイメージセンサ等のセンサによりその画情報を電気信号として出力する撮影手段であり、適宜公知のものを採用すればよい。
【0033】
以上のような構成を有するミキサ10及びターミナル30において、特徴的な点は、ターミナル30(及びミキサ10)のユーザが、ターミナル30に所望の情報を表示させ、またターミナル30を用いて所望のパラメータを編集できるようにするための操作である。そこで、以下、この操作による情報の表示及びパラメータの編集を実現するために、ミキサ10及びターミナル30に実行させる動作について説明する。
【0034】
〔第1の動作例:図4乃至図11〕
まず、第1の動作例として、ターミナル30に、ユーザが選択した画面を表示させる場合のミキサ10及びターミナル30の動作について説明する。
まず、図4に、ミキサ10及びターミナル30において使用するGUI画面の例を示す。
【0035】
ミキサ10においては、ユーザの操作を受け付けるための画面として、表示器22に表示させる種々のGUI画面が用意されているが、その一例として図4に入力ch設定画面100を示す。この画面は、chストリップ110を8つ備え、その8つのchストリップ110により1番目から8番目までの入力chのパラメータの設定を行うための画面である。
そして、各chストリップ110には、パンつまみ111、SELスイッチ112、ONスイッチ113、フェーダ114、レベルメータ115、ch番号表示部116を設けている。
【0036】
ただし、ミキサ10においては、これらの各部は、対応するパン、ch選択状態、ch出力オンオフ、フェーダのパラメータの値、chで処理中の信号レベル、およびchの番号を表示するための表示部であり、パラメータの編集操作は、図示しない操作パネルに設けた、これらの表示部と対応する操作子により行う。
また、chストリップ110の部分をタッチすることにより、対応するchについてより詳細な設定を行うための、ch毎に用意された画面に移行することが可能である。
【0037】
このような画面の内容を示す画面データは、画面を特定するための画面IDと共に、ミキサ10のROM12に記憶されている。ここでいう「内容」には、画面の機能も含む。すなわち、例えば入力ch設定画面100の画面データは、chストリップ110がタッチされた場合に所定の画面IDのch毎の詳細設定画面に移動する、操作パネル上のフェーダが操作された場合に対応するchのフェーダパラメータの値をそれに応じて変更する、等の、画面表示中に検出したイベントに応じて行う動作の内容を規定するデータも含むものである。
【0038】
また、ミキサ10においては、ミキサ10において用いる各GUI画面と対応させて、ターミナル30において表示器42に表示させ、ミキサ10側と同等な機能あるいは一部簡略化した機能を実現させるためのGUI画面の画面データも用意し、ROM12に記憶させている。画面の対応関係は、同じ画面IDを付すことにより容易に把握できるようにしている。
【0039】
例えば、この実施形態のミキサ10においては、図4に示す入力ch設定画面100について、ターミナル30側で用いる画面として、ミキサ10側と同じ外見の画面を用意している。ただし、ミキサ10とターミナル30では、画面に対する操作を行うための操作子の数や種類が異なるため、画面の機能は、同一ではない。
【0040】
ターミナル30側では、入力ch設定画面100に対する操作を行うための操作子として、押下操作の可能なロータリーエンコーダを1つだけ用意し、パンつまみ111、SELスイッチ112、ONスイッチ113、およびフェーダ114へのタッチ操作に応じてそのスイッチをロータリーエンコーダに割り当て、そのロータリーエンコーダにより、割り当てられたパラメータの編集操作を受け付けるようにしている。
また、ch毎に用意された画面への移行は、chストリップ110への2回続けてのタッチで受け付けることとしている。
【0041】
なお、ミキサ10とターミナル30では表示器のサイズが異なることが通常であるので、表示するパラメータの種類や画面のデザインがそれに応じて異なっていても、特に問題はない。例えば、ミキサ10では1画面に表示される内容が、ターミナル30ではタブやハイパーリンクなどにより切り替えられる複数の画面に表示される等である。
【0042】
次に、図5乃至図7を用いて、この動作例におけるミキサ10とターミナル30の動作の概略について説明する。
この動作例において、ミキサ10は、ユーザから、ミキサ10において用いるGUI画面のうち、ターミナル30で使用したい画面の選択を受け付ける。そして、その選択に応じて、図5に示すように、選択された画面と対応するターミナル30用の画面をターミナル30に表示させるために必要な情報を含むコード記号70を、識別コードとして表示器22に表示させる。この「必要な情報」は、表示させる画面の画面IDと、その画面を持つミキサ10のネットワークN上のアドレスである。
【0043】
そして、ターミナル30のユーザが、ターミナル30に備えるカメラ43によりコード記号70を撮影すると、ターミナル30がこれをデコードして画面IDとアドレスを取得し、そのアドレス(コード記号70を表示しているミキサ10のアドレスである)に対してその画面IDを送信する。
【0044】
ミキサ10は、この画面IDを受信すると、その画面IDの画面の表示に必要なデータとして、画面データ及びその画面で表示及び/又は編集するパラメータの現在値を含む端末用データをターミナル30に返し、ターミナル30はその端末用データに基づいてGUI画面を表示器42に表示させる。
【0045】
このとき、表示中のGUI画面がミキサ10におけるパラメータの値の表示や編集を行うための画面であることは、ターミナル30側で把握できる。従って、表示内容を最新の設定内容に合わせるための、ミキサ側でのパラメータの値の変更の監視や、ターミナル30側で受けた編集操作に応じたパラメータの値の変更要求のための通信先も、ターミナル30が自動的に設定する。
【0046】
以上の動作を行うことにより、ユーザは、ターミナル30の操作としては、単にコード記号を撮影するだけで、所望のミキサ10について所望の画面をターミナル30に表示させ、ミキサ10が信号処理に用いるパラメータの参照や編集を行うことができる。この場合において、ターミナル30側では、ユーザが手動でアクセス対象のミキサや表示させる画面を選択する必要がないので、携帯性に優れた、操作子の少ない小型のターミナル30を用いたとしても、操作間違いは起こらず、また操作の煩わしさも大幅に軽減される。特に、アクセス対象については、同じ機種が複数台並んでいるような紛らわしい場合でも、個々の装置のアドレスや名称を気にすることなく、所望の装置を選択できるため、間違い低減や操作性向上の効果が大きい。
【0047】
ミキサ10側で所望の画面を選択する必要はあるが、一般に、ミキサ10においては画面選択のための操作子が充実しているため、ターミナル30側で選択操作を行うよりは、はるかに効率的かつ誤りの少ない操作が可能であると考えられる。
【0048】
また、ターミナル30がGUI画面を表示する際に、必要な範囲で自動的にミキサ10との間のパラメータの同期を取ることができる(ミキサ10側とターミナル30側とで、パラメータの現在値を揃えることができる)ので、パラメータの同期に関する操作は不要であり、この点でも操作性を向上させることができる。さらに、ターミナル30に表示させる画面で扱うパラメータについてのみ同期を取るので、全パラメータを同期させる場合に比べ、同期処理を高速化することができる。
【0049】
なお、ミキサ10においては、ターミナル30に表示させる画面として、複数の画面を同時に選択することもできる。
図6に示すのがこの場合の動作例である。
この場合でも、基本的な動作は図5の場合と変わらないが、ミキサ10は、選択された複数の画面が備える表示部を全て備える新たな画面を生成して画面IDを割り当て、その画面IDを含むコード記号71を表示器22に表示させる。
【0050】
ここで、レベルメータ115のように本質的に値の表示のみを行う部分だけでなく、パンつまみ111やフェーダ114のように、形状としては操作子であり、ターミナル30側で、あるいはミキサ10側でもパラメータの編集操作の受け付けに用いる部分であっても、値の表示にも用いる部分であれば表示部に含まれる。
また、通常は、複数の画面に備える全ての表示部を1つの画面に収めることはできないと考えられるため、生成する「新たな画面」は、図6の表示器42に示すように、選択された複数の画面をタブにより切替えることができるような構成にすることが考えられる。
【0051】
また、ミキサ10においては、ターミナル30に表示させる対象として、画面全体だけでなく、画面中の一部の操作子を選択することも可能である。
図7に示すのがこの場合の動作例である。
この場合でも、基本的な動作は図5の場合と変わらないが、ミキサ10は、選択された表示部を全て備える新たな画面を生成して画面IDを割り当て、その画面IDを含むコード記号72を表示器22に表示させる。
【0052】
ここで、表示部は、複数の画面から任意の数ずつ選択することができる。また、選択の単位も、パンつまみ111やフェーダ114のように個別の表示部毎に選択できるようにしてもよいし、chストリップ110のように、表示部がいくつか集まったグループ毎にのみ選択できるようにしてもよい。どちらの選択もできるようにしてもよい。
また、新たな画面を生成する際には、表示部の選択順や、表示部が属する画面毎等、所定の順番で空白の画面に表示部を配置していけばよい。そして、1画面で配置しきれない場合には、図6に示した例と同様に、複数の画面をタブにより切替えることができるような構成とすればよい。
【0053】
次に、図8乃至図11を用いて、以上説明した動作を実現するためにミキサ10のCPU11及びターミナル30のCPU31が実行する処理について説明する。
まず、図8に、ミキサ10のCPU11が実行するコード記号出力処理のフローチャートを示す。
ミキサ10において、図5乃至図7に示すようなコード記号の表示は、操作子を操作してパラメータを編集する通常動作モードとは異なる、登録モードの処理として行う。
【0054】
そして、ユーザが登録モードに入る指示を行うと、ミキサ10のCPU11は、図8のフローチャートに示す処理を開始すると共に、表示器22に表示させる不図示のGUI上で、ターミナル30に表示させる画面又は表示部の選択と、選択された対象に関する画面のコード記号の出力指示とを受け付ける。
【0055】
そして、図8の処理において、CPU11は、コード記号の出力指示があるまで待機し(S11)、出力指示があると、ステップS12以下の処理に進む。
そして、この時点でターミナル30に表示させる対象として、画面が1つのみ選択されている場合には(S12,S13の両方でYES)、新たな画面を作成する必要がないため、選択されている画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレス(例えばIPアドレス)との情報を含むコード記号を作成し(S14)、これを出力して(S15)ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0056】
また、複数の画面が選択されていたり(S12でYES、S13でNO)、表示部が選択されていたり(S12でNO、S16でYES)した場合には、それらの選択された対象をターミナル30に表示させるためのターミナル30用GUI画面を図6及び図7の説明で述べたように作成し、その画面に画面IDを割り当て、画面ID及び、その画面の内容を示す画面データを、ROM12あるいはRAM13に保存する(S17)。そして、その作成した画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレスとの情報を含むコード記号を作成し(S18)、これを出力して(S15)ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
ステップS16でNOの場合には、対象の選択がない旨を表示器22に表示させ(S19)、ステップS11に戻って処理を繰り返す。
そしてこの処理は、登録モードから抜ける指示があった場合に、中断して終了する。
【0057】
ここで、コード記号としては、図5等に示したようなバーコードを用いてもよいが、QRコードを初めとする二次元コードなど、種々の形式のものを用いることができる。コード記号は画面IDとアドレスを表現できれば足りるので、比較的情報量の少ない単純な形式のものも用いることができる。
また、コード記号の出力は、この第1の動作例の場合、撮影時にミキサ10との対応関係が分かりやすいよう、表示器22に表示して行うことが好ましい。しかし、ターミナル30のカメラ43で撮影可能な状態で出力できれば出力方法に制限はなく、プリンタ60を用いた印刷出力等も考えられる。
【0058】
以上の処理により、CPU11は、必要に応じて新たな画面を作成した上で、ターミナル30に表示させるべき画面の画面IDと、ターミナル30がコード記号の読み取りに応じてアクセスすべきアクセス先の情報とを含むコード記号を、ターミナル30が読み取ることのできる状態で出力することができる。
以上の処理において、CPU11は、ステップS15で出力手段として、ステップS17で画面データ作成手段として、それぞれ機能する。
【0059】
次に、図9にターミナル30のCPU31が実行する画面ID送信処理のフローチャートを示す。
ターミナル30のCPU31は、ユーザからの、コード記号を用いたミキサへのアクセス設定を行う旨の指示があると、カメラ43を起動して画像の撮影が可能な状態とすると共に、図9のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、まずカメラ43が撮影した画像の画像データを取得し(S31)、その画像データを解析して、画像中に含まれるコード記号をデコードする(S32)。ミキサ10が図8のステップS15で出力したコード記号をカメラ43により適切に撮影できた場合、このデコードにより、画面IDとミキサ10のアドレスが得られるはずである。
【0060】
ここでデコードが成功しなかった場合には(S33のNO)、ステップS31に戻って処理を繰り返し、成功した場合には(S33のYES)、コード記号が示す画面ID及びアドレスの情報を取得する(S34)。
そして、その取得したアドレスの装置(コード記号を出力したミキサ10のはずである)に対し、取得した画面IDを送信し(S35)、処理を終了する。
以上の処理により、ターミナル30は、コード記号を出力したミキサ10に対し、そのコード記号が示す画面の画面データを要求することができる。この処理において、CPU31は、ステップS35で送信手段として機能する。
【0061】
次に、図10に、ミキサ10のCPU11が実行する端末用データ送信処理のフローチャートを示す。
ミキサ10のCPU11は、ターミナル30が図9のステップS35で送信してくる画面IDを受信すると、図10のフローチャートに示す処理を開始する。この処理は、ミキサ10が登録モードであるか通常動作モードであるかに関わらず実行することができる。
【0062】
そして、図10の処理においては、まず受信した画面IDと対応するターミナル30用画面の画面データを取得し(S41)、その画面で表示又は編集するパラメータの現在値を、カレントメモリから読み出して取得する(S42)。その後、それらの画面データ及び現在値をパッケージ化して端末用データを生成し(S43)、その端末用データを画面IDの送信元であるターミナル30に送信して(S44)、処理を終了する。
【0063】
ミキサ10は、以上の処理により、ターミナル30からのアクセスに応じて、ターミナル30に表示させるべき画面(ターミナル30が撮影したコード記号が示す画面)の表示に必要な情報を、ターミナル30に送信することができる。この処理において、CPU11は、ステップS43及びS44で送信手段として機能する。なお、ステップS43でのパッケージ化は、必ずしも行わなくてもよい。
【0064】
次に、図11に、ターミナル30のCPU31が実行する画面表示処理のフローチャートを示す。
ターミナル30のCPU31は、ミキサ10が図10のステップS44で送信してくる端末用データを受信すると、図11のフローチャートに示す処理を開始する。
【0065】
そして、受信した端末用データに含まれる画面データに基づき表示器42に画面を表示させる(S51)と共に、その表示させた画面で表示又は編集するパラメータの現在値を記憶させるカレントメモリを、RAM33に確保する(S52)。その後、受信した端末用データに含まれるパラメータの現在値を確保したカレントメモリにコピーし(S53)、そのパラメータの値に基づいて画面の表示を更新する(S54)。そして、端末用データを送信してきたミキサ10(図9のステップS35における画面IDの送信先)との間のリアルタイム通信に必要な通信路をネットワークN上に確保して(S55)、処理を終了する。
【0066】
ターミナル30は、以上の処理により、ミキサ10から受信したデータに基づき、図9のステップS31で撮影したコード記号と対応する画面を表示器42に表示させると共に、その画面で扱うパラメータにつき、ミキサ10側との同期を取ることができる。以上の処理において、CPU31は表示制御手段として機能する。
【0067】
また、具体的な処理の図示は省略するが、以上の処理の後、ミキサ10とターミナル30は、どちらが能動的にアクセスしてもよいが、相互に定期的に通信してカレントメモリの内容を交換し、その同期を取り、ターミナル30における画面の表示に、常にミキサ10における最新のカレントメモリの状態が反映されるようにする。
また、ターミナル30において、パラメータの値の変更を指示する操作があった場合、ターミナル30のCPU31は、その操作内容又はその操作に係るパラメータの値の変更量をミキサ10に通知して、指示に従った変更を行わせる。そしてこのことにより、ターミナル30からミキサ10を遠隔操作することができる。
【0068】
〔第2の動作例:図12乃至図15〕
次に、第2の動作例として、ターミナル30に、特定の外部装置と対応するchのパラメータに関する画面を表示させる場合のミキサ10及びターミナル30の動作について説明する。
【0069】
図12に、この動作例におけるミキサ10とターミナル30の動作の概略を示す。
この動作例において、ミキサ10は、ユーザから、ミキサ10に接続されている外部装置50(例えばマイクやスピーカ)の選択を受け付け、その選択に応じて、ターミナル30にその装置と対応するchのパラメータに関する画面を表示させるために必要な情報を含むコード記号73を、プリンタ60に指示して印刷出力させる。この「必要な情報」は、第1の動作例の場合と同じく、表示させる画面の画面IDと、その画面を持つミキサ10のネットワークN上のアドレスである。そして、ユーザは、そのコード記号73を、選択した外部装置50に貼付し、装置との対応関係がわかるようにしておく。
【0070】
そして、ターミナル30を操作するユーザが、特定の外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面を表示させたい場合、その外部装置50に貼付されているコード記号73を、ターミナル30に備えるカメラ43により撮影する。すると、ターミナル30がこれをデコードして画面IDとアドレスを取得し、そのアドレス(コード記号73を出力した、表示したい画面を有するミキサ10)に対してその画面IDを送信する。
【0071】
以降、ミキサ10とターミナル30とが第1の動作例の場合と同様な動作を行うことにより、ユーザは、ターミナル30の操作としては、単に所望の外部装置50に貼付してあるコード記号を撮影するだけで、その外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面をターミナル30に表示させ、ミキサ10がそのchの信号処理に用いるパラメータの参照や編集を行うことができる。
【0072】
この場合においても、ターミナル30側では、ユーザが手動でアクセス対象のミキサや表示させる画面を選択する必要がないので、操作間違いは起こらず、また操作の煩わしさも大幅に軽減される。特に、外部装置50がホールやステージに配置されている場合、その状態では、外部装置50とミキサ10のchとの対応関係がわかりづらいが、上述の機能を利用することにより、ユーザがその対応関係を把握していなくても、簡単に外部装置50と対応するchに関する画面を表示させることができるので、間違い低減や操作性向上の効果が大きい。
【0073】
ここで、ある外部装置と対応するchとは、その外部装置から入力する音響信号が供給される入力ch又はその外部装置へ出力する音響信号を供給する出力chを指す。このとき、外部装置は、ミキサ10に直接接続されていても、アンプ、イコライザ、エフェクタ等の他の装置を介して間接に接続されていてもよい。
ミキサ10には、このような外部装置とchとの対応関係の情報を、予め記憶させておく。
【0074】
図13に、その情報を登録した機器情報テーブルの例を示す。
機器情報テーブルには、まず、外部装置50の名称と、その外部装置50を接続する端子又はポートの情報を登録する。
外部装置50をケーブル(途中に無線の箇所があってもよい)によりミキサ10の入出力端子に接続する場合には、ミキサ10側ではどの端子にどのような装置が接続されるかは把握できないので、この登録はユーザが手動で行う。また、実際にミキサ10を使用する際に、登録通りに外部装置を接続する必要もある。なお、ミキサ10にアンプを介してスピーカを接続するような場合には、外部装置としてアンプを登録してもスピーカを登録しても構わない。
【0075】
また、外部装置50をネットワークNを介してミキサ10と接続する場合には、その外部装置50との音響信号の送受信に用いるポートは、ミキサ10が自動で決定する場合もあり、またこれに際して接続先装置の名称も自動で取得できることがある。従って、このような場合は、装置名と接続先ポートを、ミキサ10が自動で登録するようにするとよい。
【0076】
いずれの場合も、外部装置50が接続されるのが入力端子/ポートであるか出力端子/ポートであるかを示す入出の項目は、接続先端子/ポートの設定内容に応じて自動的に設定することができる。
また、各端子やポートから入力する音響信号は、入力パッチにより、供給先の入力chが決定される。そこで、機器情報テーブルにおける使用chの項目は、接続先端子/ポートに基づいて入力パッチの設定内容を参照し、自動的に設定することができる。
【0077】
図14に、その入力パッチの設定内容を示す入力パッチデータの例を示すが、入力パッチデータとしては、ミキサ10が信号入力を受け付け可能な全ての端子及びポートにつき、そこから入力する信号をどの入力chに供給するかが設定されている。
また、以上と同様に、出力端子/ポートに接続される外部装置と出力chとの対応関係は、出力パッチの設定内容に応じて自動的に設定することができる。
【0078】
なお、パッチの設定内容は、ユーザの操作に応じて変更可能であり、変更があった場合には、それに応じて機器情報テーブルの内容を更新する。しかし、この変更を行ってしまうと、外部装置とchとの対応関係が変化してしまうので、コード記号73の印刷と外部装置への貼付を行った後は、パッチの設定変更を行わないことが好ましい。
【0079】
また、以上の対応関係に基づいて決定される、選択された外部装置50と対応するchに関する画面とは、ミキサ10のDSP18が、そのchの信号処理に使用するパラメータを表示及び/又は参照するための画面である。
そして、この実施形態のミキサ10においては、図4の説明で述べたように、各chについて、そのchに関するパラメータを扱うための画面が個別に用意されているので、外部装置50と対応するchに関する画面として、その画面をそのまま用いればよいので、外部装置50の選択に応じて新たな画面を作成する必要はない。
【0080】
しかし、図4に示したような、複数のchに関するパラメータを扱うための画面しか用意されていない場合には、この画面から、選択された外部装置50と対応するchに関するパラメータを扱う表示部を切り出して、新たな画面を作成する。この際には、第1の動作例の場合と同様、作成した画面に新たな画面IDを割り当てる。
【0081】
また、ミキサ10は、1つの外部装置だけでなく、複数の外部装置の選択を受け付けることもできる。そして、複数の外部装置が選択された場合、選択された各外部装置とそれぞれ対応する複数のchに関するパラメータを扱う表示部を全て含む、新たな画面を生成する。この場合、1ch分のパラメータを扱うための複数の画面を、図6の場合と同様にタブで切替えられるようにしても、図7の場合と同様に、chストリップ等の簡易化された表示部を複数ch分並べて配置してもよい。
【0082】
いずれにせよ、この場合、ミキサ10が印刷出力するのは、複数の外部装置からなる外部装置群と対応するコード記号である。従って、このコード記号は、外部装置そのものではなく、外部装置群の近傍に貼付することが好ましい。
このようなコード記号の利用は、例えばステージ上に配置されたマイクやスピーカについてまとめて設定を変更したい場合に備え、それらの装置群と対応するコード記号をステージ上に貼付しておくといった場合に有効である。あるいは、配置位置毎にグループ化した外部装置群と対応するコード記号を、ホールの地図等の台紙に貼付けて持ち歩き、どこからでも所望の位置の装置に関する設定を変更できるようにする等の用途も考えられる。
【0083】
次に、図15を用いて、以上説明した動作を実現するためにミキサ10のCPU11及びターミナル30のCPU31が実行する処理について説明する。
図15に示すのは、この動作例においてミキサ10のCPU11が実行するコード記号出力処理のフローチャートである。
【0084】
第1の動作例の場合と同様、ミキサ10において、ユーザが登録モードに入る指示を行うと、ミキサ10のCPU11は、図15のフローチャートに示す処理を開始すると共に、表示器22に表示させる図示しないGUI上で、図13に示した機器情報テーブルに登録されている外部装置の中から、1又は複数の外部装置の選択を受け付ける。
【0085】
そして、図15の処理において、CPU11は、コード記号の出力指示があるまで待機し(S61)、出力指示があると、ステップS62以下の処理に進む。なお、この指示は、図8のステップS11で監視する指示とは別のものとする。
そして、この時点で外部装置が1つ選択されている場合には(S62,S63の両方でYES)、新たな画面を作成する必要がないため、機器情報テーブルを参照し、選択された外部装置と対応するchのパラメータを表示/編集するための画面を特定し(S64)、その画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレス(例えばIPアドレス)との情報を含むコード記号を作成し(S65)、これを出力して(S66)ステップS61に戻り、処理を繰り返す。
【0086】
また、複数の装置が選択されていた場合には、(S62でYES、S63でNO)、機器情報テーブルを参照し、選択された外部装置と対応するchを全て特定する(S67)。そして、特定した全てのchのパラメータを表示/編集するための表示部を配置した、ターミナル30に表示させるためのターミナル30用GUI画面を、図12の説明で述べたように作成し、その画面に画面IDを割り当て、画面ID及び、その画面の内容を示す画面データを、ROM12あるいはRAM13に保存する(S68)。そして、その作成した画面の画面IDと、ミキサ10自身のアドレスとの情報を含むコード記号を作成し(S69)、これを出力して(S66)ステップS61に戻り、処理を繰り返す。
【0087】
ステップS62でNOの場合には、対象の選択がない旨を表示器22に表示させ(S70)、ステップS61に戻って処理を繰り返す。
そしてこの処理は、登録モードから抜ける指示があった場合に、中断して終了する。
コード記号の形式は、第1の動作例の場合と同様である。また、図12では印刷出力する例について説明したが、第1の動作例と同様に、コード記号を画面に出力してその場で撮影するようにすることも可能である。
【0088】
以上の処理により、CPU11は、必要に応じて新たな画面を作成した上で、選択された外部装置50と対応するchのパラメータに関する画面の画面IDと、ターミナル30がコード記号の読み取りに応じてアクセスすべきアクセス先の情報とを含むコード記号を、ターミナル30が読み取ることのできる状態で出力することができる。
以上の処理において、CPU11は、ステップS66で出力手段として、ステップS68で画面データ作成手段として、それぞれ機能する。
また、この動作例においても、ターミナル30のカメラ43を用いてコード記号を撮影する以降の処理は、図9乃至図11を用いて第1の動作例で説明した処理と同じである。
【0089】
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や具体的な処理内容、画面の表示例、操作方法、データ形式等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、ターミナル30がコード記号をカメラで撮影する例について説明したが、バーコードの場合、カメラではなく、レーザビームによってコード記号をスキャンするタイプの読取装置を用いることもできる。いずれにせよ、コード記号の種類に適した、光学的な読取手段を用いればよい。
また、ターミナル30のハードウェアとして公知の携帯型PCや携帯情報端末(PDA)を用いてもよい。これらのPCやPDAが読取手段を搭載していない場合には、これらに接続可能な外部の読取手段を利用することもできる。
【0091】
また、上述した実施形態では、ミキサ10を例に取って説明したが、この発明が、エフェクタ、レコーダ、アンプ等の他の音響信号処理装置及びその音響信号処理装置にアクセスする端末装置に適用可能であることはもちろんである。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上の説明から明らかなように、この発明の音響信号処理装置及び端末装置を組み合わせて用いることにより、音響信号処理装置に端末装置を用いてアクセスし、その端末装置により、音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータの値を参照又は編集しようとする場合に、容易かつ正確にそのための操作が行えるようにすることができる。特に、音響信号処理装置に直接または他の装置を介して接続されている外部装置に関連するパラメータの参照又は編集を、容易に行えるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、音響信号処理装置の運用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0093】
10…ミキサ、11,31…CPU、12,32…ROM、13,33…RAM、14,34…通信I/F、15,35…操作検出回路、16,36…表示制御回路、17…波形I/O、18…DSP、19,38…システムバス、21,41…操作子、22,42…表示器、30…ターミナル、37…画像処理回路、43…カメラ、50…外部装置、60…プリンタ、70〜73…コード記号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該音響信号処理装置にアクセスするための端末装置と通信可能な音響信号処理装置であって、
外部装置から入力する音響信号を複数のチャンネルで処理して外部装置に出力する音響信号処理手段と、
当該音響信号処理装置に直接に又は他の装置を介して接続される外部装置と、該外部装置から入力する音響信号が供給されるチャンネル又は該外部装置へ出力する音響信号を供給するチャンネルとの対応関係を記憶する第1の記憶手段と、
前記各チャンネルについて、前記音響信号処理手段がそのチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備えた画面の内容を示す画面データ及びその画面の画面IDを記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置の選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する出力手段と、
前記端末装置から画面IDを受信した場合に、該画面IDが示す画面の画面データと、該画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを前記画面IDの送信元である端末装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記選択受付手段が、前記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置に加えて複数の外部装置の選択も受け付ける手段であり、
前記選択受付手段が前記複数の外部装置の選択を受け付けた場合に、選択された複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備える新たな画面のデータを作成すると共に、該新たな編集画面に画面IDを割り当て、該画面ID及び該新たな画面の内容を示す画面データを前記第2の記憶手段に記憶させる画面データ作成手段を有し、
前記出力手段が、前記選択受付手段が1の外部装置の選択を受け付けた場合には、該選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力し、前記選択受付手段が複数の外部装置の選択を受け付けた場合には、該選択に応じて前記画面データ作成手段が作成した画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する手段であることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音響信号処理装置にアクセスするための端末装置であって、
表示器と、
前記出力手段が出力した識別コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った識別コードから画面ID及びアドレス情報を抽出し、該抽出したアドレス情報が示す音響信号処理装置に対し、該抽出した画面IDを送信する送信手段と、
該画面IDの送信に応じて前記音響信号処理装置が送信してくる画面データ及びパラメータの現在値を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した画面データに基づいて前記表示器に画面を表示すると共に、該受信手段が受信した現在値のデータを、該画面において表示するパラメータの値の現在値として設定し、該画面により前記音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行う表示制御手段とを有することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の音響信号処理装置の出力手段に、選択した1の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び前記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、該印刷出力させた識別コードを、前記選択した1の外部装置に貼付する工程を、使用予定の外部装置について予め行っておき、
請求項3に記載の端末装置の読取手段に、所望の外部装置に貼付した識別コードを読み取らせ、
前記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、
該送信に応じて前記音響信号処理装置が前記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて前記端末装置が表示する画面を参照することにより、前記所望の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照することを特徴とする、音響信号処理に使用するパラメータの参照方法。
【請求項5】
請求項2に記載の音響信号処理装置の出力手段に、選択した複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び前記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、該印刷出力させた識別コードを、前記選択した複数の外部装置からなる外部装置群の近傍に貼付する工程を、使用予定の外部装置群について予め行っておき、
請求項3に記載の端末装置の読取手段に、所望の外部装置群の周辺に貼付した識別コードを読み取らせ、
前記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、
該送信に応じて前記音響信号処理装置が前記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて前記端末装置が表示する画面を参照することにより、前記所望の外部装置群と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照することを特徴とする、音響信号処理に使用するパラメータの参照方法。
【請求項1】
当該音響信号処理装置にアクセスするための端末装置と通信可能な音響信号処理装置であって、
外部装置から入力する音響信号を複数のチャンネルで処理して外部装置に出力する音響信号処理手段と、
当該音響信号処理装置に直接に又は他の装置を介して接続される外部装置と、該外部装置から入力する音響信号が供給されるチャンネル又は該外部装置へ出力する音響信号を供給するチャンネルとの対応関係を記憶する第1の記憶手段と、
前記各チャンネルについて、前記音響信号処理手段がそのチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備えた画面の内容を示す画面データ及びその画面の画面IDを記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置の選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する出力手段と、
前記端末装置から画面IDを受信した場合に、該画面IDが示す画面の画面データと、該画面で表示を行うパラメータの現在値のデータとを前記画面IDの送信元である端末装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響信号処理装置であって、
前記選択受付手段が、前記第1の記憶手段に対応関係を記憶している外部装置のうち1の外部装置に加えて複数の外部装置の選択も受け付ける手段であり、
前記選択受付手段が前記複数の外部装置の選択を受け付けた場合に、選択された複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための表示部を備える新たな画面のデータを作成すると共に、該新たな編集画面に画面IDを割り当て、該画面ID及び該新たな画面の内容を示す画面データを前記第2の記憶手段に記憶させる画面データ作成手段を有し、
前記出力手段が、前記選択受付手段が1の外部装置の選択を受け付けた場合には、該選択受付手段により選択を受け付けた外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力し、前記選択受付手段が複数の外部装置の選択を受け付けた場合には、該選択に応じて前記画面データ作成手段が作成した画面の画面ID及び当該音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを出力する手段であることを特徴とする音響信号処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音響信号処理装置にアクセスするための端末装置であって、
表示器と、
前記出力手段が出力した識別コードを光学的に読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った識別コードから画面ID及びアドレス情報を抽出し、該抽出したアドレス情報が示す音響信号処理装置に対し、該抽出した画面IDを送信する送信手段と、
該画面IDの送信に応じて前記音響信号処理装置が送信してくる画面データ及びパラメータの現在値を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した画面データに基づいて前記表示器に画面を表示すると共に、該受信手段が受信した現在値のデータを、該画面において表示するパラメータの値の現在値として設定し、該画面により前記音響信号処理装置が音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行う表示制御手段とを有することを特徴とする端末装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の音響信号処理装置の出力手段に、選択した1の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び前記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、該印刷出力させた識別コードを、前記選択した1の外部装置に貼付する工程を、使用予定の外部装置について予め行っておき、
請求項3に記載の端末装置の読取手段に、所望の外部装置に貼付した識別コードを読み取らせ、
前記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、
該送信に応じて前記音響信号処理装置が前記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて前記端末装置が表示する画面を参照することにより、前記所望の外部装置と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照することを特徴とする、音響信号処理に使用するパラメータの参照方法。
【請求項5】
請求項2に記載の音響信号処理装置の出力手段に、選択した複数の外部装置とそれぞれ対応する複数のチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータに関する表示を行うための画面の画面ID及び前記音響信号処理装置のアドレス情報を含む識別コードを印刷出力させ、該印刷出力させた識別コードを、前記選択した複数の外部装置からなる外部装置群の近傍に貼付する工程を、使用予定の外部装置群について予め行っておき、
請求項3に記載の端末装置の読取手段に、所望の外部装置群の周辺に貼付した識別コードを読み取らせ、
前記端末装置の送信手段にその読み取った識別コードに従った画面IDの送信を行わせ、
該送信に応じて前記音響信号処理装置が前記端末装置に送信する画面データ及びパラメータの現在値に基づいて前記端末装置が表示する画面を参照することにより、前記所望の外部装置群と対応するチャンネルでの音響信号処理に使用するパラメータの値を参照することを特徴とする、音響信号処理に使用するパラメータの参照方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−213139(P2010−213139A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58968(P2009−58968)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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