音響機器及び音響処理方法
【課題】本発明は、ソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整できるようにする。
【解決手段】マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センタースピーカが存在しないスピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスするオーディオデコーダ4に対して、ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムSPのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、オーディオポストプロセッサ5に対して、ソースのうちスピーカシステムSPに存在しないセンタースピーカに対応したセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをゲイン調整させた後、ダウンミックスして出力させるようにする。
【解決手段】マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センタースピーカが存在しないスピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスするオーディオデコーダ4に対して、ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムSPのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、オーディオポストプロセッサ5に対して、ソースのうちスピーカシステムSPに存在しないセンタースピーカに対応したセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをゲイン調整させた後、ダウンミックスして出力させるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響機器及び音響処理方法に関し、例えば車載用のカーオーディオ装置によりマルチチャンネル(例えば5.1ch)のオーディオ信号を再生出力する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチチャンネル(例えば5.1ch)のオーディオコンテンツが含まれた映画等のAV(Audio Visual)コンテンツを5.1chのスピーカシステムで再生する場合、その音響機器の状態や、周辺環境又は録音レベルの影響により特定のチャンネルからの音声が聴こえ難いことがある。
【0003】
この場合、オーディオコンテンツのチャンネル数と、スピーカシステムのスピーカ数とが1対1で対応しているため、特定のチャンネルからの音声が聴こえ難い状況になったとき、その特定のチャンネルのスピーカボリュームを大きくすれば改善することができる。
【0004】
但し、全てのユーザが5.1chの再生環境を有している訳ではなく、サラウンドスピーカやセンタースピーカを所持していないユーザが数多く存在する。この場合、音響機器では、例えばスピーカシステムにセンタースピーカが存在していないのであれば、そのセンタースピーカ用チャンネルの信号を他のスピーカの信号に割り振ってダウンミックスすることにより、そのオーディオコンテンツが保有する全ての信号を再生可能とするようになされている。
【0005】
具体的には、図1に示すように、従来のカーオーディオ装置1では、5.1ch(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)のオーディオコンテンツD1がソースとして収録されたディスク状記録媒体2を再生し、DSP(Digital Signal Processor)3のオーディオデコーダ4へ送出する。
【0006】
ところでカーオーディオ装置1では、車両に取り付けられるまでは、その車両のスピーカシステムSS1が5.1chか、4.1chか、4chか、或は2chかを認識していないので、ユーザによる操作ボタン13に対する押下操作に応じて当該スピーカシステムSS1の構成を認識するようになされている。
【0007】
すなわちカーオーディオ装置1では、その車両のスピーカシステムSS1が例えば4.1ch(左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11)であった場合、ユーザの操作ボタン13に対する押下操作に応じてマイコン12がその旨を認識する。
【0008】
そうするとカーオーディオ装置1では、当該スピーカシステムSS1が4.1chであることをマイコン12からDSP(digital Signal Processor)3のオーディオデコーダ4へ制御信号S1により通知するようになされている。
【0009】
これによりオーディオデコーダ4は、予め定められた方式に従って、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせた4.1chにダウンミックスするようになされている。
【0010】
具体的にはオーディオデコーダ4は、左スピーカ用チャンネル信号成分Lとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合し、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合することにより、5.1chのオーディオコンテンツD1を4.1chにダウンミックスする。
【0011】
すなわちオーディオデコーダ4は、左スピーカ用チャンネル信号成分Lとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合した混合チャンネル信号成分L+C、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合した混合チャンネル信号成分R+C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEからなるオーディオデータD2をオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0012】
オーディオポストプロセッサ5は、オーディオデコーダ4から4.1chにダウンミックスされたオーディオデータD2(L+C、R+C、Ls、Rs、LFE)に対してイコライザ調整処理やタイムアライメント調整処理等を施してパワーアンプ6へ供給する。
【0013】
パワーアンプ6は、そのオーディオデータD2(L+C、R+C、Ls、Rs、LFE)を所定レベルに増幅した後、左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11から、4.1chの最終的な再生音声として出力するようになされている。
【0014】
また、マルチトラックデータを2チャンネルや、5.1チャンネル等にダウンミックスして再生出力する情報機器についても提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005-70545公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述したカーオーディオ装置1においては、センタースピーカが存在しないチャンネルのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cを左スピーカ用チャンネル信号成分Lと右スピーカ用チャンネル信号成分Rとに割り振ってダウンミックスしているため、そのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来ない。
【0017】
そのためカーオーディオ装置1では、ダウンミックス後の混合チャンネル信号成分L+C、混合チャンネル信号成分R+Cを増幅することしか出来ず、かくしてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームだけを調整できないという問題があった。
【0018】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器及び音響処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる課題を解決するため本発明においては、少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、スピーカシステムから出力する音響処理手段と、音響処理手段を制御する制御手段とを具え、制御手段は、復号手段に対して、再生手段によるソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、音響処理手段に対して、ソースのうちスピーカシステムに存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させた後、左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0020】
また本発明においては、少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスするようになされた復号手段に対して、制御手段が、ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、制御手段により、ソースのうちスピーカシステムに存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけを音響処理手段を介してゲイン調整させた後、左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0021】
これにより、復号手段を介してセンターチャンネル信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介してセンターチャンネル信号成分だけを増幅した後に、左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させて出力することができる。
【0022】
さらに本発明においては、マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、スピーカシステムから出力する音響処理手段と、音響処理手段を制御する制御手段とを具え、制御手段は、復号手段に対して、再生手段によるソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、音響処理手段に対して、ソースのうちスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させた後、他のチャンネルの信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0023】
これにより、復号手段を介してスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介して特定チャンネルの信号成分だけを増幅した後に、他のチャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させて出力することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、復号手段を介してセンターチャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介してセンターチャンネル信号成分だけを増幅した後に、左チャンネルの信号成分及び右チャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないセンタースピーカに対応したセンタースピーカ用チャンネル信号成分だけをゲイン調整させて出力することができ、かくしてソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器及び音響処理方法を実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、復号手段を介してスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介して特定チャンネルの信号成分だけを増幅した後に、他のチャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させて出力することができ、かくしてソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来のカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態乃至第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図3】第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態におけるセンタースピーカ成分調整処理手順を示すフローチャートである。
【図5】サウンド機能の遷移の説明に供する略線図である。
【図6】センタースピーカ成分のボリューム調整の説明に供する略線図である。
【図7】センタースピーカ成分調整モードからサウンド機能選択モードへ戻るときの説明に供する略線図である。
【図8】センタースピーカ成分の微調整処理の説明に供する略線図である。
【図9】第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図10】第2の実施の形態におけるセンタースピーカ成分調整処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図12】他の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.他の実施の形態
【0028】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、20は全体として本発明の第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、矩形状の筐体21が車両のダッシュボードに埋め込まれて取り付けられるようになされている。
【0029】
このカーオーディオ装置20では、筐体21のフロントパネル22に対して、電源ボタン23、回転操作及び押下操作が可能なロータリーエンコーダ24、各種表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)25及び操作ボタン群26等が設けられている。
【0030】
[1−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図1との対応部分に同一符号を付した図3に示すようにカーオーディオ装置20は、CPU構成でなるマイクロコンピュータ(以下、これをマイコンと呼ぶ)27が図示しないROM(Read Only Memory)に格納された基本プログラムをRAM(Random Access Memory)上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0031】
またカーオーディオ装置20は、マイコン27がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0032】
なお、このカーオーディオ装置20では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVD(Digital Versatile Disc)でなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置20では、再生音声の出力対象となる車両には4.1chのスピーカシステムSS1が搭載されている場合を前提とする。
【0033】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS1としては、センタースピーカが存在しない左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11の4.1chとなっている。
【0034】
実際上、カーオーディオ装置20のマイコン27は、図示しないディスク再生部によりディスク状記録媒体2を再生し、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、以下の処理を行う。
【0035】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、本来、当該スピーカシステムSS1が4.1chであることを示す制御信号S1(図1)をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS1があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0036】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0037】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS1にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0038】
ここでマイコン27は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを予め設定するようになされている。
【0039】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0040】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEからなるオーディオデータD4をパワーアンプ6へ送出する。
【0041】
因みにオーディオポストプロセッサ5は、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては、そのままの状態でパワーアンプ6へ送出する。
【0042】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS1を介して再生音声として出力する。
【0043】
[1−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
続いて、カーオーディオ装置20における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順を、図4を用いて更に詳細に説明する。
【0044】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、FMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードのうち、センタースピーカ成分調整モードが選択されると、次のステップSP2へ移る。
【0045】
具体的にカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24がユーザによって押下操作される度に、図5(A)に示すようなLCD25に「FM1」と表示したFMラジオモードから、図5(B)に示すようなLCD25に「EQ(Equalizer)」と表示したイコライザ調整モード、図5(C)に示すようなLCD25に「POS(Position)」と表示したスピーカポジション調整モード、図5(D)に示すようなLCD25に「CSO(Center Speaker Organizer)」と表示したセンタースピーカ成分調整モードを遷移するようになされている。
【0046】
ステップSP2においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24に対する押下操作により選択されたセンタースピーカ成分調整モードで、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅するためのセンタースピーカ成分調整機能がオンされたか否かを判定する。
【0047】
この場合、図6(A)に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24が最も左側に回転されたとき、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能を「OFF」する。
【0048】
また図6(B)乃至(D)に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24が最も左側から右側に回転されたとき、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能をONし、その回転操作量に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cの増幅率α(ゲイン)を順次上げていく。
【0049】
例えばマイコン27は、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」に設定したり、6dBアップの「CSO2」に設定したり、12dBアップの「CSO3」に設定するようになされている。
【0050】
なお図7に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、その後、操作ボタン群26のうちバックボタンBBが押下操作されると、FMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードを選択するための機能選択状態(図5)へ戻るようになされている。
【0051】
このステップSP2で否定結果が得られると、このことは図6(A)に示したようにロータリーエンコーダ24が最も左側に回転された状態のまま、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態のままであることを表しており、このときマイコン27は次のステップSP3へ移る。
【0052】
ステップSP3においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態なので、車両のスピーカシステムSS1が4.1chであることを示す制御信号S1(図1)をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP4へ移る。
【0053】
ステップSP4においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオデコーダ4を介して、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせた4.1chにダウンミックスし、オーディオポストプロセッサ5、パワーアンプ6を介してスピーカシステムSS1から再生出力し、次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0054】
この場合、カーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、ダウンミックスした左スピーカ用チャンネル信号成分L+C、右スピーカ用チャンネル信号成分R+Cを出力するようになされている。
【0055】
これに対してステップSP2において肯定結果が得られると、センタースピーカ成分調整機能を「ON」したと共に、その回転操作量に応じた「CSO1」、「CSO2」又は「CSO3」の増幅率α(ゲイン)にオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を設定したことを表しており、このときマイコン27は次のステップSP5へ移る。
【0056】
ステップSP5においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、スピーカシステムSS1が4.1chであるにも拘わらず、ここでは5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP6へ移る。
【0057】
ステップSP6においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオデコーダ4を介してダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0058】
そしてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対し、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて予め設定した「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅して左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rと混合する。
【0059】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成してダウンミックス処理を行い、最終的に4.1chで再生出力し、次のステップSP7へ移る。
【0060】
ステップSP7においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ダウンミックス処理後の再生状態で、更にロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われたか否かを判定する。
【0061】
ここで否定結果が得られると、このことはダウンミックス処理後の再生状態で、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われることがなかったことを表しており、このときカーオーディオ装置20のマイコン27は次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0062】
これに対してステップSP7で肯定結果が得られると、このことはロータリーエンコーダ24に対する回転操作に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームを微調整する命令が与えられたことを表しており、このときマイコン27は次のステップSP8へ移る。
【0063】
ステップSP8においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して「CSO1」の増幅率αを増減するように再設定し、次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0064】
実際上、カーオーディオ装置20のマイコン27(図3)は、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作量に応じた増幅率微調整命令を受け付け、その増幅率微調整命令に応じた制御信号S4をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを僅かに増減するように再設定する。
【0065】
この場合、カーオーディオ装置20のマイコン27は、図8に示すように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じたセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリューム変化分を、LCD25に表示した8段階の目盛を介してユーザに通知するようになされている。
【0066】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置20のマイコン27は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS1がセンタースピーカの無い4.1chの場合、以下の処理を行う。
【0067】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、当該スピーカシステムSS1が4.1chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS1が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0068】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0069】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅し、その結果得られるセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCを、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rと混合することによりダウンミックスする。
【0070】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、スピーカシステムSS1のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0071】
その結果、カーオーディオ装置20では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来るので、例えば台詞等を聴こえ易く再生出力することができる。
【0072】
またカーオーディオ装置20のマイコン27は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0073】
更にマイコン27は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅してダウンミックスし、最終的な4.1chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して増幅率αを微調整して再設定することができる。
【0074】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0075】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置20は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS1がセンタースピーカの無い4.1chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0076】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、30は全体として本発明の第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置20と同じであるので、ここでは便宜上その説明を省略する。
【0077】
[2−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図3との対応部分に同一符号を付した図9に示すようにカーオーディオ装置30は、CPU構成でなるマイコン37が図示しないROMに格納された基本プログラムをRAM上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0078】
またカーオーディオ装置30は、マイコン37がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0079】
なお、このカーオーディオ装置30では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVDでなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置20では、再生音声の出力対象となる車両には2chのスピーカシステムSS2が搭載されている場合を前提とする。
【0080】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS2としては、センタースピーカだけでなく、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーも存在しない左スピーカ7及び右スピーカ8の2chとなっている。
【0081】
実際上、カーオーディオ装置30のマイコン37は、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、最初に以下の処理を行う。
【0082】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、本来、当該スピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS2があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0083】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0084】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0085】
ここでマイコン27は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを予め設定するようになされている。
【0086】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0087】
なおオーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカだけでなく、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーも存在しないので、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsと左スピーカ用チャンネル信号成分L+αCとを混合すると共に、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCとを混合するようになされている。
【0088】
この結果、オーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを生成するようになされている。
【0089】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+RsからなるオーディオデータD5をパワーアンプ6へ送出する。
【0090】
因みに、このときオーディオポストプロセッサ5は、スピーカシステムSS2にサブウーファーが存在しないので、サブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては出力しない。
【0091】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8を介して最終的な2chの再生音声として出力する。
【0092】
[2−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
続いて、カーオーディオ装置30における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順を、図10を用いて説明する。
【0093】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、ルーチンRT2の開始ステップから入って次のステップSP11へ移り、図5(A)〜(D)に示すようなFMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードのうち、センタースピーカ成分調整モードが選択されると、次のステップSP12へ移る。
【0094】
ステップSP12においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ロータリーエンコーダ24に対する押下操作により選択されたセンタースピーカ成分調整モードで、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅するためのセンタースピーカ成分調整機能がオンされたか否かを判定する。
【0095】
このステップSP12で否定結果が得られると、このことは図6(A)に示したようにロータリーエンコーダ24が最も左側に回転された状態のまま、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態のままであることを表しており、このときマイコン37は次のステップSP13へ移る。
【0096】
ステップSP13においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、センタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態なので、車両のスピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP14へ移る。
【0097】
ステップSP14においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオデコーダ4を介して、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS2のスピーカ数に合わせた2chにダウンミックスし、オーディオポストプロセッサ5、パワーアンプ6を介してスピーカシステムSS2から再生出力し、次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0098】
この場合、オーディオデコーダ4は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsとを混合する。
【0099】
これによりオーディオデコーダ4は、ダウンミックス後の左スピーカ用チャンネル信号成分L+C+LS、右スピーカ用チャンネル信号成分R+C+Rsを生成してスピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8から出力するようになされている。
【0100】
これに対してステップSP12において肯定結果が得られると、センタースピーカ成分調整機能を「ON」したと共に、その回転操作量に応じた「CSO1」、「CSO2」又は「CSO3」の増幅率α(ゲイン)にオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を設定したことを表しており、このときマイコン37は次のステップSP15へ移る。
【0101】
ステップSP15においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、ここでは5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP16へ移る。
【0102】
ステップSP16においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオデコーダ4を介してダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0103】
そしてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対し、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて予め設定した「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅する。
【0104】
その後、カーオーディオ装置30のマイコン37は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、センタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと混合する。
【0105】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを生成してダウンミックス処理を行い、最終的に2chで再生出力し、次のステップSP17へ移る。
【0106】
ステップSP17においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ダウンミックス処理後の再生状態で、更にロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われたか否かを判定する。
【0107】
ここで否定結果が得られると、このことはダウンミックス処理後の再生状態で、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われることがなかったことを表しており、このときカーオーディオ装置30のマイコン37は次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0108】
これに対してステップSP17で肯定結果が得られると、このことはロータリーエンコーダ24に対する回転操作に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームを微調整する命令が与えられたことを表しており、このときマイコン37は次のステップSP18へ移る。
【0109】
ステップSP18においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して「CSO1」の増幅率αを増減するように再設定し、次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0110】
実際上、カーオーディオ装置30のマイコン37(図3)は、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作量に応じた増幅率微調整命令を受け付けると、その増幅率微調整命令に応じた制御信号S4をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを僅かに増減するように再設定する。
【0111】
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置30のマイコン37は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合、以下の処理を行う。
【0112】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、当該スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS2が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0113】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0114】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅し、その結果得られるセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと混合することによりダウンミックスする。
【0115】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、スピーカシステムSS2のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0116】
その結果、カーオーディオ装置30では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来るので、例えば台詞等を聴こえ易く再生出力することができる。
【0117】
なお、このときカーオーディオ装置30では、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsについてもダウンミックスすることにより、最終的な2chのスピーカシステムSS2からソースの音源に近い再生音声を出力することができる。
【0118】
またカーオーディオ装置30のマイコン37は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0119】
更にマイコン37は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅してダウンミックスし、最終的な2chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して増幅率αを微調整して再設定することができる。
【0120】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0121】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置30は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0122】
<3.第3の実施の形態>
[3−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、40は全体として本発明の第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置20と同じであるので、ここでも便宜上その説明を省略する。
【0123】
[3−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図3との対応部分に同一符号を付した図11に示すようにカーオーディオ装置40は、CPU構成でなるマイコン47が図示しないROMに格納された基本プログラムをRAM上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0124】
またカーオーディオ装置40は、マイコン47がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0125】
なお、このカーオーディオ装置40では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVDでなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置40では、第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置30と同様に、再生音声の出力対象となる車両には2chのスピーカシステムSS2が搭載されている場合を前提とする。
【0126】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS2としては、左スピーカ7及び右スピーカ8だけの2chとなっている。
【0127】
実際上、カーオーディオ装置40のマイコン47は、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、最初に以下の処理を行う。
【0128】
カーオーディオ装置40のマイコン47は、本来、当該スピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS2があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0129】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0130】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0131】
またオーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2に左サラウンドスピーカ及び右サラウンドスピーカが存在しないが、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅回路G2、G3により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)でそれぞれ増幅する。
【0132】
ここでマイコン47は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率α及び増幅回路G2、G3の増幅率βを予め設定するようになされている。
【0133】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0134】
またオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G2により増幅した左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βLsと、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αCとを混合することにより左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLsを生成する。
【0135】
同時にオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G3により増幅した右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βRsと、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCとを混合することにより右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsを生成する。
【0136】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLs、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsからなるオーディオデータD6をパワーアンプ6へ送出する。
【0137】
因みに、このときオーディオポストプロセッサ5は、スピーカシステムSS2にサブウーファーが存在しないので、サブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては出力しない。
【0138】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLs、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8を介して最終的な2chの再生音声として出力する。
【0139】
[3−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
カーオーディオ装置40における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順については、図10に示したルーチンRT2によるカーオーディオ装置30のセンタースピーカ成分調整処理手順と基本的に同様であるので、便宜上その説明を省略する。
【0140】
[3−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置40のマイコン47は、当該スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS2が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0141】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0142】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅すると共に、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅回路G2、G3により予め定められた増幅率βで増幅する。
【0143】
これによりオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、増幅回路G2、G3により増幅した左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βLs、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βRsと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合することによりダウンミックスする。
【0144】
これによりカーオーディオ装置1のマイコン47は、スピーカシステムSS2のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0145】
その結果、カーオーディオ装置1では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅することが出来るので、例えば台詞のボリュームを上げて聴こえ易くすると共に、周囲音のボリュームを上げて臨場感を増大させることができる。
【0146】
またカーオーディオ装置1のマイコン47は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)や増幅回路G2、G3の増幅率βを例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0147】
更にマイコン47は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率α、βに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅してダウンミックスし、最終的な2chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1、G2、G3に対して増幅率α、βを微調整して再設定することができる。
【0148】
これによりカーオーディオ装置1のマイコン47は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0149】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置1は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0150】
<4.他の実施の形態>
なお上述した第1乃至第3の実施の形態においては、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」に設定したり、6dBアップの「CSO2」に設定したり、12dBアップの「CSO3」に設定するようにした場合について述べた。
【0151】
しかしながら、本発明はこれに限らず、必ずしも増幅するだけでなく、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて例えば3dBダウンしたり、6dBダウンしたり、或は12dBダウンするように減衰しても良い。また、数値に関しても、これらに限定されるものではない。
【0152】
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、DSP3のオーディオデコーダ4及びオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を用いてディジタル的な処理により、上述したセンタースピーカ成分調整処理を実行するようにした場合について述べた。
【0153】
しかしながら、本発明はこれに限らず、DSP3のオーディオポストプロセッサ5を用いる代わりに、例えば図3との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、オーディオデコーダ4だけのDSP51と、アナログ回路からなる増幅回路G1を有するアナログ回路部52とによって構成されてカーオーディオ装置50によりセンタースピーカ成分調整処理を実行するようにしても良い。この場合、増幅回路G1の増幅率αは固定的となるので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音量レベルを調整することはできない。
【0154】
さらに上述の第1乃至第3の実施の形態においては、センタースピーカが存在しないので、そのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音量レベルを調整するようにした場合について述べた。
【0155】
しかしながら本発明はこれに限らず、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカが存在しない場合に、その左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの音量レベルを調整するようにしても良い。
【0156】
要は、オーディオポストプロセッサ5により、存在していないスピーカに対応したスピーカ用チャンネル信号成分だけを増幅した後に、他のスピーカのチャンネル信号成分にダウンミックスすれば、ゲイン調整するチャンネルは問わない。
【0157】
さらに上述の第1乃至第3の実施の形態においては、復号手段としてのオーディオデコーダ4、音響処理手段としてのオーディオポストプロセッサ5及び制御手段としてのマイコン27、37、47によって本発明の音響機器としてのカーオーディオ装置20、30、40を構成するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる復号手段、音響処理手段及び制御手段によって本発明の音響機器を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の音響機器及び音響処理方法は、例えばカーオーディオ装置以外にも、ホームオーディオ装置、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーションシステム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0159】
1、20、30、40、50……カーオーディオ装置、2……ディスク状記録媒体、3、51……DSP、4……オーディオデコーダ、5……オーディオポストプロセッサ、6……パワーアンプ、7……左スピーカ、8……右スピーカ、9……左サラウンドスピーカ、10……右サラウンドスピーカ、11……サブウーファー、12、27、37、47……マイコン、13……操作ボタン、21……筐体、22……フロントパネル、23……電源ボタン、24……ロータリーエンコーダ、25……LCD、26……操作ボタン群、52……アナログ回路部、G1〜G3……増幅回路、SS1、SS2……スピーカシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響機器及び音響処理方法に関し、例えば車載用のカーオーディオ装置によりマルチチャンネル(例えば5.1ch)のオーディオ信号を再生出力する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチチャンネル(例えば5.1ch)のオーディオコンテンツが含まれた映画等のAV(Audio Visual)コンテンツを5.1chのスピーカシステムで再生する場合、その音響機器の状態や、周辺環境又は録音レベルの影響により特定のチャンネルからの音声が聴こえ難いことがある。
【0003】
この場合、オーディオコンテンツのチャンネル数と、スピーカシステムのスピーカ数とが1対1で対応しているため、特定のチャンネルからの音声が聴こえ難い状況になったとき、その特定のチャンネルのスピーカボリュームを大きくすれば改善することができる。
【0004】
但し、全てのユーザが5.1chの再生環境を有している訳ではなく、サラウンドスピーカやセンタースピーカを所持していないユーザが数多く存在する。この場合、音響機器では、例えばスピーカシステムにセンタースピーカが存在していないのであれば、そのセンタースピーカ用チャンネルの信号を他のスピーカの信号に割り振ってダウンミックスすることにより、そのオーディオコンテンツが保有する全ての信号を再生可能とするようになされている。
【0005】
具体的には、図1に示すように、従来のカーオーディオ装置1では、5.1ch(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)のオーディオコンテンツD1がソースとして収録されたディスク状記録媒体2を再生し、DSP(Digital Signal Processor)3のオーディオデコーダ4へ送出する。
【0006】
ところでカーオーディオ装置1では、車両に取り付けられるまでは、その車両のスピーカシステムSS1が5.1chか、4.1chか、4chか、或は2chかを認識していないので、ユーザによる操作ボタン13に対する押下操作に応じて当該スピーカシステムSS1の構成を認識するようになされている。
【0007】
すなわちカーオーディオ装置1では、その車両のスピーカシステムSS1が例えば4.1ch(左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11)であった場合、ユーザの操作ボタン13に対する押下操作に応じてマイコン12がその旨を認識する。
【0008】
そうするとカーオーディオ装置1では、当該スピーカシステムSS1が4.1chであることをマイコン12からDSP(digital Signal Processor)3のオーディオデコーダ4へ制御信号S1により通知するようになされている。
【0009】
これによりオーディオデコーダ4は、予め定められた方式に従って、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせた4.1chにダウンミックスするようになされている。
【0010】
具体的にはオーディオデコーダ4は、左スピーカ用チャンネル信号成分Lとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合し、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合することにより、5.1chのオーディオコンテンツD1を4.1chにダウンミックスする。
【0011】
すなわちオーディオデコーダ4は、左スピーカ用チャンネル信号成分Lとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合した混合チャンネル信号成分L+C、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cとを混合した混合チャンネル信号成分R+C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEからなるオーディオデータD2をオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0012】
オーディオポストプロセッサ5は、オーディオデコーダ4から4.1chにダウンミックスされたオーディオデータD2(L+C、R+C、Ls、Rs、LFE)に対してイコライザ調整処理やタイムアライメント調整処理等を施してパワーアンプ6へ供給する。
【0013】
パワーアンプ6は、そのオーディオデータD2(L+C、R+C、Ls、Rs、LFE)を所定レベルに増幅した後、左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11から、4.1chの最終的な再生音声として出力するようになされている。
【0014】
また、マルチトラックデータを2チャンネルや、5.1チャンネル等にダウンミックスして再生出力する情報機器についても提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005-70545公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述したカーオーディオ装置1においては、センタースピーカが存在しないチャンネルのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cを左スピーカ用チャンネル信号成分Lと右スピーカ用チャンネル信号成分Rとに割り振ってダウンミックスしているため、そのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来ない。
【0017】
そのためカーオーディオ装置1では、ダウンミックス後の混合チャンネル信号成分L+C、混合チャンネル信号成分R+Cを増幅することしか出来ず、かくしてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームだけを調整できないという問題があった。
【0018】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器及び音響処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる課題を解決するため本発明においては、少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、スピーカシステムから出力する音響処理手段と、音響処理手段を制御する制御手段とを具え、制御手段は、復号手段に対して、再生手段によるソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、音響処理手段に対して、ソースのうちスピーカシステムに存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させた後、左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0020】
また本発明においては、少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスするようになされた復号手段に対して、制御手段が、ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、制御手段により、ソースのうちスピーカシステムに存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけを音響処理手段を介してゲイン調整させた後、左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0021】
これにより、復号手段を介してセンターチャンネル信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介してセンターチャンネル信号成分だけを増幅した後に、左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないセンタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させて出力することができる。
【0022】
さらに本発明においては、マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてチャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、スピーカシステムから出力する音響処理手段と、音響処理手段を制御する制御手段とを具え、制御手段は、復号手段に対して、再生手段によるソースに対するチャンネル単位の再生結果を、スピーカシステムのスピーカ数に合わせてダウンミックスさせることなくデコードさせ、音響処理手段に対して、ソースのうちスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させた後、他のチャンネルの信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、スピーカシステムから出力させるようにする。
【0023】
これにより、復号手段を介してスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介して特定チャンネルの信号成分だけを増幅した後に、他のチャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させて出力することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、復号手段を介してセンターチャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介してセンターチャンネル信号成分だけを増幅した後に、左チャンネルの信号成分及び右チャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないセンタースピーカに対応したセンタースピーカ用チャンネル信号成分だけをゲイン調整させて出力することができ、かくしてソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器及び音響処理方法を実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、復号手段を介してスピーカシステムに存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分をダウンミックスさせることなく、音響処理手段を介して特定チャンネルの信号成分だけを増幅した後に、他のチャンネルの信号成分と混合してダウンミックスすることができるので、マルチチャンネルのソースのチャンネル数よりもスピーカシステムのスピーカ数の方が少ない場合でも、その存在しないスピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させて出力することができ、かくしてソースのチャンネル数がスピーカシステムのスピーカ数よりも多い場合であっても、対応スピーカが存在しないチャンネルの再生音量だけを調整し得る音響機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来のカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図2】第1の実施の形態乃至第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置の外観構成を示す略線的斜視図である。
【図3】第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態におけるセンタースピーカ成分調整処理手順を示すフローチャートである。
【図5】サウンド機能の遷移の説明に供する略線図である。
【図6】センタースピーカ成分のボリューム調整の説明に供する略線図である。
【図7】センタースピーカ成分調整モードからサウンド機能選択モードへ戻るときの説明に供する略線図である。
【図8】センタースピーカ成分の微調整処理の説明に供する略線図である。
【図9】第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図10】第2の実施の形態におけるセンタースピーカ成分調整処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図12】他の実施の形態におけるカーオーディオ装置の回路構成を示す略線的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.他の実施の形態
【0028】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、20は全体として本発明の第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、矩形状の筐体21が車両のダッシュボードに埋め込まれて取り付けられるようになされている。
【0029】
このカーオーディオ装置20では、筐体21のフロントパネル22に対して、電源ボタン23、回転操作及び押下操作が可能なロータリーエンコーダ24、各種表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)25及び操作ボタン群26等が設けられている。
【0030】
[1−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図1との対応部分に同一符号を付した図3に示すようにカーオーディオ装置20は、CPU構成でなるマイクロコンピュータ(以下、これをマイコンと呼ぶ)27が図示しないROM(Read Only Memory)に格納された基本プログラムをRAM(Random Access Memory)上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0031】
またカーオーディオ装置20は、マイコン27がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0032】
なお、このカーオーディオ装置20では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVD(Digital Versatile Disc)でなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置20では、再生音声の出力対象となる車両には4.1chのスピーカシステムSS1が搭載されている場合を前提とする。
【0033】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS1としては、センタースピーカが存在しない左スピーカ7、右スピーカ8、左サラウンドスピーカ9、右サラウンドスピーカ10及びサブウーファー11の4.1chとなっている。
【0034】
実際上、カーオーディオ装置20のマイコン27は、図示しないディスク再生部によりディスク状記録媒体2を再生し、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、以下の処理を行う。
【0035】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、本来、当該スピーカシステムSS1が4.1chであることを示す制御信号S1(図1)をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS1があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0036】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0037】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS1にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0038】
ここでマイコン27は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを予め設定するようになされている。
【0039】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0040】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEからなるオーディオデータD4をパワーアンプ6へ送出する。
【0041】
因みにオーディオポストプロセッサ5は、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては、そのままの状態でパワーアンプ6へ送出する。
【0042】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFEを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS1を介して再生音声として出力する。
【0043】
[1−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
続いて、カーオーディオ装置20における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順を、図4を用いて更に詳細に説明する。
【0044】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、FMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードのうち、センタースピーカ成分調整モードが選択されると、次のステップSP2へ移る。
【0045】
具体的にカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24がユーザによって押下操作される度に、図5(A)に示すようなLCD25に「FM1」と表示したFMラジオモードから、図5(B)に示すようなLCD25に「EQ(Equalizer)」と表示したイコライザ調整モード、図5(C)に示すようなLCD25に「POS(Position)」と表示したスピーカポジション調整モード、図5(D)に示すようなLCD25に「CSO(Center Speaker Organizer)」と表示したセンタースピーカ成分調整モードを遷移するようになされている。
【0046】
ステップSP2においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24に対する押下操作により選択されたセンタースピーカ成分調整モードで、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅するためのセンタースピーカ成分調整機能がオンされたか否かを判定する。
【0047】
この場合、図6(A)に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24が最も左側に回転されたとき、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能を「OFF」する。
【0048】
また図6(B)乃至(D)に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24が最も左側から右側に回転されたとき、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能をONし、その回転操作量に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cの増幅率α(ゲイン)を順次上げていく。
【0049】
例えばマイコン27は、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」に設定したり、6dBアップの「CSO2」に設定したり、12dBアップの「CSO3」に設定するようになされている。
【0050】
なお図7に示すようにカーオーディオ装置20のマイコン27は、その後、操作ボタン群26のうちバックボタンBBが押下操作されると、FMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードを選択するための機能選択状態(図5)へ戻るようになされている。
【0051】
このステップSP2で否定結果が得られると、このことは図6(A)に示したようにロータリーエンコーダ24が最も左側に回転された状態のまま、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態のままであることを表しており、このときマイコン27は次のステップSP3へ移る。
【0052】
ステップSP3においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態なので、車両のスピーカシステムSS1が4.1chであることを示す制御信号S1(図1)をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP4へ移る。
【0053】
ステップSP4においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオデコーダ4を介して、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS1のスピーカ数に合わせた4.1chにダウンミックスし、オーディオポストプロセッサ5、パワーアンプ6を介してスピーカシステムSS1から再生出力し、次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0054】
この場合、カーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、ダウンミックスした左スピーカ用チャンネル信号成分L+C、右スピーカ用チャンネル信号成分R+Cを出力するようになされている。
【0055】
これに対してステップSP2において肯定結果が得られると、センタースピーカ成分調整機能を「ON」したと共に、その回転操作量に応じた「CSO1」、「CSO2」又は「CSO3」の増幅率α(ゲイン)にオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を設定したことを表しており、このときマイコン27は次のステップSP5へ移る。
【0056】
ステップSP5においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、スピーカシステムSS1が4.1chであるにも拘わらず、ここでは5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP6へ移る。
【0057】
ステップSP6においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオデコーダ4を介してダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0058】
そしてカーオーディオ装置20のマイコン27は、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対し、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて予め設定した「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅して左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rと混合する。
【0059】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成してダウンミックス処理を行い、最終的に4.1chで再生出力し、次のステップSP7へ移る。
【0060】
ステップSP7においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ダウンミックス処理後の再生状態で、更にロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われたか否かを判定する。
【0061】
ここで否定結果が得られると、このことはダウンミックス処理後の再生状態で、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われることがなかったことを表しており、このときカーオーディオ装置20のマイコン27は次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0062】
これに対してステップSP7で肯定結果が得られると、このことはロータリーエンコーダ24に対する回転操作に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームを微調整する命令が与えられたことを表しており、このときマイコン27は次のステップSP8へ移る。
【0063】
ステップSP8においてカーオーディオ装置20のマイコン27は、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して「CSO1」の増幅率αを増減するように再設定し、次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0064】
実際上、カーオーディオ装置20のマイコン27(図3)は、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作量に応じた増幅率微調整命令を受け付け、その増幅率微調整命令に応じた制御信号S4をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを僅かに増減するように再設定する。
【0065】
この場合、カーオーディオ装置20のマイコン27は、図8に示すように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じたセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリューム変化分を、LCD25に表示した8段階の目盛を介してユーザに通知するようになされている。
【0066】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置20のマイコン27は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS1がセンタースピーカの無い4.1chの場合、以下の処理を行う。
【0067】
カーオーディオ装置20のマイコン27は、当該スピーカシステムSS1が4.1chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS1が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0068】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0069】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅し、その結果得られるセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCを、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rと混合することによりダウンミックスする。
【0070】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、スピーカシステムSS1のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0071】
その結果、カーオーディオ装置20では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来るので、例えば台詞等を聴こえ易く再生出力することができる。
【0072】
またカーオーディオ装置20のマイコン27は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0073】
更にマイコン27は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅してダウンミックスし、最終的な4.1chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して増幅率αを微調整して再設定することができる。
【0074】
これによりカーオーディオ装置20のマイコン27は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0075】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置20は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS1がセンタースピーカの無い4.1chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0076】
<2.第2の実施の形態>
[2−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、30は全体として本発明の第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置20と同じであるので、ここでは便宜上その説明を省略する。
【0077】
[2−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図3との対応部分に同一符号を付した図9に示すようにカーオーディオ装置30は、CPU構成でなるマイコン37が図示しないROMに格納された基本プログラムをRAM上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0078】
またカーオーディオ装置30は、マイコン37がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0079】
なお、このカーオーディオ装置30では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVDでなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置20では、再生音声の出力対象となる車両には2chのスピーカシステムSS2が搭載されている場合を前提とする。
【0080】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS2としては、センタースピーカだけでなく、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーも存在しない左スピーカ7及び右スピーカ8の2chとなっている。
【0081】
実際上、カーオーディオ装置30のマイコン37は、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、最初に以下の処理を行う。
【0082】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、本来、当該スピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS2があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0083】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3(左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分R、センタースピーカ用チャンネル信号成分C、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rs及びサブウーファー用チャンネル信号成分LFE)としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0084】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0085】
ここでマイコン27は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを予め設定するようになされている。
【0086】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0087】
なおオーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカだけでなく、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーも存在しないので、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsと左スピーカ用チャンネル信号成分L+αCとを混合すると共に、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCとを混合するようになされている。
【0088】
この結果、オーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを生成するようになされている。
【0089】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+RsからなるオーディオデータD5をパワーアンプ6へ送出する。
【0090】
因みに、このときオーディオポストプロセッサ5は、スピーカシステムSS2にサブウーファーが存在しないので、サブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては出力しない。
【0091】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8を介して最終的な2chの再生音声として出力する。
【0092】
[2−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
続いて、カーオーディオ装置30における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順を、図10を用いて説明する。
【0093】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、ルーチンRT2の開始ステップから入って次のステップSP11へ移り、図5(A)〜(D)に示すようなFMラジオモード、イコライザ調整モード、スピーカポジション調整モード、及びセンタースピーカ成分調整モードのうち、センタースピーカ成分調整モードが選択されると、次のステップSP12へ移る。
【0094】
ステップSP12においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ロータリーエンコーダ24に対する押下操作により選択されたセンタースピーカ成分調整モードで、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅するためのセンタースピーカ成分調整機能がオンされたか否かを判定する。
【0095】
このステップSP12で否定結果が得られると、このことは図6(A)に示したようにロータリーエンコーダ24が最も左側に回転された状態のまま、「CSO」と表示したセンタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態のままであることを表しており、このときマイコン37は次のステップSP13へ移る。
【0096】
ステップSP13においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、センタースピーカ成分調整機能が「OFF」状態なので、車両のスピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP14へ移る。
【0097】
ステップSP14においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオデコーダ4を介して、ソースが5.1chのオーディオコンテンツD1を、スピーカシステムSS2のスピーカ数に合わせた2chにダウンミックスし、オーディオポストプロセッサ5、パワーアンプ6を介してスピーカシステムSS2から再生出力し、次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0098】
この場合、オーディオデコーダ4は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cと、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsとを混合する。
【0099】
これによりオーディオデコーダ4は、ダウンミックス後の左スピーカ用チャンネル信号成分L+C+LS、右スピーカ用チャンネル信号成分R+C+Rsを生成してスピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8から出力するようになされている。
【0100】
これに対してステップSP12において肯定結果が得られると、センタースピーカ成分調整機能を「ON」したと共に、その回転操作量に応じた「CSO1」、「CSO2」又は「CSO3」の増幅率α(ゲイン)にオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を設定したことを表しており、このときマイコン37は次のステップSP15へ移る。
【0101】
ステップSP15においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、ここでは5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてオーディオデコーダ4へ通知し、次のステップSP16へ移る。
【0102】
ステップSP16においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオデコーダ4を介してダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0103】
そしてカーオーディオ装置30のマイコン37は、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対し、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて予め設定した「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅する。
【0104】
その後、カーオーディオ装置30のマイコン37は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、センタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと混合する。
【0105】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+Ls、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+Rsを生成してダウンミックス処理を行い、最終的に2chで再生出力し、次のステップSP17へ移る。
【0106】
ステップSP17においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ダウンミックス処理後の再生状態で、更にロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われたか否かを判定する。
【0107】
ここで否定結果が得られると、このことはダウンミックス処理後の再生状態で、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作が行われることがなかったことを表しており、このときカーオーディオ装置30のマイコン37は次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0108】
これに対してステップSP17で肯定結果が得られると、このことはロータリーエンコーダ24に対する回転操作に応じてセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cのボリュームを微調整する命令が与えられたことを表しており、このときマイコン37は次のステップSP18へ移る。
【0109】
ステップSP18においてカーオーディオ装置30のマイコン37は、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して「CSO1」の増幅率αを増減するように再設定し、次のステップSP19へ移って処理を終了する。
【0110】
実際上、カーオーディオ装置30のマイコン37(図3)は、ロータリーエンコーダ24に対する回転操作量に応じた増幅率微調整命令を受け付けると、その増幅率微調整命令に応じた制御信号S4をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率αを僅かに増減するように再設定する。
【0111】
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置30のマイコン37は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合、以下の処理を行う。
【0112】
カーオーディオ装置30のマイコン37は、当該スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS2が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0113】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0114】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅し、その結果得られるセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合すると共に、右スピーカ用チャンネル信号成分R及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsと混合することによりダウンミックスする。
【0115】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、スピーカシステムSS2のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0116】
その結果、カーオーディオ装置30では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅することが出来るので、例えば台詞等を聴こえ易く再生出力することができる。
【0117】
なお、このときカーオーディオ装置30では、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls及び右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsについてもダウンミックスすることにより、最終的な2chのスピーカシステムSS2からソースの音源に近い再生音声を出力することができる。
【0118】
またカーオーディオ装置30のマイコン37は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0119】
更にマイコン37は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率αに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅してダウンミックスし、最終的な2chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1に対して増幅率αを微調整して再設定することができる。
【0120】
これによりカーオーディオ装置30のマイコン37は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0121】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置30は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0122】
<3.第3の実施の形態>
[3−1.カーオーディオ装置の外観構成]
図2において、40は全体として本発明の第3の実施の形態におけるカーオーディオ装置を示し、第1の実施の形態におけるカーオーディオ装置20と同じであるので、ここでも便宜上その説明を省略する。
【0123】
[3−2.カーオーディオ装置の回路構成]
図3との対応部分に同一符号を付した図11に示すようにカーオーディオ装置40は、CPU構成でなるマイコン47が図示しないROMに格納された基本プログラムをRAM上に読み出すことにより全体を統括制御する。
【0124】
またカーオーディオ装置40は、マイコン47がROMから各種アプリケーションプログラムをRAM上に読み出し、当該各種アプリケーションプログラムに従って種々の処理を実行することにより、各種機能を実現するようになされている。
【0125】
なお、このカーオーディオ装置40では、ソースとして5.1chのオーディオコンテンツが収録された例えばDVDでなるディスク状記録媒体2を再生対象とする。その一方、当該カーオーディオ装置40では、第2の実施の形態におけるカーオーディオ装置30と同様に、再生音声の出力対象となる車両には2chのスピーカシステムSS2が搭載されている場合を前提とする。
【0126】
すなわちソースのオーディオコンテンツが5.1chであるのに対し、当該オーディオコンテンツを再生出力するスピーカシステムSS2としては、左スピーカ7及び右スピーカ8だけの2chとなっている。
【0127】
実際上、カーオーディオ装置40のマイコン47は、ユーザのロータリーエンコーダ24に対する回転操作及び押下操作に応じてセンタースピーカ成分調整モードへ入ると、最初に以下の処理を行う。
【0128】
カーオーディオ装置40のマイコン47は、本来、当該スピーカシステムSS2が2chであることを示す制御信号をDSP3のオーディオデコーダ4に通知するところ、当該スピーカシステムSS2があたかも5.1chであることを示す嘘の制御信号S3を敢えてDSP3のオーディオデコーダ4へ通知するようになされている。
【0129】
これによりオーディオデコーダ4は、ディスク状記録媒体2が再生された結果得られる5.1chのオーディオコンテンツD1をデコードし、それらをダウンミックスすることなく、そのまま5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0130】
オーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2にセンタースピーカが存在しないので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cを増幅回路G1により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)で増幅する。
【0131】
またオーディオポストプロセッサ5は、車両のスピーカシステムSS2に左サラウンドスピーカ及び右サラウンドスピーカが存在しないが、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅回路G2、G3により予め定められた増幅率α(例えば3dBアップ)でそれぞれ増幅する。
【0132】
ここでマイコン47は、ユーザのロータリーエンコーダ24を介して増幅率設定命令を受け付け、その増幅率設定命令に応じた制御信号S2をオーディオポストプロセッサ5へ出力することにより、増幅回路G1の増幅率α及び増幅回路G2、G3の増幅率βを予め設定するようになされている。
【0133】
オーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rとを混合することにより、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCを生成する。
【0134】
またオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G2により増幅した左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βLsと、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αCとを混合することにより左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLsを生成する。
【0135】
同時にオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G3により増幅した右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βRsと、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αCとを混合することにより右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsを生成する。
【0136】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLs、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsからなるオーディオデータD6をパワーアンプ6へ送出する。
【0137】
因みに、このときオーディオポストプロセッサ5は、スピーカシステムSS2にサブウーファーが存在しないので、サブウーファー用チャンネル信号成分LFEについては出力しない。
【0138】
パワーアンプ6では、左スピーカ用チャンネル信号成分L+αC+βLs、右スピーカ用チャンネル信号成分R+αC+βRsを所定レベルに増幅した後、スピーカシステムSS2の左スピーカ7及び右スピーカ8を介して最終的な2chの再生音声として出力する。
【0139】
[3−3.センタースピーカ成分調整処理手順]
カーオーディオ装置40における上述したセンタースピーカ成分調整モードによるセンタースピーカ成分調整処理手順については、図10に示したルーチンRT2によるカーオーディオ装置30のセンタースピーカ成分調整処理手順と基本的に同様であるので、便宜上その説明を省略する。
【0140】
[3−4.動作及び効果]
以上の構成において、カーオーディオ装置40のマイコン47は、当該スピーカシステムSS2が2chであるにも拘わらず、敢えてスピーカシステムSS2が5.1chであることを示す嘘の制御信号S3をDSP3のオーディオデコーダ4へ通知する。
【0141】
これによりDSP3のオーディオデコーダ4は、5.1chのオーディオコンテンツD1をダウンミックスすることなくデコードし、5.1chのデコードオーディオデータD3としてオーディオポストプロセッサ5へ送出する。
【0142】
そしてオーディオポストプロセッサ5は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cだけを増幅回路G1により予め定められた増幅率αで増幅すると共に、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅回路G2、G3により予め定められた増幅率βで増幅する。
【0143】
これによりオーディオポストプロセッサ5は、増幅回路G1により増幅したセンタースピーカ用チャンネル信号成分αCと、増幅回路G2、G3により増幅した左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βLs、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分βRsと、左スピーカ用チャンネル信号成分L及び左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Lsとを混合することによりダウンミックスする。
【0144】
これによりカーオーディオ装置1のマイコン47は、スピーカシステムSS2のスピーカ数に拘わらず、オーディオデコーダ4を介してソースに含まれるチャンネル数のままデコードし、その後、強調したいセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsだけをオーディオポストプロセッサ5により増幅した後にダウンミックスすることができる。
【0145】
その結果、カーオーディオ装置1では、比較的、支配的な音が含まれている左スピーカ用チャンネル信号成分L、右スピーカ用チャンネル信号成分Rを増幅することなく、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅することが出来るので、例えば台詞のボリュームを上げて聴こえ易くすると共に、周囲音のボリュームを上げて臨場感を増大させることができる。
【0146】
またカーオーディオ装置1のマイコン47は、図6(B)乃至(D)に示すようにロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5における増幅回路G1の増幅率α(ゲイン)や増幅回路G2、G3の増幅率βを例えば3dBアップの「CSO1」、6dBアップの「CSO2」、又は12dBアップの「CSO3」に予め設定することができる。
【0147】
更にマイコン47は、予め設定した例えば「CSO1」の増幅率α、βに従い、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや、左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsを増幅してダウンミックスし、最終的な2chの再生出力中でも、図8に示したように、ロータリーエンコーダ24に対する微小な回転操作量に応じて、オーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1、G2、G3に対して増幅率α、βを微調整して再設定することができる。
【0148】
これによりカーオーディオ装置1のマイコン47は、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの音声をユーザ所望の音量に微調整することができる。
【0149】
以上の構成によれば、カーオーディオ装置1は、ソースのオーディオコンテンツD1が5.1chで、当該オーディオコンテンツD1を再生出力するスピーカシステムSS2がセンタースピーカ、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカ及びサブウーファーの無い2chの場合でも、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cや左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの再生音声だけをユーザ所望の音量に調整して出力することができる。
【0150】
<4.他の実施の形態>
なお上述した第1乃至第3の実施の形態においては、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて増幅率α(ゲイン)を例えば3dBアップの「CSO1」に設定したり、6dBアップの「CSO2」に設定したり、12dBアップの「CSO3」に設定するようにした場合について述べた。
【0151】
しかしながら、本発明はこれに限らず、必ずしも増幅するだけでなく、ロータリーエンコーダ24の回転操作量に応じて例えば3dBダウンしたり、6dBダウンしたり、或は12dBダウンするように減衰しても良い。また、数値に関しても、これらに限定されるものではない。
【0152】
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、DSP3のオーディオデコーダ4及びオーディオポストプロセッサ5の増幅回路G1を用いてディジタル的な処理により、上述したセンタースピーカ成分調整処理を実行するようにした場合について述べた。
【0153】
しかしながら、本発明はこれに限らず、DSP3のオーディオポストプロセッサ5を用いる代わりに、例えば図3との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、オーディオデコーダ4だけのDSP51と、アナログ回路からなる増幅回路G1を有するアナログ回路部52とによって構成されてカーオーディオ装置50によりセンタースピーカ成分調整処理を実行するようにしても良い。この場合、増幅回路G1の増幅率αは固定的となるので、センタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音量レベルを調整することはできない。
【0154】
さらに上述の第1乃至第3の実施の形態においては、センタースピーカが存在しないので、そのセンタースピーカ用チャンネル信号成分Cの音量レベルを調整するようにした場合について述べた。
【0155】
しかしながら本発明はこれに限らず、左サラウンドスピーカ、右サラウンドスピーカが存在しない場合に、その左サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Ls、右サラウンドスピーカ用チャンネル信号成分Rsの音量レベルを調整するようにしても良い。
【0156】
要は、オーディオポストプロセッサ5により、存在していないスピーカに対応したスピーカ用チャンネル信号成分だけを増幅した後に、他のスピーカのチャンネル信号成分にダウンミックスすれば、ゲイン調整するチャンネルは問わない。
【0157】
さらに上述の第1乃至第3の実施の形態においては、復号手段としてのオーディオデコーダ4、音響処理手段としてのオーディオポストプロセッサ5及び制御手段としてのマイコン27、37、47によって本発明の音響機器としてのカーオーディオ装置20、30、40を構成するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる復号手段、音響処理手段及び制御手段によって本発明の音響機器を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の音響機器及び音響処理方法は、例えばカーオーディオ装置以外にも、ホームオーディオ装置、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーションシステム等に適用することができる。
【符号の説明】
【0159】
1、20、30、40、50……カーオーディオ装置、2……ディスク状記録媒体、3、51……DSP、4……オーディオデコーダ、5……オーディオポストプロセッサ、6……パワーアンプ、7……左スピーカ、8……右スピーカ、9……左サラウンドスピーカ、10……右サラウンドスピーカ、11……サブウーファー、12、27、37、47……マイコン、13……操作ボタン、21……筐体、22……フロントパネル、23……電源ボタン、24……ロータリーエンコーダ、25……LCD、26……操作ボタン群、52……アナログ回路部、G1〜G3……増幅回路、SS1、SS2……スピーカシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、上記センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、
上記復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、上記スピーカシステムから出力する音響処理手段と、
上記音響処理手段を制御する制御手段と
を具え、
上記制御手段は、
上記復号手段に対して、上記再生手段による上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせ、
上記音響処理手段に対して、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記センタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させた後、上記左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び上記右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
音響機器。
【請求項2】
上記制御手段は、上記音響処理手段に対して、上記ゲイン調整後のセンターチャンネル信号成分と左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分とを混合することに加えて、上記スピーカシステムに存在しない左サラウンドスピーカに対応した左サラウンドチャンネル信号成分と上記左チャンネル信号成分とを混合すると共に、上記スピーカシステムに存在しない右サラウンドスピーカに対応した右サラウンドチャンネル信号成分と上記右チャンネル信号成分とを混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
請求項1に記載の音響機器。
【請求項3】
上記制御手段は、上記音響処理手段に対して、上記ゲイン調整後のセンターチャンネル信号成分と左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分とを混合することに加えて、上記スピーカシステムに存在しない左サラウンドスピーカに対応した左サラウンドチャンネル信号成分をゲイン調整した後に更に混合すると共に、上記スピーカシステムに存在しない右サラウンドスピーカに対応した右サラウンドチャンネル信号成分をゲイン調整した後に更に混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
請求項2に記載の音響機器。
【請求項4】
少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、上記センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスするようになされた復号手段に対して、制御手段が、上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせる復号処理ステップと、
上記制御手段により、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記センタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけを音響処理手段を介してゲイン調整させた後、上記左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び上記右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させるゲイン調整ダウンミックス処理ステップと
を有する音響処理方法。
【請求項5】
マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、
上記復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、上記スピーカシステムから出力する音響処理手段と、
上記音響処理手段を制御する制御手段と
を具え、
上記制御手段は、
上記復号手段に対して、上記再生手段による上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせ、
上記音響処理手段に対して、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記スピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させた後、他のチャンネルの信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
音響機器。
【請求項1】
少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、上記センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、
上記復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、上記スピーカシステムから出力する音響処理手段と、
上記音響処理手段を制御する制御手段と
を具え、
上記制御手段は、
上記復号手段に対して、上記再生手段による上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせ、
上記音響処理手段に対して、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記センタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけをゲイン調整させた後、上記左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び上記右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
音響機器。
【請求項2】
上記制御手段は、上記音響処理手段に対して、上記ゲイン調整後のセンターチャンネル信号成分と左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分とを混合することに加えて、上記スピーカシステムに存在しない左サラウンドスピーカに対応した左サラウンドチャンネル信号成分と上記左チャンネル信号成分とを混合すると共に、上記スピーカシステムに存在しない右サラウンドスピーカに対応した右サラウンドチャンネル信号成分と上記右チャンネル信号成分とを混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
請求項1に記載の音響機器。
【請求項3】
上記制御手段は、上記音響処理手段に対して、上記ゲイン調整後のセンターチャンネル信号成分と左チャンネル信号成分及び右チャンネル信号成分とを混合することに加えて、上記スピーカシステムに存在しない左サラウンドスピーカに対応した左サラウンドチャンネル信号成分をゲイン調整した後に更に混合すると共に、上記スピーカシステムに存在しない右サラウンドスピーカに対応した右サラウンドチャンネル信号成分をゲイン調整した後に更に混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
請求項2に記載の音響機器。
【請求項4】
少なくとも左チャンネル、右チャンネル及びセンターチャンネルからなるマルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、上記センターチャンネルに対応したセンタースピーカが存在しないスピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスするようになされた復号手段に対して、制御手段が、上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせる復号処理ステップと、
上記制御手段により、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記センタースピーカに対応したセンターチャンネル信号成分だけを音響処理手段を介してゲイン調整させた後、上記左チャンネルに対応した左チャンネル信号成分及び上記右チャンネルに対応した右チャンネル信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させるゲイン調整ダウンミックス処理ステップと
を有する音響処理方法。
【請求項5】
マルチチャンネルのソースに対するチャンネル単位の再生結果をデコードし、スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記チャンネル単位の再生結果をダウンミックスする復号手段と、
上記復号手段によるダウンミックス後の復号結果に対して所定の音響処理を施した後、上記スピーカシステムから出力する音響処理手段と、
上記音響処理手段を制御する制御手段と
を具え、
上記制御手段は、
上記復号手段に対して、上記再生手段による上記ソースに対するチャンネル単位の再生結果を、上記スピーカシステムのスピーカ数に合わせて上記ダウンミックスさせることなくデコードさせ、
上記音響処理手段に対して、上記ソースのうち上記スピーカシステムに存在しない上記スピーカに対応した特定チャンネルの信号成分だけをゲイン調整させた後、他のチャンネルの信号成分と混合することによりダウンミックスさせ、上記スピーカシステムから出力させる
音響機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−212760(P2010−212760A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53593(P2009−53593)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]