説明

音響隔壁キャップ・ハニカム

隔壁キャップが配置されたセルを有するハニカムを含む吸音構造を提供すること。その隔壁キャップは、シート状の吸音材から形成され、共振器部分及びフランジ部分を含む。接着剤フロー・バリアが、隔壁キャップの共振器部分の外側縁部に沿って配置される。フランジ部分はアンカ面を有し、そのアンカ面は、吸音構造の作製中にハニカムにキャップが挿入されるときに、ハニカム・セルに隔壁キャップを摩擦係合させる。恒久接着させるために、ハニカム・セルにキャップが挿入された後で隔壁キャップのアンカ面に接着剤が塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、騒音を減衰させるために用いられる音響システムに関する。より詳細には、本発明は、ジェット・エンジン又は他の騒音源によって発生する騒音を低減するのに有用なナセル及び他の構造を作製するためのハニカム使用を含む。
【背景技術】
【0002】
特定の騒音源によって発生する過度の騒音に対処する最良の形はその騒音源で騒音を処理することであると広く認識されている。これは、典型的には、騒音源の構造に音響減衰構造(吸音処理)を追加することによって実現される。特に問題となる一騒音源は、ほとんどの旅客機で使用されるジェット・エンジンである。吸音処理は、典型的には、エンジン吸気口、ナセル及び排気構造に組み込まれる。これらの吸音処理は、エンジンが発生する音響エネルギーに対する音響インピーダンスを作り出す数百万の穴を有する比較的薄い吸音材又はグリッドを含む音響共振器を含む。エンジニアが直面している基本的な問題は、所望の騒音減衰をもたらすようにジェット・エンジンの構造要素及び周りのナセルへこれらの薄い可撓性の吸音材をどのようにして追加するかである。
【0003】
ハニカムは、比較的強く軽量なので飛行機及び航空宇宙船で使用される人気の材料である。吸音の用途の場合は、目標は、ハニカム・セルが閉じられるか又はカバーされるように、薄い吸音材をどうにかしてハニカム構造に組み込むことである。セルを吸音材で閉じることにより、共振器がそれに基づく音響インピーダンスを作り出す。
【0004】
薄い吸音材をハニカムに組み込む一手法は、サンドイッチ設計と称される。この手法では、薄い吸音シートは、2枚のハニカムの間に配置され、適位置で接着されて、単一の構造を形成する。この手法は、正確な寸法に編んだ、パンチング又はエッチングした精巧な吸音材設計を利用でき、接着プロセスが比較的単純であるという利点を有する。しかし、この設計の欠点は、構造の強度が2枚のハニカムの薄片と吸音材の接着に限定されることである。また、2枚のハニカム薄片間の接着面はハニカムの縁部に沿った面に限定される。さらに、吸音材の穴のいくつかが接着プロセス中に過度の接着剤で閉じられる可能性がある。共振器の有効な吸音領域のロスを生ずるので、該穴を閉じないことが重要である。
【0005】
第2の手法は、ハニカム・セル内の適位置に個々に接着させられる比較的厚い、堅固なインサートを用いている。適位置に配置して、インサートは、インサートが吸音材の働きをするために必要な穴を形成するように穴明け又は処理される。この手法では、2枚のハニカムの薄片を互いに接着させる必要がない。その結果、インサートが確実に接着された、強度の高い構造になる。しかし、この手法にもいくつかの欠点がある。例えば、中実の堅固なインサートに数百万の穴をあけなければならないコスト及び複雑さが主な欠点である。さらに、比較的厚い中実のインサートがハニカムを堅くし、ジェット・エンジンのナセルなど、平面ではない構造に形成するのが難しくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、個々のシート状の吸音材がハニカム・セルに挿入される隔壁キャップに形成される、ハニカム吸音構造が提供される。隔壁キャップは、吸音材よりずっと厚いフランジ部分を有し、ハニカムの壁に隔壁キャップを取り付けるのに使用されるアンカ面を提供する。隔壁キャップは、アンカ面とセルの壁との間の摩擦ロックによって、最初にセル内の適位置に保持される。こうした摩擦ロックは、接着剤で適位置に永久に接着されるまで隔壁キャップを適位置に維持するのに十分なものである。
【0007】
本発明の吸音構造は、ジェット・エンジン又は他の発電所などの騒音源の近くに配置されるように設計される。この構造はハニカムを含み、そのハニカムは、騒音源の最も近くに配置される第1の縁部と、騒音源から離して配置される第2の縁部とを有する。ハニカムは複数の壁を含み、それらの壁は、ハニカムの第1の縁部と第2の縁部との間を延びる。ハニカムの壁は複数のセルを画定し、セルがそれぞれハニカム壁に垂直に測定される断面領域と、第1の縁部と第2の縁部の間の距離によって画定される深さとを有する。
【0008】
本発明の特徴として、隔壁キャップが、少なくとも1つのハニカム・セル内に配置され、セルの全断面積をカバーする。隔壁キャップは、厚さ及び外周を有するシート状の吸音材から作製される。シートは好ましくは矩形である。隔壁キャップは共振器部分を含み、その共振器部分は、ハニカム壁に隣接して配置された外側縁部と、共振器部分の外側縁部とシート状の吸音材の外周との間を延びるフランジ部分とを有する。フランジ部分はアンカ面を有し、そのアンカ面は、最初に、前身構造を形成するように、摩擦係合によってセルの壁に取り付けられる。アンカ面の幅は、隔壁キャップとハニカム壁との間の必要な程度の摩擦ロックをもたらすように、シート状の吸音材の厚さよりかなり大きい。最終的な吸音構造は、前身構造をとり、適位置に永久に隔壁を接着させるためにアンカ面及びセルの壁に接着剤を塗布することによって作製される。
【0009】
本発明は、現行のハニカム吸音構造に対するいくつかの利点を提供する。例えば、2枚のハニカムの薄片の間には、構造物を弱くする継ぎ目がない。隔壁キャップは、良く知られたヘルムホルツ共振器理論に基づいて騒音減衰の微調整を行うために、ハニカム・セル内で異なるレベルに配置することができる。複数の隔壁キャップを、複数の空所及びインピーダンスのグリッドを作るために単一のハニカム・セルに異なるレベルで配置することができる。同じハニカム構造内か、又は同じハニカム・セル内で、異なる吸音材から作られた隔壁キャップを使用することができる。フランジ部分は、この構造の耐用期間にわたってセルの壁への隔壁キャップの固定的な接着を保証するために、比較的大きいアンカ面積をもたらす。さらに、比較的薄く可撓性のある隔壁キャップは、ハニカムの可撓性を低減せず、このことはナセル及び他の非平面の吸音構造にとって非常に重要な問題である。
【0010】
上記で考察した、本発明の他の多くの特徴となる付随の利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による例示的な吸音構造の斜視図である。
【図2】本発明による例示的な隔壁キャップの斜視図である。
【図3】3−3平面に沿った、図2に示す例示的な隔壁キャップの断面図である。
【図4】2組の隔壁キャップが異なる2つの深さでハニカム・セル内に配置された、本発明による例示的な吸音構造の断面図である。
【図5】2つの隔壁キャップが各ハニカム・セル内に配置された、本発明による例示的な吸音構造の断面図である。
【図6】隔壁キャップがシート状の吸音材から形成され、前身構造を形成するようにハニカムに挿入された、吸音構造を作製する作製プロセスの一部分の概略図である。
【図7】共振器部分を除く隔壁キャップのフランジが接着剤と接触するように、接着剤のプールに前身構造を浸漬することにより、隔壁キャップのアンカ面及びハニカム壁に接着剤を塗布する、例示的な好ましい方法を示す断面図である。
【図8】図9に示すタイプの吸音構造を形成するために互いに組み合わせた、堅固な外皮の吸音構造及び穿孔した外皮の一部分を示す分解斜視図である。
【図9】騒音源(ジェット・エンジン)の近くに配置された、例示的な吸音構造(ナセル)の部分断面図である。吸音構造は、堅固な外皮と穿孔した外皮との間に挟まれた吸音ハニカムを含む。
【図10】折り畳み及び接着剤の流れを制御するためにエンボス加工された、好ましい例示的な隔壁の上面図である。
【図11】図10の隔壁と同じようにしてエンボス加工され、さらにハニカムへの隔壁の挿入を強化するために切断された、好ましい例示的な隔壁の上面図である。
【図12】エンボス加工する前のメッシュ材料の拡大図である。
【図13】接着剤フロー・バリアを形成するためにエンボス加工した後の、同じメッシュ材料の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による例示的な吸音構造が、図1及び図6に全体的に10で示されている。吸音構造10はハニカム12を含み、ハニカム12は、騒音源の最も近くに配置される第1の縁部14と、第2の縁部16とを有する。ハニカム10は壁18を含み、壁18は、複数のセル20を画定するように2つの縁部14と16の間を延在している。セル20はそれぞれ、2つの縁部14と16の間の距離と等しい(コアの厚さとも称される)深さを有する。各セル20は、セルの壁18に垂直に測定される断面も有する。ハニカムは、金属、セラミック、及び複合材料を含む、ハニカム・パネルを作製するのに用いられる従来の材料から作製することができる。
【0013】
本発明の特徴として、セル20内に隔壁キャップ22が配置される。そうである必要はないが、セル20の全てではなく、セル20のほとんどに隔壁キャップ22が配置されることが好ましい。特定の状況では、所望の吸音効果を生み出すために、いくつかのセルにのみ隔壁キャップ22を挿入することが望ましいことがある。或いは、2つ以上の隔壁キャップを1つのセルに挿入することが望ましいことがある。
【0014】
例示的な隔壁キャップ22を図2及び図3に示す。隔壁キャップ22は、シート状の吸音材を折って、ハニカム・セルの断面に合うようにサイズ設定された六角形のキャップにすることによって形成される。隔壁キャップ22は、好ましくは、図6に示すように、吸音材のシート60を、プランジャ63を用いてキャップ折曲げ型62に押し通すことによって形成される。シート60は、好ましくは、形状が少し矩形であり、ロール状の吸音材64から切断される。シート60は、図3に示す厚さ(t)及び外周65を有する。シート60のサイズ及び形状は、シートを挿入するハニカム・セルの形状/サイズ、シート60の厚さ及び使用される特定の吸音材に応じて大幅に変更することができる。
【0015】
図2及び図3を参照すると、隔壁キャップ22は共振器部分24を含み、共振器部分24は外側縁部25を有する。隔壁キャップ22はさらにフランジ部分26を含み、フランジ部分26はアンカ面27を有する。アンカ面27は、最初に摩擦係合によってセルの壁18に取り付けられ、次いで、適切な接着剤を用いて永久に接着される。アンカ面27は幅(W)を有する。
【0016】
アンカ面の幅(W)は、セルの断面、吸音材の厚さ、吸音材のタイプ及び接着剤を含むいくつかの要因に応じて変更することができる。0.635cm(1/4インチ)から2.54cm(1インチ)のセルを有する典型的なハニカムの場合は、0.127cm(0.05インチ)から1.27cm(0.500インチ)程度のアンカ面の幅が、厚さ0.00254cm(0.001インチ)から0.254cm(0.10インチ)程度の吸音材に適している。厚さ0.01016cm(0.004インチ)から0.01524cm(0.006インチ)の標準的な吸音材の場合は、アンカ面の幅は少なくとも0.508cm(0.20インチ)が好ましい。一般に、アンカ面の幅が吸音材の厚さよりかなり大きいことが好ましい。「かなり大きい」とは、アンカ面の幅が吸音材の厚さの少なくとも5倍、好ましくは少なくとも20倍大きいことを意味する。
【0017】
隔壁キャップを形成するためにどんな標準的な吸音材も使うことができる。これらの吸音材は、典型的には、比較的薄いシートとして提供され、そのシートは、騒音を減衰するように設計された、穿孔、多孔質又は開口メッシュの布である。様々な材料(金属、セラミック、プラスチック)の穿孔した多孔質シートを使用することができるが、吸音材はモノフィラメント繊維を編んだ開口メッシュ布であることが好ましい。繊維は、ガラス、炭素、セラミック又はポリマーから構成されてよい。ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフルオロエチレンプロピレン(FEP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド6(ナイロン6、PA6)及びポリアミド12(ナイロン12、PA12)から作製されたモノフィラメント・ポリマー繊維は、単にいくつかの実施例である。PEEKから作製された開口メッシュ布が高温の用途には好ましい。本発明による隔壁キャップを形成するために使用できる開口メッシュの吸音布及び他の吸音材は、多種多様の市販元から利用可能である。例えば、開口メッシュの吸音布のシートは、SEFAR America Inc.(Buffalo Division Headquarters 111 Calumet Street Depew、NY 14043)からSEFAR PETER、SEFAR NITEX及びSEFAR PEEKTEXという商標名で入手することができる。
【0018】
隔壁キャップ22は、多種多様の吸音設計をもたらすようにハニカム・セルに挿入することができる。例えば、隔壁キャップは、図4の22a及び22bに示すようにハニカム12a内の異なるレベルに配置することができる。このタイプの設計により、吸音構造の騒音減衰特性の微調整が可能になる。図4に示す2レベル設計は、本発明に従って可能である、多種多様の可能な複数レベルの隔壁配置の単なる実施例として意図される。当業者には理解されるように、異なる可能な隔壁の配置レベルの数は非常に多く、特定の騒音減衰要件を満たすように適合させることができる。
【0019】
隔壁キャップ22のための挿入構成の他の実施例を図5に示す。この構成では、2組の隔壁キャップ22c及び22dが、各セルにそれぞれ2つの隔壁キャップを備えるようにハニカム12B中に挿入されている。理解されるように、3つ以上の隔壁キャップが所与のセルに挿入される、多数の可能な追加の構成が可能である。さらに、図4に例示する複数レベルの挿入設計を、図5に例示する1つのセルに複数挿入する設計と組み合わせて、所与の騒音源に最適な騒音減衰をもたらすように吸音構造を微調整するために使用することができる、無限数の可能な隔壁キャップ挿入構成をもたらすことができる。
【0020】
上記したように、キャップ折曲げ型62及びプランジャ63を用いて隔壁キャップを予め形成する、隔壁キャップをハニカムに挿入する好ましい方法を図6に示す。図6のハニカム構造を特定するために用いる参照番号は、この構造が、隔壁キャップがまだセルの壁に永久に接着されていない前身構造であることを示す符号「P」を含むことを除いて、図1と同じである。
【0021】
必ずしも必要ではないが、個々のシート状の吸音材から隔壁キャップを形成するためにキャップ折曲げ型62を使用することが好ましいことに留意されたい。ハニカムを型として使用し、プランジャ63を用いて単にシート60をセルに押し込むことによって隔壁キャップを形成することが可能である。しかし、多くのハニカム・パネルの縁部は、パネルが作製プロセス中に典型的にはより大きいブロックのハニカムから切断されるので、比較的ぎざぎざの傾向がある。したがって、ハニカムの縁部は、平坦なシート材料が強制的にセル中に直接挿入されるときに、吸音材を捕捉し、裂き、汚染する傾向がある。したがって、所望の場合は、ハニカムの縁部が荒いか又はぎざぎざの縁部を取り除くように処理する場合にのみ、キャップ折曲げ型を無くすことができる。
【0022】
シート状の吸音材のサイズ/形状及び型/プランジャのサイズ/形状(又は型を使用しない場合はプランジャのみのサイズ/形状)は、吸音材を損傷することなしに隔壁キャップをセルに挿入し、同時に後続の前身構造の取り扱い中に隔壁キャップを適位置に保持するためにアンカ面とセルの壁との間に十分な摩擦接触を与えることができるように選択することが重要である。通常の実験を用いて、接着剤でセルの壁にアンカ面を永久に接着させる前に、前身構造での隔壁キャップの適位置への必要な摩擦ロック又は保持を実現するために必要な吸音シートの様々なサイズ及び形状を決定することができる。摩擦ロック又は保持の量は、たとえ取り扱い中に前身構造が意図せずに落ちても、隔壁キャップがハニカムから抜け落ちるのを避けるのに十分なものにすべきである。
【0023】
従来の繊維ガラス/フェノール樹脂材料から作製された、標準的な0.9525cm(3/8インチ)の複合ハニカムの場合は、シート状の典型的な開口メッシュ吸音材(厚さ0.01016cm(0.004インチ)から0.01524cm(0.006インチ))の好ましいサイズは、寸法が1.27cm(0.50インチ)から1.778cm(0.70インチ)×1.524cm(0.60インチ)から2.032cm(0.80インチ)の範囲の矩形である。シート状の吸音材は、シートの折り曲げを増進するために、刻み目又は切り込みがないことが好ましい。切り込みなしのシートを折ると、アンカ面にしわがある隔壁キャップになり、そのしわがハニカム壁への隔壁キャップの接着を強化することが分かっている。さらに、切り込みは隔壁キャップのフランジ部分に存在する外側への張力又は偏倚力のいくらかを減らす傾向がある。こうした外側への張力又は偏倚力は、折られたシートが本質的に折られていない姿勢に戻ろうと偏倚されている結果である。この外側への変異力又は張力は、隔壁キャップとセルの壁との間の摩擦ロックの重要な部分である。
【0024】
隔壁キャップ22が摩擦ロックによってのみ適位置に保持された前身構造を図6に10Pで示す。上記したように、摩擦ロックは、適切な接着剤を用いて永久に接着できるまで、隔壁キャップを適位置に固定的に保持するのに十分なものでなければならない。使用される接着剤は、ハニカム・パネル作製で用いられる、従来のどんな接着剤も使うことができる。好ましい接着剤には、高温(148.9℃(300°F)〜204.4℃(400°F))で安定するものが含まれる。例示的な接着剤には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート、BMI、ポリアミドイミド、及びポリイミドが含まれる。
【0025】
接着剤は、様々な既知の接着剤塗布手順を用いてアンカ面とセルの境界面に塗布することができる。重要な考慮点は、隔壁キャップの共振器部分ではなく、フランジのアンカ面とセル壁の境界面にのみ選択的に接着剤を塗布すべきことである。共振器部分に接着剤を塗布すると、メッシュ又は他の吸音材の開口部を閉じるか、又は少なくともそのサイズを減少させることになる。アンカ面とセルの壁の境界面に接着剤を選択的に塗布することができる、どんな接着剤の塗布手順も使うことができる。
【0026】
例示的な接着剤の塗布手順を図7に示す。この例示的な手順では、ハニカム12Pは、隔壁キャップ22pのフランジ部分のみが接着剤に漬かるように、単純に接着剤のプール70に浸漬される。隔壁キャップが浸漬前に同じレベルに正確に配置される場合は、こうした浸漬手順を用いて接着剤を正確にアンカ面とセルの壁の境界面に塗布できることが分かっている。隔壁キャップが異なるレベルに配置される場合は、複数の浸漬ステップが必要になる。或いは、ブラシ又は他の特定位置に塗布する技術を用いて接着剤を塗布することができる。これらの技術のいくつかを用いて、隔壁キャップが挿入される前にコア壁を接着剤でコーティングすることができる。或いは、コアに挿入する前に接着剤を隔壁材料にスクリーン印刷することができる。
【0027】
折り畳んだシート状の吸音材にあるしわが、アンカ面とセルの壁との間に、接着剤をより簡単に毛管作用によって吸い上げることを可能にする小さいチャネルを設けるので、図7に示すように接着剤を塗布する浸漬手順は、特にうまく機能することが分かっている。このように上に吸い上げることにより、共振器部分の外側縁部とセルの壁の交点に隅肉が形成される。共振器部分の縁部での接着剤隅肉の形成は、セルの壁に良好な接着をもたらすだけでなく、共振器部分の吸音特性が接着剤に悪い方向に影響されないことを保証するように、接着剤と共振器部分との間に明確な境界を設ける。
【0028】
セルの壁と共振器部分の交点における隅肉の形成が、共振器部分の外側縁部を越えた、接着剤の連続した吸い上げを常に防止するわけではない。このように共振器部分への制御されない接着剤の吸い上げにより、共振器性能にばらつきが生じることがある。したがって、共振器部分への接着剤の吸い上げを防止するか、又は少なくとも遅らせるために、共振器部分の外側縁部に沿って接着剤のフロー・バリアを配置することが好ましい。隔壁キャップの前身を形成するシート状の材料60aを図10に示す。このシート状の材料60aは、接着剤フロー・バリア100を含む。この接着剤フロー・バリア100は、隔壁キャップのフランジ部分26aから共振器部分24aへの接着剤の流れを止めるか、又は少なくとも遅らせることができるという条件で、いくつかの異なる形で作製することができる。バリアは、少なくとも最短で数分間接着剤の流れを遅らせることができるべきであり、より長く遅らせることが好ましい。
【0029】
接着剤フロー・バリア100は、吸音シート材料と融和性があり、セルの壁に隔壁キャップを接着させるために使用される接着剤をはじく材料を用いて作製することができる。こうした材料には、Releasomers Inc.(Bradfordwood、PA)から利用可能なXK−22離型剤及びDexter Corp.(Seabrook、NH)から利用可能なFREKOTE 00044が含まれる。或いは、バリア100を形成するように、ライン状の接着剤をスクリーン印刷するか、又は塗布し、乾燥することができる。さらに、シート材料の完全性及び強度が悪い方向に影響されない場合は、吸音シート材料を熱で溶解することによってバリア100を形成することができる。接着剤をはじく材料が用いられるときに、材料の共振器特性が過度に甘くならない場合は、バリア100は、図10に示すように連続する線の形態であってもよく、共振器部分24a全体をコーティングしてもよい。
【0030】
好ましい実施例では、接着剤フロー・バリア100は、吸音シート材料をエンボス加工する(すなわち平らにする)ことによって作製される。吸音シート材料をこのようにエンボス加工することによって、繊維を平らにして、繊維間の隙間が小さいバリア100を形成する。このように繊維を平らにすることは、十分な期間、接着剤の流れを効果的に止めて、バリアを越えることなく接着剤を乾燥させることができる。いくつもの異なる機械装置を用いて、シート材料にエンボス加工した接着剤フロー・バリア100を形成することができる。用語「エンボス加工」とは、編んだ繊維(又は他のタイプのメッシュ材料)を、材料の隙間を減少してフロー・バリア100を形成するように、折り目を付けるか又は変形して繊維又はメッシュ材料を平らにすることである。
【0031】
パンチ及び型を使用してシート状の吸音材をエンボス加工して、接着剤フロー・バリア100を形成することが好ましい。他のタイプの吸音メッシュ材料をエンボス加工することができるが、吸音材は、好ましくはモノフィラメント・ポリマー繊維である、編んだ繊維から作製された開口メッシュ布であることが好ましい。PEEK繊維から作製された吸音材は、繊維が簡単に変形されるので好ましい。例示的な開口メッシュ布の断面を図12に概略的に110で示す。この布110は、モノフィラメント・ポリマー繊維112から構成される。エンボス加工プロセス中に、図13に示すように、繊維を変形(すなわち平らに)して、平らにした繊維112aを有するエンボス加工部分114を形成する。繊維の平らにする加工は好ましくは恒久的である。しかし、吸音構造の作製に必要な期間接着剤の流れに対するバリアを設けるように、繊維が十分な期間変形したままになることが非常に重要である。
【0032】
接着剤フロー・バリアの物理的な寸法及び特徴は、使用する特定のタイプのバリアに応じて変更することができる。隔壁キャップへの接着剤の塗布中及びそれに続く吸音構造内での接着剤乾燥中に接着剤がバリアを越えて流れるのを防止するように、バリアを十分に不浸透性に作製することが非常に重要である。編んだ布をエンボス加工して形成したバリアでは、接着剤フロー・バリアの幅は0.0127cm(0.005インチ)から0.127cm(0.050インチ)にすべきである。約0.0508cm(0.020インチ)程度のバリアの幅が好ましい。繊維は、元々の直径が約20%から約60%だけ平らになるように変形すべきである。接着剤フロー・バリアは、典型的には、図10に示すように六角形の形態になる。しかし、この形状は、隔壁キャップが挿入されるセルの特定の形状に応じて変更することができる。
【0033】
吸音材の接着剤フロー・バリアを形成するエンボス加工した凹所は、様々な断面形状を有することができる。その形状は、比較的正方形又は矩形の凹所から円形又は楕円形の凹所に及ぶことができる。シート材料を変形して接着剤フロー・バリアを形成するのに用いるパンチ及び型は、繊維が切断されるか又は悪い方向に影響される恐れがある鋭利な角を有しない凹所を設けるような形状にすべきである。
【0034】
隔壁キャップの形状にするときにシート材料の折畳みの制御を助けるために、吸音シート材料をエンボス加工するか又はそれに折り目を付けることも好ましい。図10を参照すると、シート状材料60aは折畳み補助部102を含む。折畳み補助部は、好ましくは、隔壁キャップの形状にするときにシートの最初の折畳みをうまく制御するためにシート60aの外周に沿って配置されている。折畳み補助部102の数及び向きは、使用する特定のシート材料や隔壁キャップが挿入されるセルの形状を含むいくつかの要因に応じて変更することができる。図10に示すような折畳み補助部102の向き及び配置は、六角形のハニカム構造に挿入される隔壁キャップの場合に好ましい。
【0035】
折畳み補助部102は、シート状材料に他の位置より折りやすい位置を生み出すどんなプロセスを用いても作製することができる。折畳み補助部102は、接着剤フロー・バリア100を形成するのに用いられるのと同じエンボス加工プロセスを用いて作製されることが好ましい。折畳み補助部及び接着剤フロー・バリアがパンチと型の単一の組合せを用いて同時に形成されることがさらに好ましい。接着剤フロー・バリアと折畳み補助部の両方を形成するためにエンボス加工を使用することは、異なる2つの無関係の作製に関する問題を単一の単純なステップで解決するという利点をもたらす。
【0036】
エンボス加工した折畳み補助部の物理的寸法は、特定のシート材料に応じて変更する。エンボス加工した領域又は折り目が、隔壁キャップの形成中に所望の位置で始まるように材料が折り畳まれることは非常に重要である。エンボス加工した線の幅は、0.0381cm(0.015インチ)から0.127cm(0.050インチ)にすべきであり、約0.1016cm(0.040インチ)が好ましい。材料のエンボス加工の(すなわち平らにする)程度は繊維の元々の直径の20%から60%が好ましい。
【0037】
吸音材に折畳み補助部を形成するエンボス加工した凹所は、様々な断面形状を有することができる。これらの形状は、比較的正方形又は矩形の凹所から円形又は楕円形の凹所に及ぶことができる。シート材料を変形して折畳み補助部を形成するのに用いるパンチ及び型は、繊維が切断されるか又は悪い方向に影響される恐れがある鋭利な角を有しない凹所を設けるような形状にすべきである。
【0038】
隔壁キャップの前身を形成するシート状材料の代替の実施例を図11に60bで示す。シート状材料60bは、接着剤フロー・バリア100b及び折畳み補助部102bを設けるように図10に示す60aと同じようにしてエンボス加工される。さらに、シート状材料の角は、辺の長さが不等の八角形の形状である外周104を設けるように整えられている。適切な隔壁キャップの前身は、どんな数の外周形状と折畳み補助部の組合せを使っても作製することができる。しかし、図11に示すように八角形の外周と6個の折畳み補助部の組合せが好ましい。
【0039】
本発明による吸音構造を騒音減衰が必要な多種多様の状況で使用することができる。それらの構造は、騒音の減衰が通常問題となる発電所のシステムと共に使用するのに適している。ハニカムは、比較的軽量の材料である。したがって、本発明の吸音構造は、航空機のシステムで使用するのに特に適している。例示的な使用には、ジェット・エンジンのナセル、大型タービンのカウリング、又は往復動エンジン及び関連の吸音構造が含まれる。
【0040】
本発明の基本的な吸音構造は、典型的には、エンジン・ナセルの最終的な形状に熱成形され、次いで(1つ又は複数の)接着剤層で、外側材料の外皮又はシートを、成形された吸音構造の外側縁部に接着させる。この完成したサンドイッチが、接着中にナセルの複雑な形状を維持する保持具で硬化する。例えば、図8に示すように、吸音構造10は、最終的なナセルの形状に熱成形される。サンドイッチ部分は、堅固なシート又は外皮80を接着ツールに配置することによって作製される。次に、層状の接着剤が外皮上に配置される。その次に、形成された吸音構造10を追加する。接着剤フィルムの第2の層、次いで上側外皮82を追加する。これでサンドイッチが完成する。このアセンブリは熱及び圧力で接着される。この最終的なナセルの形状は、接着ツールによって制御される。次いで、パネルが、図9に90で概略的に示すジェット・エンジンの周りに適合される。
実際の実施例は以下の通りである。
【0041】
以下の実施例は、本発明による例示的な吸音隔壁キャップ・ハニカムに関する詳細を提示する。多種多様の寸法、ハニカムの材料、吸音メッシュ材料及び接着剤を使用できることが当業者には認識されるであろう。一般的に、特定の構造及び吸音の適用例が、コアの密度、隔壁の深さ、音響インピーダンス、コアの厚さ、薄片の長さ、薄片の幅及びメッシュ材料の寸法を含む、様々な設計要件を決定するであろう。
【0042】
例示的な隔壁コア製品
例示的な吸音隔壁キャップのコアは、セルが0.9525cm(3/8インチ)の繊維ガラス・ハニカムから作製した。隔壁は、厚さ3.175cm(1.25インチ)のコアの縁部から1.27cm(0.500インチ)の位置に配置された。隔壁コアの音響インピーダンスは、700N・s/m(70レール(cgs単位))であることが分かった。
【0043】
材料
ハニカムは、Hexcel Corporation(Dublin、California)によって供給され、部品番号HRPとして識別され、6.0kg/m(3/8ポンド/立方フィート)〜72.1kg/m(4.5ポンド/立方フィート)(フェノール樹脂を有する0/90度繊維ガラス構造)であった。ハニカムの密度は72.1kg/m(4.5ポンド/立方フィート)であった。吸音メッシュは、SEFAR America,Inc.から得られ、部品番号17−2005−W022(音響インピーダンスの範囲が450N・s/m(45レール(cgs単位))から640N・s/m(64レール(cgs単位))の、非金属の編んだメッシュ)として識別された。接着剤はHexcel Corporationから得られ、部品番号899−55として識別された。その接着剤は、ポリアミドイミド族であり、独占権のある材料である。所望の場合は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート及びポリアミドなど、他の接着剤を使用することができる。
【0044】
吸音コアの寸法は以下の通りであった。
コアのセルのサイズ:典型的なセルのサイズは、壁から壁を測った内寸が1.006cm(0.396インチ)の六角形であった。薄片の厚さは、典型的には3.175cm(1.250インチ)であった。六角形のセルに挿入されたメッシュは、典型的には1.778cm(0.700インチ)×1.651cm(0.650インチ)の矩形の形状であった。メッシュは、キャップを形成するように折り畳まれ、ハニカム・セル中に挿入された。キャップの上面は、セルの形状及びサイズ(内寸が1.006cm(0.396インチ)の六角形形状)に適合する。キャップの側面は、接着剤の取り付けのためのハニカム・セルの壁に適合する。キャップの側面は、典型的には長さ0.4762cm(0.1875インチ)であり、ハニカムの隔壁キャップの取り付けのために接着剤中に浸漬される。
【0045】
接着剤浸漬及び硬化プロセス
隔壁キャップが各セルに挿入されたハニカムコアは以下のように浸漬される。
a、コアは隔壁の上部を上にして接着剤のタンクに配置される。
b、薄片が設定したレベルまで下げられ、それにより接着剤が、ハニカムの薄片の厚さまで上昇しキャップの底面をカバーすることが可能になる。
c、キャップ側までの接着剤の浸漬レベルは典型的には0.381cm(0.150インチ)である。接着剤は、最後の典型的な0.09525cm(0.0375インチ)吸い上げられて、メッシュ繊維を閉じロックし、ハニカム壁にキャップを接着させる。
接着剤の硬化サイクルは以下のように行われる。
浸漬及び排出のすぐ後で、コアを148.9℃(300°F)のオーブンに入れる。接着剤は、148.9℃(300°F)で30分、176.7℃(350°F)で30分、及び204.4℃(400°F)で30分間の硬化サイクルにかけられる。
【0046】
メッシュ及び隔壁コアの吸音試験
1、SEFAR America,Inc.によって提供された上述のメッシュは、250N・s/m(25レール(cgs単位))から1200N・s/m(120レール(cgs単位))の音響インピーダンスをもたらすように、サプライヤが調節することができる。
2、隔壁コアの音響インピーダンスの範囲もまた、メッシュに配置された接着剤の量によって調節することができる。ハニカムに挿入される500N・s/m(50レール(cgs単位))メッシュの実施例を利用。キャップ両面の接着剤の浸漬レベルが0.254cm(0.100インチ)までである場合。接着剤ラインより上の追加の未シールのメッシュは、典型的に420N・s/m(42レール(cgs単位))までセルの最終的なコアのインピーダンスを低減させる。これは、この設計で利用可能な最低のインピーダンスになる。接着剤が0.4762cm(0.1875インチ)のレベルまでシールする場合は、典型的なインピーダンスは700N・s/m(70レール(cgs単位))になる。
【0047】
メッシュ及びコアのための試験方法
吸音評価には2つの試験方法を利用することができる。レイロメータ又は通気性のための個々のセルの真空試験。レイロメータは単位がレール(cgs単位)であり、個々のセル真空は単位がキロ・パスカルである。キャップがメッシュのみ(接着剤なし)の場合と上述のようにキャップが接着剤で適位置に接着されている場合の、吸音隔壁キャップ用ハニカムの吸音評価の結果を以下の表に示す。
【0048】
【表1】


メッシュのみのコアの場合の真空の読取りは、内径0.635cm(0.250インチ)の真空試験のヘッドを用いて行われ、メッシュが開口部に対してシールされている。隔壁コアの真空の読取りは、3.492cm(1と3/8インチ)の隔壁セルの内側で行われる。これは、内径1.006cm(0.396インチ)の試験ヘッドと同様である。この真空ヘッドは以下のように校正される。真空の読取りが外気に開いているときは20KPa、外気に対して完全にシールされているときは80KPa。
【0049】
メッシュ領域(より多くの穴)が増えるにつれて音響インピーダンスの読取り値が小さくなることに留意されたい。典型的な共振器メッシュは、2%から4%の開口領域を有する。音波が吸音メッシュを通るときに、波の圧力によりメッシュの粒子が動く。音のインピーダンスは、圧力とメッシュ中で発生する粒子速度の比である。言い換えると、音響インピーダンスは、メッシュ上の音波の圧力を、メッシュの瞬間的な粒子速度によって割ったものである。上述のように、ここでの音響インピーダンスの測定単位は、cgs単位系のレールである。実際のcgs単位系のレールは、「ダイン秒/立方メートル」である。MKS単位のレールの吸音抵抗は、「パスカル秒/メートル」で表される。cgs単位の1レールはMKS単位の10レールに等しい。音響インピーダンス及びメッシュ材料の両端の真空圧力降下は、開口面積(単位面積当たりの穴の数及びサイズ)に依存している。
【0050】
例えば、Sefarメッシュ部品番号17−2005−W022を用いるときは、(上記で説明したように準備された)隔壁コアの様々なサイズの円形メッシュ面積の圧力降下は、以下の通りであった。
【0051】
【表2】


この表は、穴の数がメッシュ面積と共に増加し、より大きい隔壁メッシュ領域にわたる圧力降下が低いことを示す。
【0052】
上記で説明したような例示的な隔壁コアで使用されるSefarメッシュ部品番号17−2005−W022は、隔壁キャップ・メッシュの開口部の直径が0.9017cm(0.355インチ)であり、この設計で真空読取りでは31kPa、レールの読取りでは700N・s/m(70レール(cgs単位))であった。
【0053】
0.9525cm(3/8インチ)のハニカム・セルの吸音メッシュの両端で真空降下が測定されると、読取り値は25から35kPaになり、0.9525cm(3/8インチ)ハニカム・セルのメッシュの音響インピーダンスは、500N・s/m(50レール(cgs単位))から1200N・s/m(120レール(cgs単位))になる。
【0054】
上記の実施例から明らかなように、ハニカムに隔壁キャップを接着させるために異なる量の接着剤を使用と、六角形のセルのメッシュ領域の効果的な量を増減することができるようになる。これにより、吸音レール値を制御することができる。例えば、600N・s/m(60レール(cgs単位))のメッシュを隔壁キャップに使用する場合。セルのインピーダンスは、キャップの上面のメッシュが接着剤でカバーされないようにすることによって500N・s/m(50レール(cgs単位))まで低くすることができる。この手法は、セルのメッシュにより多くの開放領域を生成し、有効な音響インピーダンスを低くする。接着剤が側面及びキャップの垂直面と隔壁キャップの水平な上面との間の半径部分を完全にカバーする場合は、インピーダンスは750N・s/m(75レール(cgs単位))まで増大する。
【0055】
このように本発明の例示的な実施例を説明してきたが、開示されているものには例示的なもののみが含まれ、本発明の範囲内で様々な変更、適合及び修正を行うことができることに当業者には留意されたい。したがって、本発明は、上記の好ましい実施例及び実施例に限定されるものではないが、以下の請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音源の近くに配置するようにされた吸音構造であって、
前記騒音源の最も近くに配置される第1の縁部と、第2の縁部とを備えるハニカムであって、前記第1の縁部と第2の縁部の間に延在する複数の壁をさらに備え、前記壁が、複数のセルを画定し、前記セルがそれぞれ、前記壁に垂直に測定した断面領域及び前記第1の縁部と第2の縁部の間の距離によって画定された深さを有するハニカムと、
前記セルのうち少なくとも1つの内部に配置された隔壁キャップであって、厚さ及び外周を有するシート状の吸音材からなり、前記シート状の吸音材が、前記壁に配置された外側縁部を有する共振器部分と、前記共振器部分の前記外側縁部と前記シート状の吸音材の外周の間を延びるフランジ部分とを形成し、前記隔壁キャップが、前記共振器部分の前記外側縁部に沿って配置された接着剤フロー・バリアを備える、隔壁キャップと、
前記アンカ面を前記壁に接着させる接着剤であって、前記アンカ面の少なくとも一部分をカバーする接着剤とを備える、吸音構造。
【請求項2】
前記シート状の吸音材が、編んだ繊維からなる開口メッシュ布からなっている、請求項1に記載の吸音構造。
【請求項3】
前記編んだ繊維が、モノフィラメント・ポリマー繊維である、請求項2に記載の吸音構造。
【請求項4】
前記シート状の吸音材が、前記外周に沿って配置された1つ又は複数の折畳み補助部を備える、請求項1に記載の吸音構造。
【請求項5】
前記接着剤フロー・バリアが、平らにしたモノフィラメント繊維からなる、請求項3に記載の吸音構造。
【請求項6】
少なくとも2つの隔壁が、前記セルに配置され、前記隔壁キャップが、前記セル内で異なる深さに配置されている、請求項1に記載の吸音構造。
【請求項7】
前記吸音構造が、複数のセルのほぼ同じ深さに配置される複数の隔壁キャップを備える、請求項1に記載の吸音構造。
【請求項8】
前記シート状の吸音材が、複数の開口部を有し、前記開口部のサイズが、前記接着剤フロー・バリア以下に縮小されている、請求項1に記載の吸音構造。
【請求項9】
厚さ及び外周を有するシート状の吸音材を備え、前記シート状の吸音材が共振器部分を備え、前記共振器部分が、外側縁部と、前記共振器部分の前記外側縁部と前記シート状の吸音材の外周との間を延びるフランジ部分とを有し、前記シート状の吸音材が、前記共振器部分の前記外側縁部に沿って配置された接着剤フロー・バリアを備えている、隔壁キャップ前身。
【請求項10】
前記シート状の吸音材が、編んだ繊維を含む開口メッシュ布を含む、請求項9に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項11】
前記開口メッシュ布が、モノフィラメント・ポリマー繊維からなる、請求項10に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項12】
前記シート状の吸音材が、前記外周に沿って配置された1つ又は複数の折畳み補助部を備える、請求項9に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項13】
前記接着剤フロー・バリアが、平らにしたモノフィラメント繊維からなる、請求項11に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項14】
前記共振器部分の外側縁部が六角形である、請求項9に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項15】
前記外周が八角形である、請求項9に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項16】
前記シート状の吸音材が複数の開口部を備え、前記開口部のサイズが、前記接着剤フロー・バリア以下に縮小されている、請求項9に記載の隔壁キャップ前身。
【請求項17】
騒音源の近くに配置されるようにされた吸音構造を作製する方法であって、
前記騒音源の最も近くに配置される第1の縁部と、第2の縁部とを備えるハニカムであって、前記ハニカムがさらに、前記第1の縁部と第2の縁部との間を延在する複数の壁を備え、前記壁が複数のセルを画定し、前記セルがそれぞれ、前記壁に垂直に測定した断面領域及び前記第1の縁部と第2の縁部と間の距離によって画定された深さを有する、ハニカムを提供するステップと、
厚さ及び外周を有し、接着剤フロー・バリアを有する少なくとも1つのシート状の吸音材を提供するステップと、
前記シート状の吸音材から、外側縁部を有する共振器部分と、前記共振器部分の前記外側縁部と前記シート状の吸音材の外周との間を延在するフランジ部分とを備えた隔壁キャップを形成するステップであって、前記接着剤フロー・バリアが、前記共振器部分の前記外側縁部に沿って配置される、ステップと、
前記ハニカムのセルに前記隔壁キャップを挿入するステップであって、前記フランジ部分が、前記壁と接触する、ステップと、
前記アンカ留めフランジ部分を前記壁に接着剤で接着するステップと
を含む、吸音構造作製方法。
【請求項18】
前記シート状の吸音材が、前記接着剤フロー・バリア内で平らにされた開口メッシュ布からなる、請求項17に記載の吸音構造を作成する方法。
【請求項19】
前記シート状の吸音材が、前記接着剤フロー・バリア内で平らにされた、編んだモノフィラメント繊維を含む開口メッシュ布からなる、請求項17に記載の吸音構造を作製する方法。
【請求項20】
前記シート状の吸音材が、前記外周に沿って配置された1つ又は複数の折畳み補助部を備えている、請求項17に記載の吸音構造を作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−522291(P2010−522291A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554522(P2009−554522)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/002070
【国際公開番号】WO2008/118264
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(503308494)ヘクセル コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】