順行性展開用プロテーゼ
外科的開腹修復に使用される管腔内管状プロテーゼ(100)は、長手方向軸線、複数の自己拡張型ステントを有し且つ長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分(104)、及び第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2ステントレス管状部分(106)を有する管状グラフト(102)を備える。管状プロテーゼは、そこから分岐する複数の管状分岐部材(120,130,140)を、大動脈弓からの分岐等の分岐動脈を塞ぐことなく治療するために、含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈等の人体管腔に留置するのに適したグラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
ステント、グラフト、及びステントグラフト(例えば、グラフト材料を備える内側及び/又は外側カバーを有するステントであって、カバーステントと呼ばれる場合がある)等の管状プロテーゼは、人体管路の異常を治療するために用いられている。血管用途において、これらのデバイスは、狭窄血管もしくは動脈瘤血管等の、閉塞血管、病変血管、又は損傷血管を置換やバイパスするために用いられることが多い。例えば、動脈瘤等の血管疾患を治療するために、フレーム構造(例えば、1つもしくは複数のステント又はステント様構造)によって支持される生体適合性グラフト材料(Dacron(登録商標)織物、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又はそれ以外のポリマー等のポリエステル材料)を備えるステントグラフトを用いることがよく知られている。フレーム構造は、機械的支持をもたらし、グラフト材料又はライナーは、血管路をもたらす。ステントグラフトを製造する手法は、正弦波形態を有してもよい1つもしくは複数のステント又は環状金属スプリング要素を、Dacron(登録商標)、ePTFE、及びその他のポリマーのようなポリエステル材料等の織物材料又は積層材料に縫い付けることを含む。多くのステントグラフトは、ステントグラフトとそれが展開される位置の血管との間の固定を強化するために、多くのステントグラフトの一端部もしくは両端部には、ベアスプリング又はクラウンステントが取り付けられている。ベアスプリング又はクラウンステントは、アンカーデバイスとも呼ばれる。動脈瘤を治療する際、グラフト材料は、典型的に、動脈瘤の血管内排除を促進するために血液不浸透性管腔を形成する。
【0003】
上行大動脈又は大動脈弓にある胸部大動脈瘤を開胸手術で治療する際、外科医は、心臓及び上行大動脈にアクセスするために胸骨正中切開を行う。外科医は、出血を制御するために大動脈をクランプすることになる。外科医は、上行大動脈内部にアクセスするために大動脈弓近位の上行大動脈に開口部を切開し、動脈瘤を排除するために大動脈に外科用グラフトを縫合することになる。上行大動脈にアクセスするこの方法は、大動脈弁を修復するためにも用いられる。大動脈弓の外科的修復が必要である場合、外科医は、血液がグラフトから患者の頭部及び腕へと流れることが可能となるように、左総頸動脈、左鎖骨下動脈、及び腕頭動脈のバイパス又は置換にグラフトを用いる場合がある。グラフトは、左総頸動脈、左鎖骨下動脈、及び腕頭動脈に縫い付けられてもよい分岐部材を含んでもよい。
【0004】
患者の動脈瘤が大動脈弓から下行大動脈に延びる場合、外科医は、胸骨正中切開ではアクセスが不十分であるために、患者の横腹に別の大きな切開を行うことが必要になる。
【0005】
現在、下行大動脈の胸部動脈瘤治療に用いることが可能なステントグラフトが存在する。このステントグラフトは、大腿動脈から血管系へと導入されるカテーテルを介して胸部大動脈へと送達される。カテーテルは、大動脈内部に動脈瘤を排除するステントグラフトを展開する。しかしながら、これらのステントグラフトは、外科的ハイブリッド処置を行わない限り、弓部の動脈瘤を排除するのに用いることができない。
【0006】
このハイブリッド処置は、腕頭動脈から左頸動脈及び左鎖骨下動脈の間にグラフトを縫い付けるものである。次いで、別のステントグラフトが、大腿動脈に導入され、腕頭動脈よりすぐ遠位で開始する大動脈の弓部に及んで展開される。ステントグラフトは、血液の弱くなった部分を置換又はバイパスするために、動脈瘤嚢(範囲)にわたって、動脈瘤嚢の近位端部及び遠位端部を超えて延びる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動脈瘤を治療するための代替プロテーゼ及びその留置方法を開発する必要性が依然としてある。
【0008】
本発明は、プロテーゼ及び/又はその留置方法の改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と長手方向軸線周りに位置決めされる環状ステント、スプリング、もしくは支持部材を有さない第2ステントレス管状部分とを有する管状グラフトであって、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する、管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分はステントレス管状グラフトを形成する。
【0010】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する。
【0011】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトであって、第1管状部分は長さが少なくとも50mmであり且つ環状支持部材を有さない管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数のステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する。
【0012】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と第1管状部分と第2管状部分とを有する管状グラフトと、複数の管状分岐部材とを備え、第1管状部分は長手方向軸線に沿って延在し、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在し、第1管状部分はそこに固定された複数のステントを含み、第2管状部分は環状支持部材を有さず、複数の管状分岐部材の夫々はそこに固定された少なくとも1つのステントを含み、その複数の管状分岐部材は第2管状部分から分岐し且つ第2管状部分と流体連通する。
【0013】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼ装置は、長手方向軸線と第1管状部分と第2管状部分とを有する管状グラフトであって、第1管状部分は長手方向軸線に沿って延在し、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在し、第1管状部分は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し、第2管状部分は管腔を形成する、管状グラフトと、第2管状部分から分岐する複数の管状分岐部材であって、その管状分岐部材の夫々は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し且つ第2管状部分によって形成された管腔と流体連通する管腔を形成する、複数の管状分岐部材と、複数のスリーブであって、スリーブの夫々は第1管状部分及び複数の管状分岐部材の1つを取り囲み且つ第1管状部分及び複数の管状分岐部材を半径方向圧縮形態に拘束する複数のスリーブとを備える。
【0014】
本発明の他の実施形態では、動脈瘤を治療する方法は、複数のステントを備える拘束された第1自己拡張型管状部分及び第2管状ステントレス部分を有する管状プロテーゼを、第1管状部分が半径方向に圧縮された状態で、血管に通し、第1管状部分が標的部位に及ぶ血管が露出されていない位置まで進めるステップと、第1管状部分の拘束を解き、第1管状部分を半径方向に拡張させるステップと、管状プロテーゼの第2管状ステントレス部分を、血管が露出されている位置で血管に固定するステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明によるプロテーゼの一実施形態を図示する。
【図1B】図1Aに図示される実施形態を、複数の展開機構を備えた送達状態で図示し、その各展開機構は、図1Aに示される圧縮されていない形態と比較して半径方向に径が圧縮又は縮小された形態で、プロテーゼの一部を拘束する拘束部を有する。
【図1C】図1A及び図1Bに示される複数の展開機構のコアカテーテルシャフト要素の覆いなしフレームを図示し、その各フレームは、挿入者である医師から離れた挿入中カテーテルのシャフト端部において、各シースの後退時にも、張力で拡張されて各シャフト端部に固定されるステントグラフトプロテーゼの一端部を保持するよう構成される鉤状プロテーゼ先端掴み要素を有する。
【図2A】図1Aのプロテーゼの一部分を含む1つの拘束機構の長手方向部分断面図である。
【図2B】図2Aの装置の切断線2B−2Bでの端面図である。
【図2C】図2Aで示されたプロテーゼの一部分の部分的展開を図式的に示し、スリーブ状の拘束部の分割及び回収を描写したものである。
【図2D】図2Cで展開されているプロテーゼの一部分の更なる展開を図式的に示す。
【図3A−E】図3A−Eは、図2A及び図2Bに示されるプロテーゼの1つの使用方法を図式的に示す。図3Aは、胸骨正中切開が行われて心臓及びその大動脈弓を露出した後の医師の視野を図式的に示す。図3Bは、大動脈(下行大動脈は一般的に胸骨正中切開では見えない)の側面図と、上行大動脈及び大動脈弓に形成された切開部を図式的に示す。図3Cは、デバイスの一端部が上行大動脈の切開部を通って、大動脈弓を通って、下行大動脈へと導入された後の、図2Bに示されるような拘束部を備える図1Aのプロテーゼを図式的に示す。図3Dは、プロテーゼの一部分の部分的展開を図式的に示す。図3Eは、完全に展開されたプロテーゼを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記述は図面を参照してなされるが、各種図面を参照する際、類似の番号又は文字は類似の構成要素を意味する。
【0017】
本発明による一実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と複数の自己拡張型ステントを有し且つ長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2ステントレス管状部分とを有する管状グラフトを備える。この形態では、動脈瘤(例えば、下行大動脈に沿って延びる胸部大動脈瘤)を治療するために順行性アプローチを用いてもよく、医師は、第1管状部分が半径方向に圧縮された状態で、第1管状部分を、露出された血管の開口部(例えば、胸骨正中切開後に上行大動脈に形成された開口部)に通し、血管に通して、第1管状部分が標的部位に及ぶ露出されていない血管の位置(例えば、胸骨正中切開後の下行大動脈)まで進め、そこで第1管状部分を拡張させ、血管が露出されている位置(例えば、胸骨正中切開中に露出されている上行大動脈に沿って)において第2管状部分が血管に縫い付けられる。その他の利点は、以下の記述から明らかなものとなる。
【0018】
図1Aを参照すると、本発明のプロテーゼの一実施形態が、全体を符号100で示されている。プロテーゼ100は、長手方向軸線「A」と第1及び第2管状部分104,106とを有する管状グラフト(部材)102を含む。第1管状部分104は、複数のステントを含み、第2管状部分106はステントを有さない。言い換えると、第1管状部分104は、ステントグラフトもしくはカバーステントを形成するかそれに相当し、第2管状部分106は、ステントレス管状グラフトを形成するかそれに相当する。図1Aに図示される実施形態では、第2管状部分106は、環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない。管状グラフト102は、ポリエステル、PTFE、ePTFE、UHMWPE、PET、Kevlar(登録商標)繊維、Dacron(登録商標)織物、又はPEEK材料等の任意の適した材料で作られてもよい。管状グラフト102の第1管状部分104は、そこにステント108a,108b,108c,108d,108e,108f及び108gを固定し、これらステントは縫合等の任意の公知技術を用いてグラフトに固定される。しかしながら、用途及び部分104の所望の長さに応じて、用いられるステントが多くなっても少なくなってもよい。第1管状部分104は、シールスプリング110のようなシールスプリングが設けられてもよく、このスプリングも同様に管状グラフトに縫合されてもよい。ベアスプリング112のようなベアスプリングは、クラウンステントとも呼ばれ、血管でプロテーゼのアンカーを補助するものであるが、これもまた任意選択であり、シールスプリング110に隣接して第1管状部分104に固定されてもよい。ステント、シールスプリング、及びベアスプリングは、波状形態を有し且つニチノール又は任意のその他の適した材料から形成されてもよい環状部材である。
【0019】
管状グラフト102の第1管状部分104は、露出第1端部104a及び第2盲端部104bを有する。管状グラフト102の第2管状部分106も同様に、露出第1端部106a及び第2盲端部106bを有する。管状部分104,106は、単一片のグラフト材料で一体成形されてもよく、別個に形成され、互いに盲端部104b,106bで縫合等の任意の公知技術を用いて固定されてもよく、また織り合わされてもよい。例えば、第1管状部分104は、ステントグラフト(またはカバーステント)として作られ、その後、例示実施形態では環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない管状グラフト部分106に固定されてもよい。
【0020】
プロテーゼ100はまた、例示の実施形態では第2管状部分106から分岐するステントグラフト(又はカバーステント)120,130,130に相当する、3つの管状分岐又は分岐部材を含む。管状部材102は管腔を形成し、各分岐部材、すなわちステントグラフト120,130,130は、管状部材102によって形成された管腔と流体連通する管腔を形成する。ステントグラフト120は、管状グラフト122、管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント124a,124b,124c、管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング126、及び管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)128を含む。ステントグラフト130は、管状グラフト132、管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント134a,134b,134c、管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング136、及び管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)138を含む。ステントグラフト140は、管状グラフト142、管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント144a,144b,144c、管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング146、及び管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)148を含む。ステントグラフト120,130,140は、管状部材102の第2管状部分106に縫い合わせ又は縫合されてもよい。3つの分岐部材が管状部材102の第2管状部分106に固定されて示されているが、用途に応じてより少ない数の分岐部材が用いられてもよい(例えば、プロテーゼは1つの分岐部材を含んでもよく、1つも含まなくてもよい)。
【0021】
プロテーゼの寸法は、用途に応じて決まることになる。心臓切開手術中に上行大動脈から下行大動脈への順行性展開に使用される場合、第2管状部分106は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L2」が少なくとも50mmとなり、この長さは、第1管状部分が展開された後に大動脈の外側から切断され、第2管状部分106の第1端部106a又はそこに隣接する部分が上行大動脈に縫合された後にトリミングされる追加的長さを、大動脈弓の最短長さに加えた長さに相当する。この用途において、第1管状部分104は、典型的に長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L1」が100mm〜約500mmとなり、典型的に約200mmとなる。ステントグラフト分岐部材は、腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈に留置するように構成され、典型的に約20mm〜約80mmの長さとなる。別の例では、プロテーゼは、浅大腿動脈において動脈瘤又は狭窄を治療するために留置される。この例では、プロテーゼ100は分岐部材を有さない。患者の鼠径部が大腿動脈に向かって切開され、大腿動脈がクランプされ、大腿動脈が切開される。このプロテーゼは、大腿動脈に導入され、浅大腿動脈全体を通って膝窩動脈まで進められる。言い換えると、プロテーゼは患者の股関節部から膝関節部までに留置される。第1管状部分を拡張させるために第1管状部分の拘束が解放され、典型的に環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない第2管状部分が大腿動脈の外側で切断され、鼠径部付近の大腿動脈に縫合され、トリミングされる。この用途では、第2管状部分106は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L2」が少なくとも100mm〜最大約1000mmとなる。管状グラフト102の第1管状部分104(ステントを有する部分)は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L1」が少なくとも30mmとなり、この長さは典型的には2つ又は3つのステントを有するステントグラフトに相当する。
【0022】
図1Bを参照すると、プロテーゼ100は、展開機構すなわちデバイス200,300,400,500において半径方向に圧縮及び拘束された第1管状部分104及び分岐部材120,130,140を備えた、送達状態で示される。本実施形態では、第1管状部分104及び分岐部材120,130,140の夫々は、自己拡張型ステントグラフトである。各展開機構又はデバイスは、血管を通って前進又は管腔内を前進すべく、半径方向に径が圧縮又は縮小された形態でプロテーゼの一部を拘束するために、例示実施形態では管状分割可能スリーブ202,302,402,502の形状である、拘束部を含む。より具体的には、分割可能スリーブ202,302,402,502は、ステントグラフト(又はカバーステント)104,120,130,140を、内管208,308,408,508の遠位端部周りに半径方向に圧縮された状態で拘束する。
【0023】
図1Cを参照すると、送達カテーテル要素のコア要素のみが、端部ステント掴みフィンガー209,309,409,509を描写して示される。これらのフィンガーは、周囲スリーブが分割され後退された時に、夫々の周囲スリーブに含まれるプロテーゼ部分が、周囲スリーブとともに後ろに移動することを防ぐ働きをする。これらのフィンガーは、夫々の周囲管腔において、グラフト材料及びステントグラフト要素を確実に完全に拡張する。
【0024】
図2Aを参照すると、展開機構すなわちデバイス200の部分断面が示される。展開機構200,300,400,500は全て同じ構造を有しているため、展開機構200のみを詳細に説明する。展開機構200は、タブ206a,206bが半径方向に延在する環状ハブ部204が延在する外側分割可能拘束部又はスリーブ202を含み、これら全てが単一片構造として一体成形されてもよい。環状ハブ部204は、ハブ部204の長手方向全範囲に及んで厚さが薄い部分204a,204bを有する。スリーブ202及びスリーブハブ部及び206はポリエチレン等の比較的柔らかいプラスチック材料であり、したがって、タブ206a,206bが引き離された時に、薄い部分が分割し、スリーブ202に形成された直径方向に対向した分割物は、人がタブを引張り続けるにつれてスリーブ202に沿って分割し続ける。内管208が、スリーブ202内部に配置され、その中で任意選択のガイドワイヤ600が摺動可能に配置されてもよい。管208には、テーパ先端部210が一体成形され且つ保持フィンガー209が取り付けられ、1つのフィンガーは、展開されるプロテーゼ部分の端部ステントの各クラウンと係合する。管状部材102の第1部104は、端部ステントのクラウンが保持フィンガー209によって係合され掴まれた状態で、半径方向に圧縮され、管208を覆って挿入される。第1部104は、管208とスリーブ202との間に位置決めされる。管208の長さは、医師又は操作者が、スリーブが分割及び後退するように管208を静止状態に維持するために、タブ206a,206bが半径方向に引き離されている間、管208を保持して圧縮力を保持フィンガー209に順に伝えるのに十分な長さである。図2C及び図2Dは、部分104を展開するためにスリーブがどのように分割されるかを図示する。図2Cを参照すると、医師又は操作者が管208を固定保持する。別の医師又は操作者がタブ206a,206bを引張り、スリーブ202の分割及び後退を同時に行うと、第1管状部分104が図2Cに示される如く展開を開始する。タブがさらに引張られると、図2Dに示されるように、スリーブが完全に分割され且つ第1管状部分が完全に展開されるまで、スリーブがさらに回収される(図3E参照)。
【0025】
図3A−3Eを参照すると、プロテーゼ100を使用する1つの方法が図式的に示される。図3Aは、患者の心臓10及び大動脈20の一部が示される胸骨正中切開を図式的に示す。一般的に言えば、左鎖骨下動脈より遠位の大動脈部分(即ち、下行大動脈)は、患者を側臥位に変えて、患者の横腹において肋骨にひびを入れて下行大動脈に向かって切開しない限り、手術時には外側からは見えず、またアクセスできない。図3Bは、大動脈基部22から延び、且つ上行大動脈24、大動脈弓26、及び下行大動脈28を含む大動脈20の側面図を図式的に示し、大動脈弓近位の領域から左鎖骨下動脈50より遠位の大動脈領域へと延びる動脈瘤「A」をバイパスするために、プロテーゼ100がどのように下行大動脈に導入されるかを示す。医師は、大動脈にプロテーゼを導入するために切開部24iを上行大動脈24に作成し、医師がプロテーゼ分岐部材を分岐動脈30(腕頭動脈),40(左総頸動脈),50(左鎖骨下動脈)に挿入してタブ206a,206bを以下に詳述する如く操作可能となるように、めくられることが可能な長手方向切開部26iを大動脈弓26に作成する。図3Cは、プロテーゼ100を、図1Bを参照して上述した如く送達状態で、切開部24iを通って導入された後、展開機構又はデバイス200に存する第1管状部分104が下行大動脈28に配置され、展開機構又はデバイス300,400,500に存する分岐ステントグラフト120,130,140が腕頭動脈30、左総頸動脈40、及び左鎖骨下動脈50に配置されている状態で図式的に示す。任意選択のガイドワイヤ600が用いられた場合、ガイドワイヤ600は切開部24iを通って下行大動脈へと配され、その後、プロテーゼ100にガイドワイヤをたどらせる。図3Dを参照すると、管208は、管208と展開するべく含まれたプロテーゼ部分とが軸方向に拘束され、タブ206a,206bが引張られてスリーブ202を分割し後退させるように、保持される。スリーブ202が完全に2つの分離片に分割され、ステントグラフト部分104が完全に展開された後、スリーブ202、ガイドワイヤ600、及び管208が除去される。そして、分岐ステントグラフト120,130,140を解放するために、スリーブ302,402,502が同様に分割及び後退される。スリーブ302,402,502、及び管308,408,508が除去される。管状グラフト102の近位端は心臓に最も近い端部であり、図3Eに示される如く、ライン「S」で示されるように大動脈に縫合され、切開部は縫合閉鎖される。切開部24i,26iは符号24s,26sで示されるように縫合閉鎖される。
【0026】
本明細書に記載されるどの実施形態に記載されるいずれの特徴も、別の実施形態のいずれかに記載されている任意の別の特徴と又は本明細書に記載される特徴と組み合わされてよい。さらに、本明細書に開示されるデバイスおよび方法の変更及び改良は、当業者には容易に明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動脈等の人体管腔に留置するのに適したグラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
ステント、グラフト、及びステントグラフト(例えば、グラフト材料を備える内側及び/又は外側カバーを有するステントであって、カバーステントと呼ばれる場合がある)等の管状プロテーゼは、人体管路の異常を治療するために用いられている。血管用途において、これらのデバイスは、狭窄血管もしくは動脈瘤血管等の、閉塞血管、病変血管、又は損傷血管を置換やバイパスするために用いられることが多い。例えば、動脈瘤等の血管疾患を治療するために、フレーム構造(例えば、1つもしくは複数のステント又はステント様構造)によって支持される生体適合性グラフト材料(Dacron(登録商標)織物、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又はそれ以外のポリマー等のポリエステル材料)を備えるステントグラフトを用いることがよく知られている。フレーム構造は、機械的支持をもたらし、グラフト材料又はライナーは、血管路をもたらす。ステントグラフトを製造する手法は、正弦波形態を有してもよい1つもしくは複数のステント又は環状金属スプリング要素を、Dacron(登録商標)、ePTFE、及びその他のポリマーのようなポリエステル材料等の織物材料又は積層材料に縫い付けることを含む。多くのステントグラフトは、ステントグラフトとそれが展開される位置の血管との間の固定を強化するために、多くのステントグラフトの一端部もしくは両端部には、ベアスプリング又はクラウンステントが取り付けられている。ベアスプリング又はクラウンステントは、アンカーデバイスとも呼ばれる。動脈瘤を治療する際、グラフト材料は、典型的に、動脈瘤の血管内排除を促進するために血液不浸透性管腔を形成する。
【0003】
上行大動脈又は大動脈弓にある胸部大動脈瘤を開胸手術で治療する際、外科医は、心臓及び上行大動脈にアクセスするために胸骨正中切開を行う。外科医は、出血を制御するために大動脈をクランプすることになる。外科医は、上行大動脈内部にアクセスするために大動脈弓近位の上行大動脈に開口部を切開し、動脈瘤を排除するために大動脈に外科用グラフトを縫合することになる。上行大動脈にアクセスするこの方法は、大動脈弁を修復するためにも用いられる。大動脈弓の外科的修復が必要である場合、外科医は、血液がグラフトから患者の頭部及び腕へと流れることが可能となるように、左総頸動脈、左鎖骨下動脈、及び腕頭動脈のバイパス又は置換にグラフトを用いる場合がある。グラフトは、左総頸動脈、左鎖骨下動脈、及び腕頭動脈に縫い付けられてもよい分岐部材を含んでもよい。
【0004】
患者の動脈瘤が大動脈弓から下行大動脈に延びる場合、外科医は、胸骨正中切開ではアクセスが不十分であるために、患者の横腹に別の大きな切開を行うことが必要になる。
【0005】
現在、下行大動脈の胸部動脈瘤治療に用いることが可能なステントグラフトが存在する。このステントグラフトは、大腿動脈から血管系へと導入されるカテーテルを介して胸部大動脈へと送達される。カテーテルは、大動脈内部に動脈瘤を排除するステントグラフトを展開する。しかしながら、これらのステントグラフトは、外科的ハイブリッド処置を行わない限り、弓部の動脈瘤を排除するのに用いることができない。
【0006】
このハイブリッド処置は、腕頭動脈から左頸動脈及び左鎖骨下動脈の間にグラフトを縫い付けるものである。次いで、別のステントグラフトが、大腿動脈に導入され、腕頭動脈よりすぐ遠位で開始する大動脈の弓部に及んで展開される。ステントグラフトは、血液の弱くなった部分を置換又はバイパスするために、動脈瘤嚢(範囲)にわたって、動脈瘤嚢の近位端部及び遠位端部を超えて延びる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動脈瘤を治療するための代替プロテーゼ及びその留置方法を開発する必要性が依然としてある。
【0008】
本発明は、プロテーゼ及び/又はその留置方法の改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と長手方向軸線周りに位置決めされる環状ステント、スプリング、もしくは支持部材を有さない第2ステントレス管状部分とを有する管状グラフトであって、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する、管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分はステントレス管状グラフトを形成する。
【0010】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する。
【0011】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトであって、第1管状部分は長さが少なくとも50mmであり且つ環状支持部材を有さない管状グラフトと、第1管状部分に固定された複数のステントとを備え、第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する。
【0012】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と第1管状部分と第2管状部分とを有する管状グラフトと、複数の管状分岐部材とを備え、第1管状部分は長手方向軸線に沿って延在し、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在し、第1管状部分はそこに固定された複数のステントを含み、第2管状部分は環状支持部材を有さず、複数の管状分岐部材の夫々はそこに固定された少なくとも1つのステントを含み、その複数の管状分岐部材は第2管状部分から分岐し且つ第2管状部分と流体連通する。
【0013】
本発明の他の実施形態では、管状プロテーゼ装置は、長手方向軸線と第1管状部分と第2管状部分とを有する管状グラフトであって、第1管状部分は長手方向軸線に沿って延在し、第2管状部分は第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在し、第1管状部分は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し、第2管状部分は管腔を形成する、管状グラフトと、第2管状部分から分岐する複数の管状分岐部材であって、その管状分岐部材の夫々は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し且つ第2管状部分によって形成された管腔と流体連通する管腔を形成する、複数の管状分岐部材と、複数のスリーブであって、スリーブの夫々は第1管状部分及び複数の管状分岐部材の1つを取り囲み且つ第1管状部分及び複数の管状分岐部材を半径方向圧縮形態に拘束する複数のスリーブとを備える。
【0014】
本発明の他の実施形態では、動脈瘤を治療する方法は、複数のステントを備える拘束された第1自己拡張型管状部分及び第2管状ステントレス部分を有する管状プロテーゼを、第1管状部分が半径方向に圧縮された状態で、血管に通し、第1管状部分が標的部位に及ぶ血管が露出されていない位置まで進めるステップと、第1管状部分の拘束を解き、第1管状部分を半径方向に拡張させるステップと、管状プロテーゼの第2管状ステントレス部分を、血管が露出されている位置で血管に固定するステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明によるプロテーゼの一実施形態を図示する。
【図1B】図1Aに図示される実施形態を、複数の展開機構を備えた送達状態で図示し、その各展開機構は、図1Aに示される圧縮されていない形態と比較して半径方向に径が圧縮又は縮小された形態で、プロテーゼの一部を拘束する拘束部を有する。
【図1C】図1A及び図1Bに示される複数の展開機構のコアカテーテルシャフト要素の覆いなしフレームを図示し、その各フレームは、挿入者である医師から離れた挿入中カテーテルのシャフト端部において、各シースの後退時にも、張力で拡張されて各シャフト端部に固定されるステントグラフトプロテーゼの一端部を保持するよう構成される鉤状プロテーゼ先端掴み要素を有する。
【図2A】図1Aのプロテーゼの一部分を含む1つの拘束機構の長手方向部分断面図である。
【図2B】図2Aの装置の切断線2B−2Bでの端面図である。
【図2C】図2Aで示されたプロテーゼの一部分の部分的展開を図式的に示し、スリーブ状の拘束部の分割及び回収を描写したものである。
【図2D】図2Cで展開されているプロテーゼの一部分の更なる展開を図式的に示す。
【図3A−E】図3A−Eは、図2A及び図2Bに示されるプロテーゼの1つの使用方法を図式的に示す。図3Aは、胸骨正中切開が行われて心臓及びその大動脈弓を露出した後の医師の視野を図式的に示す。図3Bは、大動脈(下行大動脈は一般的に胸骨正中切開では見えない)の側面図と、上行大動脈及び大動脈弓に形成された切開部を図式的に示す。図3Cは、デバイスの一端部が上行大動脈の切開部を通って、大動脈弓を通って、下行大動脈へと導入された後の、図2Bに示されるような拘束部を備える図1Aのプロテーゼを図式的に示す。図3Dは、プロテーゼの一部分の部分的展開を図式的に示す。図3Eは、完全に展開されたプロテーゼを図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記述は図面を参照してなされるが、各種図面を参照する際、類似の番号又は文字は類似の構成要素を意味する。
【0017】
本発明による一実施形態では、管状プロテーゼは、長手方向軸線と複数の自己拡張型ステントを有し且つ長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、第1管状部分から長手方向軸線に沿って延在する第2ステントレス管状部分とを有する管状グラフトを備える。この形態では、動脈瘤(例えば、下行大動脈に沿って延びる胸部大動脈瘤)を治療するために順行性アプローチを用いてもよく、医師は、第1管状部分が半径方向に圧縮された状態で、第1管状部分を、露出された血管の開口部(例えば、胸骨正中切開後に上行大動脈に形成された開口部)に通し、血管に通して、第1管状部分が標的部位に及ぶ露出されていない血管の位置(例えば、胸骨正中切開後の下行大動脈)まで進め、そこで第1管状部分を拡張させ、血管が露出されている位置(例えば、胸骨正中切開中に露出されている上行大動脈に沿って)において第2管状部分が血管に縫い付けられる。その他の利点は、以下の記述から明らかなものとなる。
【0018】
図1Aを参照すると、本発明のプロテーゼの一実施形態が、全体を符号100で示されている。プロテーゼ100は、長手方向軸線「A」と第1及び第2管状部分104,106とを有する管状グラフト(部材)102を含む。第1管状部分104は、複数のステントを含み、第2管状部分106はステントを有さない。言い換えると、第1管状部分104は、ステントグラフトもしくはカバーステントを形成するかそれに相当し、第2管状部分106は、ステントレス管状グラフトを形成するかそれに相当する。図1Aに図示される実施形態では、第2管状部分106は、環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない。管状グラフト102は、ポリエステル、PTFE、ePTFE、UHMWPE、PET、Kevlar(登録商標)繊維、Dacron(登録商標)織物、又はPEEK材料等の任意の適した材料で作られてもよい。管状グラフト102の第1管状部分104は、そこにステント108a,108b,108c,108d,108e,108f及び108gを固定し、これらステントは縫合等の任意の公知技術を用いてグラフトに固定される。しかしながら、用途及び部分104の所望の長さに応じて、用いられるステントが多くなっても少なくなってもよい。第1管状部分104は、シールスプリング110のようなシールスプリングが設けられてもよく、このスプリングも同様に管状グラフトに縫合されてもよい。ベアスプリング112のようなベアスプリングは、クラウンステントとも呼ばれ、血管でプロテーゼのアンカーを補助するものであるが、これもまた任意選択であり、シールスプリング110に隣接して第1管状部分104に固定されてもよい。ステント、シールスプリング、及びベアスプリングは、波状形態を有し且つニチノール又は任意のその他の適した材料から形成されてもよい環状部材である。
【0019】
管状グラフト102の第1管状部分104は、露出第1端部104a及び第2盲端部104bを有する。管状グラフト102の第2管状部分106も同様に、露出第1端部106a及び第2盲端部106bを有する。管状部分104,106は、単一片のグラフト材料で一体成形されてもよく、別個に形成され、互いに盲端部104b,106bで縫合等の任意の公知技術を用いて固定されてもよく、また織り合わされてもよい。例えば、第1管状部分104は、ステントグラフト(またはカバーステント)として作られ、その後、例示実施形態では環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない管状グラフト部分106に固定されてもよい。
【0020】
プロテーゼ100はまた、例示の実施形態では第2管状部分106から分岐するステントグラフト(又はカバーステント)120,130,130に相当する、3つの管状分岐又は分岐部材を含む。管状部材102は管腔を形成し、各分岐部材、すなわちステントグラフト120,130,130は、管状部材102によって形成された管腔と流体連通する管腔を形成する。ステントグラフト120は、管状グラフト122、管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント124a,124b,124c、管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング126、及び管状グラフト122に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)128を含む。ステントグラフト130は、管状グラフト132、管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント134a,134b,134c、管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング136、及び管状グラフト132に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)138を含む。ステントグラフト140は、管状グラフト142、管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)された環状波状ステント144a,144b,144c、管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)されたシールスプリング146、及び管状グラフト142に固定(例えば、縫い合わせ)されたベアスプリング(又はクラウンステント)148を含む。ステントグラフト120,130,140は、管状部材102の第2管状部分106に縫い合わせ又は縫合されてもよい。3つの分岐部材が管状部材102の第2管状部分106に固定されて示されているが、用途に応じてより少ない数の分岐部材が用いられてもよい(例えば、プロテーゼは1つの分岐部材を含んでもよく、1つも含まなくてもよい)。
【0021】
プロテーゼの寸法は、用途に応じて決まることになる。心臓切開手術中に上行大動脈から下行大動脈への順行性展開に使用される場合、第2管状部分106は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L2」が少なくとも50mmとなり、この長さは、第1管状部分が展開された後に大動脈の外側から切断され、第2管状部分106の第1端部106a又はそこに隣接する部分が上行大動脈に縫合された後にトリミングされる追加的長さを、大動脈弓の最短長さに加えた長さに相当する。この用途において、第1管状部分104は、典型的に長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L1」が100mm〜約500mmとなり、典型的に約200mmとなる。ステントグラフト分岐部材は、腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈に留置するように構成され、典型的に約20mm〜約80mmの長さとなる。別の例では、プロテーゼは、浅大腿動脈において動脈瘤又は狭窄を治療するために留置される。この例では、プロテーゼ100は分岐部材を有さない。患者の鼠径部が大腿動脈に向かって切開され、大腿動脈がクランプされ、大腿動脈が切開される。このプロテーゼは、大腿動脈に導入され、浅大腿動脈全体を通って膝窩動脈まで進められる。言い換えると、プロテーゼは患者の股関節部から膝関節部までに留置される。第1管状部分を拡張させるために第1管状部分の拘束が解放され、典型的に環状ステント又はシールスプリングのような環状スプリング等の環状支持部を有さない第2管状部分が大腿動脈の外側で切断され、鼠径部付近の大腿動脈に縫合され、トリミングされる。この用途では、第2管状部分106は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L2」が少なくとも100mm〜最大約1000mmとなる。管状グラフト102の第1管状部分104(ステントを有する部分)は、長手方向軸線「A」に沿って測定した長さ「L1」が少なくとも30mmとなり、この長さは典型的には2つ又は3つのステントを有するステントグラフトに相当する。
【0022】
図1Bを参照すると、プロテーゼ100は、展開機構すなわちデバイス200,300,400,500において半径方向に圧縮及び拘束された第1管状部分104及び分岐部材120,130,140を備えた、送達状態で示される。本実施形態では、第1管状部分104及び分岐部材120,130,140の夫々は、自己拡張型ステントグラフトである。各展開機構又はデバイスは、血管を通って前進又は管腔内を前進すべく、半径方向に径が圧縮又は縮小された形態でプロテーゼの一部を拘束するために、例示実施形態では管状分割可能スリーブ202,302,402,502の形状である、拘束部を含む。より具体的には、分割可能スリーブ202,302,402,502は、ステントグラフト(又はカバーステント)104,120,130,140を、内管208,308,408,508の遠位端部周りに半径方向に圧縮された状態で拘束する。
【0023】
図1Cを参照すると、送達カテーテル要素のコア要素のみが、端部ステント掴みフィンガー209,309,409,509を描写して示される。これらのフィンガーは、周囲スリーブが分割され後退された時に、夫々の周囲スリーブに含まれるプロテーゼ部分が、周囲スリーブとともに後ろに移動することを防ぐ働きをする。これらのフィンガーは、夫々の周囲管腔において、グラフト材料及びステントグラフト要素を確実に完全に拡張する。
【0024】
図2Aを参照すると、展開機構すなわちデバイス200の部分断面が示される。展開機構200,300,400,500は全て同じ構造を有しているため、展開機構200のみを詳細に説明する。展開機構200は、タブ206a,206bが半径方向に延在する環状ハブ部204が延在する外側分割可能拘束部又はスリーブ202を含み、これら全てが単一片構造として一体成形されてもよい。環状ハブ部204は、ハブ部204の長手方向全範囲に及んで厚さが薄い部分204a,204bを有する。スリーブ202及びスリーブハブ部及び206はポリエチレン等の比較的柔らかいプラスチック材料であり、したがって、タブ206a,206bが引き離された時に、薄い部分が分割し、スリーブ202に形成された直径方向に対向した分割物は、人がタブを引張り続けるにつれてスリーブ202に沿って分割し続ける。内管208が、スリーブ202内部に配置され、その中で任意選択のガイドワイヤ600が摺動可能に配置されてもよい。管208には、テーパ先端部210が一体成形され且つ保持フィンガー209が取り付けられ、1つのフィンガーは、展開されるプロテーゼ部分の端部ステントの各クラウンと係合する。管状部材102の第1部104は、端部ステントのクラウンが保持フィンガー209によって係合され掴まれた状態で、半径方向に圧縮され、管208を覆って挿入される。第1部104は、管208とスリーブ202との間に位置決めされる。管208の長さは、医師又は操作者が、スリーブが分割及び後退するように管208を静止状態に維持するために、タブ206a,206bが半径方向に引き離されている間、管208を保持して圧縮力を保持フィンガー209に順に伝えるのに十分な長さである。図2C及び図2Dは、部分104を展開するためにスリーブがどのように分割されるかを図示する。図2Cを参照すると、医師又は操作者が管208を固定保持する。別の医師又は操作者がタブ206a,206bを引張り、スリーブ202の分割及び後退を同時に行うと、第1管状部分104が図2Cに示される如く展開を開始する。タブがさらに引張られると、図2Dに示されるように、スリーブが完全に分割され且つ第1管状部分が完全に展開されるまで、スリーブがさらに回収される(図3E参照)。
【0025】
図3A−3Eを参照すると、プロテーゼ100を使用する1つの方法が図式的に示される。図3Aは、患者の心臓10及び大動脈20の一部が示される胸骨正中切開を図式的に示す。一般的に言えば、左鎖骨下動脈より遠位の大動脈部分(即ち、下行大動脈)は、患者を側臥位に変えて、患者の横腹において肋骨にひびを入れて下行大動脈に向かって切開しない限り、手術時には外側からは見えず、またアクセスできない。図3Bは、大動脈基部22から延び、且つ上行大動脈24、大動脈弓26、及び下行大動脈28を含む大動脈20の側面図を図式的に示し、大動脈弓近位の領域から左鎖骨下動脈50より遠位の大動脈領域へと延びる動脈瘤「A」をバイパスするために、プロテーゼ100がどのように下行大動脈に導入されるかを示す。医師は、大動脈にプロテーゼを導入するために切開部24iを上行大動脈24に作成し、医師がプロテーゼ分岐部材を分岐動脈30(腕頭動脈),40(左総頸動脈),50(左鎖骨下動脈)に挿入してタブ206a,206bを以下に詳述する如く操作可能となるように、めくられることが可能な長手方向切開部26iを大動脈弓26に作成する。図3Cは、プロテーゼ100を、図1Bを参照して上述した如く送達状態で、切開部24iを通って導入された後、展開機構又はデバイス200に存する第1管状部分104が下行大動脈28に配置され、展開機構又はデバイス300,400,500に存する分岐ステントグラフト120,130,140が腕頭動脈30、左総頸動脈40、及び左鎖骨下動脈50に配置されている状態で図式的に示す。任意選択のガイドワイヤ600が用いられた場合、ガイドワイヤ600は切開部24iを通って下行大動脈へと配され、その後、プロテーゼ100にガイドワイヤをたどらせる。図3Dを参照すると、管208は、管208と展開するべく含まれたプロテーゼ部分とが軸方向に拘束され、タブ206a,206bが引張られてスリーブ202を分割し後退させるように、保持される。スリーブ202が完全に2つの分離片に分割され、ステントグラフト部分104が完全に展開された後、スリーブ202、ガイドワイヤ600、及び管208が除去される。そして、分岐ステントグラフト120,130,140を解放するために、スリーブ302,402,502が同様に分割及び後退される。スリーブ302,402,502、及び管308,408,508が除去される。管状グラフト102の近位端は心臓に最も近い端部であり、図3Eに示される如く、ライン「S」で示されるように大動脈に縫合され、切開部は縫合閉鎖される。切開部24i,26iは符号24s,26sで示されるように縫合閉鎖される。
【0026】
本明細書に記載されるどの実施形態に記載されるいずれの特徴も、別の実施形態のいずれかに記載されている任意の別の特徴と又は本明細書に記載される特徴と組み合わされてよい。さらに、本明細書に開示されるデバイスおよび方法の変更及び改良は、当業者には容易に明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状プロテーゼであって、
長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトと、
前記第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、
前記第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する、
ことを特徴とする管状プロテーゼ。
【請求項2】
前記第2管状部分はステントを有さない、
請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記第2管状部分から延在する複数の管状分岐部材をさらに含み、
前記第1及び第2管状部分は管腔を形成し、
各管状分岐部材は管腔を形成し、
各分岐部材管腔は前記第1及び第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する、
請求項2記載のプロテーゼ。
【請求項4】
各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項4記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記第2管状部分は前記長手方向軸線に沿って測定した長さが少なくとも50mmである、
請求項2記載のプロテーゼ。
【請求項7】
管状プロテーゼであって、
長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、及び前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトであって、
前記第1管状部分は長さが少なくとも50mmであり且つ環状支持部材を有さない、管状グラフトと、
前記第1管状部分に固定された複数のステントとを備え、
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、
前記第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する、
ことを特徴とする管状プロテーゼ。
【請求項8】
前記第2管状部分から延在する複数の管状分岐部材をさらに含み、
前記第1及び第2管状部分は管腔を形成し、
各管状分岐部材は管腔を形成し、
各分岐部材管腔は、前記第1及び第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する、
請求項7記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項8記載のプロテーゼ。
【請求項10】
管状プロテーゼ装置であって、
長手方向軸線と、第1管状部分と、第2管状部分とを有する管状グラフトであって、前記第1管状部分は前記長手方向軸線に沿って延在し、前記第2管状部分は前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在し、前記第1管状部分は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し、前記第2管状部分は管腔を形成する管状グラフトと、
前記第2管状部分から分岐する複数の管状分岐部材であって、前記管状分岐部材の夫々は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し且つ前記第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する管腔を形成する複数の管状分岐部材と、
複数のスリーブであって、前記スリーブの夫々は前記第1管状部分及び複数の管状分岐部材の1つを囲み且つ前記第1管状部分及び前記複数の管状分岐部材を前記第1及び第2半径方向圧縮形態に拘束する複数のスリーブと、を備える、
ことを特徴とする管状プロテーゼ装置。
【請求項11】
各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項11記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記第1管状部分は前記長手方向軸線に沿って測定した長さが少なくとも50mmである、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項15】
動脈瘤を治療する方法であって、
複数のステントを備える拘束された第1自己拡張型管状部分と、その第1自己拡張型管状部分を備える第2管状ステントレス部分を有する管状プロテーゼを、前記第1自己拡張型管状部分が半径方向に圧縮された状態で、血管に通し、前記第1自己拡張型管状部分が標的部位に及ぶ露出されていない血管の位置まで進めるステップと、
前記第1自己拡張型管状部分の拘束を解き、前記第1自己拡張型管状部分を半径方向に拡張させるステップと、
前記管状プロテーゼの前記第2管状ステントレス部分を、血管が露出されている位置で血管に固定するステップとを備える、
ことを特徴とする動脈瘤を治療する方法。
【請求項16】
前記第1自己拡張型管状部分は患者の大動脈弓を通って下行大動脈へと進む、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記管状プロテーゼはその管状プロテーゼから分岐する複数の管を含み、
各管は左鎖骨下動脈、左総頸動脈、及び腕頭動脈の1つに進む、
請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記ステントレス部分は上行大動脈に固定される、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第2管状ステントレス部分は上行大動脈に縫合される、
請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記第2管状ステントレス部分は血管に縫合される、
請求項15記載の方法。
【請求項1】
管状プロテーゼであって、
長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトと、
前記第1管状部分に固定された複数の自己拡張型ステントとを備え、
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、
前記第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する、
ことを特徴とする管状プロテーゼ。
【請求項2】
前記第2管状部分はステントを有さない、
請求項1記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記第2管状部分から延在する複数の管状分岐部材をさらに含み、
前記第1及び第2管状部分は管腔を形成し、
各管状分岐部材は管腔を形成し、
各分岐部材管腔は前記第1及び第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する、
請求項2記載のプロテーゼ。
【請求項4】
各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項3記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項4記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記第2管状部分は前記長手方向軸線に沿って測定した長さが少なくとも50mmである、
請求項2記載のプロテーゼ。
【請求項7】
管状プロテーゼであって、
長手方向軸線と、前記長手方向軸線に沿って延在する第1管状部分と、及び前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在する第2管状部分とを有する管状グラフトであって、
前記第1管状部分は長さが少なくとも50mmであり且つ環状支持部材を有さない、管状グラフトと、
前記第1管状部分に固定された複数のステントとを備え、
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成し、
前記第2管状部分は自己拡張型ではない管状グラフトを形成する、
ことを特徴とする管状プロテーゼ。
【請求項8】
前記第2管状部分から延在する複数の管状分岐部材をさらに含み、
前記第1及び第2管状部分は管腔を形成し、
各管状分岐部材は管腔を形成し、
各分岐部材管腔は、前記第1及び第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する、
請求項7記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項8記載のプロテーゼ。
【請求項10】
管状プロテーゼ装置であって、
長手方向軸線と、第1管状部分と、第2管状部分とを有する管状グラフトであって、前記第1管状部分は前記長手方向軸線に沿って延在し、前記第2管状部分は前記第1管状部分から前記長手方向軸線に沿って延在し、前記第1管状部分は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し、前記第2管状部分は管腔を形成する管状グラフトと、
前記第2管状部分から分岐する複数の管状分岐部材であって、前記管状分岐部材の夫々は第1形態及び第2半径方向圧縮形態を有し且つ前記第2管状部分によって形成された前記管腔と流体連通する管腔を形成する複数の管状分岐部材と、
複数のスリーブであって、前記スリーブの夫々は前記第1管状部分及び複数の管状分岐部材の1つを囲み且つ前記第1管状部分及び前記複数の管状分岐部材を前記第1及び第2半径方向圧縮形態に拘束する複数のスリーブと、を備える、
ことを特徴とする管状プロテーゼ装置。
【請求項11】
各管状分岐部材は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項11記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記第1管状部分は自己拡張型ステントグラフトを形成する、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記第1管状部分は前記長手方向軸線に沿って測定した長さが少なくとも50mmである、
請求項10記載のプロテーゼ。
【請求項15】
動脈瘤を治療する方法であって、
複数のステントを備える拘束された第1自己拡張型管状部分と、その第1自己拡張型管状部分を備える第2管状ステントレス部分を有する管状プロテーゼを、前記第1自己拡張型管状部分が半径方向に圧縮された状態で、血管に通し、前記第1自己拡張型管状部分が標的部位に及ぶ露出されていない血管の位置まで進めるステップと、
前記第1自己拡張型管状部分の拘束を解き、前記第1自己拡張型管状部分を半径方向に拡張させるステップと、
前記管状プロテーゼの前記第2管状ステントレス部分を、血管が露出されている位置で血管に固定するステップとを備える、
ことを特徴とする動脈瘤を治療する方法。
【請求項16】
前記第1自己拡張型管状部分は患者の大動脈弓を通って下行大動脈へと進む、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記管状プロテーゼはその管状プロテーゼから分岐する複数の管を含み、
各管は左鎖骨下動脈、左総頸動脈、及び腕頭動脈の1つに進む、
請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記ステントレス部分は上行大動脈に固定される、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第2管状ステントレス部分は上行大動脈に縫合される、
請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記第2管状ステントレス部分は血管に縫合される、
請求項15記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【公表番号】特表2012−523891(P2012−523891A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505901(P2012−505901)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026990
【国際公開番号】WO2010/120417
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/026990
【国際公開番号】WO2010/120417
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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