説明

頭部装着型画像表示装置

【課題】様々な状況に応じて、映像表示態様を容易に切替えることができる頭部装着型画像表示装置を提供する。
【解決手段】頭部装着型画像表示装置は、使用者の頭部に固定するための支持部と、支持部に固定され、映像を表示するパネルを有する本体部2と、表示パネルから出射した映像光を入射し、支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に表示パネルに表示された映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部3と本体部2に光学特性の異なる複数の種類の接眼光学部3から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段とを備える。本体部2の識別部5cは、接眼光学部3の種類を識別し、識別された接眼光学部3の種類に応じて、制御部21が制御信号を発生し、この制御信号に基づき、映像信号変換部23が、表示パネルに表示されるの映像の表示態様を切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭部装着型画像表示装置は、映像鑑賞やモバイルでの使用等様々な用途に応じて最適な光学的仕様が異なり、用途に応じて、別個の装置を準備する必要があった。例えば、映像鑑賞用であれば、視野内の正面に大画面の映像を表示できる仕様が好ましく、モバイル用途であれば、外界視野を確保しつつ視野内の端などに映像を表示する仕様が好ましい。
【0003】
しかし、必要な用途の数に応じて、異なる頭部装着型画像表示装置を揃えるのは、コストがかかりまた、持ち運ぶうえでも不便である。特に、今後重要になる日常生活やモバイル用途での使用を考えると、使用者の使い方はより多様になり、それら多様な用途に対応できる装置が必要である。
【0004】
そこで、異なる用途に対応するために、接眼光学系をパッケージ状として複数用意し、使用者の眼の前に配置された頭部搭載用の筐体内に、パッケージ状になった接眼光学系を適宜選択して配置することで、用途に応じて視野角を変える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2957071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置は、使用者の視野内の表示映像の視野角を変えることはできるものの、表示映像をシースルー表示と非シースルー表示との間で切替えたり、視野内における位置を変えたり、回転させたりすることには対応できなかった。また、接眼光学系の特性に応じて表示映像を切替えることについても対応していない。
【0007】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、様々な状況に応じて、映像表示態様を容易に切替えることができる頭部装着型画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する請求項1に係る頭部装着型画像表示装置の発明は、
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、前記表示素子への前記映像を制御する制御部とを有することを特徴とするものである。
【0009】
上記目的を達成する請求項2に係る頭部装着型画像表示装置の発明は、
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と、
前記本体部に前記映像の映像信号を出力する映像出力部と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別して前記映像出力部に出力する識別部を有し、
前記映像出力部は、前記接眼光学部の前記種類に応じて、前記表示素子への前記映像を制御する制御部を有することを特徴とするものである。
【0010】
上記目的を達成する請求項3に係る頭部装着型画像表示装置の発明は、
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、
前記識別部により識別された前記接眼光学部の前記種類に応じて、前記映像の表示態様を切替えるための制御信号を発生する切替制御部と、前記制御信号をサーバへ送信し、該制御信号に基づき表示態様が切替えられた、前記映像の映像信号を前記サーバから受信する通信部とを有することを特徴とするものである。
【0011】
上記目的を達成する請求項4に係る頭部装着型画像表示装置の発明は、
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、前記識別部で識別された前記接眼光学部の種類の情報をサーバへ送信し、該種類に基づき表示態様が変換された、前記映像の映像信号を前記サーバから受信する通信部とを有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1−4のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記接眼光学部は、前記識別部により読み取り可能な前記種類を特定する識別情報を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1−5のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、表示文字サイズの異なる映像を表示することを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1−6のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、上下および/または左右を反転した映像を表示することを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1−7のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、映像の表示輝度を切替えた映像を表示することを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1−8のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記複数の種類の接眼光学部は、映像光を90度回転させる接眼光学部を含み、前記識別部により種類が識別された前記接眼光学部の種類が、前記映像を90度回転させる接眼光学部の場合は、前記表示素子に表示する映像を、前記接眼光学部による映像光の回転方向とは逆方向に90度回転させることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項1−9のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置において、
前記複数の種類の接眼光学部は、映像のアスペクト比を変える接眼光学部を含み、前記識別部により種類が識別された前記接眼光学部の種類が、前記映像のアスペクト比を変える接眼光学部の場合は、前記表示素子に表示する映像を、縦方向と横方向とで異なる比率に圧縮させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接眼光学部を交換可能とし、識別部により識別された接眼光学部の種類に応じて、制御部が表示素子への映像を制御するようにしたので、様々な状況に応じて、映像表示態様を容易に切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置を眼鏡に装着した状態を示す図である。
【図2】図1に示した本体部と接眼光学部との取付けを説明する斜視図である。
【図3】図1に示した頭部装着型画像表示装置のブロック図である。
【図4】第1および第2の接眼光学部を使用した場合のそれぞれの光学系を説明する図である。
【図5】図4に示したそれぞれの接眼光学部の仕様を示す図である。
【図6】シースルー表示用および非シースルー表示用の接眼光学部と眼球との位置および大きさの関係を説明する図である。
【図7】シースルー表示用および非シースルー表示用の接眼光学部を用いた場合の眼球方向へ向かう外界光の光路を説明する図である
【図8】頭部装着型画像表示装置の映像表示位置を説明する図である。
【図9】図4に示した接眼光学部を使用したときの表示映像のイメージ図である。
【図10】第3の接眼光学部およびその光路を示す斜視図である。
【図11】横長画像と縦長画像との一例を示す図である。
【図12】第4の接眼光学部およびその光路と表示映像とを示す斜視図である。
【図13】図12の接眼光学部を使用しないでアスペクト比の異なる画像を表示するための表示パネルの表示映像を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置のブロック図である。
【図15】本発明の第3実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置およびサーバのブロック図である。
【図16】本発明の第4実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置およびサーバのブロック図である。
【図17】本発明の第5実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置およびサーバのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置を眼鏡に装着した状態を示す図である。
【0022】
頭部装着型表示装置1は、本体部2および接眼光学部3を備える。本体部2は、画像を内蔵の表示パネル(表示素子)2bに表示し、映像光として射出させる機能を有し、接眼光学部3はこの映像光を、使用者の眼球11へと導光する光学系を有する。本体部2は、使用者の頭部に装着される眼鏡10の眼鏡フレーム10aの右側テンプル部分に眼鏡固定部2aを介して固定支持される。したがって、支持部は眼鏡固定部2aを含んで構成される。
【0023】
本体部2は眼鏡フレーム10aに沿い使用者の前方へ延び、その先端は、右側眼鏡レンズの側方で後述する取付部4を介して接眼光学部3の鏡枠3aに着脱可能に取付けられている。接眼光学部3は、さらに、本体部2から入射窓3d(図2参照)を介して入射した映像光を使用者の眼球の視野内へ導光するための導光部3bを有する。導光部3bは、眼鏡10の右側眼鏡レンズ10bの前方を、取付部4から使用者の視野内まで略水平に延びている。さらに、導光部の先端には、眼球11に向けて必要に応じて接眼レンズ3cを有する出射窓が形成されている。
【0024】
図2は、図1に示した本体部と接眼光学部との取付けを説明する斜視図である。取付手段4は、複数の接眼光学部から選択した一の接眼光学部3を本体部2に取付け、取外しをするためのものである。例えば、図2に示すように、本体側取付部4aと接眼光学部側取付部4bとは、相互に嵌合する溝が形成されており、この溝に沿って接眼光学部3を本体部2に対してスライドさせて、取り付けることができる。ここで、本体部側の取付部4aには、本体部2に内蔵される表示パネル(図示せず)から映像光を出射させる出射窓(図示せず)が形成されている。取付部4により本体部2に接眼光学部3を取り付けることによって、本体部2の出射窓と接眼光学部3の入射窓3dとが対向して接する。
【0025】
また、本体部2は、取り付けられた接眼光学部3の種類を識別するための識別手段5を備える。識別手段5は、例えば、本体部2の取付部4周辺に本体側接点5aを設けるとともに、接眼光学部3の接続時に本体側接点5aと接する位置に、接眼光学部側接点5bを設けることで実現する。この場合、本体部2は、本体側接点5a、接眼光学部側接点5bを介して、接眼光学部3の種類情報を電気信号として読み取り、あるいは、接眼光学部3内の接眼光学部3の種類を示す識別情報(ID情報)を格納したメモリから当該識別情報を読み出して、接眼光学部3の種類を識別する。
【0026】
図3は、図1に示した頭部装着型画像表示装置のブロック図である。本体部2は、識別部5c、切替制御部21、記憶部22、映像信号変換部23、ドライブ回路24および映像表示部25を含んで構成される。また、接眼光学部3は、その識別情報(ID情報)を格納する識別情報記憶部5dを有する。ここで、切替制御部21と映像信号変換部23とは制御部を構成する。
【0027】
識別部5cは、本体部2が接眼光学部3に接続されると、本体部側および接眼光学部側の接点5a,5bを介して、識別情報記憶部5dに格納された識別情報を読み出して、接続された接眼光学部の種類を識別して、切替制御部21に出力する。切替制御部21は、識別部5cが読み出した識別情報に基づいて、映像信号変換部23に表示すべき映像について指示を出す。映像信号変換部23は、記憶部22に記憶されている映像コンテンツの中から選択したコンテンツを読み出し、切替制御部21の指示に基づいて、接続されている接眼光学部3に適した表示態様に映像信号を変換して、ドライブ回路24に出力する。ドライブ回路24は、映像表示部25を駆動し、これによって表示パネル2bから映像光を出射させる。
【0028】
次に、交換可能な接眼光学部3として、4種類の接眼光学部を説明する。
【0029】
まず、モバイル用の第1の接眼光学部と映像観賞用の第2の接眼光学部について図4−図9を用いて説明する。図4(a),(b)は、それぞれ、第1の接眼光学部3−1および第2の接眼光学部3−2を眼鏡に装着した状態で、表示パネル2bおよび接眼光学部3−1,3−2を含む部分を上から見た図、並びに、それぞれの導光部3b,3bの形状を、眼球11から見た図(図の上部に示されている)である。
【0030】
第1の接眼光学部3−1は、図4(a)に示すように、導光部3b、接眼レンズ3cおよび入射窓3dを有し、表示パネル2bから入射窓3dに入射した映像光は、導光部3bの内部を反射しつつ伝播して接眼レンズ3cから、眼球に対して正面右側から斜め方向に入射する。
【0031】
導光部3bは、入射面および出射面を除き、映像光が内側面で反射するように構成され、入射した映像光は、この導光部3b内で5回ジグザグに反射して、眼球11に向けて出射する。また、導光部3bを使用者から視軸方向に見た鉛直方向の幅は、映像光の入射側から出射側にかけて細くなっており、先端部では2.6mmとなっている。
【0032】
一方、第2の接眼光学部3−2は、図4(b)に示すように、出射面に接眼レンズを設けずに、導光部3bの中間部に正のパワーをもつレンズを配置している。正のパワーを持つレンズは、例えば2枚の凸レンズ3f、3f’を向かい合わせた構成となる。導光部3bは使用者の眼球11の正面まで延びている。
【0033】
表示パネル2bから導光部3bに入射した映像光は、導光部3bの入射側の斜面で反射され、導光部3b内を長手方向に進み、レンズ3f、3f’により屈折され、さらに導光部3bを長手方向に進み、出射側の斜面で反射されて、眼球11に向けて出射する。従って、映像光は、導光部3b内で入射側と出射側との斜面で合計2回反射した後出射する。図4(b)に示すように、導光部3bの使用者から視軸方向に見た鉛直方向の幅は、入射側と出射側とで略等しく、約8mmとなっている。
【0034】
本実施の形態における、第1の接眼光学部および第2の接眼光学部の仕様の一例を、図5(a)、5(b)にそれぞれ示している。
【0035】
次に、接眼光学部の視軸方向への投影断面の幅に応じて、シースルー画像と非シースルー画像とが表示されることを図6および図7を用いて説明する。図6は、頭部装着型画像表示装置を使用者が装着した状態での、シースルー表示用および非シースルー表示用の接眼光学部と眼球との位置および大きさの関係を説明する図であり、正面から接眼光学部31,32と眼球を見た様子を示している。簡単のため、図6では、シースルー用接眼光学部31および非シースルー用接眼光学部32は、眼球に対する先端部の位置を等しいものとしている。図6(a)に示したシースルー表示用接眼光学部31は、先端部の使用者の視軸方向への投影断面の幅(図において上下方向の幅)が、人間の瞳孔径よりも小さく、図6(b)に示した非シースルー表示用接眼光学部32は、先端部の使用者の視軸方向への投影断面の幅が、人間の瞳孔径よりも大きくなっている。
【0036】
図7は、図6のそれぞれの接眼光学部を用いた場合の眼球へ向かう外界光の光路を説明する図である。シースルー表示用接眼光学部31を使用した場合は、図7(a)に示すように、正面方向からの外界光のうち接眼光学部31の上下を通過した光が瞳孔11aを通り網膜11cに到達することが可能である。このため、使用者の視野内には、接眼光学部31の射出窓から出射した表示映像に、接眼光学部31の前方に位置する背景も重畳されたシースルー画像が表示される。一方、非シースルー表示用接眼光学部32を使用した場合は、図7(b)に示すように、接眼光学部32の幅が、瞳孔11aよりも大きくなっているため、接眼光学部の前方位置からの外界光が眼球11へ侵入できず、接眼光学部31の射出窓から出射した表示映像に背景が重畳されない非シースルー画像として表示される。
【0037】
人間の平均的な瞳孔径が4mm程度なので、シースルー用接眼光学部31は先端部の使用者の視軸方向への投影断面の幅を4mm以下とし、非シースルー用の第2の接眼光学部32は先端部の使用者の視軸方向への投影断面の幅を4mm以上とすることが好ましい。本実施の形態では、先端部の幅が2.6mmの第1の接眼光学部3−1を用いるとシースルー表示となり、同じく8mmの第2の接眼光学部3−2を用いると非シースルー表示となる。
【0038】
次に、使用者の眼球の視野内に表示される映像の視度について説明する。図8は、頭部装着型画像表示装置の視度を説明する図である。表示パネル2bに表示される映像が、レンズ3cにより使用者の視野内に虚像として表示される。例えば、適切な条件下で表示映像6aが近距離表示される光学系の構成と比較して、接眼レンズ3cの焦点距離を短くすると、使用者の眼球視野内にはより遠距離の表示位置の表示映像6bが表示される。
【0039】
従って、接眼レンズの焦点距離を異ならせた2つの接眼光学部を用意すれば、視度の異なる接眼光学部の間で切換えが可能になる。
【0040】
これによって、使用者の眼の視度や使用している眼鏡の視度に合わせて、接眼光学部の視度を選ぶことにより、無理なくボケの無い映像を表示させることができる。また、使用環境に応じて虚像が表示される距離を切替えることで、例えば、デスクワークをしながら時折映像を確認する際には、50cm〜1m程度前方に像を表示させることで、眼の焦点距離の移動が少なくなり、見やすい映像として表示できる。また、家庭でテレビ等を見ながら時折映像を確認する際には1m〜3m程度、屋外で風景を見ながら時折映像を確認する際には2m〜無限遠方に像を表示させることが好ましい。
【0041】
なお、接眼レンズ3cの焦点距離を変えるだけでなく、接眼レンズ3cと表示パネル2bとの位置関係を変えることによっても視度を変換することができる。本実施の形態に係る、第1の接眼光学部3−1と第2の接眼光学部3−2との場合、レンズ焦点距離としては、図5(a),(b)に示したものを用い、第1の接眼光学部3−1は前述のジグザグに反射する光学系を用いて、実質的に光路長を長くし、第2の接眼光学部3−2は、レンズ3f,3f’を導光部3bの途中に配置するなどして光学系を調整し、結果的に、第1の接眼光学部3−1の視度を2D(0.5m)、第2の接眼光学部3−2の視度を1D(1m)としている。
【0042】
このように接眼光学部の種類により異なる視度に対応可能にすれば、複数の頭部装着型画像表示装置を準備することなく、接眼光学部を交換するだけで、各個人や各眼鏡の視度への対応や、使用状況に応じた像距離の切替えなどを、使用者が容易に行うことができる。視度の調整機構を内蔵する技術もあるが、調整範囲が制限されたり、設計基準から大きく外れると性能が落ちたりする等の問題がある場合がある。視度調整を接眼光学部の交換により行えば、調整範囲の制約が少なく、最適に設計されたものを交換して使用することができる点で優れている。
【0043】
以上のような接眼光学部の構成によって、第1の接眼光学部3−1を用いた場合は、図9(a)にイメージ図で例示するように、視野の中心線を避けた視野内右側の観察者の眼球から0.5m前方に、小さい画面で映像が表示される。また、先端部の幅が人間の通常環境における瞳孔径である4mmよりも細い接眼光学部3−1を使用するため、映像は背景が透けて見えるシースルー映像として表示される。一方、第2の接眼光学部3−2を用いた場合は、図9(b)に示すように、視野の中心線を含む位置の観察者の眼球から1m前方に大きな画面で映像が表示される。また、先端部が瞳孔径の4mmよりも太い接眼光学部3を使用するため、非シースルーで背景が遮られ背景に邪魔されない映像を観察することができる。
【0044】
次に、第3の接眼光学部(縦横変換用)について説明する。図10は、第3の接眼光学部およびその光路を示す斜視図である。図10に示す第3の接眼光学部3−3は、導光部3bと接眼レンズ3cを有する。導光部3bは、水平方向に配置され両端に斜面(反射面3j,3k)が形成された断面が矩形の棒状の導光部3bの入射側端の上部に、本体2に取り付けた際に表示パネル2bと対向する入射面3hと、この入射面3hから入射した映像光を下方向に90度反射させる反射面3iを有する三角プリズム状の部分(プリズム状部分3g)が付加された形状となっている。
【0045】
この導光部3bの入射側端部は、図示しない鏡枠に嵌め込まれており、この鏡枠に設けられた図示しない接眼光学部側取付部と、図2と同様の本体側取付部4aと摺動嵌合させることによって本体部2に対して取付けることができる。
【0046】
この第3の接眼光学部3−3によれば、表示パネル2bから水平に入射した映像光は、反射面3iで下向きに反射された後、反射面3jで反射され導光部3b内を長手方向に進み、反射面3kで再び反射され、接眼レンズ3cから使用者の眼球11に向けて出射される。ここで、使用者が正面を向いた状態で、眼球の視軸方向をx軸、導光部3bの長手方向をy軸、鉛直方向をz軸とすると、反射面3iはy軸に平行かつx軸およびz軸に対して45度の角度を成し、反射面3jはx軸に平行かつy軸およびz軸に対して約45度の角度を成し、反射面3kはz軸に平行かつx軸およびy軸に対して約45度の角度をなす。これら3つの反射面3i,3j,3kにより順次反射されることにより、映像光は約90度回転する。
【0047】
そこで、図3の映像信号変換部23により、横長の表示パネル2bに、縦長画像を上述の回転方向とは反対方向に90度回転させて表示させれば、携帯電話やスマートフォン等の情報端末に用いられるものと同様な縦長画像の表示が可能になる。図11(a),(b)は、それぞれ、横長画像と縦長画像との表示の例を示している。
【0048】
次に、第4の接眼光学部(アスペクト比変換用)について説明する。図12は、第4の接眼光学部およびその光路と表示映像の例とを示す斜視図である。第4の接眼光学部3−4の導光部3bは、出射側の先端部3mと主要部3lとが別体として分離され、主要部3lの出射側先端には横方向のパワーを持つレンズ(例えばシリンドリカルレンズ)3nが形成されている。また、先端部3mは入射面と出射面とが90度を成す三角プリズム状の形状を有し、出射面の出射側にはレンズ3nと異なる焦点距離を有する縦方向のパワーを持つレンズ3pが配置されている。これら主要部3lと先端部3mとは、図示しない同一の保持部材(ケースなど)で相互に位置固定され保持される。
【0049】
第4の接眼光学部3−4を用いることにより、表示パネル2bから入射した映像光は、導光部3bの主要部3lの入射端に形成された斜面に反射して、導光部3bの長手方向に伝播する。その後、映像光は、レンズ3nで横方向にのみ屈折し、先端部3mに入射し先端部3mの斜面に形成された反射面で反射して、レンズ3pにより縦方向にのみ屈折され、使用者の眼球11に向けて出射する。その際、横方向に正のパワーを持つレンズ3nと縦方向に正のパワーを持つレンズ3pとを焦点距離を異なるようにし、位置をずらして配置したことにより、表示パネル2bに表示される映像に対する虚像として表示される表示映像の拡大率を、縦方向よりも横方向を大きくすることが可能となる。
【0050】
以上のような構成によって、頭部装着型画像表示装置1は、本体部2に第1−第4の接眼光学部から選択した接眼光学部3を取付部4により取りつけると、識別部5の本体側接点5aと接眼光学部側接点5bとが接触し、識別部5cが識別情報記憶部5dから、接眼光学部3の識別情報(ID情報)を読み出し、接続された接眼光学部3がいずれの接眼光学部3かを識別して切替制御部21に出力する。
【0051】
切替制御部21は、識別情報(ID情報)に基づき、表示すべき映像として適切な映像コンテンツを選択するとともに、接眼光学部に応じた映像信号の変換(制御)を映像信号変換部23に指示する。例えば、第1の接眼光学部3−1では映像光が導光部3b内で奇数回(5回)反射することから映像が左右反転する。このため、第1の接眼光学部3−1使用時には、切替制御部21が、映像信号変換部23に指示して、記憶部22から読み出す映像コンテンツの左右を反転させた映像信号をドライブ回路24に出力する。ドライブ回路24は映像表示部25を駆動して、表示パネル2bから映像光を出射させる。
【0052】
映像光は、本体部2の出射窓を出射して、取り付けられた接眼光学部3の入射窓3dに入射し、導光部3b内を導光され、出射窓から使用者の眼球に向けて出射される。その結果、使用者の映像光が入射した眼球視野内には、取り付けられた接眼光学部3−1,3−2,3−3および3−4に応じた、位置、大きさ、視度、シースルー表示/非シースルー表示、縦横比、および、アスペクト比等の特性を有する映像が表示される。
【0053】
以下に、接眼光学部の種類に応じた、切替制御部21による映像コンテンツの選択および映像信号変換部23への指示内容について説明する。
【0054】
第1の接眼光学部3−1は、モバイルで常時装着して簡単なメッセージを即座に確認したいという用途に用いられるので、比較的小さい映像を視野の中心を外れた位置にシースルー映像として表示する。また、この接眼光学部3−1では、外界視界を確保することが優先される。このため、細かいテキストによる詳細情報の映像と、見やすい文字やアイコンによるによる必要最小限の情報量の映像とが用意されていた場合、後者の方を選択して表示する(図9(a)参照)。この、表示方法の選択は、切替制御部21が接眼光学部の種類に基づいて自動で行っても良いし、使用者の操作により選択できるようにしても良い。
【0055】
また、第1の接眼光学部3−1を用いた場合、シースルー表示のため背景の明るさの影響を受けるので、表示映像の輝度は高くする必要があり、好ましくは、前方の明るさを測定する照度センサを本体部2または接眼光学部3に設け、これによって、測定した明るさに応じて映像の輝度を変化させることが好ましい。従って、切替制御部21は、映像信号変換部23に対して、上述の左右の反転に加え、輝度調整を行うように指示する。
【0056】
第2の接眼光学部3−2は、比較的大画面の非シースルー画像を視野の正面に表示する。用途としては、映画等の動画像の鑑賞や、詳細な文字情報の表示が挙げられる。切替制御部21は、表示映像が動画の場合は、動画に最適な輝度、コントラスト、色の調整を行うように映像信号変換部23に指示する。また、表示映像がテキストの場合は、より多くの文字が見られるテキスト表示に適した文字の大きさ、レイアウトへの変換を指示する。なお、非シースルー表示のため、外界の明るさの影響を受けにくいので、第1の接眼光学部3−1が用いられる場合とは異なり、外部の明るさによる輝度調整を行う必要はない。
【0057】
また、第3の接眼光学部3−3は、上述のように表示映像を90度回転させ、横長映像を縦長映像とする。そこで、この接眼光学部3−3が接続された場合は、切替制御部21は、映像信号変換部23に指示して、横長の表示パネル2bに、縦長画像を上述の回転方向とは反対方向に90度回転させて表示させる。この映像変換によって、携帯電話やスマートフォン等の情報端末に用いられるものと同様な縦長画像の表示が可能になる。また、記憶部22が縦長表示用と横長表示用のコンテンツを有する場合は、切替制御部21が接眼光学部の種類に基づいて、縦長画像を選択するようにすることもできる。
【0058】
さらに、第4の接眼光学部3−4が取付けられた場合、切替制御部21は記憶部22から例えば、アスペクト比16:9の映像コンテンツを選択し、表示パネル2bのアスペクト比が4:3の場合に、映像変換部23に指示して、アスペクト比16:9の映像を表示パネル2bに横方向に圧縮して4:3のアスペクト比の画像として表示させる。レンズ3nおよび3pの焦点距離を適切に選択することによって、表示映像は、使用者の視野内にアスペクト比16:9の映像として表示させる。
【0059】
仮に、このようなアスペクト比の変換を行わない場合は、アスペクト比16:9の映像を表示するには、表示パネル2bには図13(a)に示すような黒帯を上下に表示した映像か、図13(b)のように映像の左右をカットした映像を表示することになる。しかし、図13(a)の場合は表示パネル2bの全画素を有効に利用できないため解像度が低下し、図13(b)の場合は映像が一部欠落するという問題がある。
【0060】
なお、アスペクト比の変換は、4:3から16:9への変換に限られず、16:9から4:3へ変換する構成も可能である。さらに、レンズ3n、レンズ3pおよびそれらの配置を調整することによって、種々の縦横倍率による変換が可能である。
【0061】
なお、上述の接眼光学部3の種類に応じた映像信号の変換方法以外にも、接眼光学部の種類に応じた様々な映像の変換があり得る。例えば、個々の接眼光学部が有する収差(特にディストーションや色収差)に応じた補正を、切替制御部21の指示により、映像信号変換部23で映像信号を変換させることにより映像信号の変換により行うこともできる。あるいは、接眼光学部の種類だけではなく、使用者個人の視度情報を予め切替制御部21に持たせ、接眼光学部の種類および個人の視度に応じた調整を、映像信号変換部23で行わせることもできる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、接眼光学部を交換可能とし、さらに、識別部により識別された接眼光学部の種類に応じて、切替制御部が発生した制御信号により、映像信号変換部が、映像信号を変換して、表示パネルから射出される映像の表示態様を切替えるようにしたので、様々な状況に応じて、映像表示態様を容易に切替えることができる。
【0063】
上述の切替え可能な表示態様の特性としては、表示映像の大きさ、視野内の位置、視度、シースルー表示/非シースルー表示、縦長映像/横長映像、アスペクト比が含まれる。したがって、所望の特性に応じた接眼光学部に切替えることによって、頭部装着型画像表示装置を別に用意することなく、1台の装置を用いて低コストで所望の表示映像を表示させることができる。
【0064】
(第2実施の形態)
図14は、本発明の第2実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置のブロック図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置において、本体部2とは別体の映像出力部26を備え、切替制御部21、記憶部22および映像信号変換部23を、本体部2内ではなく、映像出力部26内に設けたものである。映像出力部26は、例えば、パソコンや携帯型の映像再生装置等であり、本体部2とは有線または無線通信手段により接続されている。その他の構成、作用は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0065】
本実施の形態によれば、映像コンテンツの再生、映像信号の変換等の処理の重い機能を、映像出力部が行うようにしたので、ヒトの頭部に装着される頭部装着型画像表示装置の本体部を軽量化、小型化することができる。また、映像出力部として、既存のパソコンや映像再生装置を活用することによって、装置全体を安価に構成することができる。
【0066】
なお、映像出力部は、映像情報を記憶部に内蔵する形態に限られず、外部から通信を介して映像情報を取得しても良い。その場合、記憶部22は不要となる。例えば携帯電話端末を映像出力部として活用することができる。
【0067】
(第3実施の形態)
図15は、本発明の第3実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置のブロック図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置において、本体部2が記憶部を持たず、通信部27aにより有線または無線で接続されたサーバ28から映像コンテンツを取得するようにしたものである。このため、本体部2の切替制御部21と映像信号変換部23とは、通信部27aに接続されている。一方、サーバ28は、通信部27aと通信する通信部27bと、記憶部22とコンテンツ選択部29とを有する。本体部2の切替制御部21は、通信部27a,bを介して、接眼光学部3の識別情報(ID情報)とともにコンテンツ映像の送信指示をコンテンツ選択部29に送信する。コンテンツ選択部29は、接眼光学部3の識別情報(ID情報)に基づき、コンテンツを選択して、選択した映像コンテンツを通信部27a,bを介して、映像信号変換部23に送信する。その他の構成、作用は、第1実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施の形態によれば、多量の映像コンテンツをサーバ側に蓄積して、通信を介して頭部装着型画像表示装置から読み出すことができるので、利用できるコンテンツが増え利便性が高まる。さらに、映像コンテンツの記憶と、映像信号の処理の一部とをサーバ側で行うので、頭部装着型画像表示装置をより軽量化、小型化することが可能になる。
【0069】
(第4実施の形態)
図16は、本発明の第4実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置のブロック図である。本実施の形態は、第3実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置において、映像信号処理部23を本体部2ではなく、サーバ28に設けたものである。このため、本体部2の切替制御部21は、通信部27a,bを介して、サーバ28の映像信号変換部23およびコンテンツ選択部29に指示を送信し、映像信号変換部23は、通信部27a,bを介して、ドライブ回路24に表示態様を変換した映像信号を送信する。その他の構成、作用は、第3実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0070】
本実施の形態によれば、第3実施の形態の効果に加え、表示態様に応じた映像信号の変換処理もサーバ28で行うようにしたので、さらに、本体部2の処理負荷を軽くすることができ、頭部装着型画像表示装置をより軽量化、小型化することが可能になる。
【0071】
(第5実施の形態)
図17は、本発明の第5実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置のブロック図である。本実施の形態は、第4実施の形態に係る頭部装着型画像表示装置において、切替制御部21を本体部2ではなく、サーバ28に設けたものである。このため、本体部2の識別部5cは通信部27a,bを介して、サーバ28の切替制御部の21に接眼光学部の種類(ID情報)を送信し、切替制御部21はこれに基づいて、映像信号変換部23とコンテンツ選択部29とに指示を送信する。その他の構成、作用は、第4実施の形態と同様であるので、同一構成要素には同一参照符号を付して説明を省略する。
【0072】
本実施の形態によれば、第4実施の形態の効果に加え、切替制御部21の処理もサーバ28で行うようにしたので、さらに、本体部2の負荷を軽くすることができ、頭部装着型画像表示装置をより軽量化、小型化することが可能になる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、接眼光学部は第1−4の接眼光学部に限られず、用途に応じた多様な接眼光学部を設けることが可能である。また、頭部装着型画像表示装置は、眼鏡装着型に限られず、ゴーグル型のもの、ヘルメットに装着するものや、レンズ無しの眼鏡フレームに装着されたものであっても良い。また、眼鏡装着型の場合は、眼鏡に固定された一体型であっても良く、眼鏡に着脱式のものであっても良い。また、映像を表示する眼は、右眼に限られず、左眼用や両眼に同一または異なる画像を表示するものであっても良い。本体部を固定するのは、眼鏡のテンプルに限られず、ヒンジ等他の部分でも良い。また、取付部の機構としては、それぞれ溝を有する本体と接眼光学部とを摺動嵌合させる方法に限られず、取付用の金具を設けたり、嵌め込み式にしたりするなど種々の方法が可能である。第1の接眼光学部では映像光が左右反転するとしたが、導光部の構成によっては、上下を反転する構成となることもある。その場合、表示パネルに表示される映像の上下を反転させれば良い。
【符号の説明】
【0074】
1 頭部装着型画像表示装置
2 本体部
2a 眼鏡固定部
2b 表示パネル
3 接眼光学部
3−1 第1の接眼光学部(モバイル用)
3−2 第2の接眼光学部(映像観賞用)
3−3 第3の接眼光学部(縦横変換用)
3−4 第4の接眼光学部(アスペクト比変換用)
3a 鏡枠
3b,3b,3b,3b,3b 導光部
3c,3c,3c 接眼レンズ
3d,3d 入射窓
3f、3f’ レンズ
3g プリズム状部分
3h 入射面
3i,3j,3k 反射面
3l 主要部
3m 先端部
3n レンズ
3p レンズ
4 取付部
4a 本体側取付部
4b 接眼光学部側取付部
5 識別手段
5a 本体側接点
5b 接眼光学部側接点
5c 識別部
5d 識別情報記憶部
6 表示映像
6a 表示映像(モバイル用)
6b 表示映像(映像観賞用)
7 遮られた背景
10 眼鏡
10a 眼鏡フレーム(テンプル)
10b 眼鏡レンズ
11 眼球
11a 瞳孔
11c 網膜
21 切替制御部
22 記憶部
23 映像信号変換部
24 ドライブ回路
25 映像表示部
26 映像出力部
27a,27b 通信部
28 サーバ
29 コンテンツ選択部
31 シースルー表示用接眼光学部
32 非シースルー表示用接眼光学部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、前記表示素子への前記映像を制御する制御部とを有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【請求項2】
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と、
前記本体部に前記映像の映像信号を出力する映像出力部と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別して前記映像出力部に出力する識別部を有し、
前記映像出力部は、前記接眼光学部の前記種類に応じて、前記表示素子への前記映像を制御する制御部を有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【請求項3】
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、前記識別部により識別された前記接眼光学部の前記種類に応じて、前記映像の表示態様を切替えるための制御信号を発生する切替制御部と、前記制御信号をサーバへ送信し、該制御信号に基づき表示態様が切替えられた、前記映像の映像信号を前記サーバから受信する通信部とを有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【請求項4】
使用者の頭部に固定するための支持部と、
該支持部に固定され、映像を表示する表示素子を有する本体部と、
前記表示素子から出射された映像光を入射し、前記支持部を使用者の頭部に固定した状態で、入射した該映像光を使用者の対応する眼球へ導光し、使用者の視野内に前記映像の拡大像を虚像として表示する接眼光学部と、
前記本体部に光学特性の異なる複数の種類の前記接眼光学部から選択した一の接眼光学部を交換可能に取付ける取付手段と
を備え、
前記本体部は、前記取付手段により取付けられた前記接眼光学部の種類を識別する識別部と、前記識別部で識別された前記接眼光学部の種類の情報をサーバへ送信し、該種類に基づき表示態様が変換された、前記映像の映像信号を前記サーバから受信する通信部とを有することを特徴とする頭部装着型画像表示装置。
【請求項5】
前記接眼光学部は、前記識別部により読み取り可能な前記種類を特定する識別情報を有することを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。
【請求項6】
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、表示文字サイズの異なる映像を表示することを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。
【請求項7】
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、上下および/または左右を反転した映像を表示することを特徴とする請求項1−6のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。
【請求項8】
前記表示素子は、前記識別部により識別された前記接眼光学部の種類に応じて、映像の表示輝度を切替えた映像を表示することを特徴とする請求項1−7のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。
【請求項9】
前記複数の種類の接眼光学部は、映像光を90度回転させる接眼光学部を含み、前記識別部により種類が識別された前記接眼光学部の種類が、前記映像を90度回転させる接眼光学部の場合は、前記表示素子に表示する映像を、前記接眼光学部による映像光の回転方向とは逆方向に90度回転させることを特徴とする請求項1−8のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。
【請求項10】
前記複数の種類の接眼光学部は、映像のアスペクト比を変える接眼光学部を含み、前記識別部により種類が識別された前記接眼光学部の種類が、前記映像のアスペクト比を変える接眼光学部の場合は、前記表示素子に表示する映像を、縦方向と横方向とで異なる比率に圧縮または伸張させることを特徴とする請求項1−9のいずれか一項に記載の頭部装着型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−203378(P2011−203378A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68776(P2010−68776)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】