説明

頭部装着型表示装置

【課題】使用感を向上させることができる頭部装着型表示装置を提供する。
【解決手段】頭部装着型表示装置1は、画像光を出射する表示部2と、観察者の頭部に装着される装着部5と、装着部5に表示部2を着脱自在に接続する接続部10とを備え、接続部10は、表示部2に設けられた表示部側接続部材9と、装着部5に設けられた装着部側接続部材53とを備え、表示部側接続部材9および装着部側接続部材53は、表示部2を磁力により装着部5に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者の頭部に装着される頭部装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示素子にて形成された画像を光学系により観察者に観察させる頭部装着型表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の頭部装着型表示装置は、表示ユニットを支持する支持アームと、観察者の頭部に装着される支持体とを備え、支持体に設けられたソケットに支持アームが挿入されることで、表示ユニットが着脱自在に支持体に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−75408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の頭部装着型表示装置では、支持アームの先端に脱落防止用の爪が設けられており、表示ユニットを支持体から取り外すためには、脱落防止用の爪を押し戻しつつ、支持体のソケットから支持アームを引き抜く必要がある。このため、表示ユニットの取り外しに時間がかかり、観察者が煩わしく感じてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、使用感を向上させることができる頭部装着型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の頭部装着型表示装置は、画像光を出射する表示部と、観察者の頭部に装着される装着部と、前記装着部に前記表示部を着脱自在に接続する接続部とを備え、前記接続部は、前記表示部に設けられた表示部側接続部材と、前記装着部に設けられた装着部側接続部材とを備え、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材は、前記表示部を磁力により前記装着部に接続することを特徴とする。
【0007】
本発明では、表示部に設けられた表示部側接続部材と、装着部に設けられた装着部側接続部材とは、表示部を磁力により装着部に接続する。
このことにより、表示部側接続部材と装着部側接続部材とを近付ければ、磁力により表示部を装着部に接続することができ、表示部側接続部材と装着部側接続部材とを引き離せば、表示部を装着部から取り外すことができる。従って、表示部の着脱を容易に行うことができるので、観察者に煩わしさを感じさせることがなく、頭部装着型表示装置の使用感を向上させることができる。
【0008】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記接続部は、前記頭部装着型表示装置の装着状態において、当該接続部を中心に前記表示部と前記装着部とを上下方向および水平方向の少なくとも2方向に相対回転可能に設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明では、接続部は、表示部と装着部とを上下方向および水平方向の2方向に相対回転可能に設けられているので、頭部装着型表示装置を装着した状態で、これら2方向に表示部を回転させることができる。このため、表示部を上下方向および水平方向に位置調整することができるので、使用感をより向上させることができる。
【0010】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記接続部は、前記上下方向の相対回転を規制する規制部を備え、前記水平方向の相対回転は許容可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
ところで、装着部に対して表示部を上下方向に相対回転可能に接続部を構成した場合、表示部の自重や観察者の動きにより、表示部が上下方向に位置ずれしてしまうことが考えられる。この場合、表示部が観察者の顔に当たってしまい、観察者に不快感を与えてしまう。
本発明では、接続部は、上下方向の相対回転を規制する規制部を備えているので、表示部が上下方向に位置ずれしてしまうことを防止することができる。このため、表示部が観察者の顔に当たることがなく、観察者に不快感を与えることがないので、頭部装着型表示装置の使用感をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記規制部は、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方に水平方向に設けられた溝と、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの他方に設けられ、前記溝に係止されるリブとを備えていることが好ましい。
【0013】
本発明では、規制部は、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの一方に水平方向に設けられた溝と、他方に設けられ、溝に係止されるリブとを備えるので、溝とリブという簡易な構成で規制部を設けることができる。
【0014】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記接続部は、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方から他方側に延出し、当該他方の一部を覆う第2規制部を備えていることが好ましい。
【0015】
本発明では、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの一方から他方側に延出し、他方の一部を覆う第2規制部が設けられているので、表示部側接続部材が装着部側接続部材に対して接続が解除される方向に移動しようとした場合、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの他方が第2規制部に当接し、当該移動が規制される。このため、表示部と装着部との接続が不用意に解除されることを抑制することができる。
【0016】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記接続部は、前記表示部側接続部材と前記装着部側接続部材との間に設けられた吸引力調整部材を備え、前記吸引力調整部材は、前記表示部側接続部材と前記装着部側接続部材との間隔を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
本発明では、接続部は、表示部側接続部材と装着部側接続部材との間隔を調整可能な吸引力調整部材を備えているので、吸引力調整部材により表示部と装着部との間隔を調整することができる。このため、表示部と装着部との間の磁力による吸引力を調整することができ、装着部に対する表示部の接続の強さを調整することができる。
すなわち、吸引力を小さくした状態で表示部を装着部に接続した場合は、表示部が装着部に弱めに接続されるため、表示部を装着部から容易に取り外すことができ、表示部の着脱を容易に行うことができる。一方、吸引力を大きくした状態で表示部を装着部に接続した場合は、表示部がより強く装着部に接続されるため、表示部が移動することを防止することができる。
【0018】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方には、螺旋状の溝が設けられ、前記吸引力調整部材には、前記表示部側接続部材の溝と螺合する溝が設けられていることが好ましい。
【0019】
本発明では、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの一方には、螺旋状の溝が設けられ、吸引力調整部材には、表示部側接続部材の溝と螺合する溝が設けられている
このことにより、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの一方に吸引力調整部材を螺合させた状態で、吸引力調整部材を回転させることにより、前記一方と吸引力調整部材との間隔が変化し、表示部側接続部材と装着部側接続部材との間隔を調整することができる。このため、表示部と装着部との間隔調整を簡単に行うことができ、表示部と装着部との間の磁力による接続の強さを容易に調整することができる。
【0020】
本発明の頭部装着型表示装置において、前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの少なくとも一方は磁石を備え、前記表示部を前記磁石の磁力により前記装着部に接続することが好ましい。
【0021】
本発明では、表示部側接続部材および装着部側接続部材のうちの少なくとも一方は磁石を備えているため、簡易な構成により磁力を発生させることができる。このため、接続部の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における頭部装着型表示装置の装着状態を示す図。
【図2】頭部装着型表示装置の外観を示す斜視図。
【図3】頭部装着型表示装置の表示部の構成を示す図。
【図4】頭部装着型表示装置の接続部の構成を示す斜視図。
【図5】頭部装着型表示装置の接続部の断面図。
【図6】第2実施形態における頭部装着型表示装置の接続部の構成を示す斜視図。
【図7】第3実施形態における頭部装着型表示装置の接続部の構成を示す図。
【図8】変形例における頭部装着型表示装置の接続部の構成を示す図。
【図9】別の変形例における頭部装着型表示装置の接続部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.頭部装着型表示装置の構成〕
図1は、頭部装着型表示装置1の装着状態を示す図である。
図2は、頭部装着型表示装置の外観を示す斜視図である。
なお、図1および図2では、説明の便宜上、後述する投射レンズ71の光軸Ax(図3)に平行となる軸をZ軸とし、Z軸に直交する水平軸をX軸、Z軸に直交する鉛直軸をY軸とする。以降の図も同様である。さらに、Z軸において、観察者側を+Z軸側、観察者から離間する側を−Z軸側とする。
【0024】
頭部装着型表示装置1は、図1および図2に示すように、左右いずれか一方の目に画像を表示する単眼式のヘッドマウントディスプレイであり、当該頭部装着型表示装置1を装着した観察者に対して画像光を認識させる。また、本実施形態の頭部装着型表示装置1は、外界像をシースルーで観察させることができるシースルー型の虚像表示装置で構成されている。
この頭部装着型表示装置1は、表示部2と、導光部としての導光板3(図3)と、導光板3を保持するリム4と、装着部5とを備える。
なお、表示部2は、観察者の右目に対応する側および左目に対応する側のいずれの側でも装着部5に接続することができるが、以下では、観察者の左目に対応する側で装着部5に接続した場合について説明する。
【0025】
〔2.表示部の構成〕
図3は、頭部装着型表示装置1の表示部2の構成を示す図である。
図4は、頭部装着型表示装置1の接続部10の構成を示す斜視図である。
表示部2は、画像光を形成して投射する部分であり、図3に示すように、表示素子6と、投射光学装置7と、フレーム8と、表示部側接続部材9とを備える。
表示素子6は、入射した光を変調して画像光を形成する透過型の液晶表示デバイス61と、液晶表示デバイス61の光入射側に取り付けられ、液晶表示デバイス61に対して光を出射するLED(Light Emitting Diode)等のバックライト62とを備える。
投射光学装置7は、表示素子6から出射された画像光を平行光として投射する投射レンズ71と、投射レンズ71を内部に収納する鏡筒72とを備える。この投射光学装置7は、リム4に固定されており、投射レンズ71は、鏡筒72およびリム4を介して導光板3に固定されている。これにより、投射レンズ71は、導光板3に対して位置ずれしないように構成されている。
【0026】
フレーム8は、幅広部81と、幅狭部82とを備えている。
幅広部81は、フレーム8の基端側(導光板3側)に設けられている。この幅広部81は、内部が中空となっており、当該中空部分に表示素子6および投射光学装置7が収容されている。本実施形態では、導光板3側からフレーム8の先端側に向けて、投射光学装置7および表示素子6が、フレーム8内に順に並んで配置されている。
幅狭部82は、フレーム8の先端側、つまり幅広部81を挟んで導光板3の反対側に設けられ、この幅狭部82に表示部側接続部材9が支持されている。
【0027】
表示部側接続部材9は、図4に示すように、三角錐状に形成された鉄部材で構成されている。この表示部側接続部材9には、底面部92側から頂点に向かって複数のリブ91が設けられている。これら複数のリブ91は、等間隔で配置されている。そして、表示部側接続部材9は、幅狭部82の+X軸側に設けられ、底面部92が光軸Axに直交する軸93周りに回動自在に幅狭部82に支持されている。
【0028】
〔3.導光板の構成〕
導光板3は、光透過性を有する樹脂材料等から構成され、表示部2から投射された画像光を内部に取り込んだ後、外部の所定位置(観察者の左目または右目)に導く。この導光板3は、図3に示すように、Y軸に沿う方向から見た場合に略等脚台形状に形成されている。
そして、導光板3には、光入射面31と、第1反射面32と、第1全反射面33と、第2全反射面34と、第2反射面35と、光出射面36とが形成されている。
【0029】
第1反射面32は、光入射面31に対向し、XY平面に対して傾斜する平坦状の斜面にアルミ蒸着等の成膜を施すことにより形成され、光入射面31を介して導光板3内部に取り込まれた画像光を第1全反射面33に向けて反射させる。
【0030】
第1全反射面33は、光入射面31を延長させた(XY平面に平行となる(光軸Axに直交する))平面で構成され、+Z軸側に位置する。
第2全反射面34は、第1全反射面33に平行となる平坦状に形成され、−Z軸側に位置する。
そして、第1反射面32にて反射された画像光は、第1,第2全反射面33,34での全反射により、光入射面31および第1反射面32から離間する方向(他方の導光板3に近接する側)に導かれる。
【0031】
なお、第1,第2全反射面33,34としては、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により画像光を全反射させて導くものに限らず、第1,第2全反射面33,34の全体または一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、画像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、第1,第2全反射面33,34の全体または一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての画像光を反射させる場合も含まれる。また、十分な明るさの画像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1,第2全反射面33,34の全体または一部がコートされていてもよい。
【0032】
第2反射面35は、光出射面36に対向し、XY平面に対して傾斜する平坦状に形成され、第1,第2全反射面33,34にて導かれた画像光を反射により光出射面36から外部の所定位置(観察者の左目または右目)に導く。この第2反射面35は、ハーフミラー等で構成され、画像光を反射するとともに、外界像も透過可能に構成されている。
なお、第1,第2全反射面33,34にて導かれた画像光を外部の所定位置に導く機能を有していれば、ハーフミラー等の第2反射面35に限らず、偏光ビームスプリッターや、ホログラム回折格子等を採用しても構わない。
【0033】
〔4.装着部の構成〕
装着部5は、観察者の頭部に装着される部分であり、頭部に装着された状態で表示部2を着脱自在に支持する。
この装着部5は、図4に示すように、ネックバンド51と、制御装置52(図2)と、装着部側接続部材53とを備えている。
【0034】
ネックバンド51は、樹脂材料や金属材料等から構成され、観察者の左右の一方の耳から他方の耳にかけて後頭部に沿った形状とされている。このネックバンド51には、制御装置52および装着部側接続部材53が固定されている。
【0035】
制御装置52は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やメモリー等の記憶装置を備えている。この制御装置52は、記憶装置に記憶されている画像データに基づいて表示素子6を駆動し、画像データに基づく画像光を表示素子6に形成させる。
【0036】
装着部側接続部材53は、図4および図5に示すように、円柱状に形成された磁石で構成され、観察者の左耳および右耳にそれぞれ対応して一対設けられている。この一対の装着部側接続部材53には、互いの対向面とは反対側の面535に円錐状の凹部531が設けられ、凹部531には、頂点に向かって複数の溝532が設けられている。これら複数の溝532は、表示部側接続部材9のリブ91に対応する位置に等間隔で配置されている。
さらに、装着部側接続部材53には、表示部側接続部材9側に張り出した第2規制部としての張出部536が設けられている。この張出部536は、装着部5を装着した状態で、装着部側接続部材53の上部に前方側から後方側に向かって形成され、張出方向の先端部537が面535側に折曲している。
【0037】
以上の装着部5において、装着部側接続部材53の凹部531には、表示部側接続部材9が嵌合し、凹部531の溝532に表示部側接続部材9のリブ91が係止される。この際、表示部側接続部材9の磁力により、表示部側接続部材9と装着部側接続部材53との間に吸引力または吸着力が作用する。これにより、表示部側接続部材9が装着部側接続部材53に係止され、表示部2が表示部側接続部材9および装着部側接続部材53を介して装着部5に接続される。
すなわち、本実施形態の接続部10は、装着部側接続部材53と表示部側接続部材9とで構成される。
【0038】
ここで、表示部側接続部材9は、軸93周りに回動自在にフレーム8に支持されている。このため、頭部装着型表示装置1が装着された状態で、表示部2は、装着部5に対して水平方向に回転可能となっている。また、表示部側接続部材9は、三角錐状に形成され、かつ装着部側接続部材53の凹部531に水平方向に嵌合されているため、表示部側接続部材9を装着部側接続部材53から取り外せば、表示部2を装着部5に対して上下方向に回転させることができる。すなわち、接続部10は、頭部装着型表示装置1の装着状態において、当該接続部10を中心に表示部2と装着部5とを上下方向および水平方向に相対回転可能に設けられている。
【0039】
また、表示部側接続部材9が装着部側接続部材53の凹部531に嵌合すると、凹部531の溝532に表示部側接続部材9のリブ91が係止される。これにより、装着部側接続部材53に対する表示部側接続部材9の回転が規制され、装着部5に対する表示部2の上下方向の回転が規制される。
すなわち、本実施形態の第1規制部は、表示部側接続部材9のリブ91と、装着部側接続部材53の凹部531の溝532とで構成される。
【0040】
さらに、張出部536は、装着部側接続部材53の上部に前方側から後方側に向かって形成されており、表示部側接続部材9が装着部側接続部材53の凹部531に嵌合した状態で、先端部537が装着部側接続部材53の一部を覆っている。このため、例えば、自重や衝撃により表示部2が表示部側接続部材9を中心として下方に回転しようとした場合、表示部側接続部材9は、張出部536における上部で先端部537に当接する。これにより、張出部536は、表示部側接続部材9が下方に回転することを規制し、表示部側接続部材9が装着部側接続部材53の凹部531から不用意に外れることを抑制する。
【0041】
また、導光板3が物に当たった際の衝撃等により、表示部2が表示部側接続部材9を中心として観察者側に回転しようとした場合、表示部側接続部材9は、張出部536における後方部分で先端部537に当接する。これにより、張出部536は、表示部側接続部材9が観察者側に回転することを規制し、表示部2が観察者の目の方向に外れることを防止する。
なお、表示部2を装着部5に接続する場合は、表示部側接続部材9を装着部側接続部材53の凹部531に向けて斜めに嵌め込むことにより、図5に示すように、表示部側接続部材9が凹部531に嵌合して、表示部2が装着部5に接続される。
【0042】
上述した実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、表示部2に設けられた表示部側接続部材9と、装着部5に設けられた装着部側接続部材53とは、表示部2を磁力により装着部5に接続する。
このことにより、表示部側接続部材9と装着部側接続部材53とを近付ければ、磁力により表示部2を装着部5に接続することができ、表示部側接続部材9と装着部側接続部材53とを引き離せば、表示部2を装着部5から取り外すことができる。従って、表示部2の着脱を容易に行うことができるので、観察者に煩わしさを感じさせることがなく、頭部装着型表示装置1の使用感を向上させることができる。
【0043】
本実施形態では、接続部10は、表示部2と装着部5とを上下方向および水平方向の2方向に相対回転可能に設けられているので、頭部装着型表示装置1を装着した状態で、これら2方向に表示部を回転させることができる。このため、表示部2を上下方向および水平方向に位置調整することができるので、使用感をより向上させることができる。
【0044】
ところで、装着部5に対して表示部2を上下方向に相対回転可能に接続部10を構成した場合、表示部2の自重や観察者の動きにより、表示部2が上下方向に位置ずれしてしまうことが考えられる。この場合、表示部2が観察者の顔に当たってしまい、観察者に不快感を与えてしまう、
本実施形態では、接続部10は、上下方向の相対回転を規制する規制部を備えているので、表示部2が上下方向に位置ずれしてしまうことを防止することができる。このため、表示部2が観察者の顔に当たることがなく、観察者に不快感を与えることがないので、頭部装着型表示装置1の使用感をさらに向上させることができる。
【0045】
本実施形態では、規制部は、装着部側接続部材53に水平方向に設けられた溝532と、表示部側接続部材9に設けられたリブ91とで構成されるので、溝532とリブという簡易な構成で規制部を設けることができる。
【0046】
本実施形態では、装着部側接続部材53から表示部側接続部材9側に延出し、表示部側接続部材9の一部を覆う張出部536が設けられているので、表示部側接続部材9が装着部側接続部材53に対して接続が解除される方向に移動しようとした場合、表示部側接続部材9が張出部536に当接し、表示部側接続部材9の移動が規制される。このため、表示部2と装着部5との接続が不用意に解除されることを抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、表示部側接続部材9は磁石で構成されているため、簡易な構成により磁力を発生させることができる。このため、接続部10の構成を簡略化することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、第2実施形態における頭部装着型表示装置1Aの接続部10Aの構成を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態に対して、図6に示すように、接続部10Aの構成が異なる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0049】
具体的に、接続部10Aは、表示部側接続部材9Aと、装着部側接続部材53Aと、吸引力調整部材としてのスペーサー11Aとを備えている。
表示部側接続部材9Aは、円柱状の鉄部材で構成され、表示部2のフレーム8の+X軸側に突出して設けられている。この表示部側接続部材9Aは、回転軸97Aによりフレーム8に回転可能に支持され、ダイアル98Aを回転させることでフレーム8に対して回転可能に構成されている。表示部側接続部材9Aの外周には、螺旋状の溝94Aが形成されている。
【0050】
装着部側接続部材53Aは、磁石で構成され、観察者の左耳および右耳にそれぞれ対応して一対設けられている。この一対の装着部側接続部材53Aには、互いの対向面とは反対側の面に球面状の凹部531Aが設けられている。
スペーサー11Aは、樹脂等の非磁性材料から構成されている。このスペーサー11Aは、一端側が塞がれた円筒状に形成されている。このスペーサー11Aの一端側は、外面が球面状に形成され、この外面が装着部側接続部材53Aの凹部531Aの内面と当接する。また、スペーサー11Aの内周面には、表示部側接続部材9Aの溝94Aと螺合する螺旋状の溝111Aが形成されている。
【0051】
以上の接続部10Aにおいて、表示部2は、表示部側接続部材9Aにスペーサー11Aが螺合した状態で、スペーサー11Aを介して装着部側接続部材53Aと当接する。この際、表示部側接続部材9Aと装着部側接続部材53Aとの間には、磁力による吸引力が作用するため、この吸引力により表示部2が装着部5に接続される。
【0052】
ここで、接続部10Aは、表示部2と装着部5との間の磁力による吸引力を調整可能に構成されている。すなわち、スペーサー11Aを回転させて、図6の左方向にスペーサー11Aを移動させると、表示部側接続部材9Aと装着部側接続部材53Aとの間隔が狭まり、表示部2と装着部5との間の磁力による吸引力が大きくなる。反対に、図6の右方向にスペーサー11Aを移動させると、表示部側接続部材9Aと装着部側接続部材53Aとの間隔が拡がり、表示部2と装着部5との間の磁力による吸引力が小さくなる。
【0053】
以上の第2実施形態によれば、接続部10Aは、表示部側接続部材9Aと装着部側接続部材53Aとの間隔を調整可能なスペーサー11Aを備えているので、スペーサー11Aにより表示部2と装着部5との間隔を調整することができる。このため、表示部2と装着部5との間の磁力による吸引力を調整することができ、装着部5に対する表示部2の接続の強さを調整することができる。
すなわち、吸引力を小さくした状態で表示部2を装着部5に接続した場合は、表示部2が装着部5に弱めに接続されるため、表示部2を装着部5から容易に取り外すことができ、表示部2の着脱を容易に行うことができる。一方、吸引力を大きくした状態で表示部2を装着部5に接続した場合は、表示部2がより強く装着部5に接続されるため、表示部2が移動することを防止することができる。
【0054】
また、表示部側接続部材9Aには、螺旋状の溝94Aが設けられ、スペーサー11Aには、表示部側接続部材9Aの溝と螺合する溝94Aが設けられている。このため、表示部側接続部材9Aにスペーサー11Aを螺合させた状態で、スペーサー11Aを回転させることにより、表示部側接続部材9Aとスペーサー11Aとの間隔が変化し、表示部側接続部材9Aと装着部側接続部材53Aとの間隔を調整することができる。このため、表示部2と装着部5との間隔調整を簡単に行うことができ、表示部2と装着部5との間の磁力による接続の強さを容易に調整することができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、第3実施形態における頭部装着型表示装置1Bの接続部10Bの構成を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態に対して、図7に示すように、接続部10Bの構成が異なる。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0056】
具体的に、表示部側接続部材9Bは、凹部95Bを有する円筒状の鉄部材で構成されている。この凹部95B内には、底面部92Bに向かって複数の溝96Bが形成されている
一方、装着部側接続部材53Bは、凹部531Bを有する有底円筒状に形成されている。凹部531B内には、円筒状に形成された磁石で構成され、凹部531Bの底面から突出した凸部533Bが設けられている。この凸部533Bには、突出方向に向かって複数のリブ534Bが設けられている。そして、凸部533Bには、表示部側接続部材9Bが嵌合し、凸部533Bの磁力により、表示部側接続部材9Bが装着部側接続部材53Bに接続される。
【0057】
ここで、装着部側接続部材53Bには、凸部533Bの周囲において表示部側接続部材9B側に延出し、凹部531Bを構成する第2規制部としての側壁538Bが設けられている。この側壁538Bは、表示部側接続部材9Bが装着部側接続部材53Bの凸部533Bに嵌合した状態で、表示部側接続部材9Bの周囲を覆うことになる。このため、表示部2の自重や表示部2への衝撃等により、表示部側接続部材9を中心として表示部2が下方に回転しようとしたり、観察者側に回転しようとしたりしても、側壁538Bが表示部側接続部材9のこれら回転を規制する。このことにより、側壁538Bは、表示部2と装着部5との接続が不用意に解除されることを抑制したり、表示部2が観察者の目の方向に外れることを防止したりする。
【0058】
以上の第3実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果を発揮することができる。
また、本実施形態では、装着部側接続部材53Bの側壁538Bは、表示部側接続部材9Bの凸部533Bの周囲にわたって設けられている。このことにより、表示部側接続部材9を中心とする表示部2の全方向の回転を規制することができるため、表示部2と装着部5との接続が不用意に解除されることをより確実に防止することができる。
【0059】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、頭部装着型表示装置1は、表示部2及び導光板3が観察者の片目に対応させてそれぞれ1つずつ設けられていたが、これに限らず、画像を両眼視する構成としても構わない。この際、観察者の両目に対応させて一対の表示部2を装着部5に接続するように構成してもよい。
前記実施形態では、頭部装着型表示装置1は、透過型の液晶表示デバイス61を備えた表示素子6を採用していたが、これに限らず、その他の構成、例えば、反射型の液晶表示デバイスや、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を備えた表示素子を採用しても構わない。また、有機ELデバイス等の自己発光型の表示素子を採用してもよい。
【0060】
前記実施形態では、頭部装着型表示装置1は、表示素子6から出射された画像光を導光板3を介して観察者に認識させる虚像表示型であったが、これに限らず、表示素子6から出射された画像光を観察者に直接認識させる直接表示型としてもよい。また、導光部としては、導光板3に限らず、ミラー等の他の構成を採用してもよい。
【0061】
前記実施形態では、表示部2は、装着部5に対して水平方向に回転可能となっていたが、水平方向の回転であって装着部5に近接する方向の回転を規制するように構成してもよい。このためには、例えば、図8に示すように、フレーム8における表示部側接続部材9の支持部83よりも導光板3側に、フレーム8から表示部側接続部材9側に延出する延出部84を設ければよい。この延出部84は、支持部83よりもフレーム8からの延出量が大きいため、例えば、表示部2が物に当たって導光板3が装着部5に近接する方向に回転しようとした際、フレーム8が延出部84に当接する。このことにより、延出部84は、表示部2が観察者に近接する方向に所定量以上回転することを規制し、導光板3が観察者の目の方向に必要以上に回転することを防止することができる。
【0062】
前記実施形態では、表示部側接続部材9,9A,9Bが鉄部材で構成され、装着部側接続部材53,53A,53Bが磁石で構成されていたが、これに限らず、表示部側接続部材9,9A,9Bを磁石で構成し、装着部側接続部材53,53A,53Bを鉄部材で構成してもよい。
また、表示部側接続部材9,9Aや装着部側接続部材53,53Aを磁石そのもので構成することが必須ではなく、図9に示すように、磁石99を埋め込んで構成してもよい。
さらに、表示部側接続部材9,9Aと装着部側接続部材53,53Aとを、互いに極が異なる磁石で構成してもよく、磁石との間に磁力による吸引力を生じるものであれば、鉄以外の材料を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ等の頭部装着型表示装置に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B・・・頭部装着型表示装置、71・・・投射レンズ、2・・・装着部、5・・・装着部、9,9A,9B・・・表示部側接続部材、10,10A,10B・・・接続部、11A・・・スペーサー(吸引力調整部材)、53,53A,53B・・・装着部側接続部材、91・・・リブ(第1規制部)、532・・・溝(第1規制部)、536・・・張出部(第2規制部)、536B側壁・・・(第2規制部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を出射する表示部と、
観察者の頭部に装着される装着部と、
前記装着部に前記表示部を着脱自在に接続する接続部とを備え、
前記接続部は、
前記表示部に設けられた表示部側接続部材と、
前記装着部に設けられた装着部側接続部材とを備え、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材は、前記表示部を磁力により前記装着部に接続する
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭部装着型表示装置において、
前記接続部は、前記頭部装着型表示装置の装着状態において、当該接続部を中心に前記表示部と前記装着部とを上下方向および水平方向の少なくとも2方向に相対回転可能に設けられている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の頭部装着型表示装置において、
前記接続部は、
前記上下方向の相対回転を規制する第1規制部を備え、
前記水平方向の相対回転は許容可能に構成されている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の頭部装着型表示装置において、
前記第1規制部は、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方に水平方向に設けられた溝と、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの他方に設けられ、前記溝に係止されるリブとを備えている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の頭部装着型表示装置において、
前記接続部は、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方から他方側に延出し、当該他方の一部を覆う第2規制部を備えている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の頭部装着型表示装置において、
前記接続部は、
前記表示部側接続部材と前記装着部側接続部材との間に設けられた吸引力調整部材を備え、
前記吸引力調整部材は、前記表示部側接続部材と前記装着部側接続部材との間隔を調整可能に構成されている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の頭部装着型表示装置において、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの一方には、螺旋状の溝が設けられ、
前記吸引力調整部材には、前記表示部側接続部材の溝と螺合する溝が設けられている
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の頭部装着型表示装置において、
前記表示部側接続部材および前記装着部側接続部材のうちの少なくとも一方は磁石を備え、前記表示部を前記磁石の磁力により前記装着部に接続する
ことを特徴とする頭部装着型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74324(P2013−74324A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209676(P2011−209676)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】