説明

頭髪用泡沫エアゾール化粧料

【課題】保存安定性に優れるとともに、イオン性皮膜形成ポリマーの配合により形成されるコンプレックスによる析出物によって生じるステム部やノズル口の目詰まりによる吐出不良を抑制し、吐出安定性に優れる頭髪用泡沫エアゾール化粧料を提供すること。また、木目細やかな優れた泡質を有し、整髪力および整髪保持力に優れるとともに、ごわつき感およびきしみ感がなく使用感に優れる頭髪用泡沫エアゾール化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)イオン性皮膜形成ポリマー、(B)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、(C)多価アルコール、および(D)水を含有してなる原液、ならびに(E)噴射剤からなる頭髪用泡沫エアゾール化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪用泡沫エアゾール化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭髪用泡沫エアゾール化粧料において、整髪性を付与するためにイオン性皮膜形成ポリマー、並びに、起泡性を付与するためにイオン性界面活性剤が用いられている。イオン性皮膜形成ポリマーとしては、整髪力、整髪保持力に優れるアニオン性皮膜形成ポリマー、優れた使用感を付与できるカチオン性皮膜形成ポリマー、アニオン性とカチオン性の特性を併せ持つ両性皮膜形成ポリマーなどが望む用途に応じて汎用されている。しかしながら、整髪性の向上を図るべく、これらイオン性皮膜形成ポリマーを単独で多量に配合したり、イオン性皮膜形成ポリマーを組み合わせて配合すると、ステム部やノズル口に乾燥した皮膜形成ポリマーが付着して目詰まりが生じ、均一に吐出することができないといった問題があった。また、ポリマー同士のコンプレックスによって生じた析出物がステム部やノズル口の目詰まりを引き起こし、吐出できないといった問題もあった。更には、イオン性皮膜形成ポリマーとイオン性の異なる界面活性剤とを併用すると、同様にコンプレックスが生じ、吐出できないといった問題もあった。
【0003】
このような問題点を解決するために、目詰まりによる吐出不良を抑制する試みがなされている。例えば、特定の皮膜形成ポリマーを含有する噴霧液型の毛髪化粧料(例えば、特許文献1を参照)、特定の皮膜形成ポリマー、多価アルコール、液状油を含有した原液と、特定の噴射剤とを特定比率で混合したエアゾール型毛髪化粧料(例えば、特許文献2を参照)、流動油分と、固形油分を特定の比率で含有したスプレー式毛髪化粧料(例えば、特許文献3を参照)、圧縮ガスと、特定比率で混合した原液と、イソペンタンを含有し、特定の内圧としたエアゾール式ヘアスプレー(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、このような試みに拠ってもイオン性皮膜形成ポリマーによる目詰まりを充分に抑制するには至っていなかった。また、泡沫を形成するエアゾール化粧料において上記技術を応用することは困難であった。加えて、整髪性や使用感、並びに原液の保存安定性においても未だ満足しうるものではなかった。
【特許文献1】特開2005−75742号公報
【特許文献2】特開2004−143092号公報
【特許文献3】特開2003−137739号公報
【特許文献4】特開2000−344631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、保存安定性に優れるとともに、イオン性皮膜形成ポリマーの配合により形成されるコンプレックスによる析出物によって生じるステム部やノズル口の目詰まりによる吐出不良を抑制し、吐出安定性に優れる頭髪用泡沫エアゾール化粧料を提供することである。また、木目細やかな優れた泡質を有し、整髪力および整髪保持力に優れるとともに、ごわつき感およびきしみ感がなく使用感に優れる頭髪用泡沫エアゾール化粧料を提供することも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)イオン性皮膜形成ポリマー、(B)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、(C)多価アルコール、および(D)水を含有してなる原液、ならびに(E)噴射剤からなる頭髪用泡沫エアゾール化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の頭髪用泡沫エアゾール化粧料は、保存安定性に優れるとともに、イオン性皮膜形成ポリマーの配合により形成されるコンプレックスによる析出物によって生じるステム部やノズル口の目詰まりによる吐出不良を抑制し、吐出安定性に優れるという効果を奏する。また、木目細やかな優れた泡質を有し、整髪力および整髪保持力に優れるとともに、ごわつき感およびきしみ感がなく使用感に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の頭髪用泡沫エアゾール化粧料は、イオン性皮膜形成ポリマーとポリグリセリンモノアルキルエーテルを用いることに特徴を有する。ポリグリセリンモノアルキルエーテルを用いることによって、優れた保存安定性とともに、イオン性皮膜形成ポリマー、なかでも、アニオン性皮膜形成ポリマーとカチオン性皮膜形成ポリマーを組み合わせた場合に形成されるコンプレックスによる析出物によって生じるステム部やノズル口の目詰まりによる吐出不良を抑制して、優れた吐出安定性を実現することができる。また、イオン性皮膜形成ポリマーと任意に添加されるイオン性界面活性剤(なかでも、イオン性の異なる皮膜形成ポリマーと界面活性剤を組み合わせた場合)により形成されるコンプレックスにも同様に優れた吐出安定性を実現することができる。更には、木目細やかな優れた泡質も実現することができる。加えて、イオン性の異なる皮膜形成ポリマーを組み合わせて用いることができるので、優れた整髪力および整髪保持力を付与することができるとともに、ごわつき感およびきしみ感がなく優れた使用感をも実現することができる。本発明の頭髪用泡沫エアゾール化粧料は、後述の(A)〜(D)成分を含有してなる原液、ならびに(E)成分の噴射剤からなり、以下、(A)〜(D)成分の配合量は、特に言及されない限り、原液中の量を表わす。
【0009】
(A)成分のイオン性皮膜形成ポリマーは、アニオン性皮膜形成ポリマー、カチオン性皮膜形成ポリマー、および両性皮膜形成ポリマーからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。これらのイオン性皮膜形成ポリマーを単独で用いてもよいが、優れた整髪性を付与する観点から、イオン性の異なる皮膜形成ポリマーを組み合わせて使用するのがより好ましい。
【0010】
アニオン性皮膜形成ポリマーは、整髪力および整髪保持力に優れるものであればよく、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等であることが好ましく、なかでもアクリル樹脂アルカノールアミン、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体であることがより好ましい。
【0011】
アニオン性皮膜形成ポリマーの市販品としては、アニセットKB-1000(成分名;アクリル樹脂アルカノールアミン、大阪有機化学工業製)、RESYN 28-2930(成分名;酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、日本NSC製)、DynamX(成分名;ウレタン-アクリル系共重合体、日本NSC製)等を挙げることができる。
【0012】
カチオン性皮膜形成ポリマーは、ごわつき感およびきしみ感がなく優れた使用感を付与できるものであればよく、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化О-[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体等であることが好ましく、なかでもビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化О-[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースであることがより好ましい。
【0013】
カチオン性皮膜形成ポリマーの市販品としては、H.C.ポリマー1N(成分名;ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、大阪有機化学工業製)、カチナールHC-200(成分名;塩化О-[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、東邦化学工業製)、STYLEZE W-10(成分名;(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体、ISP製)等を挙げることができる。
【0014】
両性皮膜形成ポリマーは、アニオン性とカチオン性の両方の特性を有するものであればよく、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体等であることが好ましく、なかでもN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体であることがより好ましい。
【0015】
両性皮膜形成ポリマーの市販品としては、ユカフォーマー104(成分名;N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、三菱化学製)、ダイヤフォーマーZ-632(成分名;N,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、三菱化学製)、AMPHOMER SH30(成分名;アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、日本NSC製)等を挙げることができる。
【0016】
好適な態様として、(A)成分のイオン性皮膜形成ポリマーは、(1)アクリル樹脂アルカノールアミンとビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、(2)酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体と塩化О-[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、(3)アクリル樹脂アルカノールアミンとN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、(4)酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体とN,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、(5)ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩とN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、又は(6)塩化О-[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースとN,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体からなることが好ましい。
【0017】
前記(A)成分の配合量は、前記イオン性皮膜形成ポリマーの総量であり、整髪性、安定性の観点から、原液中に好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%である。
【0018】
(B)成分のポリグリセリンモノアルキルエーテルは、イオン性皮膜形成ポリマー、又はイオン性皮膜形成ポリマーと任意に添加されるイオン性界面活性剤から生じるコンプレックスによる析出物の発生を抑制し、泡沫を形成するものであればよく、例えば、下記一般式(1)で表されるものが好適に用いられる。

R−(OCH−CH(OH)−CH−OH (1)

〔式中、Rは炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0019】
一般式(1)におけるRのアルキル基の具体例としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ベヘニル基、オレイル基、イソステアリル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘキサデシル基等を例示することができる。中でも、炭素数8〜14の直鎖アルキル基を用いることが好ましい。また、一般式(1)におけるnは好ましくは2以上の整数であり、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜10である。
【0020】
また、(B)成分の具体例としては、例えば、デカグリセリンモノオクチルエーテル、デカグリセリンモノデシルエーテル、デカグリセリンモノラウリルエーテル、デカグリセリンモノミリスチルエーテル、オクタグリセリンモノオクチルエーテル、オクタグリセリンモノデシルエーテル、オクタグリセリンモノラウリルエーテル、オクタグリセリンモノミリスチルエーテル、ヘキサグリセリンモノオクチルエーテル、ヘキサグリセリンモノデシルエーテル、ヘキサグリセリンモノラウリルエーテル、ヘキサグリセリンモノミリスチルエーテル、テトラグリセリンモノオクチルエーテル、テトラグリセリンモノデシルエーテル、テトラグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンモノミリスチルエーテル等を例示することができる。上記(B)成分は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。好適な(B)成分としては、析出物の発生を抑制して優れた保存安定性と吐出安定性を付与する観点、並びに、木目細やかな優れた泡質を付与する観点から、デカグリセリンモノラウリルエーテル、テトラグリセリンモノラウリルエーテルを用いることが好ましい。
【0021】
(B)成分の市販品としては、サンイーサー L−4(成分名;テトラグリセリンモノラウリルエーテル:太陽化学社製)、サンイーサー L−10(成分名;デカグリセリンモノラウリルエーテル:太陽化学社製)等を例示することができる。
【0022】
前記(B)成分の配合量は、原液中に好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0023】
(C)成分の多価アルコールは、通常用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等を例示することができる。上記(C)成分は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。好適な(C)成分としては、イソプレングリコール、1、3−ブチレングリコールを用いることが好ましい。
【0024】
前記(C)成分の配合量は、使用感の観点から、原液中に好ましくは0.01〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
【0025】
更に、本発明の化粧料に、起泡性を付与する観点から任意にイオン性界面活性剤を用いてもよく、好ましくはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を用いてよい。また、両性およびカチオン性皮膜形成ポリマーを併用する場合にアニオン性界面活性剤、両性およびアニオン性皮膜形成ポリマーを併用する場合にカチオン性界面活性剤、あるいはアニオン性およびカチオン性皮膜形成ポリマーを併用する場合にカチオン性若しくはアニオン性界面活性剤を用いてもよい。これらはいずれもコンプレックスが生じやすいものの、本発明の(B)成分を配合することでコンプレックスの形成を抑制することができる。
【0026】
アニオン性界面活性剤は、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩等が好ましく、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等がより好ましく、なかでもスルホコハク酸ジオクチルナトリウムがさらに好ましい。カチオン性界面活性剤は、第4級アンモニウム塩型である塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が好ましく、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等がより好ましく、なかでも塩化ステアリルトリメチルアンモニウムがさらに好ましい。
【0027】
前記イオン性界面活性剤は、単独で又は複数を用いることができ、その配合量は、使用感と泡沫形成能の観点から、原液中に好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0028】
その他に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、エタノール等の低級アルコール、アミノメチルフェノール等の中和剤;高級アルコール、エステル油、紫外線吸収剤、増粘剤、香料、色素、防腐剤、キレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、保湿剤、清涼剤、ビタミン剤、植物抽出物等を適宜、その用途、目的等に応じて添加することができる。
【0029】
(D)成分の水は、原液の全量が100重量%となるように、残部に用いられる。かかる水の種類には特に限定がなく、一般に、精製水などを用いることができる。
【0030】
(E)成分の噴射剤は、密封容器中にエアゾールとして封入する場合、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、ハロゲン化炭化水素、圧縮炭酸ガス、圧縮窒素ガス、圧縮空気、あるいはこれらの混合物等を用いることが好ましく、なかでも液化石油ガスを用いることがより好ましい。
【0031】
密閉容器中の原液と噴射剤の重量比(原液/噴射剤)は、泡沫安定性の観点から、好ましくは99/1〜50/50、より好ましくは95/5〜70/30である。
【0032】
本発明の頭髪用泡沫エアゾール化粧料は、例えば、フォーム剤型の整髪用製品等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、本発明において、原液は組成物と表記する場合がある。
【0034】
(原液の調製)
表1に記した組成に従い、各成分を混合して原液である組成物1〜12を調製した。また、表2に記した組成に従い、参考組成物1〜3を同様に調製した。表1、2の数値は、重量%を表す。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
(頭髪用泡沫エアゾール化粧料の調製1)
組成物1〜12の原液を透明耐圧瓶内に充填し、バルブを容器にクリンチした後、液化石油ガスをステムより原液/噴射剤の重量比が90/10となるように充填し、組成物1〜6から実施例1〜6の頭髪用泡沫エアゾール化粧料および組成物7〜12から比較例1〜6のエアゾール化粧料を調製し、下記評価に供した。その結果を表3に示す。
【0038】
(試験例1:保存安定性の評価)
実施例1〜6の頭髪用泡沫エアゾール化粧料および比較例1〜6のエアゾール化粧料を5℃、40℃の恒温槽にそれぞれ3週間保管した。次いで、各恒温槽から取出し、23℃、湿度60%の恒温恒湿室で3時間静置後の各化粧料の状態について下記の評価基準に従って目視評価した。
【0039】
<保存安定性の評価基準>
○:製造直後と全く変化が認められない
△:僅かに析出物が認められる
×:明らかな析出物が認められる
なお、本発明において、5℃、40℃の保存安定性が共に○であれば、保存安定性に優れるものとする。
【0040】
【表3】

【0041】
表3の結果から、実施例1〜6は、比較例1〜3、5と比べて、保存安定性に優れていることがわかる。比較例1、2は、アニオン性及びカチオン性皮膜形成ポリマーにより形成されるコンプレックスが発生するために明らかな析出物が認められ、比較例2、3、5でもイオン性皮膜形成ポリマーとイオン性界面活性剤により形成されるコンプレックスが発生するために僅かに又は明らかに析出物が認められ、保存安定性に劣る。
【0042】
(頭髪用泡沫エアゾール化粧料の調製2)
組成物1〜12の原液をエアゾール用容器に充填し、バルブを容器にクリンチした後、液化石油ガスをステムより原液/噴射剤の重量比が90/10となるように充填し、組成物1〜6から実施例7〜12の頭髪用泡沫エアゾール化粧料および組成物7〜12から比較例7〜12のエアゾール化粧料を調製し、下記の試験例2〜5による評価に供した。また、参考組成物1〜3も同様にエアゾールの形態として下記の試験例4と5による評価に供した。これらの結果を表4、5に示す。
【0043】
(試験例2:吐出安定性の評価)
実施例7〜12の頭髪用泡沫エアゾール化粧料および比較例7〜12のエアゾール化粧料を5℃、40℃の恒温槽にそれぞれ保管し、隔日ごとに下記操作を繰り返し、吐出安定性の試験を行った。
【0044】
(操作)
各恒温槽より各化粧料を取出し、23℃、湿度60%の恒温恒湿室で3時間静置後、15秒間よく振ってから、吐出口が下になるようして5秒間吐出した。吐出後、各化粧料を各恒温槽に戻し、2日後に同様の試験を実施した。この操作を、中味の液体が完全に無くなるまで、或いは、目詰まりなどにより中味が吐出されなくなるまで繰り返し実施し、その状態を下記の基準に従い評価した。
【0045】
<吐出安定性の評価基準>
○:観察期間内に吐出状態に異常は見られない
△:観察期間内に吐出状態がやや弱くなるが、吐出している
×:観察期間内に全く吐出しなくなる
なお、本発明において、5℃および40℃の吐出安定性が共に○であれば、吐出安定性に優れるものとする。
【0046】
(試験例3:泡形成の評価)
試験例2で吐出された泡形状を下記の評価基準に従って官能評価した。
【0047】
<泡形成の評価基準>
○:木目細やかな泡が形成されている
△:目の粗い泡が形成されている
×:泡形成しない
【0048】
(試験例4:整髪力および整髪保持力の評価)
評価パネル20名により、実施例7〜12、比較例7〜12、並びに、参考例1〜3で得られた各化粧料をウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪に均一に塗布し、整髪力および整髪保持力を下記の評価基準に従って官能評価した。
【0049】
尚、整髪力の評価は、毛髪を毛先の方からにぎる操作を5回行い、形成されたスタイルに、にぎった形がくっきりと保持されているものを整髪力が優れているものとして評価を行った。また、整髪保持力の評価は、整髪力を評価した1時間後について、同様の評価を行った。
【0050】
<整髪力の評価基準>
○:20名中15名以上が整髪力に優れると回答
△:20名中8〜14名が整髪力に優れると回答
×:20名中7名以下が整髪力に優れると回答
【0051】
<整髪保持力の評価基準>
○:20名中15名以上が整髪保持力に優れると回答
△:20名中8〜14名が整髪保持力に優れると回答
×:20名中7名以下が整髪保持力に優れると回答
なお、本発明において、整髪力および整髪保持力の評価基準が○と○、○と△の組み合わせであれば、整髪力および整髪保持力に優れるものとする。
【0052】
(試験例5:使用感の評価)
23℃、湿度60%の恒温恒湿下で一晩放置した毛束(長さ10cm、幅0.8cm、重量1g)に実施例7〜12、比較例7〜12、並びに、参考例1〜3で得られた各化粧料を0.5g吐出し、指先で均一に延ばした。再び23℃、湿度60%の恒温恒湿下で1時間放置し、評価パネル20名により、ごわつき感、きしみ感による使用感を下記の評価基準に従って官能評価した。
【0053】
<ごわつき感の評価基準>
○:20名中15名以上がごわつき感なしと回答
△:20名中8〜14名がごわつき感なしと回答
×:20名中7名以下がごわつき感なしと回答
【0054】
<きしみ感の評価基準>
○:20名中15名以上がきしみ感なしと回答
△:20名中8〜14名がきしみ感なしと回答
×:20名中7名以下がきしみ感なしと回答
なお、本発明において、ごわつき感およびきしみ感の評価基準が○と○、○と△の組み合わせであれば、ごわつき感およびきしみ感がなく使用感に優れるものとする。
【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
表4の結果から、実施例7〜12は、ポリグリセリンモノアルキルエーテルを用いておりコンプレックスの形成が抑制されることで吐出安定性、泡形成、整髪力および整髪保持力、ごわつき感およびきしみ感がない使用感に優れていることがわかる。比較例7〜12は、ポリグリセリンモノアルキルエーテルが配合されておらずコンプレックスが発生しやすくなるため、吐出安定性、泡形成、整髪力および整髪保持力、使用感において劣った評価が多い。また、比較例7〜12は木目細やかな泡を形成しない。
【0058】
表5の結果により、参考例1でアニオン性皮膜形成ポリマーとアニオン性界面活性剤を用いると整髪力および整髪保持力のみが優れ、参考例2でカチオン性皮膜形成ポリマーとカチオン性界面活性剤を用いるとごわつき感およびきしみ感がない使用感のみに優れ、参考例3で両性皮膜形成ポリマーとアニオン性界面活性剤を用いると前記性質の両方が優れることがわかる。これらに対してアニオン性およびカチオン性皮膜形成ポリマーを組み合わせてもポリグリセリンモノアルキルエーテルを配合しないと、比較例7、8に示されるように上記コンプレックス形成のため両方の性能が発揮されない。また、両性皮膜形成ポリマーとアニオン性またはカチオン性皮膜形成ポリマーと、イオン性の異なる界面活性剤とを組み合わせてもポリグリセリンモノアルキルエーテルを配合しないと、比較例9、11に示されるように上記コンプレックス形成のため両方の性能が発揮されない。一方、両性皮膜形成ポリマーとアニオン性またはカチオン性皮膜形成ポリマーとを組み合わせた場合はポリグリセリンモノアルキルエーテルを配合しなくても、比較例10、12に示されるように顕著には上記コンプレックスを形成しない。しかし、木目細やかな泡を形成させることはできない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の頭髪用泡沫エアゾール化粧料は、例えば、フォーム剤型の整髪用製品等に好適に用いることができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イオン性皮膜形成ポリマー、(B)ポリグリセリンモノアルキルエーテル、(C)多価アルコール、および(D)水を含有してなる原液、ならびに(E)噴射剤からなる頭髪用泡沫エアゾール化粧料。
【請求項2】
前記(A)成分が、アニオン性皮膜形成ポリマーと、カチオン性皮膜形成ポリマーとからなる、請求項1記載の頭髪用泡沫エアゾール化粧料。
【請求項3】
前記(A)成分が、両性皮膜形成ポリマーと、アニオン性皮膜形成ポリマー又はカチオン性皮膜形成ポリマーとからなる、請求項1記載の頭髪用泡沫エアゾール化粧料。
【請求項4】
前記(B)成分が、デカグリセリンモノラウリルエーテルおよび/又はテトラグリセリンモノラウリルエーテルである、請求項1〜3いずれかに記載の頭髪用泡沫エアゾール化粧料。



【公開番号】特開2009−179583(P2009−179583A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19282(P2008−19282)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】