説明

頸部細胞における高度異形成の検出

頸部細胞における高度異形成及び癌腫の検出のためプローブ及びプローブセットを使用する方法が記載される。本発明の方法は、対象から入手された生物学的試料に1個以上の染色体プローブをハイブリダイズさせること、及び対象が高度異形成又は癌腫を有するか否かを決定するため、染色体プローブの試料とのハイブリダイゼーションパターンを検出すること、を含む。本発明の方法は、癌のリスクに関連しているマーカーに関する細胞の予備的なスクリーニングも含み、好ましくは、HPVプローブ混合物を使用したin situハイブリダイゼーションによるHPV感染細胞のスクリーニングを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
頸部癌は、依然として、世界中の女性に影響を与えている最も一般的な癌の型のうちの一つである。頸部癌腫への生物学的経路は、正常な上皮内細胞から始まり、軽度異形成、次いで高度異形成へと進展した後、悪性が獲得される。細胞学者は、in situの癌腫、及び最終的に悪性が生じる前の、正常上皮細胞から、意義不明異型扁平上皮細胞(ASCUS)、軽度扁平上皮内病変(LSIL)、次いで高度扁平上皮内病変(HSIL)への進行として、悪性への経過を区分している。組織学者は、正常細胞から、様々な重度の頸部上皮内癌(CIN I、II及びIII)、次いでin situの癌腫、及び最終的な悪性への進行を区分している。CIN Iは、LSILに匹敵する軽度異形成と考えられる。CIN II及びIIIは、HSILに匹敵する高度異形成と考えられる。
【0002】
現在の医療の標準は、患者の細胞における異形成又は癌腫を示すものとしての異常を特定するためのパパニコラウ(Papanicolau)(Pap)スメアによる定期的な細胞学的試験を含んでいる。組織学的調査により高度異形成が検出され確認された場合には、患者の頸部の移行帯が、ループ切除又は円錐生検により直ちに除去される。癌腫が検出された場合には、より根治的な手技が必要となる。しかしながら、同時に、正常から悪性への進行は厳密ではなく、軽度異形成の存在は、患者が高度異形成又は悪性へと進行するであろうことを必ずしも示さない。重要なこととして、高度異形成を検出するための細胞学的方法(例えば、Papスメア)の陰性的中率(negative predictive value)は、不充分である。従って、軽度異形成が高度として誤診され、そのために患者が不当な治療を受ける場合もあるし、高度異形成が軽度異形成として誤診され、そのために適切な治療が遅れる場合もある。従って、軽度異形成と高度異形成とを正確に区別するであろう診断法が必要とされている。
【0003】
患者標本は、典型的には、評価のための数千個の細胞を含む。個々の細胞の評価に基づく診断を技術者が実施するには、評価のために必要とされる細胞の数が多いために、莫大な時間と手間を要し得る。従って、細胞評価法を単純化する手段が必要とされている。
【0004】
遺伝学的異常(例えば、染色体領域の変化又は倍数性レベルの変化)が、正常細胞から頸部悪性への進行に付随することを認めた者がいる。例えば、リード(Ried)らの米国特許第5,919,624号を参照のこと。リード(Ried)らは、異形成頸部細胞の後期の進行、例えば、非侵入性頸部癌腫から侵襲性頸部癌腫への進行を分類するために、染色体異常が使用され得ることを認めた。さらに、頸部癌が、ある種のヒトパピローマウイルス(HPV)型、特にHPV16型、18型、31型、33型、35型及び42型による感染に関連していることを証明した者もいる。例えば、Lazo,Brit.J.Cancer,(1999)80(12),2008−2018を参照のこと。さらに、p16及びサイクリンEのような多くの細胞周期タンパク質、並びにタンパク質Ki67及びPCNAのような細胞増殖マーカーも、新生物細胞において高度に活性であることが既知である。従って、異常な量のこれらのマーカーを含有している細胞は、悪性へと進行し得る細胞の良好な候補として提唱されている。
【0005】
PCT出願WO0024760は、in situハイブリダイゼーション及び明視野顕微鏡検を使用してPapスメア中のHPV DNAを検出するための方法及び試薬を記載している。そのプローブは、HPV−16、−18、−31、−33、−35、及び−51の全長DNAプローブからなる。この特許は、このプローブ混合物が、その他の高リスクHPV型を検出し、低リスクHPVは検出しないと主張している。開示されたHPVプローブ混合物の、低リスクHPV型とのハイブリダイゼーションを回避する能力は、プローブ混合物に含まれる各HPV DNAプローブの量の調整により達成される。開示されたHPVプローブは、本明細書に記載されたものとは異なる。さらに、本発明のアッセイは、プローブ濃度を全ての型について一定に維持しつつ、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを低下させることにより、プローブのクロスハイブリダイゼーションを調整する。この出願は、また、HPV感染細胞における染色体異常を検出するための染色体プローブの使用と、HPVプローブを組み合わせていない。
【0006】
ホップマン(Hopman)ら(J of Pathology 2004;202:23−33)は、FISHにより、頸部生検切片におけるHPV状態及び染色体異常を分析した。この研究においては、HPV−16及びHPV−18のためのプローブ、並びに第1染色体(1q12)、第17染色体及びX染色体のためのゲノムプローブのみが使用された。同じ細胞においてHPV及び染色体増加を同時に検出する本発明のアッセイとは対照的に、ホップマンらのHPV陽性細胞及び染色体異常の検出は、平行組織切片において実施された。
【0007】
現在まで、本出願人らは、染色体異常が、もう一つのマーカーの存在と共にもしくはそれなしに、高度異形成から軽度異形成を区別するために使用され得ることを証明した公開物、又はそのような診断法をHPVと頸部癌との既知の関連と組み合わせた公開物を全く承知していない。
【発明の開示】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、軽度頸部上皮内癌を検出することなく、頸部生検材料及びPapスメア標本において高度頸部上皮内癌(CIN II及びCIN III)並びに悪性癌腫を選択的に検出するために、ある種の染色体異常が使用され得るという発見に基づく。本法は、高レベルの、即ち、各々約95%という感度及び特異度で、高度頸部上皮内癌(CIN II及びCIN III)並びに悪性癌腫を検出することができる。本発明は、標識された核酸プローブを頸部試料にハイブリダイズさせるin situハイブリダイゼーション技術の使用に基づく。好ましくは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)が使用され、核酸プローブは蛍光標識されたDNAプローブである。次いで、ハイブリダイゼーション結果が、高度頸部上皮内癌(CIN II及びCIN III)並びに悪性癌腫の臨床的診断と相関させられる。
【0009】
本発明の方法は、約60以下のCIN IとCIN IIとを識別するためのベクトル値を示す1個以上のプローブのセットを利用する。ここで、ベクトル値とは、ベクトル=[(100−特異度)+(100−感度)1/2により計算される。本法において使用するための好ましいプローブは、遺伝子座3q26、8q24、20q13、Xp22及び3p21に対するプローブ、並びに第3及び第15染色体を計数するプローブである。2個、3個又はそれ以上のプローブを含む複数のプローブのセットが、本発明の方法において使用され得る。好ましいマルチプローブセットは、遺伝子座8q24及び3q26に対するプローブ;3q26、8q24、Xp22及び第15染色体に対するプローブ;8q24、20q13、Xp22及び第15染色体に対するプローブ;並びに遺伝子座3p21、3p14、3q26及び第3染色体に対するプローブを含む。本発明において有用なプローブは、例えば、本発明の方法の実施において有用な他の試薬と共に包装されたキットに組み込まれ得る。そのようなキットは、本発明により有用な1個以上のプローブを含み得る。
【0010】
プローブは、(a)第一の複数の染色体プローブを準備する工程(複数とは、1個以上のプローブを意味する);(b)第一の複数のプローブの各々の、頸部標本において高度異形成(CIN II、CIN III及び癌腫)を軽度異形成(CIN I)から区別する能力を決定する工程;並びに(c)約60未満のベクトル値で軽度標本と比較して高度異形成標本を特定する第二の複数のプローブを与えるため、高度異形成を軽度異形成から区別する1個又は複数個のプローブを、第一の複数のプローブの中から選択する工程、を使用して選択され得る。好ましいプローブは、さらに、(d)第二の複数のプローブから選択されたプローブの組み合わせの、高度標本を軽度標本から区別する能力を決定すること;及び(e)約40未満のベクトル値で軽度標本と比較して高度標本を特定するプローブの組み合わせを選択すること、により選択され得る。より好ましい実施態様は、より低いベクトル値(例えば、約30未満のベクトル値)に基づき選択され得る。
【0011】
本発明により使用される生物学的試料は、頸部生検標本又はPapスメアもしくはサイティック社(Cytyc Corp.,Boxborough,MA)の方法により調製されたThinPrep(登録商標)試料のような頸部スメアを含有し得る。本発明により使用されるプローブは、特異的に設計された染色体標的にハイブリダイズするよう設計/選択された、デオキシリボ核酸(DNA)プローブ又はタンパク質核酸(PNA)プローブのような検出可能に標識された核酸に基づくプローブを含む。蛍光in situハイブリダイゼーションにおいて使用されるような蛍光標識が好ましいが、ハイブリダイゼーション技術において一般に使用されるその他の検出可能標識、例えば、酵素標識、色素生産標識及び同位体標識も、使用され得る。
【0012】
本発明のもう一つの局面において、例えば、HPV、例えば、高リスクHPVによる感染、又は異常な量のp16及びサイクリンEのような細胞周期タンパク質もしくはKi67及びPCNAのような細胞増殖マーカーの存在のような適切な関連マーカーの存在に関して、まず、頸部細胞がスクリーニングされる、予備的な細胞スクリーニング技術の採用により、遺伝学的異常の検出が容易になる。そのようなスクリーニングは、より精密な調査のためのより疑わしい細胞を特定するために使用され得、標本評価に必要な時間を5〜10倍も短縮することができる。疑わしい細胞が特定された後、これらの疑わしい細胞は、次いで、染色体異常の存在に関して調査される。HPV感染のような可能性のある悪性のマーカーをも示す細胞における本発明のプローブの使用により特定された染色体異常の存在は、より高度のCIN又は悪性を特定する。そのような一次スクリーニング技術は、標本評価をより簡潔かつ迅速にし得る自動化が可能である。
【0013】
好ましいアッセイは、より高度の疾患を特定するため、頸部細胞学的標本上の個々の細胞における、蛍光in situハイブリダイゼーションによるHPV感染及び染色体増加の同時検出を含む。この好ましいアッセイは、(a)対象から生物学的試料を入手すること;(b)存在する場合に試料中の染色体へのプローブのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分であり、かつ存在する場合に試料中に存在するHPV感染細胞の検出を可能にするのに十分である条件の下で、1個以上の染色体プローブのセット及びHPVプローブの混合物と、試料を接触させること;(c)試料中のHPV感染細胞の存在を検出すること;並びに(d)対象が高度異形成を有するか否かを決定するため、試料中のHPV感染細胞における染色体プローブのハイブリダイゼーションパターンを決定すること、を含む、対象における高度異形成をスクリーニングする方法を含む。HPVの検出は、好ましくは、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、6個のHPV全長ゲノムプローブ(HPV−16、HPV−18、HPV−30、HPV−45、HPV−51及びHPV−58)の混合物を用いて実施される。低ストリンジェンシー条件下でのこの混合物の使用は、以下のHPV型:HPV−16、HPV−18、HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−45、HPV−51、HPV−52、HPV−56、HPV−58、HPV−59、HPV−26、HPV−53及びHPV−66を検出する。好ましくは、混合物中の6個のHPVプローブは、蛍光標識チラミドシグナル増幅系を使用してプローブが検出されるよう標識される。染色体増加の検出は、好ましくは、他のもの及びHPVカクテル検出色と異なる蛍光色で各々標識された、染色体遺伝子座8q24及び3q26並びに第8染色体のセントロメアに対する3個の直接標識されたプローブを用いて実施される。高リスクHPVに感染した細胞における染色体異常の存在を暗示するハイブリダイゼーションパターンの決定は、高度異形成と相関する。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、頸部細胞における高度異形成及び癌腫の検出のための(i)プローブを使用する方法及び(ii)プローブセットを含む。その方法及びプローブセットは、頸部生検材料及びスメアのような生物学的試料における高度異形成の早期検出を可能にする。
【0015】
染色体プローブ
本発明により利用されるin situハイブリダイゼーション法において使用するための適切なプローブは、二つの群:染色体計数プローブ、即ち、染色体領域、一般的にはリピート配列領域へハイブリダイズし、染色体全体の存在又は欠如を示すプローブ、及び遺伝子座特異的プローブ、即ち、染色体上の特異的遺伝子座にハイブリダイズし、特異的遺伝子座の存在又は欠如を検出するプローブ、に大別される。染色体腕プローブ、即ち、ある染色体領域へハイブリダイズし、特定の染色体の腕の存在又は欠如を示すプローブも、有用であり得る。染色体プローブ及びそれらの組み合わせは、本発明の方法において使用された場合の感度及び/又は特異度のため選択される。プローブセットは、任意の数のプローブ、例えば1個、2個、3個、4個又はそれ以上のプローブを含み得る。本発明により有用なプローブの数は、個々の基準でプローブを検出する使用者の能力によってのみ制限される。
【0016】
当技術分野において周知であるように、染色体計数プローブは、セントロメアの近くもしくはセントロメアから離れた位置にある反復配列にハイブリダイズしてもよいし、又は染色体上の任意の位置にある非反復配列にハイブリダイズしてもよい。例えば、染色体計数プローブは、染色体のセントロメアに関連した反復DNAとハイブリダイズし得る。霊長類染色体のセントロメアは、アルファ−サテライトDNAと呼ばれる、約171塩基対長のモノマーリピートから構成されたDNAの長いタンデムリピートの複雑なファミリーを含有している。染色体計数プローブの非制限的な例は、第1、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第15、第16、第17、第18及びX染色体に対するプローブを含む。いくつかの特定の染色体計数プローブの例は、実施例1に記載される。
【0017】
遺伝子座特異的プローブは、染色体上の特異的な非反復遺伝子座にハイブリダイズする。遺伝子座特異的プローブの非制限的な例は、以下の遺伝子座:3q26、8q24、20q13、Xp22及び3p21に対するプローブを含む。これらの遺伝子座のうちのいくつかは、いくつかの型の頸部癌において改変される遺伝子、例えば、癌遺伝子及び癌抑制遺伝子を含む。従って、これらの遺伝子、遺伝子のエキソン、イントロン又は制御性染色体配列のいずれかを標的とするプローブが、本明細書に記載された検出法において使用され得る。標的遺伝子の例は、TERC(3q26);MYC(8q24);STK6(20q13.2−13.3)及びMLH(3p21−p23)を含む。付加的な例は、実施例1において特定される。
【0018】
セントロメアDNA及び特異的染色体遺伝子座とハイブリダイズするプローブは、バイシス社(Vysis,Inc.)(Downers Grove,IL)及びモレキュラープローブ社(Molecular Probes,Inc.)(Eugene,OR)より商業的に入手可能である。又は、プローブは、非商業的に、周知の技術を使用して作成され得る。DNAプローブの構築において使用するためのDNAの起源は、ゲノムDNA、細菌人工染色体(BAC)のようなクローニングされたDNA配列、宿主の正常な染色体相補鎖と共にヒト染色体のうちの一つ又は一部を含有している体細胞ハイブリッド、及びフローサイトメトリー又は顕微解剖により精製された染色体を含む。目的の領域は、クローニングにより、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介した部位特異的増幅により単離され得る。例えば、Nathら、Biotechnic Histochem,1998,73(1):6−22;Wheelessら、Cytometry,1994,17:319−327;及び米国特許第5,491,224号を参照のこと。合成されたオリゴマーDNA又はPNAプローブも使用され得る。
【0019】
本発明において使用されるプローブにより検出される染色体領域のサイズは、例えば、前述のアルファサテライト171塩基対プローブ配列から、150,000塩基の大きなセグメントまでの範囲であり得る。直接標識される遺伝子座特異的プローブに関しては、プローブの非特異的結合を回避するため、参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,756,696号に開示されたように、少なくとも100,000塩基の複雑さのプローブを使用すること、及び未標識ブロッキング核酸を使用することが好ましい。未標識の合成されたオリゴマー核酸又はタンパク質核酸をブロッキング核酸として使用することも可能である。特定の遺伝子座を標的とするためには、プローブが遺伝子のゲノムコーディング遺伝子座全体に及ぶことが好ましい。
【0020】
染色体プローブは、染色体にハイブリダイズした際のプローブの検出を容易にする任意の検出基を含有し得る。有効な検出基は、下記のような直接標識及び間接標識の両方を含む。
【0021】
染色体プローブは、検出可能標識により直接標識され得る。検出可能標識の例は、フルオロフォア、即ち、光を吸収した後に蛍光を発する有機分子、並びに放射性同位体、例えば、32P及びHを含む。フルオロフォアは、ニックトランスレーション、ランダムプライミング及びPCR標識のような標準的な技術による、標識されたヌクレオチドのプローブへの組み込みによる、ヌクレオチドとの共有結合性接着の後、直接標識され得る。又は、プローブ内のデオキシシチジンヌクレオチドが、リンカーによりアミノ基転移され得る。次いで、フルオロフォアが、アミノ基転移されたデオキシシチジンヌクレオチドに共有結合的に接着させられ得る。例えば、参照して本明細書に組み込まれるビットナー(Bittner)らの米国特許第5,491,224号を参照のこと。有用なプローブ標識技術は、参照として本明細書に組み込まれるMolecular Cytogenetics:Protocols and Applications、Y.−S.Fan編、チャプター2、「Labeling Fluorescence In Situ Hybridization Probes for Genomic Targets」、L.Morrisonら、21−40頁、Humana Press、(著作権)2002年(以後、「Morrison 2002」として引用される)に記載されている。
【0022】
本明細書に記載された方法において使用され得るフルオロフォアの例は、7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)、テキサスレッド(商標)(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR);5−(及び−6)−カルボキシ−X−ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5−(及び−6)―カルボキシフルオレセイン;フルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC);7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、テトラメチル−ローダミン−5−(及び−6)−イソチオシアネート;5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン;7−ヒドロキシ−クマリン−3−カルボン酸;6−[フルオレセイン5−(及び−6)−カルボキサミド]ヘキサン酸;N−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4aジアザ−3−インダセンプロピオン酸;エオシン−5−イソチオシアネート;エリスロシン−5−イソチオシアネート;5−(及び−6)−カルボキシローダミン6G;並びにカスケード(Cascade)(商標)ブルーアセチルアジド(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)である。
【0023】
複数のプローブが使用される場合には、セット中の各染色体プローブが別個に可視化され得るよう、異なる色のフルオロフォアが選択され得る。好ましくは、本発明のプローブパネルは、各々別々のフルオロフォアで標識された4個の別々のプローブを含む。本出願人らは、これが、臨床的感度(感度は添加されたプローブにより増加し得る)と、イメージング/検出の複雑さ(複雑さは添加されたプローブにより増加し得る)との間の最良のバランスを提供すると信じるため、4個のプローブの使用が好ましい。また、同じ試料に対して複数のパネルを連続的に使用することも本発明の範囲内であり:この実施態様においては、第一のパネルがハイブリダイズさせられた後、結果がデジタル的にイメージングされ、試料が脱染され、次いで、第二のパネルとハイブリダイズさせられる。
【0024】
プローブは、蛍光顕微鏡及び各フルオロフォアのための適切なフィルターを用いて、又は複数のフルオロフォアを観察するための二重もしくは三重のバンドパス(band−pass)フィルターセットを使用することにより観察され得る。例えば、参照して本明細書に組み込まれるビットナー(Bittner)らの米国特許第5,776,688号を参照のこと。メタシステムズ(MetaSystems)又はアプライドイメージング(Applied Imaging)より入手可能なもののような自動デジタルイメージングシステムを含む、任意の適切な微視的イメージング法が、ハイブリダイズしたプローブを可視化するために使用され得る。又は、フローサイトメトリーのような技術が、染色体プローブのハイブリダイゼーションパターンを調査するために使用され得る。
【0025】
プローブは、当技術分野において周知の手段により、例えば、ビオチン又はジゴキシゲニンにより、間接的に標識されてもよい。しかしながら、その場合には、二次検出分子又はさらなる加工が、標識されたプローブを可視化するために必要となる。例えば、ビオチンで標識されたプローブは、検出可能マーカー、例えば、フルオロフォアとコンジュゲートしたアビジンにより検出され得る。さらに、アビジンは、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素マーカーとコンジュゲートさせられ得る。そのような酵素マーカーは、その酵素のための基質を使用して標準的な比色反応において検出され得る。アルカリホスファターゼのための基質は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸及びニトロブルーテトラゾリウムを含む。ジアミノベンゾエートは、西洋ワサビペルオキシダーゼのための基質として使用され得る。ハイブリダイズしたビオチン又はその他の間接標識プローブの蛍光検出は、商業的に入手可能なチラミド増幅系の使用により達成され得る。
【0026】
HPVの検出は、HPV16型及び18型に対する完全ゲノムプローブの混合物のような、HPV型のゲノム配列全体又は部分ゲノム配列を含む1個以上のプローブを使用して実施され得る。使用されるHPVプローブ混合物は、HPV−16、HPV−18、HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−45、HPV−51、HPV−52、HPV−56、HPV−58、HPV−59、HPV−26、HPV−53及びHPV−66を含む主要な高リスク型の存在を特定するのに十分なものであるべきである。好ましい混合物は、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で使用される6個の全長HPVゲノムプローブ(HPV−16、HPV−18、HPV−30、HPV−45、HPV−51及びHPV−58)を含む。これらの6個のプローブは、他の高リスクHPV型との配列相同性分析に基づき選択された。配列相同性、及びこれらの6つのHPV型との50%以上の相同性を有するHPV型はクロスハイブリダイゼーションを示すであろうという仮定に基づき、低ストリンジェンシー条件下でのこの好ましい混合物の使用は、以下のHPV型:HPV−16、HPV−18、HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−45、HPV−51、HPV−52、HPV−56、HPV−58、HPV−59、HPV−26、HPV−53及びHPV−66を検出する。この好ましい混合物において、6個のHPVプローブの各々の濃度は、好ましくは、個々のプローブの量(重量)の差が5パーセント未満であるような、ほぼ等しい量に維持される。好ましくは、混合物中の6個のHPVプローブは、蛍光標識チラミドシグナル増幅系を使用してプローブが検出されるよう標識される。
【0027】
本発明の方法により有用なプローブ及びプローブセットは、本発明の方法の実施において使用されるキットへと、他の試薬と共に包装され得る。有用なキットは、遺伝子座3q26、8q24、20q13、Xp22及び3p21に対するプローブの群からの1個以上のプローブ、並びに第3及び第15染色体を計数するプローブを含み得る。本発明の好ましいキットは、4個のプローブ:(i)ビオチン標識された(HPV16型、18型、30型、45型、51型及び58型のための)6個のHPVプローブの混合物;(ii)3q26のTERC遺伝子座に対する染色体プローブ;(iii)8q24のcmyc遺伝子座に対する染色体プローブ;並びに(iv)第8染色体のセントロメアに対する染色体プローブを含む。
【0028】
高度異形成の存在の決定
細胞の予備選択
細胞試料は、多様な方法により、多様な基準を使用して、予備的に評価され得る。本明細書に記載されたプローブ及び方法は、特定のスクリーニング方法論による使用法に制限されない。一例は、例えば、DAPIフィルターで観察されるような細胞学的異常に関して観察者が数百〜数千個の細胞を走査する「走査法」である。査定される細胞の数は、患者によって異なる標本の細胞性に依る。常にではないが一般的に異形成細胞及び新生物細胞に関連している細胞学的異常は、核の拡大、核の不規則性及び異常なDAPI染色(斑点状で色がより希薄である場合が多い)を含む。走査工程において、観察者は、好ましくは、(FISHにより証明されるような)染色体異常に関する細胞の評価を、細胞学的異常をも示す細胞へと集中させる。さらに、染色体異常は細胞学的異常の非存在下でも起こるため、明白な細胞学的異常を有していない細胞の一部が評価され得る。この走査法は、参照して本明細書に組み込まれるハリング(Halling)らの米国特許第6,174,681号にさらに詳細に記載されている。
【0029】
より好ましくは、観察者は、癌に関連したマーカーに関して細胞を走査することができる。例えば、細胞は、HPV又は高リスクHPV(例えば、HPV16型、18型、31型、33型、35型又は45型のうちの一つ以上)の存在のような関連マーカーの存在に関して走査され得る。さらに、異常な量の細胞周期タンパク質p16及びサイクリンE又は増殖マーカーKi67及びPCNAを有する細胞は、より疑わしく、より精密な調査のための良好な候補である。細胞は、周知の方法を使用して、これらのマーカーの存在に関して走査され得る。細胞走査は、一般に、自動化が可能である。自動化された走査は、アッセイをより迅速に実施することを可能にし、手動走査における手間の多くを排除することにより、増加した効率を可能にする。
【0030】
試料の調製
高度異形成及び癌腫の存在又は欠如は、細胞における染色体異常を特定することにより決定され得る。これは、in situハイブリダイゼーションにより達成され得る。一般に、in situハイブリダイゼーションは、生物学的試料を固定する工程、固定された試料に含有されている標的DNAに染色体プローブをハイブリダイズさせる工程、非特異的に結合したプローブを除去するために洗浄する工程、及びハイブリダイズしたプローブを検出する工程を含む。液状懸濁物中の標本細胞を用いてin situハイブリダイゼーションを実施した後、フローサイトメトリーによる検出を実施することもできる。
【0031】
異常細胞は、細胞内の染色体の異常な数及び/又は細胞の染色体内の構造的改変により特徴決定される。構造的改変は、実施例1に示されるような遺伝子座又はセントロメア領域のような特定の染色体領域の増加又は欠損(例えば、ヘミ接合性又はホモ接合性の欠損)を含み得る。陽性判定の指標は、相応じて開発され得る。例えば、1個以上の染色体の増加、即ち3コピー以上の所定の染色体を有する細胞が、本明細書に記載された方法において陽性判定と見なされ得る。一染色体性又は零染色体性を示す細胞も、ある種の状況の下で、陽性判定と見なされ得る。
【0032】
生物学的試料は、細胞又は細胞材料、例えば、子宮の子宮頸部に由来する細胞又は材料を含有している試料である。頸部標本の例は、頸部生検材料、スメア、切屑等を含む。典型的には、細胞は、当技術分野において周知の技術を使用して、生物学的試料から採集され、調製される。評価のための頸部細胞を収集するには、多数の方法が利用可能である。例えば、子宮膣部(ectocervix)及び子宮頸内膜/移行帯からの細胞は、頸管内ブラシ(もしくは「ブルーム(brooms)」)又は木製及びプラスチック製のスパーテルのような周知の装置を使用して収集される。従来のスメアは、細胞をガラススライドへ均等に薄く広げることにより調製されている。次いで、スライドは、製造業者の指示に従い、95%エタノールへの浸漬又は商業的な固定液を用いた噴霧により、迅速に固定される。
【0033】
ThinPrep(登録商標)収集法(Cytyc Corp.,Boxborough,MA)の場合、細胞は、頸部から固定液PreservCyt(登録商標)へと移される。これによって、さらなる加工の準備が整うまで細胞を保存することが可能となる。次いで、細胞は穏和に分散させられ、ランダム化され、最適の数の細胞がフィルターへ沈着するまで、真空によりフィルターを介して試料を吸引することにより、TransCyt(登録商標)膜フィルターへと収集される。細胞は、所望により、さらに加工され得る。もう一つの方法において、PreservCyt(登録商標)又はその他の固定溶液へと収集された細胞は、遠心分離し、上清を除去し、カルノア(Carnoys)溶液(3:1 メタノール:酢酸)に再懸濁させ、所望により(例えば、3回)繰り返すことにより、さらに洗浄され得る。次いで、細胞は、細胞懸濁物のうちの少量をスライドへ直接滴下することにより、ガラススライドに移される。スライドは、典型的には、一晩乾燥させられる。
【0034】
染色体異常の検出
細胞内の染色体又は染色体領域の増加又は欠損は、細胞における染色体プローブ又は染色体プローブのセットのハイブリダイゼーションパターン(例えば、各プローブのシグナルの数)を調査し、シグナルの数を記録することにより判定される。テスト試料は、臨床診断にとって十分な任意の数の細胞を含むことができ、典型的には、少なくとも約100個の細胞を含有している。典型的なアッセイにおいて、ハイブリダイゼーションパターンは、約25〜5,000個の細胞において判定される。テスト試料は、典型的には、複数の染色体異常を含有していることが見出された場合、例えば、細胞が本明細書に記載されたような1個以上の染色体、遺伝子座又は染色体腕の増加又は欠損を提示した場合に、「陽性判定」と見なされる。「陽性判定」の基準は、1個、2個、3個、4個又はそれ以上のプローブによる陽性判定を含み得る。1個のプローブによる陽性判定が典型的なテスト基準であり;2個のプローブによる陽性判定がより好ましく、4個が最も好ましい。さらに、複数のプローブが使用される場合、陽性判定は、プローブのサブセットによる異常なハイブリダイゼーションパターン、例えば、プローブのサブセット、例えば、4個のプローブのフルセットのうちの2個又は3個のプローブの増加又は欠損の組み合わせの検出を含み得る。ハイブリダイゼーションパターンは、プローブのサブセットに関して順に判定され得る。例えば、最初のプローブのサブセット(例えば、3q26及び8q24遺伝子座に対するプローブ)のパターンを判定し、そのプローブのサブセットから陽性の結果が示された場合、そのテストを全体陽性として解釈することができる。しかしながら、最初の結果が陽性でなかった場合には、付加的なプローブのサブセット(例えば、Xp22遺伝子座及び第15染色体に対するプローブ)のパターンが、テストを完了するために評価され得る。全てのプローブについての組み合わせられた結果が、陽性判定の結果を示した場合、そのテストは全体陽性として解釈され得る。
【0035】
特定の試料を陽性として分類するために使用される、染色体異常を有するものと特定された細胞の数は、一般に、試料中の細胞の数によって変動する。1個という少ない細胞が、ある試料を陽性として分類するのに十分であるかもしれない。少なくとも30個の細胞を陽性として特定することが好ましく、少なくとも10個の細胞を特定することがより好ましく、少なくとも5個の細胞を陽性として特定することが最も好ましい。陽性分類のため使用される細胞の数は、カットオフ値としても既知であり、それはさらに後述される。
【0036】
高度異形成及び頸部癌腫に関する患者のスクリーニング及びモニタリング
本明細書に記載された方法は、頸部癌腫の前駆状態としての高度異形成に関して女性をスクリーニングするために使用され得る。例えば頸部癌のリスクを有する女性、例えば、異常なPAPスメアを有する女性、HPV、例えば、高リスクHPVに感染している女性、又は異常な量のp16及びサイクリンEのような細胞周期タンパク質もしくはKi67及びPCNAのような細胞増殖タンパク質を示す女性は、高度異形成の進行の早期検出を目標として定期的にスクリーニングされ得る。例えば完全ゲノムHPVプローブのような一般的なプローブ及び試料中のHPV感染を検出するための方法が、例えば、使用され得る。高リスクHPV16型、18型、31型、33型、35型、45型、51型、52型及び58型のうちの一つ以上のような特定のHPV型による感染を検出するため、型特異的プローブも開発され得る。又は、試料中のp16タンパク質及びKi67タンパク質のような特定のタンパク質の存在を検出するための抗体が既知であり、適合させられ得る。この実施態様においては、まず、試料が、特定の細胞を特定するためにHPVプローブ又は抗体プローブを用いてアッセイされる。次いで、標識された細胞が、本発明のプローブパネルを使用して染色体状態に関して査定される。HPV又は抗体のステップは、染色体プローブパネルと同時に又は連続的に実施され得る。
【0037】
スクリーニングテストは、例えば、ルーチンのPapスメアの評価の補助として、女性のルーチンの医療に組み込まれ得る。本明細書に記載された方法は、女性のための治療戦略を調整するためにも使用され得る。従来のテスト、例えば、Papテストより信頼性の高いテストとして、患者は、必要に応じて、より高い信頼性をもって、侵襲的な療法(患者の頸部の移行帯の除去)へと差し向けられ得る。このテスト方法論により高度異形成に関して陰性と判定された患者は、より高い信頼性をもって、この侵襲的な手技を免れることができる。
【0038】
プローブ選択法
本発明により使用するための個々のプローブ及びプローブセットの選択は、実施例に記載された原理を使用して実施され得る。プローブセットのため選択された各プローブは、高度異形成細胞と軽度異形成細胞とを単独で識別する能力を有するべきである。高い識別能を有するプローブが好ましい。本明細書に記載された識別分析は、高度異形成及び軽度異形成の特定に関する各プローブの感度及び特異度を個々に計算することを含む。増加又は欠損した標的に関する細胞の割合の様々なカットオフ値が利用される。組み合わせられた感度及び特異度のための主な計量は、異常試料及び正常試料のコホートにおいて測定されるような、感度対特異度プロット上の、理想(感度=特異度=100)を表す点と、特定のプローブ又はプローブセットの測定された感度及び特異度との間で引かれたベクトルの大きさとして定義される「ベクトル」と呼ばれる量である。実施例2に記載されるように、ベクトル値は、理想的な場合の0から最悪の場合の141.4までの範囲である。参照して本明細書に組み込まれる2002年2月20日出願のモリソン(Morrison)らによる米国特許出願第10/081,393号に記載されたような統計分析も、高度異形成細胞と軽度異形成細胞との間で平均値及び標準偏差を比較するために使用され得る。
【0039】
複数のプローブのセットに関して、各プローブは、セット中の他のプローブを補足するよう選択されるべきである。即ち、各プローブは、他の(1個又は複数個の)プローブが特定し得ない付加的な高度異形成マーカーを特定するべきである。最も良好に補足するプローブのセットを特定するための一つの方法は、最低のベクトル値を有するプローブを採り、腫瘍標本のフルセットからそれが特定した腫瘍標本の群を除去し、次いで、残りの腫瘍標本において最低のベクトル値を有するプローブを決定することである。この過程は、完全なプローブセットを得るために必要なだけ継続され得る。全ての可能性のあるプローブ組み合わせを作製し、各々の感度及び特異度を計算するという本明細書に記載されたアプローチは、全ての可能性のあるプローブセットの性能を予測し、最高の性能特徴を有する最小プローブセットの選択を可能にする。また、同様に高い性能特徴を有する多様な組み合わせも、得られる。試験される標本の数が有限であることによる可能性のある誤差を考慮して、上位のプローブ組み合わせのうちのいくつかが、疾患予後との関連性又はプローブ作成の困難さのようなその他の実務的な特徴に基づき比較され得る。
【0040】
しかしながら、測定された他のプローブを補足する能力にも関わらず、各プローブは、好ましくは、隣接した高度標本セットと軽度標本セットと間で統計的に異なる割合の陽性判定細胞を特定しなければならない。この条件が満たされない場合には、見かけの補足に基づき誤ってプローブが選択される可能性がある。さらに、より少数のプローブの組み合わせからのデータは、より多くのプローブの組み合わせからのデータよりもさらに信頼性が高く、例えば、2個のプローブの組み合わせからのデータは、3個のプローブの組み合わせからのデータよりもさらに信頼性が高い。これは、有限数の標本を試験して、より多数のプローブの間の相関を作成することが困難であることに起因する。
【0041】
カットオフ値の関数としてのプローブ及びプローブ組み合わせの性能の依存性も、考慮されなければならない。「カットオフ値」とは、試料を陽性と見なすために増加又は欠損を有していなければならない集団内の細胞の数又は割合をさし得る。従って、試料は、標本中の細胞の数(又は割合)が、カットオフ値より高いか又はカットオフ値以下であるかに依って、それぞれ陽性又は陰性と見なされ得る。一般に、プローブの組み合わせられた特異度及び感度は、低いカットオフ値でより良好である。しかしながら、高度異形成細胞が、頸部スメアからのように、多くの正常細胞及び軽度細胞を含有しているマトリックス内に分布している場合には、高いカットオフで最高性能のプローブが検出される可能性が高い。これは、高いカットオフでの高い性能が、より高い率の細胞が異常を含有していることを示すためである。決定において使用され得るカットオフ値の例は、約5個、25個、50個、100個及び250個の細胞、又は5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%及び60%の試料集団中の細胞を含む。HPV感染細胞の特定とHPV感染細胞に存在する染色体異常の決定とを組み合わせる好ましいアッセイにおいては、三(3)個の陽性細胞というカットオフ値が好ましい。
【0042】
オーバラップしている標的、又はいくつかの細胞との不充分な/失敗したハイブリダイゼーションは、誤って欠損を示唆し得るため、標的の染色体又は染色体領域の獲得の測定が、標的の染色体又は染色体領域の欠損の測定より好ましい。また、欠失プローブは最小限の欠失領域を越えていてはならないため、欠失を検出するために設計される遺伝子座特異的プローブ又は染色体腕プローブは、獲得を検出するために設計される遺伝子座特異的プローブ又は染色体腕プローブより一般に小さい。過剰に多くの「欠失プローブ」が欠失配列を越えている場合、偽ってカウントされるのに十分なシグナルがアッセイにおいて生じ得る。「欠失プローブ」は一般的に小さく維持されるため、それらのシグナルは、典型的に獲得した標的のシグナルほど強くない。このことによって、欠失に関してモニタリングされている標的からの実際のシグナルが誤カウントされる可能性がより高くなる。同様に、ここで使用されるいくつかの染色体計数プローブのような反復配列プローブは、一般的に遺伝子座特異的プローブより明るいシグナルを提供し、より迅速にハイブリダイズするため、単一遺伝子座プローブより好ましい。他方、反復配列プローブは、遺伝子座特異的プローブより多型により影響されやすい。
【0043】
本発明により使用されるプローブ又はプローブの組み合わせは、好ましく、細胞学のような従来の方法に対する改良を提供する。本発明の有用なプローブ又はプローブの組み合わせは、高度異形成及び癌腫を有する試料の少なくとも約70%、好ましくは約85%超を特定する(感度)。同様に、有用なプローブ又はプローブの組み合わせは、陰性試料の少なくとも約80%、好ましくは約95%超をテストにより陰性として特定する(特異度)。
【0044】
特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するためのものではない以下の実施例において、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0045】
1.一次プローブ選択。頸部癌又は異形成において何らかのレベルの増幅又は欠失を示すことが既知の下記表1に特定される35個の染色体領域を、評価のため選択した。表1中の色は、これらの各プローブのために使用された蛍光標識をさす。
【0046】
【表1】

【0047】
これらの領域のうちの13個は、反復セントロメア配列を標的とする染色体計数プローブ(表1中のCEP(登録商標)プローブ)を使用して検出された。使用されたCEP(登録商標)プローブのうちの12個は、バイシス社(Vysis,Inc.)(Downers Grove,IL)より商業的に入手可能である。その他の22個の領域は、増幅又は欠失された染色体領域内の非反復配列を標的とする遺伝子座特異的プローブにより検出された。
【0048】
使用されたこれらの遺伝子座特異的プローブのうちの7個は、スペクトラムオレンジ(SpectrumOrange)(商標)標識で標識されて、バイシス社より商業的に入手可能である(表1中、アステリスク付き)。商業的なSTSプローブが使用された。その他の6個のプローブについては、商業的に入手可能なプローブを作成するために使用されたのと同じ出発DNA材料が使用された。スペクトラムオレンジ標識の代わりに、出発DNAがアミノ基転移され、次いで、c−mycプローブ及びCCND1プローブについては5−(及び−6)−カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル(Molecular Probes)、他の4個についてはフルオレセインスクシンイミジルエステルを使用して、化学的に標識された。使用されたアミノ基転移及び標識の工程は、参照して本明細書に組み込まれるビットナー(Bittner)らの米国特許第5,491,224号に記載されている。金色で標識されたCEP11プローブは、バイシス社より商業的に入手可能なCEP11プローブの出発DNA材料を使用し、c−mycプローブの場合と同じ手順を使用して作製された。
【0049】
残りの14個のプローブは、表2に示されるような起源のBACクローンから作製された。
【0050】
【表2】

【0051】
HER−4、FHIT、DDX15及びDAB2プローブも、c−mycプローブと同じ方法を使用して作製された。残りの非反復配列プローブは、全て、モリソン(Morrison)2002(同上)27〜30頁に記載されたニックトランスレーション法、及び標識されたヌクレオチド、スペクトラムオレンジdUTP、スペクトラムレッド(SpectrumRed)dUTP又はスペクトラムグリーン(SpectrumGreen)dUTP(全て、バイシス社)を使用して作製された。
【0052】
次いで、標識されたプローブが、表1に示されるように、評価のために各々3個又は4個のプローブのセットへと分離された。プローブセットは、個々のプローブ、COT1 DNA(Invitrogen)、ヒト胎盤DNA(Signa)及びLSI/WCPハイブリダイゼーションバッファー(バイシス社)から構成されていた。10μlの各プローブセットを、各10個の頸部生検試料にハイブリダイズさせた。プローブセットは、各々、典型的には、約0.5μg COT1 DNA及び2μgヒト胎盤DNAを含有していた。プローブセットハイブリダイゼーション混合物は、参照して本明細書に組み込まれるモリソン(Morrison)らの米国特許第5,789,161号に記載されているような、試料中の核のバックグラウンド染色を提供するためのスペクトラムアクア(SpectrumAqua)で標識されたヒト胎盤DNA、50ナノグラムも含有していた。CIN I、CIN II−III及び侵襲性頸部扁平上皮癌(CA)試料は、国立癌研究所(National Cancer Institute)により支援されたコオペラティブヒューマンティッシュネットワーク(Cooperative Human Tissue Network)(CHTN)より得られた。試料はハイブリダイゼーション用に調製され、以下のようにプローブセットとハイブリダイズさせられた。パラフィン包埋された組織切片が、キシレン溶液中に5分間置かれた。この手順が、3回繰り返された。次いで、スライドが、100%エタノールで2回各1分間洗浄された。次いで、スライドが45%/0.3%過酸化物溶液に15分間浸され、水で濯がれ、前処理溶液中で10分間インキュベートされた。濯ぎの後、過剰のタンパク質を消化し、かつDNAをより利用可能にするため、スライドが、プロテイナーゼ、例えば、プロテイナーゼK又はペプシンと共に5〜30分間インキュベートされた。次いで、スライドがエタノール系列で脱水され、空気乾燥させられ、一般的には37℃で一晩DNAプローブとハイブリダイズさせられた。ハイブリダイゼーション後、非特異的プローブが、例えば、73±1℃の2×SSC/0.3%NP40のようなポストハイブリダイゼーション洗浄溶液で、2分間洗浄除去された。次いで、スライドが、2×SSC/0.1%NP40のような第二の洗浄溶液で洗浄された。次いで、DAPI DNA染色が、試料の評価を容易にするためスライドに適用された。
【0053】
この手順は、全てのプローブが試料にハイブリダイズすることを可能にした。プローブの大半は、バックグラウンドに対する良好なシグナル強度を示した。DNA標的の増幅(2超のシグナル)又は欠失(2未満のシグナル)を示した任意の細胞を特定するため、生検試料の上皮層が蛍光顕微鏡下で評価された。増加は、特定のプローブについて5個以上の細胞で増幅を示した各試料について記録され;欠損は、5個以上の細胞で欠失を示した各試料について記録された。増加も欠損も示さない試料は、二染色体性と見なされた。
【0054】
CIN I、CIN II−III及び侵襲性癌腫のための各プローブの感度、即ち、試験された条件を示す試料の割合が、増加、欠損及び二染色体について決定された。欠損は、CIN II−III試料においては非常に希に起こることが見出され、従って、CIN II−III及び侵襲性癌腫のためのマーカーとして一般に有用ではなかった。プローブは、CIN II−IIIについての最大の増加の頻度及びCIN Iについての最小の増加の頻度を示す能力について、さらに査定された。その結果は表3に提示される。標的8q24、20q13、3p21、3q26、1p31、Xp22及びCEP15のためのプローブが、最も情報価値のあるものと見なされ、さらなる評価のため選択された。3p14プローブは、CIN II−III及び侵襲性癌腫の試料における有意な欠損を示した。3p14に対する3q26の相対的な増加の比率も、第3染色体のp腕に対するq腕の相対的な増加の尺度として評価された。
【0055】
【表3】


【0056】
2.in situハイブリダイゼーションデータの識別分析及びプローブセットの選択。正常(WNL)、CIN I、CIN II、CIN III及び扁平上皮癌(CA)として分類された付加的なパラフィン包埋生検試料が、テキサスサウスウェスタン大学メディカルセンター(University of Texas Southwestern Medical Center)(Dallas,TX)(Dr.Raheela Ashfaq)より得られた。前記と同様にして、試料が調製され、二つのプローブセット(CEP15、8q24、Xp22及び20q13;並びにCEP3、3q26、3q14及び3p21)にハイブリダイズさせられた。使用されたプローブのうちの6個、8q24、Xp22、CEP15、20q13、3p21及び3q26は、実施例1において特定された好ましいプローブより採られた。頸部癌の進行における第3染色体の関係をよりよく査定するため、他の2個、CEP3及び3pl4は、3p21及び3q26に対するプローブと比較された。
【0057】
頸部細胞における高度異形成と軽度異形成とを識別する個々のプローブ及びある種のプローブ組み合わせの能力が、各プローブ又はプローブセットにより正確に特定された標本の数を決定することにより評価された。増加又は欠損を有する細胞5個というカットオフ数が、試料を評価するために使用された。試料は、試料中の細胞の数が、カットオフ値を超えているか又はカットオフ値以下であるかに依って、それぞれ高度異形成又は癌腫に関して陽性又は陰性と呼ばれた。次いで、陽性試料(感度)及び陰性試料(特異度)を特定する精度が、最良のプローブ及びプローブ組み合わせを選択するために使用された。表3aに、ある種のプローブ標的についての獲得及び欠損の特異度及び感度を挙げる。
【0058】
【表4】

【0059】
細胞型を識別する能力は、全体的な特異度及び感度に依存する。良好な識別は、良好な特異度及び感度を必要とする。表3bに、「ベクトル」と名付けられた、組み合わせられた特異度及び感度の尺度の結果を提示する。ベクトルは、
ベクトル=[(100−特異度)+(100−感度)1/2
として計算される。
【0060】
特異度及び感度は、百分率として定義され、100%(完全)から全く特異度(又は感度)がない0%までの範囲である。従って、ベクトル値は、特異度及び感度が完全である場合の0から、特異度及び感度がゼロである場合の141までの範囲である。
【0061】
表3bは、各試料カテゴリについてベクトル値が低い順に分類されている。高い識別能力(低いベクトル値)を示す個々のプローブは、3q26、8q24及びCEP3を含む。軽度異形成から高度異形成及び癌腫を識別する有用な能力を示すその他のプローブは、20q13、Xp22、CEP15及び3p21である。(>1と決定された)3q26/CEP及び(>1と決定された)3q26/3p14のようなプローブ比について決定されたベクトルも、有用であり得る。識別分析技術及びコンビナトリアル分析技術を使用してプローブを評価し選択するためのその他の方法は、参照して本明細書に組み込まれる2002年2月20日出願のモリソン(Morrison)らの米国出願第10/081,393号に記載されている。
【0062】
【表5】

【0063】
前記のような識別分析及びプローブ相補性からの結果に基づき、頸部試料における高度異形成の軽度異形成からの区別において使用するための好ましいプローブは、遺伝子座3q26及び8q24並びにCEP3に対するプローブを含む。プローブ3q26及び8q24;3q26、8q24、Xp22及びCEP15;8q24、20q13、Xp22及びCEP15;並びに、3p21、3p14、3q26及びCEP3を含むプローブのセットが、特に好ましい。
【0064】
3.組み合わせられたHPV及び染色体増加のアッセイ。(1個又は複数個の)同じ細胞におけるHPV感染及び染色体増加の存在を検出するための蛍光in situハイブリダイゼーションアッセイが開発され試験された。
【0065】
HPVプラスミド及びプローブ組成
HPV−16、HPV−18、HPV−30、HPV−45、HPV−51及びHPV−58の完全コーディング配列を含有しているプラスミドが、慣習的なプロトコルを使用して、ニックトランスレーション法によりビオチン標識DNAプローブを作製するために使用された。HPVプラスミドは以下の供給元より入手された:HPV−16及びHPV−18はアメリカンタイプティッシュコレクション(American Type Tissue Collection)(ATTC)より購入され、HPV−30及びHPV−45はDr.Ethel−Michele de Villiers(DKFZ,Germany)より入手され、HPV−51及びHPV−58プラスミドはKlara Abravaya(Abbott Laboratories)より入手された。HPV−51及びHPV−58プラスミドの最初の供給元は、それぞれDr.Saul Silverstein(Columbia University)及びDr.Toshihiko Matsukura(Japan)である。
【0066】
これらの6個のHPVプローブは、遺伝子座特異的な8q24(cmyc)プローブ及び3q26(TERC)プローブ、並びにセントロメアプローブCEP−8と組み合わせられた。実施例1に記載された方法を使用して、8q24プローブがスペクトラムレッドで標識され3q26プローブがスペクトラムイエロー(SpectrumYellow)で標識されたことを除き、使用された遺伝子座特異的な8q24プローブ及び3q26プローブは、前記実施例1に記載されたものであった。
【0067】
プローブ混合物の組成は、1×LSIバッファー、2×SSC、7.5μg/mlのスペクトラムレッドcmyc(8q24)、10.0μg/mlのスペクトラムイエローTERC(3q26)、2.5μg/mlのスペクトラムアクアCEP−8、各2.5μg/mlのビオチンで標識されたHPV−16、HPV−18、HPV−30、HPV−45、HPV−51及びHPV−58、200μg/mlのヒト胎盤DNA、並びに100μg/mlのCot−1 DNAである。
【0068】
試料調製及びアッセイプロトコル
残りのThin−Prep保存された頸部標本は、メイヨクリニック(Mayo Clinic)より入手された。保存されていた頸部標本からのThin−Prepスライドは、製造業者の指示(Cytyc)に従って調製された。試料は、以下のようにハイブリダイゼーション用に調製された。Thin−Prepスライドが、73℃の2×SSCに2分間浸された後、37℃でペプシン(10mM HCL中0.5mg/ml)中で10分間インキュベートされた。次いで、スライドが室温で1×PBSで5分間洗浄され、1%NBF(NBF−中性バッファーホルマリン)で室温で5分間固定され、室温で1×PBSで5分間濯がれた。濯ぎの後、スライドがエタノール系列で脱水され、空気乾燥させられ、37℃で一晩、組み合わせられたHPVプローブ及び染色体プローブ混合物とハイブリダイズさせられた。ハイブリダイゼーションの後、過剰のプローブが、48℃で2分間2×SSC/0.3%NP−40、次いで室温で1分間2×SSC/0.1%NP−40からなるポストハイブリダイゼーション洗浄で洗浄された。
【0069】
ビオチン標識HPVプローブの検出は、製造業者の指示に従い、Alexa Fluor(商標)488チラミドシグナル増幅キット(Molecular Probes)を使用して実施された。簡単に説明すると、内因性ペルオキシダーゼ活性が、室温で30分間の3%H中でのインキュベーションによりブロッキングされ、スライドが室温で5分間1×PBSで洗浄された。次いで、スライドが、37℃で25分間PBS中の1%ブロッキング試薬と共にインキュベートされ、続いて37℃で25分間ストレプトアビジン−HRPと共にインキュベートされた。1×PBSでスライドを3回洗浄した後、ビオチン標識HPVプローブ/ストレプトアビジン−HRP複合体が、室温で10分間Alexa Fluor 488標識チラミドとのインキュベーションにより可視化された。次いで、スライドが1×PBSで洗浄され、核対比染色DAPIが適用され、スライドがカバーグラスで覆われた。
【0070】
ハイブリダイズさせられたスライドは、蛍光顕微鏡下で分析される。HPVプローブは、緑フィルターを使用して可視化され、染色は、細胞核全体にわたる散在性の染色、点状の染色又は混合染色(点状及び散在性)として出現し得る。スペクトラムイエロー3q26のためのプローブは金フィルターを使用して検出され、スペクトラムレッド8q24は赤フィルターを使用して検出され、スペクトラムアクアCEP8はアクアフィルターを使用して検出される。使用されるフィルターは、全て、バイシス社(Downers Grove,IL)より商業的に入手可能である。
【0071】
HPV−染色体増加アッセイの結果
残りのThin−Prep保存された頸部標本は、メイヨクリニック(Mayo Clinic)より入手された。LSIL又はHSILの細胞学を有すると診断された57個の標本が分析された。前記のようなハイブリダイゼーション及び洗浄の後、スライドは、HPV及び染色体増加の存在に関して蛍光顕微鏡検を使用して評価された。結果は、入手可能な組織学及び臨床的追跡と相関させられた。スライド分析は以下のようにして実施された:(1)スライドの全表面がHPV陽性細胞を特定するため40×倍率を使用して分析され、(2)各陽性細胞に関して、各プローブについてのHPVパターン(散在性、点状又は混合)及び染色体数が記録され、(3)さらに、染色体増加が、細胞のHPV状態と無関係に分析された。MYCプローブ又はTERCプローブについての3つ以上のシグナルを有する細胞が記録された。結果は表4及び5に示される。
【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
その他の実施態様
上記の詳細な説明と共に本発明が説明されたが、上記の説明は、本発明の範囲を制限するためではなく、本発明を例示するためのものであることが理解されるべきである。本発明のその他の局面、利点及び修飾は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)対象から生物学的試料を入手すること;
(b)前記試料を、存在する場合に試料中の染色体とのプローブのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な条件の下で、生物学的試料における高度異形成を選択的に検出し得る1個以上の染色体プローブのセットと接触させること;及び
(c)対象が高度異形成を有するか否かを決定するため、染色体プローブの生物学的試料とのハイブリダイゼーションパターンを検出すること
を含む、対象における高度異形成をスクリーニングする方法。
【請求項2】
生物学的試料が生検材料を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
生物学的試料が頸部スメア又は頸部切屑試料を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
染色体プローブが蛍光標識されている、請求項1の方法。
【請求項5】
1個以上の染色体プローブのセットが、約60未満のベクトル値を特徴とする、請求項1の方法。
【請求項6】
1個以上の染色体プローブのセットが、約40未満のベクトル値を特徴とする、請求項1の方法。
【請求項7】
1個以上の染色体プローブのセットが、約30未満のベクトル値を特徴とする、請求項1の方法。
【請求項8】
1個以上の染色体プローブのセットが、特異的遺伝子座3q26及び8q24のためのプローブの群より選択されたプローブを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
1個以上の染色体プローブのセットが、特異的遺伝子座3q26及び8q24のためのプローブを含む、請求項1の方法。
【請求項10】
1個以上の染色体プローブのセットが、特異的遺伝子座8q24、3q26、Xp22及びCEP15のためのプローブを含む、請求項1の方法。
【請求項11】
1個以上の染色体プローブのセットが、特異的遺伝子座8q24、20q13、Xp22及びCEP15のためのプローブを含む、請求項1の方法。
【請求項12】
1個以上の染色体プローブのセットが、特異的遺伝子座3p21、3p14、3q26及びCEP3のためのプローブを含む、請求項1の方法。
【請求項13】
生物学的試料からの細胞が、癌のリスクに関連したマーカーに関して予備スクリーニングされる、請求項1の方法。
【請求項14】
生物学的試料からの細胞が、HPVによる感染に関して予備スクリーニングされる、請求項1の方法。
【請求項15】
試料が、高リスクHPV16型、18型、31型、33型、35型、45型、51型、52型及び58型のうちの一つ以上による感染に関してスクリーニングされる、請求項14の方法。
【請求項16】
生物学的試料からの細胞が、細胞周期タンパク質又は細胞増殖マーカーの存在に関して予備スクリーニングされる、請求項1の方法。
【請求項17】
細胞周期タンパク質がp16又はサイクリンEである、請求項16の方法。
【請求項18】
細胞増殖マーカーがタンパク質Ki67又はタンパク質PCNAである、請求項16の方法。
【請求項19】
(a)対象から生物学的試料を入手すること;
(b)前記試料を、存在する場合に試料中の染色体とのプローブのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分であり、および存在する場合に試料中に存在するHPV感染細胞の検出を可能にするのに十分である条件の下で、1個以上の染色体プローブのセット及びHPVプローブの混合物と接触させること;
(c)試料中のHPV感染細胞の存在を検出すること;
(d)対象が高度異形成を有するか否かを決定するため、試料中のHPV感染細胞における染色体プローブのハイブリダイゼーションパターンを決定すること
を含む、対象における高度異形成をスクリーニングする方法。
【請求項20】
HPVプローブの混合物が、HPV−16、HPV−18、HPV−30、HPV−45、HPV−51及びHPV−58の各々の完全コーディング配列に実質的に相補的なプローブを含む、請求項19の方法。
【請求項21】
1個以上の染色体プローブのセットが、3q26のTERC遺伝子座、8q24のcmyc遺伝子座及び第8染色体のセントロメアに対するプローブを含む、請求項20の方法。
【請求項22】
ハイブリダイゼーション条件が、HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−52、HPV−56、HPV−58、HPV−59、HPV−26、HPV−53及びHPV−66のうちのいずれかの存在を検出するのに十分なものである、請求項20の方法。
【請求項23】
ハイブリダイゼーション条件が、HPV−31、HPV−33、HPV−35、HPV−39、HPV−52、HPV−56、HPV−58、HPV−59、HPV−26、HPV−53及びHPV−66のうちのいずれかの存在を検出するのに十分なものである、請求項20の方法。
【請求項24】
混合物中の各HPVプローブがビオチン標識を含む、請求項21の方法。
【請求項25】
HPV感染の存在の検出、及び染色体プローブのハイブリダイゼーションパターンの決定が、デジタルイメージングを使用して実施される、請求項21の方法。
【請求項26】
高度異形成の存在を暗示するハイブリダイゼーションパターンの存在が、3個以上のHPV感染細胞において特定される、請求項21の方法。
【請求項27】
高度異形成の存在を暗示するハイブリダイゼーションパターンの存在が、1個以上のHPV感染細胞において特定される、請求項26の方法。

【公表番号】特表2007−501637(P2007−501637A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533605(P2006−533605)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018139
【国際公開番号】WO2005/001137
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(504270840)バイシス・インコーポレイテツド (1)
【Fターム(参考)】