説明

顆粒状食品の製造方法

【課題】製造工程で加熱、急速冷却が不要であり、50℃程度の温度の低い湯に対する溶解性のよい、常温流通可能な顆粒状食品を提供することを目的とする。
【解決手段】粉体原料80重量部〜95重量部に対し、溶解させた上昇融点30℃〜40℃未満の常温固体油脂5重量部〜20重量部を加え、混合した後、押出造粒することにより上記課題を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温流通可能な顆粒状食品およびその製造方法に関するものであり、ココア、コーヒー、紅茶、乳飲料などの飲料を顆粒化したもの、及びスープ、ソース、カレー、シチュー等の液状食品を顆粒化したもののうち温湯をそそいで溶解させるのみでも喫食可能なものを対象とする。
【背景技術】
【0002】
従来、油脂、粉体などを加熱、混合した後、押出し造粒することにより顆粒状食品を製造する方法が知られている。例えば、特開平6−125717号公報には、被造粒物を、水を添加することなく上昇融点40〜55℃の油脂と共に加熱・混合した後、押出し造粒し、その後急速冷却することを特徴とする顆粒状食品の製造方法が開示されている。
【0003】
また、特開平8−242832号公報には、上昇融点が40〜55℃の油脂、液状物及び/又はペースト状物及び粉体原料を用いて顆粒状食品を製造する方法であって、油脂を溶融させた後、乳化剤の存在下で、液状物及び/又はペースト状物を加えて混合し、次いで該混合物に粉体原料を加えて加熱混合した後、押出し造粒し、急速冷却することを特徴とする顆粒状食品の製造方法が開示されている。
【0004】
上記方法によれば、湯へ溶解させ、加熱調理した後喫食する顆粒状食品を製造することができる。しかしながら、上記方法においては、いずれも上昇融点40〜55℃の油脂を使用し、加熱・混合および急速冷却することを必須としていることから、粉体と油脂の加熱混合および造粒後の急速冷却を行うための特別な装置が必要であり、設備が大規模になり、生産コストが上昇するという問題がある。また、上昇融点40〜55℃の油脂とその他の原料を均一に混合するためには加熱する必要があり乳製品などの風味が劣化しやすいという問題がある。さらに、急速冷却を行わない場合には、押出し造粒後に造粒物同士が結着するという問題が生じる。また、さらに、上昇融点40〜55℃の油脂を使用した顆粒状食品は、50℃程度の温度の低い湯などにはほとんど溶解しないという問題がある。この問題は、牛乳など、高温で変質する液体に対して溶解する場合に顕著となる。
【特許文献1】特開平6−125717号公報
【特許文献2】特開平8−242832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、製造工程で加熱、急速冷却が不要であり、50℃程度の温度の低い湯に対する溶解性のよい、常温流通可能な顆粒状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために常温固形油脂に着目し、種々検討した結果、本発明に到達した。すなわち、粉体原料80重量部〜95重量部に溶解させた上昇融点30℃〜40℃未満の常温固体油脂5重量部〜20重量部を加え、混合した後、押出造粒することにより、加熱工程、急速冷却工程が不要であり、50℃程度の温度の低い湯などに対する溶解性のよい顆粒状食品を提供することが可能となった。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造工程で加熱、急速冷却を行うことなく、50℃程度の温度の低い湯などに対する溶解性のよい顆粒状食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の製造方法により製造される顆粒状食品は、ココア、コーヒー、紅茶、乳飲料などの飲料を顆粒化したもの、及びスープ、ソース、カレー、シチュー等の液状食品を顆粒化したもののうち温湯をそそいで溶解させるのみでも喫食可能なものを対象とする。
【0009】
本発明において用いられる粉体原料としては、例えばコーンスープの場合は、コーンパウダー、全脂粉乳、脱脂粉乳、砂糖、食塩、調味料、畜肉エキスパウダー、野菜エキスパウダーなどがあるが特にその種類を制限するものではない。また、粉体混合中の比重差による沈降を防ぐためには、粉体原料の粒度をそろえておくことが重要である。例えば、食塩や砂糖は、奈良機械製作所自由粉砕機などで粉砕して粒度を小さくしてから使用することが望ましい。
【0010】
喫食状態で粘度を有する方が好ましいスープ、カレー、グラタン、ソース類に対しては増粘剤を用いることができる。増粘剤としては、水に溶解後加熱しなくても粘度を発現するアルファ化澱粉や、比較的低温でも粘度を発現するように加工された加工澱粉と、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、カラギーナン、グルコマンナンなどの増粘多糖類を組み合わせて用いることが、溶解性、風味、物性の面から好ましい。
【0011】
本発明において増粘剤とは、澱粉、増粘多糖類など、水に溶解した際に単独で粘度を発現する物質をいう。野菜の粉末など、単独では粘度を発現しないが、単独で粘度を発現する物質と共存した場合に、共存しない場合よりも粘度を増す物質は増粘物質に含まない。
【0012】
本発明においてアルファ化澱粉とは、アルファ化された澱粉をいう。アルファ化澱粉には、水に溶解した後加熱しなくても粘度を発現する利点がある。
【0013】
増粘物質は、0.1%〜20%含有することが好ましい。使用する増粘物質の割合が、0.1%未満の場合、十分な粘度を得ることができない。使用する増粘物質の割合が、20%を超える場合、粘度が過剰となる。顆粒状食品を湯に溶解した後の粘度は、50cps〜10000cpsが好ましい。
【0014】
増粘多糖類は、0.05%〜2%含有することが好ましい。使用する増粘多糖類の割合が、0.05%未満の場合、十分な粘度を得ることができない。使用する増粘多糖類の割合が5%を超える場合、粘度が過剰となる。
【0015】
本発明において常温固体油脂とは、常温で固体である油脂をいい、具体的には、20℃で24時間静置した際に固体である油脂をいう。
【0016】
本発明において上昇融点とは、試料を規定の方法に基づき加熱した場合、軟化して流動し始める温度をいう。上昇融点の測定方法は、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析試験法」に詳しいが、以下(1)〜(4)に概略を述べる。(1)内径1mm、外径2mm以下、長さ50〜80mmの両端が開いた毛細管に、溶かした試料を10mmの高さまで見たし、これを10℃以下に24時間、あるいは氷上に1時間放置する。(2)試料を調整した毛細管を、長さ385〜390mm、水銀球の長さ15〜25mm、1/5℃目盛りの温度計の下部に輪ゴムまたは適当な方法で密着させ、毛細管の下端と温度計の下端をそろえる。(3)この温度計を適当な大きさのビーカー(内容600ml)に水を満たした中に浸し、温度計の下端を水面下約30mmの深さに置く。(4)ビーカーの水を攪拌しながら、最初は1分に2℃ずつ、融点の10℃下に達した後は1分に0.5℃ずつ上昇する様加熱し、試料が毛細管中で上昇し始める温度を上昇融点とする。
【0017】
上昇融点30℃〜40℃未満の常温固体油脂は、融点が室温に近いため溶解が容易である。このため、常温固体油脂とその他の原料を混合する際に、原料全体を加熱せずとも、常温固体油脂のみを加熱、溶解した後、その他の原料と混合するだけで均一に混合することができ、加熱のための特別な装置は必要ない。また、混合後の原料の温度が低いため、押出造粒後に急速冷却せずとも、顆粒の表面を冷風などで常温固体油脂の融点から5℃〜10℃低い温度に冷却するだけで造粒物同士が結着することがない。
【0018】
上昇融点が30℃未満の常温固体油脂を使用した顆粒状食品は、油脂が溶解しやすいために、流動性が悪くブロッキングを起こすなど取扱いが困難である。また、上昇融点が40℃以上の常温固体油脂を使用した顆粒状食品は、50℃程度の温度の低い湯、牛乳、豆乳などの溶媒に対する溶解性が悪い。牛乳や豆乳などの溶媒は、高温に加熱するとたんぱく質が変性するなど、風味、物性が変質する。上昇融点が40℃以上の常温固体油脂を使用した顆粒状食品を溶解するために、牛乳や豆乳などの溶媒を高温に加熱すると、良好な風味が損なわれる。また、高温による劣化の少ない溶媒を使用する場合でも、高温の溶媒に溶解した顆粒状食品は高温になるため、高温高齢者や幼児が喫食する際には火傷の危険がある。さらに、上昇融点が40℃以上の常温固体油脂を使用した顆粒状食品は、いったん溶媒に溶解した後に冷却しても、油脂が固化し風味が重くなるため、冷製スープなどの低温で喫食することが好ましい食品には適さない。
【0019】
常温固体油脂は、5重量%〜20重量%使用することが好ましい。使用する常温固体油脂の割合が、5重量%未満の場合、常温固体油脂以外の原料の結着が弱くなり、脆い顆粒となる。使用する常温固体油脂の割合が、20重量%を超える場合、押出造粒後の造粒物同士が結着するため、適度な粒度を有する顆粒を得ることが困難である。
【0020】
溶解させた常温固体油脂の温度は、60℃〜100℃であることが好ましい。常温固体油脂の温度が60℃未満の場合、常温固体油脂以外の原料と混合した後の温度が下がりすぎ、造粒前に常温固体油脂が固化するため、脆い顆粒となる。常温固体油脂の温度が100℃を超える場合、混合後の温度が高くなりすぎ、押出造粒後の造粒物が冷却されにくくなり、造粒物同士が結着するため、適度な粒度を有する顆粒を得ることが困難である。
【0021】
造粒時の顆粒の表面温度は、30℃〜45℃であることが好ましい。造粒時の顆粒の表面温度が30℃未満の場合、常温固体油脂の結着力が弱くなり、脆い顆粒となる。造粒時の顆粒の表面温度が45℃を超える場合、押出造粒後の造粒物が冷却されにくくなり、造粒物同士が結着するため、適度な粒度を有する顆粒を得ることが困難である。
【0022】
上昇融点30℃〜40℃の常温固体油脂のうち、上昇融点が低温側の常温固体油脂を使用する場合は、溶解させた常温固体油脂の温度と造粒時の顆粒の表面温度は低温側であることがより好ましく、上昇融点が高温側の常温固体油脂を使用する場合は、溶解させた常温固体油脂の温度と造粒時の顆粒の表面温度は高温側であることがより好ましい。
【0023】
本発明において造粒とは、顆粒を造る操作をいい、より詳しくは、粉状、粒状、塊状、溶液状あるいは溶融液状などの原料から、ほぼ均一な形状と大きさをもつ顆粒を造る操作をいう。粉と顆粒の境界は100μm程度であり、100μmより細かいものを粉、100μmより大きいものを顆粒とよぶ。粉を造粒することにより、流動性が向上する、微粉の飛散が防止できる、偏析が防止できる、通気抵抗が減少する、凝集性が減少する、液体に対する溶解性が向上する、密度の調整ができる、外観が美しくなる、タブレットやペレットに造粒した場合は秤量が簡便になる、などの利点がある。
【0024】
本発明において押出造粒とは、押出造粒機を用いて顆粒を造る操作をいい、より詳しくは、粉状、粒状、塊状、溶液状あるいは溶融液状などの原料を均一に混合した後、目開き0.5mm〜3.0mmのスクリーンから押し出すことによって顆粒を造る操作をいう。得られた顆粒を篩に通すことにより、更に均質なものとすることができる。押出造粒によって得られた顆粒状食品は、低温で造粒しているため、熱による香り、風味の損失が少ない。
【0025】
押出造粒機の種類は特に限定しない。押出造粒機の例として、株式会社畑鉄工所製押出造粒機HG−300V−IIなどのバケット式押出造粒機、株式会社ダルトン社製ドームグランDG−L1型などのスクリュー式押出造粒機などが挙げられる。
【0026】
本発明において溶解性良好とは、顆粒状食品を50℃の湯に溶解する際に、攪拌棒、ティースプーンなどを用い、手で15秒間攪拌することで均一に分散、溶解し、溶け残り、沈殿がないことをいう。
【0027】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例1
表1に示す配合のコーンスープを、株式会社菊水製作所製押出造粒機RG‐5Mを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表1の記号アの原料を混合した。(2)60℃、液体状態の記号イの原料と混合し、35℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒後、20℃の冷風で造粒品の表面を25℃に冷却した。(4)目開き1.5mmの篩を通し、均質なコーンスープ顆粒を得た。

【表1】


上記方法で作製したコーンスープ顆粒は、見栄えが良く、適度な顆粒強度を有し、流動性に優れていた。この顆粒20gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯150mlに溶解したところ、速やかに溶解し。風味の優れたものであった。また、得られた顆粒状食品をアルミ袋に封入し、35℃で3ヶ月間保管したところ、顆粒の崩れや風味の劣化は認められず、この顆粒状食品が常温流通可能であることが示された。
【0029】
実施例2
表2に示す配合のココアを、株式会社菊水製作所製押出造粒機RG‐5Mを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表2の記号アの原料を混合した。(2)60℃、液体状態の記号イの原料と混合し、35℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒後、20℃の冷風で造粒品の表面を25℃に冷却した。(4)目開き1.5mmの篩を通し、均質なココア顆粒を得た。

【表2】


上記方法で作製したココア顆粒は、見栄えが良く、適度な顆粒強度を有し、流動性に優れていた。この顆粒24gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯120mlに溶解したところ、速やかに溶解し、風味の優れたものであった。また、得られた顆粒状食品をアルミ袋に封入し、35℃で3ヶ月間保管したところ、顆粒の崩れや風味の劣化は認められず、この顆粒状食品が常温流通可能であることが示された。
【0030】
実施例3
表3に示す配合のコーンスープを、株式会社畑鉄工所製押出造粒機HG−300V−IIを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表3の記号アの原料をホソカワミクロン株式会社製ピンミキサー7801を用い、混合した。(2)75℃、液体状態の記号イの原料と混合し、35℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒後、ホソカワミクロン株式会社製流動層乾燥機にて20℃の冷風で造粒品の表面を25℃に冷却した。(4)株式会社徳寿工作所製ジャイロシフターGS−B4−40の12メッシュを用いて篩別し、均質なコーンスープ顆粒を得た。

【表3】


上記方法で作製したコーンスープ顆粒は、見栄えが良く、適度な顆粒強度を有し、流動性に優れていた。この顆粒20gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯150mlに溶解したところ、速やかに溶けて風味の優れたものであった。また、得られた顆粒状食品をアルミ袋に封入し、35℃で3ヶ月間保管したところ、顆粒の崩れや風味の劣化は認められず、この顆粒状食品が常温流通可能であることが示された。
【0031】
実施例4
表4に示す配合のポタージュスープを、株式会社畑鉄工所製押出造粒機HG−300V−IIを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表4の記号アの原料をホソカワミクロン株式会社製ピンミキサー7801を用い、混合した。(2)75℃、液体状態の記号イの原料と混合し、35℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒後、ホソカワミクロン株式会社製流動層乾燥機にて20℃の冷風で造粒品の表面を25℃に冷却した。(4)株式会社徳寿工作所製ジャイロシフターGS−B4−40の12メッシュを用いて篩別し、均質なポタージュスープ顆粒を得た。

【表4】



上記方法で作製したポタージュスープ顆粒は、見栄えが良く、適度な顆粒強度を有し、流動性に優れていた。この顆粒20gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯150mlに溶解したところ、速やかに溶けて風味の優れたものであった。また、得られた顆粒状食品をアルミ袋に封入し、35℃で3ヶ月間保管したところ、顆粒の崩れや風味の劣化は認められず、この顆粒状食品が常温流通可能であることが示された。
【0032】
実施例5
表5に示す配合のコーンスープを、株式会社畑鉄工所製押出造粒機HG−300V−IIを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表3の記号アの原料をホソカワミクロン株式会社製ピンミキサー7801を用い、混合した。(2)75℃、液体状態の記号イの原料と混合し、35℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒後、ホソカワミクロン株式会社製流動層乾燥機にて20℃の冷風で造粒品の表面を25℃に冷却した。(4)株式会社徳寿工作所製ジャイロシフターGS−B4−40の12メッシュを用いて篩別し、均質なコーンスープ顆粒を得た。

【表5】


上記方法で作製したコーンスープ顆粒は、見栄えが良く、適度な顆粒強度を有し、流動性に優れていた。この顆粒20gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯150mlに溶解したところ、速やかに溶け、適度な粘度で、風味の優れたものであった。また、得られた顆粒状食品をアルミ袋に封入し、35℃で3ヶ月間保管したところ、顆粒の崩れや風味の劣化は認められず、この顆粒状食品が常温流通可能であることが示された。
【0033】
比較例1
表6に示す配合のコーンスープを、株式会社パウレック製流動層造粒機FD−WSG−5型を用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表5記号アの原料を混合した。(2)(1)を流動層に投入し、給気温度50℃で3分間混合した。(3)給気温度50℃で75℃の記号イの原料を噴霧し造粒した。(4)(3)を25℃に冷却した。

【表6】


上記方法では造粒時に常温固体油脂が固まり、コーンスープ顆粒がケーキングを起こし、均質なコーンスープ顆粒を得ることができなかった。上記方法で作製したコーンスープ顆粒は、見栄えが悪く、流動性も悪かった。この顆粒20gを、内径65mm、高さ85mmのビーカー(容量200ml)を用い、50℃の湯150mlに溶解したところ、均一に溶解せず、ままこができた。
【0034】
比較例2
表1に示す配合のコーンスープを、株式会社菊水製作所製押出造粒機RG‐5Mを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表1の記号アの原料を混合した。(2)40℃、液体状態の記号イの原料と混合し、28℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒した。上記方法では、造粒時に顆粒がうまく形成されず、均質な顆粒が得られなかった。
【0035】
比較例3
表1に示す配合のコーンスープを、株式会社菊水製作所製押出造粒機RG‐5Mを用い、以下(1)〜(4)に述べる手順で作製した。(1)表1の記号アの原料を混合した。(2)110℃、液体状態の記号イの原料と混合し、50℃に調温した。(3)目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒したが、上記方法では、造粒物同士が結着し、適度な粒度を有する顆粒を得ることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体原料80重量部〜95重量部に溶解させた上昇融点30℃〜40℃未満の常温固体油脂5重量部〜20重量部を加え、混合した後、押出造粒することを特徴とする、50℃の水に対して溶解性良好な顆粒状食品の製造方法。
【請求項2】
添加する油脂の温度が60℃〜100℃である請求項1記載の顆粒状食品の製造方法。
【請求項3】
押出造粒直後の顆粒の表面温度が30℃〜45℃である請求項1〜2記載の顆粒状食品の製造方法。
【請求項4】
アルファ化澱粉、加工澱粉、キサンタンガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、カラギーナン、グルコマンナンより選択される1種以上の増粘剤を含有する、1〜3記載の顆粒状食品の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の製造方法により得られた、50℃の水に対して溶解良好な顆粒状食品。

【公開番号】特開2006−174775(P2006−174775A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372066(P2004−372066)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【Fターム(参考)】