説明

顔料分散剤、顔料ペースト、及び印刷インキ組成物

【課題】 (1)顔料吸着性(顔料表面をぬらし吸着する機能)(2)分散安定性(微細化された顔料粒子同士の凝集化を防ぐ機能)(3)造膜性を有するレットダウン用樹脂、特にウレタン系樹脂・硝化綿との相溶性、の機能を併せ持つ顔料分散剤の提供を目的とする。
【解決手段】 ポリウレタンからなるブロック(A)と、重合性不飽和単量体を重合させてなるポリマーのブロック(B)とを有するブロックコポリマーからなることを特徴とする顔料分散剤、該顔料分散剤及び顔料を含有する顔料ペースト、及び、該顔料ペーストと、バインダー樹脂を含有する印刷インキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散性と分散安定性に優れた顔料分散剤、該顔料分散剤を含有する顔料ペースト、および該顔料ペーストを含有する印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インキ組成物中において着色剤として使用される顔料は、その粒径(一次あるいは二次粒径)が、展色物における色調、光沢、着色力、あるいは透明性等の特性に大きく依存するため、これらの特性をより高く得るために、より微細であることが要求される。
しかし、微細な顔料粒子からなる分散体は往々にして高粘度を示し、顔料分散体の分散機からの取り出し、分散機からタンク等への移送が困難となるばかりでなく、更に悪い場合は貯蔵中にゲル化を起こし使用困難となることがある。また、顔料を混合して使用する場合、顔料の凝集による色分かれや沈降などの現象により、展色物において、色むらや著しい着色力の低下を引き起こすことがある。さらに、展色物の塗膜表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良などの問題を生じる。
これらの問題を解決する目的で、従来から、予め、顔料分散剤や分散助剤と称される顔料と親和性の高い樹脂を用いて、顔料を高い濃度で分散させた顔料ペーストを作製し、該ペーストに、インキ適性に応じたバインダー樹脂を加え(レットダウン)インキとする手法が行われている。
【0003】
従来、顔料分散剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニルランダム共重合体や硝化綿などが広く使用されてきた。しかしこれらの顔料分散剤は、顔料を微細化する能力即ち顔料分散性や、作製した顔料ペーストの安定性、即ち分散安定性に劣る。これらの性質は、顔料との親和性により左右されるが、顔料はその種類によって顔料表面の酸塩基性が大きく異なるため、酸塩基を基準に親和性の高い樹脂を設計しようとした場合、得られる顔料分散体の汎用性に劣るといったことが生じる。例えば塩基性樹脂は、表面が酸性である顔料との親和性が良好でありこれらの顔料の顔料分散剤としては使用できるが、表面が塩基性である顔料には使用できないといった具合である。
また、安定な顔料ペーストが得られても、レットダウン時にレットダウン用樹脂との相溶性が悪いと、インキ化することができない。
このように顔料分散剤は、複数の機能を併せ持つ樹脂設計が必要であり、グラフトポリマー、ブロックコポリマー等の、異なる2種以上の機能を併せ持つ樹脂を応用した顔料分散体の開発が行われるようになってきた。
【0004】
顔料分散剤に必要とされる機能は、例えば、(1)顔料吸着性(顔料表面をぬらし吸着する機能)(2)分散安定性(微細化された顔料粒子同士の凝集化を防ぐ機能)(3)造膜性を有するレットダウン用樹脂との相溶性である。
【0005】
一般に、高い着色力を達成できる点と、多種多様であることから、印刷インキには有機顔料が多く用いられている。しかしながら、有機顔料は無機顔料と比較して、顔料表面の官能基量が少なく、また、顔料の結晶面によって性質が異なることから、有機顔料の分散は困難である場合が多い。このため、(1)の機能としては、無機顔料は言うまでもなく、有機顔料に対しても強固に吸着する官能基が求められる。
【0006】
また(3)は、基材に展色されたインキ塗膜の密着性が要求される場合にはウレタン系樹脂、ウレタン−尿素系樹脂、インキ塗膜の耐熱性や耐摩擦性が要求される場合には硝化綿が使用されることが多く、これらの樹脂との相溶性が求められる。
【0007】
これらの機能を併せ持つ樹脂を応用した顔料分散剤の提案としては、例えば、ポリアルキレンイミンやポリアリルアミンにポリエステルやアクリルポリマー等をグラフトさせて得た顔料分散剤や(例えば特許文献1、2参照)、溶媒可溶性のブロックと、カルボキシル基、酸無水物基、あるいは窒素原子を含む官能基を有する顔料吸着性のブロックとを有する顔料分散剤(例えば特許文献3、4参照)がある。
【0008】
しかし、特許文献1〜4の顔料分散剤を使用した顔料ペーストはいずれも、前記(2)の分散安定性が徐々に低下するという問題があった。
さらに、特許文献3、4に記載の顔料分散剤は、両ブロックともアクリル等の重合性不飽和単量体がベースとなっているため顔料との親和性は良好であり、導入するカルボキシル基量を適宜選択することで酸塩基の調節ができ、前記(1)の機能は担保されるが、(3)の機能については、ウレタン樹脂と相溶性が悪く、ウレタン系レットダウン用樹脂は使用できない。
【0009】
【特許文献1】特開平09−169821号公報
【特許文献2】特開2002−226537号公報
【特許文献3】特開2003−64139号公報
【特許文献4】特開2005−194487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、(1)顔料吸着性(顔料表面をぬらし吸着する機能)(2)分散安定性(微細化された顔料粒子同士の凝集化を防ぐ機能)(3)造膜性を有するレットダウン用樹脂、特にウレタン系樹脂・硝化綿との相溶性、の機能を併せ持つ顔料分散剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、(2)の分散安定性の経時低下を特に第一課題とし鋭意研究を行った。そして、分散安定性の低下は顔料表面から顔料分散剤が徐々に剥離することが原因であるとし、長時間顔料表面に顔料分散剤を局在化させることが必要であると考えた。
顔料の分散安定性は、環境温度や時間等の要因の他、分散時に使用する希釈溶媒が強く影響すると考えられる。一般に希釈溶媒は、芳香族系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤等が使用されている。一方、顔料分散剤は樹脂であるため、有機溶剤には容易に溶解する。従って、分散時に使用する希釈溶媒に対して顔料分散剤の溶解性が高い場合、顔料分散剤は希釈溶媒に容易に溶解してしまうことが考えられる。この場合、分散後直後は顔料表面に安定に局在化していた顔料分散剤が、希釈溶媒中へ徐々に移行し、顔料表面から剥離していくと考えられる。特に特許文献3や4に記載のアクリルポリマーは、有機溶媒に対する溶解性が高く、この現象が顕著であると考えられる。
一方、該希釈溶媒が顔料分散剤に対して貧溶媒であった場合、顔料ペーストは凝集し、分散安定化させることが困難となる。
【0012】
この結果を鑑み、本発明者らは、ラジカル重合性単量体を重合させてなるポリマーにポリウレタンからなるブロックを組み込んだブロックコポリマーが、前記(1)〜(3)の機能を有する分散安定性に優れた顔料分散剤として機能することを見いだした。
例えば、アクリルポリマーやスチレンポリマーに代表される重合性不飽和単量体の重合体は、前記(1)の機能を付与する。更に導入する官能基を適宜選択することで酸塩基を調節でき、どのような顔料に対しても安定に吸着することができる。
一方、ポリウレタンは、希釈溶媒に対する溶解性を調節して前記(2)の機能を付与し、且つ前記(3)の機能を付与することができる。
同様に、ポリウレタンブロックに官能基を導入した際は、重合性不飽和単量体を重合させてなるポリマーの、溶剤に対する溶解度を調節することで、(2)の機能を付与することができる。
これらの機能を有するポリマーをブロックとしてブロックコポリマーとすることで、前記(1)〜(3)の機能を全て有する分散安定性に優れた顔料分散剤を得ることができる。更に、これらのブロックの比率を適宜選択することで、顔料親和性と希釈溶媒に対する溶解性とのバランスのとれた顔料分散剤を得ることができ、さらに、吸着官能基の種類、及び導入量を変化させることで、本発明の顔料分散剤が、無機顔料のみならず、分散が容易ではない有機顔料にも適応可能であることを見いだし、本発明の課題を解決した。
【0013】
即ち、本発明は、ポリウレタンからなるブロック(A)と、重合性不飽和単量体を重合させてなるポリマーのブロック(B)とを有するブロックコポリマーからなる顔料分散剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記記載の顔料分散剤、及び顔料を含有する顔料ペーストを提供する。
【0015】
また、本発明は、前記記載の顔料ペーストと、バインダー樹脂を含有する印刷インキ組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、(1)顔料吸着性(顔料表面をぬらし吸着する機能)(2)顔料分散性(微細化された顔料粒子同士の凝集化を防ぐ機能)(3)造膜性を有するレットダウン用樹脂、特にウレタン系樹脂・硝化綿との相溶性、の機能を併せ持つ顔料分散剤が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(ブロックコポリマー)
本発明で使用するブロックコポリマーは、ポリウレタンからなるブロック(A)と、重合性不飽和単量体を重合させてなるポリマーのブロック(B)とを有する。
分子量は特に限定されないが、例えば、数平均分子量で4,000〜100,000、好ましくは5,000〜80,000、さらに好ましくは7,000〜50,000の範囲内が望ましい。分子量があまり高いと希釈溶媒に対して溶解性が下がるので前記(2)の顔料分散性に劣り、分子量が低すぎる場合は溶剤に容易に溶解するため、顔料分散剤として機能しないことがある。
【0018】
(ブロックコポリマー ポリウレタンからなるブロック(A))
本発明において、ブロック(A)を構成するポリウレタンは、ウレタン結合を含有するユニットであるならば特に限定はなく、ウレタン結合及び尿素結合を含有するポリウレタンポリ尿素樹脂と称されるポリウレタンポリ尿素ユニットも包含する。
具体的には、例えば、ポリエステルポリオールユニット、ポリウレタンポリオールユニット、ポリエステルポリウレタンポリオールユニット、ポリエーテルポリオールユニット、ポリエーテルポリエステルポリオールユニット、ポリエーテルポリエステルポリウレタンポリオールユニット、および/またはポリエーテルポリウレタンポリエステルユニットが挙げられる。
ブロック(A)は、中でも、レットダウン用樹脂として使用する樹脂構造と類似のユニットを有すると、なお相溶性を高めることができる。例えば、レットダウン用樹脂としてウレタン系樹脂を使用する場合は、ブロック(A)はポリウレタンポリオールユニットを有することが好ましく、ポリエステル系ウレタン樹脂を使用する場合は、ブロック(A)はポリエステルポリオールユニットを有することが好ましい。
【0019】
さらに、分散安定性に優れた顔料分散剤を得るためには、例えば、顔料ペースト作製時に使用する溶剤である芳香族系、エステル系、ケトン系、アルコール系等の有機溶剤に対する、ブロック(A)の溶解性のバランスを取ることが好ましい。組成は特に限定されないが、上記溶剤に対する溶解性が良好なポリエステルポリオールユニットやポリエーテルポリオールユニットと、上記溶剤に対する溶解性が乏しい長鎖アルキルジオールユニットや分岐型アルキルジオールユニットを適宜組み合わせることで、上記溶剤に対する溶解性のバランスが取れたブロック(A)を提供できる。
【0020】
ブロックコポリマー中のブロック(A)の割合が多すぎても少なすぎても、(2)の分散安定性が低下する。即ちブロック(A)の割合が少なすぎると芳香族系、エステル系、ケトン系、アルコール系等の有機溶剤に溶け易くなるため、顔料表面に顔料分散剤を局在化させることができず、分散安定性を長期間保持できない。一方、ブロック(A)の割合が多すぎると、ブロックコポリマー中にウレタン結合および/または尿素結合の含有量が多くなり、該有機溶媒に対する溶解性が低下し、凝集する恐れがある。
具体的には、ブロックコポリマー中のブロック(A)の割合はブロックコポリマーの質量に基づいて、例えば2〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が最も好ましい。
【0021】
(ブロックコポリマー 重合性不飽和単量体の重合体からなるブロック(B))
ブロック(B)は、重合性不飽和単量体を重合することによって得ることが出来る。
本発明で使用する重合性不飽和単量体は特に限定はなく、汎用の(メタ)アクリレートや重合性ビニル化合物等を使用することができる。(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレートもしくはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレート類、
【0022】
マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸等の、各種の不飽和ジカルボン酸類と、1価アルコール類とのジエステル類、酢酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(オランダ国シェル社製のビニルエステル)等の各種ビニルエステル類、「ビスコート8F、8FM、17FM、3Fもしくは3FM」〔大阪有機化学(株)製の含フッ素系アクリルモノマー〕、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートまたはN−i−プロピルパーフルオロオクタンスルホンアミドエチル(メタ)アクリレート等の各種(パー)フルオロアルキル基含有の−ビニルエステル類、−ビニルエーテル類、−(メタ)アクリレート類もしくは−不飽和ポリカルボン酸エステル類のような含フッ素重合性化合物、
【0023】
グリシジル(メタ)アクリレートもしくはβ−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系モノマー類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMもしくはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物、
【0024】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸もしくはシトラコン酸等の各種不飽和モノ−もしくはジカルボン酸をはじめ、これらの各種カルボン酸類と、1価のアルコール類とのモノエステル類のような各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸類、または前記した如き、各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸とヒドロキシアルキルエステル類と、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、ヘキアヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」〔日立化成工業(株)製品〕、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸等の、各種ポリカルボン酸の無水物類との付加物のような、各種不飽和カルボン酸類と、「カージュラE」〔オランダ国シェル社製の、分岐状合成樹脂脂肪酸グリシジルエステル類〕、やし油脂肪酸グリシジルエステルもしくはオクチル酸グリシジルエステル等の、1価の各種カルボン酸のモノグリシジルエステル類、またブチルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の、各種モノエポキシ化合物との付加物、あるいは、これらとε−カプロラクトンとの付加物や、ヒドロキシビニルエーテル等の、各種水酸基含有モノマー類、
【0025】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMもしくはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とマレイン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸もしくはドデシニルコハク酸等の、各種ポリカルボン酸の無水物類との付加物のような、各種カルボキシル基含有モノマー類、
【0026】
ビニルエトキシシラン、α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレートまたは「KR215もしくはX−22−5002」〔信越化学工業(株)製品〕などのようなシリコン系モノマー類等を指すものである。
【0027】
重合性ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンもしくはビニルトルエン等の各種芳香族系ビニル系モノマー類、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルもしくはフッ化ビニリデン等の官能基を持たないビニル系モノマー類、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはアルコキシル化N−メチロール化(メタ)アクリルアミド等の各種アミド結合含有ビニル系モノマー類等を差すものである。
【0028】
また、酸塩基を調製する目的で、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、もしくはイタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー類またはそれらの塩類、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸エステル基含有モノマー類またはそれらの塩類、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー類またはその塩類などのような、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、亜リン酸基、亜リン酸塩基、次亜リン酸基及び次亜リン酸塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するモノマーを導入することが好ましい。
【0029】
ここでいう塩とは、カリウムまたはナトリウムなどとのアルカリ金属塩類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アンモニア、モノメチルアミンまたはモノブチルアミン等の、各種ジアルキルアミン類などとのアミン塩類や、N−メチルモリホリン等の、各種脂環族アミン類とのアミン塩類やや、アニリンまたはトルイジン等の、各種芳香族アミン類などとのアミン塩類、テトラアルキルアンモニウムハライドやテトラアルキルアンモニウムハイドロキサイドなどを反応させることによって得られる4級アンモニウム塩類などを指すものである。
【0030】
これらの塩基含有ブロックコポリマーは、塩基含有化合物類の利用による高分子アゾ開始剤の合成時、塩基含有重合性不飽和単量体の利用によるブロックコポリマー合成時、高分子アゾ開始剤またはブロックコポリマーの合成過程、あるいは合成後の反応によって得られるが、これらの手法は特に限定されるものではない。
【0031】
これらの重合性不飽和単量体は、単独で用いても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。また、溶剤に対する親和性によって適宜選択こともできる。例えば(メタ)アクリレートを1種、あるいは複数種用いることで、エステル系、ケトン系に対する親和性の高いブロックBを作製することができる。さらに、酸性基を有する極性官能基、例えばカルボキシル基あるいはスルホン酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合することで顔料分散性に優れたブロックコポリマーを得ることができる。また、その導入量については顔料の種類(酸性・中性・塩基性・非極性)によって適宜選択することができる。
これらの重合性不飽和単量体の中でも、共重合性と顔料に対する吸着性の観点から、特に前記(メタ)アクリレートや前記重合性ビニル化合物と、(メタ)アクリル酸などの酸性の極性官能基を有する単量体とを組み合わせることが非常に好適である。
【0032】
ブロックコポリマー中のブロック(B)の割合は、前記ブロック(A)との割合を加味し、ブロックコポリマーの質量に基づいて、例えば98〜10質量%が好ましく、より好ましくは95〜20質量%であり、最も好ましいのは90〜30質量%である。
即ち、前記ブロック(A)と前記ブロック(B)の質量割合が、2:98〜90:10の範囲であることが好ましく、5:95〜80:20の範囲が尚好ましく、10:90〜70:30の範囲が最も好ましい。
【0033】
本発明で使用するブロックコポリマーのブロックパターンは、特に限定はない。例えば、ブロック(A)をAと表記し、ブロック(B)をBと表記したとき、ブロックのパターンは(A−B)n−Aが一般的であり、繰り返し構造中に含むAは各々異なる構造であってよく、また、繰り返し構造中に含むBも各々異なる構造であってよい。ここで、ブロックコポリマーの各種溶剤に対する溶解性を調整するために、nは、1〜10が適当である。
ブロック(A)の大きさには特に制限はないが、例えば、数平均分子量に換算し、1,000〜25,000が好ましく、1,000〜20,000が最も好ましい。また、ブロック(B)の大きさも特に制限はないが、例えば、数平均分子量に換算し、500〜50,000が好ましく、1,000〜40,000が最も好ましい。
【0034】
顔料ペースト作製時に使用する有機溶媒の種類によって、ブロック(A)とブロック(B)の組み合わせは適宜選択できる。例えば、溶剤に対して親和性の低いブロック(A)と親和性の高いブロック(B)の割合を組み合わせることによって、ブロックコポリマーの溶剤に対する溶解性を調整できる。
【0035】
ブロックコポリマー中に酸性極性基を有する官能基を導入すると、より優れた顔料分散性や分散安定性を付与できるので、使用する顔料に応じて適宜、導入量を変化させて使用することが好ましい。特に、一般に微細化しにくいとされている有機顔料を分散するために、本発明のブロックコポリマーを顔料分散剤として用いる場合、酸価で16〜200mgKOH/g、さらに好ましくは18〜150mgKOH/gなる範囲内で酸性極性基を導入することが好ましい。一方、塗料等に汎用される無機顔料に対しては、16mgKOH/g未満の、少ない酸価導入量であっても分散可能である。
【0036】
(ブロックコポリマー 製造方法)
本発明で使用するブロックコポリマーは、公知のブロックコポリマーの合成方法で得ることができる。中でも、ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤のもと、重合性不飽和単量体を重合させて得る方法が、容易に本発明で使用するブロックコポリマーを得ることができるので好ましい。
以下、本発明の具体的態様の1つとして、ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤のもと、重合性不飽和単量体を重合させる方法を詳細に述べる。
【0037】
(ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤)
ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤のウレタンユニットは、前記ブロックコポリマーのポリウレタンからなるブロック(A)となる。これらのユニットは、前記ブロックコポリマーの設計と同様、レットダウン用樹脂との相溶性や、芳香族系、エステル系、ケトン系、アルコール系溶剤に対する溶解性のバランスによって選択することが好ましい。例えば、レットダウン用樹脂として、ウレタン系樹脂を使用する場合は、ポリウレタンポリオールユニットを導入することが好ましく、ポリエステル系ウレタン樹脂を使用する場合は、ポリエステルポリオールユニットを導入することが好ましい。また、例えば、ポリエステルポリオールユニットやポリエーテルポリオールユニットと長鎖アルキルジオールや分岐型アルキルジオールを適宜組み合わせることで、上記溶剤への溶解性のバランスが取れたブロック(A)を提供できる。
本発明で使用するウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤は、例えば1分子中に一般式(1)及び一般式(2)の構造単位を少なくとも1つずつ有し、数平均分子量が2,000〜50,000の化合物を挙げることができる。
【0038】
【化1】


(1)
【0039】
【化2】


(2)
【0040】
一般式(1)中、Rはアルキレン基、環状アルキレン基、エステル基を有するアルキレン基、ベンゼン環、またはベンゼン環を含んだアルキレン基を、R及びRは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アルキレン基、シアノ基を含んだアルキレン基、アミド結合を含んだアルキレン基、またはアミド結合と水酸基を併せ有するアルキレン基を表す。一般式(2)中、Rはポリオール残基を表す。
前記R〜Rは、所望する顔料分散剤の性質や使用する溶剤を鑑み適宜選択することが可能である。
【0041】
前記ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤において、一般式(1)中のアゾ基の導入量あるいは導入位置は、所望する顔料分散剤のポリウレタンブロック(A)の大きさによって決定することができる。具体的には、ポリウレタンブロック(A)の大きさは隣り合うアゾ基の間にあるポリウレタンユニットの大きさにほぼ合致するので、例えば、ポリウレタンブロック(A)の大きさを大きくする場合には、該高分子アゾ重合開始剤1分子当たりのアゾ基の導入量を少なくすればよいし、ポリウレタンブロック(A)の大きさを小さくする場合には該高分子アゾ重合開始剤1分子当たりのアゾ基の導入量を多くすれば良い。なお、ポリウレタン(A)の大きさは、前記ブロックコポリマーと同様に数平均分子量に換算している。前記ブロックコポリマー中のブロック(A)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量に換算し、例えば、1,000〜25,000が好ましく、1,000〜20,000が最も好ましい。
【0042】
前記ポリウレタン骨格を有する高分子アゾ重合開始剤の分子量は、特に限定されないが、数平均分子量が2,000〜50,000の範囲が好ましく、特に3,000〜30,000の範囲が尚好ましい。分子量が2,000未満の場合には、ブロック(A)の効果が期待できなくなることから本発明顔料分散剤の特徴ある性能を発現できない可能性があり、分子量が50,000を超える場合には、溶剤に対する溶解性が著しく低下し重合性不飽和単量体との均質なブロック共重合が進行しない可能性がある。
【0043】
前記ポリウレタン骨格を有する高分子アゾ重合開始剤は、例えば、アゾビスシアノプロパノール、アゾビスシアノブタノールもしくはアゾビスシアノペンタノール等のアゾビスシアノアルカノール化合物、またはアゾビスイソブタノール等のアゾビスアルカノール化合物、または「VA−080,VA−082もしくはVA−086」〔和光純薬工業(株)製品〕等のアゾアミドポリオール化合物などの、1分子中に少なくとも1個のアゾ基、及び少なくとも2個の水酸基を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物との、3者の反応によって得られるものである。
【0044】
使用するポリイソシアネート化合物は、所望する顔料分散剤の性質を鑑み適宜選択することができる。具体的には、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートもしくはキシレンジイソシアネート等の各種ジイソシアネート類、または、該ジイソシアネートと、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールもしくはジペンタエリスリトール等の、各種多価アルコール類、またはイソシアネート基と反応しうる官能基を有する、例えば、500〜1,500程度の数平均分子量を持った、きわめて分子量の低いポリエステル化合物との付加物等の各種ポリイソシアネート類が挙げられる。
【0045】
使用するポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ハイドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ハイドロキシプロピオネート、12−ヒドロキシステアリルアルコール、またはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリヘキサメチレングリコール、あるいはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールもしくは水添ビスフェノールA等の、各種ジ−あるいはポリオール類、さらにはビスフェノールAやポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
【0046】
ここで、上記のジ−あるいはポリオール化合物の数平均分子量としては、特に限定されないが、反応性などの面からすれば、3,000までであり、好ましくは1,500までであるのが望ましい。
【0047】
さらに、前記のポリエステルポリオールとして特に代表的なもののみを例示すれば、前記の各種ジ−あるいはポリオール化合物と、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)フタル酸、(無水)テトラヒドロフタル酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸またはアジピン酸等の、各種ジ−あるいはポリカルボン酸(無水物)との脱水縮合によって得られる、各種水酸基含有ポリエステル樹脂(油変性タイプも含む。)および/またはε−カプロラクトンまたはバレロラクトン等の各種ラクトン化合物の開環重合によって得られる、各種水酸基含有ポリエステル樹脂などであり、いずれも公知慣用の反応法によって得られるものなどである。
【0048】
また、酸塩基を調製する目的で、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールプロピオン酸ナトリウムまたはジメチロールプロピオン酸テトラメチルアンモニウム塩等の、各種カルボキシル基含有ポリオールまたはカルボン酸塩基含有ポリオール、2−スルホン酸−1,4−ブタンジオール、1−スルホン酸−1,4−ブタンジオール、3−スルホン酸−2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、2−スルホナトリウム−1,4−ブタンジオール、1−スルホナトリウム−1,4−ブタンジオール、3−スルホナトリウム−2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、2,5−ジスルホカリウム−3,4−ヘキサンジオールまたは3−スルホカリウム−1,5−ペンタンジオール等の、各種スルホン酸基含有ジオールまたはスルホン酸塩基含有ジオール類、2−リン酸−1,4−ブタンジオールまたは2−リン酸ナトリウム−1,4−ブタンジオール等の、各種リン酸基含有ジオールまたはリン酸塩基含有ジオールなどを使用することが出来る。
【0049】
ここで、当該高分子アゾ開始剤の合成法としては、上記3者成分を同時に仕込んで反応させる方法や、イソシアネート基含有ポリウレタン中間体、いわゆる、ウレタンプレポリマー類をまず調整し、次いで、これに1分子中に少なくとも1個のアゾ基と少なくとも2個の水酸基とを併有する化合物を反応する方法などがあるが、こうした合成方法は、特に限定されるものではなく、適宜、選択して用いればよい。
【0050】
なお、これらのジ−あるいはポリオール化合物と、ジ−あるいはポリイソシアネート化合物との反応時において、鎖伸長剤として、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ビスアミノプロピルアミンまたは4−アミノメチル−1,8−ジアミノオクタン等の、各種ポリアミン化合物を使用してもよい。
【0051】
前記ポリウレタン骨格を有する高分子アゾ重合開始剤を使用して、重合性不飽和単量体を重合させるには、例えば、前記ポリウレタン骨格を有する高分子アゾ重合開始剤の存在下で、溶液ラジカル重合法等により重合させればよい。重合温度としてはアゾ基が開裂する温度であればよく、通常は60〜140℃で、重合時間6〜24時間程度で重合される。
【0052】
(重合性不飽和単量体)
重合性不飽和単量体を重合させることによって得られるブロック(B)の組成は、溶剤に対する親和性によって適宜選択できる。例えば、(メタ)アクリレートを1種、あるいは複数種用いることで、エステル系、ケトン系に対する親和性の高いブロックBを作製することができる。
さらに、酸性基を有する極性官能基、例えば、カルボキシル基あるいはスルホン酸基を有する(メタ)アクリレートや水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合することで、有機顔料の分散性に優れたブロックコポリマーを得ることができる。また、その導入量については顔料の種類(酸性・中性・塩基性・非極性)によって適宜選択することができる。
【0053】
重合比率としては、例えば、前記ポリウレタン骨格を有する高分子アゾ重合開始剤2〜90質量%の存在下で、98〜10質量%の重合性不飽和単量体を重合させることが好ましい。
【0054】
重合時に使用する溶媒にも特に限定はなく、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリットの炭化水素系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系、N−メチルピロリドン等の含窒素系、イソプロピルアルコールもしくはn−ブタノール等のアルコール系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系の有機溶剤を使用することが可能である。
また、重合で使用した溶媒は、そのまま顔料ペースト作製時の希釈溶剤として用いることが出来る。
【0055】
さらに、重合反応を促進させる目的で、アゾビスイソブチロニトリル等の公知のアゾ系ラジカル重合開始剤、過酸化ベンゾイル等の公知の過酸化物系ラジカル重合開始剤を併用することもできる。また、分子量調節剤として、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノールまたはチオグリコール酸等の公知の連鎖移動剤を使用することも可能である。
【0056】
本発明の顔料分散剤は、前記ブロックコポリマーをそのまま使用することができる。また、顔料ペーストに使用した溶媒をそのまま前記ブロックコポリマーの希釈溶剤として使用すれば、脱溶剤や再沈殿等の工程を必要とすることなく、そのまま顔料分散剤として使用することができる。
【0057】
(顔料ペースト)
本発明の顔料ペーストは、本発明の顔料分散剤で各種顔料を微細化したものであり、本発明の顔料分散剤、顔料、および有機溶媒を含有する。
本発明の顔料分散剤は、顔料ペーストの全質量に対し、固形分換算で、例えば、1〜40質量%、好ましくは2〜20質量%で使用することが適当である。
【0058】
顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料がいずれも使用できる。
無機顔料としては、たとえば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトボン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレット、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫化バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム粉、パール系顔料等が挙げられる。
【0059】
有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
顔料は顔料ペーストの全質量に対し、固形分換算で、例えば、1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%で配合することが適当である。
【0060】
高い着色力を達成できる点で、顔料としては、有機顔料を用いることが好ましい。種類は特に限定されないが、その中で、本発明のブロックコポリマーを顔料分散剤として用いた場合、フタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料への顔料分散能力が特に高い。
また、印刷インキ用、特にグラビアインキ用においては、使用する顔料の粒径は300ナノメートル以下であることが望ましいが、本発明の顔料分散剤はそのような微細な粒径の顔料も、良好に分散、安定化させることが可能である。
【0061】
本発明のブロックコポリマーを顔料分散剤として用いて有機顔料を分散する際、例えば、酸価で16〜200mgKOH/g、好ましくは18〜150mgKOH/gなる範囲内で酸性極性基を導入することが好ましい。
一方、塗料等に利用される無機顔料に対しては、16mgKOH/g未満の少ない酸価導入量であっても分散可能である。
【0062】
前記有機溶媒としては特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはイソブタノール等のアルコール系溶剤、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
これらの有機溶媒を使用する場合には、顔料は顔料ペーストの全質量に対し、例えば、5〜98質量%、好ましくは10〜95質量%が適当である。
【0063】
本発明の顔料分散剤は、特にウレタン樹脂、ウレタン−尿素樹脂、硝化綿との相性がよく、これらの樹脂をレットダウン用樹脂として使用する印刷インキ用の顔料分散剤として好ましく、特にグラビアインキ用の顔料分散剤として好ましく使用できる。
【0064】
(印刷インキ組成物)
上記顔料ペーストは、レットダウン用樹脂、及び有機溶剤と配合することにより、印刷インキ組成物を得ることができる。
上記顔料ペーストは、印刷インキ組成物の質量に基づいて、例えば0.1〜80質量%、好ましくは20〜60質量%で使用することが適当である。
【0065】
上記レットダウン用樹脂としては、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン−尿素系樹脂、硝化綿、ポリエステル樹脂、EVA樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ブチラール樹脂などを挙げることができるが、上述したように、基材へ展色されたインキ塗膜の密着性や耐溶剤性、あるいは耐熱性などの物性が優れていることからウレタン系樹脂、ウレタン−尿素系樹脂、硝化綿が好ましい。
これらのレットダウン用樹脂を使用する場合には、印刷インキ組成物の質量に基づいて固形分換算で、例えば、1〜80質量%、好ましくは、1〜50質量%で配合することが適当である。
【0066】
必要に応じて使用される有機溶剤としては、前記顔料ペーストが含有できる有機溶剤として例示したものと同様の各種有機溶剤を使用することができる。
有機溶剤は、印刷インキ組成物の質量に基づいて、例えば、0〜80質量%、好ましくは5〜60質量%で配合することが適当である。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は質量基準である。
【0068】
<参考例1 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(a)の合成>
温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、N−メチルピロリドンを450部、メチルイソブチルケトンを1050部、1,4−ブタンジオールを240部、「VA−086」〔和光純薬工業(株)製品〕を96部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.9部仕込み、氷冷下、撹拌しながらイソホロンイソシアネート664部を3時間かけて滴下した。滴下終了後45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(a)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(a)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定された数平均分子量(以下、Mnと略す)は、ポリスチレン換算で12,100であった。
【0069】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(a)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で2,720であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(a)は、1分子中に4.4個のアゾ基を持つことが判明した。
【0070】
<参考例2 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(b)の合成)>
参考例1と同様の反応容器に、N−メチルピロリドンを200部、メチルイソブチルケトンを1300部、数平均分子量が650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを641部、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを23部、「VA−086」を14部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.5部仕込み、氷冷下、撹拌しながら4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)322部を3時間かけて滴下した。滴下終了後45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(b)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(b)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で49,600であった。
【0071】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(b)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で20,100であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(b)は、1分子中に2.5個のアゾ基を持つことが判明した。
【0072】
<参考例3 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(c)の合成>
参考例1と同様の反応容器に、N−メチルピロリドンを400部、メチルイソブチルケトンを1100部、「ポリプロピレングリコール400」〔三洋化成工業(株)製品;分子量=400〕を337部、「1,9−ノナンジオール」〔(株)クラレ製品;分子量=160〕を166部、「VA−086」を149部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.7部仕込み、氷冷下、撹拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート348部を3時間かけて滴下した。滴下終了後45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(c)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(c)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で4,600であった。
【0073】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(c)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で1,650であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(c)は、1分子中に2.8個のアゾ基を持つことが判明した。
【0074】
<参考例4 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(d)の合成>
参考例1と同様の反応容器に、N−メチルピロリドンを300部、メチルイソブチルケトンを1200部、「クラレポリオールP−510」〔(株)クラレ製のポリエステルポリオール;分子量=500〕を258部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを249部、「VA−086」を54部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.7部仕込み、氷冷下、撹拌しながら1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン439部を3時間かけて滴下した。滴下終了後45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(d)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(d)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で15,200であった。
【0075】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(d)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で5,000であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(d)は、1分子中に3.0個のアゾ基を持つことが判明した。
【0076】
<参考例5 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(e)の合成>
参考例1と同様の反応容器に、N−メチルピロリドンを100部、メチルイソブチルケトンを1400部、「ポリプロピレングリコール400」を293部、ネオペンチルグリコールを114部、「VA−086」を105部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.7部仕込んで、氷冷下、撹拌しながらイソホロンイソシアネート488部を3時間かけて滴下した。滴下終了後は45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(e)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(e)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で23,200であった。
【0077】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(e)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で2,450であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(e)は、1分子中に9.5個のアゾ基を持つことが判明した。
【0078】
<参考例6 ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(f)の合成>
参考例1と同様の反応容器に、N−メチルピロリドンを300部、メチルイソブチルケトンを1200部、数平均分子量が650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールを358部、「ND−15」〔(株)クラレ製のアルキルジオール〕を146部、ジメチロールプロピオン酸を74部、「VA−086」を53部、ジ−n―オクチル錫ジラウレートを0.7部仕込んで、氷冷下、撹拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート369部を3時間かけて滴下した。滴下終了後は45℃で20時間反応し、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(f)の40%溶液を得た。
ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(f)のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で29,700であった。
【0079】
ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(f)についての他の特性値を測定するために、温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、上記高分子アゾ開始剤を20部、ハイドロキノンを5部、n−ブタノールを20部仕込み、120℃で10時間反応し、上記高分子アゾ開始剤を分解した。
上記高分子アゾ開始剤の分解物のゲルパーミエーション・クロマトグラフィーにより測定されたMnは、ポリスチレン換算で5,200であった。その結果、ウレタン結合を有する高分子アゾ開始剤(e)は、1分子中に5.7個のアゾ基を持つことが判明した。
【0080】
<参考例7 顔料分散剤(比較1)の合成>
1−フェニルエチルブロマイド3.4部、臭化第一銅2.6部、2,2’−ビピリジル8.5部、スチレン90.9g、及びアニソール100mlを、冷却管を装備した500mlの三ツ口フラスコに仕込み、脱気後、系内を窒素置換した後110℃に加温し、撹拌しながら12時間反応した。該反応生成物をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、更にメタノール8000mlで沈降精製した後、乾燥させ、ポリスチレンマクロ重合開始剤を得た。このポリスチレンマクロ開始剤の数平均分子量は5800であった。
得られたポリスチレンマクロ重合開始剤を35.69部、メタクリル酸tert−ブチル1.05部、塩化第一銅0.61g、ビピリジル2.88g、及びアニソール70mlを、冷却管を装備した300mlの三ツ口フラスコに仕込み、脱気後、系内を窒素置換した後、90℃に加温し、撹拌しながら12時間反応した。該生成物をテトラヒドロフラン100mlに溶解し、更にメタノール2000mlで沈降精製した後、乾燥させ、ブロックコポリマー(1)を得た。ブロックコポリマー(1)のMnは7,100であった。
得られたブロックコポリマー(1)を、100mlナスフラスコに採り、ジオキサン90ml、塩酸10mlを加え、80℃オイルバスで24時間の加水分解処理を行い、遊離カルボキシル基を生成させ、沈殿生成した後、乾燥させ、顔料分散剤(比較1)を得た。溶媒可溶性のブロックとカルボキシル基を含有するブロックとの質量割合は、87:13であった。
【0081】
<実施例1 顔料分散剤(a)の合成>
温度計、撹拌機および還流冷却器を備えた四ツ口フラスコに、メチルイソブチルケトン45部を仕込んで110℃に昇温した。メタクリル酸メチルを20部、アクリル酸n−ブチルを8部、アクリル酸を2部使用し、参考例1で得られたウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤(a)を175部との混合溶液を4時間かけて滴下し、滴下終了後も同温度で20時間反応した。その結果、Mnがポリスチレン換算で9,900のブロックコポリマーである顔料分散剤(a)の40%溶液を得た。
顔料分散剤(a)の諸性状値については、表1に記載した。
【0082】
<実施例2〜12 顔料分散剤(b)〜(g)の合成>
使用する重合性不飽和単量体、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤の種類、及び配合量を変更した以外は、合成例1と同様にして顔料分散剤(b)〜(g)を得た。使用する重合性不飽和単量体、ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤、及びそれらの配合量については、表1、及び表2に記載した。
各々の性状値は同表に示される通りである。
【0083】
<実施例13 顔料ペースト(A)の調整>
実施例1で得られた顔料分散剤(a)6.3部、「Fastogen Blue FGF」〔大日本インキ化学工業(株)製のフタロシアニン系顔料〕10部、及び酢酸エチル33.7部を、ペイントシェーカーにて1時間練肉し(容量50mlの広口ポリプロピレン瓶;直径5mmのステンレスビーズを250部使用)、顔料ペースト(A)を得た。
顔料ペースト(A)は、下記項目について評価を行った。
【0084】
<光沢、透明性>
顔料ペースト(A)を、コロナ処理したポリプロピレンフィルム(厚さ:10ミクロン)上にバーコーターNo.7で塗布した後、ドライヤー(60℃程度の熱風)を10秒間あてて乾燥させた。
得られた展色物の60°光沢値は、「ヘイズ−グロス リフレクトメーター」〔ビックケミー・ジャパン(株)製〕により測定した。また透明性は目視により評価し、次のように判定した。
○:展色物全体で透明性の高い塗膜が得られているもの。
△:透明感はあるが、一部でムラが発生しているもの。
×:透明感がないもの。
その結果を表3に示した。
【0085】
<分散安定性>
長期の顔料分散安定性を評価する方法として、溶剤での過剰希釈による(顔料沈降)促進試験法を用いた。具体的には、顔料ペースト(A)をメチルエチルケトン、あるいは酢酸エチル/イソプロピルアルコール(以下、EA/IPAと記載)=4/1(質量比)の(混合)溶剤で25倍に希釈した後、1晩静置した。その後、作製したサンプル中の顔料の沈降度合いを目視により10段階評価した。評価基準は、全く沈降していない状態、すなわち、分散安定性に最も優れている状態を10、顔料がすべて沈降した状態を0と定め、間の数字は、色むらの度合いや沈降した顔料の量で判定した。
なお、過剰希釈条件下で分散安定性良好な顔料ペーストを長期分散安定性に優れた顔料ペースとであると評価した。その結果を表3に示した。
【0086】
<実施例14 顔料ペースト(B)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(b)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(B)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0087】
<実施例15 顔料ペースト(C)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(c)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(C)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0088】
<実施例16 顔料ペースト(D)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(d)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(D)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0089】
<実施例17 顔料ペースト(E)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(e)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(E)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0090】
<実施例18 顔料ペースト(F)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(f)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(F)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表3に示した。
【0091】
<実施例19 顔料ペースト(G)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(g)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(G)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0092】
<実施例20 顔料ペースト(H)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(h)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(H)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0093】
<実施例21 顔料ペースト(I)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(i)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(I)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0094】
<実施例22 顔料ペースト(J)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(j)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(J)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0095】
<実施例23 顔料ペースト(K)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(k)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(K)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0096】
<実施例24 顔料ペースト(L)の調整>
使用する顔料分散剤を(a)から(l)に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(L)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表4に示した。
【0097】
<実施例25 顔料ペースト(M)の調整>
顔料を「Fastogen Blue FGF」から「タイペークR−820」〔石原産業(株)製のルチル型酸化チタン〕に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(M)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0098】
<実施例26 顔料ペースト(N)の調整>
使用する顔料分散剤を(b)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(N)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0099】
<実施例27 顔料ペースト(O)の調整>
使用する顔料分散剤を(c)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(O)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0100】
<実施例28 顔料ペースト(P)の調整>
使用する顔料分散剤を(d)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(P)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0101】
<実施例29 顔料ペースト(Q)の調整>
使用する顔料分散剤を(e)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(Q)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0102】
<実施例30 顔料ペースト(R)の調整>
使用する顔料分散剤を(f)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(R)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表5に示した。
【0103】
<実施例31 顔料ペースト(S)の調整>
使用する顔料分散剤を(g)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(S)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0104】
<実施例32 顔料ペースト(T)の調整>
使用する顔料分散剤を(h)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(T)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0105】
<実施例33 顔料ペースト(U)の調整>
使用する顔料分散剤を(i)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(U)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0106】
<実施例34 顔料ペースト(V)の調整>
使用する顔料分散剤を(j)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(V)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0107】
<実施例35 顔料ペースト(W)の調整>
使用する顔料分散剤を(k)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(W)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0108】
<実施例36 顔料ペースト(X)の調整>
使用する顔料分散剤を(l)に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(X)を得、実施例13と同様の評価を行った。その結果を表6に示した。
【0109】
<比較例1 顔料ペースト(1)の調整>
顔料分散剤を塩化ビニル−酢酸ビニルランダム共重合体である「VAGH」〔アメリカ国ユニオンカーバイド社製〕に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(1)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0110】
<比較例2 顔料ペースト(2)の調整>
顔料分散剤を「硝化綿」〔フランス国ベルジュラックNC社製:硝化度=12%、不揮発分=30%〕に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(2)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0111】
<比較例3 顔料ペースト(3)の調整>
顔料分散剤を特開平09−169821号公報に記載の樹脂と同様の構造を有する「アジスパーPB821」〔味の素ファインテクノ(株)製〕に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(3)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0112】
<比較例4 顔料ペースト(4)の調整>
顔料分散剤を「VAGH」と「アジスパーPB821」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(4)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0113】
<比較例5 顔料ペースト(5)の調整>
顔料分散剤を比較例1で得た「顔料分散剤(比較1)」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(5)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0114】
<比較例6 顔料ペースト(6)の調整>
顔料分散剤を「VAGH」と「顔料分散剤(比較1)」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(6)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表11に示した。
【0115】
<比較例7 顔料ペースト(7)の調整>
顔料分散剤を「VAGH」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(7)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0116】
<比較例8 顔料ペースト(8)の調整>
顔料分散剤を「硝化綿」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(8)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0117】
<比較例9 顔料ペースト(9)の調整>
顔料分散剤を「アジスパーPB821」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は、実施例13と同様にして顔料ペースト(9)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0118】
<比較例10 顔料ペースト(10)の調整>
顔料分散剤を「VAGH」と「アジスパーPB821」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(10)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0119】
<比較例11 顔料ペースト(11)の調整>
顔料分散剤を「顔料分散剤(比較1)」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(11)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0120】
<比較例12 顔料ペースト(12)の調整>
顔料分散剤を「VAGH」と「顔料分散剤(比較1)」に、顔料を「タイペークR−820」に変更した以外は実施例13と同様にして顔料ペースト(12)を得、実施例13と同様の評価を行った。結果を表12に示した。
【0121】
<実施例37 印刷インキ組成物(A)の調整>
実施例13で得られた顔料ペースト(A)50部、レットダウン用樹脂である「バーノックECL−341」〔大日本インキ化学工業(株)製のウレタン−尿素系樹脂;不揮発分=30%〕30部、及び酢酸エチル20部を配合し、ディスパーを用いて混合することにより印刷インキ組成物(A)を得た。
印刷インキ組成物(A)は、下記項目について評価を行った。
【0122】
<光沢、相溶性、顔料分散性>
印刷インキ組成物(A)を、コロナ処理したポリプロピレンフィルム(厚さ:10ミクロン)上にバーコーターNo.7で塗布した後、ドライヤー(60℃程度の熱風)を10秒間あてて乾燥させた。
得られた展色物の60°光沢値は、「ヘイズ−グロス リフレクトメーター」により測定した。ここで、顔料ペースト時の光沢値と比較して、印刷インキ組成物時の光沢値が同等、または大きくなったものは、顔料分散剤とレットダウン用樹脂との相溶性「良好」、一方、大きく低下したものは、顔料分散剤とレットダウン用樹脂との相溶性「不良」と判断した。結果を表7に示した。
また、顔料分散性は目視により評価し、次のように判定した。
良好:展色物全体で透明性の高い塗膜が得られ、顔料の凝集が見られないもの。
一部凝集:透明感はあるが、部分的に顔料の凝集が見られるもの。
凝集:透明感がなく、至るところで顔料の凝集が見られるもの。
評価結果を表7に示した。
【0123】
<実施例38 印刷インキ組成物(B)の調整>
顔料ペーストを(B)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(B)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表7に示した。
【0124】
<実施例39 印刷インキ組成物(C)の調整>
顔料ペーストを(C)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(C)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表7に示した。
【0125】
<実施例40 印刷インキ組成物(D)の調整>
顔料ペーストを(D)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(D)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表7に示した。
【0126】
<実施例41 印刷インキ組成物(E)の調整>
顔料ペーストを(E)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(E)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表7に示した。
【0127】
<実施例42 印刷インキ組成物(F)の調整>
顔料ペーストを(F)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(F)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表7に示した。
【0128】
<実施例43 印刷インキ組成物(G)の調整>
顔料ペーストを(G)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(G)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0129】
<実施例44 印刷インキ組成物(H)の調整>
顔料ペーストを(H)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(H)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0130】
<実施例45 印刷インキ組成物(I)の調整>
顔料ペーストを(I)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(I)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0131】
<実施例46 印刷インキ組成物(J)の調整>
顔料ペーストを(J)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(J)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0132】
<実施例47 印刷インキ組成物(K)の調整>
顔料ペーストを(K)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(K)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0133】
<実施例48 印刷インキ組成物(L)の調整>
顔料ペーストを(L)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(L)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表8に示した。
【0134】
<実施例49 印刷インキ組成物(M)の調整>
顔料ペーストを(M)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(M)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0135】
<実施例50 印刷インキ組成物(N)の調整>
顔料ペーストを(N)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(N)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0136】
<実施例51 印刷インキ組成物(O)の調整>
顔料ペーストを(O)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(O)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0137】
<実施例52 印刷インキ組成物(P)の調整>
顔料ペーストを(P)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(P)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0138】
<実施例53 印刷インキ組成物(Q)の調整>
顔料ペーストを(Q)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(Q)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0139】
<実施例54 印刷インキ組成物(R)の調整>
顔料ペーストを(R)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(R)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表9に示した。
【0140】
<実施例55 印刷インキ組成物(S)の調整>
顔料ペーストを(S)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(S)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0141】
<実施例56 印刷インキ組成物(T)の調整>
顔料ペーストを(T)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(T)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0142】
<実施例57 印刷インキ組成物(U)の調整>
顔料ペーストを(U)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(U)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0143】
<実施例58 印刷インキ組成物(V)の調整>
顔料ペーストを(V)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(V)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0144】
<実施例59 印刷インキ組成物(W)の調整>
顔料ペーストを(W)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(W)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0145】
<実施例60 印刷インキ組成物(X)の調整>
顔料ペーストを(X)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(X)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表10に示した。
【0146】
<比較例13 印刷インキ組成物(1)の調整>
顔料ペーストを(1)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(1)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0147】
<比較例14 印刷インキ組成物(2)の調整>
顔料ペーストを(2)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(2)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0148】
<比較例15 印刷インキ組成物(3)の調整>
顔料ペーストを(3)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(3)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0149】
<比較例16 印刷インキ組成物(4)の調整>
顔料ペーストを(4)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(4)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0150】
<比較例17 印刷インキ組成物(5)の調整>
顔料ペーストを(5)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(5)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0151】
<比較例18 印刷インキ組成物(6)の調整>
顔料ペーストを(6)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ祖組成物(6)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表13に示した。
【0152】
<比較例19 印刷インキ組成物(7)の調整>
顔料ペーストを(7)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(7)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0153】
<比較例20 印刷インキ組成物(8)の調整>
顔料ペーストを(8)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(8)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0154】
<比較例21 印刷インキ組成物(9)の調整>
顔料ペーストを(9)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(9)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0155】
<比較例22 印刷インキ組成物(10)の調整>
顔料ペーストを(10)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(10)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0156】
<比較例23 印刷インキ組成物(11)の調整>
顔料ペーストを(11)に、レットダウン用樹脂を「バーノックECL−341」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ組成物(11)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0157】
<比較例24 印刷インキ組成物(12)の調整>
顔料ペーストを(12)に、レットダウン用樹脂を「硝化綿」に変更した以外は、実施例37と同様にして印刷インキ祖組成物(12)を得、実施例37と同様の評価を行った。結果を表14に示した。
【0158】
【表1】



【0159】
【表2】

【0160】
【表3】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
【0161】
【表4】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
【0162】
【表5】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
【0163】
【表6】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)

【0164】
【表7】

【0165】
【表8】


【0166】
【表9】

【0167】
【表10】


【0168】
【表11】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
【0169】
【表12】

* 酢酸エチル/イソプロピルアルコール=4/1(質量比)
【0170】
【表13】

【0171】
【表14】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンからなるブロック(A)と、重合性不飽和単量体を重合させてなるポリマーのブロック(B)とを有するブロックコポリマーからなることを特徴とする顔料分散剤。
【請求項2】
前記ブロック(A)と前記ブロック(B)の質量割合が、2:98〜90:10の範囲である、請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーがスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、及び次亜リン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する(但し、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基及び次亜リン酸基は、塩を形成していてもよい)、請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーの酸価が16〜200mgKOH/gの範囲である、請求項3に記載の顔料分散剤。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが、ウレタン結合あるいは尿素結合を有する高分子アゾ重合開始剤の存在下、重合性不飽和単量体を重合させて得られる、請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項6】
前記ウレタン結合を有する高分子アゾ重合開始剤が、1分子中に一般式(1)及び一般式(2)の構造単位を少なくとも1つずつ有する請求項5に記載の顔料分散剤。
【化1】


(1)

【化2】


(2)
(一般式(1)中、Rはアルキレン基、環状アルキレン基、エステル基を有するアルキレン基、ベンゼン環、またはベンゼン環を含んだアルキレン基を、R及びRは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、アルキレン基、シアノ基を含んだアルキレン基、アミド結合を含んだアルキレン基、またはアミド結合と水酸基を併せ有するアルキレン基を表す。一般式(2)中、Rはポリオール残基を表する。)
【請求項7】
前記重合性不飽和単量体が、(メタ)アクリレート又は重合性ビニル化合物である、請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項8】
請求項1に記載の顔料分散剤、及び顔料を含有することを特徴とする顔料ペースト。
【請求項9】
請求項8に記載の顔料ペーストと、バインダー樹脂を含有することを特徴とする印刷インキ組成物。



【公開番号】特開2008−56806(P2008−56806A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235450(P2006−235450)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】