説明

顔料分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、及び固体撮像素子

【課題】顔料の分散性及びその分散安定性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる皮膜を形成しうる顔料分散液を提供すること。該顔料分散液を用いてなり、パターン形成性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる硬化膜を形成しうる着色硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)染料骨格を有する顔料分散剤、(B)顔料、及び(C)溶媒を含有し、前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長と前記(B)顔料の最大吸収波長との差が200nm以下である顔料分散液、該顔料分散液、(E)光重合開始剤、及び(F)重合性化合物を含有する着色硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色画素形成に用いられるカラーレジストに好適な顔料分散液、着色硬化性組成物、それを用いたカラーフィルタ及びその製造方法、及びカラーフィルタを用いる固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、特に大画面液晶テレビの発達に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。更なる高画質化の要求から有機ELディスプレイの普及も待ち望まれている。
一方、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、CCDイメージセンサーなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。これらのディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されており、更なる高画質化の要求とともにコストダウンへの要求が高まっている。このようなカラーフィルタは、通常、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3原色の着色パターンを備えており、画像表示デバイスや固体撮像素子において、通過する光を着色したり、3原色へ分解する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタに使用されている着色剤には、共通して次のような性質を具備していることが求められる。即ち、色再現性上好ましい光吸収特性を有すること、液晶ディスプレイのコントラスト低下の原因である光散乱や固体撮像素子の色ムラ・ザラツキ感の原因となる光学濃度の不均一性といった光学的な乱れがないこと、使用される環境条件下における堅牢性、例えば、耐熱性、耐光性等が良好であること、モル吸光係数が大きく薄膜化が可能なこと等が必要とされている。
【0004】
固体撮像素子、液晶ディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等に用いられるカラーフィルタを作製する方法の一つに顔料分散法が用いられている。顔料分散法で、フォトリソ法やインクジェット法によってカラーフィルタを作製する方法は、顔料を使用しているために光や熱に対して安定である。
【0005】
フォトリソ法によりカラーフィルタを作製するには、基板上に感放射線性組成物をスピンコーター、スリットコーター、ロールコーター等により塗布し、乾燥させて塗布膜を形成し、該塗布膜をパターン露光し現像することによって、着色された画素を得る。この操作を色相の数だけ繰り返すことでカラーフィルタを作製することができる。光によってパターニングするため位置精度も充分に確保でき、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等に用いられる大画面で、高精細のカラーフィルタの作製に好適な方法として広く利用されている。
【0006】
固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては、微細パターンのマスクを通して、露光、次いでアルカリ液による現像を行い、未露光部をアルカリ現像液に溶解して微細パターンを形成させているが、露光部、未露光部の溶解性(現像性)の調節が難しい。
【0007】
近年、固体撮像素子用のカラーフィルタの更なる高精細化が望まれており、従来の顔料分散法では、顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の問題のために、解像度を更に向上させることは困難であり、高精細化のためには、顔料分散法を用いたフォトリソ法の適用が難しくなりつつある。
一方、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等においても、顔料分散法を用いたフォトリソ法により製造されたカラーフィルタは、耐光性、耐熱性に優れるが、顔料粒子による光散乱のためコントラストの低下や、ヘイズの増加といった問題が大きな課題として残っている。
【0008】
顔料分散法に替えて染料を使用した場合、固体撮像素子用カラーフィルタでは色むら・ザラツキ感の問題解消による高解像度化の達成が、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおいてはコントラストやヘイズなどの光学特性の向上が、夫々期待される。
【0009】
以上のような理由から、着色材として染料を用いることが検討されている。しかしながら、染料を含む着色硬化性組成物は、以下に示すような新たな問題点を有している。
(1)染料は、一般に顔料に比べて、耐光性、耐熱性に劣る。特に、液晶ディスプレイなどの電極として多用されているITO(酸化インジウムスズ)の成膜時の高温工程により、光学特性が変化してしまうという問題がある。
(2)染料は、ラジカル重合反応を抑制する傾向があるため、ラジカル重合を硬化手段として用いる系では、着色硬化性組成物の設計に困難が伴う。
特にフォトリソ法では、
(3)通常の染料は、アルカリ水溶液又は有機溶剤(以下単に溶剤ともいう)への溶解度が低いため、所望のスペクトルを有する着色硬化性組成物を得るのが困難である。
(4)染料は、着色硬化性組成物中の他の成分との相互作用を示すことが多く、露光部、未露光部の溶解性(現像性)の調節が難しい。
(5)染料のモル吸光係数(ε)が低い場合には多量の染料を添加しなければならず、そのために着色硬化性組成物中の重合性化合物(モノマー)やバインダー、光重合開始剤等の他の成分を相対的に減らさざるを得ず、組成物の硬化性、硬化後の耐熱性、現像性等が低下する。
【0010】
これらの問題のために、これまで高精細カラーフィルタ用の微細かつ薄膜に構成され、堅牢性にも優れた着色パターンを、染料を用いて形成することは困難であった。また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合においては、着色層を1μm以下の薄膜にすることが要求される。したがって、所望の吸収を得るためには硬化性組成物中に、多量の色素を添加する必要があり、前述の問題を生じる結果となる。
【0011】
そこで、染料と顔料との両方を含む着色硬化性組成物を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、このような組成物から形成される皮膜は、染料の色価、耐熱性、及び耐光性の点で、課題を有しており、これらの課題を解決する手段が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−186657号公報
【特許文献2】特開2008−15530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたものであり、顔料の分散性及びその分散安定性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる皮膜を形成しうる顔料分散液を提供することを第1の課題とする。
上記顔料分散液を用いてなり、パターン形成性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる硬化膜を形成しうる着色硬化性組成物を提供することを第2の課題をする。
また、上記着色硬化性組成物を用いてなり、色純度、耐熱性、及び耐光性に優れ、且つ、パターン形状の良好なカラーフィルタ及びその製造方法を提供することを第3の課題とする。
更に、色純度、耐熱性、及び耐光性に優れ、且つ、高解像度の固体撮像素子を提供することを第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、着色された皮膜や硬化膜について詳細に検討した結果、染料骨格を顔料分散剤に組み込んだ化合物を用いた顔料分散液は、顔料の分散性及びその分散安定性に優れると共に、更に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる皮膜を形成しうることが明らかとなった。
また、上記のような顔料分散液を着色硬化性組成物に適用することで、該組成物内の染料の割合を、染料を単独で用いる場合に比べて低減することが可能となり、所望のパターンを形成するに十分な硬化成分の割合を確保することが可能であるとの知見を得た。本発明は、これらの知見に基づいて達成されたものである。
前記の課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
【0015】
<1> (A)染料骨格を有する顔料分散剤、(B)顔料、及び(C)溶媒を含有し、前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長と前記(B)顔料の最大吸収波長との差が200nm以下である顔料分散液。
<2> 前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長が450nm〜650nmの範囲に存在する<1>に記載の顔料分散液。
<3> 前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤が、染料骨格としてジピロメテン骨格を有する<1>又は<2>に記載の顔料分散液。
<4> <1>〜<3>のいずれか1に記載の顔料分散液、(E)光重合開始剤、及び(F)重合性化合物を含有する着色硬化性組成物。
<5> 支持体上に、<4>に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層を、マスクを介してパターン露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。
<6> <5>に記載のカラーフィルタの製造方法で得られたカラーフィルタ。
<7> <6>に記載のカラーフィルタを備える固体撮像素子。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、顔料の分散性及びその分散安定性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる皮膜を形成しうる顔料分散液を提供することができる。
上記顔料分散液を用いてなり、パターン形成性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる硬化膜を形成しうる着色硬化性組成物を提供することができる。
また、上記着色硬化性組成物を用いてなり、色純度、耐熱性、及び耐光性に優れ、且つ、パターン形状の良好なカラーフィルタ及びその製造方法を提供することができる。
更に、色純度、耐熱性、及び耐光性に優れ、且つ、高解像度の固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の顔料分散液、着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、更には、固体撮像素子について詳述する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0018】
≪顔料分散液≫
本発明の顔料分散液は、(A)染料骨格を有する顔料分散剤、(B)顔料、及び(C)溶媒を含有し、前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長と前記(B)顔料の最大吸収波長との差が200nm以下であることを特徴とする。
以下、本発明の顔料分散液を構成する必須及び任意の成分について説明する。
【0019】
<(A)染料骨格を有する顔料分散剤>
まず、本発明で用いられる、(A)染料骨格を有する顔料分散剤について詳細に説明する。
ここで、染料骨格を有する顔料分散剤における「染料骨格」とは、最大吸収波長が300nm〜700nmの範囲に存在する化合物骨格であり、上記範囲に最大吸収波長を有すれば特に限定されないが、アントラキノン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、ビスアゾ系、イソインドリン系、キノフタロン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、ジピロメテン系の骨格が好ましく、ビスアゾ系、ジピロメテン系の骨格がより好ましく、ジピロメテン系骨格が最も好ましい。
【0020】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の染料骨格は、併用する(B)顔料の最大吸収波長に応じて選択されることが好ましく、本発明においては、(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長と(B)顔料の最大吸収波長との差が200nm以下であることを要する。この関係を満たすようにすることで、本発明の顔料分散液から形成される皮膜の耐光性が大幅に改善される。
本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長は450nm〜650nmの範囲であることが、顔料分散剤の染料骨格から顔料へのエネルギー異動の点から、好ましい。特に、500nm〜560nmの範囲であることがより好ましい。
なお、(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長は、紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)を用いて、酢酸エチル溶液中(濃度1×10−6mol/L、光路長10nm)における吸収スペクトルの測定によって求められる。
【0021】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の染料骨格の含有割合は、顔料分散剤全体に対し、10質量%〜90質量%含有することが好ましく、20質量%〜80質量%が更に好ましく、20質量%〜70質量%が最も好ましい。
染料骨格の含有割合が上記の範囲よりも低いと、本発明の顔料分散液から形成される皮膜の耐光性が良化せず、また、染料骨格の含有割合が上記の範囲よりも高いと顔料分散剤としての(C)溶剤への溶解性が低下し、分散性が低下してしまう場合がある。
【0022】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の顔料分散剤として機能する構造については特に限定されないが、高分子であることが好ましい。つまり、(A)染料骨格を有する顔料分散剤は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する、所謂、高分子分散剤をその構造内に有することが好ましい。
顔料分散剤として機能する構造(高分子分散剤に相当する構造)として具体的には、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。なお、染料骨格の導入の容易さから、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。
染料骨格の導入方法としては、特に限定されないが、高分子反応を用いる方法、染料骨格を有するモノマーを重合する方法が好ましい。
【0023】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の高分子分散剤に相当する構造は、直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。中でも、顔料の表面へのアンカー部位を有する、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましく、末端変性型高分子、グラフト型高分子がより好ましい。
【0024】
本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤としては、顔料の分散性及び分散安定性、更には、色価の点から、顔料表面への吸着作用を有する顔料吸着基を有するユニット、グラフト鎖を有するユニット、及び染料骨格を有するユニットの少なくとも3つのユニットを有するグラフト共重合体であることが好ましい。
顔料吸着基を有するユニットとしては、顔料吸着基として、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有するユニットが好ましい。このようなユニットは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、及びそれらのハーフエステル、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのように酸基を有するモノマーを重合してなるユニットであることが好ましい。
また、グラフト共重合体中の顔料吸着基を有するユニットの含有量は、顔料吸着能と、分散安定性の点から、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜18質量%がより好ましく、3質量%〜15質量%が更に好ましい。
【0025】
また、グラフト鎖を有するユニットとしては、長鎖アルキル基、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖をグラフト鎖として有するユニットが好ましい。このようなユニットは、前記のようなグラフト鎖となりうる構造を含むマクロモノマーを重合してなるユニットであることが好ましく、このマクロモノマーとしては、東亜合成社製のAB−6、AS−6、AA−6等の市販品が挙げられ、中でも、東亞合成社製のAA−6が好ましく用いられる。
また、グラフト共重合体中のグラフト鎖を有するユニットの含有量は、顔料分散性、分散安定性の点から、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜35質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0026】
更に、染料骨格を有するユニットは、前述したような染料骨格を有するモノマーを重合してなるユニットが好ましい。
この染料骨格を有するモノマーとしては、具体的には、以下のようなものが挙げられるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
【0027】
【化1】




【0028】
上記の染料骨格を有するモノマーは、前述したような骨格を有する染料に対し、例えば、ヒドロキシル基とメタクリル酸クロリドやメタクリル酸無水物とを反応させるなど、公知の有機化学的知見を基に容易に合成できる。
ここで、ジピロメテン系骨格を有する染料は、特開2008−292970号公報の記載の方法に準じて、容易に合成することができる。
【0029】
グラフト共重合体中の染料骨格を有するユニットの含有量は、前述した、(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の染料骨格の含有割合の好ましい範囲に応じて決定されればよいが、具体的には、50質量%〜90質量%が好ましく、55質量%〜85質量%がより好ましく、60質量%〜80質量%が更に好ましい。
グラフト共重合体中の染料骨格を有するユニットの含有量が上記の範囲よりも少ない場合、色価が不足する場合があり、また、多い場合には、顔料吸着基やグラフト鎖の割合が減少することから、顔料の分散性とその安定性が不足する場合がある。
【0030】
本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤の具体例を以下、及び後述する実施例にて用いられる(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)〜(i−7)として示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化2】





【0031】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤は、上述したモノマーを公知であるラジカル重合法により容易に製造できる。なお、分子量の制御は、重合方法に応じて連鎖移動剤を適切な量に調整することで可能である。
(A)染料骨格を有する顔料分散剤の分子量は、顔料の分散性、及び分散安定性の点から、重量平均分子量にて、5000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましく、6000〜50000が更に好ましい。分子量が大きいと溶媒との相溶性が悪化し、顔料の分散性や分散安定性が低下する場合がある。また、分子量が小さいとグラフト鎖等に起因する顔料の再凝集を抑制する能力が十分に機能せず、分散安定性が低下する。
【0032】
本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤の含有量としては、(B)顔料に対し、1質量%〜100質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%がより好ましく、10質量%〜60質量%が最も好ましい。含有量が上記の範囲より少ない場合は、(B)顔料が分散できず、また、多い場合は過分散となり、経時での安定性が悪化する場合がある。
【0033】
<(B)顔料>
本発明で用いられる、(B)顔料としては特に限定されないが、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。
【0034】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0035】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
等を挙げることができる。
【0036】
これら有機顔料は、単独若しくは、分光の調整や色純度を上げるために種々組合せて用いることができる。
上記組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で或いは混合して用いてもよいが、それらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料の少なくとも1種と、の混合を行ってもよい。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられる。
また、赤色顔料と他顔料との質量比(他顔料/赤色顔料)は、5/100〜50/100が好ましい。5/100未満では、皮膜の400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難であり、また、50/100を超えると、主波長が短波長よりになり、色分解能を上げることができない場合がある。特に、上記質量比としては、10/100〜30/100の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、求める分光に併せて調整することができる。
【0037】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で用いてもよいが、これと、ジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、若しくはイソインドリン系黄色顔料と、の混合を行ってもよい。例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7,36,37と、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180、又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。
緑顔料と黄色顔料との質量比(黄色顔料/緑顔料)は、5/100〜150/100が好ましく、30/100〜120/100がより好ましい。
【0038】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で用いてもよいが、これとジオキサジン系紫色顔料との混合を行ってもよい。
例えば、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合が好ましい。
青色顔料と紫色顔料との質量比(紫色顔料/青色顔料)は、0/100〜100/100が好ましく、より好ましくは10/100以下である。
【0039】
顔料の一次粒子径は、本発明の顔料分散液をカラーフィルタの形成用とする場合には、色ムラやコントラストの観点から、100nm以下であることが好ましく、また、分散安定性の観点から5nm以上であることが好ましい。顔料の一次粒子径としてより好ましくは、5nm〜75nmであり、更に好ましくは5nm〜55nmであり、特に好ましくは5nm〜35nmである。
顔料の一次粒子径は、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
【0040】
本発明においては、色価、堅牢性の点から、中でも、顔料としては、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、シアニン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系から選ばれる顔料であることが好ましい。
【0041】
また、本発明における(B)顔料としては、(A)染料骨格を有する顔料分散剤中の染料骨格へのエネルギー異動効率の点から、最大吸収波長が400nm〜800nmであるものが好ましく、580nm〜750nmであるものがより好ましい。
本発明においては、上記の範囲の最大吸収波長を有する顔料(特に、フタロシアニン系顔料)と、染料骨格としてジピロメテン骨格を有する顔料分散剤と、を併用することが、色価、染料の堅牢性の点から好ましく、中でも、特に、600nm〜750nmに最大吸収波長を有するフタロシアニン系顔料を少なくとも含有する(B)顔料と、染料骨格としてジピロメテン骨格を有し、540nm〜560nmに最大吸収波長を有する顔料分散剤((A)染料骨格を有する顔料分散剤)と、を併用することが好ましい。
なお、本発明における(B)顔料の最大吸収波長は、紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)によって測定されたものである。ここで、前述のように、顔料を2種以上併用した場合の最大吸収波長とは、その併用割合に応じた顔料混合物を上記と同様の方法で測定した値を指す。
【0042】
<その他の着色剤>
本発明の顔料分散液は、本発明の効果を損なわない範囲において、着色剤として、前述した顔料以外に染料を含んでいてもよい。なお、この染料は、前述のように顔料分散剤としての機能を有していないものを指す。
この染料としては、従来公知の染料が用いられ、具体的には、アントラキノン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、ビスアゾ系、イソインドリン系、キノフタロン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アゾメチン系、ジオキサジン系、ジピロメテン系染料が用いられる。
【0043】
<(C)溶媒>
本発明の顔料分散液は、少なくとも一種の(C)溶剤を有する。
溶剤としては、以下に示される有機溶剤から選択される液体が挙げられ、顔料分散液中に含まれる各成分の溶解性、分散性や、硬化性組成物の分散安定性、塗布性などを考慮して選択されるものである。これら所望の物性を満足すれば基本的に特には限定されないが、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0044】
溶剤の具体例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0045】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、エチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等;が好ましい。
【0046】
これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等がより好ましい。
【0047】
本発明で用いる顔料分散液における(C)溶剤の含有量としては、50質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜95質量%がより好ましく、70質量%〜90質量%が最も好ましい。溶剤の含有量が前記範囲内であることにより、異物の発生抑制の点で有利である。
【0048】
<(D)顔料誘導体>
本発明の顔料分散液は、更に、(D)顔料誘導体を含有していてもよい。
(D)顔料誘導体は、有機顔料、アントラキノン類又はアクリドン類の一部分を酸性基、塩基性基又はフタルイミドメチル基で置換した構造が好ましい。顔料誘導体を構成する有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0049】
顔料誘導体が有する酸性基としては、スルホン酸、カルボン酸及びその4級アンモニウム塩が好ましい。また、顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましい。
(D)顔料誘導体の使用量は特に制限がないが、(B)顔料に対し、5質量%〜80質量%用いることが好ましく、10質量%〜50質量%用いることが更に好ましい。
【0050】
≪着色硬化性組成物≫
本発明の着色硬化性組成物は、前述した本発明の顔料分散液に加え、(E)光重合開始剤、及び(F)重合性化合物を含むものであり、これによって、パターン形成性に優れると共に、色価、耐熱性、及び耐光性に優れる硬化膜を形成しうる着色硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明の着色硬化性組成物を構成する各成分について説明する。
【0051】
<(E)光重合開始剤>
本発明の着色硬化性組成物は、感度及びパターン形成性向上のため、(E)光重合開始剤を含有する。
本発明における(E)光重合開始剤は、光により分解し、本発明における重合可能な成分の重合を開始、促進する化合物であり、波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。また、光重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0052】
光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、アルキルアミノ化合物、等が挙げられる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
【0053】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M.P.Hutt”Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0054】
s−トリアジン化合物として、より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0055】
オキソジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
【0056】
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0057】
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
ベンゾイン化合物としてはm−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0058】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0059】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0060】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0061】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書並びに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0062】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0063】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0064】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0065】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318号明細書等記載される化合物等が挙げられる。
【0066】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0067】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0068】
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するヨードニウム塩などが好ましい。
【0069】
本発明に好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性と感度の点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントラキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0070】
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0071】
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0072】
アルキルアミノ化合物としては、例えば、特開平9−281698号公報の段落番号[0047]、特開平6−19240号公報、特開平6−19249号公報等に記載のジアルキルアミノフェニル基を有する化合物やアルキルアミン化合物が挙げられる。具体的には、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物としてはp−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の化合物や、p−ジエチルアミノベンズカルバルデヒド、9−ジュロリジルカルバルデヒド等のジアルキルアミノフェニルカルバルデヒドが、アルキルアミン化合物としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0073】
本発明に用いられる(E)光重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0074】
(E)光重合開始剤としてより好ましくは、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0075】
特に、本発明の着色硬化性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタにおける着色画素の形成に用いる場合、処方上、着色硬化性組成物中の顔料濃度が高くなるため、開始剤の添加量は少なくなり、感度が低下してしまう。また、露光をステッパーで行う際には、トリアジン系化合物等のごとく、露光時にハロゲン含有化合物を発生する開始剤を用いると、機器の腐食の原因となり使用し難い。
これらを考慮すれば、感度と諸性能を満足させる光重合開始剤としては、オキシム系化合物が好ましく、特に、365nmに吸収を有するオキシム系化合物が最も好ましい。
【0076】
(E)光重合開始剤の含有量は、本発明の着色硬化性組成物の全固形分に対し0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜30質量%、特に好ましくは1質量%〜20質量%である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0077】
<(F)重合性化合物>
本発明の着色硬化性組成物は、(F)重合性化合物を含有する。
本発明における(F)重合性化合物は少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上を有する化合物から選ばれる。このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0078】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0079】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0080】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0081】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0082】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0083】
更に、酸基を含有するモノマーも使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。これらの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル等が挙げられる。
【0084】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0085】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式で表される化合物における水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0086】
一般式 CH=C(R)COOCHCH(R’)OH
(ただし、R及びR’はそれぞれ独立にH又はCHを示す。)
【0087】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた着色硬化性組成物を得ることができる。
【0088】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0089】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色硬化性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基の含有量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、及び、未露光部の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、及び、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
【0090】
また、着色硬化性組成物中の他の成分(例えば、バインダー、光重合開始剤、顔料)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0091】
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)、UA−7200(新中村化学社製)が好ましい。
【0092】
中でも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)がより好ましい。
【0093】
本発明における(F)重合性化合物の含有量は、本発明の着色硬化性組成物の固形分中に、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
【0094】
本発明の着色硬化性組成物は、必要に応じて、以下に詳述する成分を更に含有してもよい。
【0095】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色硬化性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。
本発明において使用しうるアルカリ可溶性樹脂としては、有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
【0096】
アルカリ可溶性樹脂としてより好ましいものは、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等のアクリル系共重合体のものが挙げられる。
また、アルカリ可溶性樹脂の酸価としては、レジストの現像性、残渣の観点から20mgKOH/g〜200mgKOH/g、好ましくは30mgKOH/g〜150mgKOH/g、更に好ましくは35mgKOH/g〜120mgKOH/gの範囲である。
【0097】
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体と、から得られる構成単位を含む共重合体(アクリル系共重合体)であることが好ましい。前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート、及びアリール(メタ)アクリレートとしては、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアラルキル基を表す。〕で表され、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(アルキルは炭素数1〜8のアルキル基)、ヒドロキシグリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等を挙げることができる。
【0098】
また、前記ビニル化合物としては、CH=CR〔ここで、R及びRは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素環を表しそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。〕で表され、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等を挙げることができる。
【0099】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも好ましい共重合可能な他の単量体は、アルキル(メタ)アクリレート(アルキルは炭素数2から4のアルキル基)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンである。
【0100】
本発明においては、アルカリ可溶性樹脂としては、特に、溶媒への溶解性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
【0101】
また、アルカリ可溶性樹脂としては、分子側鎖にポリアルキレンオキサイド鎖を有する樹脂も好ましい。ポリアルキレンオキサイド鎖としては、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、ポリテトラメチレングリコール鎖、又はこれらの混合鎖であることが好ましく、末端は水素原子、又は直鎖若しくは分岐のアルキル基である。
ポリエチレンオキシド鎖、及びポリプロピレンオキシド鎖の繰り返し単位は、1〜20が好ましく、2〜12がより好ましい。
側鎖にポリアルキレンオキサイド鎖を有する樹脂としては、アクリル系共重合体が好ましく、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートなど、及びこれらの末端OH基をアルキル封鎖した化合物(例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート)などに由来する構成単位を含むアクリル系共重合体が挙げられる。
【0102】
これらのアルカリ可溶性樹脂(好ましくはアクリル系共重合体)は、既に述べたように、20mgKOH/g〜200mgKOH/gの範囲の酸価を有することが好ましい。酸価が200mgKOH/gを越えた場合、アルカリ可溶性樹脂のアルカリに対する溶解性が大きくなりすぎて、現像適正範囲(現像ラチチュード)が狭くなる。一方、20mgKOH/g未満と小さすぎるとアルカリに対する溶解性が小さく、現像に時間がかかり過ぎて好ましくない。
また、アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量Mw(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、着色硬化性組成物を塗布等の工程上使用しやすい粘度範囲を実現するために、また、着色硬化性組成物から得られる硬化膜の膜強度を確保するために、2,000〜100,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましい。
【0103】
アルカリ可溶性樹脂(好ましくはアクリル系共重合体)の酸価を上記で特定した範囲とするには、各単量体の共重合割合を適切に調整することに容易に行うことができる。また、質量平均分子量の範囲を上記範囲とするには、単量体の共重合の際に、重合方法に応じた連鎖移動剤を適切な量使用することにより容易に行うことができる。
前述したようなアクリル系共重合体は、例えば、公知のラジカル重合法により製造することができる。ラジカル重合法でアクリル系共重合体を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、容易に設定することができる。
【0104】
アルカリ可溶性樹脂を添加する際の添加量としては、着色硬化性組成物の全固形分の1質量%〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜25質量%である。アルカリ可溶性樹脂がこの範囲であれば、現像での溶解性のコントロールがし易くなる。また、所望する厚さの塗膜が得やすくなる点で好ましい。特に、広幅で大面積の基板への塗布に好適なスリット塗布に対して得率が高く良好な塗膜を得ることができる。
【0105】
また、本発明の硬化性着色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を、単独で、若しくは重合性二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂と併用で使用してもよい。
重合性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂としては、重合性二重結合として、アリール基、(メタ)アクリロイル基、アリールオキシアルキル基等を側鎖に含有したポリマー等が有用である。このような重合性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像液での現像が可能であって、更に、光硬化性と熱硬化性を備えたものである。
【0106】
重合性二重結合を含有するアルカリ可溶性樹脂の例を以下に示すが、COOH基、OH基等のアルカリ可溶性基と、炭素−炭素間不飽和結合(重合性二重結合)と、が含まれていれば下記に限定されない。
(1)予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、
(2)カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、
(3)酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、
(4)OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂。
上記のうち、特に(1)及び(2)の樹脂が好ましい。
【0107】
また、重合性二重結合を含有するアルカリ可溶性樹脂の具体例として、OH基を有する、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する、例えば、メタクリル酸と、これらと共重合可能なアクリル系若しくはビニル系化合物等のモノマーと、の共重合体に、OH基に対し反応性を有するエポキシ環と炭素間不飽和結合基を有する化合物(例えば、グリシジルアクリレートなどの化合物)を反応させて得られる化合物等が挙げられる。OH基との反応では、エポキシ環のほかに酸無水物、イソシアネート基、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。また、特開平6−102669号公報、特開平6−1938号公報に記載のエポキシ環を有する化合物に、アクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。
【0108】
COOH基のようなアルカリ可溶化基と炭素間不飽和基とを併せ持つ化合物として、例えば、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製);Photomer 6173(COOH基含有Polyurethane acrylic oligomer、Diamond Shamrock Co.Ltd.,製);ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製);サイクロマーPシリーズ、プラクセルCF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業(株)製);Ebecryl3800(ダイセルユーシービー(株)製)、などが挙げられる。
【0109】
本発明における重合性二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像性の観点から、好ましくは30mgKOH/g〜150mgKOH/g、より好ましくは35mgKOH/g〜120mgKOH/gであり、また、質量平均分子量Mwとしては好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜30,000である。
【0110】
<増感剤>
本発明の着色硬化性組成物は、(E)光重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
【0111】
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等なども挙げられる。
【0112】
<重合禁止剤>
本発明においては、着色硬化性組成物の製造中或いは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含む化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、全組成物固形分に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0113】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗膜の表面に偏在させてもよい。
高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物固形分の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0114】
<その他の添加剤>
更に、本発明においては、硬化膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、基板密着性を向上させうる基板密着剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、アルカリ可溶性樹脂を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を含む化合物とアルカリ可溶性樹脂との合計質量に対し、10質量%以下添加することができる。
【0115】
本発明の着色硬化性組成物を基板等の硬質材料表面に適用する場合には、該硬質材料表面との密着性を向上させるための添加剤(以下、「基板密着剤」と称する。)を加えてもよい。
基板密着剤としては、公知の材料を用いることができるが、特にシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0116】
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
中でもγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0117】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、トリイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0118】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0119】
基板密着剤の含有量は、着色硬化性組成物の未露光部に残渣が残らないようにする観点から、本発明の着色硬化性組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
【0120】
本発明の着色硬化性組成物は、高感度で硬化し、かつ、保存安定性も良好である。また、硬化性組成物を適用する基板などの硬質材料表面への高い密着性を示す。従って、本発明の着色硬化性組成物は、3次元光造形やホログラフィー、カラーフィルタといった画像形成材料やインク、塗料、接着剤、コーティング剤等の分野において好ましく使用することができる。
また、本発明の着色硬化性組成物は、微細な顔料を高濃度で含有しても、顔料分散安定性と現像性に優れ、高精細で色特性の良好な着色領域を形成しうることから、固体撮像素子用のカラーフィルタの製造、特に、膜厚が0.8μm以下、好ましくは、0.1μm〜0.5μmの範囲の画素を形成するような場合、特に本発明の着色硬化性組成物を用いることでその効果が著しいといえる。
【0121】
≪カラーフィルタ及びその製造方法≫
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有する。このようなカラーフィルタは、以下のような製造方法により製造される。
即ち、本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層をマスクを介して露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むことを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0122】
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して該着色硬化性組成物からなる着色層を形成する。
【0123】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0124】
支持体上への本発明の着色硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
着色硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
【0125】
基板上に塗布された着色層(硬化性組成物層)の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0126】
着色硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)としては、LCD用カラーフィルタとして用いるためには、LCD薄膜化に対応でき、色濃度確保の観点から、0.1μm以上2.0μm未満が好ましく、0.2μm以上1.8μm以下がより好ましく、0.3μm以上1.75μm以下が特に好ましい。
また、固体撮像素子用カラーフィルタとして用いるためには、色濃度確保の観点、斜め方向の光が受光部に到達せず、又、デバイスの端と中央とで集光率の差が顕著になる等の不具合を低減する観点から、0.05μm以上1.0μm未満が好ましく、0.1μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.2μm以上0.7μm以下が特に好ましい。
【0127】
<露光工程>
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層(着色硬化性組成物層)を、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光する。
本工程における露光においては、塗布膜のパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させることによりことにより行うことができる。露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。照射量は5mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、10mJ/cm〜500mJ/cmが最も好ましい。
本発明のカラーフィルタが液晶表示装置用である場合は、上記範囲の中で5mJ/cm〜200mJ/cmが好ましく、10mJ/cm〜150mJ/cmがより好ましく、10mJ/cm〜100mJ/cmが最も好ましい。また、本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用である場合は、上記範囲の中で30mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく、50mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、80mJ/cm〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0128】
<現像工程>
次いで、露光後の着色層に対してアルカリ現像処理(現像工程)を行う。この工程により、上記露光により光未照射部分が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが支持体上に残ることになる。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましいが、無機アルカリ現像液も使用可能である。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒である。
【0129】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。次いで、乾燥を施す。
【0130】
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0131】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃の熱硬化処理を行う。基板がガラス基板又はシリコン基板の場合は上記温度範囲の中でも200℃〜240℃が好ましい。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0132】
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数(3色或いは4色以上)だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0133】
本発明のカラーフィルタは、パターン形成性に優れた本発明の着色硬化性組成物を用いて製造されるため、パターン形状に優れ、且つ、高解像度の画素(着色パターン)を得ることができる。また、この画素(着色パターン)は、色度、耐熱性、及び耐光性に優れたものであるため、色純度、耐熱性、及び耐光性に優れるカラーフィルタとなる。
これらのことから、本発明のカラーフィルタは、特に、固体撮像素子に好適である。
【0134】
≪固体撮像素子≫
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCD素子を構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【実施例】
【0135】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0136】
(合成例1)
−染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)の合成−
メタクリル酸2g、AA−6(東亜合成製のマクロモノマー)8.3g、ジピロメテン染料骨格を有するモノマーa(下記構造)2.6g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート30g、及び1−ドデカンチオール0.2gを窒素下で撹拌し、75℃に保持した。次に、光重合開始剤(V−601、和光純薬製)を0.06添加し、2時間撹拌した。90℃にて、2時間撹拌した。室温まで冷却し、(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)を得た。
【0137】
(合成例2〜9)
−(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−2)〜(i−7)、比較用化合物(ii−1)〜(ii−2)の合成−
合成例1における、酸基を有するモノマー(メタクリル酸)の種類と使用量、マクロモノマー(AA−6)の種類、及び染料骨格を有するモノマー(a)の種類を、下記表1のように変更した他は合成例1と同様にして、(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−2)〜(i−7)を得た。
また、合成例1における、酸基を有するモノマー(メタクリル酸)の使用の有無、マクロモノマー(AA−6)の使用の有無、及び染料骨格を有するモノマー(a)の種類を、下記表1のように変更した他は合成例1と同様にして、比較用化合物(ii−1)〜(ii−2)を得た。
なお、下記の表1〜表3では、合成例で得られた(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)〜(i−7)を総じて、(A)顔料分散剤と表記した。
【0138】
【表1】

【0139】
上記表1中に記載のマクロモノマー(iii)は、以下のようにして合成されたものである。
即ち、ε−カプロラクタム1.2kg、2−エチルヘキサノール71g、及びn−ブチルスズオキシド0.6gを90℃で2時間撹拌した。その後、カレンズMOI(昭和電工製)86g、及びジブチルヒドロキシトルエン0.4gを添加し、90℃で4時間撹拌し、マクロモノマー(iii)を得た。
【0140】
(合成例10)
−比較用化合物(ii−3)の合成−
メタクリル酸2g、AA−6(東亜合成製のマクロモノマー)8.3g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート30g、及び1−ドデカンチオール0.2gを窒素下で撹拌し、75℃に保持した。次に、光重合開始剤(V−601、和光純薬製)を0.06添加し、2時間撹拌した。その後、V−601を0.06部添加し、2時間撹拌した後、更にV−601を0.06部添加し90℃、2時間撹拌した。室温まで冷却し、比較用化合物(ii−3)を得た。この比較用化合物(ii−3)の最大吸収波長は、可視域に無く、210nm〜800nmの範囲にて測定したところ、最大吸収波長は210nmであった。
【0141】
また、以下に、表1中に記載の染料骨格を有するモノマーa〜eの構造を示す。
【0142】
【化3】




【0143】
【化4】




【0144】
[実施例1]
ここでは、液晶表示装置用のカラーフィルタ形成用として、顔料を含有する着色硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
【0145】
1−1.顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメント・グリーン36を40質量部(平均粒子経60nm、最大吸収波長675nm)、及び染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)を200質量部(固形分換算20質量部)からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。
【0146】
1−2.顔料分散液の顔料分散性の評価
上記のようにして調製された顔料分散液について、顔料の平均1次粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製))により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:25nm以下
△:25nmより大きく35nm未満
×:35nm以上
【0147】
1−3.顔料分散液の保存安定性の評価
上記のようにして調製された顔料分散液を室温で1ケ月保存し、経時前後の液の粘度を測定して、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:粘度上昇は5%未満であった。
△:5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:10%以上の粘度上昇が認められた。
【0148】
2−1.着色硬化性組成物(塗布液)の調製
前記顔料分散液を用いて、下記組成比となるよう撹拌混合して着色硬化性組成物を調製した。
・前記顔料分散液 600部
・光重合開始剤(2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール) 30部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50部
・アルカリ可溶性樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、mol比:80/10/10、Mw:10000) 5部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 900部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1部
・増感剤(下記化学式αの化合物) 15部
・共増感剤(2−メルカプトベンゾイミダゾール) 15部
【0149】
【化5】

【0150】
2−2.着色硬化性組成物層(着色層)の形成
上記着色硬化性組成物をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプリベーク(prebake)(100℃80秒)を施して、着色硬化性組成物の塗布膜(着色硬化性組成物層)を形成した。
【0151】
(スリット塗布条件)
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚 1.75μm
・塗布温度: 23℃
【0152】
2−3.着色硬化性組成物層(着色層)の露光・現像(画像形成)
塗布膜に365nmの波長の光を、線幅2μmのマスクを通して、200mJ/cmの露光量で照射した。露光後、現像液CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を使用して、25℃40秒間の条件で現像した。その後、流水で30秒間リンスした後、スプレー乾燥した。その後、200℃で15分間ポストベークを行った。
以上のようにしてカラーフィルタを構成する青色画素として好適な着色パターンが得られた。
【0153】
3.性能評価
上記で調製された着色硬化性組成物の保存安定性、着色硬化性組成物を用いてガラス基板上に形成された着色パターン(着色層)の耐熱性、耐光性、パターン形成性、更に、得られたパターン断面形状を下記のようにして評価した。
【0154】
3−1.着色硬化性組成物の保存安定性の評価
着色硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存し、経時前後の液の粘度を測定して、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:粘度上昇は5%未満であった。
△:5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:10%以上の粘度上昇が認められた。
【0155】
3−2.耐熱性(熱堅牢性)の評価
前記2−2.のようにして着色硬化性組成物が塗布されたガラス基板を、該基板面で接するように200℃のホットプレートに載置して1時間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、加熱前後での色差(ΔEab値)を測定して熱堅牢性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。ΔEab値は、値の小さい方が、熱堅牢性が良好なことを示す。なお、ΔEab値は、CIE1976(L,a,b)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔEab={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
−判定基準−
○:ΔEab値<5
△:5≦ΔEab値≦17
×:ΔEab値>17
【0156】
3−3.耐光性の評価
前記2−2.のようにして着色硬化性組成物が塗布されたガラス基板に366nm以下カットオフの紫外線カットフィルターを設置し、これに対しキセノンランプを10万luxで20時間照射(200万lux・h相当)した後、照射前後での色差(ΔEab値)を測定して耐光性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。
ΔEab値は、値の小さいほうが、耐光性が良好なことを示す。
−判定基準−
○:ΔEab値<5
△:5≦ΔEab値≦15
×:ΔEab値>15
【0157】
3−4.パターン形成性、及びパターン断面形状の評価
前記2−3.のようにして行ったポストベーク後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認することにより、パターン形成性、及びパターン断面形状の評価を行った。
パターンの剥がれ、歪みが無いものを「○」とし、パターンの剥がれ、歪みがあるもの、現像されずパターンが形成されていないものを「×」とした。
また、形成された着色パターンの断面形状を観察した際、パターン断面形状が順テーパであったものを「○(最も好ましい)」、矩形であったものを「△(次に好ましい)」、逆テーパであったものを「×」とした。
【0158】
3−5.色純度の評価
前記2−2.のようにして得られた着色硬化性組成物が塗布されたガラス基板の450nmの透過率Tを紫外可視吸収分光装置(日本分光製V−570)により測定した。
−判定基準−
○:透過率>90%
△:80%≦透過率≦90%
×:透過率<80%
【0159】
[実施例2〜7、比較例1〜2]
実施例1の顔料分散剤(i−1)を、下記表2に記載の(A)顔料分散剤又は比較用化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液、着色硬化性組成物、及びカラーフィルタを作製した。また、実施例1と同様の評価も行った。結果を表2に示す。
【0160】
[比較例3]
実施例1の顔料分散剤(i−1)を表2に記載の比較用化合物(ii−3)に変更した以外は実施例1と同様にして顔料分散液を調製し、この顔料分散液を用いて着色硬化性組成物(塗布液)を調製する際に、前記染料骨格を有するモノマー(a)を2.6部添加した以外は実施例1と同様にして、着色硬化性組成物、及びカラーフィルタを作製した。また、実施例1と同様の評価も行った。結果を表2に示す。
【0161】
【表2】

【0162】
表2の結果から、本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤を含有する実施例1〜7の顔料分散液は、分散初期における顔料の平均1次粒子径が小さいことから、分散性に優れていることが分かり、また、経時による粘度変化が起き難く、保存安定性にも優れることが分かる。
また、本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤を含有する実施例1〜7の着色硬化性組成物は、顔料の分散性に優れ、耐熱性及び耐光性に優れた皮膜(硬化膜)を形成しうることが分かる。また、実施例1〜7の着色硬化性組成物は、パターン形成性にも優れ、形成された着色パターンの断面形状及び色純度も良好であることが分かる。
一方、比較例1では、比較用化合物(ii−1)には顔料吸着基である酸基がないため、顔料に吸着し難く、顔料の分散性が得られていないものと考えられる。また、それに伴い、顔料と染料との間の距離も遠くなることから、耐熱性や耐光性のような硬化膜の堅牢性の向上が見られないと推測される。
また、比較例2では、比較用化合物(ii−2)にはグラフト鎖が存在しないため、顔料に吸着はするものの、これを分散させることや、その分散を保持することがし難く、顔料の分散性・分散安定性が低いものと考えられる。
更に、比較例3のように、顔料分散能を有する比較用化合物(ii−3)と染料骨格を有するモノマー(a)とを併用した場合であっても、本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤と比べ、顔料と染料との距離が離れてしまうことから、耐熱性や耐光性のような硬化膜の堅牢性は得られないものと考えられる。
【0163】
[実施例8]
以下、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として、着色硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
【0164】
4−1.レジスト液の調製
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
<レジスト液の組成>
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
・溶剤:乳酸エチル 36.67部
・アルカリ可溶性樹脂:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18、重量平均分子量15,000)の40%PGMEA溶液 30.51部
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤:F−475、大日本インキ化学工業(株)製 0.83部
・光重合開始剤:トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤 0.586部
(TAZ−107、みどり化学社製)
【0165】
4−2.下塗り層付シリコン基板の作製
6inchシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次に、このシリコンウエハ上に前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
【0166】
5−1.顔料分散液の調製
顔料としてC.I.ピグメント・グリーン36及びC.I.ピグメント・イエロー139の混合物(質量比70:30)40質量部(平均粒子径65nm、最大吸収波長593nm)、及び(A)染料骨格を有する顔料分散剤(i−1)160質量部(固形分換算16質量部)からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ、直径0.3mm)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。
顔料分散液について、顔料の平均1次粒子径を動的光散乱法により、実施例1と同様に測定したところ、30nmであった。
【0167】
5−2.着色硬化性組成物(塗布液)の調製
前記顔料分散液を用いて、下記組成比となるよう撹拌混合して着色硬化性組成物を調製した。
・前記顔料分散液 600部
・光重合開始剤(オキシム系光重合開始剤) 30部
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・重合性化合物:TO−1382(東亞合成(株)製) 25部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 900部
・基板密着剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 1部
【0168】
5−3.着色硬化性組成物によるカラーフィルタの作製
上記のように調製した着色硬化性組成物を、前記4−2.で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、着色硬化性組成物の塗布膜(着色硬化性組成物層)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.5μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
【0169】
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して50mJ/cm〜1200mJ/cmの種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハ基板に着色パターンを形成した。
【0170】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハ基板を回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。その後、200℃で8分間ポストベークを行った。
以上のようにしてカラーフィルタを構成する青色画素として好適な着色パターンが得られた。
【0171】
6.性能評価
上記で調製された着色硬化性組成物を用いてシリコンウエハ基板上に形成された着色パターン(着色層)の耐熱性、耐光性、パターン形成性、更に、得られたパターン断面形状を、液晶表示装置用のカラーフィルタと同様の評価方法で評価した。
【0172】
[実施例9〜14、比較例4〜5]
実施例7の顔料分散剤(i−1)を、下記表3に記載の(A)顔料分散剤又は比較用化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散液、着色硬化性組成物、及びカラーフィルタを作製した。また、実施例7と同様の評価も行った。結果を表3に示す。
【0173】
【表3】

【0174】
表3の結果から、本発明における(A)染料骨格を有する顔料分散剤を含有する実施例8〜14の着色硬化性組成物は、顔料の分散性(保存安定性)に優れ、比較例4、5とは異なり、耐熱性及び耐光性に優れた皮膜(硬化膜)を形成しうることが分かる。また、実施例8〜14の着色硬化性組成物は、パターン形成性にも優れ、形成された着色パターンの断面形状及び色純度も良好であることが分かる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)染料骨格を有する顔料分散剤、(B)顔料、及び(C)溶媒を含有し、前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長と前記(B)顔料の最大吸収波長との差が200nm以下である顔料分散液。
【請求項2】
前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤の最大吸収波長が450nm〜650nmの範囲に存在する請求項1に記載の顔料分散液。
【請求項3】
前記(A)染料骨格を有する顔料分散剤が、染料骨格としてジピロメテン骨格を有する請求項1又は請求項2に記載の顔料分散液。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散液、(E)光重合開始剤、及び(F)重合性化合物を含有する着色硬化性組成物。
【請求項5】
支持体上に、請求項4に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層を、マスクを介してパターン露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法で得られたカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを備える固体撮像素子。

【公開番号】特開2011−118060(P2011−118060A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273839(P2009−273839)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】