説明

顔料分散組成物

【課題】微細化された顔料粒子を含む場合においても、顔料粒子の凝集が抑制され、非結晶性、流動性に優れ、種々の分野に好適に使用しうる、着色力に優れ、高い顔料分散性と分散安定性を有する顔料分散組成物を提供する。
【解決手段】(a)顔料、(b)溶剤、(c)ポリエステル鎖を有する分散剤、および、(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物であり、前記(d)分散剤が、下記一般式(1)で表される構成単位を含む、重量平均分子量1000〜100000の共重合体であることが好ましい。一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用適性、特に非集合性、非結晶性、流動性に優れ、かつ着色力に優れる顔料分散組成物に関し、詳細には、塗料、印刷インキ、それらを用いたカラー表示板、液晶カラーディスプレイや固体撮像素子等に使用されるカラーフィルターの製造に好適な顔料分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に鮮明な色調と高い着色力を発揮する実用上有用な顔料は微細な粒子からなっている。このような顔料を分散してなる顔料分散組成物は顔料の有する優れた発色性、耐光性から種々の分野に使用されている。しかし、高い着色力を得るために顔料粒子をより微細化していくと、種々の要因により顔料分散液が高粘度化する傾向にあり、分散液の分散機からの取り出し、パイプラインによる輸送が困難になるばかりでなく、貯蔵中にゲル化を起こして使用困難となる懸念が生じる。
【0003】
また、光により硬化する感光性組成物にも着色材として顔料を含有するものがあり、画像形成材料として有用であることが知られている。着色材としての顔料には、鮮明な色調と高い着色力が求められるが、感光性組成物として使用する場合、以下に述べるような問題が生じ、顔料の微細化が困難である。
【0004】
着色感光性組成物を用いて着色画像を形成するには、感光性組成物の層を基板上に形成し、露光、現像する。この際、現像液としては、環境上の問題から、有機溶剤よりアルカリ性水溶液が好んで使用されるため、着色層はアルカリ性水溶液に可溶であることが要求される。また、着色感光性組成物の塗布液の分散媒体としては塗布後の乾燥の観点から、有機溶剤を使用するのが好ましく、着色感光性組成物に使用される結合剤(バインダー)は、酸性基を有し、かつ適当な有機溶媒に溶ける必要が生じる。有機顔料はこのような酸性バインダー中に分散されている。
しかしながら、有機溶媒に可溶の酸性バインダー中に有機顔料を分散することは困難であり、顔料が十分に微細化され、高い着色力を有し、かつアルカリ性水溶液で現像可能な着色感光性組成物を得ることは困難であった。
【0005】
顔料分散組成物の利用分野の一つとして、液晶ディスプレー等に用いるカラーフィルターがある。カラーフィルターは、それぞれ赤、緑、青の3原色を選択的に透過するように、着色材を各画素部に配置することによって形成されている。着色材を画素部に配置するには種々の方法が知られており、染色法、印刷法、電着法、顔料分散法等が実用化されている。これらの中では、得られるカラーフィルターの品質及び製造プロセスの安定性から、顔料分散法が優れている。
【0006】
顔料分散法では、顔料分散組成物を含有する着色感光性組成物溶液を透明基板上に設け、パターン露光した後現像して第1色目の画素パターンを形成し、これを複数回繰り返すことで、基板上に複数色の画素パターンを形成する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。着色材として顔料を用いるため、顔料の微細化が十分になされない場合、顔料粒子により光が散乱、吸収され、光透過率が低下する。更に、顔料粒子による光の散乱、複屈折等で偏光軸が回転し、液晶表示装置のコントラストも低下してしまう問題があり、顔料粒子の一層の微細化が要求されている。
【0007】
以上のような種々の問題を解決するため、充分な流動性を有し、かつ微細化された顔料分散液を製造するため、これまでも数多くの提案がなされている。その内容を技術的手法から分類すると大きく2つに分けられる。
【0008】
一つは、有機顔料を母体骨格とし、側鎖にスルフォン基、スルフォンアミド基、アミノメチル基、フタルイミドメチル基等の置換基を導入して得られる顔料誘導体を混合し、顔料表面を被覆する方法である(例えば、特許文献1参照。)。具体例として、フタロシアニン顔料の分散に有効なフタロシアニン誘導体が挙げられている(例えば、特許文献2乃至5参照。)。しかしながらこれらの顔料誘導体を分散剤として使用するためには、それによって処理される顔料が同様の色調、あるいは類似骨格を有する必要があり、適用できる顔料が極めて限定されるという欠点がある。
【0009】
もう一つは、実質的に無色の化合物で顔料表面を被覆する方法である。これまでに種々の化合物が提案されているが、分散剤として汎用性のある化合物として、ヒドロキシカルボン酸を脱水して得られる末端カルボキシル基含有ポリエステルまたはその塩からなる化合物が記載されている(例えば、特許文献6、7参照。)。また、テトラキス(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンをヒドロキシル基含有および不含有高級モノカルボン酸でエステル化して得られる生成物に高級モノカルボン酸グリシジルエステルを開環付加せしめ、ついで酸性基、塩基性基または両者を導入して得られる変性ポリエステル型化合物からなる高分子分散剤が記載されている(例えば、特許文献8参照。)。しかしながら、これらの高分子分散剤を用いても上記の問題を解決できるほどの十分な流動性と、微細化された顔料粒子の分散との両立は困難であった。
【特許文献1】特公昭41−2466
【特許文献2】英国特許第949739号
【特許文献3】米国特許第4313766号
【特許文献4】特公昭39−2884号
【特許文献5】特開昭57−12067号
【特許文献6】特公昭54−34009号
【特許文献7】英国特許第1342746号
【特許文献8】特開平2−245231号
【非特許文献1】1990年第7回色彩光学コンファレンス 512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルター 植木、小関、福永、山中
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に微細化された顔料粒子を含む場合においても、顔料粒子の凝集が抑制され、非結晶性、流動性に優れ、種々の分野に好適に使用しうる、着色力に優れ、高い顔料分散性と分散安定性を有する顔料分散組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討の結果、顔料分散剤として特定の構造を有するポリマーを2種以上併用することで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の構成を有する。
【0012】
<1> (a)顔料、(b)溶剤、(c)ポリエステル鎖を有する分散剤、および、(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
<2> 前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤が、下記一般式(1)で表される構成単位を含む、重量平均分子量1000〜100000の共重合体であることを特徴とする<1>に記載の顔料分散組成物。
【0013】
【化1】

【0014】
一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。
【0015】
<3> 前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤が、グラフト共重合体であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の顔料分散組成物。
<4> 前記(c)ポリエステル鎖を有する分散剤の1種又は2種と、前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤の1種又は2種と、を含む3種以上の分散剤を含有することを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特に微細化された顔料粒子を含む場合においても、顔料粒子の凝集が抑制され、非結晶性、流動性に優れ、種々の分野に好適に使用しうる顔料分散剤、さらには、着色力に優れ、高い顔料分散性と分散安定性を有する顔料分散組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の顔料分散組成物は、(b)溶剤、好ましくは有機溶剤を含む分散媒中に、(c)ポリエステル鎖を有する分散剤、および、(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤という2種の分散剤を用いて分散された(a)顔料を含有することを特徴とする。
即ち、本発明の顔料分散組成物はポリエステル鎖を有する分散剤と特定の酸価を有する重合体とを組み合わせて使用することに特徴を有する。
以下、本発明の顔料分散組成物の構成成分について順次説明する。
【0018】
<(c)ポリエステル鎖を有する分散剤>
まず、本発明の重要な成分であるポリエステル鎖を有する分散剤〔以下、適宜、(c)分散剤と称する〕について述べる。
ポリエステル鎖を有する分散剤として、具体的には、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開平9−171253号公報に記載のポリエステル型マクロモノマーを共重合成分とするグラフト重合体、さらには特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられる。
【0019】
これらのポリマーは柔軟なポリエステル鎖を含むことにより、顔料に対する吸着性が増し、以下に詳述する(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤と組み合わせて使用することで分散性を向上させることができる。
ポリエステル鎖を有する分散剤の物性としては、塩基価10〜100mgKOH/gであることが好ましく、塩基価10〜70mgKOH/gがより好ましい。
(c)分散剤が有する塩基性基の種類は特に限定されないが、アミノ基、イミノ基などが好ましい。塩基性基が顔料に対する吸着基として作用する場合には、塩基価がこの範囲内にあると、顔料同士を架橋することなく、良好に顔料分散が行なえる。
また、この分散剤は、塩基価以外に酸価を有していてもよい。
【0020】
(c)ポリエステル鎖を有する分散剤は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という。)が1000〜100000であることが好ましく、3000〜30000が特に好ましい。この範囲のMwを有するポリマーは、吸着する顔料の周囲で分散性を向上させ得るに足る立体障害を形成することができ、そのため、顔料の凝集が起こり難く、顔料分散液中において十分な分散性を発揮させることができる。分子量が小さすぎる場合には、この立体障害を形成し難く、顔料の凝集抑制効果が十分に得られず、また、分子量が大きくなりすぎると分散剤自体が高粘度の要因ともなり、複数の顔料間を連結するような挙動を示すことがあり、このような観点からも上記分子量の範囲が好適であるといえる。
【0021】
本発明における(c)ポリエステル鎖を有する分散剤としては、市販の分散剤を用いることもできる。本発明に好適に用いうる(c)分散剤の市販品としては、例えば、ソルスパース24000GR、28000、32000、38500(商品名:日本ルーブリゾール社製)、アジスパーPB711、PN411、PA111、PB821、PB822(商品名:味の素ファインテクノ製)、EFKA4047、4050(商品名:エフカアディティブスジャパン社製)、Disperbyk−161、162、167、168(商品名:ビックケミージャパン社製)が挙げられる。
【0022】
(c)ポリエステル鎖を有する分散剤の添加量は、顔料100重量部に対して、5〜50重量部となるように添加することが好ましい。この範囲において、好適な分散性及び分散安定性が達成され、分散液の経時的な粘度上昇や顔料沈降を効果的に抑制することができる。ただし、分散剤の最適な添加量は、使用する顔料の種類、溶剤の種類などの組み合わせ等により適宜調整されるため、この添加量に限定されず、この範囲外でも好適な分散性を示すこともある。
また、顔料分散組成物の全固形分に対しては、2〜30質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜25質量%の範囲である。
また、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、上述の分散剤の他に一般的な低分子量型界面活性剤、高分子量型界面活性剤、顔料誘導体等の従来型の分散剤を含有させることも可能である。これら従来の分散剤については以下に詳述する。
【0023】
<(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤>
次に、酸価65〜250mgKOH/gの分散剤〔以下、適宜、(d)分散剤と称する〕について説明する。
本発明に用いる第2の分散剤である(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤は、ポリマーであることが好ましい。
酸価が65mgKOH/gより低いと、分散剤中の酸性基が少ないため、顔料や前述の(c)ポリエステル鎖を有する分散剤に対する吸着が弱くなり、また、例えば、アルカリ可溶性感光性分散液にした場合に現像性が低下する。250mgKOH/gを超えると、分散剤中の酸性基量が多く、複数の顔料間を架橋する可能性が高くなる。
【0024】
(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤としては、重量平均分子量が1000〜100000の範囲の高分子化合物であることが好ましい。この重量平均分子量の範囲の(d)分散剤を用いることで、高い分散安定化効果を得ることができる。上記範囲の酸価を示すものであっても、分子量が増えるに従って、ポリマー中に含まれる酸性基数が多くなり、また、分散剤自体も高粘度化する傾向にあり、複数の顔料間を架橋するごとき挙動を示す懸念を生じる。
【0025】
(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤としては、酸性基としてカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基またはフェノール性水酸基を含有するポリマーが挙げられ、本発明ではカルボキシ基を含有する化合物であることが好ましい。
酸基導入位置の限定は特になく、直鎖状のポリマー中にランダムに酸基を導入したポリマー、片末端にカルボキシル基を有するポリマー、幹部にのみ酸基を有するグラフトポリマー、枝部にのみ酸基を有するグラフトポリマー、酸基を有するブロックと酸基を有しないブロックからなるブロックポリマーなどが挙げられる。
【0026】
本発明の(d)分散剤として用いられるポリマーとしては、一般式(1)で表される構成単位を1種以上含む共重合体が好ましい。
【0027】
【化2】

【0028】
一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素原子1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。このアルキル基はさらに置換基を有するものであってもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、等が挙げられる。
がアルキル基である場合の具体的な例としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。このようなRのなかでも、水素原子、又はメチル基が好ましい。
【0029】
一般式(1)で表される構成単位を少なくとも含む共重合体の合成には、公知のいずれの方法を用いても良い。具体的には、例えば、一般式(1)で表される構成単位に包含されるカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーと、他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを、常法により共重させる方法などが挙げられる。
ここで好ましい共重合比とは、前記一般式(1)で示される構造単位を共重合体中にモル比(仕込量換算)で、5〜50モル含む態様が挙げられる。
【0030】
一般式(1)で表される構成単位に包含されるカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類が挙げられる。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
これら一般式(1)で表される構成単位の共重合成分として用いられる他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このような共重合成分として使用しうるモノマー(構成単位)の具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
【0033】
(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アリレート、ポリシリコーンの如きを含有するマクロモノマーなどが挙げられる。
なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0034】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0035】
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0036】
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0038】
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0039】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
一般式(1)で表される構成単位を少なくとも含む共重合体の具体例としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸を含有するカルボキシル基含有不飽和モノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如きエチレン系不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如きカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルの如きシアン化ビニル;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、イソプレンの如き脂肪族系共役ジエン、アミノエチルアクリレートの如きエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレートの如き不飽和脂肪酸グリシジルエステル;末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレン;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アリレート、ポリシリコーンの如きを含有するマクロモノマー等、との共重合体などが挙げられる。
【0041】
これらの(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤のうち、好ましいものは、グラフト共重合体からなる分散剤である。グラフト共重合体については、例えば、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などに詳しい。本発明の(d)分散剤として用いうるグラフト共重合体の枝部は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、下記一般式(2)で表される構成単位を枝部に少なくとも有するグラフト共重合体が好ましい。
【0042】
【化3】

【0043】
一般式(2)中、Rは水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜22のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基を表す。
【0044】
で表されるアルキル基は、一般式(1)中のRと同義であり、好ましい例もまた同様である。
で表されるアルキル基としては、炭素原子1〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素原子1〜8のアルキル基が好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としてはハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3,2,1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。
このようなアルキル基のうち、無置換アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、若しくは水酸基で置換されたアルキル基が好ましく、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基などが好ましい。
【0045】
で表されるアリール基としては、炭素原子6〜20のアリール基が好ましく、特に炭素原子6〜12のアリール基が好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基等が挙げられる。このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基、等が挙げられる。
このようなアリール基のうち、無置換アリール基、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、より具体的には、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基などが好ましい。
【0046】
一般式(2)で表される構成単位を枝部に少なくとも有するグラフト共重合体の枝部は、単一の一般式(2)で表される構成単位のみならず、2種以上の一般式(2)で表される構成単位からなっていてもよく、また一般式(2)で表される構成単位の他に、下記一般式(3)で表される構成単位を含んでいても良い。
【0047】
【化4】

【0048】
一般式(3)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Qはシアノ基または炭素原子数6〜30のアリール基を表す。
【0049】
は、前記一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい例もまた同様である。
Qがアリール基を表さす場合のアリール基としては、炭素原子6〜20のアリール基が好ましく、特に炭素原子6〜12のアリール基が好ましい。アリール基は置換基を有していても良く、導入可能な置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
このようなアリール基の具体的な例としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
Qで表されるアリール基のうち、無置換アリール基、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基が好ましく、特に無置換アリール基、アルキル基で置換されたアリール基が好ましい。
【0050】
このような一般式(2)で表される構成単位、所望によりさらに一般式(3)で表される構成単位、を枝部に有するグラフトポリマーの枝部の具体的な例としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−ベンジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−スチレン)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−(メタ)アクリル酸)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート−co−アクリロニトリル)などが挙げられる。
【0051】
一般式(2)で表される構成単位を側鎖に少なくとも有するグラフトポリマーの合成には、公知のいずれの方法を用いても良い。具体的には、一般式(2)で表される構成単位を少なくとも有するマクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合させる方法が挙げられる。
【0052】
一般式(2)で表される構成単位を少なくとも有するマクロモノマーのうち、好ましいものは下記一般式(4)で表されるものである。
【0053】
【化5】

【0054】
一般式(4)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Lは−COO−、−CON(R)−、またはフェニレン基を表す。ここで、Rは水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、または、炭素原子数6〜20のアリール基を表す。Wは単結合または、以下に示す原子団から選ばれた単独の2価の連結基、もしくは、これらの2以上を任意に組合せて構成された連結基を表し、Aは前記した一般式(2)で表される構成単位を少なくとも有する置換基を表す。
【0055】
【化6】

【0056】
前記式中、Z、Zはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、シアノ基、又は、ヒドロキシル基を表し、Zは水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表す。
【0057】
このような一般式(4)で表されるマクロモノマーの具体的な例としては、以下に示す如きものが挙げられる。
【0058】
【化7】

【0059】
(d)分散剤の合成に使用しうる上記の如きマクロモノマーは市販品としても入手可能であり、このようなマクロモノマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)及び片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0060】
本発明のグラフトポリマーを構成する上記に記載したマクロモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和モノカルボン酸類が挙げられる。これらのカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとしては、前記一般式(1)で表される構成単位を少なくとも含む共重合体の説明において挙げたエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
【0061】
(d)分散剤として好適に使用しうるグラフトポリマーの具体的としては、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アリレートの如きを含有するマクロモノマー等と、アクリル酸および/またはメタクリル酸を含有するカルボキシル基含有不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの如きエチレン系不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如きカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルの如きシアン化ビニル;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、イソプレンの如き脂肪族系共役ジエン、アミノエチルアクリレートの如きエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレートの如き不飽和脂肪酸グリシジルエステル等から選ばれる1種または2種以上のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0062】
このようなグラフトポリマーは、主鎖が少なくとも(メタ)アクリル酸の如き酸モノマーから構成されたもの、側鎖が少なくとも(メタ)アクリル酸の如き酸モノマーから構成されたもの、主鎖および側鎖が少なくとも(メタ)アクリル酸の如き酸モノマーから構成されたものが挙げられるが、主鎖が少なくとも(メタ)アクリル酸の如き酸モノマーから構成されたものが好ましい。
【0063】
(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤の添加量は、顔料100重量部に対して5〜50重量部となるように添加することが好ましい。この添加量の範囲において、優れた分散安定性が達成され、経時的な粘度上昇や顔料沈降が効果的に抑制される。ただし、最適な分散剤の添加量は、使用する顔料の種類、溶剤の種類、その他添加剤等組みあわせにより適宜調整されるため、必ずしも上記添加量に限定されるものではなく、この範囲外でも好適な分散性を示すこともある。
(d)分散剤の顔料分散組成物の全固形分に対しては、2〜30質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜25質量%の範囲である。
【0064】
本発明の顔料分散組成物には、顔料の分散に、前記(c)分散剤と(d)分散剤という特定の2種の分散剤を含むことを要するが、なかでも、前記(c)ポリエステル鎖を有する分散剤の1種又は2種と、前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤の1種又は2種と、を含む3種以上の分散剤を含有することが高い顔料分散性と分散安定性の観点から好ましい。即ち、分散剤として(c)分散剤を少なくとも1種と(d)分散剤を少なくとも1種をそれぞれ含有し、さらに、それに加えて(c)分散剤及び(d)分散剤から選択される少なくとも1種を含有することで、(c)分散剤と(d)分散剤とを含む合計3種以上の分散剤を組み合わせて用いる態様が好ましい。
これらの組み合わせの中で、2種の(c)と1種の(d)の組み合わせ、1種の(c)と2種の(d)との組み合わせが好ましく、特に1種の(c)と2種の(d)との組み合わせが好ましい。
(c)と(d)の比率は特に限定はないが、10/90〜90/10質量比が好ましく、特に20/80〜80/20質量比が好ましい。
【0065】
<(a)顔料>
本発明の顔料分散組成物には、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を適宜選択して用いることができる。
顔料は、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく粒子サイズの小さいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、顔料の平均粒子径としては0.01〜0.1μmが好ましく、0.01〜0.05μmがより好ましい。
【0066】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物等を挙げることができる。
【0067】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー 11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199;
C.I.ピグメントオレンジ 36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド 81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,179, 209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット 19,23,32,37,39;
C.I.ピグメントブルー 1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン 7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン 25,28;
C.I.ピグメントブラック 1,7;
等を挙げることができる。
【0068】
本発明においては特に限定されるものではないが、下記の顔料がより好ましい。
C.I.ピグメントイエロー 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメントオレンジ 36,71,
C.I.ピグメントレッド 122,150,171,175,177,179,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット 19,23,37,
C.I.ピグメントブルー 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントグリーン 7,36,
C.I.ピグメントブラック 7
【0069】
これら有機顔料は、単独もしくは、色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。組合せの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ビスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料、アントラキノン系顔料、との混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139、またはC.I.ピグメントイエロー150、との混合が好ましい。また、赤色顔料と、黄色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましい。100:100を超えると、主波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。特に、前記質量比としては、100:0〜100:50の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて任意に調整することができる。組合せの例として、C.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド224とC.I.ピグメントレッド177が挙げられる。
【0070】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとビスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。質量比が100:5未満では400nm〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり、色純度を上げることができない場合がある。また、100:150を越えると主波長が長波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。質量比としては100:20〜100:120の範囲が特に好ましい。
【0071】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えば、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:50が好ましく、より好ましくは100:0〜100:30である。
【0072】
また、黒色顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独またはこれらの混合が挙げられ、カーボンとチタンブラックとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましく、この質量比の範囲において、良好な分散安定性が得られる。また、ここに挙げた黒色顔料は、例えば、本発明の顔料分散組成物をブラックマトリックス用の硬化性組成物に使用する場合にも好適に用いることができる。
【0073】
本発明の顔料分散組成物中における(a)顔料の含有量としては、該組成物の全固形分(質量)に対して、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0074】
また、本発明に係る重合体およびポリエステル鎖を有する分散剤の顔料分散組成物中における含有量としては、前記顔料の質量に対して、0.5〜100質量%が好ましく、3〜80質量%がより好ましい。顔料分散剤の量が前記範囲内であると、十分な顔料分散効果が得られる。なお、顔料分散剤を100質量部より多く加えても、顔料分散効果の更なる向上効果は期待できないことがある。
【0075】
<(b)溶剤>
本発明の顔料分散組成物の調製に分散媒として用いられる溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
また、(b)溶剤の添加量は顔料分散組成物の用途などに応じて適宜選択されるが、後述する光硬化性組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料及び顔料分散剤を含む固形分濃度が5〜50質量%となるように添加することができる。
【0076】
(その他の分散剤)
本発明の顔料分散組成物は、必要に応じて、その他の成分として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の分散剤を含んでいてもよい。
併用可能な公知の分散剤の具体例としては、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N’,N’−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を挙げることができ、その他、ニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
また市販品として、シゲノックス−105(商品名、ハッコールケミカル社製)、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)」、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)」等を挙げることができる。
これら、公知の分散剤の含有量は、前記した本発明の必須構成成分である(c)分散剤、(d)分散剤の合計量に対して、30質量部以下であることが好ましく、顔料分散組成物の全固形分に対しては、0〜15質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0〜10質量%の範囲である。
【0077】
(界面活性剤)
また、本発明の顔料分散組成物に含まれるその他の成分としては、各種界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の使用は、分散安定性の向上の観点から有効である。前記界面活性剤としては、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩、燐酸エステル塩に代表されるアニオン系界面活性剤、アミン塩に代表されるカチオン系界面活性剤、アミノカルボン酸、ベタイン型に代表される両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤等が好適に挙げられる。
【0078】
<顔料分散組成物の調製>
本発明の顔料分散組成物の調製方法は、特に制限されないが、例えば、顔料と顔料分散剤と溶剤とで、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理を行なうことにより得ることができる。
また、ビーズ分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
【0079】
なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
【0080】
このようにして得られた本発明の顔料分散組成物は、特定の2種の分散剤を含有することで、高発色が可能な微細化された顔料を用いた場合であっても、顔料の分散性、分散安定性に優れ、分散液の結晶化による高粘度化が生じず、流動性に優れており、かつ、着色力に優れる。このため、各種用途への使用適性が良好であり、塗料、印刷インキ、それらを用いたカラー表示板、あるいはカラープルーフ等の基体上の多色の着色画像の形成、特に液晶カラーディスプレイ、固体撮像素子等に使用されるカラーフィルターの製造に好適に使用され、その応用範囲はひろい。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
(実施例1)
<顔料分散組成物の調製>
下記組成(1)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
〔組成(1)〕
・C.I.ピグメントレッド254〔(a)顔料〕 90部
・C.I.ピグメントレッド177〔(a)顔料〕 10部
・シクロヘキシルメタクリレート/ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸
共重合体(=45/40/15[重量比]、重量平均分子量20000、
酸価100)(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート 溶媒の30%溶液 30部
・ソルスパース24000GR(日本ルーブリゾール社製;
ポリエステル系分散剤)〔(c)分散剤〕 40部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート〔(b)溶剤〕 820部
【0082】
続いて、上記より得られた混合溶液を、さらに0.1mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、赤色の顔料分散組成物を得た。
【0083】
<顔料分散組成物の評価>
得られた顔料分散組成物について下記の評価を行った。
(1)粘度の測定、評価
得られた顔料分散組成物について、E型粘度計を用いて、分散直後の顔料分散組成物の粘度ηおよび分散後(室温にて)1週間経過した後の顔料分散組成物の粘度ηを測定し、増粘の程度を評価した。評価結果は下記表1に示す。ここで、粘度が低いことは、分散性、分散安定性が良好であることを示す。
【0084】
(2)コントラストの測定、評価
得られた顔料分散組成物をガラス基板上に塗布し、乾燥後の塗布膜の厚さが1μmになるようにサンプルを作製した。2枚の偏光板の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(この評価法は、「1990年第7回 色彩光学コンファレンス、512色表示10.4“サイズTFT−LCD用カラーフィルター、植木、小関、福永、山中」を参考にした)。測定評価の結果は下記表1に示す。ここで、コントラストが高いことは、顔料が高度に微細化され、透過率すなわち着色力が高いことを示す。
【0085】
(実施例2)
実施例1において、(d)分散剤である(重合体1)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、シクロヘキシルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体(=45/44/11[重量比]、重量平均分子量20000、酸価71)〔重合体2:(d)分散剤〕の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0086】
(実施例3)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体(=37/40/23[重量比]、重量平均分子量20000、酸価150)(重合体3:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0087】
(実施例4)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート(AA−6、東亜合成化学工業(株)製)共重合体(=10/15/75[重量比]、重量平均分子量20000、酸価98)(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0088】
(実施例5)
実施例4において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸/末端メタクリロイル化ポリブチルアクリレート(AB−6、東亜合成化学工業(株)製)共重合体(=14/11/75[重量比]、重量平均分子量20000、酸価71)(重合体5:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例4と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0089】
(実施例6)
実施例4において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、ブチルアクリレート/メタアクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルアクリレート(AA−6、東亜合成化学工業(株)製)共重合体(=7/23/70[重量比]、重量平均分子量25000、酸価150)(重合体6:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例4と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0090】
(実施例7)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部と、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0091】
(実施例8)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部と、ブチルアクリレート/メタアクリル酸共重合体(=70/30[重量比]、重量平均分子量20000、酸価195)(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0092】
(実施例9)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代え、ソルスパース24000GR〔(c)分散剤〕の40部を、ソルスパース24000GR〔(c)分散剤〕20部とソルスパース32000(〔(c)分散剤〕)(日本ルーブリゾール社製;ポリエステル系分散剤)20部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0093】
(実施例10)
実施例9において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部に代えたこと以外、実施例9と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0094】
(実施例11)
実施例9において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液30部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部と、(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液15部に代えたこと以外、実施例9と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0095】
(比較例1)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)を、比較分散剤であるEFKA4047(EFKA社製)(以降D−1と称する)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0096】
(比較例2)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)を、比較分散剤であるN−ビニルイミダゾールと末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート共重合体D−2(=15/85[重量比]、重量平均分子量30000)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0097】
(比較例3)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)を、比較分散剤であるシクロヘキシルメタクリレート/ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体D−3(=42/50/8[重量比]、重量平均分子量20000、酸価52)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0098】
(比較例4)
実施例1において、(重合体1:(d)分散剤)を、比較分散剤であるベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸/末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートD−4(AA−6、東亜合成化学工業(株)製)共重合体(=17/8/75[重量比]、重量平均分子量20000、酸価52)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0099】
(実施例12)
実施例1において、赤色の顔料分散組成物を下記組成(2)の緑色顔料を含有する混合溶液を用いて得られた顔料分散組成物に代えたこと以外、実施例1と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
〔組成(2)〕
・C.I.ピグメントグリーン36〔(a)顔料〕 60部
・C.I.ピグメントイエロー150〔(a)顔料〕 40部
・重合体1〔(d)分散剤〕の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液 70部
・EFKA6750(EFKA社製;アゾ顔料誘導体)
〔その他の分散剤〕 10部
・BYK161(Bykケミー社製;ポリエステル鎖含有
ポリウレタン系分散剤)〔(c)分散剤〕 30部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート〔(b)溶剤〕 790部
【0100】
(実施例13〜17)
実施例12において用いた顔料分散剤(重合体1:(d)分散剤)を、前記重合体2〜重合体6((d)分散剤)にそれぞれ代えたこと以外、実施例12と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例12と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0101】
(実施例18)
実施例12において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例12と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例12と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0102】
(実施例19)
実施例12において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例1と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例12と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0103】
(実施例20)
実施例12において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部に代え、BYK161の30部を、BYK161の15部((c)分散剤)とソルスパース32000(日本ルーブリゾール社製:(c)分散剤)の15部に代えたこと以外、実施例12と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例12と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0104】
(実施例21)
実施例20において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部に代えたこと以外、実施例20と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例20と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0105】
(実施例22)
実施例20において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例20と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例20と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0106】
(実施例23)
実施例1において、赤色の顔料分散組成物を下記組成(3)の青色顔料を含有する混合溶液を用いて得られた青色の顔料分散組成物に代えたこと以外、実施例1と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
〔組成(3)〕
・C.I.ピグメントブルー15;6〔(a)顔料〕 80部
・C.I.ピグメントバイオレット23〔(a)顔料〕 20部
・重合体1〔(d)分散剤〕の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液 70部
・ソルスパース5000(ルーブリゾール社製;フタロシアニン誘導体)
〔その他の分散剤〕 10部
・アジスパーPB821(味の素ファインケミカル製;
ポリエステル系分散剤)〔(c)分散剤〕 10部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート〔(b)溶剤〕 810部
【0107】
(実施例24〜28)
実施例23において、前記重合体1((d)分散剤)を前記重合体2〜重合体6((d)分散剤)にそれぞれ代えたこと以外、実施例23と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例23と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0108】
(実施例29)
実施例23において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例23と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例23と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0109】
(実施例30)
実施例23において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例23と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例23と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0110】
(実施例31)
実施例23において、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部に代え、アジスパーPB821((c)分散剤)の10部を、アジスパーPB821((c)分散剤)5部とソルスパース32000(日本ルーブリゾール社製;ポリエステル系分散剤:(c)分散剤)5部に代えたこと以外、実施例23と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例23と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0111】
(実施例32)
実施例31において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体1:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部に代えたこと以外、実施例31と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例31と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0112】
(実施例33)
実施例31において、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液70部を、(重合体4:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部と、(重合体7:(d)分散剤)の1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶媒の30%溶液35部に代えたこと以外、実施例31と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例31と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0113】
(比較例5〜8)
実施例12において、前記重合体1((d)分散剤)を、前記のD−1〜D−4(比較分散剤)のいずれかにそれぞれ代えたこと以外、実施例12と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例7と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0114】
(比較例9〜12)
実施例23において、前記重合体1((d)分散剤)を、前記のD−1〜D−4(比較分散剤)のいずれかに、それぞれ代えたこと以外、実施例23と同様にして、青色の顔料分散組成物を調製し、実施例23と同様の評価を行なった。結果を下記表3に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
表1〜表3に明らかなように、本発明に係る特定顔料分散剤を用いた実施例の顔料分散組成物は、いずれも組成物の粘度が低く、顔料の分散性、分散安定性に優れ、この顔料分散組成物により得られた被膜は高いコントラストが得られることがわかる。本発明の顔料分散組成物による被膜が高いコントラストを達成しているのは、顔料粒子が微細化された状態で均一に分散されているためであると推測される。
他方、本発明の範囲外の公知の顔料分散剤を用いた比較例の顔料分散組成物は、比較的高粘度であり、顔料の分散性が本発明のものに比較して低く、分散安定性にも劣るものであり、該顔料分散組成物を用いて得られた被膜は十分なコントラストが得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)顔料、(b)溶剤、(c)ポリエステル鎖を有する分散剤、および、(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
【請求項2】
前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤が、下記一般式(1)で表される構成単位を含む、重量平均分子量1000〜100000の共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散組成物。
【化1】

一般式(1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。
【請求項3】
前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤が、グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の顔料分散組成物。
【請求項4】
前記(c)ポリエステル鎖を有する分散剤の1種又は2種と、前記(d)酸価65〜250mgKOH/gの分散剤の1種又は2種と、を含む3種以上の分散剤を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。

【公開番号】特開2008−69325(P2008−69325A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251751(P2006−251751)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000180058)山陽色素株式会社 (30)
【Fターム(参考)】