説明

顔料及びラテックスを含有するインクジェットインクで使用するためのリン酸塩含有界面活性剤

本開示は、インクジェットインク、及び長期にわたりインクジェット印刷する方法に関する。本発明のインクジェットインクは、顔料を0.1固体重量%〜10固体重量%、ラテックスを0.1固体重量%〜15固体重量%、並びにリン酸塩含有界面活性剤を0.01重量%〜3重量%含んでいてよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェット印刷が、様々な媒体表面、特に紙上に画像を記録する評判のよい手法となった理由にはいくつかある。その中には、プリンタノイズが少ないこと、高速記録及び多色記録が可能であるという理由がある。加えて、そのような利点は、消費者にも比較的安い値段で得ることができる。インクジェット印刷においては大きな改良がなされてきたものの、かかる改良に伴い、この分野での消費者からの要求は増大しており、それは、例えば、より高い速度、よい高い解像度、フルカラー画像の形成、より大きな安定性等である。新規なインクジェットインクを開発するにあたり、印刷表面又は基体に関連させてインクを評価する際に考慮すべき従来の性質がいくつかある。そのような性質は、表面上での画像のエッジ鋭さ及び光学濃度(optical density)、ブラックのカラーに対するブリード制御、基体上でのインクの乾燥時間、基体への付着性、インク滴の配置の逸脱がないこと、全てのドットが現れること、水及びその他の溶剤に対する乾燥後のインクの耐性、長期にわたる保存安定性、並びに腐食若しくはノズル詰まりのない長期の信頼性を含む。この性質の列記は、達成すべき価値ある目標を提供するものではあるが、これらの性質を全て満足するには困難が伴う。多くの場合、上記性質のうち1つを満足することを意図して、あるインク成分を含有させると、他の性質への適合が妨げられ得る。よって、インクジェットプリンタで使用するための市販のインクのほとんどは、上に列記した要求の全てを満たすことについて少なくとも適度に対応するという試みにおける妥協を提供することとなる。
【0002】
インクジェット印刷システムの、達成が望ましい性質の一部は、ノズルの健全性、コゲーション及びインクスループットに関連する。これに関連して、許容される印刷信頼性及びノズルの健全性を維持しつつ許容される印刷品質を得ることは、インクジェット印刷業界においては常なる課題である。したがって、過剰な詰まり又はオリフィスコゲーションを生じさせずに、的確に且つ許容される耐性で印刷可能なインク調合物の開発のための研究が続けられている。
【発明の概要】
【0003】
本発明を開示し説明する前に、本発明が、ここに開示の特定の構造、プロセスステップ又は材料に限定されるものではなく、それと同等のものにまで、関連分野の当業者によって認識されているように拡張されていることを理解されたい。また、ここで使用されている用語は、特定の態様のみを説明する目的で使用されており、限定を意図しているものではないことも理解すべきである。
【0004】
本発明を説明し特許請求する上で、以下の用語を以下に示す定義に基づいて使用する。
【0005】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される限り、単数形(「a」、「an」及び「the」を付した語)は、別途明記されていない限り、複数形の指示も含むことに留意されたい。よって、例えば、「インク」という記載はそのようなインクの1つ以上を含み、「顔料」という記載は、そのような顔料の1つ以上のものを含み、「インクセット」という記載は、1つ以上のインクセットを含む。
【0006】
ここで用いる限り、「液体ビヒクル」又は「インクビヒクル」は、着色剤をその中に分散若しくは溶解させてインクを形成する液体流体を指す。液体ビヒクルは当分野で公知であり、本発明の態様によって様々なインクビヒクルを使用することができる。そのような液体ビヒクルは、様々な異なる薬剤の混合物を含んでいてよく、その薬剤には、非限定的に、界面活性剤、有機共溶剤、緩衝剤、殺生物剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、安定剤及び/又は水が含まれる。いくつかの態様では、液体ビヒクルは、その他の添加剤、例えばラテックス粒子及び他のポリマーを含んでいてよい。
【0007】
ここで用いる限り、「インク」は、少なくとも1つの着色剤を含む単一の液体ビヒクルを指し、本発明の態様によれば、特定のインクは、顔料及びラテックスを含む。
【0008】
ここで用いる限り、「ラテックス」、「ラテックスポリマー」又は「ラテックス粒子」は、個々のモノマーから合成されたポリマーの質量体であって、液体ビヒクル中に分散させることができ、ラテックス分散体を形成するものを指す。「ラテックス」という用語は、一般に、液体及びその液体中に分散させたポリマーの粒子を指す。しかし、ラテックスをインク中で調合する場合、液体は、インクの液体ビヒクルの一部となり、よって、ラテックスポリマーは、液体ビヒクル中に分散された状態にあるラテックス粒子又はラテックスポリマー固体につき記述できる。ラテックスには、液体ビヒクル中に完全に溶解したポリマーは含まれない。
【0009】
ここで用いる限り、「顔料」は、着色剤粒子を指し、典型的には、当該顔料が含有せしめられる液体ビヒクル中で実質的に可溶である。顔料は、慣例の方式で別個の分散剤を使用して分散させていてよいか、又は自己分散性であって、顔料の表面に結合した分散剤を有していてよいよい。
【0010】
ここで用いる限り、「自己分散性(self-dispersed)」なる語は、一般に、例えば分散剤を顔料の表面に化学的に結合させることによって、分散剤により機能化された顔料を指す。分散剤は、低分子又は高分子又はオリゴマーであってよい。分散剤は、そのような顔料に結合し、顔料の外側シェルを電荷で終端させることができ、それにより、液体ビヒクル中で顔料粒子の凝集を低下させる反発の性質が生じる。
【0011】
ここで用いる限り、「約」という用語は、所与の値がその限界点を「わずかに上回る」又は「わずかに下回る」とすることによって、数値範囲の限界点にフレキシビリティを付与するために用いられる。この用語のフレキシビリティの度合いは、特定の変数によって記述することができ、ここに記載の経験及びそれに関連する説明に基づいて判定される当業者の知識の範囲内となる。
【0012】
ここで用いる限り、複数の項目、構造的な要素、組成的な要素及び/又は材料は、便宜上共通の列記中に記載されていてよい。しかし、このような列記は、列記中の各成分が、別個の且つ独特な成分として個々に特定されるように解釈するべきである。よって、そのような列記の個々の成分は、反対のことを示す記載がなければ、それらが共通の群中に記載されていることのみを理由として、同じ列記中の他の任意の成分の事実上同等のものとして解釈すべきではない。
【0013】
濃度、量及び他の数値データは、範囲の形式で表現され又は示されていてよい。そのような範囲の形式は、単に便宜上、また簡単にするために用いられていることを理解すべきであり、範囲の限界として明記した数値のみならず、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は下位範囲が、その各数値及び下位範囲が明記されているかのように含まれるようフレキシブルに解釈すべきである。例えば、「約1重量%〜約5重量%」の数値範囲は、そこに明記された約1重量%〜約5重量%という値のみならず、そこに示された範囲内の個々の値及び下位範囲をも含むと解釈すべきである。つまり、この数値範囲には、2、3.5及び4のような個々の値並びに1〜3、2〜4及び3〜5等の下位範囲が含まれる。1つの数値のみを記載する範囲についても同じことが云える。さらに、このような解釈は、記載の範囲又は性質の幅に関係なく適用されるべきである。
【0014】
これに関連して、ラテックス粒子を含む顔料インクジェットインクが内部のインクチャネル、発射チャンバ又はノズルを詰まらせることがあり、それにより、インク流れが著しく不足するか又は滴の吐出が妨げられることが原因で、抵抗器のコゲーションが引き起こされるが、この現象は、インクジェットインク調合物中にリン酸塩含有界面活性剤を含ませることによって低減可能であることが認識されている。同様に、顔料及びラテックス又は他の分散させたポリマーを含有するインクは、抵抗器のコゲーション形成が問題となっていることが見出されており、これは、抵抗器上へのポリマーのバインダ又は顔料の蓄積(buildup)によるものであり、プリントヘッドの耐用年数の短縮及びプリントヘッドの耐用年数中であっても早い段階での印刷品質の低下を引き起こす。リン酸塩含有界面活性剤の導入によって、プリントヘッドオリフィスにおけるポリマーの蓄積による詰まり及び/又は上記いずれかの過程により生じるラテックス含有インクによる抵抗器のコゲーションを改善し、又は実質的に排除しさえすることができ、よって、そのようなインクを担持する一般のインクジェットペン(及び特にサーマル式インクジェットペン)の耐用年数が延びる。粒子のいかなる理論にも縛られることなく、リン酸塩含有界面活性剤の添加が、ラテックス粒子の液体ビヒクルからの粒子−インクビヒクル分離を誘導すると考えられる。この過程は通常、特定の顔料粒子を用いた場合にのみ、非吐出期又は低デューティサイクル(デューティー比)の間にのみ、ノズルからの水の蒸発が顕著である場合に見られる。この分離により、プリントヘッドノズル、内部のインクチャネル又は発射チャンバにおけるラテックス粒子の望ましくない移動、濃縮及び非安定化が防止され又は低減し、これにより、上記界面活性剤が含まれている場合に観察される妨げのない滴吐出が得られ且つノズルの健全性が向上する。別態様で又はこれに関連して、リン酸塩含有界面活性剤は、インク流れ及び発射が妨げられていない時にサーマル式インクジェット抵抗器上に膜を形成してコゲーション及び滴吐出品質の低下を招くポリマー又は顔料粒子の堆積を直接的に阻止することができる。
【0015】
よって、インクジェットインクは、固体で0.1重量%〜10重量%(固体重量%)となる顔料、固体で0.1重量%〜15重量%となるラテックス、及び0.01重量%〜3重量%となるリン酸塩含有界面活性剤を含んでいてよい。
【0016】
別の態様では、インクジェット様式のより大きな信頼性を有してより長期にわたり印刷をする方法が、媒体基体上にインクジェットインクを噴射することを含んでいてよい。インクジェットインクは、顔料を0.1固体重量%〜10固体重量%、ラテックスを0.1固体重量%〜15固体重量%,及びリン酸塩含有界面活性剤を0.01固体重量%〜3固体重量%含む。この噴射は、インクが、ノズル詰まり及び/又は関連する抵抗器コゲーションの実質的な要因とならないように行うことができる。
【0017】
このインクは、上記各態様において、様々な異なる種類のインクジェット様式から発射することができ、定義としては、インクジェットインクがサーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で発射された場合、多くの場合、滴重量は、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して、その少なくとも80%が維持される。このような測定は、約20ミクロンのオリフィスサイズ有するプリントヘッドに基づいて(オリフィスを横切る最長の長さ、例えばオリフィスが円形状である場合には直径に基づいて)いてよいし、或いは別態様で、約11ng〜12ngの開始滴量に基づいていてよい。別の態様では、インクジェットインクをサーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で発射させた場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも90%の滴重量を維持することができる。上記数字及び試験プロトコルは、本発明のインクジェットインクを発射若しくは噴射する方法を何ら制限するものではないことを強調しておく。正確には、上記数字は、インクジェットインクがここに記載の基準を満たすかどうかを判定するために使用することができる試験プロトコルを単に記載するためのものである。例えば、本発明のインクは、サーマル式インクジェット様式又はピエゾ式インクジェット様式から発射することができる。特に有用な例示的なオリフィスサイズは、10ミクロン〜40ミクロンの範囲を含むが、この範囲外のサイズも使用可能である。本開示のインクのための例示的な滴重量(噴射時)は、2ng〜40ngであってよいが、この範囲外の滴重量も利用することができる。よって、上記の20ミクロンオリフィス及び/又は「約11ng〜12ng」というパラメータは、インクジェットインクの性質を決定する試験プロトコルを単に記載するために示されているのであり、これは、さらに、ここに記載の実施例に例示する。
【0018】
滴速度の変化が、ノズル健全性を概括的に決定する変数でもあることをにも留意されたい。より具体的には、上記各態様では、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも75%の滴速度を維持することができる;ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも80%滴速度を維持することができる;又は多くの場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも90%の滴速度を維持することができる。
【0019】
ここに記載のインクのための試験条件は、20ミクロンサイズの印刷ノズルを有するサーマル式インクジェット様式を使用して行われているが、他のノズルサイズ、例えば5ミクロン〜100ミクロン、又は10ミクロン〜40ミクロンも使用することができる。また、サーマル式インクジェット様式で典型的な様々な印刷温度も、許容される結果が得られるのであれば使用することができる。
【0020】
上記各態様で、顔料含有量は、上記したものに代えて、0.5重量%〜5重量%であってよく、ラテックス固体含有量は2重量%〜8重量%であってよく、且つ/又はリン酸塩含有界面活性剤の含有量は0.3重量%〜1重量%であってよいことにも留意されたい。
【0021】
ここに記載の態様によれば、インクジェットインク又はインク、印刷方法等のそれぞれに対して利用可能な様々な詳細が記載されている。よって、1つの特定の態様の議論は、関連する他の態様の内容に関連するし、当該議論のための根拠をそのような他の態様の内容における提供する。
【0022】
顔料
本開示の態様において使用可能な顔料は、自己分散性顔料、及び慣例の方式で分散させた顔料、例えば、表面に共有性の結合ではないが結合させた別個の分散剤によって分散させた顔料のいずれをもが含まれ得る。自己分散性の場合には、分散剤を典型的には前駆体の形態で準備し、その前駆体を顔料に結合させて、顔料の表面を化学的に修飾する。一態様では、分散剤は、様々な前駆体材料、例えばp−アミノ安息香酸、イソフタル酸、トリカルボン酸、カルボキシル基、リン酸塩、オリゴマー、ポリマー及びそれらの異性体を使用して顔料に結合させることができる。当業者に知られているように、他の前駆体も顔料に結合させるために使用することができる。
【0023】
さらに示唆するように、本開示の態様では、顔料着色剤を使用することができる。具体的には、ブラックを使用する場合には、ブラック顔料は、許容される光学濃度及び印刷物の性質を提供する市販の任意のブラック顔料であってよい。そのようなブラック顔料は、様々な公知の方法、例えばチャネル方法、接触法、ファーネス法、アセチレン法又はサーマル法によって製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、三菱及びE.I. DuPont de Nemours and Companyのような製造業者から市販されている。例えば、市販のカーボンブラック顔料は、Color Black FW 200、Color Black FW 2 V、Color Black FWl、Color Black FW 18、Color Black FW S 160、Color Black FW S 170、Printex(95、85、75、55、45、300、35、25、200、12を含む)及びSpecial Black(4A、4、5、6、550、350、250を含む);BPl 100、BP900、BP800、Ml 100、M900、M800、Monarch 1400、Monarch 1300、Monarch 1100、Monarch 1000、Monarch 900、Monarch 880、及びMonarch 700;Cab-O-Jet 200及びCab-O-Jet 300;Raven 2500ultra、Raven 2000、Raven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000及びRaven 3500;45 B、並びにそれらの組合せを含む。
【0024】
ブラックに加えて、その他の顔料着色剤、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、オレンジ、グリーン、ピンク等を使用することができる。適切な有機顔料は、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料を含むアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、例えばフタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジコ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料及びキノフタロン顔料)、可溶染料キレート(例えば、塩基性染料系キレート及び酸性染料系キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アンサントロン顔料、例えばPRl 68、及びこれらに類するものを含む。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表的な例は、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン及びそれらの誘導体(Pigment Blue 15及びPigment Green 36)を含む。キナクリドンの代表的な例は、Pigment Orange 48、Pigment Orange 49、Pigment Red 122、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Violet 19及びPigment Violet 42を含む。アントラキノンの代表的な例は、Pigment Red 43、Pigment Red 194、Pigment Red 177、Pigment Red 216及びPigment Red 226を含む。ペリレンの代表的な例は、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 189及びPigment Red 224を含む。チオインジゴイドの代表的な例は、Pigment Red 86、Pigment Red 87、Pigment Red 88、Pigment Red 181、Pigment Red 198、Pigment Violet 36及びPigment Violet 38を含む。複素環式イエローの代表的な例は、Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 90、Pigment Yellow 1 10、Pigment Yellow 1 17、Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 138、Pigment Yellow 150、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 155及びPigment Yellow 213を含む。そのような顔料は、多数の業者から粉体、プレスケーキ又は分散液の形態で市販されている。
【0025】
典型的には、本発明の顔料は、約5nm〜約10μmであってよく,1つの局面では、顔料は、10nm〜約500nmのサイズであってよいが、顔料が分散状態を保ち、適正な印刷特性を提供することができるのであれば、この範囲外のサイズを使用することもできる。
【0026】
ラテックス
ラテックスは、ラテックス粒子及びラテックス粒子を分散させた水性媒体を含む。より具体的には、ラテックスは、液体(例えば水及び/又は他の液体)及び20nm〜500nm(及び多くの場合100nm〜300nm)のサイズのポリマー粒子を含む液体懸濁液である。典型的には、ポリマー粒子は、液体中で0.5重量%〜20重量%で存在していてよいが、インク中の最終的なラテックス固体濃度も本開示に関係する。そのようなポリマー粒子は、典型的には、ランダムに重合し、架橋もしていてよい複数のモノマーを含んでいてよい。加えて、一態様では、ラテックス成分は、約−20℃〜+100℃のガラス転移温度を有していてよい。
【0027】
一般に、市販されている任意のラテックスポリマーを、本開示のインクで使用することができ、それらには、自己分散性及び機能化されたラテックスポリマーが含まれる。ラテックスポリマーは、公知の多数の、コモノマーをエマルジョンの非連続相で分散させ重合させる乳化重合技術の任意のものを使用して調製することができる。よく用いられるモノマーは、エチルアクリレート;エチルメタクリレート;ベンジルアクリレート;ベンジルメタクリレート;プロピルアクリレート;プロピルメタクリレート;イソプロピルアクリレート;イソプロピルメタクリレート;ブチルアクリレート;ブチルメタクリレート;ヘキシルアクリレート;ヘキシルメタクリレート;オクタデシルメタクリレート;オクタデシルアクリレート;ラウリルメタクリレート;ラウリルアクリレート;ヒドロキシエチルアクリレート;ヒドロキシエチルメタクリレート;ヒドロキシヘキシルアクリレート;ヒドロキシヘキシルメタクリレート;ヒドロキシオクタデシルアクリレート;ヒドロキシオクタデシルメタクリレート;ヒドロキシラウリルメタクリレート;ヒドロキシラウリルアクリレート;フェネチルアクリレート;フェネチルメタクリレート;6−フェニルヘキシルアクリレート;6−フェニルヘキシルメタクリレート;フェニルラウリルアクリレート;フェニルラウリルメタクリレート;3−ニトロフェニル−6−ヘキシルメタクリレート;3−ニトロフェニル−18−オクタデシルアクリレート;エチレングリコールジシクロペンチルエーテルアクリレート;ビニルエチルケトン;ビニルプロピルケトン;ビニルヘキシルケトン;ビニルオクチルケトン;ビニルブチルケトン;シクロヘキシルアクリレート;メトキシシラン;アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン;トリフルオロメチルスチレン;トリフルオロメチルアクリレート;トリフルオロメチルメタクリレート;テトラフルオロプロピルアクリレート;テトラフルオロプロピルメタクリレート;ヘプタフルオロブチルメタクリレート;イソブチルアクリレート;イソブチルメタクリレート;2−エチルヘキシルアクリレート;2−エチルヘキシルメタクリレート;イソオクチルアクリレート;並びにイソオクチルメタクリレートを含む。
【0028】
ここで使用されるラテックスは、ラテックスエマルジョン重合によって調製することができ、一態様では、10,000Mw〜5,000,000Mwの重量平均分子量を有していてよい。この範囲は、単なる例示であり、広げることができる。ブロックコポリマー、ランダムに組み合わせられたコポリマー、架橋剤を有するコポリマー又はそれらに類するものを含むコポリマーを形成することができる。大抵の場合、コポリマーはランダムに組み合わせられたコポリマーであるが、例えば、コアシェル型、様々なガラス転移温度、表面酸基、架橋等、各ポリマータイプの様々な下位分類のものを利用することができる。使用可能なラテックスの全ての異なる種類を記載することが本開示の目的ではないことに留意されたい。よって、各ラテックスの説明は、使用可能な分散ポリマーの種類に関して限定されると考えるべきではない。
【0029】
ラテックス粒子及び液体相を含むラテックスの調製、並びにラテックスを含むインクジェットインクの調製は、多くの異なった方法で行うことができる。一態様では、ラテックスの液体相及びインクの液体ビヒクルは、混合され、ラテックス粒子及び着色剤を含有する修飾された液体ビヒクルを形成し得る。着色剤が自己分散性又は慣例の方式で分散させた顔料である場合、噴射性向上の目的で存在すべき相対量を決定する際に、ラテックス粒子及び顔料の合計の固体含有量を考慮に入れることがある。
【0030】
液体ビヒクル
本開示の態様によれば、液体ビヒクルは、リン酸塩含有界面活性剤を含む。存在することができる他の成分は、水、有機共溶剤、その他の界面活性剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤等を含む。リン酸塩含有界面活性剤に関して、リン酸塩界面活性剤は、脂肪族アルコールアルコキシレートのリン酸エステルであってよい。一態様では、界面活性剤は、モノエステル及びジエステルの混合物であってよく、任意に50〜150の酸価を有していてよい。別の態様では、リン酸塩含有界面活性剤は、Crodafosの類であってよい。特定の例は、オレス−3ホスフェート、オレス−10ホスフェート、オレス−5ホスフェート、ジオレイルホスフェート、ppg−5−セテス−10ホスフェート、C9〜C15のアルキルモノホスフェート、デセス−4ホスフェート、及びそれらの混合物を含む。他の特定の例は、商品名で、Crodafos N3A、Crodafos N3E、Crodafos N10A、Crodafos HCE、Crodafos SG、Arlantone Map 950、Monofax 831、Monofas 1214、Monalube 215及びAtlox DP13/6を含む。
【0031】
より詳細には、界面活性剤に関し、インクジェットインク組成物は、リン酸塩含有界面活性剤以外の界面活性剤を実質的に不含とすることができる。しかし、特定の第2の界面活性剤も使用することができ、それは、標準的な水溶性の界面活性剤、例えばアルキルポリエチレンオキサイド、アルキルフェニルポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド(PEO)ブロックコポリマー、アセチレン性PEO、PEOエステル、PEOアミン、PEOアミド、ジメチコンコポリオール、エトキシ化界面活性剤、フルオロ界面活性剤、及びそれらの混合物を含んでいてよい。1つの特定の態様では、フルオロ界面活性剤を、第2の界面活性剤として使用することができる。別の態様では、第2級アルコールエトキシ化界面活性剤を使用することができる。第2の界面活性剤は、使用する場合、インクジェットインク組成物の0.001重量%〜10重量%で存在していてよく、一態様では、0.001重量%〜0.1重量%で存在していてよい。
【0032】
ここに記載のインクジェットインクでは、使用に適切な共溶剤は、水及び水溶性の有機共溶剤を含む。そのような水溶性の有機共溶剤の例は、非限定的に、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、トリオール、グリコールエーテル、ポリ(グリコール)エーテル、ラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、グリコールブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、オルガノスルフィド、オルガノスルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコール及びケトンを含む。例えば、共溶剤は、炭素数30以下の第1級脂肪族アルコール、炭素数30以下の第1級芳香族アルコール、炭素数30以下の第2級脂肪族アルコール、炭素数30以下の第2級芳香族アルコール、炭素数30以下の1,2−ジオール、炭素数30以下の1,3−ジオール、炭素数30以下の1,5−ジオール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルのより高級の同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルのより高級の同族体、ラクタム、置換ホルムアミド、非置換ホルムアミド、置換アセトアミド、及び非置換アセトアミドを含む。好ましくは本発明の実施で利用される共溶剤の特定の例は、非限定的に、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、Liponicエトキシ化グリセロール1(EG-1)、Liponicエトキシ化グリセロール7(EG-7)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−l,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−l,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、l,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びそれらの誘導体を含む。共溶剤は、インク中の水の蒸発速度を低下させて詰まりを抑える、又はインクの他の特性例えば粘性、pH、表面張力、光学濃度及び印刷品質の改善のために添加することができる。水溶性の有機共溶剤の全濃度は、約5重量%〜約50重量%であってよい。一態様では、複数の共溶剤を使用する場合、各共溶剤は、典型的には、インクジェットインク組成物の約0.5重量%〜約20重量%で存在していてよい。これは、溶剤は、インクジェットインク組成物中で任意の濃度で存在していてよいということである。特に、2−ピロリジノン及びその誘導体のような溶剤の濃度は、少なくとも1つの第2級アルコールエトキシレート及び少なくとも1つのフルオロ界面活性剤と共に使用する場合、ビニル媒体上でのラテックスの耐性のある膜の形成を助成する上で重要である。一態様では、インクジェットインク組成物は、湿潤溶剤、例えば2−メチル−1,3−プロパンジオールと組み合わせて、2−ピロリジノン又はその誘導体を含んでいてよい。言い換えれば、インクジェットインクは、複数の溶剤を含む液体ビヒクルを含んでいてよく、そのような複数の溶剤の中で、2−ピロリドン、2−ピロリドンの誘導体及び2−メチル−l、3−プロパンジオールのような湿潤剤のうち1つ以上からなる溶剤システム10重量%〜30重量%が含まれていてよい。
【0033】
様々な緩衝剤も、本発明のインクジェットインク組成物で任意に使用することができる。典型的な緩衝剤は、アルカリ金属の水酸化物及びアミンのようなpH調整溶液、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム;クエン酸;アミン例えばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミン;並びに他の塩基性又は酸性の成分を含む。緩衝剤は、使用する場合、典型的には、インクジェットインク組成物の約10重量%未満を含む。
【0034】
本発明の別の局面では、様々な殺生物剤を、不都合な微生物の成長を阻止するために使用することができる。殺生物剤のいくつかの非限定的な例は、安息香酸塩、ソルビン酸塩、NUOSEPT、UCARCIDE、VANCIDE、PROXEのような市販の製品、並びに他の公知の殺生物剤を含む。典型的には、そのような殺生物剤は、インクジェットインク組成物の約5重量%未満、多くの場合、約0.05重量%〜約2重量%含む。
【0035】
当分野で知られているように、別の公知の添加剤を含有させることもできる。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、現在最もよく知られている本発明の態様を示すものである。しかし、この以下の実施例が、本発明の原則の応用の単なる例である若しくは例示的なものであるにすぎないことを理解されたい。本発明の思想及び範囲から逸脱することがなければ、組成物、方法及びシステムの多数の変更及び代替が、当業者によって導かれ得る。添付の特許請求の範囲は、そのような変更及び構成を包含するように意図されたものである。よって、以上に本発明を特定的に説明した一方で、以下の実施例においては、本発明の最も実際的で且つ好ましい態様であると現在考えられているものに関連させてさらなる詳細を提供する。
【0037】
実施例1
以下の概括的な調合を有する12のインクジェットインクを調製した。
【0038】
【表1a】

【0039】
【表1b】

【0040】
【表1c】

【0041】
以上の表から分かるように、4つのインクがイエロー顔料及びラテックスを含み(イエローインク)、4つのインクがシアン顔料及びラテックスを含み(シアンインク)、並びに4つのインクがより低い顔料充填のシアン顔料及びラテックスを含む(ライトシアンインク)ものであった。各インク類の4つのインクのそれぞれは、リン酸塩含有界面活性剤を異なる量で、つまり、なし(ゼロ)、高い、中程度又は低い量で含むものであった。上記で各インクの色は、イエローはYで、シアンはCで、ライトシアンはLCで記す。同様に、各インクにおいてリン酸塩含有量を示す記号は、リン酸塩を含有しないものについては0で、リン酸塩を高濃度で含有するものについてはHで、リン酸塩を中程度の濃度で含有するものについてはMで、リン酸塩含有を低濃度で含有するものについてはLで記す。他の色も、リン酸塩含有を追加することによる利益があり、さらに、「高」、「中」及び「低」という表記は、この特定の試験に対する相対的な語であって、よって、それよりも高い量又はより低い量を使用することができないことを示唆するものではないことに留意されたい。
【0042】
実施例2
前記12のインクジェットインクを、12の別々のサーマル式インクジェット装置内に装填し、最初に、安定状態(steady state)の滴重量に関連する基準の読みを得るために発射した(但し、C−Mは、信頼性の高いデータがこの特定の試験で得ることができなかったので除く)。そして、各インクを、それぞれの印刷装置によって、ノズル当たり4億滴で印刷した。この特定の研究のためのノズルサイズは約20ミクロンであった。極めて大きな体積のインクを発射させた後にも維持されている滴重量及び滴速度を測定することによってコゲーション性能を判定した。コゲーション試験は、複数の連発式ペン(multiple repeating pens)を用いて行い、平均の結果を求めた。各ノズルからの4億滴の発射後の滴重量及び滴速度のデータを集めた。媒体の評価は、Controltac媒体において行われたことに留意されたい。データを以下の表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
*表2の初期安定状態の滴重量は全て「約11ng〜12ng」の範囲にあるとみなされる。
【0045】
上表から分かるように、リン酸塩含有界面活性剤の存在は、リン酸塩含有界面活性剤を含んでいないインクよりも典型的に優れた滴重量維持率をもたらす傾向がある。加えて、滴速度もリン酸塩含有界面活性剤の存在により改善される傾向があった(Y−0の結果と同様となったY−Lを除く)。上述の集められたデータに加えて、インクジェット装置も視覚的に検査された。また、インクジェットノズルは、リン酸塩含有界面活性剤の存在なしでは、個々のノズルの表面でラテックスの蓄積がより大きくなる傾向があることが視覚的に認められた。
【0046】
実施例3
以下に示す表3にしたがって、4つのインクを調製した。
【0047】
【表3】

【0048】
上記表3から分かるように、慣例の方式で分散させたシアン顔料及びラテックスを含む2つのインク(シアンインクA及びB)、並びに慣例の方式で分散させたイエロー顔料及びラテックスを含む2つのインク(イエローインクA及びB)である。「B」インクは、リン酸塩含有界面活性剤1重量%をも含む。
【0049】
実施例4
4つのインクジェットインクを、4つの別々のサーマル式インクジェット装置内に装填し、安定状態の滴重量及び滴速度に関連する基準の読みのために最初に発射した。そして、ノズル当たり4億滴を発射した後、各インクをそのそれぞれの印刷装置によって印刷した。この特定の研究のためのノズルサイズは、約20ミクロンであった。滴重量及び滴速度の変化を測定することによって、コゲーション性能を判定した。コゲーション試験は、複数の連発式ペンを用いて行うことができ、平均の結果を求めた。各ノズルを通しての4億滴の発射後、滴重量及び滴速度データを集めた。媒体の評価はControltac媒体で行ったことに留意されたい。そのデータを表4に以下に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
上表4から分かるように、リン酸塩含有界面活性剤の存在は、リン酸塩含有界面活性剤を含まないインクよりも極めて優れた滴重量維持率をもたらす傾向があった。加えて、滴速度は、リン酸塩含有界面活性剤の存在によって改善される傾向があった。上述のように集めたデータに加えて、インクジェット装置を視覚的にも検査した。インクジェットノズルは、リン酸塩含有界面活性剤が存在していない場合、個々のノズルの表面でのラテックスの堆積がより大きくなってしまう傾向があることが視覚的に認められた。
【0052】
以上、本発明を、特定の好ましい態様を参照して説明したが、当業者は、本発明の思想から逸脱することなければ、様々な変更、変形、省略及び置換が可能であることは当業者には明かであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることが意図されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を0.1固体重量%〜10固体重量%、ラテックスを0.1固体重量%〜15固体重量%、及びリン酸塩含有界面活性剤を0.01重量%〜3重量%含む、インクジェットインク。
【請求項2】
前記インクジェットインクをサーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で発射し、前記ノズルが、約20ミクロンのオリフィスサイズを有している場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも80%の滴重量が維持される、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項3】
ノズル当たり4億滴が発射される前の初期発射と比較して少なくとも75%滴速度が維持される、請求項2に記載のインクジェットインク。
【請求項4】
ノズル当たり4億滴が発射される前の初期発射と比較して少なくとも90%滴重量が維持される、請求項2に記載のインクジェットインク。
【請求項5】
前記インクジェットインクを、サーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で発射し、前記ノズルが、約20ミクロンのオリフィスサイズを有している場合、ノズル当たり4億滴が発射される前の初期発射と比較して少なくとも90%滴速度が維持される、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項6】
前記インクジェットインクを、サーマル式インクジェットプリントヘッドから、ノズル当たり4億滴で、約11ng〜12ngの滴重量で発射した場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して、少なくとも80%の滴重量が維持される、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項7】
第2の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項8】
前記第2の界面活性剤がフルオロ界面活性剤である、請求項7に記載のインクジェットインク。
【請求項9】
前記第2の界面活性剤がエトキシ化界面活性剤である、請求項7に記載のインクジェットインク。
【請求項10】
2−ピロリドン、2−ピロリドンの誘導体及び2−メチル−l,3−プロパンジオールの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項11】
前記インクジェットインクが、複数の溶剤を含む液体ビヒクルを含み、前記複数の溶剤には、2−ピロリドン、2−ピロリドンの誘導体及び湿潤溶剤の1つ以上のからなる溶剤システム10重量%〜30重量%が含まれる、請求項10に記載のインクジェットインク。
【請求項12】
前記湿潤溶剤が存在しており、2−メチル−1、3−プロパンジオールである、請求項11に記載のインクジェットインク。
【請求項13】
前記顔料が、自己分散性顔料である、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項14】
前記リン酸塩含有界面活性剤が、0.1重量%〜2重量%で存在する、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項15】
前記リン酸塩含有界面活性剤が、脂肪族アルコールアルコキシレートのリン酸エステルである、請求項1に記載のインクジェットインク
【請求項16】
前記脂肪族アルコールアルコキシレートのリン酸エステルが、モノエステル及びジエステルの混合物である、請求項15に記載のインクジェットインク。
【請求項17】
前記リン酸塩含有界面活性剤が、オレス−3ホスフェート、オレス10ホスフェート、オレス−5ホスフェート、ジオレイルホスフェート、ppg−5−セテス−l0ホスフェート、C9〜C15アルキルモノホスフェート、デセス−4ホスフェート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項18】
前記顔料が、0.5固体重量%〜5固体重量%で存在し、前記ラテックスが、2固体重量%〜8固体重量%で存在する、請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項19】
インクジェットインクを媒体基体上に噴射しすることを含む、より長期にわたりインクジェット印刷する方法であって、前記インクジェットインクが、
顔料を0.1固体重量%〜10固体重量%、
ラテックスを0.1固体重量%〜15固体重量%、及び
リン酸塩含有界面活性剤を0.01重量%〜3重量%
含む、方法。
【請求項20】
前記インクジェットインクをサーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で発射し、前記ノズルが、約20ミクロンのオリフィスサイズを有する場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも80%滴重量が維持され、ノズル当たり4億滴が発射される前の初期発射と比較して少なくとも75%滴速度が維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記インクジェットインクを、サーマル式インクジェットプリントヘッドからノズル当たり4億滴で約11ng〜12ngの滴重量で発射した場合、ノズル当たり4億滴を発射する前の初期発射と比較して少なくとも80%滴重量が維持され、ノズル当たり4億滴が発射される前の初期発射と比較して少なくとも75%滴速度が維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記インクジェットインクが第2の界面活性剤をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の界面活性剤が、フルオロ界面活性剤及びエトキシ化界面活性剤の少なくとも1つを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記リン酸塩含有界面活性剤が、脂肪族アルコールアルコキシレートのリン酸エステルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
脂肪族アルコールアルコキシレートの前記リン酸エステルが、モノエステル及びジエステルの混合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記リン酸塩含有界面活性剤が、オレス−3ホスフェート、オレス10ホスフェート、オレス−5ホスフェート、ジオールホスフェート、ppg−5−セテス−l0ホスフェート、C9〜C15アルキルモノホスフェート、デセス−4ホスフェート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記インクジェットインクが、複数の溶剤を含む液体ビヒクルを含み、前記複数の溶剤のうち、2−ピロリドン、2−ピロリドンの誘導体及び湿潤溶剤の1つ以上からなる溶剤システム10重量%〜30重量%が含まれる、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記湿潤溶剤が存在しており、2−メチル−1,3−プロパンジオールである、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507991(P2011−507991A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537908(P2010−537908)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025720
【国際公開番号】WO2009/078833
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】