説明

顔料混合物

【課題】塗料、色素、印刷インキ、マスターバッチ、プラスチック類および化粧品組成物に使用できる、隠蔽効果、およびつや出しを同時に満足できる程度に実現する小板状顔料の提供。
【解決手段】TiO2−および/またはFe2O3などの金属酸化物および/または金属で被覆されたSiO2薄片である成分Aと、1種または2種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、黒鉛小板、アルミニウム小板、フィロケイ酸塩、Al2O3薄片、Fe2O3薄片、TiO2薄片、ガラス小板および/またはセラミック小板などの特殊効果顔料である成分Bとの、少なくとも二成分から成る顔料混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種または2種以上の金属酸化物および/または金属で被覆されたSiO薄片である成分Aと、特殊効果顔料である成分Bとの少なくとも二成分より成る顔料混合物およびそれらのワニス類、塗料、印刷インキ、プラスチック及び化粧品組成物における使用に関する。
小板状顔料で、隠蔽効果およびつや出しを同時に、満足できる程度に実現することはしばしば困難である。例えば、1種または2種以上の金属酸化物の薄層で被覆したSiO薄片または雲母小板は、干渉色および高い表面光沢をもつことを特徴としているが、同時に、透明の基材であるため、透明性が高く、かなり低い隠蔽効果をもつ。
【背景技術】
【0002】
よって、EP 0 562 329には、鉄酸化物−被覆アルミニウム薄片を鉄酸化物−被覆雲母顔料と共に配合する顔料混合物が開示されている。
DE-A-42 40 511には、干渉顔料および小板状色顔料から成る顔料混合物が開示されている。干渉顔料は、金属酸化物−被覆の雲母薄片またはSiO薄片を含有し、色顔料は着色することができるが未被覆のSiO薄片である。この顔料混合物は、塗布材料、印刷インキまたはプラスチック類に使用される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、比較的隠蔽効果が高いことを特徴とし、また使用されるそれぞれのシステムにおいて適合し、同時にそのシステムにおいて顔料/染料の分離をほとんど起こさない顔料混合物を提供することにある。
驚くべきことに、上述した欠点を全く持たない顔料混合物がここに見出された。本発明の顔料混合物は、成分Aは1種または2種以上の金属酸化物および/または金属で被覆されたSiO薄片であり、成分Bは1種または2種以上の特殊効果顔料である、少なくとも二成分から成るものである。被覆SiO薄片へ特殊効果顔料を混合することによって、使用する方法において、多数のフロップ(flop)を得ることができ、着色効果が高まり、新しい着色効果が得られる。
従って、本発明は、成分Aは1種または2種以上の金属酸化物で被覆されたSiO薄片であり、成分Bは1種または2種以上の特殊効果顔料である、少なくとも二成分より成る顔料混合物を提供する。
【0004】
さらに、本発明は、本発明の顔料混合物を含有する塗料、ワニス類、印刷インキ、プラスチック類、農業用フィルム及び化粧品組成物といった組成物を提供する。
被覆SiO薄片は、特殊効果顔料にいかなる比率で混合してもよい。成分Aの成分Bに対する比率は、好ましくは、1:10〜10:1であり、さらに好ましくは、3:1〜5:1である。
【0005】
WO 93/08237 に従い、連続ベルト上で好ましく製造されるSiO薄片は、小板状で透明マトリックスを基本とするが、大抵、厚みが0.1〜5μm、特に0.2〜2.0μmである。他の2つの長さは、大抵、1〜250μm、好ましくは、2〜100μmであり、特に好ましくは、5〜40μmである。SiO薄片は、1種または2種以上の金属酸化物層および/または金属層が施されたものである。適する金属酸化物または金属酸化物混合物は、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄および/または酸化クロムであり、特にTiOおよび/またはFeである。SiO薄片は、例えば、WO 93/08237(湿式化学塗布)またはDE-A-196 14 637(CVD法)に記載されているように被覆することができる。
【0006】
外側の金属酸化物層の代わりに、半透明の金属層を用いることができる。これに適する金属は、例えば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、AuおよびNiである。好ましい顔料は、以下の層構造を有するものである。
:SiO薄片+金属+SiO+金属酸化物
特別な色効果を引き起こすために、ナノメートルの大きさの範囲の微細粒子を高または低屈折率の金属酸化物層にさらに使用することができる。適する候補物質は、例えば、粒子の大きさが10〜250nmの範囲である細かく分割したTiOまたは細かく分割した炭素(カーボンブラック)である。そのような粒子の光分散特性によって表面光沢および隠蔽効果に及ぼす影響を調節することができる。好ましくは、SiO薄片は、1種または2種以上の金属酸化物で被覆されている。
【0007】
本発明の顔料混合物に適する成分Bは、効果顔料分野で周知の特殊効果顔料のすべてであり、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、スズおよびそれらの合金といった金属効果顔料である。特に粒子の大きさが2〜40μmのアルミニウムとゴールドブロンズの合金が、好ましく挙げられている。本発明の顔料混合物は、好ましくは、被覆小板状酸化鉄、アルミニウム薄片または被覆アルミニウム薄片を含有する。このような特殊効果顔料は、BASFからパリオクロム(Paliocrom)(登録商標)という名で、Eckart-Werkeからスタンダード(登録商標)という名でおよびFlex社から市販されている。TiOまたはFeのような金属酸化物で被覆したAl薄片、例えば、黒鉛小板、BiOClまたはガラス薄片といった真珠光沢顔料についても言及すべきである。
【0008】
1種または2種以上の金属酸化物で被覆された雲母薄片顔料である真珠光沢顔料は、例えば、Merck KGaA, Darmstadtからイリオジン(Iridion)(登録商標)という名で市販されている。後者の顔料は、例えば、ドイツ国特許および特許出願に、14 67 468、19 59 998、20 09 566、22 14 545、22 15 191、22 44 298、23 13 331、25 22 572、31 37 808、31 37 809、31 51 343、31 51 354、31 51 355、32 11 602および32 53 017にも周知である。TiOおよび/またはFeで被覆された雲母顔料が特に用いられる。天然および合成の両方の雲母がフィロケイ酸塩として適している。
本発明の顔料混合物は、取り扱いが簡単で扱いやすい。顔料混合物は、単純に攪拌して使用することで混合することができる。面倒なミリングおよび顔料を分散させる必要はない。
【0009】
本発明の顔料混合物は、顔料塗布材料、印刷インキ、プラスチック類、農業用フィルム、ボタンペースト(button pastes)、種子の被覆用、食物の着色用、薬剤のコーティングまたは化粧品組成物に使用することができる。顔料用途に使用される方法での顔料混合物の濃度は、通常全固体重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは、0.1〜5重量%である。この濃度は、通常具体的な用途によって決まる。
本発明の顔料混合物を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%で含有するプラスチック類は、格別な光沢効果が著しい。
塗布分野では、特に自動車の仕上げであるが、顔料混合物は、0.5〜10重量%で使用される。特に被覆または未被覆のアルミニウム薄片である成分Bに混合する被覆SiO薄片の比率は、所望の効果によって決まる。SiO薄片は、好ましくは、成分Bに対して、5:1、特に3:1の比で使用される。
【0010】
塗布材料として、本発明の顔料混合物は、単層塗布(1回塗布方法または2回塗布方法におけるベースコートとして)によって所望のカラーフロップ効果を得るという利点を有する。このカラーフロップは、拡散光下ですら極めてはっきりしている。被覆SiO薄片よりむしろ干渉顔料を含有する塗布と比較して、本発明の顔料による塗布は、明白な深層効果(depth effect)と輝き効果および強いカラーフロップを示す。
結合剤方法での着色をする際、例えば、塗料、凹版印刷、オフセットまたはスクリーン印刷の印刷インキ用には、Eckart-Werkeのアルミニウムおよびゴールドブロンズペーストであるスタパ(Stapa)(登録商標)で被覆したSiO薄片から成る顔料混合物が特に適することがわかった。顔料混合物は、印刷インキに2〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは8〜15重量%で混合する。成分Aの成分Bに対する混合比は、1:10〜10:1の範囲が好ましい。本発明の顔料混合物を含有する印刷インキは、よりきれいな色合いで優れた粘度のため印刷適性向上する。
【0011】
さらに、本発明は、被覆または未被覆SiO薄片、金属効果顔料、結合剤および必要であれば、添加剤を含有する顔料製品を提供するもので、上記製品は、実質的には溶剤を含まない、流動性のある細粒を形成している。そのような細粒が顔料混合物中最大95重量%含有する。本発明の顔料混合物を結合剤および水または有機溶媒、必要に応じて添加剤を用いて、ペースト状にし、ペーストをその後乾燥し、小型粒子状、例えば、細粒、ペレット、ブリケット、マスターバッチまたはタブレットにして形成した顔料製品は、特に印刷インキの前駆体に適する。
従って、本発明は、本発明の顔料混合物を含有する組成物もまた提供する。
以下の実施例は、本発明をこれに制限することなく、説明するものである。
【0012】

例1:塗料
以下の組成からなる組成物
2.50% 粒経5〜40μmのFe−被覆SiO薄片(Merck KGaA)
1.50% モナストラル グリーン(Monastral green) 6Y spec(Zeneca)
0.50% カポキシ イエロー(Cappoxyt yellow) 4214(Cappelle)
0.03% 顔料グレードのカーボンブラック FW 200(Degussa)
0.40% ドラーアルミニウム アルペート(Dollaraluminium Alpate )7620 NS(Alcan Toyo Europe)
残り: 固形分19%(アクリル酸メラミン)の塗料基材および希釈剤混合物
【0013】
例2:凹版印刷
以下の組成からなる印刷インキ
70g Gebrueder Schmidtの95MB011、固形分約20%のニトロセルロースを基本とした結合剤
30g 顔料、クロマル(Cromal) IV(Eckart)AL 14〜18μmを15gおよび粒径5〜40μmのFe−被覆SiO薄片15gの顔料
30g 1−エトキシ−2−プロパノール
【0014】
例3:プラスチック
ポリスチレン細粒1kgを混合ミキサーで5gの接着剤で均一に濡らす。粒径5〜40μmのFe−被覆SiO薄片35gおよびMerck KGaA,Darmstadtのイリオジン(Iriodin) 121(登録商標)TiO−被覆雲母顔料7g、粒径5〜20μmのFRGを添加し、構成成分を2分間混合する。
これらの細粒を従来の条件下で注入型成型機で処理し、寸法4×3×0.5cmの小さい段のあるプレートが得られる。小さい段のあるプレートは、光沢が著しいものである。
【0015】
例4:アイシャドウ
A相
15.00% 粒径5〜40μmのTiO−被覆SiO薄片(Merck KGaA)
15.00% チミロン スーパー ブルー(Timiron Super Blue)[Merck KGaAの粒径10〜60μmのTiO−被覆雲母]
49.50% タルク
7.50% ソラヌム トベルスム(Solanum Tuberosum) (じゃがいもでんぷん)
2.50% ステアリン酸マグネシウム
【0016】
B相
9.14% ステアリン酸イソプロピル
0.53% パルミチン酸セチル
0.53% ワセリン
0.21% 香料
0.11% 防腐剤
A相の構成成分を混合し、プレミックスを形成する。溶解したB相は、粉末混合物に攪拌しながら滴下する。粉末は、40〜50barに加圧する。
【0017】
例5:シャワージェル
A相
0.10% 粒径5〜40μmのTiO−被覆SiO薄片(Merck KGaA)
0.10% チミロン スーパー ブルー(Timiron Super Blue)[Merck KGaAの粒径10〜60μmのTiO−被覆雲母]
0.75% キサンタンガム
ad100% 水
【0018】
B相
20.00% デシルグリコシド
6.65% テキサポン(Texapon) ASV
ラウレス硫酸ナトリウム(Sodium laureth sulfate)
ラウレス硫酸マグネシウム(Magnesium laureth sulfate)
ラウレス8−硫酸ナトリウム(Sodium laureth 8-sulfate)
ラウレス8−硫酸マグネシウム(Magnesium laureth 8-sulfate)
オレス硫酸ナトリウム(Sodium oleth sulfate)
オレス硫酸マグネシウム(Magnesium oleth sulfate)
0.20% 防腐剤
0.05% 香料
【0019】
C相
0.15% クエン酸
10.00% 水
A相については、顔料を水中で攪拌する。キサンタンガムを攪拌しながらゆっくりまき散らし、ガムが溶解するまで混合物を攪拌する。B相およびC相を続けて添加し、すべての構成成分が均質に分散するまで、ゆっくり攪拌を続ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または2種以上の金属酸化物および/または金属で被覆されたSiO薄片である成分Aと、特殊効果顔料である成分Bとの、少なくとも二成分から成る顔料混合物。
【請求項2】
成分Aが、TiO−および/またはFe−被覆SiO薄片を含有することを特徴とする、請求項1に記載の顔料混合物。
【請求項3】
成分Bが、1種または2種以上の金属酸化物で被覆された金属小板、黒鉛小板、アルミニウム小板、フィロケイ酸塩、Al薄片、Fe薄片、TiO薄片、ガラス小板および/またはセラミック小板を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料混合物。
【請求項4】
成分Aおよび成分Bが10:1〜1:10の比で混合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の顔料混合物。
【請求項5】
請求項1に記載の顔料混合物の塗料、ワニス類、印刷インキ、粉末塗布材料、マスターバッチ、プラスチック類、着色種、化粧品組成物および増進食品における使用。
【請求項6】
請求項1に記載の顔料混合物を含有する組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の顔料混合物と結合剤とを含有する顔料製品であって、実質上溶媒を含まない流動性のある顆粒形状であることを特徴とする、前期顔料製品。

【公開番号】特開2009−221483(P2009−221483A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127640(P2009−127640)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【分割の表示】特願2000−550923(P2000−550923)の分割
【原出願日】平成11年5月18日(1999.5.18)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】