説明

顔認証システム

【課題】多箇所で顔認証を行う場合の利便性を向上する。
【解決手段】一方の顔認証装置A1からテンプレートの提供を要求された場合、テンプレート変形部12はテンプレート保存部11に保存されている正面向きのテンプレートを変形せずにそのまま通信部10から顔認証装置A1に送信するが、他方の顔認証装置A2からテンプレートの提供を要求された場合、テンプレート変形部12はテンプレート保存部11に保存されている正面向きのテンプレートを下向きのテンプレートに変形して通信部10から顔認証装置A2に送信する。よって、各顔認証装置A1,A2の照合部6では、顔領域抽出部5で抽出される認証対象の人物の顔の向きと同じ顔の向きのテンプレートを使って照合処理を行うことができるため、多箇所で顔認証を行う場合の利便性が向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔形を利用して人物を認証する顔認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、管理区域に出入りする人物が予め登録されている人物であるか否かを当該人物の顔形で認証する顔認証装置(顔認証システム)が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている従来例は、発光ダイオードが発する赤外光を高速変調した変調光を人物の顔に照射し、CCDからなる撮像素子で受光する当該変調光の反射光成分と周囲光の反射光成分とを区別して変調光だけの顔画像(光変調画像)を取得することにより、環境光(例えば、太陽光)の影響を受けない安定した濃淡画像を得ることができ、その結果、屋外の太陽光下であっても高い認証精度が確保できるという特徴を有している。すなわち、この従来装置では、発光ダイオードが発する赤外光を高速変調した変調光を人物の顔に照射し、CCDからなる撮像素子で受光する当該変調光の反射光成分と周囲光の反射光成分とを区別して変調光だけの顔画像(光変調画像)を取得する。さらに当該従来装置では、光変調画像から人物の顔の特徴量を抽出し、当該特徴量を予め登録されているテンプレート(顔形)と照合することにより、テンプレートに対応した人物の顔を認証するのである。
【特許文献1】特開2006−155422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管理区域に複数の出入口が有る場合には各々の出入口で顔認証を行う必要がある。このとき、各出入口において撮像される人物の顔の向きが異なっていると、同一の人物について、それぞれの出入口で撮像される顔の向きに合わせた複数種類のテンプレート(顔形)を予め登録しておかなければならない。しかも、各出入口毎に顔認証装置を設置し、それぞれの顔認証装置が独立して顔認証を行っている場合においては、一人の人物のテンプレートを各顔認証装置に個別に登録しなければならないので、テンプレートの登録作業に非常に手間がかかるという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、多箇所で顔認証を行う場合の利便性を向上した顔認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、管理区域に出入りするための複数の出入口にそれぞれ設置され、管理区域に出入りしようとする人物の顔を撮像する複数の撮像手段と、撮像手段で撮像される画像から人物の顔領域を抽出する顔領域抽出手段と、管理区域への出入りが許可された人物毎に、当該人物の顔形を記憶する記憶手段と、顔領域抽出手段で抽出された顔領域を記憶手段に記憶されている顔形と照合する照合手段と、照合手段で照合する顔領域若しくは顔形の何れか一方を、それぞれの撮像手段が人物の顔を撮像する方向に応じて両者の顔の向きが一致するように変形する画像変形手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、照合手段で照合する顔領域若しくは顔形の何れか一方を、それぞれの撮像手段が人物の顔を撮像する方向に応じて両者の顔の向きが一致するように画像変形手段で変形するので、管理区域に出入りする複数の出入口毎に行われる顔認証において、管理区域への出入りが許可された人物の顔形(テンプレート)を共用することができ、その結果、多箇所で顔認証を行う場合の利便性が向上する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、顔の向きが正面となる顔形を記憶手段に記憶し、画像変形手段は記憶手段に記憶した顔形を変形することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、正面向きの顔形であれば、比較的容易に上向きや下向きの顔形に変形することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、照合手段は、何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると判断した時点から所定時間が経過するまでの間、別の撮像手段で撮像された人物の顔領域と前記特定の顔形とを照合しないことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、管理区域の一の出入口から他の出入口に移動するのに要する時間よりも短い時間内で同一人物が顔認証されるはずはないから、何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると判断した時点から所定時間が経過するまでの間、照合手段が別の撮像手段で撮像された人物の顔領域と前記特定の顔形とを照合しないことでセキュリティレベルを高めることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると照合手段で判断された時点から所定時間が経過するまでの間に、別の撮像手段で撮像された人物の顔領域が前記特定の顔形と一致すると照合手段で判断されたときに警告を発する警告手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、管理区域の一の出入口から他の出入口に移動するのに要する時間よりも短い時間内で同一人物が顔認証されるはずはないから、何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると照合手段で判断された時点から所定時間が経過するまでの間に、別の撮像手段で撮像された人物の顔領域が前記特定の顔形と一致すると照合手段で判断されたときに警告手段が警告を発することでセキュリティレベルを高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多箇所で顔認証を行う場合の利便性が向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図2は、本実施形態の顔認証システムを含む集合住宅用セキュリティシステムのシステム構成例を示している。この集合住宅用セキュリティシステムは、マンションなどの集合住宅に設置されるものであって、複数(図示例では2台)の顔認証装置A1,A2、ロビーインターホンB、警報監視盤C、電気錠制御装置D、エレベータ制御盤E、宅配ボックス制御盤F、システム制御盤G、各住戸に設置される住宅情報盤(図示せず)などで構成されており、管理区域である集合住宅の住棟内に出入りする人物を、各顔認証装置A1,A2によって顔形で認証するものである。
【0017】
ロビーインターホンBは、来訪者を撮像するカメラ、警報監視盤Cや住宅情報盤との間で通話するための通話装置、来訪者が訪問先の住戸の住戸番号などを入力するためのテンキーなどを備え、集合住宅の出入口である共同玄関J1の外に設置されている。来訪者がロビーインターホンBのテンキーを操作して訪問先の住戸の住戸番号を入力すると、当該住戸番号の住戸に設置されている住宅情報盤に対し、ロビーインターホンBから警報監視盤Cを経由して、呼出信号並びにロビーインターホンBのカメラで撮像された訪問者の映像が伝送される。そして、呼出信号を受け取った住宅情報盤においては、ロビーインターホンBから受け取る映像をディスプレイに表示するとともにスピーカから呼出音を鳴動させる。当該住戸の住人が住宅情報盤の応答釦を押操作すれば、住宅情報盤とロビーインターホンBとの間に通話路が形成され、来訪者と住人とがそれぞれロビーインターホンB及び住宅情報盤を用いて通話することができる。尚、この種のロビーインターホンB、警報監視盤C、住宅情報盤については従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
【0018】
電気錠制御盤Dは、共同玄関J1に設けられた電気錠(図示せず)の施錠・解錠と、別の出入口である通用口J2に設けられた電気錠の施錠・解錠とを個別に制御する。エレベータ制御盤Eは、集合住宅に設置されているエレベータ(図示せず)の運転を制御する。宅配ボックス制御盤Fは、集合住宅に設置されている宅配ボックスの施錠・解錠などを制御する。システム制御盤Gは、住宅情報盤から伝送される制御指令や顔認証装置A1,A2の認証結果に応じて、電気錠制御盤Dに各電気錠を個別に解錠させたり、エレベータ制御盤Eにエレベータを運転させたり、宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させるといったことを行わせるものである。顔認証装置A1では、共同玄関Jの外に居る人物の顔形を予め登録されているテンプレートと照合することで当該人物が登録者(住人)か否かの顔認証を行い、認証できればシステム制御盤Gに認証可の情報を伝送する。同様に、顔認証装置A2では、通用口J2の外に居る人物の顔形を予め登録されているテンプレートと照合することで当該人物が登録者(住人)か否かの顔認証を行い、認証できればシステム制御盤Gに認証可の情報を伝送する。そしてシステム制御盤Gは、顔認証装置A1から認証可の情報を受け取ると電気錠制御盤Dに共同玄関J1の電気錠を解錠させ、同様に顔認証装置A2から認証可の情報を受け取ると電気錠制御盤Dに通用口J2の電気錠を解錠させたり、エレベータ制御盤Eにエレベータを運転させたり、宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させる。一方、顔認証装置A1,A2による認証が不可であった場合、システム制御盤Gでは、顔認証装置A1,A2から認証不可の情報を受け取ると電気錠制御盤Dに電気錠を解錠させず、エレベータ制御盤Eにエレベータの運転を行わせず、且つ宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させない。尚、電気錠制御装置D、エレベータ制御盤E、宅配ボックス制御盤Fは従来周知のものであるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
【0019】
図1に本実施形態の顔認証装置A1,A2並びにシステム制御盤Gの要部のブロック図を示す。本実施形態の顔認証装置A1,A2は共通の構成を有するものであって、管理区域に出入りしようとする人物の顔を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像される画像から人物の顔領域を抽出する顔領域抽出手段と、顔領域抽出手段で抽出された顔領域を記憶手段に記憶されている顔形と照合する照合手段とを備えている。またシステム制御盤Gは、管理区域への出入りが許可された人物毎に、当該人物の顔形(テンプレート)を記憶する記憶手段と、テンプレートを変形する画像変形手段とを備えている。
【0020】
撮像手段は、赤外光を発する1乃至複数個の発光ダイオード並びに発光ダイオードを点灯させる駆動回路を有した発光部1と、駆動回路を制御し、非常に高い周波数(例えば、10メガヘルツ)で発光ダイオードを駆動させることによって対象空間に変調光を照射させる発光制御部2と、光変調カメラ3とで構成される。光変調カメラ3は、赤外光に感度を有する撮像素子(例えば、CCD<電荷結合素子>)、対象空間から入射する光を撮像素子に集光するレンズなどを具備し、発光制御部2から出力されるタイミング信号に基づき、発光部1の発光周期に同期して、撮像素子の各画素の出力から赤外光の反射光成分のみを取り出す処理(以下、「同期検波処理」と呼ぶ。)を行い、同期検波処理で取り出される反射光成分を画素値とする光変調画像を生成する。また光変調カメラ3は所定のフレーム周期で光変調画像を連続して生成しており、生成された光変調画像は画像メモリ4に時系列で格納(記憶)される。但し、光変調カメラ3の具体構成については、特許文献1にも記載されているように既に公知であるから図示並びに詳細な説明は省略する。
【0021】
顔領域抽出部5は、画像メモリ4に格納されている光変調画像から人物の顔領域を抽出する顔領域抽出処理、抽出された顔領域から人物の顔の特徴量(例えば、目、鼻、口などの顔器官形状の特徴に対応した情報)を抽出する特徴量抽出処理を行うものであり、また照合部6は、顔領域抽出部5によって抽出された特徴量(顔形)を、後述するようにシステム制御盤Gから取得するテンプレートと照合する照合処理を行うものであって、例えば、汎用のマイクロコンピュータに、上記顔領域抽出処理、特徴量抽出処理、照合処理などを行わせるプログラムを搭載して実現される。但し、顔領域抽出処理、特徴量抽出処理、照合処理については、特許文献1にも記載されているように既に周知技術であるから詳細な説明は省略する。顔領域抽出部5では、所定時間(例えば、数秒〜数十秒)内に連続して撮像された複数フレームの画像から、対象空間に存在している人物の顔領域を抽出した場合に特徴量抽出処理を実行する。照合部6では、顔領域抽出部5から特徴量抽出処理によって抽出された特徴量(顔形)を受け取ると、システム制御盤Gに対して通信部7を通してテンプレートの提供を要求する。そして、照合部6は、システム制御盤Gから提供されるテンプレートを通信部7で受信して取得すると、当該テンプレートを用いて照合処理を行い、照合可(認証可)となるか若しくはシステム制御盤Gに保存されている全てのテンプレートとの照合が済むまで、システム制御盤Gに対してテンプレートの提供を要求する。抽出された特徴量(顔形)が何れかのテンプレートと一致したら認証可を示す認証結果を通信部7よりシステム制御盤Gに通知し、何れのテンプレートとも一致しなければ照合不可を示す照合結果を通信部7よりシステム制御盤Gに通知する。
【0022】
ここで、共同玄関J1に設置されている顔認証装置A1は、図3(a)に示すように人物Hの顔を正面から撮像できる高さで壁面に設置されているものとし、通用口J2に設置されている顔認証装置A2は、図3(b)に示すように天井に設置されて人物Hの顔を上方から撮像するものとする。すなわち、一方の顔認証装置A1で撮像される人物Hの顔画像は、図4(a)に示すように正面向きとなるが、他方の顔認証装置A2で撮像される人物Hの顔画像は、図4(b)に示すようにやや下向きとなり、例えば、テンプレートが図4(a)に示すような正面向きの顔領域から作成されている場合、図4(b)に示すような下向きの顔画像(顔領域)から抽出された特徴量と正面向きのテンプレートとが、同一人物であるにもかかわらず、照合処理によって一致しないと判定される虞がある。このような事態を回避する方法として、照合処理において一致すると判定する判定基準を下げるという方法や、2台の顔認証装置A1,A2にそれぞれ正面向きのテンプレートと下向きのテンプレートを独自に保存しておき、両者が全く独立して顔認証を行う方法があるが、前者の方法ではセキュリティレベルが低下してしまうという問題が生じるし、後者の方法では管理区域への出入りが許可された人物の顔形(テンプレート)を複数作成して登録しておかなければならないという問題が生じてしまう。
【0023】
そこで本実施形態では、各顔認証装置A1,A2の通信部7と通信する通信部10と、管理区域への出入りが許可された人物の正面向きの顔形(テンプレート)を当該人物を識別する識別情報と対応付けて記憶する記憶手段たるテンプレート保存部11と、テンプレート保存部11に保存されているテンプレートを、それぞれの撮像手段(光変調カメラ3)が人物の顔を撮像する方向に応じた向きに変形して下向きの顔形(テンプレート)を作成する画像変形手段たるテンプレート変形部12とをシステム制御盤Gに備えている。尚、テンプレート変形部12が行う画像処理、すなわち、正面向きのテンプレートを変形して下向きのテンプレートを作成する画像処理については、例えば、特開平6−168317号公報に記載されている周知の画像処理を利用すればよい。また、本実施形態では下向きに変形する場合を例示しているが、テンプレートを変形する向きについては、それぞれの撮像手段が人物の顔を撮像する方向、すなわち、顔認証装置A1,A2が設置される場所や向きなどの設置形態に応じて決まるものであって、本実施形態の下向きに限定する主旨ではない。
【0024】
而して、一方の顔認証装置A1からテンプレートの提供を要求された場合、テンプレート変形部12はテンプレート保存部11に保存されている正面向きのテンプレートを変形せずにそのまま通信部10から顔認証装置A1に送信するが、他方の顔認証装置A2からテンプレートの提供を要求された場合、テンプレート変形部12はテンプレート保存部11に保存されている正面向きのテンプレートを下向きのテンプレートに変形して通信部10から顔認証装置A2に送信するのである。よって、各顔認証装置A1,A2の照合部6では、顔領域抽出部5で抽出される認証対象の人物の顔の向きと同じ顔の向きのテンプレートを使って照合処理を行うことができるため、判定基準を下げることなしに正確に照合することができ、しかも、それぞれの顔認証装置A1,A2が顔向きの異なるテンプレートを個別に保存する必要がないから、同一の人物について顔向きの異なる複数種類のテンプレートを予め作成して登録するという手間も要らない。
【0025】
尚、顔認証装置A2からテンプレートの提供が要求されたときにテンプレート保存部11に保存されている正面向きのテンプレートを変形して下向きのテンプレートを作成する代わりに、テンプレート保存部11に保存されている全ての正面向きのテンプレートについて、予めテンプレート変形部12により下向きのテンプレートを作成してテンプレート保存部11に保存しておいてもかまわない。このように予め変形して作成したテンプレートをテンプレート保存部11に保存しておけば、顔認証装置A2からテンプレートの提供が要求される度に正面向きのテンプレートを変形して下向きのテンプレートを作成する場合と比較して顔認証に要する時間を短縮できるという利点がある。その一方、顔認証装置A2からテンプレートの提供が要求される度に正面向きのテンプレートを変形して下向きのテンプレートを作成する場合では、予め変形して作成したテンプレートをテンプレート保存部11に保存しておく場合と比較して、保存するテンプレートの数が大幅に削減できることからテンプレート保存部11の記憶容量が削減できるという利点がある。
【0026】
また、本実施形態ではシステム制御盤Gのテンプレート保存部11に保存している正面向きのテンプレートを変形して下向きのテンプレートを作成しているが、例えば、顔認証装置A2の顔領域抽出部5において、顔領域抽出処理で抽出した下向きの顔領域を正面向きの顔領域に変形した後に特徴量抽出処理を行い、システム制御盤Gに保存されている正面向きのテンプレートと照合するようにしても構わない。さらに本実施形態では顔認証装置A1,A2に備えている顔領域抽出部5や照合部6をシステム制御盤Gに備える構成とし、システム制御盤Gにおいて集中的に顔認証処理を行う構成としてもよい。
【0027】
ところで、例えば、一方の顔認証装置A1で顔認証されて共同玄関J1から住棟内に入った人が、共同玄関J1から通用口J2へ最短で移動できる時間よりも短い時間が経過する前に、他方の顔認証装置A2で顔認証されて通用口J2から出入りすることは通常起こり得ず、仮にこのようなことが起これば、不審者が登録者になりすまして不正に出入りした可能性が高いと考えられる。
【0028】
そこで本実施形態では、システム制御盤Gにおいて、例えば顔認証装置A1で認証可と判定されたときのテンプレートの識別情報を記憶しておき、認証可を示す認証結果を受け取ってから所定時間(共同玄関J1と通用口J2との間を最短で移動できる時間)が経過するまでの間、他方の顔認証装置A2からのテンプレートの提供要求に対して、当該記憶している識別情報に対応したテンプレートの提供を行わないようにして、なりすましによる不正な出入りを防いでいる。
【0029】
あるいは、システム制御盤Gにおいて、例えば顔認証装置A1で認証可と判定されたときのテンプレートの識別情報を記憶しておき、認証可を示す認証結果を受け取ってから前記所定時間が経過するまでの間に、他方の顔認証装置A2において、当該記憶している識別情報に対応したテンプレートによる認証可という認証結果を受け取った場合、例えば、不正な出入りが生じたことを警報監視盤Cに伝達し、警報監視盤Cから警告を発するようにしても構わない。この場合、警報監視盤Cが警告手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上を含む集合住宅用セキュリティシステムのシステム構成図である。
【図3】(a)(b)は同上における顔認証装置の設置状態を説明する説明図である。
【図4】(a)(b)は同上における顔領域の向きの違いを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0031】
G システム制御盤
A1,A2 顔認証装置
1 発光部(撮像手段)
2 発光制御部(撮像手段)
3 光変調カメラ(撮像手段)
5 顔領域抽出部(顔領域抽出手段)
6 照合部(照合手段)
7 通信部
10 通信部
11 テンプレート保存部(記憶手段)
12 テンプレート変形部(画像変形手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理区域に出入りするための複数の出入口にそれぞれ設置され、管理区域に出入りしようとする人物の顔を撮像する複数の撮像手段と、撮像手段で撮像される画像から人物の顔領域を抽出する顔領域抽出手段と、管理区域への出入りが許可された人物毎に、当該人物の顔形を記憶する記憶手段と、顔領域抽出手段で抽出された顔領域を記憶手段に記憶されている顔形と照合する照合手段と、照合手段で照合する顔領域若しくは顔形の何れか一方を、それぞれの撮像手段が人物の顔を撮像する方向に応じて両者の顔の向きが一致するように変形する画像変形手段とを備えたことを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
顔の向きが正面となる顔形を記憶手段に記憶し、画像変形手段は記憶手段に記憶した顔形を変形することを特徴とする請求項1記載の顔認証システム。
【請求項3】
照合手段は、何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると判断した時点から所定時間が経過するまでの間、別の撮像手段で撮像された人物の顔領域と前記特定の顔形とを照合しないことを特徴とする請求項1又は2記載の顔認証システム。
【請求項4】
何れかの撮像手段で撮像された人物の顔領域が特定の顔形と一致すると照合手段で判断された時点から所定時間が経過するまでの間に、別の撮像手段で撮像された人物の顔領域が前記特定の顔形と一致すると照合手段で判断されたときに警告を発する警告手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の顔認証システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate