説明

顕微鏡システムのための画像処理方法

蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による顕微鏡式の自動サンプル分析の結果を解析して特定の染色体特性を決定する画像処理方法を実施する実施例が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2006年8月4日に出願された米国仮出願第60/821,536号の優先権の特典を主張するものであり、該出願は言及したことにより全体的に本明細書中に援用される。本明細書において引用される全ての文献およびそれらの言及文献は、付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切である場合、言及したことにより本明細書中に援用される。
発明の分野
本発明は概略的に、遺伝的特性の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)検出のための自動顕微鏡分析を実施するために採用される画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
習用の光学的顕微鏡検査法は概略的に、(XおよびYと表される)性染色体および(1〜22と付番された)22個の常染色体から成る正常な人間の染色体の総数に対する顕微鏡スライドを採用する。而して、10回の人間受胎につき最小限で1回の染色体異常があると見積もられている。原則として、異常数の性染色体は致命的ではないが、不育に帰着し得る。対照的に、異常数の常染色体は典型的に、早期の死亡に帰着する。生産児に見られる3種類の常染色体トリソミー(トリソミー21、18および13)の内では、(更に一般的にはダウン症候群として知られる)トリソミー21を有する個体のみが、幼年期を越えて生存する。
【0003】
ダウン症候群は誕生後に容易に診断されるが、出生前の診断は問題である。今日まで、染色体の個数および/または配置における異常性に伴うダウン症候群および他の遺伝的異常の診断に対しては、胎児細胞の核型分析が、定評のある方法とされている。斯かる遺伝的異常としては、たとえば、染色体の付加、欠失、増幅、転位および再配列が挙げられる。斯かる異常性の評価は、健康な個人、すなわち、上述の正常な総数および配置の人間染色体を有する個人の染色体に関して行われる。
【0004】
遺伝的異常としては、ダウン症候群の如き上述のトリソミー、ならびに、モノソミーおよびダイソミーが挙げられる。遺伝的異常としては、染色体全体および/または染色体セグメントの付加および/または欠失も挙げられる。これらの如き変性は、多くの悪性腫瘍に存在することが報告されている。故に、染色体の個数および/または分布の異常性(たとえば再配列、転位)は、精神発達遅滞および奇形症候群(非特許文献1)、および、可能的には発癌の主な原因である。同様に、特定の染色体に対してマップ作成された人間の遺伝病の部分的リスト、特に、X染色体に関連付けられた障害のリストに対しては、たとえば非特許文献2を参照されたい。染色体の異常性に伴い増加し続ける遺伝子障害に鑑み、遺伝的異常を評価するために開発されつつある簡素で正確な自動検定に関しては種々の試みが報告されている。
【0005】
概略的に核型分析は、個人の核酸の付加、欠失、増幅、転位および再配列に基づく遺伝的異常を診断すべく用いられる。“核型”とは、個人の染色体の個数および構造を指している。典型的に個人の核型は、たとえば、有効な細胞増殖が生ずるまで個人の末梢血のリンパ球を培養し、染色体の視覚化のために増殖している(たとえば、中期、および可能的には間期の)単一種の細胞を調製し、該細胞を固形支持体に固定し、且つ、固定された細胞をin situハイブリダイゼーションに委ねて個人の染色体の個別部分を特異的に視覚化することにより獲得される。
【0006】
上記サンプルは少なくとも一種類の目標核酸を含み、その分布は遺伝的異常を表す。“分布”という語句によれば、目標核酸を含むことが既知である一種類以上の核酸(たとえば染色体)における存在、不在、相対量および/または相対箇所が意味される。特に好適な実施例において上記目標核酸はトリソミー21を表すことから、上記方法はダウン症候群を診断するために有用である。特に好適な実施例において、ダウン症候群の分析に対して意図されたサンプルは、母体の末梢血に由来する。より詳細には、標準的な手順に従い末梢血からリンパ球が分離され、各細胞は固形支持体に対し(たとえば遠心分離によりスライド・ガラス上に)付着され、且つ、標準的な手順に従いそれに対して固定され(たとえば、各実験例を参照)、目標核酸の検出が許容される。
【0007】
核酸のハイブリダイゼーション技術は、塩基対に対する単一鎖のオリゴヌクレオチド・プローブの能力、すなわち、相補的な核酸鎖によるハイブリッド形成に基づいている。核酸プローブが蛍光団(すなわち、特定波長の光により励起されたときに蛍光を発する蛍光タグもしくは標識)により標識付けされるという蛍光in situハイブリダイゼーション(“FISH”)技術は、数値的ならびに構造的な染色体異常を分析する強力なツールを具現している。上記方法は、固定された細胞に対し、組織化学的着色を介して該細胞の表現型を特定するための第1蛍光団により標識付けされた抗体を接触させる段階と、これに続いて上記固定細胞に対し、該細胞の遺伝子型を特定するための第2蛍光団により標識付けされたDNAプローブを接触させる段階とを包含する。上記第1および第2蛍光団は相互に異なる波長にて蛍光を発することから、同一の固定サンプル上での表現的および遺伝的な分析が許容される。
【0008】
蛍光in situハイブリダイゼーションとは、目標核酸に対して特異的にハイブリッド形成することにより該核酸の視覚化を促進する蛍光団標識化プローブを採用する核酸ハイブリッド形成技術を指している。斯かる方法は当業者に公知であると共に、たとえば、言及したことにより全体的に本明細書中に援用されるという特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている。概略的にin situハイブリダイゼーションは、たとえば単一細胞レベルにて組織に含まれる如き核酸含有サンプル中の核酸の分布を決定するために有用である。斯かる技術は、核型分析用途に対し、ならびに、細胞内に含まれる特定遺伝子の存在、不在および/または配置を検出するために使用されてきた。しかし核型分析のためにサンプル中の細胞は典型的に、in situハイブリダイゼーション反応の実施のために該細胞を固形支持体に付着させるに先立ち、中期(もしくは間期)まで増殖することで“中期塗抹”を得ることが許容される。
【0009】
簡潔的には蛍光in situハイブリダイゼーションは、サンプルを固形支持体に対して固定する段階と、少なくとも沈殿剤および/または架橋剤を含む媒体に対して上記サンプルを接触させることにより、該サンプル内に含まれる各成分の構造的一体性を維持する段階とを包含する。サンプルを“固定”するために有用である代表的な作用物質は、当業者に公知であると共に、たとえば上述の各特許文献に記述されている。
【0010】
蛍光顕微鏡検査法において使用されるひとつの蛍光染料は、DNAに対して強力に結合する蛍光着色剤であるDAPIすなわち4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールである[CAS番号:28718−90−3]。DAPIは無傷の細胞膜を通過することから、それは生きている固定細胞を着色すべく使用され得る。DAPIは紫外光により励起される。二本鎖のDNAに対して結合されたとき、その吸収最大値は約358nmであり、且つ、その発光最大値は約461nmである。DAPIはRNAに対しても結合するが、それほど強く蛍光的ではない。RNAに対して結合されたとき、その発光は約400nmへとシフトする。DAPIの青色発光は、単一サンプルにおいて複数の蛍光着色剤を使用せんとする顕微鏡使用者に対して好都合である。DAPIと、フルオレセインなどの緑色蛍光分子および緑色蛍光タンパク質(GFP)、または、テキサスレッドなどの赤色蛍光着色剤との間に蛍光の重なり合いは殆どない。他の生物学的構造を検出するためには、他の蛍光染料が用いられる。
【0011】
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)においては、他の形式の蛍光材料が用いられる。FISH法は、蛍光タグを使用して染色体構造を検出する。斯かるタグは、特異的な染色体および特異的な染色体領域に対して指向され得る。斯かる技術は、染色体の異常性および遺伝子マッピングを特定すべく使用され得る。たとえば染色体21に対するFISHプローブによれば、トリソミー21を有する細胞、すなわち、ダウン症候群の原因である余分な染色体21を備えた細胞の識別が許容される。多色式DNAプローブを備えるFISHキットは市販されている。たとえば、アボット・ラボラトリズ社(Abbott Laboratories)のVysis部により販売されているAneuVysion(登録商標)多色式DNAプローブ・キットは、羊水サンプル中における染色体13、18、21、XおよびYの異常性に対し、中期細胞および静止核内の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を介した試験管内での診断試験に対して設計されている。AneuVysion(登録商標)検定(CEP18、X、Y−アルファサテライト、LSI13および21)多色式プローブパネルは、CEP18/X/Yプローブを使用して染色体18、XおよびYのセントロメア領域におけるアルファサテライト配列を検出し、且つ、LSI13/21プローブを使用して13q14領域および21q22.13〜21q22.2領域を検出する。AneuVysionキットは、高リスクの妊娠と推定される対象者における羊水から獲得された中期細胞および静止核における蛍光in situハイブリダイゼーションを介して染色体13、18、21、XおよびYを特定かつ列挙するために有用である。各タグにより発光される色の組み合わせは、通常的な染色体数が在るかトリソミーが在るかを決定すべく用いられる。
【0012】
同様の趣旨で、アボット・ラボラトリズ社のVysis部によるUroVysion(登録商標)キットは、膀胱癌があると推測される血尿症の対象者からの尿試料における蛍光in situハイブリダイゼーションを介して染色体3、7、17に対する異数性と9p21遺伝子座の喪失とを検出することにより、膀胱癌の発生および進行に伴う染色体異常を検出すべく設計される。上記UroVysionキットは、染色体3、7、9および17上の特異領域と相同のDNAプローブ配列の4色の4種のプローブ混合物から成る。上記UroVysionプローブ混合物は、染色体計数プローブ(CEP)としてのCEP3であるSpectrumRed、CEP7であるSpectrumGreen、CEP17であるSpectrumAqua、および、領域特異的プローブ(LSI9p21)であるSpectrumGoldから成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,225,326号
【特許文献2】米国特許出願第07/668,751号
【特許文献3】国際公開公報WO94/02646号
【特許文献4】米国特許第6,221,607号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】デュ・マノアール等(du Manoir et al)の“人間遺伝学”(Human Genetics)、第90(6)巻:第590〜610頁(1993)
【非特許文献2】“内科医学のハリソンの原理(Harrison’s Principes of Internal Medicine)”、第12版、ウィルソン等編(Wilson et al)、第24〜46頁(1991年)、ニューヨーク州、ニューヨーク市、マグローヒル社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
遺伝的異常の診断に対する蛍光in situハイブリダイゼーション方法の開発における上述の進歩に関わらず、蛍光団標識付きサンプルの分析は労働集約的なままであり且つ相当なレベルの主観性を伴う。このことは特に、遺伝的異常に対する評価に先立ち、胎児細胞が母体細胞から分離されるか又はそれから視覚的に区別されねばならないという、遺伝的異常の出生前診断に関して当てはまる。故に、たとえば研究所の技術者は、手作業でサンプルを調製して(第1に、細胞の表現型を特定するための組織化学的着色剤により、第2に、細胞の遺伝子型を特定するためのハイブリッド形成プローブにより)順次的に着色し;(たとえば、上述の組織化学的着色手順を用いて)光学場において他の細胞から胎児細胞を視覚的に選択し;蛍光団によりタグ付けされたプローブのハイブリッド形成に由来する蛍光色の相対的分布を評価し;且つ、視覚的に認識される分布を、正常な人間の染色体総数を含む比較対照サンプルにおいて観察された分布と比較せねばならない。容易に明らかである如く、上述の手順は非常に時間消費的である。更に、結果は視覚的に認識されるので、誤りである結果の頻度は、実験毎に、ならびに、観察者毎に変化し得る。
【0016】
本願と同一の譲受人により所有されて“遺伝的異常の自動的な蛍光in situハイブリダイゼーション検出”と称された特許文献4は、トリソミー21の如き遺伝的異常を決定すべくコンピュータにより実施されることで、選択的に着色された染色体の主観的分析を排除する方法を開示している。更に詳細には該特許文献4は、少なくとも一種類の目標核酸を含む固定サンプル中に遺伝的異常が存在するか否かを検出する方法を提供する。該方法は、たとえば、染色体の付加、欠失、増幅、転位および再配列の如き、染色体の個数および/または配置における異常性に伴う遺伝的異常を診断するために有用である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
自動式蛍光in situハイブリダイゼーション方法を実施すべく採用され得る種々の画像処理機能を実現する実施例が開示される。各実施例は、デジタル電子機器のダイナミック・レンジを超える強度範囲に亙りサンプルの全ての領域を容認可能に画像化する自動露光方法;上記サンプル内における複数の目標物を位置決定する蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)関心物体の計数のための方法;計数された関心物体を分類して特性記述する方法である核の特定;特定された関心物体の形状を定義する方法である核のセグメント化;を包含する。上記方法の実施例は、細胞核を特性記述するために、または、染色体を計数するために有用である。上記方法の実施例は、AneuVysion(登録商標)検定(イリノイ州、ダウナーズグローブのVysys社[Vysys Inc.])を行うに適している。
【0018】
実施例においては、以下のものが開示される:
【0019】
蛍光励起用光源と電子的画像化デバイスとを有する顕微鏡システムを用いて、蛍光的にハイブリッド形成された試料の蛍光in situハイブリダイゼーション画像を分析する画像処理方法であって、
上記試料を蛍光励起照明により照射する段階と、
照射された視野内における焦点深度において上記試料の画像を捕捉するために上記電子的画像化デバイスの露光パラメータを調節する段階と、
上記試料の捕捉画像における関心物体を計数する段階と、
上記画像における核を特定する段階と、
上記画像における核をセグメント化する段階と、
上記核内で生ずる蛍光信号をカウントかつ特性解析する段階と、
結果を解釈して報告する段階とを備えて成る方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の自動分析を実施するコンピュータ・プログラムの実施例の概観を表すフローチャートである。
【図2】露光パラメータを調節するプログラム・モジュールの実施例を表すフローチャートである。
【図3】関心物体を計数するプログラム・モジュールの実施例を表すフローチャートである。
【図4】核を識別するプログラム・モジュールの実施例を表すフローチャートである。
【図5】核をセグメント化するプログラム・モジュールの実施例を表すフローチャートである。
【図6】信号を特性解析して結果を報告するプログラム・モジュールの実施例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
自動露光:デジタル画像を獲得するために典型的には、検証されつつある試料の全ての領域の適切な露光が必要とされる。電子的画像化デバイスは、荷電結合素子(CCD)もしくは相補的金属酸化物半導体(CMOS)要素による光感応検出器の多重ピクセル平坦配列、または、光学的画像を電気信号へと変換するに適した他の任意の技術とされ得る。代表的なCCDカメラとしては、優れた量子効率により約9ナノ秒未満のゲート速度を達成するゲート制御技術を利用し、出力蛍光物質の時定数により制限される非常に高速な応答を許容する強化CCDカメラ(たとえば、完全な16ビット科学等級CCDをサポートするプリンストン・インスツルメント社(Princeton Instruments)(トレントン、ニュージャージー)のPIMAXMG)、および、光子は光電陰極により検出され且つ放出された電子は間隙に亙り加速されてCCDの背面に衝当(して付加的な利得および付随する速度を許容)するという電子打ち込み式CCD(EBCCD)が挙げられる。蛍光顕微鏡検査法においては特に、CMOSカメラの用途が見出され得る。CMOSカメラは、集積化されたオン・チップ形態で、各フォトダイオードに関係付けられた増幅器およびデジタイザを有する。最近のCMOSセンサは残留ノイズが相当に減少されると共に、格別なダイナミック・レンジを提供する。
【0022】
低強度の検出は、画像増強器および同様の技術を採用することで増進され得る。正しい露光時間は、(i)一定の領域(核)内における平均画像強度値の範囲、(ii)最高の画像強度の範囲、(iii)最大許容露光時間、および、(iv)個別に提供される露光条件、の如き条件を考慮するアルゴリズムを使用して計算され得る。
【0023】
各センサの画素またはピクセルは典型的には、当該画素へと降りかかる光子の個数(光の量)に比例する電荷を蓄積する。通常、必要な露光時間とピクセルに衝当する光の強度との間には反比例関係が在ることから、更に薄暗い領域は露光時間を増大することにより別個の露光で画像化され得る。露光の後、画像化配列の各ピクセルは、順次的な走査パターンで個別的に測定され得る。要素測定値の各々は次に、アナログ/デジタル変換器(A/D)により、または、データをデジタル化する他の手段によりデジタル化され得る。結果的な一連のデジタル化測定値はメモリに記憶され、これに対しては画像分析処置が実施され得る。
【0024】
しかし殆どの場合、単一の露光時間は試料の全ての部分を適切には画像化しない、と言うのも、画像センサおよび関連する電子機器のダイナミック・レンジは典型的に、単一の試料の種々の箇所から発せられる強度の範囲よりも小さいからである。たとえば、8ビットのD/A変換器のダイナミック・レンジは256:1であり、これは当該用途に対して不適切であり得る。その状況の故にに、単一の露光時間とすると、最も薄暗い物体が適切に露光されるならば明るい物体もしくは核が喪失され、または、最も明るい物体が適切に露光されるならば薄暗い物体が喪失される。
【0025】
画像化フィールドの強度ダイナミック・レンジが単一の露光持続時間に対して大きすぎるときには、多重露光方式が採用され得る。先ず、最高の強度を有する試料もしくは核の部分が、比較的に短い露光時間を用いて露光されて分析される。その露光に対し、画像の更に薄暗い領域は次に、エッジ検出もしくはエントロピ測定を用いて分析されることで、それらの領域を適切に画像化するためには更に長い露光時間が必要か否かが決定され得る。もしそうであれば、高強度の核に対応するピクセル測定値は画像から除外されもしくは遮蔽され乍ら、適切に長い露光時間に対して付加的な露光が為され得る。上記プロセスは、問題となる構造が見出されなくなるまで、更に長い露光時間に対して反復され得る。更に長い露光時間に対する代替策として、複数の更に短い露光が計算的に組み合わされて単一の更に長い露光を合成しても良い。代替的に、露光は、有効な顕微鏡の絞りまたは照射強度を変化させることで変更され得る。
【0026】
“ドット”計数:試料は、サンプルの深度の全体に亙り分散された関心物体を備える有限の厚みを有する。本明細書中で用いられる“関心物体”とは、顕微鏡視野内における一切の特定構造であって、FISHプローブによる標識付けの結果として識別された一切の特定構造を指している。関心物体の非限定的な例としては、原形質膜もしくはその一部、細胞質の小器官または構造、リボソーム、ミトコンドリアもしくはその一部、ミトコンドリア核酸、ゴルジ膜、小胞体もしくはその一部、エンドソーム、核、核小体、核膜もしくはその一部、染色体もしくはその一部、および、DNA分子の一部が挙げられる。故に画像化のためには、光学システムは物体の各々の良好に解像された画像を形成するために個別的に焦点合わせされることが必要である。代替的に、全ての関心物体が容認可能に焦点合わせされる様に十分に小寸の間隔で選択された複数の離間された焦点面にて、一連の露光が行われ得る。必要とされる焦点面の個数および間隔は、試料の厚みおよび光学システムの視野深度から容易に決定され得る。
【0027】
適切に焦点合わせされた複数回の露光が一旦行われたなら、各画像は処理されることで、複数の関心物体または蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”が識別かつ分離され得る。これらの“ドット”は、それらが発する蛍光により露呈されると共に、発せられた光の特性は物体の特性に従い変化する。特に、関心物体から発せられる蛍光特性の非限定的な例としては、蛍光標識の光学特性、および、物体に対するFISHプローブのハイブリッド形成の強度が挙げられる。
【0028】
各画像を獲得したなら、蛍光in situハイブリダイゼーションの関心物体(“ドット”)を計数する計数アルゴリズムが採用され得る。上記アルゴリズムの第1段階は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、すなわち二本鎖のDNA着色用蛍光プローブ)を強度に従いセグメント化し、画像焦点面の各々に亙る明るさの強度輪郭を効率的に定義することであり得る。未処理の蛍光in situハイブリダイゼーション・チャネル画像は、計算的にコントラスト画像へと変換され得る。コントラスト画像は元の画像の数学的変換物であり、その場合に変換された各ピクセルの強度は、元の画像における隣接ピクセルに対する強度の変化を表す。核内の物体は、最高の可能的な値から事前設定された低い値までコントラスト閾値を順次的に低下させることで解像され得る。各物体に対し、最高のコントラストは、先行する各物体の移動平均および標準偏差と比較され得る。もしコントラストの相当な飛躍が検出されたなら、更に高いコントラストを有する全ての物体は、可能的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”としてマーク付けされ得る。これに加え、もし2つの可能的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”が事前設定閾値より接近して位置されたなら、それらは併合されて単一の“ドット”を形成し得る。識別された複数の可能的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”の相対コントラストおよびサイズは比較され得ると共に、最終的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”は特性解析されてデータベースに経過記録され得る。
【0029】
核の識別:可能的な関心物体または蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”が一旦識別されたなら、自動的パターン認識技術が採用されることで、各物体が分類かつ特性解析され得る。蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”計数分析により決定された蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”部位の各々は分析されることで、該物体の楕円フーリエ形状記述子であって、並進、回転および拡大縮小に対して不変であるという記述子が展開され得る。物体を記述するためには、限定的なものとしてで無く、核内における物体のサイズおよび発光強度分布などの他の特性も採用され得る。これらの特性解析に基づいて関心物体を識別かつ分類すべく、パターン認識アルゴリズムが採用され得る。最初に上記パターン認識アルゴリズムは、物体を分類して自身の結果をパターン認識データベースに入力する熟練した観察者を採用することで訓練され得る。最初の習得期間の後、上記アルゴリズムは自動的に実施され得ると共に、パターン認識データベースは連続的に更新され得る。
【0030】
核のセグメント化:上記パターン認識アルゴリズムにより識別された核の各々に対し、最大の明るさから開始する一定強度の輪郭が決定され得る。夫々の輪郭の各点にては、勾配も算出され得る。核のサイズは、非限定的な例として、最大の平均勾配に対応する輪郭として決定され得る。
【0031】
AneuVysion(登録商標)走査方法:AneuVysion(登録商標)検定は出生前診断に対してFDAをクリアした試験であり、蛍光in situハイブリダイゼーションを用いて最も一般的な染色体数の異常性の迅速な検出を許容する。それは、特定の染色体のひとつの特定部分に選択的に付着したときに明るい顕微鏡信号を生成する蛍光DNAプローブを作成する分子遺伝学的技術を利用する。上記DNAプローブは、非分裂細胞における適切な染色体に対して付着し得る。信号は、異なる染色体に対する異なる色である。ひとつの細胞内における信号の個数をカウントすることにより、細胞遺伝技術者は、胎児において検出可能な染色体の正常数、または、トリソミー、モノソミー、または、他の異数染色体が存在するか否かを認識する。
【0032】
開示された実施例は、以下の方法を利用してAneuVysion(登録商標)検定を効率的に自動化すべく採用され得る。ヒストグラムにおける各ビン(bin)は染色体構成要素の可能的な組み合わせの各々を表すという算出ヒストグラムが構成され得る。AneuVysion(登録商標)CEP(染色体計数プローブ)分析の結果は、X染色体、Y染色体および染色体18を表す3つの係数を含むヒストグラム構造を利用する。LSIプローブに対応する第2のヒストグラム構造は、染色体12および染色体13を表す2つの係数を含む。上記自動式蛍光顕微鏡システムは、低倍率を用いて指定個数(N)の核を見出す。非限定的な例においてNの値は、10もしくは20もしくは30もしくは40または50もしくは60もしくは80もしくは100もしくは125もしくは150もしくは200の如き、または、更に大きな整数であるとして指定される。更に、Nは、本明細書において特定された複数の値の間における任意の整数であるとして指定され得る。次に上記システムは、高倍率を用いて核の各々を個別的に画像化する。蛍光in situハイブリダイゼーションの光点が全てのチャネルに対してカウントされ、結果は上述のヒストグラム調製物へと構成される。測定プロセスは、ひとつのビン・カウントが所定個数(M)に到達するまで継続する。たとえば上記個数Mは、現在の政府指針に対応する50とされ得る。更に概略的には、非限定的な例においてMの値は、10もしくは20もしくは30もしくは40または50もしくは60もしくは80もしくは100もしくは125もしくは150もしくは200の如き、または、更に大きな整数であるべく事前決定される。更に、Mは、本明細書において特定された複数の値の間における任意の整数であるとして事前決定され得る。もしN個の核が測定されたが、どのビンも必要なM個の量を含まないならば、上記システムは低倍率にて付加的な核を探し、ひとつのビンが個数Nに到達するまで高倍率にて測定を継続する。Nに到達したとき、測定は停止され且つ最大のビン・カウントが、二番目に大きいビン・カウントと比較され得る。上記最大のビン・カウントが上記二番目に大きいビン・カウントよりも一定の所定の割合だけ大きければ、そのビンに対応する結果は臨床的結果として報告され得る。それが上記条件を満足しなければ、不確定の結果が報告され得る。種々の非限定的な例において、最大のビン・カウントを二番目に大きいビン・カウントと比較するための所定割合は、5%もしくは10%もしくは15%もしくは20%もしくは25%もしくは30%もしくは35%もしくは40%もしくは45%もしくは50%もしくは60%もしくは70%もしくは80%もしくは90%もしくは100%もしくは125%もしくは150%もしくは175%もしくは200%の如き、または、更に大きな割合値とされ得る。更に上記所定割合は、本明細書において特定された複数の値の間における任意の整数もしくは非整数に設定され得る。
【0033】
図1には、蛍光in situハイブリダイゼーション画像を分析する本発明の画像処理方法の実施例が概略的に描かれている。当該試料を蛍光プローブに対してin situでハイブリッド形成させるべく適切に処理された試料を含む顕微鏡スライドが、顕微鏡の視野に載置400される。非限定的実施例において、本発明の方法において使用され得る顕微鏡の基本要素としては、X−Y載荷台、標識の蛍光を励起し得る水銀もしくは同等の光源、蛍光顕微鏡、色検出CCDによる画像検出デバイス、コンピュータ、および、一台以上のモニタが挙げられる。上記システムの個々の要素は、注文作成されるか、標準的な構成要素として市販品が購入され得る。試料の非限定的な例としては、細胞、血球、上皮細胞、組織、分断された組織、組織薄片、生検サンプル、切除された手術サンプルなどが挙げられる。
【0034】
顕微鏡は調節410されることで、試料は、該試料の深度内において選択された焦点面における焦点にもたらされる。上記試料は蛍光励起照明により照射420されることで、標識付きプローブが結合したサンプルの種々の遺伝子座が蛍光される。電子的画像化デバイスの露光パラメータは、これらの領域を適切に露光すべく調節430される。業界公知の如く、上記露光パラメータは、露光時間、および/または、絞り、および/または、照射レベルを変化させることにより変更され得る。画像が捕捉440される。
【0035】
多くの場合、精査下に置かれた視野の強度範囲であって捕捉画像(図1の440)にて提供された強度範囲は、上記電子的撮像デバイスおよび/またはそれをサポートする電子機器のダイナミック・レンジ能力を超える。これらの状況に対し、図2を参照すると、露光は一連の画像を用いて調節される。最も明るいスポットが先ず特定500され、且つ、電子的撮像デバイスのダイナミック・レンジの頂端に対応して最も明るいスポットが適切に露光される様に露光パラメータが設定510される。これらの条件下で画像が捕捉520される。捕捉画像における明るさの少ない部分が分析530されることで、露光不足の故に詳細が喪失されるか否かが決定される。これらの領域が露光不足であると、更に薄暗い蛍光スポットが検出されないこともある。これらの更に薄暗い領域に詳細の欠如があるなら540、露光パラメータは増大550され、上記電子的画像化デバイスのダイナミック・レンジは最初のダイナミック・レンジより低い領域へと広げられる。上記電子的画像化デバイスをサポートする電子機器のレンジは、画像化されるべき更に低い強度レベルに対応すべく調節され、最初の最も明るい領域に対応する画像センサのピクセルの出力は、上記サポート電子機器を過負荷しない様に遮蔽されもしくはバイパス560される。新たな画像が捕捉520され、且つ、同様に分析される。このプロセスは、全体的な画像が容認可能に画像化570されるまで反復される。次に、一群の捕捉画像から関心物体が計数される(図1の450)。
【0036】
図3を参照すると、精査される視野の深度における所定レベルに対する計数アルゴリズムの概略表示が示され、捕捉画像が低域通過フィルタ処理600される。各画像は、元の画像の各々を、対応する低域通過フィルタ処理済み形態の画像で除算することによりコントラスト画像として数学的に再表現され得る。関心物体および帰属物は、一定コントラストの輪郭を作成することにより識別され得る。観察された最高値から、選択された低い値までコントラスト閾値を順次的に低下させることにより、順次的に低い一定コントラストの輪郭が解像620され得る。各物体に対し、最高のコントラストは、先行する各物体の移動平均および標準偏差と比較630され得る。もしコントラストの相当の飛躍が検出640されたなら、更に高いコントラストを有する物体の全ては可能的な関心物体(“ドット”)としてマーク付けされ得る。ひとつの“ドット”は、それが相当に低いコントラストもしくは更に小さいサイズを有するならば異常値と見做され650、更なる考察から除外される。これに加え、もし2つの可能的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”が事前設定閾値より接近して位置されたなら、それらは併合660されて単一の“ドット”を形成し得る。識別された複数の可能的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”の相対コントラストおよびサイズは比較670され得ると共に、最終的な蛍光in situハイブリダイゼーション“ドット”は特性解析されてデータベースに経過記録680され得る。上記プロセスは、サンプルの深度の全体に亙り分析を実施するために必要とされる付加的な焦点面に対して反復される(図1、455)。
【0037】
関心物体を計数したなら、核が識別される(図1、460)。図4に概略的に示される如く、適切に焦点合わせされ且つ露光されたDAPI画像が低倍率で獲得700される。上記画像をセグメント化すべく一定強度の輪郭が数学的に生成されることで、物体が識別710される。計数された物体の各々に対し、並進、回転および拡大縮小に対して不変であるという楕円フーリエ形状記述子の如き形状特性記述が算出720される。各物体の構成特徴の粒度分布すなわちサイズ分布が算出730される。上記物体を分類すべく使用された変数および特性記述の全ての組み合わせが採用されることで、複数の核が完全に記述される。実験に基づくパターン・データベースと併せて、パターン認識アルゴリズムが使用されることで、関心物体が識別かつ分類740される。
【0038】
この様に識別された核は次に、図5に概略的に示される如くセグメント化される(図1、470)。先ず、最高強度に対応する一定強度の輪郭が算出800される。これにより識別された物体の特性が記録810される。スレッショルド強度レベルが順次的に減少され、且つ、新たな輪郭が算出820される。強度スレッショルド値が低下されるにつれ、上記物体の各々に関連する輪郭は拡開830し、且つ、新たな物体が視認可能840となる。一定の場合、更に高い強度レベルにては分離される物体が、上記スレッショルド値が減少されるにつれて併合850され得る。付加的な輪郭の算出は、強度スレッショルド値が十分に低レベルに一旦到達したならば終了860される。スレッショルド・レベルの決定は概略的に、使用されつつある顕微鏡システムに特有である機器もしくはシステムのパラメータを使用する。故に、スレッショルド値を確立することは、装置に特有の手順である。非限定的な例として、顕微鏡システムは、光子カウントもしくは電流もしくは電荷蓄積として強度測定値を提供し得る。当業者であれば、一方では全体的な背景から区別されるスレッショルド・レベルの評価を、且つ、他方では相当の輪郭強度レベルを理解して実施し得よう。その時点で、有効なサイズ範囲に適合しない物体は、更なる考察から排除870され得る。既に算出された一定明るさの輪郭は、物体の各々のエッジを決定880すべく使用される。各輪郭に沿う各点にて、強度勾配が算出して平均される。核の各々の境界は、最大の平均勾配を有する輪郭として定義される。それ以後、各物体はそれらのエッジ内においてのみ定義890される。
【0039】
この様に核を定義してセグメント化したなら(図1、470)、各々の核内における蛍光信号がカウントかつ特性解析され(図1、480)、次に解釈されて結果が記録される(図1、490)。この最終ステップの実施例は図6に示されると共に、たとえばAneuVysion(登録商標)検定と共に使用されるに適している。先に記述された如く、AneuVysion(登録商標)検定は出生前診断に対する試験である。本出願中に記述された開示実施例は、他の蛍光in situハイブリダイゼーション検定に対して等しく有効である。各ビンが、ひとつの核に含まれる蛍光スポットの個数および色の可能的組み合わせに対応する様に、数学的ヒストグラム構造が作成900される。第1群のN個の蛍光スポットの各々がカウント910され、その色が特性解析され、且つ、結果は上記ヒストグラムの適切なビンに対して付加される。最初のN個のスポットがカウントされた後、ヒストグラムの各ビンのいずれかにおける最大カウントが決定920される。もし、その最大値がNより小さい930ならば、付加的な核が位置決定940される。Nの値に対する非限定的な例は上記に開示されている。もし新たな核が見出されない945ならば、不確定な結果が報告される。個数Mは事前決定されると共に、法的な要求事項に対応し得る。Mに対する例示的な値は50である。Mの値に対する非限定的な例は上記に開示されている。関連する付加的な光スポットがカウントされて特性解析950され、且つ、結果は既存のビン内容に対して付加される。このプロセスは、最大のビン・カウントがN以上となるまで継続930する。いずれかのビンにおける最大個数がMに到達したとき、次に大きいヒストグラムのビンにおける個数が決定970される。もしMが、次に大きい個数を所定のZパーセントだけ超過するなら、染色体構成要素が有効な試験結果として報告980される。所定パーセントの値に対する非限定的な例は上記に開示されている。他方、Mが、次に大きい個数を所定のZパーセントだけ超過しないなら、試験は不確定として報告960される。
【0040】
好適実施例に関する陳述
本発明は好適実施例に関して記述されたが、当業者であれば、本発明に対しては添付の各請求項により定義された本発明の精神または有効範囲から逸脱せずに種々の変更および/または改変が為され得ることを容易に理解し得よう。付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切な場合、本明細書において引用された全ての文献は言及したことにより本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光励起用光源と電子的画像化デバイスとを有する顕微鏡システムを用いて、蛍光的にハイブリッド形成された試料の蛍光in situハイブリダイゼーション画像を分析する画像処理方法であって、
上記試料を蛍光励起照明により照射する段階と、
照射された視野内における焦点深度において上記試料の画像を捕捉するために上記電子的画像化デバイスの露光パラメータを調節する段階と、
上記試料の捕捉画像における関心物体を計数する段階と、
上記画像における核を特定する段階と、
上記画像における核をセグメント化する段階と、
上記核内で生ずる蛍光信号をカウントかつ特性解析する段階と、
結果を解釈して報告する段階とを備えて成る、方法。
【請求項2】
前記段階(b)および(c)は、異なる焦点深度にて反復される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
露光パラメータを調節する前記段階は、
前記試料の一個以上の最も明るいスポットを決定する段階と、
上記最も明るいスポットが前記電子的画像化デバイスのダイナミック・レンジの実質的に最大値にて露光される様に、露光パラメータを調節する段階と、
露光を実施して前記画像を捕捉する段階と、
上記捕捉画像の更に薄暗い部分を分析し、該更に薄暗い部分における詳細が露光不足であるか否かを決定する段階と、
上記画像の上記更に薄暗い部分が露光不足であるならば、上記露光パラメータを増大する段階と、
明るい領域を遮蔽する段階と、
上記サンプルの上記更に薄暗い部分の全てが適切に画像化されるまで、上記段階(c)および(d)を反復する段階とを更に備えて成る、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記関心物体を計数する段階は、
前記ハイブリッド形成された試料の深度に亙り離間された複数の焦点面にて複数の画像を捕捉する段階と、
上記捕捉された各画像を夫々、一定コントラストの輪郭により特性記述されるコントラスト画像へと計算的に変換する段階と、
上記ハイブリッド形成された試料の上記深度の全体に亙り前記関心物体を計数する計数アルゴリズムを実施する段階とを更に備えて成る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
核を特定する前記段階は、
a)各関心物体の形状記述子であって並進、回転および拡大縮小に対して不変であるという形状記述子を算出する段階と、
b)各関心物体のサイズ分布を算出する段階と、
c)実験に基づくパターン・データベースと併せて、パターン認識アルゴリズムを採用し、上記関心物体を識別かつ分類する段階とを更に備えて成る、請求項1記載の方法。
【請求項6】
核をセグメント化する前記段階は、
a)極大値から開始して強度の低いスレッショルド・レベルへと進展する順次的な強度間隔にて、一定明るさの輪郭を算出する段階と、
b)上記輪郭の各々に対して平均勾配を算出する段階と、
c)前記核の各々の境界を、該核に対して最大の上記平均勾配を有する輪郭として定義する段階とを更に備えて成る、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記結果を解釈して報告する前記段階は、
a)各ビンが、ひとつの核に含まれる前記スポットの個数および色の可能的組み合わせに対応する様に、数学的ヒストグラム構造を作成する段階と、
b)上記蛍光スポットの各々をカウントし且つそれらの夫々の色を特性記述する段階と、
c)上記カウントの結果を上記ヒストグラムの適切なビンに対して記録する段階と、
d)ひとつの上記ビンにおける上記カウントが所定数に対応するまで、上記カウントを継続する段階と、
e)上記カウントを停止し、且つ、上記ビンにおけるカウント値を、他のいずれかのビンにおける2番目に大きいカウント値と比較する段階と、
f)上記2番目に大きい個数が上記所定数の所定割合よりも小さければ、最大数のビンの識別子を報告する段階、または、
代替的に、
g)上記2番目に大きい個数が上記所定数の所定割合以上であれば、不確定結果を報告する段階とを更に備えて成る、請求項1記載の方法。
【請求項8】
細胞核が特性記述される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
染色体が計数される、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500573(P2010−500573A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523914(P2009−523914)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/075133
【国際公開番号】WO2008/019299
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(504133615)イコニシス インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】