説明

顕微鏡可視化下での細胞材料の単離

【課題】新規な診断用キットの提供。
【解決手段】癌、感染性疾病又は他の病理学的過程についての診断キットであって、接着剤特性を有する選択領域を提供するように活性化され得る選択的活性化可能移送表面、及び正常組織からの細胞材料サンプルと異常組織からの細胞材料サンプルとを区別するために前記異常組織からの細胞材料サンプルに適用され得る少なくとも1つのプローブ又はマーカーを含んで成るキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞サンプルの分子的分析のための方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、特定の細胞型の実質的に純粋な集団及び亜集団からのタンパク質、たとえば酵素、並びにmRNA及び DNAの分析を可能にする多くの異なった技術と組合して使用され得る細胞サンプルの微小除去及び分子的分析のための方法及び装置に関する。本発明はさらに、本発明の方法において直接的に抽出される細胞材料から作製されるライブラリーに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの疾病は、分子レベル及び遺伝子レベルで、現在、理解されている。そのような分子の分析は、疾病分析及び予後のために重要である。組織サンプルからの細胞組織材料の直接的な抽出のためのこれまでの方法は、抽出が疾病関連マーカーの平均的な含有量のみを表わすので、制限される。実際には、組織は非常に不均一であり、そして組織のほとんどの診断部分は病変中の数百又はそれ以下の細胞に制限され得る。
【0003】
正常組織サンプルは、前侵入性及び侵入性腫瘍細胞を取り囲みそしてその細胞に隣接する種々の細胞型を含む。 1.0mmほどの小さな生検及び診断を受ける腫瘍組織対象の領域は、正常上皮、癌の前侵入段階、現場癌、侵入性癌及び炎症領域を含むことができる。結果的に、通常の剥離及び切断方法がそれらのタイプのすべての細胞を集め、そして従って、対立遺伝子の損失は汚染性非悪性細胞における正常コピーの対立遺伝子の存在により隠されるであろう。それらのこれまでの方法による遺伝子結果の分析は、正常細胞、所望しない細胞又は血管細胞からの汚染性対立遺伝子により常に困らせられる。
【0004】
ヒト腫瘍の分子研究は、それらの特徴化のために利用できる技法及びモデルシステムにより現在、制限される。ヒト腫瘍細胞におけるタンパク質又は核酸の発現を定量的に又は定性的に評価するための研究は、多数の腫瘍検体に存在する種々の細胞集団により妥協される。侵入性腫瘍の組織学的分野は典型的には、多くの細胞型、たとえば腫瘍細胞、基質細胞、内皮細胞、正常上皮細胞及び炎症細胞を示す。腫瘍細胞はしばしば、合計細胞集団の比較的低%を占めるので、それらの検体における正味タンパク質又は核酸の変化の有意性を解釈することは困難である。
【0005】
腫瘍侵入及び転移の過程は、侵入する腫瘍細胞の高められたタンパク質分解活性に依存する。マトリックスメタロプロテイナーゼ、カテプシンB,D及びL、並びにプラスミノーゲン活性化因子は、転移カスケードにおいて関与する。カテプシンDは、乳癌における進行の独立したマーカーであることが示されている。相互関係現象の次のいくつかの系統が、プロテアーゼが腫瘍侵入において重要であるとする概念を支持する:高い転移性の腫瘍細胞系における高められたプロテアーゼ活性及び/又はプロテアーゼの変更された非細胞分布、腫瘍組織ホモジネートの免疫組織化学及びアッセイにより決定されるような侵入性ヒト腫瘍における高められたプロテアーゼ発現、及びヒト腫瘍における高められたプロテアーゼmRNAレベル。それらの技法のすべては、ヒト腫瘍におけるプロテアーゼ発現に関する重要な情報を生成するが、しかしながら、それらは、プロテアーゼが、腫瘍侵入が生じる特定の領域においてアップ−レギュレートされる決定的な現象を提供しない。
【0006】
培養物におけるヒト腫瘍細胞の研究は、宿主細胞及び細胞外マトリックスと腫瘍細胞との複雑な相互作用、及びそれらが腫瘍細胞プロテアーゼ生産性又は活性化をいかに調節することができるかを説明しない。免疫組織化学的染色は、腫瘍侵入の領域における酵素分布の試験を可能にするが、しかしながら、結果は組織固定及び抗体−抗原親和性により変化し、そしてタンパク質レベルの半−定量的評価のみを提供する。さらに、染色結果の定量的解釈は、組織断片内の染色パターンの変動性、染色強度の主観的な評価、及び基質染色の有意性を解釈する上での困難性により複雑化される。さらに、プロテアーゼの研究に使用される多くの抗体は、活性酵素種からプロ酵素を分化しない。ヒト腫瘍の均質物からの酵素又はmRNAレベルのアッセイは、検体内の混合された細胞集団、又は組織において生じ得る付随する病理生理学的過程のいづれも説明しない。
【0007】
ヒト腫瘍は、それらが単一の形質転換された細胞から侵入性及び転移性の癌に進行するにつれて、遺伝子異常性を蓄積する。突然変異誘発され、欠失され又は異常に調節される遺伝子の同定及び特徴化は、癌診断、予後、及び治療のための重要な洞察力を付与することができる。さらに、そのような遺伝子損傷の同定は、それらが侵入性癌に進行する前、処理され得るよう、前悪性損傷の決定的な同定による初期診断を促進することができる。
癌進行の一般的な見解は、細胞が腫瘍サプレッサー遺伝子における2種の別々の変更を得た後に形質転換され得ることを意味する。続く腫瘍は、異形性損傷から侵入性及び転移性腫瘍に段階的に進行する。現場の癌はときおり、広範囲の上皮過形成に関連して発生することが観察されており、そしてより大きな侵入性腫瘍がその腫瘍の周囲で癌の領域としばしば関連せしめられる。
【0008】
病理学者は、実在物間の原因及び効果の関係の現象として、異型過形成、現場癌及び侵入性腫癌の近接した関連性を組織学的に解釈している。しかしながら、このモデルを支持する直接的な現象はこれまでほとんど存在していない。
【0009】
従来の研究方法は、前侵入性損傷における遺伝子変更の試験を研究者に可能にしていない。現在までの最とも洗練された遺伝子試験技法でさえ、分析されるべき入力DNA, RNA又はタンパク質は疾病形態学を示す純粋な細胞集団に起因しないので、制限された価値のものである。この問題と取り組むための組織微小切除のための次のいくつかの方法が報告されている:特定細胞集団を富化するための凍結組織ブロックの全体的な切開、所望しない遺伝子材料を破壊するための手動的インク染色された断片の照射、凍結組織検体の触診調製、及び手動器具による微小切除。しかしながら、それらの方法は、通常の研究又は高い処理量の臨床学的分子診断用途のためには、十分には正確且つ効果的ではない。たとえば、手動微小切除は良好な精度を有するが、しかし時間の浪費であり労働集約的であり、高い程度の手の器用さを必要とし、そして一般的に通常の技術者のためには適切ではない。
【0010】
本発明は、通常の上皮腫瘍、たとえば乳癌及び前立腺癌の前侵入性(preinvasive)病変における遺伝子変化を特異的に試験するための新規の改良された手段を提供する。特に、本発明は、サンプルリングされた細胞の RNA及び DNA抽出と共に、1個ほどの少ない細胞のマイクロサンプリングを可能にする。この方法は、ひじょうに敏感であり、そしてこれまでの及び現在の技術を2倍以上の大きさで卓越していることを示された。それは、乳癌のための染色体11上の新規遺伝子座、及び前立腺癌のための染色体8上の新規遺伝子座の発見の道である初期前侵入性損傷におけるヘテロ接合度の欠失の敏感な検出を可能にした。
【0011】
本発明の実施はさらに、抽出された材料からの遺伝子ライブラリーの作製を可能にする。従って、注目の予定された細胞、特に異常細胞からのライブラリーが作製され、そしてすぐ近くの又は隣接した他の細胞、たとえば正常細胞から作製されるライブラリーに比較され得る。そのようなライブラリーはたとえば、1又は複数の特定の遺伝子座を比較し、1又は複数の RNA、特にmRNAの発現を比較し、1又は複数の特定の核酸を単離し、そして/又はクローン化するために、そして同様のことのために使用され得る。
【発明の開示】
【0012】
従って、細胞組織サンプル中の特定の細胞を同定するための方法を提供することが本発明の目的である。
本発明のもう1つの目的は、細胞組織サンプルからの特定の細胞の直接的抽出方法を提供することである。
【0013】
細胞組織サンプル中の特定の細胞を同定するための自動化された方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
細胞組織サンプルからの特定の細胞の直接的抽出の自動化された方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
本発明のさらなる追加の目的は、細胞組織サンプルから純粋な細胞集団を得る方法を提供することである。
【0014】
本発明の記載が進行するにつれて明らかになるであろう本発明のそれらの及び追加の目的によれば、本発明は組織サンプルからの細胞材料の直接的抽出方法を提供し、ここでこの方法は、
a)スライド−固定された組織サンプルを供給し;
b)顕微鏡を用いて前記組織サンプルの細胞の像視野を形成し;
c)前記細胞の像視野から注目の細胞の少なくとも1つの区画を同定し、前記注目の少なくとも1つの区画の細胞が、細胞の隣接する区画よりも細胞の異なった型を包含し;そして
d)前記組織サンプルから注目の少なくとも1つの区画の細胞を抽出する;
ことを包含する。
【0015】
もう1つの態様においては、本発明は、組織サンプルからの細胞材料の直接的抽出方法を提供し、ここで、この方法は、
a)組織サンプルを供給し;
b)接着性を有する選択領域を提供するように活性化され得る選択的活性化可能表面と前記組織サンプルとを接触せしめ;
c)前記組織サンプルの抽出されるべき少なくとも1つの部分を同定し;
d)前記組織サンプルの前記少なくとも1つの部分に対応し、そしてその部分と接触して存在する移送表面の領域を選択的に活性化することにより、前記移送表面の前記活性化された領域を前記組織サンプルの前記少なくとも1つの部分に選択的に付着せしめ;そして
e)前記移送表面の前記活性化された領域と前記組織サンプルの前記少なくとも1つの部分との間の付着性を維持しながら、前記組織サンプルの前記少なくとも1つの部分が前記組織サンプルの残りの部分から抽出されるように前記組織サンプルから前記移送表面を分離する;
ことを包含する。
【0016】
本発明は、非限定的な例のみにより与えられる、添付される図面に言及しながら記載されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、細胞材料を分子又は遺伝子レベルで分析するための方法に向けられ、ここで前記方法は、顕微鏡下で組織サンプル中の細胞の視野を可視化し、同定された領域と、注目の細胞材料を同時に溶解し、抽出し、そして/又は維持する表面とを接触せしめ、そして前記注目の細胞材料を適切な分析システムに移送することを包含する。本発明は特に、局部組織ポリペプチド、タンパク質、たとえば酵素及び抗原、並びにDNA, RNA、特にmRNA、脂質、炭水化物、及び他の生物学的分子並びにそれらのアセンブリーの分析に適用できる。
【0018】
1つの態様によれば、本発明は、顕微鏡的可視化、及び細胞材料の獲得又は移送表面への移送を包含する付着移送方法に向けられる。
本発明はまた、十分に自動化されたシステムにも向けられ、それにより、組織はスクリーン上で可視化され得、その結果、注目の細胞の正確な視野がたとえば種々のラベル、組織学的染色、抗体、特により同定され、限界を示され又は他方では、それらの位置が区別され、そして次に、手動的にもしくは自動的に、又はそれらの2種の手段の組合せにより抽出され、そして分析され得る。
【0019】
図1は、いかにして組織サンプルが顕微鏡的に映像化され、表示モニター上に示され、そしていかにして映像化されたサンプルの領域が続く微小切除及び分析のために選択され、そして分析されるかを示す機能的システム略図である。図1に示されるように、組織サンプル1は、顕微鏡試験及び映像化のために、表面、たとえばガラススライド2上に供給される。サンプル組織1は、いづれかの従来の方法、たとえばアガロースゲルによるガラススライド2への結合、パラフィンへの組織サンプルの固定化、等に従って、ガラススライド2上に固定化され得る。
【0020】
その上に固定されたサンプル組織1を有するガラススライド2が、顕微鏡の載物台に置かれる。参照番号3により一般的に示される顕微鏡は、組織サンプル1の像を受ける。映像化装置、たとえばビデオカメラ(示されていない)が顕微鏡3に連結される。映像装置は、顕微鏡3からのサンプル組織1の像を受け、そして映像表示装置、たとえば表示モニター4上に組織サンプルの像を示す。
【0021】
サンプル組織1の像は、いづれかの与えられた像のためには顕微鏡3の“視野”に制限される。図1に示されるように、サンプル組織像の視野は、組織サンプルにおける注目の予定された細胞を染色し、又は一方では、識別するために、適切な色素、ラベルされた分子、たとえば抗体又はそのフラグメントを利用することによって光学的に区別され得る異なった細胞型のいくつかの区画、“A", "B", "C" 及び“D”を包含することができる。典型的な目的のためには、図1及び2a〜2cでは、区画“B”が注目の細胞材料の区画であることを仮定する。
【0022】
表示モニター4上の像は、組織サンプル1の注目の1又は複数の区画を選択し、そして同定するためにオペレーターにより使用される。本発明の1つの態様によれば、注目の区画が選択され、そして同定された後、オペレーターは、ガラススライド2から前記同定された区画を抽出するために装置を手動的に操作する。注目の細胞の同定はまた、像分析ソフトウェアを通して自動的に行なわれ得る。サンプル材料の抽出された区画は、分析サンプルを包含することができる。他方では、同定され、そして抽出された区画は、廃棄されるべき区画を包含し、そしてガラススライド2上に保持される残る区画が後ちに分析され得る。
【0023】
下記でより詳細に論じられる手動操作の他に、本発明のもう1つの態様によれば、ビデオカメラ(又は顕微鏡)からの像のデジタル化されたシグナルを受け、そしてサンプルが保持される顕微鏡3の段階の基準位置を受けるコンピューターを用いて、サンプル区画の相対的位置を決定されるそのサンプル区画を選択し、そして同定するために表示モニター4上の像を利用することが、本発明のもう1つの態様に従って可能になる。そのような位置決定検出及び認識システムは当業界において通常であり、そして本発明のサンプル調製方法を自動化するために容易に適用され得る。
【0024】
本発明のこの自動化された態様においては、位置決定検出及び認識を行なうコンピューターはまた、組織区画を抽出するために使用される下記に論じられる装置の移動を調節するためにも使用され、従って、サンプルの除去を自動化する。さらに、サンプルの像は、既知の技法及び装置を用いて、予定された特徴、たとえば染色の相応の程度を有する区画を自動的に同定するために電子的に走査され得る。従って、好ましい態様においては、コンピューターは、完全に自動化された態様で注目の区画を除くために装置を操作するために、そのような区画、及びそのような区画の相対的位置を選択し、そして同定するために使用され得る。
【0025】
図2a〜2cは、本発明の1つの態様に従って、いかに組織サンプル1の区画がスライド−固定された組織サンプル1から抽出するかを示す一連の機能システム略図である。図2a−2cに示される段階は、オペレーターにより手動的に、又は従来の位置決定及び制御方法を用いるコンピューター、たとえばコンピューター制御されたロボットにより行なわれ得ることが理解されるべきである。
【0026】
図2a〜2cに示される本発明の態様は、その先端上に接着剤/抽出試薬6を有する接触プローブ5を利用する。適切な接着剤/抽出試薬は、ピコライト(piccolyte)及びキシレンの混合物を含むことができる。図2aにおいては、接触プローブ5は、上記のように手動的に又はコンピューター制御により位置決定され、そして抽出されるべきサンプル区画(“B”)に対して位置調整される。図2aから容易に理解され得るように、接触プローブ先端(及び接着剤/抽出試薬)の表面積は、抽出されるべき区画の表面積にほぼ等しいか、及びそれよりも大きくないことが必要である。そうでなければ、隣接する組織区画の過度の除去が生じるであろう。必要とされるサイズのプローブ先端の製造は、当業者の能力内である。
【0027】
接触プローブ5の先端が抽出されるべきサンプル区画(“B”)に対して位置調整されると、その接触プローブ5が下げられ、その結果、その先端上の接着剤/抽出試薬6がサンプル区画と接触する(図2b)。もちろん、装置の特性に依存して、プローブ5は、注目の細胞のサンプル区画との接触するように、持ち上げられ、あるいはそうなるように移動される。
【0028】
接着剤/抽出試薬6は、サンプル区画に容易に接着するように選択される。接触プローブ5の先端上の接着剤/抽出試薬6がサンプル区画と接触し(図2b)、そしてサンプル区画がそれに接着されるようになると、接触プローブ5は接触位置から引っ込められ(図2bに示される)、そして図2cに示されるように移動され得る。接着剤/抽出試薬の相対的接着力はガラススライド上にサンプルを固定するために使用される接着力よりも大きいので、接触プローブ5は、引き抜かれ又は引っ込められる場合、ガラススライドからサンプル区画“B”を引き寄せる。
【0029】
本発明の1つの態様によれば、ガラスピペットが接触プローブ5として使用された。この態様においては、ガラスピペットの先端が、ガラスピペットの先端をピコライト/キシレン溶液に含浸することによってそのピコライト(568g/l)及びキシレン(437.5g/l)の溶液により被覆された。
【0030】
ガラススライド2からサンプル区画を除去する他に、接触プローブ5は、図2cに示されるように分析容器7に、又はいづれか他の位置、たとえば廃棄容器、培養培地、等に抽出されたサンプル区画を移送するために使用され得る。好ましい態様においては、接触プローブ5は、サンプル区画の所望の分析を行なうよう企画された自動臨床分析機のサンプル受容段階に抽出されたサンプル区画を移送するために使用される。
【0031】
従って、本発明が表面、たとえばスライド上のサンプル上のサンプル区画を同定し、表面固定されたサンプルから注目のサンプル区画を除去し、そして抽出されたサンプル区画を、その抽出されたサンプル区画の自動分析を行なうことができる自動分析機に輸送するための十分に自動化された方法及びシステムを提供できることが理解されるべきである。そのような分析は、たとえば細胞DNA, RNA、タンパク質、ポリペプチド、脂質、炭水化物、及びそれらの組合せ及び凝集体の分析を包含する。
【0032】
図2cにおいては、抽出されたサンプル区画は、その抽出されたサンプル区画に対する分析が開始され又は実施され得る試験管又は類似する容器であり得る容器7中に分散されるように示されている。図2cに示されるように、抽出されたサンプル区画のすべての又は所望する成分を接触プローブ先端から除去する試薬溶液8は、抽出されたサンプル区画がそこに提供される前に、容器7に配置され得る。たとえば、 DNA分析の場合、トリス(50mM、pH 8.5)、EDTA(1mM)、Tween 20(0.5%)及びプロテイナーゼK(0.2mg/ml)の溶液が使用され得る。この溶液は、接触プローブ5の先端からサンプル区画を抽出し、そして分析目的のために組織材料を溶解する。
【0033】
図2a〜2cに示される接触プローブの他に、中空吸引プローブがまた、スライド−固定された組織サンプルからサンプル区画を抽出するために使用され得る。そのような吸引プローブは、サンプル区画が吸引力により吸引され、そして抽出される鋭い環状の先端を有し得る。
【0034】
図3は、スライド−固定された組織サンプル1からサンプル区画を抽出するためのもう1つの装置の図示である。図3に示される抽出装置9は、切断用刃10及び捕獲アーム11を有する。捕獲アーム11は、切断用刃10に対して逆の態様で動かされ得る。捕獲アーム11は、図3においてその開放位置で示される。捕獲アーム11は、その捕獲アーム11の先端が切断用刃10と接触する閉鎖位置からその例示される開放位置まで間を移動できる。捕獲アーム11の移動は、捕獲アーム11がその捕獲アームの基部に位置するプーリーを通して通過するケーブルを引張ることによって、その基部での回転を引き起こされるケーブル及びプーリーシステムにより調節され得る。ケーブルに対する張力は、既知の態様でケーブルに張力を適用する装置上のレバーを作動し、又はボタン12を押すことによって適用され得る。そのような作動機構構造は、グリッピング装置の業界において知られている。
【0035】
図3の装置の操作においては、装置の中心軸に対して鈍角で存在する切断用刃10は、その切断用刃10を抽出されるべき組織サンプルの一部の一端上に配置し、そして次に、捕獲アーム11を閉鎖位置に動かすことによって、組織サンプルの一部を切断し、そしてすくい上げることができる。捕獲アーム11が組織サンプルと接触するにつれて、それはサンプル中に切断用刃10を引き寄せ、そして切断用刃10の方にサンプルの一部を押し、それにより、切断用刃10と捕獲アーム11との間で接触されるサンプルの一部の切断、及びすくい上げを引き起こす。
【0036】
図3装置のさらにもう1つの態様においては、捕獲アーム11の移動が、プーリーの代わりに歯車、及びケーブルの代わりに協同作用する歯状棒によりもたらされ得る。追加のそのような機械構造は、捕獲装置の業界においては知られている。
【0037】
図4a及び4bは、本発明に従って、図3の抽出装置と共に使用され得る手動抽出工具マニプレーターの略図である。図4aにおいては、抽出工具マニプレーターが、顕微鏡の載物台(図4bを参照のこと)のブレース又は支持部分への装置の着脱可能な結合のための締付け手段14を備えたベース13を有すものとして描かれている。締付け機構は、ベース13の低部におけるねじ込み内腔17を通して通過するねじ込み軸16に固定される締付けプレート15を含む。締付けノブ18が、ねじ込み軸16の末端上に供給される。その締付けノブ18の回転は、ベース13の上方部分19に対して締付けプレート15の除去を引き起こす。従って、抽出工具マニプレーターは、締付けプレート15とベース13の上方部分19との間に顕微鏡20の載物台のブレース又は支持部分21を位置決定し、そして顕微鏡20の載物台のブレース又は支持部分21に対して締付けプレート15を結合するためにノブ18を回転することによって、図4bに示されるように顕微鏡20の載物台の部分に締付けられ得る。
【0038】
抽出工具マニプレーターは、抽出工具の軸24を受けるためにそこに通し腔23を有する工具ホルダー22を包含する。理想的には、その工具ホルダー22は、抽出工具の制動された前後の動きを可能にすべきである。従って、好ましい態様によれば、工具ホルダー22の通し腔23は、スクリューを欠く工具24によりその工具軸に対して調整可能的に締結され得るブッシュを含む。
【0039】
工具ホルダー22は、工具ホルダー22及びベース13に実質的に 360度制動される (damped) スイベル (swivel)26 及び27に相対する端で連結される支持軸25により支持される。 360度制動されるスイベル26及び27間の支持軸25の長さは、調整可能である。支持軸25の調整可能な長及び通し腔23内の工具軸の位置と共に、独立した 360度制動されるスイベル26及び27の調整は、顕微鏡の載物台上に配置されるスライド−固定されたサンプルに対して抽出工具の高い程度の動きを可能にする。従って、オペレーターは、抽出工具マニプレーターにより維持される抽出工具を操作し、そしてスライド−固定された組織サンプルから選択された組織区画を高い程度の精度で動かすことができる。
【0040】
図5は、いかにしてサンプル組織の区画が適切な分析プロトコールに向けられ得るかを示す機能システム略図である。図5に示されるように、組織サンプルの区画の顕微抽出は、上記で論ぜられたように、スライド−固定された組織サンプル1から取られ、そして注目の細胞が分析のために抽出され、そして採取されるサンプル調製段階28に移送され得る。抽出された細胞はまた、この段階で溶解され得る。それらの細胞が注目の1又は複数の DNA又は RNAを含むか、又は含むと思われる場合、抽出されたサンプルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 増幅、続いて、たとえばハイブリダイゼーション、鎖配座多型現象、及びサザン及びノザンプロット、配列決定等に所望によりゆだねられ得る。もちろん、 DNA及び RNAの分析のための他の技法は当業者に知られており、そして本発明の範囲により包含される。
【0041】
抽出された細胞が注目のタンパク質又はポリペプチドを含むか、又は含むと思われる場合、その抽出されたサンプルは、たとえば1又は複数のラベルされた基質を用いての酵素ザイモグラフィー、ラベルされた抗体又はその機能的フラグメントを用いてのイムノアッセイ、生化学アッセイ及び同様の手段にゆだねられ得る。
【0042】
本発明に従っての凍結された組織断片の選択的抽出又は微小切除は、活性酵素及びmRNAの回収及び分析を可能にする。さらに、それらの断片から回収された DNAは、生来の条件下で存在し、そして研究、たとえば DNAフィンガープリントのために使用され得る。本発明に従ってのパラフィン包埋された組織の微小切除は、1つよりも少ない高い拡大視野を表わす純粋な細胞集団、又は上皮細胞内層ノウ胞空間の単一層からの DNAの PCR増幅を可能にする。
【0043】
本発明に従っての凍結された断片微小切除のためのサンプルの一般的な調製のためには、微小切除スライドが標準の組織学的スライド上に1%アガロース及びカバースリップを配置することによって調製され得る。短時間、たとえば約5分後、カバースリップが除去され、スライド上に薄いゲルが残される。たとえば約25ミクロンの厚さの小さな凍結組織断片が、アガロースゲル上に配置され、そしてすぐに、エオシンにより染色される。組織はまた、続く抽出法に依存して、RNアーゼを変性し又は他方では、阻害するために剤により処理され得る。直接的な顕微鏡可視化下で、注目の特定の細胞集団又はサブ集団が、上記で論ぜられた技法を用いて、組織断片から獲得される。
【0044】
酵素分析のためには、その獲得された組織検体が、当業者に知られているように、注目の酵素に依存して適切な緩衝液に配置され得る。酵素レベルは、いくつかの方法、たとえばザイモグラフィーにより、及び特定の基質、たとえば螢光測定、比色測定及び放射性基質の使用により測定され得る。従って、特定のあらかじめ定義された細胞集団における酵素発現の正確なレベルが決定され、そして所望する場合、組織サンプルからのもう1つの独立して単離されたサンプルのレベルに比較され得る。
【0045】
mRNA分析のためには、組織検体がアガロース上に配置され、そして所望により、RNアーゼを変性し、又は他方では、阻害するために剤により処理され得る。獲得された組織検体はすぐに、液体窒素下で凍結される。組織は、すぐに使用されるか、又は−70℃で数カ月間貯蔵され得る。mRNAは、たとえばoligo-dT上でのカラムクロマトグラフィーを用いて抽出され得る(Micro-Fast Track mRNA Isolation Kit, Invitrogen Co.) 。純粋な細胞集団の回収されたmRNAはまた、当業者に知られているようなRT-PCRにより、ポリメラーゼ鎖反応(PCR) を用いて増幅され、そして調査され得る。
【0046】
DNA分析のためには、組織検体が、50mMのトリス、pH 8.5、1mMのEDTA、 0.5% Tween 20 及び 0.2mg/mlのプロテイナーゼKの単一段階抽出緩衝溶液に配置され、37℃で4時間、続いて約95℃で10分間、インキュベートされ得る。回収された DNAはまた、当業界において知られている分析技法、たとえばブロット、配列決定、等と組合して PCR技法を用いて増幅され、そして分析され得る。生来の DNAが DNAフィンガープリント分析のために必要とされる場合、プロテイナーゼKは、フィンガープリントプロトコールにおいてDNアーゼの後に添加され得る。
【0047】
パラフィン断片微小切除のためには、通常のホルマリン固定された、パラフィン包埋された組織切片が、パラフィン除去の後に微小切除され、そしてすぐに、エオシンにより染色される。組織断片は、直接的な顕微鏡により可視化され、そして注目の細胞集団又はサブ集団が、上記で論じられた接着剤被覆先端を有する改良されたガラスピペットを用いて獲得される。1つの細胞ほどの小さな組織検体がこの方法により得られる。解培の特異性は、現在知られている技法よりも有意な改良性を示す。
【0048】
パラフィン包埋された組織の DNA分析のためには、切除された組織検体を含むガラスピペットが、そのピペット先端から組織を除去する、50mMのトリス、pH 8.5、1mMのEDTA、 0.5% Tween 20 及び 0.2mg/mlのプロテイナーゼKの単一段階抽出緩衝溶液に配置される。サンプルが、サンプルサイズに依存して、約37℃で2〜24時間、続いて約95℃で10分間インキュベートされる。次に、ガラスピペット先端が殺菌され、そして再使用されるが、但し、これは一般的には、交差汚染性材料の可能性ある増幅のために PCR−に基づく分の場合、推薦されない。
【0049】
本発明のもう1つの態様においては、注目の1又は複数の細胞が、下記の例示されるようにレーザー捕獲微小切除により単離される。レーザー捕獲微小切除の主要操作は図9に示される(顕微鏡は示されていない)。本発明のこの方法においては、組織サンプル検体が前記のように、支持体上に固定され、そして透明又は半透明フィルム又はテープ(移送フィルム)がその組織サンプル検体の上部に配置される。次に、組織サンプルが、予定された標的細胞、たとえば異常細胞(又は比較のための対照細胞)について顕微鏡的に試験される。前記のように、細胞は、サンプルにおける注目の予定された細胞を同定し、そして/又は分化するために、色素により、免疫学的に、等により染色され得る。
【0050】
次に、注目の予定された細胞は、電磁線が集中される標的点と一致するようにされる。この一致は、たとえば検体又は標的点のいづれかのx−y−zトランスレーションにより達成され得る。たとえば、標的点は、注目の予定された細胞がこの標的点に持ってこられるように並進される像視野及び顕微鏡載物台の中心と一致する。
【0051】
1又は複数の集中されたパルスのエネルギー(たとえば赤外レーザーからの光の形での電磁エネルギー、熱エネルギー、等)が、標的物を被覆するフィルムに向けられる。十分なエネルギーが、標的点で注目の予定された細胞を被覆するフィルム又はテープを選択的に加熱するが又は他方では、それらの接着特性を変更するために標的点に向けられる。この場合、フィルム又はテープは、正確にあらかじめ定義された位置における光学的活性化によりサンプルにおける特定の標的物で選択的に接着性にされる。
【0052】
好ましくは、レーザーは標的スポットに電磁エネルギーを供給するために本発明において使用される。これは、レーザーが一定表面上の小さな領域に容易且つ効果的に集中され得る強く平行な光のひじょうに明るい光源である理由からである。光学顕微鏡の視野の光学中心上へのレーザー焦点合せることによって、活性化エネルギーが、組織サンプルの上部に存在するフィルム又はテープの標的領域に集中的に供給され得る。さらに、レーザーの時期及び持続期間は、エネルギーの調節された量が標的点に向けられ得るように、容易に調節され得る。さらに、レーザー線は、使用される波長の回折限界ほどの小さなスポットに集中され、そして従って、1ミクロンほどの小さな標的物への選択的接着性を可能にする。従って、スポットは、均質クラスターの細胞、個々の細胞、又は細胞の一部さえを選択するのに十分に小さい。
【0053】
集中された放射線パルスからの十分なエネルギーが組織サンプルにおける注目の予定された細胞と接触するフィルム表面の活性化を付与するために吸収される場合、接着層がフィルム又はテープと特異的に標的化された細胞との間で形成される。フィルムと標的化された組織との間で形成される焦点結合強さが基礎をなす支持体(たとえば顕微鏡スライド)に対する標的化された組織の結合強さよりも大きい限り、その標的化された組織はフィルムの除去に基づいて獲得され得る。活性化されていないフィルムの領域が組織サンプル内の粒子(たとえば細胞間)の強さよりもサンプル組織スライスの標的化されていない領域と弱い結合を形成し、そしてそれらの細胞間結合が基礎をなす支持体に対する粒子の結合よりも弱い場合、及び組織と基礎をなす支持体との間の結合が活性化されたフィルムと標的化された組織との間で形成される結合よりも弱い場合、標的化された組織はフィルム又はテープに選択的に結合し、そしてフィルムが組織スライドから剥離され、又は除去される場合、選択的に除去され得る。
【0054】
オペレーターの必要性に依存して移送される組織の大きさは、レーザー線の直径及びパルスの持続期間を変えることによって変更され得る。60〜700 μmの直径範囲での高い再生可能な移送は、隣接する非腫瘍性細胞に侵害を与えないで、小さな(100μm〜1μm)病変部の獲得を容易に達成できる。最とも基本的且つ臨床的な研究においては、数百〜数千の細胞の獲得が、信頼できる増幅及び統計学的に意義のある分析のために十分な遺伝子材料を供給するために必要である。しかしながら、レーザー線は1つの細胞の直径よりも小さく集中され得るので、標的化された単一の細胞又はその一部さえもの移送が、本発明の実施において可能であると思われる。
【0055】
熱可塑性ポリマーフィルムは、表面を結合するための熱及び圧力活性化された接着剤として広く使用される。添加される色素を有さないそれらのポリマーフィルムのほとんどは、従来の光顕微鏡に使用される可視光に対して透明又は半透明である。しかしながら、それらのフィルムは、電磁スペクトルの特定の領域において(たとえば、強い分子振動モードに関連する赤外の領域、たとえば3000, 1800, 1400− 960cm−1)、固有的に強い吸収性である。
【0056】
可視光に対するそれらの透明度を変えないで、他の特定の赤外波長で強い吸収性を提供するために熱可塑性フィルムに赤外吸収染料を添加することもまた可能である。そのような染料は好ましくは、IR吸収性染料、たとえばメタロナフターロシアニン、ナフターロシアニン、及びシアニン染料である。電磁線(たとえばレーザー)の集中されたパルスがフィルムにより強く吸収される波長で供給される場合、そのフィルムは急速に効果的に集中して加熱され得る。
【0057】
指示薬がまた、光学活性化の位置を定義するために、選択的接着剤移送フィルムに又は別々の層に含まれ得る。そのような指示薬は、熱変色性染料、可視同定又は機器同定のための色を形成するために溶融に基づいて結合する染料先駆物質、及び光学的吸収性の他の効果により着色剤に転換される染料を包含する。適切な指示薬はまた、物理的効果、たとえば光学的暴露又は加熱に基づいて透明度又は不透明度の出現又は消失を包含する。
【0058】
理論に拘束されるわけではないが、そのような熱可塑性フィルムが溶融点近くに又は溶融点で加熱される場合、それらは隣接する表面(この場合、標的化された組織サンプル)に流れ、そして適合し、強い表面結合を形成すると思われる。この結合は、組織サンプルに対して実際の化学的架橋を伴わないで生じると思われる。そのような強い結合は、圧力がサンプル表面との強い適合性に“溶融物”の流れを強制するために適用される場合、最とも確実に形成される。
【0059】
しかしながら、組織に近接して適用される滑らかなフィルムを用い、そして選択された組成の熱可塑性フィルムに対して適切なパルスパラメーターを供給することによって、生じる高い再生可能な集中的マイクロ移送のためにフィルムと組織との間で適切に強い結合を形成するために、十分な時間、高いフィルム流動性に関連するピーク温度にフィルムを確実に集中的に加熱することができる。さらに、標的化された組織のフィルムへの集中的な結合を活性化するためにパルスされた赤外レーザー源を用いることによって、その標的化された組織は、焦点の組織形態学を保持し、そしてマイクロ移送の前、その間及びそれに続いて、変更されない顕微鏡観察を可能にしながら、化学的変性を伴わないで、定量的に獲得される(フィルムへの実質的に完全なマイクロ移送)。
【0060】
任意の追加の段階がまた、注目の細胞と活性化されたポリマーフィルムとの間の結合を改良し、そして支持体への注目の組織の結合を低め、その結果、選択された細胞がより容易に除去され得るように、レーザー捕獲微小切除に使用され得る。スライドは、(i)ポリマーフィルムよりも組織サンプルのための固有の低い親和性を有する材料であるよう選択され得、(ii)この親和性を減じる剤により予備処理され得、又は(iii )溶融できるポリマーフィルムと適合する材料に封入され得る。たとえば、その上に組織を有するガラススライドは、3%グリセロール水溶液に含浸し、続いて乾燥せしめることによって、通常のスライド調製法に従って処理され得る。
【0061】
他方では、組織は、溶融可能なフィルムと強い結合を形成し、そして分析段階において組織サンプルの回収を可能にするために十分に水溶性であるポリマー材料に封入され得る。そのような材料への組織の封入は、被覆技法、たとえば溶液へのポリマーの適用により、又は組織上にフィルム形での材料を配置し、そしてそれを溶融することによって行なわれ得る。封入はまた、組織への溶融可能なフィルムの結合を強め、そしてスライドへのその結合を低めるために、ホットメルトフィルム上にコーチングの形で存在することができる。さらに、組織と標的化された表面との間の結合強さを強め、組織とスライドとの間の結合強さを低め、そしてスライドからの組織/溶融されたポリマーの信頼できる除去を可能にする材料により表面/組織の組合せを処理することが可能である。
【0062】
電磁エネルギーのいづれかの波長が、適切な材料が使用される条件下で、本発明の実施下で使用され得る。特に、移送フィルムが標的化された領域における熱可塑性ポリマーを溶融し、又はほぼ溶融するために選択された波長で十分なエネルギーを吸収する(又は十分なエネルギーを吸収する1又は複数の染料を含む)ことが重要である。熱可塑性材料、たとえばエチレンビニルアセテートのためには、約3〜約10μmの波長が、それらの材料がこの範囲で本来、吸収するので、好ましい。使用されるレーザーの力は一般的に、標的物の大きさに依存して(すなわち、標的物の大きさの上昇と共に力が高まる)、約1mW〜約 200mW、好ましくは約10mW〜100mW の範囲で存在する。
【0063】
レーザー活性化及びフィルム吸収のための波長は、顕微鏡観察像のために使用される通常の範囲外で選択されることがまた、好ましい。組織の再生可能マイクロ移送は、整調できる二酸化炭素レーザーからの種々の赤外波長(9.6〜11μm)を用いて得られる。
【0064】
移送フィルムは、電磁又は熱エネルギーにより選択的に活性化でき、そして好ましくは、可視化波長に対して透明又は半透明であるいづれかであり得る。この選択的に活性化できる移送フィルムは、たとえば広範囲の種類の熱可塑性材料、たとえばエチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、及び同様のものから製造され得る。本発明の1つの態様においては、選択的活性化移送フィルムは、重合可能な物質、たとえば電磁エネルギーへの暴露に基づいて重合する電磁的に活性化された重合可能物質のフィルムである。
【0065】
本発明の実施において有用であることが見出された特定の他の選択的活性化材料は次のものである:感熱性接着剤及びワックス、Precision Coatings製品# HAL-2 180C;熱活性化された熱接着剤及びシーラント、たとえばBan Fastening Systems (Brooklyn, NY)からのもの;紫外線感受性又は硬化性光学的接着剤、たとえばThorLabs, Inc.製品NO60-NOA81;及び熱又は光学的エマルジョン、たとえばシルクスクリーン被覆されたエマルジョンB6、すなわち高いメッシュの粉末化され、再構成されたLelt Fixitエマルジョン(Riso Kagaku Corp.)。
【0066】
上記接着剤フィルムは、自立フィルムであり得、又は支持フィルムにより積層され得る。さらに、その支持フィルムは、熱可塑性ポリマーの活性化を実質的に妨害するほど強く電磁エネルギーを吸収しない材料から製造され得る。支持体は好ましくは、活性化波長で、及び可視化波長で弱く吸収する。他方、活性化可能フィルムは好ましくは、可視化波長で弱く吸収するが、しかし活性化波長で強く吸収する。支持体はまた、活性化の間に生じるその得られる熱転移により影響を受けるべきではない。
【0067】
顕微鏡スライド及び透明テープの使用は、本発明の1つの態様の実施において好ましい。顕微鏡によるスライドの観察は、病理学者又は他の顕微鏡観察者が組織サンプル上の1又は複数のスポットを選択し、そしてそれらを、いずれか適切な光学システムからの(不可視)赤外エネルギーに暴露することを可能にする。フィルムは選択された1又は複数のスポットで接着性になり、そしてそれらのスポットでの組織はポリマーフィルムに容易に接着し、次にこれは、フィルムと共に組織サンプルを保持するためにスライドから除去される。
【0068】
次に、選択されたサンプルが続く所望する分析、特に遺伝子突然変異/欠失、mRNA及び/又はタンパク質濃度により測定されるような変更された遺伝子発現、酵素活性の変化、及び同様のものの分子分析に、適切な技法によりフィルムから除去され得る。注目の細胞の1つ以上のサンプルが単一のサンプルスライスから得られるので、正常細胞がまた同じ組織から獲得され、分子的に分析され、そして正常細胞と共に注目の細胞の分析が有用な診断及び予後情報のために比較され得る。
【0069】
レーザー微小切除システムは、種々のサンプル調製物、たとえば組織の染色された薄断片又は損なわれていない細胞の染色された細胞学的検体に関して都合良く使用され得る。この場合、移送された領域は、透明なフィルム上の集中的に移送された、染色された材料により顕微鏡において明確に同定され得る。他方では、フィルム及び組織スライドは、続いて自動的に記録され得る個々の移送された点に特定のスライド位置を合わせるためにx−y座標システムに表示され得る。
【0070】
次に、マイクロ移送された組織は、たとえば所望の反応又は抽出容器中に正確に記録されたスポットを直接的に打抜くことにより(たとえば、自動x−yトランスレーションにより)、又は反応容器中にフィルム全体を配置することにより、フィルムから収集され得る。
【0071】
本発明の1つの態様において、たとえばRT-PCRによる、抽出された細胞材料の分子分析は、支持体に付着する小さな物体(たとえば、50μmのスポットの組織)の局在化、及びバイアル中に打抜かれた分析チャンバー中へのそれらの収集を必要とする。個々の標的部位の位置及び自動化された並進のx−yコードの使用は、支持フィルムがその過程の適用、活性化及び除去段階において変形も又は延伸もされない限り、打抜かれるべきその領域の同じ座標を用いての自動化を可能にする。従って、サンプル収集過程はまた、自動化に敏感に反応する。他方では、標的部位が移送支持体上の既知の位置で存在することを確かめることができる。
【0072】
例えば、接着剤移送フィルムの複数の小片は、完全な検体に支持フィルムの単一の大きな片を適用するよりもむしろ、抽出されるべき部位に対応する組織上のそれらの位置に選択的に適用され得る。典型的なそのようなスケムは、接着剤フィルムの小さなディスクが別々に活性化できる標的部位の線状アレイを供給するために、連続したポリエステルフィルム、好ましくは強く且つ容易に延伸されないシート上に一定の反復距離で適用されることである。個々の標的区画が同定された後、線状アレイにおける次の未使用の小さな接着剤スポットが、小さな圧力プレート又はエアジェットによりこの領域に固定された隔離距離で局部的に適用される。
【0073】
次に、ユニットとしての支持体/組織スライドが、標的区画(すなわち、レーザースポットの直径よりも大きな、接着剤スポットの直径)内の特定細胞(レーザースポット直径により決定される)を標的化するために顕微鏡観察下で微位置決定される。支持フィルム及びそれらの小さなフィルム片を適用する装置が、固定した対照(たとえば顕微鏡対物レンズ)に対して位置する場合、付着組織スポットは常に、支持フィルム(たとえば、接着剤フィルムが等しい空間距離で存在する場合、狭いストリップの中央部分における)上の既知位置に存在することになっている。標的区画内の同様の細胞の標的化は、連続的なレーザーパルス間でサンプルを微並進することによって達成される。
【0074】
従って、オペレーターは、予定された注目の組織が視野の中央に存在するよう顕微鏡におけるスライドを位置決定し、次に圧力プレート又は他の手段、たとえばエアジェットが、注目の予定された細胞/目的物が支持フィルム上の既知の位置内に存在するよう、組織に対する接着剤フィルムスポットを並置することができる。接着剤は、IRレーザーパルスにより活性化され、そして次に、圧力プレートが開放される。次に、フィルムが検体スライドから分離され、そしてフィルムの新鮮な部分が次の検体位置で使用され得るよう進められる。
【0075】
前記過程は、フィルムがそれらの過程において変形されないので、固定された立体分離による一連の規則的(番号付けされたアレイ)なスポット上へのすべての移送の発生を可能にする。接着剤フィルムスポットの大きさが標的区画の大きさを決定し、その大きさ内で、目的物/細胞の選択が本発明の態様においてその1つの移送(アレイ番号)のために行なわれる。標的区画の大きさは、特定のフィルム(すなわち、規則的アレイの幾何学)の選択により決定されるが、しかし同じ支持フィルム上の異なった大きさの平行列のスポットにより高められ得、又は低められ得る。
接着剤移送フィルムの例は、キャリヤー支持体を有するか又は有さない小片、又は接着剤フィルムの単離された部分、好ましくは等しく間隔をあけられた部分である。これに関して、テープの使用は、作動領域へのフィルムの新しい部分の移送の容易さ、及び収集又は貯蔵手段への活性化されたフィルムの除去の容易さを提供する。組織からの接着剤フィルムの除去は、支持体(たとえば、スライド)を適切な位置に維持しながら、テープを引張ることによって達成され得る。これは、圧力プレートを使用する本発明の態様においては、その圧力プレートが除去された後に達成される。これは、多くの場合、接着剤フィルムが、引張及び圧力プレート作動過程(たとえば横方向テープ輸送方向における対称の撓み)の間、テープの位置合せを維持するテープ輸送のための機械装置、及び張力下で変化しないであろう支持体に強く結合されることを必要とする。
【0076】
さらに単純化される本発明のもう1つの態様においては、収集過程が、接着剤フィルムの所望する部分を切断(打抜くよりもむしろ)することによって行なわれる。この単純化された態様は、パンチとダイとの間の密接した耐性のための必要条件を排除する。他方では、他の手段が、テープの残りから組織/接着剤フィルムを分離するために使用され得る。そのような手段は、本明細書における開示に基づいて当業者に明らかであり、そしてテープの直接的な剥離、接着剤テープ、又は支持フィルムに対するその結合のいづれかの焦点溶解、熱線ナイフ(検体間の汚染物を排除するために自己−殺菌する)によるスポットの摘出を包含する。
【0077】
本発明のさらなる特徴は、サンプルの同定に向けられる。フィルムの小さな部分は、顕微鏡下で見出され、そして検体のビデオ像と共に記録され得る、それらの小さな部分に結合される微小な識別マーク(たとえば、バーコード)を有することができる。これが達成される実際的な手段は、上記のテープ形態に基づいて接着剤の個々の別々のスポットに隣接する機械的に強い支持体上に識別マークを配置することである。それらの識別マークのさらなる使用は、個々の新規検体のためのテープの進行を調節することである。顕微鏡、又は種々の検体の分析におけるセンサーは、前記マークがたとえば、テープが進行せしめられるにつれて、視野の中央に存在し、そして次に、テープ輸送を止める時期を決定する。他方では、機械的駆動装置(たとえば、スプロケットを有する)が、固定された既知量、テープを進行せしめるために使用され得る。
【0078】
本発明の好ましい態様として、微小隣接バーコード識別体にそっての等しく間隔をあけられた接着剤フィルムスポットが、薄い(たとえば、1mm)幅の、機械的に強いバッキングテープ、たとえば、好ましくはリーダーを有する無菌カセットに供給される約 0.002インチの厚さのマイラーの中央に配置される。カセット及びステッパーモーター巻取駆動装置が、逆転顕微鏡(又は、スライドが手動的に動かされる予定である場合、その定置段階)のハウジングに結合され、その結果、テープの中央が、顕微鏡対物レンズ(及び視野)の中央と並べられ、そしてテープが検体のレベル以上で存在する。リーダーがステッパーモーターの駆動軸上のスプールに結合され、そして十分に巻取られ、その結果、テープは巻取モーターに強く結合され、そして最初の接着剤スポットが正しい位置に計画通りに存在する。
【0079】
ソレノイド作動圧力プレートがテープ上に押し下がり、その結果、それは検体に十分に密接して存在し、顕微鏡におけるセンサー(ビデオシグナル)が、テープがその正確な最終位置に進められ得るよう検体に強く結合される前、識別マークを次に、テープはその最終位置に進められ、そして圧力プレートがフィルムに対して強く押付けられる。IRレーザーが活性化され、接着剤フィルムに選択された組織を結合せしめ、そしてその後すぐに、圧力プレートが開放される。
【0080】
次に、フィルムと載物台との間に横たわる2つの熊手(prong) を固定して維持する圧力プレートソレノイドが、それらの2つの熊手が組織からテープを取りはがすような上方に一時的に作動される。次の検体がオペレーターにより任意に選択され、そして圧力プレートが、センサーが識別マークを検出できるようにその部分的下方位置で活性化され、そして前記過程が所望により反復される。最終検体が移送された後、モーターはテープをさらに進行せしめ、そして次に、巻取りスプール及びカセットが除去され、そして載物台上に固定された収集装置のモーター軸に結合される。
【0081】
この装置は、テープの残りから接着剤スポット/付着組織を切り取るために熱線ナイフを使用し、そして前記2種のもの(必要なら)を分離し、そしてバイアル又は96ウェルマイクロタイタープレートのいづれかにサンプルを沈積するためにエアジェットを用いる。テープの長さにそっての接着剤スポットの既知の位置が、最初のスポットを正確に位置決定し、そして続く位置にテープを進めるために使用され得る。フィルムラベルと相互関係するコンピューター生成バーコードが、追跡のためにバイアル又はマイクロタイタープレートに結合される。そのバーコードは、マイクロ移送サンプル(たとえば像、患者数、検体数、等)のコンピューターデータエントリーに貯蔵され、そしてレーザー活性化の直後に標的物の像に直接的に記録される。
【0082】
レーザー捕獲微小切除(LCM) は、従来技術よりも次のような多くの利点を有する: LCMは、(1)実施するのに簡単であり、(2)その単純形においては、移動部分を必要とせず、(3)手動微小切除器用さ又は操作を必要とせず、そして最とも重要なことには、(4)移送が一段階過程である。さらに、フィルムに移送される組織はその形態を保持し、分子分析の前、その捕獲された材料の特異性の顕微鏡検証を可能にする。本発明のさらなる利点は、移送のための無菌の使い捨てフィルムの使用が、 PCR技法を用いる分析において特に重要であるいづれかの可能性ある汚染問題を最少にすることである。さらにもう1つの本発明の利点として、捕獲フィルムは、少量のエネルギー、すなわち標準の顕微鏡に結合され得る小さく、安価な低いパワーのレーザー(50mW以下)が完全な移送を付与するために十分であるようなエネルギーにより活性化され得る。
【0083】
本発明の利点の例としては、個々の糸球が10秒以下で、腎組織断片サンプルから捕獲され、そして数百の糸球が最小の努力をもって、1時間で1人のオペレーターにより単離され得る。当業者は、そのような速度及び効率が従来の微小切除方法によりアプローチされ得ないことを理解する。
【0084】
レーザー捕獲微小切除が生物学的サンプルに対しての使用に限定されないことがまた理解されるべきである。実際、本明細書に記載される技法は、顕微鏡視野において他の目的物から識別される必要があるいずれかの目的物の分類/除去のために使用され得る。たとえば、微小機械加工された物体は、本発明の実施下で、容易に、急速に且つ効果的に分類され得る。本発明の実施は、熱可塑性移送フィルムの特定の局在化された溶融を提供するいづれかのエネルギー源が本発明において作動するような電磁エネルギーの使用に必ずしも制限されないことがさらに理解されるべきである。
【0085】
電気回路からの熱源は、移送されるべき領域がおよそ1mmの大きさの比較的均質な組織サンプルにおけるように十分に大きい場合に所望される。本明細書における開示に基づいて当業者に明らかなように、電気的に加熱された放射線ビーター、鉄又は鉛筆型加熱プローブ、フラッシュバルブ発生エネルギー(たとえば、1又は複数の精密マスクと共に使用される場合)、焦点合せされたキセノンランプ(ILC Technology, Inc., Sunnyvale, CAから得られるような)、及び同様のものがまた、選択エネルギーの源として有用である。
本発明の特性及び特徴が次の例により示されるが、それらは本発明を制限するものではない。例において、百分率は、特にことわらない限り、重量によってである。
【0086】
次の例は、本発明がヒト腫瘍侵入の間、プロテアーゼ分布をより特異的に研究するために使用されるかどうかを確立するための試みにおいて実施された。侵入性乳癌及び結腸癌の分野における MMP-2及びカテプシンBのレベルが、それらの領域における酵素が同じ患者からの正常細胞の数に比較して定量的に高められたかどうかを評価するために測定された。
【0087】
次の例においては、手術的切除からの結腸及び乳房組織の正常及び腫瘍サンプルが、分析まで、凍結状態(−70℃)で維持された。侵入性乳癌及び結腸癌の組織断片が、組織学的評価に基づいて選択された。腫瘍断片のためには、侵入性腫瘍及び基質を含む組織の組織学的領域が選択されたが、但し正常上皮、又は痰症性細胞の有意数は除かれた。正常組織の対照断片は、上皮、及びその下に存在する基質の薄断片を含んだ。上皮及び基質組織の割合は、正常及び腫瘍断片に関して類似した。
【0088】
例において、微小切除スライドは、 200μLの暖かなアガロース(1%)により標準の組織学的スライドを被覆し、そしてカバースリップをその上に被覆することによって調製された。5分後、カバースリップが除かれ、スライド上のアガロースの薄層が残存した。20ミクロンの厚さの凍結された断片がクリオスタットにおいて調製され、そしてアガロースゲル上に配置された。組織が短時間、エオシンに含浸された。最適な微小切除は、個々の断片の端で開始し、そして図3の微小切除装置により注目の組織学的部分を組織的に解培し、そして分離することによって達成された。注目の部分は、続く分析のためにスライド上に保持された。検体中の DNA含有量は、 260nmでの分光光度測定により決定された。個々のサンプル中の DNA含有量は、個々の組織学的断片において計測された細胞の数に比例した。
【0089】
微小切除された組織断片のcDNA(及びDNA)ライブラリーがまた、本発明及びそのようなライブラリーの製造方法により供給される。そのようなライブラリーは、明確な組織学的起源及び腫瘍形成段階の細胞において特異的に発現される転写体の同定を促進することにおいて、それ自体有用である。
【0090】
例 1.
この例においては、細胞数のために適合された正常及び腫瘍組織のサンプルを個々の対象から分析した。 MMP-2のレベルをザイモグラフィーにより決定し、そして Arcusスキャナーを用いて定量化した。結果を、スチューデンドt−テストを用いて統計学的に分析した。カテプシンBレベルを、基質 Z-Arg-Arg-NHMecに対するVmax として決定した。
この例の結果は下記表1及び表2に示されており、この表においては、適合された対の侵入性結腸癌/正常上皮及び侵入性乳癌/正常上皮におけるカテプシンB活性を列挙する。活性測定値は、Vmax 、nモル/分×mgDNA として表わされる。カテプシンB活性は、結腸癌において平均 2.3倍(p<0.005)、及び乳癌において平均 6.9倍(p=0.077)、高められた。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
表1及び表2から見出され得るように、すべての5つの乳癌及び10の結腸癌のうち9つの癌が、同じ患者からの正常細胞の数に比較して、カテプシンBの高められた活性を示した(表1)。結腸癌における高められた活性は、19%〜 283%の範囲であり、そして腫瘍における平均的上昇は2倍以上であった。カテプシンB活性の上昇は乳癌においてより明白であり、そしてその平均的上昇は7倍よりもわずかに低かった。
【0094】
例 2.
この例においては、ポリメラーゼ鎖反応(PCR) 分析を行なった。 72KDaのタイプIVコラゲナーゼの前に報告されたcDNA配列に基づいて、センス及びアンチセンスオリゴヌクレオチドプライマーを、酵素活性化部位の増幅のために合成した(M.Onistaなど、“Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction Phenotyping of Metalloproteinases and Inhibitors in Tumor Matrix Invasion", Diagn.Mol.Pathol. 2(2): 74-80, 1993)、対のオリゴヌクレオチド配列は次の通りであった:5′−CAA TAC CTG AAC ACC TTC TA、3′−CTG TAT GTG ATC TGG TTC TTG。
【0095】
一本鎖コンホメーション多型現象(SSCP)のためのラベルされた PCRを、10μlの反応において次のものを組合すことによって得た:1μlの10×PCR 緩衝液(100mMのトリス−HCl 、pH 8.3; 500mMの KCl;15mMの MgCl2; 0.1%w/vのゼラチン);1μLの DNA抽出緩衝液;50pモルの個々のプライマー;20nモルの個々のdCTP, dGTP, dTTT及びdATP; 0.2μlの〔32P〕dCTP(6000Ci/mモル);及び 0.1単位の Taq DNAポリメラーゼ。増幅反応を、95℃で30秒間、60℃で30秒間、及び72℃で30秒間30サイクル行なった。
【0096】
図6aは、同じ患者からの正常結腸粘膜に比較して10人の侵入性結腸癌症例における MMP-2の発現を示す。棒グラフは、酵素の 72KDaの前形において約3倍の上昇率(p<0.001)及び酵素の 62KDaの活性形において10倍の上昇率(p<0.001)を示す。
図6bは、侵入性乳癌の5人の症例における MMP-2の発現を示す。棒グラフは、酵素の 72KDaの前形において3倍の適切な上昇率(p<0.05)及び酵素の 62KDaの活性形において10倍の適切な上昇率(p<0.05)を示す。
【0097】
72KDaプロタイプIVコラゲナーゼ及び前記酵素の 62KDa活性形が同じ患者からの正常組織に比較して、すべての10人の結腸癌及びすべての5人の乳癌において高められた。その上昇率は、酵素の 62KDa活性形において高く、その酵素は正常な対照組織に比較して、結腸瘍及び乳癌の両者において平均10倍、高められた。 72KDaのプロ酵素レベルは、両腫瘍型において平均3倍、高められた。乳癌及び結腸癌の両者に関しては、 62KDaの活性酵素における上昇はプロ酵素の上昇率よりも可変的であった。腫瘍における 62KDaの活性酵素における上昇率は3〜20倍の範囲であり、そして 72KDaのプロ酵素における上昇率は一貫して2〜5倍の範囲であった。
【0098】
それらの結果は、 Davisなど("Activity of Type IV Collagenases in Benign and Malignant Breast Disease", Br.J.Cancer, 67: 1126-1131, 1993) のヒト乳癌の分析における最近の発見に類似する。それらの著者は、ヒト乳癌患者からの組織断片のザイモグラム分析を行なった。それらの分析は、 62KDaの活性化された形として存在する全 MMP-2の画分が悪性疾患において統計学的に高められ、そしてこの活性酵素種の高い割合がより高い程度の腫瘍において検出されたことを示した。本発明は、同じ患者からの侵入性腫瘍及び正常な対照上皮の特定領域における 72KDa及び 62KDa形の酵素の両者を比較し、そして定量化することによってこの分析を拡張する。
【0099】
例 3.
この例においては、鎖コンホメーション多型現象(SSCP)分析を行なった。ラベルされ、増幅された DNAを、等体積のホルムアミド充填染料(95%のホルムアミド;20mMのEDTA;0.05%のブロモフェノールブルー;及び0.05%キシレンシアノール)と共に混合した。サンプルを、95℃で5分間、変性し、そして6%アクリルアミド(49:1のアクリルアミド:ビス)、5%グリセロール及び 0.6×TBE から成るゲル上に負荷した。サンプルを8Wで室温で、一晩、電気泳動した。ゲルを3mmの Whatman紙に移し、乾燥せしめ、そしてオートラジオグラフィーをKodak X-OMATフィルムにより行なった。
【0100】
図7は、 MMP-2活性化部位のSSCP分析を示す。この図は、侵入性結腸癌に比較しての正常な結腸粘膜の代表的な症例、及び侵入性乳癌に比較しての正常な乳房組織の代表的な症例を示す。正常及び腫瘍検体間の差異は観察されない。個人のラインにおける2つのバンドは、一本鎖及び二本鎖形 DNAを示す。類似する結果が、10人の結腸癌及び4人の乳癌に関して得られた。
【0101】
活性化された MMP-2の高められた腫瘍レベルが酵素における突然変異によるものであるかを評価するために、 PCRを用いて、結腸癌及び乳癌からのゼラチナーゼAの活性化部位をコードする DNA配列を増幅した。その活性化部位は、酵素のN−末端から 10KDaに位置し、そして 62KDaの活性種に 72KDaのプロ酵素を転換する切断部位を含む。 PCR及びSSCPによるこの領域の増幅及び分析は、研究された10人の結腸癌又は4人の乳癌のいづれにおいても検出できる突然変異を示さなかった。それらの結果は、侵入性腫瘍における高められたレベルの活性酵素が最とも可能性あることには、腫瘍関連活性化種によるものであることを示唆する。微小切除された凍結組織断片からの DNAの PCR増幅の感度は、1つの高い倍率の視野よりも低いことが決定された。 DNAの増幅に類似して、小細胞集団からのmRNAの増幅を、逆 PCRを用いて本発明に従って行なった。
【0102】
前の研究は、 MMP-2がヒト結腸癌においてアップ−レギュレートされることを示した。しかしながら、現場ハイブリダイゼーション分析を用いての最近のいくつかの研究は、ヒト結腸癌における MMP-2のMRNAレベルが腫瘍細胞とは対照的に、基質細胞において高められることを報告している。この可能性と取り組むために、凍結された組織断片を微小切除し、別々の腫瘍及び基質細胞集団における MMP-2の酵素レベルを測定した。単一の高い倍率の視野から、十分な組織を回収し、酵素レベルをザイモグラフィーにより定量化した。3人の症例の侵入性腫瘍細胞及び隣接する基質の研究は、 72KDaのプロ−MMP-2 及び活性 62KDa形が腫瘍細胞及び基質細胞集団の両者と関連していることを示す。予備データは、最高の酵素レベルが腫瘍−基質界面で存在することを示唆する。
【0103】
好ましい態様によれば、本発明は、顕微鏡観察可視化、及び獲得又は移送表面への細胞材料の移送を包含する接着剤移送方法に向けられうる。
一般的な方法によれば、接着剤表面が細胞又は組織の表面と接触して配置され、そして接着力が注目の細胞材料を接着剤表面に結合する。工具又は針の先端であり得る接着剤表面がその材料を獲得し、そしてそれを液体分析反応混合物に移送するために使用される。接着剤表面の例は、工具の先端上の接着剤被膜、又はその先端と細胞材料の表面との間の静電力の使用を包含する。
【0104】
下記に詳しく説明されるように、本発明の単離及び移送方法は、顕微鏡観察獲得のために選択される領域よりも大きな領域上の細胞材料に適用される特殊化された連続活性可能接着剤層又は表面を包含することができる。好ましい態様によれば、レーザー又は他の電磁線源が使用され、細胞材料と活性可能な接着剤層又は表面との間の接着力を活性化する。これは、選択される正確な顕微鏡領域においてのみ接着力の正確な発生を可能にする。適切なレーザーは、吸収される、好ましくはフィルムにより強く吸収される波長を提供するものである。そのようなレーザーは、 CO2レーザー、レーザーダイオード、同調可能な単一波長Ti:サファイアレーザー、及びダイオード−ポンプド NdYAGを包含する。紫外〜赤外の波長出力を有するレーザーが、本発明に従って使用され得る。
【0105】
レーザーの他に、電気的に加熱された放射線ビーター又は加熱されたプローブ、集中された又はマスクされた非レーザー光源、たとえばフラッシバルブ、キセノンランプ、等を用いて接着剤層も活性化することが可能である。
図8a〜8dは、本発明の1つの態様に従っての接着剤移送方法の連続的段階の図示である。
【0106】
図8aに示されるように、本発明の接着剤移送方法は、支持層31及び活性可能な接着剤層32を包含する移送表面を利用する。接着剤層のレーザー活性化を利用する方法においては、支持層31は好ましくは透明であり、そしてたとえば透明ポリマー、ガラス、又は類似する材料から製造される。活性可能接着剤層32は、支持層に固定される、エマルジョン層、被覆されたフィルム、又は別々の含浸されたウェブであり得る。接着剤層32が製造される材料の例は、感温性接着剤及びワックス(たとえば、Precision Coatingsからの# HAL-2 180C)、熱接着剤及びシーラント(Bay Fastening Systems, Brooklyn, NYから入手できる)、紫外線感受性又は硬化性光学的接着剤(たとえば、ThorLabs Inc. からのNO60-NOA81)、及び熱又は光学的エマルジョン(たとえば、シルクスクリーン被覆されたエマルジョンB6 Hi Mesh, Riso Kagaku Corp.)を包含する。
【0107】
支持層31は、接着剤表面のための物理的支持体を供給し、そして従って、活性可能な接着剤表面中に物理的に結合され得る。
活性化可能接着剤層32は、組織に対して局部的に付着性になるよう電磁線により刺激される(活性化される)その能力により特徴づけられる。選択的に活性化可能接着剤層32を活性化するためには、1又は複数の化学成分が層中に組込まれ、そこで前記化学成分が電磁エネルギーの選択的吸収を引き起こす。好ましくは、そのような化学成分は、たとえばレーザーダイオードと共に使用するのに適切なIR−吸収性染料である。
【0108】
図8aに示されるように、移送表面30は、顕微鏡スライドであり得る支持メンバー34上に支持されるミクロトーム断片又は細胞スミアであり得る細胞材料サンプル33上に初め位置する。組織ミクロトームの場合、通常の方法を用いて、パラフィン包埋された、ホルマリン−固定された組織サンプルを供給することができる。
図8bに示されるように、移送表面30は、細胞材料サンプル33と接触せしめられる。活性化可能接着剤層32は好ましくは、続いて獲得のために選択される細胞材料サンプルの小区域よりも大きな領域を有することが注目される。
【0109】
移送表面30は、細胞材料支持サンプル33に、クリップ、接着剤、テープ、標準の接着剤又は類似する便利な手段により固定され得る。移送表面30はまた、情報、たとえば患者の識別コード又は試験企画を書くためにラベル領域35(図8bの点線を参照のこと)を含むことができる。
【0110】
移送表面30が細胞材料サンプル333 と接触せしめられた後、その細胞材料サンプルは、注目の領域“A”を位置決定するために、標準の底又は高倍率顕微鏡により観察される。この領域は、単一細胞よりも小さな領域(10ミクロン以下)、数個の細胞、細胞又は組織の完全な部分までのサイズ範囲であり得る。注目の領域“A”が識別される場合、その領域“A”のすぐ上に存在する活性化可能接着剤層32の正確な領域が、図8cに示されるように、電磁エネルギー36のビーム、たとえばレーザービームにより活性化される。
【0111】
電磁エキルギー36の適用は、領域“A”のすぐ上に存在する活性化可能接着剤層32の領域のその領域“A”への付着を引き起こす。図8c及び8dは注目の単一の領域“A”を示しているが、複数の断続的な注目の領域が選択され、そして電磁エネルギーの適切な助け及び適用により獲得され得ることが理解されるべきである。
【0112】
図8dに示されるように、注目の1又は複数の領域が認識され、そして活性化可能接着剤層32のその対応する領域が電磁エネルギー36のビムにより活性化された後、移送表面30が細胞材料サンプル支持体34から離脱される。示されるように、その除去された移送表面30は、残存する細胞材料サンプルから引き離される、注目の領域“A”から正確な細胞材料のみを、それと共に担持する。
【0113】
上記のように、単一の移送表面が、単一の細胞材料サンプルから注目の多くの領域を除去するために使用され得る。獲得された細胞材料を担持する移送表面30は、その移送された材料の構成成分を分析するために適切な試薬により処理され得る。これは、獲得された細胞材料が付着される移送表面30を、適切な試薬溶液に含浸することによって達成され得る。他方では、1又は複数の獲得された細胞材料領域が、移送表面30から除去され得、又は獲得された細胞材料が付着される移送表面30の一部が移送表面30から打抜かれ、そして別々に分析され得る。
【0114】
次の例4及び5においては、次のサンプル獲得方法は、次の通りであった。ホルマリン−固定され、パラフィン包埋された組織又は凍結組織の5〜10ミクロン断片を、従来の手術病理学的プロトコールに従って、ガラススライド上に用意した。パラフィン断片を、キシレン(×2)、95%エタノール(×2)、50%エタノール(×2)、蒸留水(×2)により脱パラフィン化し、そして空気乾燥せしめた。凍結又はパラフィン断片を、エオシン(80%エタノール中、1%エオシン)により短時間、染色し、そして空気乾燥せしめた。
隣接するヘマトキシリン及びエオシン断片を用いて、微小切除の最適領域、すなわち興味ある特定の小細胞集団の局在化、有意な炎症を含む領域の排除、等について組織断片を評価した。
【0115】
選択された細胞集団の微小切除を、直接的な光顕微鏡観察可視化下で行なった。殺菌した30ゲージの針を、移送表面として用いた。針と細胞材料との間の静電相互反応が、選択された細胞集団を除去するために必要とされる付着性を提供する。5個ほどの細胞の純粋な細胞集団が獲得され得ることが決定された。さらに、単一細胞層、すなわち正常な上皮、ノウ胞性病変の上皮ライニング、等として配置される細胞の獲得の可能性が見出された。
【0116】
例 4.
ヒト前立腺癌は、明白な侵入性癌に進行する前、前立腺上皮内腫瘍(PIN) と呼ばれる現場腫瘍相を通して進行することがわかっている。 PIN病巣は、時おり、前立腺癌に関連することが見出されており、そして組織学的に、PION病巣における細胞は侵入性前立腺癌細胞の特徴に類似するいくつかの特徴を有する。これまでの報告は、 PIN病巣が時おり、異数性であることを示している。しかしながら、 PINと侵入性癌との間の正確な関係は不明確のまま存続している。
【0117】
この例においては、経尿道前立腺切除又は放射状前立腺切開により処理された 100人の患者からの凍結された正常及び腫瘍前立腺サンプルを採取した。それらのうち、明白な侵入性癌、及び識別できる PINの少なくとも1つの病巣を含む30の症例を、この例の間の研究のために選択した。前記組の症例のうち14症例が PINの1つ以上の病巣を含んだ。腫瘍の組織病理学は種々であり、そして十分に分化された、中ぐらいに分化された、及び不十分に分化された腫瘍を包含した。 PIN病巣は、低い及び高い両段階であった。
【0118】
正常な上皮細胞、 PIN病巣からの細胞、及び凍結された組織断片からの侵入性腫瘍細胞の選択された集団の微小切除を、上記で論じられた方法を用いて、直接的な光顕微鏡観察可視化下で実施した。注目の特定の細胞を微小切除し、そして染色されていない8μmの凍結断片から獲得した。個々の場合、同じ患者からの正常上皮、 PIN細胞、及び侵入性腫瘍細胞を分析した。
【0119】
獲得された細胞をすぐに、10mMのトリス−HCl 、pH 8.0、 100mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1%のTween 20、 0.1mg/mlのプロテイナーゼKを含む溶液20mlに再懸濁し、そして37℃で一晩インキュベートした。その混合物を5分間、煮沸し、プロテイナーゼKを不活性化し、そしてこの溶液 0.5〜2%を、ポリメラーゼ鎖反応(PCR) 分析のために使用した。
【0120】
オリゴヌクレオチドプライマーD8S136, D8S137及びNEFLを用いて、染色体 8p12-21を位置決定した。D8S137及びNEFLとの反応を、次のようにしてMJ研究熱サイクラーにおいて行なった: 950℃で2分間、続いて次のサイクルで40サイクル: 950℃で30秒間、 620℃で30秒間、 720℃で30秒間、続いて 720℃で最後の2分間のインキュベーション。
D8S136との反応を次のようにして行なった: 950℃で2分間、続いて次のようなサイクルで40サイクル: 950℃で30秒間、 550℃で30秒間、 720℃で30秒間、続いて 720℃で最後の2分間のインキュベーション。
【0121】
PCRを、 200mMのdNTP、0.8mMのプライマー、2μLのα〔32P〕dCTP (NEN)及び1単位の Taqポリメラーゼを含む反応混合物12.5mlにおいて行なった。ラベルされた増幅 DNAを、等体積のホルムアミド充填染料(95%のホルムアミド;20mMのEDTA;0.05%のブロモフェノールブルー;及び0.05%のキシレンシアノール)と共に混合した。
【0122】
サンプルを 950℃で5分間、変性し、そして7%のアクリルアミド(49:1のアクリルアミド:ビス)、 5.7Mの尿素、32%のホルムアミド、及び 0.089Mのトリス、 0.089Mのボレート、 0.002MのEDTA(1×TBE)を含むゲル中に負荷した。サンプルを、95ワットで2〜4時間、電気泳動した。ゲルを3mMの Whatman紙に移し、そしてオートラジオグラフィーをKodak X-OMATフィルムにより行なった。ヘテロ接合性の損失(LOH) についての基準は、可視化により決定されるように、1つの対立遺伝子の完全な又はほぼ完全な不在であった。 LOHを有する患者は、正常な上皮対照に2つの対立遺伝子、及び類似する強さをすべて有する腫瘍又は PINにおいて1つの対立遺伝子を示した。腫瘍又は PINにおいて1つの対立遺伝子の完全な又はほぼ完全な損失(すなわち、ひじょうに色が薄いバンド)を有する患者は、そのマーカーで LOHについて陽性であるものとしてみなされた。
【0123】
本発明の方法は、前立腺癌及び PINの隣接する病巣の両者を有する患者における染色体 8p12-21上のヘテロ接合性の損失を研究するために組織断片からの細胞を微小切除するために使用された。組織微小切除を、同時発生の PIN及び侵入性前立腺癌を有する30人の患者に対して実施した。個々患者において、同じ患者からの正常上皮、侵入性前立腺癌及び PINの少なくとも1つの病巣を試験した。14人の患者において、 PINの複数の病巣が試験された。すべての患者において、個々の PIN病巣及び対応する侵入性腫瘍を、隣接する基質、正常上皮及び炎症性細胞から選択的に微小切除した。注目の実質的に純粋な細胞集団を獲得した。
【0124】
染色体 8p12-21上の LOHは、29人の情報を与える患者のうち26人(89.6%)において少なくとも1つの PIN病巣において存在した。それらの患者の11人は、 PIN病巣の間で異なった対立遺伝子損失パターン、たとえば反対の対立遺伝子の損失を示した。合計すれば、 8p12-21 LOHは、研究されたPION病巣の63.6%(35/55)に見出された。染色体 8p12-21の対立遺伝子損失は、29人の患者のうち28人(96.5%)の侵入性腫瘍に見出された。本発明の接着剤移送技法に関連する成功に比較すると、剥離解培技法の使用は、15%以下の LOHを生成した。これは、本発明の接着剤移送の感受が、従来の技法よりも一層、高かったことを示唆する。
【0125】
例 5.
発生期の現場乳癌は時おり、広範囲の上皮過形成及び侵入性癌に関連して発生することが観察されている。病理学者は、存在物間の関係についての形跡として、異型過形成、現場癌及び侵入性癌の共通する関連性を組織学的に解釈して来た。
【0126】
この例に使用される多型現象 DNAマーカーは、染色体 11q13上に位置するPYGMであった。反応を熱サイクラーにおいて次の通りに実施した:94℃で 1.5分間、55℃で1分間、72℃で1分間、合計35回のサイクル。 PCRを10μLの体積において行ない、そして1μLの10×PCR 緩衝液(100mMのトリス−HCl 、pH 8.3; 500mMの KCl;15mMの MgCl2; 0.1%w/vのゼラチン;2μlの DNA抽出緩衝液;50pMの個々のプライマー;20nMの個々のdCTR, dGTP, dTTP、及びdATP; 0.2μlの〔32P〕dCTP(6000Cl/mM);及び 0.1単位の Taq DNAポリメラーゼ)を含んだ。
【0127】
ラベルされ、増幅された DNAを、等体積のホルムアミド充填染料(95%のホルムアミド;20mMのEDTA;0.05%のブロモフェノールブルー;及び0.05%のキシレンシアノール (xylene cyanol))と共に混合した。サンプルを95℃で5分間、変性し、そして6%のアクリルアミド(49:1のアクリルアミド:ビス)から成るゲル中に負荷した。サンプルを1800ボルトで2〜4時間、電気泳動した。ゲルを3mMの Whatman紙に移し、乾燥せしめ、そしてオートラジオグラフィーをKodak X-OMATフィルムにより行なった。微小切除された現場及び侵入性乳房サンプルからの LOHについての基準は、対立遺伝子の完全な不在であった。
【0128】
本発明の接着剤移送技術を用いて、細胞を、個々の生検からの8μmの厚さのホルマリン固定され、パラフィン除去された断片からの正常上皮、現場癌及び侵入性癌から微小切除した。染色体 11q13の対立遺伝子欠失が、研究されたヒト乳癌症例(n=105)の69%に見出された。対立遺伝子欠失が、腫瘍の現場及び侵入性成分の両者に観察された。現場及び侵入性癌が同じ断片に存在するすべての症例において(26/28)、同一の対立遺伝子が現場及び侵入性癌において失なわれていた。これは、現場乳癌が侵入性癌に対する前駆体である長く支持されて来た仮説についての分子的な支持を提供する。
【0129】
染色体 11q13上の LOH遺伝子座を詳しくマッピングするために、Genomeセンターは、染色体11の相当する領域にマッピングされた一連のSSCPプローブを供給した。初期 LOH領域は、近位マーカーPYGMにより及び遠位マーカー INT-2により限界を定められることが決定された。 105の症例のうち20のサブセットが、 INT-2又はPYGMのいずれかの LOHを示したが、しかし両者の LOHは示さなかった。それらの特別な症例を用いて、一連の介在マーカーが、 INT-2と LOHを示すPYGMとの間の最小のオーバーラップ領域をマッピングするために使用された。MEN-1(多発性内分泌腺腫症I型)遺伝子座とオーバーラップする位置で1又は2つの YAG又はコスミドクローンのみによって包含される領域に LOH区画の位置を示すことが可能であった。
【0130】
配列決定ゲル分析を、図8a〜8bに示される方法により微小切除されたヒト組織から単離された、PCR−増幅された DNAに対して行なった。その結果は、凍結された組織断片の微小切除が従来の技法によりもヒト腫瘍内の細胞集団のより特異的な分析を可能にすることを示した。本発明の微小切除技法は、特定細胞型の純粋な集団又はサブ集団からの酵素、mRNA及び DNAの分析を可能にする多くの異なった技法と組合して使用され得る。この単純な技法は、ヒト腫瘍侵入の間のプロテアーゼ分布の特徴化、腫瘍攻撃性のインジケーターとしての腫瘍及び/又は基質細胞集団におけるプロテアーゼ発現の正確な決定、及び腫瘍−基質界面でのプロテアーゼ活性の阻害における抗−プロテアーゼ治療剤の有効性のモニターリングに使用され得る。さらに、 PCR, RT-PCR、示差表示及びSSCPとこの微小切除技法の組合せは、異種ヒト腫瘍サンプルにおいて明白ではない腫瘍又は基質細胞の特定サブ集団における遺伝子変更を同定することができる。
【0131】
例 6.
ホルマリン又はアルコール固定された、パラフィン包埋された保管組織サンプルからの標準の6μm断片を、被覆れていないガラススライド上に調製した。断片を、パラフィン除去し、ヘマトキシリン及びエオシンにより染色し、水中、3%グリセロールにより1分間、処理し、そしてレーザー捕獲微小切除(LCM) の前、空気乾燥せしめた。新鮮な組織は、使用される場合、手術の直後、−70℃で急激に凍結された。6μmの低温保持断片を、標準の組織学的ガラススライド上の標準ガラス上で調製した。組織断片をホルマリン又はアルコールにおいて固定し、そしてヘマトキシリン及びエオシンにより染色した(Lerner Laboratories, Pittsburgh, PA) 。断片をアルコールにおいて脱水し、そして LCM移送の前、5分間、空気乾燥せしめた。
【0132】
LCM移送のために、100μmの厚さの平らなフィルムを、滑らかなシリコーン処理された又はポリテトラフルオロエチレンの表面上に溶融されたエチレンビニルアセテートを広げることによって製造した(Adhesive Technologies, Hampton, NJ)。光学的に透明な薄いフィルムを、組織断片の上部に配置し、そして組織/フィルムサンドイッチを、 100倍の倍率(10倍の対物レンズ)で反転顕微鏡(Olympus Model CK2, Tokyo)において観察した。パルスされた二酸化炭素レーザービームを、 EVAフィルムの上面を照射するために、コンデンサー光学路と同軸の小さな前面鏡を通して導入した。二酸化炭素レーザー(Apollo Company Model 580, Los Angeles, CA又はCalifornia Laser Company Model LS150, San Marcos, CAのいずれか)は、調節できるパルスの長さ及び力のパルスを供給した。ZnSeレンズは、標的検体上に調節できるスポットサイズにレーザービームを集中せしめた。
【0133】
150mmの直径の移送スポットのためには、25〜30mWが 600m秒パルスの間、フィルムに供給された。より小さな又はより大きなスポットのためには、パルス力は、標的領域上に集中されるレーザースポットの直径にほぼ比例して、低められ又は高められた。 FT-IR分光計及び直接的な透過の両者により測定される EVAフィルムの吸収係数が、10.6μmのレーザー波長で約 200cm−1であった。レーザーエネルギーの90%以上が熱可塑性フィルム内に吸収されるので、組織検体の直接的な加熱はほとんど生じなかった。ガラススライドは、十分な厚さの集中的に溶融されたプラスチックの過渡的な湿気を閉じ込めるよう作用する大きな冷却用放熱器を標的化された組織に供給した。冷却及び再結晶化の後、フィルムは、スライドに対する組織の接着力よりも強い、標的化された組織に対する局部表面結合を形成した。フィルム及び標的化された細胞を組織検体から除去し、フィルム表面への標的化された組織の集中的なマイクロ移送をもらたす。
【0134】
ポリメラーゼ連鎖反応のために、組織フィルム及び付着細胞をすぐに、10mMのトリス−HCl(pH 8.0) 、1mMのEDTA、1% Tween 20及び 0.1mg/mlのプロテイナーゼKを含む溶液40μlに再懸濁し、そして37℃で一晩インキュベートした。次に、混合物を10分間、煮沸し、プロテイナーゼKを不活性化した。管を短時間、回転せしめ(1000rpm、1分間)、フィルムを除去し、そして上清液 0.5μlを PCRのために使用した。最とも効果的な移送回収のために、まず移送フィルムを、約 0.5cmの直径の円形ディスクとして組織断片に適用する。 LCM移送の後、ディスクを、40μLの抽出緩衝液を含む96ウェルマイクロタイタープレートにおけるウェル中に配置する。
【0135】
多型 DNA研究のために、染色体8q上に位置する遺伝子座D8S136及び D8S33、染色体 17q21上に位置する D17S855、染色体 11q13上に位置する D11S449、染色体9p上に位置するD9S171、 VHL遺伝子のエキソン2のための特異的プライマー及びマイコバクテリウム ツベルキロシス(Mycobacterium tuberculosis)のための特異的プライマーを用いた(Research Genetics, Huntsville, AL) 。すべての PCR反応は、 PCR生成物の可視化のために32P-dCTPの組込みを包含するが、但し、臭化エチジウム染色により可視化されるM.ツベルキロシスの増幅を除いた。
【0136】
逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)のために、全 RNAを、公開されている RNA微小単離プロトコール(Stratagene, La Jolla, CA)の変法を用いて、 LCMの後、組織サンプルから抽出した。体積を比例的に、下方に調整し、そしてグリコーゲンキャリヤーにおける10倍の上昇率(10ng/ml)を、すべての沈殿段階に用いた。初期回収及び RNAペレットの再懸濁の後、DNアーゼ段階を、4単位のRNアーゼインヒビター(Perkin Elmer)の存在下で、10U/mlのDNアーゼ(GenHunter, Nashville, TN)を用いて37℃で3時間、行ない、続いて、RNAの再抽出を行なった。 RNAサンプルの完全性を、アクチン−特異的プライマー(Clonetech, Palo Alto, CA)を用いて、たとえばアクチンmRNAのRT-PCRにより決定することができる。再懸濁された RNAを、5μMのランダムヘキサマープライマー(Perkin Elmer)、250mMのdNTP及び 100単位の逆転写酵素(MMLV, GenHunter, Nashville, TN)を用いて逆転写した。
【0137】
逆転写を、RT混合物(酵素を含まない)を約65℃に5分間、加熱し、続いて約25℃で10分間プライマーアニーリングすることによって達成した。次に、逆転写酵素を添加し、続いて25℃で10分間、37℃で40分間、及び94℃で5分間、さらにインキュベートした。 PCRを特異的アクチン又は PSAプライマーにより行ない、そして生成物を変性電気泳動ゲル分析にゆだねた。
【0138】
例 7.
cDNAライブラリーを、レーザー捕獲微小切除により単離された材料を用いて生成した。二本鎖cDNAを、RNアーゼH−介入された第二鎖置換方法に基づいて約5μgの完全な細胞 RNAから調製した。逆転写第一鎖合成を、約50ng/μLのオリゴ(dT)によりプライムした。反応を約45℃で15分間、実施した。第二鎖置換及びEcoRIリンカーの付加を、製造業者(Superscript Choice System, Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD) により示されている通りに行なった。第二鎖合成の後、反応生成物を電気泳動し、そして約 0.3kb〜約2kbのフラグメントを、β−アガロース(New England Biolabs, Beverly, MA)を用いて、1%の低融点アガロースからゲル単離した。cDNAペレットを、20μlのトリス−EDTAに再懸濁し、そして−20℃で貯蔵した。
【0139】
5μLの単離されたcDNAを、標準条件下での5サイクルの PCR、及び UDGクローニングを指図するようにまた機能するリンカー特異的プライマーLINKにより増幅した。まず、cDNAを、95℃で3分間、続いて次のサイクルにより5度、変性した:95℃で15秒間、55℃で15秒間、及び72℃で2分間。最終延長を、72℃で5分間、実施した。オリゴヌクレオチドプライマー、ヌクレオチド、酵素、等を、カラムクロマトグラフィー(CHROMA SPIN-200, Clontech, Palo Alto, CA)により反応混合物から除去した。カラム流出物をエタノール沈殿せしめ、そして20μlのトリス−EDTAに再懸濁した。
【0140】
6μLの生成物を、製造業者の説明者(Life Technologies Inc., Gaithersburg, MD)に従って、UDGクローニングベクターpAMP10中にクローン化した。約 200,000個のクローンの複雑且つ比較的低冗長性のライブラリーを、この手段で調製した。異種組織又は形質転換された組織培養細胞系に由来するものとは対照的に、正常又は異常にかかわらず、均質細胞型に由来する、本発明の実施下で生成されるcDNAライブラリーは、これまで達成され得ない多くの利点を有する。さらに、cDNAライブラリーは、成長、老化、腫瘍性形質転換、等の間、mRNA発現の比較分析を可能にする。
【0141】
従って、本発明のcDNAライブラリーは、発育性又は疾病性組織において生じる複雑遺伝子又は遺伝的変更の発現の同時変動を測定するためにも有用である。本来の臨床的必要性を満たすためには、次の世代の分子分析法が小型化され、そして自動化されるであろう。自動化されたハイブリダイゼーションのための数千の配列を含むイメージチップス又はアレイシステムの開発は現在、進行中である。個々のチップは、いくつかの可能な遺伝子突然変異について同時にアッセイし、又は複数のmRNA種の発現レベルを同時に測定することができる。他方、遺伝子発現の一連の分析(SAGE)アプローチを用いて、複数転写体のmRNA発現を同時に評価することができる。
【0142】
PCR増幅を用い、そしてそのような新規の自動化技法を用いる場合、分子診断試験は、臨床学的実施において現在スタンダードな個々の試験よりむしろパネル試験から成ることができる。しかしながら、最とも洗練された遺伝的試験方法でさえ、入力DNA, RNA又はタンパク質が特徴的な疾病形態を示す純粋集団の細胞に由来しない場合、制限された価値のものであろう。本発明のcDNAライブラリーの使用は、組織サンプルの均質性のこの問題を克服する。従って、特異的な遺伝的フィンガープリントが、診断、予後において及び治療への案内としてひじょうに有用なそのようなフィンガープリントを伴って、個々の個人の病変のために確立され得る。
【0143】
本発明は、ヒト腫瘍の日常の診断、たとえばすべてのタイプの癌の前悪性病変の微小切除、感染性疾病の遺伝的分析、遺伝子療法、組織形質転換、及びトランスジェニック動物の遺伝子局在化及び分析に適用される。この技法のさらなる適用は、遺伝子型、細胞生成物、又は希集団の外寄生生物、たとえば耐薬物性生物により外寄生された単球、Hodgkins病のReed-Sternberg細胞、カポシ肉腫細胞、幹細胞及び血管細胞の分析を包含する。さらに、組織、リンパ節又は炎症領域における微生物外寄生の顕微鏡的に可視化された細胞の遺伝子的分析又は識別がまた、高い精度で達成され得る。
【0144】
本発明は特定の手段、材料及び態様により記載されて来たが、前述の記載から、当業者は本発明の不可欠な特徴を容易に確かめることができ、そして種々の改良、修飾及び変更が本発明の範囲内で種々の用途及び特徴を適合せしめるために行なわれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、いかにして組織サンプルが表示モニター上で、顕微鏡的に映像化され、表示されるか、及びその映像化されたサンプルの領域が続く微小切除及び分析のためにいかにして同定されるかを示す機能的システム略図である。
【図2a】2aは、いかにして組織サンプルの区画が本発明の1つの態様に従って、スライド−固定された組織サンプルから抽出されるかを示す一連の機能的システム略図である。
【図2b】2bは、いかにして組織サンプルの区画が本発明の1つの態様に従って、スライド−固定された組織サンプルから抽出されるかを示す一連の機能的システム略図である。
【図2c】2cは、いかにして組織サンプルの区画が本発明の1つの態様に従って、スライド−固定された組織サンプルから抽出されるかを示す一連の機能的システム略図である。
【図3】図3は、スライド−固定された組織サンプルからサンプル区画を抽出するためのもう1つの装置の図示である。
【図4a】図4aは、本発明の図3の抽出装置と共に使用され得る手動抽出具マニプレーターの図示である。
【図4b】4bは、本発明の図3の抽出装置と共に使用され得る手動抽出具マニプレーターの図示である。
【図5】図5は、いかにしてサンプル組織の区画が適切な分析プロトコールに向けられ得るかを示す機能的システム略図である。
【0146】
【図6a】図6aは、同じ患者からの正常な結腸粘膜に比較しての、10種の侵入性結腸癌症例における MMP-2の発現を示す。
【図6b】6bは、同じ患者からの正常な結腸粘膜に比較しての、5種の侵入性乳癌症例における MMP-2の発現を示す。
【図7】図7は、 MMP-2活性化部位のSSCP分析を示す。
【図8a】図8aは、本発明の1つの態様に従っての付着移送方法の連続的な段階の図示である。
【図8b】図8bは、本発明の1つの態様に従っての付着移送方法の連続的な段階の図示である。
【図8c】図8cは、本発明の1つの態様に従っての付着移送方法の連続的な段階の図示である。
【図8d】図8dは、本発明の1つの態様に従っての付着移送方法の連続的な段階の図示である。
【図9】図9は、レーザー捕獲微小切除技法を図的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌、感染性疾病又は他の病理学的過程についての診断キットであって、接着剤特性を有する選択領域を提供するように活性化され得る選択的活性化可能移送表面、及び正常組織からの細胞材料サンプルと異常組織からの細胞材料サンプルとを区別するために前記異常組織からの細胞材料サンプルに適用され得る少なくとも1つのプローブ又はマーカーを含んで成るキット。
【請求項2】
薄フィルムに対する選択的付着性により、混合されたサンプル由来の周囲の目的物からの異るものとして顕微鏡的に識別される目的物の微小切除又は移送のための装置。
【請求項3】
前記選択的付着性が電磁線の焦点に集められたパルスの結果である請求の範囲第2項記載の目的物の微小切除又は移送のための装置。
【請求項4】
前記電磁線がレーザーに由来する、請求の範囲第3項記載の目的物の微小切除又は移送のための装置。
【請求項5】
前記レーザーが赤外線レーザーである、請求の範囲第4項記載の目的物の微小切除又は移送のための装置。
【請求項6】
前記目的物が混合された病理学的検体内の1又は複数の細胞型又はオルガネラである請求の範囲第2項記載の目的物の微小切除又は移送のための装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−345868(P2006−345868A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208752(P2006−208752)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【分割の表示】特願平9−515290の分割
【原出願日】平成8年10月9日(1996.10.9)
【出願人】(305049388)アメリカ合衆国 (2)
【Fターム(参考)】