説明

顕微鏡撮像光線路の球面収差を識別し補正する方法及び装置

【課題】顕微鏡撮像光線路の球面収差を識別し補正する方法及び装置を提供する。
【解決手段】対物レンズ(10)と、撮像光線路に配置された試料(9)を担持又は覆うカバースリップ(2)と、を備える顕微鏡(1)による試料(9)の顕微鏡撮像の状況で、顕微鏡撮像光線路(7)の球面誤差を識別する方法であって、測定ビーム(130)は、対物レンズ(10)を通って試料(9)上に、偏心して対物レンズ(10)の光軸(8)外に案内され、試料(9)とカバースリップの界面(116)で反射された測定ビーム(132)は、対物レンズ(10)を通して検出器(128)に案内され、検出器(128)は、反射測定ビーム(132)の強度プロファイルを取得し、球面誤差の存在は、前記強度プロファイルから定性的及び/又は定量的に特定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズと、撮像光線路に配置された試料を担持又は覆うカバースリップと、を備える顕微鏡による試料の顕微鏡撮像の状況で、球面誤差を識別し補正する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査では、検査すべき試料は通常、カバースリップ(「カバーガラス」とも)の上又は下に配置されるか、又は大面積試料チャンバ(ウェルプレート、マイクロタイタ、Labtechプレート)内に配置される。様々なカバースリップ厚が存在し、特に上述した試料チャンバの場合、カバースリップ厚は著しくばらつき得る。異なるカバースリップ厚は、カバースリップが撮像光線路に配置される場合、システムの光学性能に影響を及ぼす。大面積試料チャンバを使用するスクリーニングの状況では、カバースリップ厚のばらつきは、画質の低減に繋がる(特に、コントラスト並びに分解能が悪影響を受ける)。この収差は、「球面誤差」とも呼ばれ、追加の調整可能な補正レンズ要素により補正することができる。このレンズ要素は通常、対物レンズの内部に搭載され、調整は通常、対物レンズの外部バレル上のいわゆる補正リングを介して手動で行われる。設定されていたフォーカスは、理想的には、補正レンズ要素により変更されない。
【0003】
特許文献1は、異なるカバースリップ厚に適合するための補正装置を有するこの種の顕微鏡目的に対処し、この文献は、補正レンズ要素を有する補正マウントが、光軸に沿って軸方向に変位可能であるとともに、光軸を中心として半径方向に回転可能であることを提案する。特に、2つのそのような補正マウントが存在すべきである。提案される特徴は、顕微鏡対物レンズ内での補正マウントの極めて均一で妨げのない変位を可能にすると言える。その文献に提案される目的は、0mm〜2mmのカバースリップ厚の場合に補正を可能にすることであると言える。
【0004】
特許文献2にも同様に、カバースリップ厚の補正、顕微鏡対物レンズ、手動で作動する調整装置に適した調整装置が記載されている。異なる厚さのカバースリップが顕微鏡検査に使用される場合、新しいカバースリップ厚毎に、手動での補正を再び実行しなければならない。これは時間がかかり、顕微鏡をより扱いにくくする。
【0005】
特許文献3には、カバースリップ厚補正の電動調整装置が開示されている。この調整装置は、対物レンズタレットに取り付けられた駆動モータを備え、駆動シャフトは、対物レンズタレット上に保持された、いくつかの顕微鏡対物レンズのうちの1つと選択的に結合可能である。各顕微鏡対物レンズは、上述した種類の補正リングを保有し、リングは、上記駆動シャフトに係合させられる。
【0006】
上で対処した異なるカバースリップ厚及び/又はカバースリップ厚のばらつきに加えて、さらなるパラメータが、顕微鏡検査状況での対物レンズの球面誤差の一因になり得ることが分かっている。これらのパラメータは、特に、使用される浸漬媒質の性質及び温度並びにカバースリップの材料及び構造である。カバースリップは通常、フロートガラスから作られ、フロートガラスは特に、LEDカバーにさらに使用されている。そのようなフロートガラスは異なる平坦性及び均質性を示す。浸漬媒質(浸漬油、水、又はグリセロール)は多くの場合、様々な目的で顕微鏡対物レンズとカバースリップとの間に導入され、その場合、顕微鏡対物レンズは、前部要素が浸漬媒質中に浸漬した浸漬対物レンズとして使用される。油浸漬対物レンズは、達成可能な分解能を増大させるように機能する。水浸漬は、準備した標本が死滅しないように、多くの場合、生きた細胞又は組織の観測に使用される。一般に、浸漬媒質は、界面での屈折率の大きな変化による、コントラストを低減させる反射を低減することができる。準備した標本の長時間のスクリーニングの場合、特に、各浸漬媒質の温度は検査中に変化する。これは、対応する画質の変化に繋がる。
【0007】
上述した影響に起因する収差は、以下、「球面誤差」と定義される。カバースリップ厚補償の既知の方法は、すべての球面誤差をなくすには十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 43 23 721 C2
【特許文献2】DE 10 2007 002 863 B3
【特許文献3】US 7,593,173 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、生じる球面誤差を、大方は自動的に補正することにより顕微鏡試料検査の状況で画質を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、対物レンズを備える顕微鏡による試料の顕微鏡撮像の状況で、球面誤差を識別する方法が提案され、試料を担持又は覆うカバースリップが、顕微鏡の撮像光線路に配置され、対物レンズを通って前記試料上に、偏心して対物レンズの光軸外に案内され、試料とカバースリップの界面で反射された測定ビームは、対物レンズを通して検出器に案内され、検出器は、反射測定ビームの強度プロファイルを取得する。球面誤差の存在は、上記強度プロファイルから定性的及び/又は定量的に特定することができる。
【0011】
本発明は、対物レンズを備える顕微鏡による試料の顕微鏡撮像の状況で、球面誤差を識別する対応する装置にさらに関し、試料を担持又は覆うカバースリップが、顕微鏡の撮像光線路に配置される。この装置は、測定ビームが、対物レンズを通って試料に、偏心して対物レンズの光軸外に入射するように、測定ビームを顕微鏡の顕微鏡撮像光線路に結合するインカップリング装置と、対物レンズを通って顕微鏡の顕微鏡撮像光路から出た後、カバースリップと試料との界面で反射した測定ビームを結合するアウトカップリング装置と、撮像光線路外でアウトカップリングした後、測定ビームが入射し、上記測定ビームの(波長依存)強度プロファイルを取得する検出器と、強度プロファイルを評価して、球面誤差を識別する評価ユニットと、を備える。
【0012】
本発明のさらなる利点及び実施形態は、各独立クレーム、以下の説明、及び添付図面から明らかになる。
【発明の効果】
【0013】
カバースリップと試料との界面で上述のように反射する測定ビームの強度プロファイルが、本明細書の導入部で述べられた、球面誤差の原因の影響を受けやすいことが分かっている。球面誤差がない場合に示される理想的な強度プロファイルの形状は、例えば、カバースリップ厚の変化、浸漬媒質の温度変動、又はカバースリップの構造変化により球面誤差が生じた場合、変化する。したがって、理想的な強度プロファイルの特定のパラメータを被制御変数として使用して、ずれが発生した場合、ずれ、すなわち、球面誤差の発生を補償することができる。したがって、この補償は、リアルタイムで、すなわち、ラグが(ほぼ)ない状態で行うことができる。さらなる利点は、生じた球面誤差を補償可能にするために、カバースリップ厚又はカバースリップ厚の変化を知る又は特定する必要がないことである。本発明を使用して、球面誤差が何故生じているかの理由に関係なく、球面誤差を補償することができる。
【0014】
強度プロファイルの形状は、様々なパラメータに関して評価することができる。パラメータは主に、特に有用な信号幅、信号高さ、又はエッジの傾きを記述する変数である。例えば、プロファイルの半値全幅(半値幅)を特定することができる。この幅は、球面誤差が存在する場合に増大する。代替又は追加として、強度プロファイルのエッジ傾斜度を特定することができる。単純な形態では、これは、例えば、差分係数を計算することによって行うことができる。エッジ傾斜度は、球面誤差に伴って低減する。信号高さは、最大値を特定することにより、簡単に確認することができる。プロファイルを記述する関数への強度プロファイルの適合に基づく、信号を評価するモデルベースの方法は、技術的実施では要求されることが多いが、数値的にはより安定している。例えば、ガウス関数により信号全体又は信号の部分(エッジ)を近似し、それにより確認された値から、幅又はエッジの傾きについてのパラメータを直接取得することが可能である。他の関数、例えば、様々な次数の多項式への局所適合によって、幅及び傾きを評価することもできる。
【0015】
本発明は特に、カバースリップの光学特性の変化及び/又は浸漬媒質の光学特性の変化により球面誤差が発生する場合に感度が高く、したがって、実際に使用可能である。すでに考察したように、これは、カバースリップ厚の変化及び変動、カバースリップの構造又は材料の変化、及び浸漬媒質の温度の変化を含む。
【0016】
球面誤差の識別に使用される測定ビームは、単純に、例えば、下流照明光学系を有するスリット開口部又はピンホールを照明し、それにより、顕微鏡対物レンズによりスリット開口部又はピンホールが試料(より厳密には、カバースリップと試料との界面)に生成されることにより生成することができる。
【0017】
本発明の特に有利な実施形態では、球面誤差を識別する測定ビームはさらに、三角測量オートフォーカスユニットのオートフォーカス測定ビームとして使用することもできる。逆に、対物レンズのフォーカスを設定し、及び/又は保持する三角測量オートフォーカスユニットが存在する場合、上記オートフォーカスユニットのオートフォーカス測定ビームは、球面誤差を識別する測定ビームとしてさらに使用することができる。
【0018】
三角測量オートフォーカス装置は、例えば、US 5,136,149 B1から既知である。DE 195 37 376 A1には、この米国特許文献が考察されており、説明されるオートフォーカス原理を「三角測量」オートフォーカス原理と呼んでいる。これについては、添付の図1を参照してさらに説明し、上記US 5,136,149 B1からの三角測量オートフォーカスに対応する。ここでは、オートフォーカス光源19は、オートフォーカス測定ビーム30の偏向及び顕微鏡対物レンズ10の通過後、対物面16にオートフォーカス測定ビーム30が斜めに衝突するように配置される。オートフォーカス走査ユニットは、ビームの側方オフセットを検出する(後述するように)空間的に分割するオートフォーカス検出器28と、対物レンズ10を移動させるためのモータ27とを含む。或いは、対物面16は、光軸8の方向(すなわち、図1に示されるように、Z方向)においてフォーカスのために変位することもできる。
【0019】
図1にかなり概略的にのみ示される顕微鏡のさらなる構成要素は、チューブレンズ12及び像面14である。図1によるオートフォーカス装置では、オートフォーカス測定ビーム(30と記される)は、点Aにおいてビームスプリッタ20によりビーム断面(光軸8を基準として)の半分に偏向する。偏向ビーム30は、対物レンズ10により偏向して、反射点Cにおいて傾斜αでスキュー又は傾斜して対物面16に衝突する。ビーム30は反射オートフォーカス測定ビーム32として反射されるか、又は残り、次に、光軸8に対する点Aの位置を基準にして光路の逆側で点Bにおいてビームスプリッタ20により対物レンズ10を介して再び偏向する。偏向ビーム32は次に、検出器28、例えば、位置感知検出器(PSD)に入射する。その出力信号は、ビーム32が到来した位置に依存するため、それにより、位置が特定される。
【0020】
デフォーカス状況の場合、すなわち、図1による本例では、対物面16が平面16’に変位する場合、オートフォーカス測定ビーム30は反射点Dまでは反射せず、反射点Dは、点Cに対して光軸8の方向のみならず、光軸8に対して側方にも変位している。明らかなことに、対応する反射ビーム32’は、検出器28の異なる位置に到達し、したがって、焦点位置と比較して変更された信号を供給する。それにより、デフォーカスの程度を測定することができる。対応する統制又は制御ユニットにより、モータ27への対応する制御適用により、デフォーカス状況を補償することができ、モータ27は、対物レンズをZ方向(すなわち、光軸8の方向)に移動させる。
【0021】
上述した三角測量原理に従って動作する入射光顕微鏡の同様のオートフォーカス装置は、DE 32 19 503 A1から既知である。US 2004/0113043 A1には、半遮断測定ビームを使用して、顕微鏡で検査すべき物体への赤外線光により測定スリットを生成し、CCDアレイセンサを検出器として利用する同様のオートフォーカスシステムが記載されている。対応する検出信号と実際のフォーカス位置との相関が、この米国文献にグラフで示される。PCT2007/144 197 A1も、三角測量法によるオートフォーカスに対処している。DE 10 2008 018 951 A1は、フォーカス保持ユニットを有する、三角測量法に基づく顕微鏡に対処している。
【0022】
したがって、本発明は、三角測量オートフォーカス装置をすでに保有する顕微鏡で特に有利に実施することができる。オートフォーカス測定ビームの評価は、その位置のみならず、強度プロファイルも測定され解析されるように拡張される。次に、強度プロファイルから確認されたパラメータを使用して、発生した球面誤差を解消することができる。
【0023】
本発明は、識別された球面誤差の続く補正にも特に適する。本質的に2つの方法がこのために利用可能である。
【0024】
一方では、球面誤差の補償は、すでに上述した、対物レンズ内存在する補正レンズにより行うことができる。電動式でこの補正レンズ要素に制御を提供し、球面誤差の発生時に理想的な強度プロファイル(目標値)からのずれを推定する制御ループを介して、制御適用信号を提供することが有利である。強度プロファイルの上記パラメータのうちの1つ、例えば、エッジの傾斜度は、制御ループの入力変数として機能する。補正レンズ要素は、エッジ傾斜度が理想的な強度プロファイルのエッジ傾斜度により示される値をとるまで、適した様式で調整される。
【0025】
他方、球面誤差の補償は、適応光学系を使用することにより行うことができ、適応光学系は、対物レンズ瞳との共役面に配置され、球面誤差を補償するように制御される。したがって、この場合、補正は対物レンズ外部で実行される。
【0026】
本発明による装置は、対物レンズを通して、測定ビームが対物レンズの光軸外部で偏心して試料に入射するように、顕微鏡の撮像光線路に測定ビームを結合するインカップリング装置を備える。アウトカップリング装置が提供されて、対物レンズを通った後、カバースリップと試料との界面で反射された測定ビームをアウトカップリングする。インカップリング装置及びアウトカップリング装置は有利なことには、1つの共通のダイクロイックビームスプリッタを包含する。ダイクロイックビームスプリッタは、使用される測定ビームの波長(例えば、赤外線)を反射するが、試料により反射又は放射された残りのスペクトルの光を透過するように設計される。インカップリング装置及びアウトカップリング装置は、レンズ又はビーム偏向器(ミラー)等のさらなる光学要素を必要な程度まで包含する。共通のダイクロイックビームスプリッタは有利なことには、顕微鏡管と顕微鏡対物レンズとの間の顕微鏡の撮像光線路に配置される。アウトカップリング装置により、上記界面から反射した測定ビームは、対物レンズを通った後、検出器に案内されるか又は検出器で撮像され、上記検出器には、測定ビームの強度プロファイルを取得できるようにする検出器面が備えられる。そのような検出器は、例えば、CCDカメラの形態で十分に知られている。評価ユニットは、検出器に統合されるか、又は代替として、検出器とは別個であり、検出器で取得した測定ビームの強度プロファイルを評価するように設計される。
【0027】
球面誤差がない場合、強度プロファイルは「元々の形状」、すなわち、球面誤差が存在する場合に取得されたプロファイルと比較して、最大エッジ傾斜度、可能な限り最小の半値全幅、及び最大強度信号レベルを保有する。評価ユニットは、強度プロファイルのパラメータを特定するように設計される。可能なパラメータは、半値全幅、エッジ傾斜度、及び最大強度値等のすでに述べたパラメータのうちの1つ又は複数である。
【0028】
すでに上述した第1の実施形態によれば、識別された球面誤差を補償するために、球面誤差を補償する補正レンズ要素が、顕微鏡の対物レンズ内に存在し、制御適用ユニットが提供されて、補正レンズ用を調整する。対応する制御適用ユニットを有するそのような補正レンズ要素は、カバースリップ厚補正に関してそれ自体が既知である。
【0029】
評価ユニットと通信して、強度プロファイルのパラメータを表す信号を送信する統制ユニットが提供されて、自動統制を実施して、識別された球面誤差を補償し、そして、統制ユニットは、対物レンズの補正レンズの上記制御適用ユニットと通信して、統制信号を送信し、識別された球面誤差が補償されるまで、補正要素の調整を実行する。
【0030】
このために、評価ユニットは、例えば、強度プロファイルのエッジ傾斜度を表す信号を生成する。球面誤差がある場合、このエッジ傾斜度(実際値)がエッジ傾斜度の最適値(目標値)からずれるとき、統制装置は、そのずれの関数として、制御適用ユニットへの統制信号又は調整信号を生成して、顕微鏡対物レンズの補正要素を調整する。この調整は、実際の値と目標値とのずれがゼロに等しくなるまで、すなわち、識別される球面誤差が補償されるまで、統制装置により実行される。
【0031】
上で対処したさらなる実施形態によれば、識別された球面誤差を補償するために、適応光学系が光線路に配置されて、球面誤差を補償する。使用される適応光学系は、例えば、上部ミラー側を後部に配置されたアクチュエータにより連続して変形させることができる変形可能ミラーであることができる。制御は、対応する制御適用ユニットによりアクチュエータに適用される。そのような変形可能ミラーは既知であり、これ以上は説明しない。変形可能ミラーは、好ましくは、対物レンズ瞳内に配置される。対物レンズ瞳自体にはアクセスできないため、これは、対物レンズ瞳との共役面で行わなければならず、これは、輸送光学系又はいわゆる中継光学系を使用して実現することができる。球面誤差は対物レンズ外部で補正されるため、オートフォーカス重ね合わせ位置も、対物レンズ瞳の共役面の背後で変位させなければならない。ダイクロイックビームスプリッタの装置及びオートフォーカスシステムの構築は、これらの動作による影響を受けない。
【0032】
ここでも、評価ユニットと通信して、強度プロファイルのパラメータを表す信号を送信し、適応光学系の制御適用ユニットと通信して、制御信号又は調整信号を送信して、識別された球面誤差が補償されるまで、適応光学系に制御を適用する統制装置が提供される場合、制御ループにより、識別された球面誤差を自動的に補償することができる。
【0033】
この統制システムの詳細に関して、制御を対物レンズの補正レンズ要素の制御適用ユニットに適用する統制装置に関する文章を参照する。原理上、識別された球面誤差の補償に関して考察される2つの実施形態が、相互に排他的ではないこと、すなわち、補正レンズ要素及び適応光学系の両方を提供可能なことも強調すべきである。対応する統制装置は互いに別個に提供してもよく、又は1つの共通の統制装置に組み合わせてもよい。
【0034】
上述した特に有利な実施形態では、評価ユニットは、強度プロファイルを評価するのみならず、強度プロファイルの空間位置及び検出器の検出器面上のその空間位置の任意の変化を特定するようにも設計される。
【0035】
評価ユニットは、特に、強度プロファイルの位置が変化した場合、存在するデフォーカス状況のオートフォーカスパラメータを生成するようにさらに設計される。すでに上述したように、側方位置変位は、三角測量オートフォーカス原理に従ってデフォーカス状況に相関付けられる。したがって、それに対応して設計される評価ユニット(「結合評価ユニット」)は、球面誤差の識別のみならず、デフォーカス状況の識別にも適する。
【0036】
デフォーカス状況を解消するため、すなわち、フォーカスを設定又は保持するために、オートフォーカス制御適用ユニットがさらに提供されて、例えば、対物レンズ内のレンズ要素、対物レンズ全体、又は対物面の対応する移動により、顕微鏡のフォーカスを設定する場合が有利であり、さらに、オートフォーカス統制装置を提供すべきであり、オートフォーカス統制装置は、評価ユニットと通信して、オートフォーカスパラメータを表す信号を送信し、オートフォーカス制御適用ユニットと通信して、更なる信号を送信して、存在するデフォーカス状況が解消されるまで、フォーカス調整を実行する。
【0037】
もちろん、球面誤差を補償する上記統制装置は、本明細書で考察されるオートフォーカス統制装置と1つの共通ユニットをなすことができる。同様に、制御を対物レンズ内の補正要素又は適応光学系に適用して、球面誤差を補償する制御適用ユニットは、顕微鏡のフォーカスを設定する、本明細書に考察されるオートフォーカス制御適用ユニットと1つの共通ユニットをなすことができる。最後に、強度プロファイルのパラメータを生成する(そして任意選択的にオートフォーカスパラメータを生成する)評価ユニットは、強度プロファイルを取得する(そして、任意選択的に強度プロファイルの位置を特定する)検出器と1つのユニットをなすことができる。
【0038】
上述した特徴及び以下に説明される特徴が、示された各組み合わせのみならず、本発明の範囲から逸脱せずに、他の組み合わせ又は分離しても使用可能なことが理解される。特に、本発明は、特定の顕微鏡方法に限定されない。換言すれば、広視野顕微鏡法(いわゆる、物体上の視野を撮像する「古典的な」顕微鏡法)及び撮像ビームで物体を走査し、個々の画像点からの画像を組み立てる走査型顕微鏡法の両方と使用することができる。したがって、走査型顕微鏡法の既知の方法(共焦点、多光子、二次高調、三次高調、及びコヒーレント反ストークスラマン散乱[CARS])を用いる場合、物体から来る光の電力レベルは、走査ビームの位置の関数として測定され、これは、いずれの場合でも必要な空間分解検出器を使用して実行することができる。
【0039】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて図に概略的に示され、図面を参照して詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来技術による三角測量オートフォーカス装置の例を概略的に示す。
【図2】本発明による顕微鏡撮像の状況での球面誤差を識別する装置の実施形態を概略的に示す。
【図3】三角測量オートフォーカス装置が補われた図2による装置を概略的に示す。
【図4】球面誤差が存在する場合(図4a)及び球面誤差が存在しない場合(図4b)の典型的な強度プロファイルを示す。
【図5】三角測量オートフォーカス装置を有するとともに、球面誤差を補償する適応光学系をさらに有する図3による装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、従来技術によるUS 5,136,149 B1による三角測量オートフォーカス装置を示し、本発明の特に有利な実施形態と併せて、本明細書においてすでに十分に説明した。
【0042】
図2は、顕微鏡1による顕微鏡撮像の状況で球面誤差を識別する、本発明による装置の好ましい実施形態を概略的に示し、顕微鏡1の重要な構成要素(後述)のみが示されている。試料9は、試料9を担持するカバースリップ2上に配置される。このカバースリップ2は、顕微鏡1の撮像光線路7に配置される。顕微鏡の対物レンズは10と記される。チューブレンズ12は、単に概略的に示される。アイピース、画像取得検出器、ズーム系等のさらなる詳細は、本発明にとって重要ではないため、本明細書では説明しない。そのようなユニットは、従来技術から当業者に既知である。
【0043】
試料9は、より長い時間期間にわたって観測される生きた細胞を含むことができる。X−Y方向に沿った、すなわち、図2の描画平面に垂直な平面での試料9の走査も可能である。そのような典型的な顕微鏡検査を用いる場合、カバースリップ2の厚さが検査中の試料位置に応じて変化し、さらに、カバースリップ2の材料構造がX−Y平面のコースにわって非均質であり得ることが生じ得る。浸漬物体(ここに示さず)が使用される場合、浸漬媒質が、カバースリップ2と対物レンズ10との間に存在し、温度変動が、顕微鏡検査中に浸漬媒質中に生じ得る。上述した変化のすべては、カバースリップ又は浸漬媒質の光学特性の変化を表し、光学画質に対して悪影響(「球面誤差」)を有する。
【0044】
球面誤差を検出し識別するために、測定光源129から進む測定ビーム130は、対物レンズ10を通して試料9に、偏心して、すなわち、対物レンズ10の光軸8外に案内される。試料9とのカバースリップ2の界面116で反射した測定ビーム132は、次に、対物レンズ10を介して検出器128に案内される。測定ビーム130は、例えば、下流(図示せず)照明光学系を有するスリット開口部(図示せず)により、このために生成される。スリットの像は、上記界面116に生成される。測定ビーム130の顕微鏡1の光路へのインカップリングは、この場合、実質的に偏向要素13ならびにダイクロイックビームスプリッタ120を包含するインカップリング装置を介して実行される。他方、反射測定ビーム132のアウトかカップリングが、実質的にここでも上述したダイクロイックビームスプリッタ120及び概略的に示されるレンズ15を包含するアウトカップリング装置を介して実行される。そして、レンズ15は、スリット像を検出器128の高感度検出器面に撮像する。検出器128は、上記測定ビームの強度プロファイルを取得し、強度プロファイルは下流評価ユニット6により評価される。
【0045】
試料9が顕微鏡で見られているスペクトル領域外の測定ビーム130の波長を選択することが有利である。赤外線領域からの波長は、例えば、測定ビーム130に有用である。その一方で、ダイクロイックビームスプリッタ120は、測定ビーム130及び反射測定ビーム132の波長領域を反射し、残りのスペクトルであるが、特に、試料9が顕微鏡で検査されているスペクトルを透過する。このようにして送られる観測光路は、チューブレンズ12に向かう偏向要素11に偏向される。
【0046】
検出器128により取得される反射測定ビーム132の典型的な強度プロファイルを図4に示す。図4aは、球面誤差が存在する場合の強度プロファイルを示し(強度Iは検出器のX方向に対してプロットされる)、その一方で、図4bは、球面誤差がない強度プロファイルの最適な場合を示す。したがって、図4bは強度プロファイルの目標値を示し、その一方で、図4aは強度プロファイルの可能な実際値を示す。
【0047】
図2に戻ると、評価ユニット2は、強度プロファイルの実際値(図4a参照)を評価し、強度プロファイルの目標値(図4bによる最適な場合)からずれる場合、球面誤差を識別する。この球面誤差は、すでに上述した原因を有することができる。存在する球面誤差の定量的評価のために、強度プロファイルの信号形状が定量的及び/又は定性的に評価される。このために、評価ユニット6は、強度プロファイルのパラメータ、特に、半値全幅、エッジ傾斜度、及び/又は取得された強度プロファイルの信号最大を特定する。「エッジ傾斜度」は、プロファイル上の特定のポイント、例えば、半値全幅の領域又は定義可能な信号値での強度信号の傾き、例えば、検出された強度の最大値の30%の傾きでの強度信号の傾きを指す。例えば、強度プロファイルの片側のエッジ傾きを使用することが有用であり、対応する出力信号は、評価ユニット6から統制装置5に統制信号として送信される。
【0048】
統制装置5において、次に、例えば、最適又は「元々の」強度プロファイルの片側エッジ傾きが目標値(例えば、図4bによる目標値)として記憶される。片側エッジ傾きの目標値からの実際値のずれの関数として、統制装置5は、設定信号を対物レンズ10内の補正レンズ要素3の制御ユニット4に送信し、補正レンズ要素3は、カバースリップ厚補正のための変位可能なレンズ要素として提供される。制御適用ユニット4は、補正レンズ要素3の対応する電動調整を実行する。その結果、球面誤差は補正され、その間、対物レンズ10のフォーカスは変更されないままである。本発明のこの実施形態の利点が、任意の原因を有する球面誤差が補正されることであることに留意する。特に、カバースリップ厚補正は、カバースリップ厚の変動又は変化を定量的に感知することさえも必要なく行うことが可能である。制御が補正レンズ要素3に適用されると、制御ループの形態で強度プロファイルの新しい実際値が感知され、評価される。目標値からずれる場合、球面誤差が補償されるまで、補正レンズ要素3へのさらなる制御適用が行われる。
【0049】
図3は、三角測量オートフォーカス装置が補われた図2による装置を概略的に示す。同一の構成要素は同じ参照符号で記される。冗長を回避するために、図2による装置については再び考察せず、その点に関しては、図2の説明を参照する。
【0050】
球面誤差を識別して補償する図2による装置は、理想的には、三角測量オートフォーカス装置としても使用することができる。逆に、三角測量オートフォーカス装置が存在する場合、三角測量オートフォーカス装置を、球面誤差を識別してなくす図2による装置として使用することも可能である。
【0051】
この場合、図1に示されるように、測定ビーム130は同時に、オートフォーカス測定ビーム30としても機能する。ダイクロイックビームスプリッタ120は、図1のビームスプリッタ20に対応する。試料9とのカバーリップ2の界面116は、図1の対物面16に対応する。図2によれば、反射測定ビーム132の強度プロファイルを取得するように設計された検出器128はさらに、図3の場合、空間分解検出器である。この種の空間分解検出器は、測定ビームの光の強度及び位置の両方を検出する。例えば、CCD線形カメラ又はCCDマトリックスカメラをこのために使用することができる。検出器128の下流には結合評価ユニット26があり、結合評価ユニット26は、球面誤差を識別するために、検出器により取得した強度プロファイルを特定するとともに、強度プロファイルの空間位置を特定する。したがって、対応するパラメータ、すなわち、強度プロファイルのパラメータ及びデフォーカス状況のパラメータを表す2つの信号を、この結合評価ユニット26により生成することができる。対応する信号は、統制装置5(図2参照)及びオートフォーカス統制装置25に案内される。それにより、図2に併せてすでに述べたように、球面誤差を補償することが可能である。さらに、オートフォーカス統制装置を介して、顕微鏡検査中に生じるデフォーカス状況を解消することができる。このために、オートフォーカス統制装置25は、オートフォーカス制御適用ユニット24に、デフォーカス状況のパラメータに依存する位置決め信号を送信する。このオートフォーカス制御適用ユニット24は、例えば、すでに図1に示されたモータ27であってもよく、又はそのようなモータに制御を適用することができる。図3により示される例示的な実施形態では、オートフォーカス制御適用ユニット24は、Z方向(すなわち、光軸8に平行する)において対物レンズ10を変位させて、デフォーカス状況を解消する。したがって、制御ループの様式での自動フォーカスを実行することができる。
【0052】
もちろん、図3に示される統制装置5及び25は、1つの共通の統制装置に組み合わせることができる。逆に、図3に示される結合評価ユニット26を2つの別個の評価ユニットで構成することもできる。
【0053】
図5は、撮像光路の球面誤差を補償するために、関連する制御適用ユニット51を有する適応光学系52を備え、三角測量オートフォーカス装置がさらに備えられた図3による装置を概略的に示す。同一の構成要素は同じ参照文字で記される。冗長を回避するために、図3による装置については再び考察せず、その点に関しては図3の説明を参照する。
【0054】
この例示的な実施形態では、球面誤差を特定するための測定ビーム130は同時に、図1に示されるようなオートフォーカス測定ビーム30として機能する。ダイクロイックビームスプリッタ120は、図1のビームスプリッタ20に対応する。試料9とのカバースリップ2の界面116は、図1の対物面16に対応する。図2によれば、反射測定ビーム132の強度プロファイルを取得するように設計される検出器128はさらに、図5の場合、空間分解検出器である。この種の空間分解検出器は、測定ビームの光の強度及び位置の両方を検出する。例えば、CCD線形カメラ又はCCDマトリックスカメラをこのために使用することができる。
【0055】
ここで使用される適応光学系は変形可能ミラー52であり、このミラーの上部ミラー側は、後ろ側に対応して配置されるアクチュエータにより連続して変形可能である。制御は、対応する制御適用ユニット51を介してアクチュエータ(図示せず)に適用される。変形可能ミラー52は、対物レンズ瞳との共役面に配置される。中継光学系53(輸送光学系とも呼ばれる)がこのために提供される。対応する中間像は54と記される。番号55は、追加の偏向要素を指す。番号120はここでも、ダイクロイックビームスプリッタを指す(図2参照)。
【0056】
検出器128の下流に結合評価ユニット26が配置され、結合評価ユニット26は、球面誤差を識別するために、検出器により取得した強度プロファイルを特定するのみならず、強度プロファイルの空間位置を特定する。したがって、対応するパラメータ、すなわち、強度プロファイルのパラメータ及びデフォーカス状況のパラメータを表す2つの信号を、この結合評価ユニット26により生成することができる。対応する信号は、統制装置50(図2参照)及びオートフォーカス統制装置25に案内される。
【0057】
存在する球面誤差を評価するために、強度プロファイルの信号形状が定量的及び/又は定性的に評価される。このために、評価ユニット26は、強度プロファイルのパラメータ、特に、半値全幅、エッジ傾斜度、及び/又は取得された強度プロファイルの信号最大を特定する。「エッジ傾斜度」は、プロファイル上の特定のポイント、例えば、半値全幅の領域又は定義可能な信号値での強度信号の傾き、例えば、検出された強度の最大値の特定の割合での傾きを指す。例えば、強度プロファイルの片側のエッジ傾きを使用することが有用であり、対応する出力信号は、評価ユニット26から統制装置50に統制信号として送信される。
【0058】
統制装置50において、例えば、最適な強度プロファイルの片側エッジ傾きが次に、目標値(例えば、図4bによる目標値)として記憶される。片側エッジ傾きの目標値からの実際値のずれの関数として、統制装置50は、設定信号を制御適用ユニット51に送信し、制御適用ユニット51は、適応光学系52の反射面を制御して変形するために提供される。制御適用ユニット51は、適応光学系52の対応する電動調整又は変形を実行する。その結果、球面誤差は補正され、その間、対物レンズ10のフォーカスは変更されないままである。ここで現れる本発明の利点は、ここで考察される実施形態を用いて、任意の原因を有する球面誤差が補正されることである。
【0059】
適応光学系52が調整されると、強度プロファイルの新しい実際値が、制御ループの形態で強度プロファイルの新しい実際値が連続して感知され、評価される。目標値からずれる場合、球面誤差が再び補償されるまで、適応光学系52の反射面を変形させる、制御適用ユニット51へのさらなる制御の適用が行われる。球面誤差は、このようにして連続して補償することができる。
【0060】
さらに、オートフォーカス統制装置により、顕微鏡検査中に生じるデフォーカス状況を補償することができ、フォーカスを一貫して一定に保つことができる。このために、オートフォーカス統制装置25は、オートフォーカス制御適用ユニット24に、デフォーカスパラメータの関数として位置決め信号を送信する。このオートフォーカス制御適用ユニット24は、例えば、図1にすでに示されたモータ27であってもよく、又はそのようなモータに制御を適用することができる。図3により示される例示的な実施形態では、オートフォーカス制御適用ユニット24は、Z方向(すなわち、光軸8に平行する)において対物レンズ10を変位させて、デフォーカス状況を解消する。したがって、制御ループの様式での自動フォーカスを実行することができる。
【0061】
図5に示される装置は、長時間の顕微鏡検査中に最適な画質を維持するために特に適する。
【符号の説明】
【0062】
1 顕微鏡
2 カバースリップ
3 補正レンズ要素
4 3の制御適用ユニット
5 統制装置
6 評価ユニット
7 撮像光路
8 光軸
9 試料
10 対物レンズ
11 偏向要素
12 チューブレンズ
13 偏向要素
14 像面
15 レンズ
16、16’ 対物面
19 オートフォーカス光源
20 ビームスプリッタ、ダイクロイック
24 オートフォーカス制御適用ユニット
25 オートフォーカス統制装置
26 結合評価ユニット
27 モータ
28 オートフォーカス検出器
30 オートフォーカス測定ビーム
32、32’ 反射オートフォーカス測定ビーム
50 統制装置
51 52の制御適用ユニット
52 変形可能ミラー、適応光学系
53 中継光学系
54 中間像
55 偏向要素
116 界面
120 ビームスプリッタ(ダイクロイック)
128 検出器
129 測定光源
130 測定ビーム
132 反射測定ビーム
α 角度
Z 方向
C 反射点
D 反射点
A 偏向点
B、B’ 偏向点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズ(10)と、顕微鏡撮像光線路に配置された試料(9)を担持又は覆うカバースリップ(2)と、を備える顕微鏡(1)を用いて前記試料(9)の顕微鏡撮像の状況で、顕微鏡撮像光線路(7)の球面誤差を識別する方法であって、
前記対物レンズ(10)を通って前記試料(9)上に、偏心して前記対物レンズ(10)の光軸(8)外に測定ビーム(130)が案内され、前記試料(9)と前記カバースリップの界面(116)で反射された測定ビーム(132)が、前記対物レンズ(10)を通して検出器(128)に案内され、前記検出器(128)は、前記反射された測定ビーム(132)の強度プロファイルを取得し、
前記強度プロファイルから球面誤差の存在が定性的及び/又は定量的に特定される、方法。
【請求項2】
前記強度プロファイルは信号の形状に関して評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記強度プロファイルの評価は、前記強度プロファイルの半値全幅、及び/又は前記強度プロファイルのエッジ傾斜度、及び/又は前記強度プロファイルの最大が特定されることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カバースリップ(2)の光学特性の変化、特に、カバースリップの厚さ変化及び/又は前記カバースリップの構造変化若しくは材料変化による球面誤差、及び/又は浸漬媒質の温度変化のような浸漬媒質の光学特性の変化による球面誤差が識別される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定ビーム(130)は、前記顕微鏡(1)に協働する三角測量オートフォーカスユニットのオートフォーカス測定ビーム(30)としても付加的に使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記対物レンズ(10)のフォーカスを設定し及び/又は保持するために三角測量オートフォーカスユニットが使用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法であって、前記三角測量オートフォーカスユニットのオートフォーカス測定ビーム(30)が、球面誤差を識別する測定ビーム(130)として付加的に使用される、方法。
【請求項7】
球面誤差が識別された場合、前記対物レンズ(10)に存在する補正レンズ要素(3)が、前記光軸に沿って変位して、前記球面誤差を補償する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
球面誤差が識別された場合、対物レンズ瞳との共役面に配置された適応光学系(52)に制御が適用されて、前記球面誤差を補償する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
対物レンズ(10)と、顕微鏡撮像光線路に配置された試料(9)を担持又は覆うカバースリップ(2)と、を備える顕微鏡(1)を用いて前記試料(9)の顕微鏡撮像の状況で、顕微鏡撮像光線路(7)の球面誤差を識別する装置において、
前記対物レンズ(10)を通って前記試料(9)に、偏心して前記対物レンズ(10)の光軸外に測定ビーム(130)が入射するように、前記測定ビーム(130)を前記顕微鏡(1)の顕微鏡撮像光線路(7)に結合するインカップリング装置(13、120)と、
前記対物レンズ(10)を通って前記顕微鏡(1)の顕微鏡撮像光路から出た後、前記カバースリップ(2)と前記試料(9)との界面(116)で反射した測定ビーム(132)を結合するアウトカップリング装置(120、15)と、
アウトカップリングされた測定ビーム(132)が撮像され、前記測定ビーム(132)の強度プロファイルを取得する検出器(128)と、
前記強度プロファイルから球面誤差を定性的及び/又は定量的に特定する評価ユニット(6)と、
を特徴とする、装置。
【請求項10】
前記インカップリング装置及び前記アウトカップリング装置は、ビームスプリッタ(120)を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記強度プロファイルのパラメータ、特に前記強度プロファイルの半値全幅、及び/又は前記強度プロファイルのエッジ傾斜度、及び/又は信号レベルが、前記評価ユニット(6)を用いて特定可能である、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
球面誤差を補償するために、前記対物レンズ(10)に補正レンズ要素(3)が存在して、前記補正レンズ要素(3)を調整するために制御適用ユニット(4)が存在する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記強度プロファイルのパラメータを表す前記評価ユニット(6)の出力信号が到達可能な統制装置(5)であって、前記出力信号が、統制信号として前記対物レンズ(10)の前記補正レンズ要素(3)の前記制御適用ユニット(4)に適用され、それにより、識別される球面誤差が補償されるまで、前記補正レンズ要素(3)の調整を実行する、統制装置(5)を特徴とする、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
球面誤差を補償するために、前記対物レンズ瞳との共役面に適応光学系が配置されて、前記適応光学系(52)に制御を適用するために、制御適用ユニットが存在する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記強度プロファイルのパラメータを表す前記評価ユニット(26)の出力信号を受信する統制装置(50)であって、前記出力信号が、統制信号として前記適応光学系(52)の前記制御適用ユニット(51)に適用され、それにより、識別される球面誤差が補償されるまで、前記適応光学系(52)に対する制御適用を実行する、統制装置(50)を特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記検出器(128)の検出器面での前記強度プロファイルの前記空間位置及びその変化が、前記評価ユニット(6、26)で特定可能である、請求項9〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記強度プロファイルの位置が変化した場合、評価ユニット(6、26)で、既存のデフォーカス状況のオートフォーカスパラメータが生成可能であり、前記オートフォーカスパラメータから、既存のデフォーカス状況が解消されるまでフォーカス位置を変更可能な調整信号を導出可能である、請求項16に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88809(P2013−88809A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−224044(P2012−224044)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】