風力タービンを洋上サイトに輸送するための船舶およびそれを設置する方法
【課題】風力タービンを洋上サイトに輸送するための船舶およびそれを設置する方法を提供する。
【解決手段】重力式基礎を備える風力タービン2を、洋上サイトに輸送するための船舶4は、上方から見て、船体を規定する2つの分岐および接続橋を持つ概して「U」の形を有し、船体を隔てるスペースは風力タービン2のパイロンが入ることを可能にする。船舶は、船舶4を完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭5を含み、それらの下端は基礎1支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置6を備え、これらの杭は、杭の下降動作により風力タービン2が下降動作中に案内されるとともに安定するように、および上昇動作により、杭5が上昇動作を風力タービン2に伝達するように、要求に応じて垂直方向に移動可能である。
【解決手段】重力式基礎を備える風力タービン2を、洋上サイトに輸送するための船舶4は、上方から見て、船体を規定する2つの分岐および接続橋を持つ概して「U」の形を有し、船体を隔てるスペースは風力タービン2のパイロンが入ることを可能にする。船舶は、船舶4を完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭5を含み、それらの下端は基礎1支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置6を備え、これらの杭は、杭の下降動作により風力タービン2が下降動作中に案内されるとともに安定するように、および上昇動作により、杭5が上昇動作を風力タービン2に伝達するように、要求に応じて垂直方向に移動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる「重力式」基礎を備える風力タービンを、外洋に位置する「洋上」サイトに輸送するための船舶に関する。
【0002】
本発明はまた、船舶を用いて風力タービンを「洋上」設置サイトに設置するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、多くのウィンドファームは洋上サイトに2つの主要なステップで設置される。第1は風力タービンのための基礎の設置に関わる段階から成る一方、第2は、パイロン、カウリングおよびブレードの設置である風力タービン自体の設置から成る。
【0004】
基礎に関して、それらが現地に輸送されることおよび設置されることを可能にするいくつかの種類の船舶がある。これらの船舶は基礎の種類によって決まる。「ジャッキアップ」(自己持ち上げ)タイプの艀または船舶、「二又クレーン」タイプの艀取付けクレーン、またはさらに様々なクレーンが取付けられた船舶から成り得る。
【0005】
様々なタイプの風力タービン用基礎がある。たとえば、モノパイル、ジャケット、重力、サクションパイル等の基礎を挙げることができる。
【0006】
最も軽い基礎(すなわち、モノパイルおよびトライポッドタイプ)に対して、小さなつり上げ能力の船舶が適している。それらは多少費用がかかるとともにかなり一般的である。
【0007】
最も重い基礎に対して、高いつり上げ能力を持つ船舶、すなわち重力式基礎のための3000トン超、が必要とされる。後者は少なく、したがって可用性が低いとともに費用がかかる。
【0008】
海上での作業時間は必然的に陸上で行われる同じ作業より高いコストになる。
【0009】
ジャッキアップタイプの船舶は、風力タービンまたは基礎が取付けられる度に一定の時間を、自身をその脚上に持ち上げるおよびそれらを引っ込めるのに使う。それらは風力タービンの区分的な組立を、クレーンを用いて実行する。このタイプの組立は作業の多様性に関連した危険を含むとともに、これらは気象条件、特に風の状況(特にブレードの取付けに対して)により制限される。
【0010】
海上での作業時間を減らすために、基礎およびそれに関連した風力タービンを単一の物として洋上設置サイトに輸送するという考えは既に考えられている。風力タービンの完全な組立は例えばウィンドファームの近くの港で実行される。次に船舶がその基礎に組立てられた風力タービンをサイトに運搬するとともにそれを設置するためにそれを受け取りに来る。
【0011】
このような技術の例は特許文献1乃至5に見ることができる。
【0012】
例えば、特許文献1では、風力タービンを洋上サイトに設置するための装置が記載され、この装置は、この風力タービンの全重量を支えることなしに輸送することを可能にする。
【0013】
後者はその基礎がほとんど水を保持しないかぎり浮くことができる。
【0014】
特定の実施形態では、装置は風力タービンのパイロンをつかむためのあご(jaw)を備える船舶の形態を有する。上方から見ると、この船舶は、その対向する端部が風力タービンのパイロンの直径よりわずかに大きい間隔を有する長手方向スロットを持つU形状フォークの形態を有する。
【0015】
輸送に関して、基礎の上面が船舶の底と接触するとともに、ケーブル、チェーンまたは同様の要素により保持されると述べられている。
【0016】
この装置は概して満足をもたらすように見えるが、出来る限り完全である安定性を保証する条件下での風力タービンのハンドリングおよび海底への設置から成る作業により完成可能になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第2001/34 977号
【特許文献2】国際公開第2001/59 489号
【特許文献3】米国特許第7 234 409号明細書
【特許文献4】仏国特許第2 923 454号明細書
【特許文献5】国際公開第2010/02 87 62号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
実際には、基礎を備える風力タービン等の重い輸送物を海底に、浮いているので海上において6自由度で可動な船舶から降ろすことは、輸送物を水の底の目標物まで案内するおよび安定させるために強固であるのみならず、いったん輸送物が降ろされると船舶が基部に過度な水平力を伝えないように柔軟でもある手段を必要とする。
【0019】
したがって、この目的は本発明に基づいて達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の第1の目的は、風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により風力タービンを海底上に安定させることが可能な、いわゆる「重力式」基礎を備える風力タービンを、「洋上」サイトに輸送するための船舶に関し、この船舶は上方から見て、船体を規定する2つの「分岐」およびそれらを接続する接続橋を持つ、概して「U」の形を有し、船体を隔てるスペースは風力タービンのパイロンがそこに入ることを可能にする船舶であって、この船舶は船舶を完全に通って延びる複数の強固で垂直な「杭」を有し、これらの杭の下端は基礎に支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置を備え、これらの杭は、これらの杭の下降動作によりこの風力タービンがこの下降動作中に案内されるとともに安定するように、および上昇動作により、これらの杭が上昇動作をこの風力タービンに伝達するように、要求に応じて、垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする。
【0021】
本件の船舶は双胴船タイプのものであり得る。
【0022】
したがって、例えば50mほどの長さのこれらの杭は、風力タービンを45mもの深さの底に降ろすために、この剛性が得られることを可能にする。
【0023】
変形可能な接続装置は、約10mの長さを有する場合、約10度の自由度の円錐内で動くときに、動的位置決め性能に関する船舶の水平方向の動きに対応して(1または2mの目標位置のまわりのずれ)、柔軟性を有することが可能になる。
【0024】
この設計は、基礎を水底または他の船に降ろすまたは持ち上げる多くの洋上クレーンに見られるような、水平ずれまたは他の動きを補償するための装置を必要としない。
【0025】
船舶に設置された風力タービンの基礎に接続されたケーブルを持つ4つのウインチが使用された場合、下降中の浮いている船舶と風力タービンとの間の相対運動のため、制御が困難になる横方向の変位を有する恐れがある。これらの動きは、風力タービン自体の不安定、または風力タービンのパイロンと船舶との間の望まれない接触、または必要な目標に対する底に沈めること対する許容できない精度のいずれかを導き得る。加えて、海流もまたこれらの横方向の位置ずれを増幅し得る。
【0026】
特徴を限定しない他の利点によれば:
−杭は数が4つであるとともに、上方から見て、仮想的な四辺形の4つの正方形の隅に配置される;
−杭は、いくつかは接続橋の端部にあり、他のものは船体の端部にあるように、配置される;
−変形可能な装置の長さは、変形可能な装置が風力タービンおよびその基礎から成る輸送物が「洋上」サイトでの設置中に「安定」を保つように船舶の動きを補償または吸収するような方法で決定される;
−垂直方向の動きで杭を駆動するための装置を含む;
−これらの装置は、杭に支えられたラックと噛み合うピニオンを含む;
−変形可能な手段はスリングから成る;
−変形可能な装置は、自由端において、基礎への接続のためシステムを備え、これらの装置は好ましくは自動および遠隔操作される;
−輸送中に風力タービンの動きを妨げることができる装置を含む;
−装置は、船体の表面に形成されるとともに下方に向けられた開口を持つ垂直な向きを有する溝から成る一方、基礎はそれらが溝に入るとともにそこに固定され得るように配置された同じ数の突出部材を含む;
−船舶は半潜水式の船舶である。
【0027】
本発明のもう1つの態様は、上述の特徴のひとつに一致する半潜水式船舶を使用して、風力タービンおよびその基礎から成る輸送物を「洋上」設置サイトに設置するための方法に関し、輸送物は「重力式」であり、水中に沈むことができるとともに自身の重量の影響を受けて海底上でそれ自体を安定に保持することができる。
【0028】
この方法は、次のステップを有する点で注目すべきである:
a/杭の下端が基礎に支えられた適合接続装置の垂直上方または略上方になるまで船舶を移動させる;
b/杭を下降させるとともに変形手段を適合手段に接続する;
c/接続された風力タービンとともに杭を上昇させ、風力タービンの基礎が少なくとも部分的に常に水面下に留める;
d/船舶を設置サイトに向かって動かすと同時に安定性を向上させるために喫水を増やす;
e/船舶を設置場所の垂直上方に位置決めする;
f/杭を基礎が海底に置かれるまで下降させる;
g/変形可能な装置の切り離しおよび船舶(4)の離脱。
【0029】
この方法の特徴を限定しない利点によれば:
−ステップdとeとの間において、船舶の喫水がさらに増加する;
−この喫水は船舶に含まれたバラスト区画を水で満たすことにより増加する;
−ステップfの後、基礎に含まれたバラスト区画が満たされる。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。この説明は添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、風力タービンの基礎の港または他のサイトでの構造を示す簡略化された斜視図である。
【図2】図2は、風力タービンの基礎の港または他のサイトでの構造を示す簡略化された正面図である
【図3】図3もまた、2つの浮いている図1のような基礎を動かしている引船の簡略化された斜視図である。
【図4】図4は、クレーンを使用した風力タービンの組立および艀により港または他の場所にある、いわゆる組立サイトに運ばれたパイロンセクションを示す斜視図である。
【図5】図5もまた、パイロンセクションの組立の前の、固定(チョッキング、chocking)クレードル上の所定の位置の風力タービンの基礎を示す斜視図である。
【図6】図6は、風力タービンに近づく運転中の本発明による船舶を示す上方視である。
【図7】図7は、図6と略同様であるが別の視角からの部分図である。
【図8】図8は、風力タービンおよび極めて細い線で示された船舶の斜視図である。
【図9】図9は、風力タービンの基礎およびそのパイロンの一部、並びに本発明の船舶が備える4つの杭の斜視図である。
【図10】図10は、これらの杭の1つの中央の垂直断面の部分図である。
【図11】図11は、船舶に対して固定される(チョックされる、chocked)ことを可能とする装置を示すことを意図した基礎の部分図である。
【図12】図12は、船舶の船体に作られたスロットと協働する図11の装置の別の角度からの図である。
【図13】図13は、風力タービンの船舶による設置サイトへの輸送を示す簡略化された斜視図を示す。
【図14】図14は、風力タービンの船舶による設置サイトへの輸送を示す簡略化された斜視図を示す。
【図15】図15は、風力タービンを洋上サイトにおいて下降する作業を示す。
【図16】図16は、風力タービンを洋上サイトにおいて設置する作業を示す。
【図17】図17は、基礎に対する船舶の杭の離脱を示す。
【図18】図18は、そのサイトの所定の位置に風力タービンを残す、船舶の離脱を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び2には、例えば乾ドックのフロアでの、必要に応じて風力タービンの最終組立場所に艀により輸送され得る(図3)、構造の形態の風力タービンの基礎の製造が、非常に概略的に示される。
【0033】
好ましくは、このような基礎は、その幾何学的形状および質量がそれを輸送する船舶の技術特性に適合するように、コンクリートでバラストされるとともに鋼で作られたトランクで覆われる、鋼製の外殻から成る。
【0034】
変形形態として、このような基礎は、鉄筋コンクリートのみで作られ得る。
【0035】
この平行六面体の基礎の2つの対向する面の、垂直移動の可能性を持つポスト13(図3参照)がソケットに入れられた、スリーブ12の存在が特筆される。
【0036】
これらのポストの利点は説明中にさらに説明される。
【0037】
さらに、基礎は必ずしも平行六面体形状を持つものではない。
【0038】
コストの最適化を可能にするとともにこれらの基礎1の輸送を確実にするために、それらは好ましくは、十字形組立体11内で、所定の数の隣接するセル10に区分され、あるものはコンクリートで満たされる一方その他は空である。しかし、後者は、それらの内部空間に水が入ることを許すことによりバラストされる(安定する)、または幾つかに関して次のステップにおいてコンクリートで満たされるように設計される。
【0039】
単に目安として、このステップにおいて、この組立体の鋼の全質量は1300トンになり得る一方、コンクリートの全質量は2000トンになり得る。
【0040】
図示されない次のステップでは、特に風力タービンの組立サイトへの輸送を目的として、基礎の浮遊が行われる。
【0041】
図3に示されるように、2つの(またはそれより多い)基礎を一緒に接続するとともに組立体を既知の型の引船Rで、例えば港湾区域の基礎保管場所に動かすことが可能である。
【0042】
この図および次の図では、海面および海底面はそれぞれSEおよびFMで表示される。
【0043】
目安として、この移送中の基礎の喫水は約4.5mである。
【0044】
基礎の移送は、風力タービン2の基礎1への組立を続けるとともに終了させることができるクレーンGがある組立サイトまで行われる。この目的を達成するために、風力タービン2のパイロン23のセグメント22が事前にクレーンの近くに置かれている。表示24は風力タービンのカウリングに割り当てられるとともに、簡単にするために、それに支えられたブレードはここでは表示されていない。これらの要素は、陸からまたは、図にBで表示されたような少なくとも1つの艀を用いて海から持って来られ得る。
【0045】
図5は、この組立フェーズ中に組立体が安定することを可能にするコンクリートまたは砂利クレードル3に基礎が置かれていることを除いて、前図と略同じ状況を示す。
【0046】
図4および5の2つの状況において、今まで空であったバラスト区画を水で満たすことおよびいくつかの区画を3800トンのコンクリートに達するまでコンクリートで満たすことによりバラスティングを完了することが留意される。このコンクリートは前述の約1300トンの鋼に加わる。
【0047】
パイロン、カウリングおよびブレードも考慮される場合、この質量は計約6000トンに達するように約900トン増加する。風力タービンおよびその基礎から成る「輸送物」の輸送の目的で、水バラスト区画は次に、基礎の部分的なまたは完全な水没のためにこの輸送物の見掛け重量が約1400トンに達するように、完全にまたは部分的に空にされる。
【0048】
図6および7には、風力タービン2がその基礎を洋上サイトに組み立てられることを可能にする船舶の接近フェーズが、異なる角度から示される。
【0049】
初めに、上述の基礎はいわゆる重力式のものであることが示され、これは風力タービン自体の重さにより補充された自身の重量の影響下において海底で安定することを意味する。
【0050】
したがって、いったん風力タービンが適所に配置されると、如何なる状態でも浮かぶことができない。
【0051】
図中に4で表示された上述の船舶は、半潜水式双胴船タイプのものであるとともに、上方から見て、平行な船体(船殻)40を規定する2つの「分岐」、およびそれらを接続する接続橋41の概してUの形を有する。したがって、船体40を隔てるとともにその中に風力タービンのパイロン23の結合を可能にするスペースが存在する一方、基礎1は、手順のどのステップが考慮されるかに応じて、船舶の下に位置するときもあれば船舶のフロートの間に位置するときもあるスペースを占有する。
【0052】
図13でのみ見えるとともに45で示される補強クロスメンバは、歪に対する船舶の耐性の向上を可能にするとともに輸送中に部分的にまたは完全に水没したままでいる基礎の流体力学的特性の向上も可能にする。このクロスメンバは下方に接続橋41から離れて配置される。
【0053】
この接続橋は船の操舵室を構成する上部構造物42を支える。
【0054】
最終的に、接続橋41は、空の空間の垂直上方に位置するとともに業務区域を提供する概してU形状の拡張部410を有する。
【0055】
本発明の1つの特に重要な特徴は、船舶がそれを完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭5を含むという事実から成る。
【0056】
用語「杭」が意味するものは、堅固であり得るが好ましくはそれらの内部体積が空洞にされた強固な垂直な管である。
【0057】
本発明では、これらの杭はそれぞれ約55mの高さを有する。
【0058】
それらは最小でも数が3つであるが、好ましくは数が4つである。この場合、それらは、上方から見て、接続橋41の拡張部410に広がる仮想的な四辺形の正方形の四隅の3つに配置される。これらの杭は、任意の既知の機械的システム411、例えば杭組立体が船舶に対して上げられるおよび下げられることを可能にするラックとピニオン53により駆動される。
【0059】
図10では、このような杭の1つの実施形態が断面図で示される。この杭5はここでは中空である。杭はその上部にカウリング50を有するとともにそこを通って梯子が通る開口を通って降りることができる補強プラットフォーム51を内部に備える。
【0060】
このようなシステムは特に、杭に関連する全ての部品が正常に作動することを確実にするために安全点検を可能にする。
【0061】
また、本発明の本質的な請求項によれば、杭の下端は、基礎に支えられた適合装置8への接続のために変形可能な装置6を備える。
【0062】
ここに示された実施形態では、これらは輪の組立体から成るスリング6である。
【0063】
しかし、それらはケーブルまたは任意の他の変形可能な手段からなり得る。目安として、このスリングの長さは約6mである。
【0064】
図8および9は、杭5、船舶に組み込まれている機械的システム411および船舶および基礎に関するスリング6の位置を理解することを可能にする。
【0065】
図9を参照すると、基礎1はその上面かつその四隅の近くに、円錐が上方に拡がる円錐台形状80で上方に延び、持上げポイントとして機能する中空管で構成されている縦穴8を有することが留意される。例えばフックを利用する、示されていない固定システム7は、スリング6が基礎の持上げポイント8に接続されることを可能にする。
【0066】
縦穴8の真上にある位置での杭5の同時下降動作中、スリング6を縦穴8内に引き込む(係合させる)ことおよびそれらを固定装置7を通じて強固に取付けることができる。この作業が実行されるとき、基礎および関連する風力タービンは船舶に接続される。
【0067】
次に、図14に見ることができるように、杭の上昇を基礎1が船舶の船体に対して接触するまで制御することができる。例えば図9および12に示された装置を使用することにより、風力タービンを船舶4に固定することができる。
【0068】
ここでは、これらは下向きの開口を持つ垂直の向きを有する船舶4の船体それぞれに作られた溝44から構成される一方、基礎1は、溝44に入るとともにそれらの底部に対して接触するように配置された同じ数の突出部材9を有する。この接触の位置を保持することは、機械的杭上昇システムの垂直な予張力により提供され、その結果垂直方向(Z方向)の動きは可能で無い。
【0069】
より正確には、突出部材は溝44に入る板90を備える。
【0070】
この設計は、スリングおよび持上げポイント8(基礎により「支えられる」持上げポイントの寸法もまた重要である)において大きな垂直の力を発生させるので、1つの変形形態は、杭の上方部分のフレームおよび船舶に対する基礎の平面内(X方向およびY方向)の動きを妨げるシステムを配置することである。この結果、船舶に対するZ(垂直)方向の自由度は妨げられない。
【0071】
この変形形態において、持上げシステムは予荷重を与えられずもはや動的モーメントを取り扱わないが、輸送物だけの見掛け重量による力のみを取り扱うので、持上げシステムの寸法設計は問題となることが少ない。
【0072】
したがって、船舶につながれた基礎は、部分的にまたは完全に水没した基礎にかかるアルキメデスの推力(浮力)により、約1400トンの見掛け重量を有する。
【0073】
次に船舶は、好ましくは船舶4の安定性を向上させるために船舶4の喫水を増加させながら、移動する。このために、船舶は半潜水式のタイプであり、これはその船体が海水を満たすことができるバラストタンクを含むことを意味する。
【0074】
この操作の間、喫水は例えば10mである。
【0075】
サイトに到着すると、ポスト13が基礎の下面の下に突出するように、ポスト13は最初に基礎1のスリーブ12に対してそれらを下げるために駆動される。次に、風力タービンを海底FMに設置するために移動させるための準備が行われる。このために、船舶の喫水が必要な場合に例えば15mに増やされるとともに、杭5の同時下降が命じられる。
【0076】
垂直方向に移動可能なポストを備えたこのような基礎は、ここに記載された船舶と独立して使用され得る。
【0077】
この風力タービンおよびその基礎等の「重量輸送物」を、浮遊状態である(したがってその動きに応じて海上で移動可能である)船舶4から海底に降ろすことは、輸送物を案内するとともにそれを海底の目標に安定させる強固な道具を必要とすることは容易に理解される。
【0078】
この場合、これは杭5から構成される。しかし、この道具は、いったん輸送物が降ろされると、船舶が過度な水平力を基礎に伝達しないように、柔軟でなければならない。
【0079】
この場合、これはスリング6を含む。これらのスリングは約10度の自由度の円錐内で動くことにより柔軟性を有することを可能にし、この約10度の自由度の円錐は、動的位置決め性能(1または2mの目標位置のまわりのずれ)に関連がある船舶の水平方向の動きに対応する。この技術は、水底または他の船に輸送物を降ろすまたは持ち上げる多くの洋上クレーンに通常見られるような、水平ずれまたは他の動きを補償するための装置を必要としない。
【0080】
この下降動作中、それらのスリーブ12から既に延ばされたポスト13は海底FMに突き刺さり、基礎の下の海底を乱すことなく平面内で風力タービンの安定性を大幅に増加させる。基礎1が海底FMに近づけば近づくほど、船舶の水平ずれは海底と基礎との間の吸引作用により減少する。
【0081】
したがって、降ろされた後に基礎が海底から持ち上がる恐れはもちろん基礎と海底との間の接触の衝撃も減少する。荷重が徐々に船舶から海底に移されるにつれて、船の喫水は減少する(全部で約2m)。いったんこの操作が実行されると、接続装置7は遠隔操作で切り離されるとともに持上げ道具が引き上げられる。
【0082】
図18に示された最終ステップでは、次に船舶の離脱が進行する。
【0083】
基礎の空気バラスト空間を海水で満たすことは、船舶の離脱の前に船舶から、あるいは風力タービンのそばに来ることができると同時に単純なバルブ開放操作を水面SE近くで実行することができる他の船舶によって始動され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる「重力式」基礎を備える風力タービンを、外洋に位置する「洋上」サイトに輸送するための船舶に関する。
【0002】
本発明はまた、船舶を用いて風力タービンを「洋上」設置サイトに設置するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、多くのウィンドファームは洋上サイトに2つの主要なステップで設置される。第1は風力タービンのための基礎の設置に関わる段階から成る一方、第2は、パイロン、カウリングおよびブレードの設置である風力タービン自体の設置から成る。
【0004】
基礎に関して、それらが現地に輸送されることおよび設置されることを可能にするいくつかの種類の船舶がある。これらの船舶は基礎の種類によって決まる。「ジャッキアップ」(自己持ち上げ)タイプの艀または船舶、「二又クレーン」タイプの艀取付けクレーン、またはさらに様々なクレーンが取付けられた船舶から成り得る。
【0005】
様々なタイプの風力タービン用基礎がある。たとえば、モノパイル、ジャケット、重力、サクションパイル等の基礎を挙げることができる。
【0006】
最も軽い基礎(すなわち、モノパイルおよびトライポッドタイプ)に対して、小さなつり上げ能力の船舶が適している。それらは多少費用がかかるとともにかなり一般的である。
【0007】
最も重い基礎に対して、高いつり上げ能力を持つ船舶、すなわち重力式基礎のための3000トン超、が必要とされる。後者は少なく、したがって可用性が低いとともに費用がかかる。
【0008】
海上での作業時間は必然的に陸上で行われる同じ作業より高いコストになる。
【0009】
ジャッキアップタイプの船舶は、風力タービンまたは基礎が取付けられる度に一定の時間を、自身をその脚上に持ち上げるおよびそれらを引っ込めるのに使う。それらは風力タービンの区分的な組立を、クレーンを用いて実行する。このタイプの組立は作業の多様性に関連した危険を含むとともに、これらは気象条件、特に風の状況(特にブレードの取付けに対して)により制限される。
【0010】
海上での作業時間を減らすために、基礎およびそれに関連した風力タービンを単一の物として洋上設置サイトに輸送するという考えは既に考えられている。風力タービンの完全な組立は例えばウィンドファームの近くの港で実行される。次に船舶がその基礎に組立てられた風力タービンをサイトに運搬するとともにそれを設置するためにそれを受け取りに来る。
【0011】
このような技術の例は特許文献1乃至5に見ることができる。
【0012】
例えば、特許文献1では、風力タービンを洋上サイトに設置するための装置が記載され、この装置は、この風力タービンの全重量を支えることなしに輸送することを可能にする。
【0013】
後者はその基礎がほとんど水を保持しないかぎり浮くことができる。
【0014】
特定の実施形態では、装置は風力タービンのパイロンをつかむためのあご(jaw)を備える船舶の形態を有する。上方から見ると、この船舶は、その対向する端部が風力タービンのパイロンの直径よりわずかに大きい間隔を有する長手方向スロットを持つU形状フォークの形態を有する。
【0015】
輸送に関して、基礎の上面が船舶の底と接触するとともに、ケーブル、チェーンまたは同様の要素により保持されると述べられている。
【0016】
この装置は概して満足をもたらすように見えるが、出来る限り完全である安定性を保証する条件下での風力タービンのハンドリングおよび海底への設置から成る作業により完成可能になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第2001/34 977号
【特許文献2】国際公開第2001/59 489号
【特許文献3】米国特許第7 234 409号明細書
【特許文献4】仏国特許第2 923 454号明細書
【特許文献5】国際公開第2010/02 87 62号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
実際には、基礎を備える風力タービン等の重い輸送物を海底に、浮いているので海上において6自由度で可動な船舶から降ろすことは、輸送物を水の底の目標物まで案内するおよび安定させるために強固であるのみならず、いったん輸送物が降ろされると船舶が基部に過度な水平力を伝えないように柔軟でもある手段を必要とする。
【0019】
したがって、この目的は本発明に基づいて達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の第1の目的は、風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により風力タービンを海底上に安定させることが可能な、いわゆる「重力式」基礎を備える風力タービンを、「洋上」サイトに輸送するための船舶に関し、この船舶は上方から見て、船体を規定する2つの「分岐」およびそれらを接続する接続橋を持つ、概して「U」の形を有し、船体を隔てるスペースは風力タービンのパイロンがそこに入ることを可能にする船舶であって、この船舶は船舶を完全に通って延びる複数の強固で垂直な「杭」を有し、これらの杭の下端は基礎に支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置を備え、これらの杭は、これらの杭の下降動作によりこの風力タービンがこの下降動作中に案内されるとともに安定するように、および上昇動作により、これらの杭が上昇動作をこの風力タービンに伝達するように、要求に応じて、垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする。
【0021】
本件の船舶は双胴船タイプのものであり得る。
【0022】
したがって、例えば50mほどの長さのこれらの杭は、風力タービンを45mもの深さの底に降ろすために、この剛性が得られることを可能にする。
【0023】
変形可能な接続装置は、約10mの長さを有する場合、約10度の自由度の円錐内で動くときに、動的位置決め性能に関する船舶の水平方向の動きに対応して(1または2mの目標位置のまわりのずれ)、柔軟性を有することが可能になる。
【0024】
この設計は、基礎を水底または他の船に降ろすまたは持ち上げる多くの洋上クレーンに見られるような、水平ずれまたは他の動きを補償するための装置を必要としない。
【0025】
船舶に設置された風力タービンの基礎に接続されたケーブルを持つ4つのウインチが使用された場合、下降中の浮いている船舶と風力タービンとの間の相対運動のため、制御が困難になる横方向の変位を有する恐れがある。これらの動きは、風力タービン自体の不安定、または風力タービンのパイロンと船舶との間の望まれない接触、または必要な目標に対する底に沈めること対する許容できない精度のいずれかを導き得る。加えて、海流もまたこれらの横方向の位置ずれを増幅し得る。
【0026】
特徴を限定しない他の利点によれば:
−杭は数が4つであるとともに、上方から見て、仮想的な四辺形の4つの正方形の隅に配置される;
−杭は、いくつかは接続橋の端部にあり、他のものは船体の端部にあるように、配置される;
−変形可能な装置の長さは、変形可能な装置が風力タービンおよびその基礎から成る輸送物が「洋上」サイトでの設置中に「安定」を保つように船舶の動きを補償または吸収するような方法で決定される;
−垂直方向の動きで杭を駆動するための装置を含む;
−これらの装置は、杭に支えられたラックと噛み合うピニオンを含む;
−変形可能な手段はスリングから成る;
−変形可能な装置は、自由端において、基礎への接続のためシステムを備え、これらの装置は好ましくは自動および遠隔操作される;
−輸送中に風力タービンの動きを妨げることができる装置を含む;
−装置は、船体の表面に形成されるとともに下方に向けられた開口を持つ垂直な向きを有する溝から成る一方、基礎はそれらが溝に入るとともにそこに固定され得るように配置された同じ数の突出部材を含む;
−船舶は半潜水式の船舶である。
【0027】
本発明のもう1つの態様は、上述の特徴のひとつに一致する半潜水式船舶を使用して、風力タービンおよびその基礎から成る輸送物を「洋上」設置サイトに設置するための方法に関し、輸送物は「重力式」であり、水中に沈むことができるとともに自身の重量の影響を受けて海底上でそれ自体を安定に保持することができる。
【0028】
この方法は、次のステップを有する点で注目すべきである:
a/杭の下端が基礎に支えられた適合接続装置の垂直上方または略上方になるまで船舶を移動させる;
b/杭を下降させるとともに変形手段を適合手段に接続する;
c/接続された風力タービンとともに杭を上昇させ、風力タービンの基礎が少なくとも部分的に常に水面下に留める;
d/船舶を設置サイトに向かって動かすと同時に安定性を向上させるために喫水を増やす;
e/船舶を設置場所の垂直上方に位置決めする;
f/杭を基礎が海底に置かれるまで下降させる;
g/変形可能な装置の切り離しおよび船舶(4)の離脱。
【0029】
この方法の特徴を限定しない利点によれば:
−ステップdとeとの間において、船舶の喫水がさらに増加する;
−この喫水は船舶に含まれたバラスト区画を水で満たすことにより増加する;
−ステップfの後、基礎に含まれたバラスト区画が満たされる。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。この説明は添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、風力タービンの基礎の港または他のサイトでの構造を示す簡略化された斜視図である。
【図2】図2は、風力タービンの基礎の港または他のサイトでの構造を示す簡略化された正面図である
【図3】図3もまた、2つの浮いている図1のような基礎を動かしている引船の簡略化された斜視図である。
【図4】図4は、クレーンを使用した風力タービンの組立および艀により港または他の場所にある、いわゆる組立サイトに運ばれたパイロンセクションを示す斜視図である。
【図5】図5もまた、パイロンセクションの組立の前の、固定(チョッキング、chocking)クレードル上の所定の位置の風力タービンの基礎を示す斜視図である。
【図6】図6は、風力タービンに近づく運転中の本発明による船舶を示す上方視である。
【図7】図7は、図6と略同様であるが別の視角からの部分図である。
【図8】図8は、風力タービンおよび極めて細い線で示された船舶の斜視図である。
【図9】図9は、風力タービンの基礎およびそのパイロンの一部、並びに本発明の船舶が備える4つの杭の斜視図である。
【図10】図10は、これらの杭の1つの中央の垂直断面の部分図である。
【図11】図11は、船舶に対して固定される(チョックされる、chocked)ことを可能とする装置を示すことを意図した基礎の部分図である。
【図12】図12は、船舶の船体に作られたスロットと協働する図11の装置の別の角度からの図である。
【図13】図13は、風力タービンの船舶による設置サイトへの輸送を示す簡略化された斜視図を示す。
【図14】図14は、風力タービンの船舶による設置サイトへの輸送を示す簡略化された斜視図を示す。
【図15】図15は、風力タービンを洋上サイトにおいて下降する作業を示す。
【図16】図16は、風力タービンを洋上サイトにおいて設置する作業を示す。
【図17】図17は、基礎に対する船舶の杭の離脱を示す。
【図18】図18は、そのサイトの所定の位置に風力タービンを残す、船舶の離脱を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1及び2には、例えば乾ドックのフロアでの、必要に応じて風力タービンの最終組立場所に艀により輸送され得る(図3)、構造の形態の風力タービンの基礎の製造が、非常に概略的に示される。
【0033】
好ましくは、このような基礎は、その幾何学的形状および質量がそれを輸送する船舶の技術特性に適合するように、コンクリートでバラストされるとともに鋼で作られたトランクで覆われる、鋼製の外殻から成る。
【0034】
変形形態として、このような基礎は、鉄筋コンクリートのみで作られ得る。
【0035】
この平行六面体の基礎の2つの対向する面の、垂直移動の可能性を持つポスト13(図3参照)がソケットに入れられた、スリーブ12の存在が特筆される。
【0036】
これらのポストの利点は説明中にさらに説明される。
【0037】
さらに、基礎は必ずしも平行六面体形状を持つものではない。
【0038】
コストの最適化を可能にするとともにこれらの基礎1の輸送を確実にするために、それらは好ましくは、十字形組立体11内で、所定の数の隣接するセル10に区分され、あるものはコンクリートで満たされる一方その他は空である。しかし、後者は、それらの内部空間に水が入ることを許すことによりバラストされる(安定する)、または幾つかに関して次のステップにおいてコンクリートで満たされるように設計される。
【0039】
単に目安として、このステップにおいて、この組立体の鋼の全質量は1300トンになり得る一方、コンクリートの全質量は2000トンになり得る。
【0040】
図示されない次のステップでは、特に風力タービンの組立サイトへの輸送を目的として、基礎の浮遊が行われる。
【0041】
図3に示されるように、2つの(またはそれより多い)基礎を一緒に接続するとともに組立体を既知の型の引船Rで、例えば港湾区域の基礎保管場所に動かすことが可能である。
【0042】
この図および次の図では、海面および海底面はそれぞれSEおよびFMで表示される。
【0043】
目安として、この移送中の基礎の喫水は約4.5mである。
【0044】
基礎の移送は、風力タービン2の基礎1への組立を続けるとともに終了させることができるクレーンGがある組立サイトまで行われる。この目的を達成するために、風力タービン2のパイロン23のセグメント22が事前にクレーンの近くに置かれている。表示24は風力タービンのカウリングに割り当てられるとともに、簡単にするために、それに支えられたブレードはここでは表示されていない。これらの要素は、陸からまたは、図にBで表示されたような少なくとも1つの艀を用いて海から持って来られ得る。
【0045】
図5は、この組立フェーズ中に組立体が安定することを可能にするコンクリートまたは砂利クレードル3に基礎が置かれていることを除いて、前図と略同じ状況を示す。
【0046】
図4および5の2つの状況において、今まで空であったバラスト区画を水で満たすことおよびいくつかの区画を3800トンのコンクリートに達するまでコンクリートで満たすことによりバラスティングを完了することが留意される。このコンクリートは前述の約1300トンの鋼に加わる。
【0047】
パイロン、カウリングおよびブレードも考慮される場合、この質量は計約6000トンに達するように約900トン増加する。風力タービンおよびその基礎から成る「輸送物」の輸送の目的で、水バラスト区画は次に、基礎の部分的なまたは完全な水没のためにこの輸送物の見掛け重量が約1400トンに達するように、完全にまたは部分的に空にされる。
【0048】
図6および7には、風力タービン2がその基礎を洋上サイトに組み立てられることを可能にする船舶の接近フェーズが、異なる角度から示される。
【0049】
初めに、上述の基礎はいわゆる重力式のものであることが示され、これは風力タービン自体の重さにより補充された自身の重量の影響下において海底で安定することを意味する。
【0050】
したがって、いったん風力タービンが適所に配置されると、如何なる状態でも浮かぶことができない。
【0051】
図中に4で表示された上述の船舶は、半潜水式双胴船タイプのものであるとともに、上方から見て、平行な船体(船殻)40を規定する2つの「分岐」、およびそれらを接続する接続橋41の概してUの形を有する。したがって、船体40を隔てるとともにその中に風力タービンのパイロン23の結合を可能にするスペースが存在する一方、基礎1は、手順のどのステップが考慮されるかに応じて、船舶の下に位置するときもあれば船舶のフロートの間に位置するときもあるスペースを占有する。
【0052】
図13でのみ見えるとともに45で示される補強クロスメンバは、歪に対する船舶の耐性の向上を可能にするとともに輸送中に部分的にまたは完全に水没したままでいる基礎の流体力学的特性の向上も可能にする。このクロスメンバは下方に接続橋41から離れて配置される。
【0053】
この接続橋は船の操舵室を構成する上部構造物42を支える。
【0054】
最終的に、接続橋41は、空の空間の垂直上方に位置するとともに業務区域を提供する概してU形状の拡張部410を有する。
【0055】
本発明の1つの特に重要な特徴は、船舶がそれを完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭5を含むという事実から成る。
【0056】
用語「杭」が意味するものは、堅固であり得るが好ましくはそれらの内部体積が空洞にされた強固な垂直な管である。
【0057】
本発明では、これらの杭はそれぞれ約55mの高さを有する。
【0058】
それらは最小でも数が3つであるが、好ましくは数が4つである。この場合、それらは、上方から見て、接続橋41の拡張部410に広がる仮想的な四辺形の正方形の四隅の3つに配置される。これらの杭は、任意の既知の機械的システム411、例えば杭組立体が船舶に対して上げられるおよび下げられることを可能にするラックとピニオン53により駆動される。
【0059】
図10では、このような杭の1つの実施形態が断面図で示される。この杭5はここでは中空である。杭はその上部にカウリング50を有するとともにそこを通って梯子が通る開口を通って降りることができる補強プラットフォーム51を内部に備える。
【0060】
このようなシステムは特に、杭に関連する全ての部品が正常に作動することを確実にするために安全点検を可能にする。
【0061】
また、本発明の本質的な請求項によれば、杭の下端は、基礎に支えられた適合装置8への接続のために変形可能な装置6を備える。
【0062】
ここに示された実施形態では、これらは輪の組立体から成るスリング6である。
【0063】
しかし、それらはケーブルまたは任意の他の変形可能な手段からなり得る。目安として、このスリングの長さは約6mである。
【0064】
図8および9は、杭5、船舶に組み込まれている機械的システム411および船舶および基礎に関するスリング6の位置を理解することを可能にする。
【0065】
図9を参照すると、基礎1はその上面かつその四隅の近くに、円錐が上方に拡がる円錐台形状80で上方に延び、持上げポイントとして機能する中空管で構成されている縦穴8を有することが留意される。例えばフックを利用する、示されていない固定システム7は、スリング6が基礎の持上げポイント8に接続されることを可能にする。
【0066】
縦穴8の真上にある位置での杭5の同時下降動作中、スリング6を縦穴8内に引き込む(係合させる)ことおよびそれらを固定装置7を通じて強固に取付けることができる。この作業が実行されるとき、基礎および関連する風力タービンは船舶に接続される。
【0067】
次に、図14に見ることができるように、杭の上昇を基礎1が船舶の船体に対して接触するまで制御することができる。例えば図9および12に示された装置を使用することにより、風力タービンを船舶4に固定することができる。
【0068】
ここでは、これらは下向きの開口を持つ垂直の向きを有する船舶4の船体それぞれに作られた溝44から構成される一方、基礎1は、溝44に入るとともにそれらの底部に対して接触するように配置された同じ数の突出部材9を有する。この接触の位置を保持することは、機械的杭上昇システムの垂直な予張力により提供され、その結果垂直方向(Z方向)の動きは可能で無い。
【0069】
より正確には、突出部材は溝44に入る板90を備える。
【0070】
この設計は、スリングおよび持上げポイント8(基礎により「支えられる」持上げポイントの寸法もまた重要である)において大きな垂直の力を発生させるので、1つの変形形態は、杭の上方部分のフレームおよび船舶に対する基礎の平面内(X方向およびY方向)の動きを妨げるシステムを配置することである。この結果、船舶に対するZ(垂直)方向の自由度は妨げられない。
【0071】
この変形形態において、持上げシステムは予荷重を与えられずもはや動的モーメントを取り扱わないが、輸送物だけの見掛け重量による力のみを取り扱うので、持上げシステムの寸法設計は問題となることが少ない。
【0072】
したがって、船舶につながれた基礎は、部分的にまたは完全に水没した基礎にかかるアルキメデスの推力(浮力)により、約1400トンの見掛け重量を有する。
【0073】
次に船舶は、好ましくは船舶4の安定性を向上させるために船舶4の喫水を増加させながら、移動する。このために、船舶は半潜水式のタイプであり、これはその船体が海水を満たすことができるバラストタンクを含むことを意味する。
【0074】
この操作の間、喫水は例えば10mである。
【0075】
サイトに到着すると、ポスト13が基礎の下面の下に突出するように、ポスト13は最初に基礎1のスリーブ12に対してそれらを下げるために駆動される。次に、風力タービンを海底FMに設置するために移動させるための準備が行われる。このために、船舶の喫水が必要な場合に例えば15mに増やされるとともに、杭5の同時下降が命じられる。
【0076】
垂直方向に移動可能なポストを備えたこのような基礎は、ここに記載された船舶と独立して使用され得る。
【0077】
この風力タービンおよびその基礎等の「重量輸送物」を、浮遊状態である(したがってその動きに応じて海上で移動可能である)船舶4から海底に降ろすことは、輸送物を案内するとともにそれを海底の目標に安定させる強固な道具を必要とすることは容易に理解される。
【0078】
この場合、これは杭5から構成される。しかし、この道具は、いったん輸送物が降ろされると、船舶が過度な水平力を基礎に伝達しないように、柔軟でなければならない。
【0079】
この場合、これはスリング6を含む。これらのスリングは約10度の自由度の円錐内で動くことにより柔軟性を有することを可能にし、この約10度の自由度の円錐は、動的位置決め性能(1または2mの目標位置のまわりのずれ)に関連がある船舶の水平方向の動きに対応する。この技術は、水底または他の船に輸送物を降ろすまたは持ち上げる多くの洋上クレーンに通常見られるような、水平ずれまたは他の動きを補償するための装置を必要としない。
【0080】
この下降動作中、それらのスリーブ12から既に延ばされたポスト13は海底FMに突き刺さり、基礎の下の海底を乱すことなく平面内で風力タービンの安定性を大幅に増加させる。基礎1が海底FMに近づけば近づくほど、船舶の水平ずれは海底と基礎との間の吸引作用により減少する。
【0081】
したがって、降ろされた後に基礎が海底から持ち上がる恐れはもちろん基礎と海底との間の接触の衝撃も減少する。荷重が徐々に船舶から海底に移されるにつれて、船の喫水は減少する(全部で約2m)。いったんこの操作が実行されると、接続装置7は遠隔操作で切り離されるとともに持上げ道具が引き上げられる。
【0082】
図18に示された最終ステップでは、次に船舶の離脱が進行する。
【0083】
基礎の空気バラスト空間を海水で満たすことは、船舶の離脱の前に船舶から、あるいは風力タービンのそばに来ることができると同時に単純なバルブ開放操作を水面SE近くで実行することができる他の船舶によって始動され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により前記風力タービンを海底上に安定させることができる、いわゆる重力式基礎を備える前記風力タービンを、洋上サイトに輸送するための船舶であって、前記船舶は、上方から見て、船体を規定する2つの分岐およびそれらを接続する接続橋を持つ概してUの形を有し、前記船体を隔てるスペースが前記風力タービンのパイロンの引き込みを可能にする、船舶において、
前記船舶は、前記船舶を完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭を含み、前記杭の下端は、前記基礎に支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置を備え、前記杭は、前記杭の下降動作により前記風力タービンが前記下降動作中に案内されるとともに安定するように、および、上昇動作により前記杭が前記上昇動作を前記風力タービンに伝達するように、要求に応じて垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする、
船舶。
【請求項2】
前記杭は、数が4つであるとともに上方から見て、仮想的な四辺形の4つの正方形の隅に配置される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記杭は、いくつかは前記接続橋の端部にあり、他のものは前記船体の端部にあるように、配置される、ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の船舶。
【請求項4】
前記変形可能な装置の長さは、前記風力タービンおよび前記基礎から成る輸送物が前記洋上サイトへの前記基礎の設置中に安定を保つように前記変形可能な装置が前記船舶の動きを補償または吸収するよう決定される、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記船舶は、垂直方向の移動で前記杭を駆動するための装置を含む、ことを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項6】
前記装置は、前記杭に支えられた歯付ラックと噛み合うピニオンを含む、ことを特徴とする、
請求項5に記載の船舶。
【請求項7】
前記変形可能な装置はスリングから成る、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項8】
前記変形可能な装置は、自由端において、前記基礎への接続のためシステムを備え、好ましくは自動および遠隔操作される、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項9】
輸送中に前記風力タービンの動きを妨げることができる装置を含む、ことを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項10】
前記装置は、前記船体の表面に形成されるとともに下方に向けられた開口を持ち垂直な向きを有する溝から成る一方、前記基礎はそれらが前記溝に入るとともにそこに固定され得るように配置された同じ数の突出部材を有する、ことを特徴とする、
請求項9に記載の船舶。
【請求項11】
前記船舶は半潜水式の船舶である、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項12】
風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により前記風力タービンを海底上に安定させることができる、いわゆる重力式基礎を備える前記風力タービンを、請求項11を組み合わせた請求項1乃至10のいずれか1項に記載の船舶を使用して、洋上設置サイトに設置するための方法であって、前記風力タービンが予め水面下のサイトに置かれている、方法において、
前記方法は:
a/前記杭の下端が前記基礎に支えられた前記適合装置の垂直上方または略上方になるまで前記船舶を移動させるステップ;
b/前記杭を下降させるとともに前記変形可能な装置を前記適合装置に接続するステップ;
c/接続された前記風力タービンとともに前記杭を上昇させ、前記風力タービンの前記基礎が少なくとも部分的に常に水面下に留めるステップ;
d/前記船舶を前記設置サイトに向かって動かすと同時に安定性を向上させるために喫水を増やすステップ;
e/前記船舶を前記設置場所の垂直上方に位置決めするステップ;
f/前記杭を前記基礎が前記海底に置かれるまで下降させるステップ;
g/前記変形可能な装置の切り離しおよび前記船舶の離脱のステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記ステップdと前記ステップeとの間において、前記船舶の前記喫水がさらに増やされる、ことを特徴とする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記喫水は前記船舶に組み込まれたいくつかのバラスト区画を水で満たすことにより増やされる、ことを特徴とする、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップfの後、前記基礎に組み込まれたバラスト区画が水で満たされる、ことを特徴とする、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により前記風力タービンを海底上に安定させることができる、いわゆる重力式基礎を備える前記風力タービンを、洋上サイトに輸送するための船舶であって、前記船舶は、上方から見て、船体を規定する2つの分岐およびそれらを接続する接続橋を持つ概してUの形を有し、前記船体を隔てるスペースが前記風力タービンのパイロンの引き込みを可能にする、船舶において、
前記船舶は、前記船舶を完全に通って延びる複数の強固で垂直な杭を含み、前記杭の下端は、前記基礎に支えられた適合装置への接続のための変形可能な装置を備え、前記杭は、前記杭の下降動作により前記風力タービンが前記下降動作中に案内されるとともに安定するように、および、上昇動作により前記杭が前記上昇動作を前記風力タービンに伝達するように、要求に応じて垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする、
船舶。
【請求項2】
前記杭は、数が4つであるとともに上方から見て、仮想的な四辺形の4つの正方形の隅に配置される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記杭は、いくつかは前記接続橋の端部にあり、他のものは前記船体の端部にあるように、配置される、ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の船舶。
【請求項4】
前記変形可能な装置の長さは、前記風力タービンおよび前記基礎から成る輸送物が前記洋上サイトへの前記基礎の設置中に安定を保つように前記変形可能な装置が前記船舶の動きを補償または吸収するよう決定される、ことを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記船舶は、垂直方向の移動で前記杭を駆動するための装置を含む、ことを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項6】
前記装置は、前記杭に支えられた歯付ラックと噛み合うピニオンを含む、ことを特徴とする、
請求項5に記載の船舶。
【請求項7】
前記変形可能な装置はスリングから成る、ことを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項8】
前記変形可能な装置は、自由端において、前記基礎への接続のためシステムを備え、好ましくは自動および遠隔操作される、ことを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項9】
輸送中に前記風力タービンの動きを妨げることができる装置を含む、ことを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項10】
前記装置は、前記船体の表面に形成されるとともに下方に向けられた開口を持ち垂直な向きを有する溝から成る一方、前記基礎はそれらが前記溝に入るとともにそこに固定され得るように配置された同じ数の突出部材を有する、ことを特徴とする、
請求項9に記載の船舶。
【請求項11】
前記船舶は半潜水式の船舶である、ことを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項12】
風力タービンの重量が追加されたそれ自体の重さの効果により前記風力タービンを海底上に安定させることができる、いわゆる重力式基礎を備える前記風力タービンを、請求項11を組み合わせた請求項1乃至10のいずれか1項に記載の船舶を使用して、洋上設置サイトに設置するための方法であって、前記風力タービンが予め水面下のサイトに置かれている、方法において、
前記方法は:
a/前記杭の下端が前記基礎に支えられた前記適合装置の垂直上方または略上方になるまで前記船舶を移動させるステップ;
b/前記杭を下降させるとともに前記変形可能な装置を前記適合装置に接続するステップ;
c/接続された前記風力タービンとともに前記杭を上昇させ、前記風力タービンの前記基礎が少なくとも部分的に常に水面下に留めるステップ;
d/前記船舶を前記設置サイトに向かって動かすと同時に安定性を向上させるために喫水を増やすステップ;
e/前記船舶を前記設置場所の垂直上方に位置決めするステップ;
f/前記杭を前記基礎が前記海底に置かれるまで下降させるステップ;
g/前記変形可能な装置の切り離しおよび前記船舶の離脱のステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記ステップdと前記ステップeとの間において、前記船舶の前記喫水がさらに増やされる、ことを特徴とする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記喫水は前記船舶に組み込まれたいくつかのバラスト区画を水で満たすことにより増やされる、ことを特徴とする、
請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップfの後、前記基礎に組み込まれたバラスト区画が水で満たされる、ことを特徴とする、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−180088(P2012−180088A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42183(P2012−42183)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(510031464)エス テ イクス フランス ソシエテ アノニム (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(510031464)エス テ イクス フランス ソシエテ アノニム (7)
【Fターム(参考)】
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