説明

風呂湯張り方法および装置

【課題】浴槽の水位が減少したとき、その減少した水位を補うべく湯を注ぎ足すと共に、所望の湯温を維持する湯張り方法および装置を提供する。
【解決手段】加熱された湯を蓄える貯湯タンクから浴槽に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽内に湯張りをした後、該浴槽内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、その減少した湯量を求めると共に、該浴槽の満水位置まで前記貯湯タンクから足し湯をする際、前記浴槽内の湯を所望の湯の温度にするに必要な足し湯の熱量を求め、前記湯量および前記熱量を満足する足し湯を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂湯張り方法および装置に係り、特に浴槽に満たした湯が減少した際、足し湯を行い、所定の満水位および湯温を維持するに好適な風呂湯張り方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、省エネルギーの観点からヒートポンプを利用した給湯装置の利用が拡大し、例えば家庭用の風呂湯張り装置等にも適用されている。この種の湯張り装置は、概略的には、図7に示すように浴槽1と、外部から導いた給水を加熱するヒートポンプ2、このヒートポンプ2によって加熱された湯を保持する貯湯タンク3、この貯湯タンク3に蓄えられた湯を浴槽1に導く給湯配管路4を備えて構成される。
【0003】
このように構成された風呂湯張り装置は、図示しない風呂リモコンからユーザによって設定入力された湯の温度(湯温)および満水位になるよう給湯される。
このようにして浴槽に給湯された湯は、ユーザが入浴して使用することによって浴槽内の湯の水位が低下していく。この水位低下分を補って浴槽に給湯する湯張り制御装置として浴槽用給湯及び追焚装置の制御方法(例えば、特許文献1を参照)や自動風呂装置(例えば、特許文献2を参照)が知られている。
【特許文献1】特開平2−306051号公報
【特許文献2】特開2001−215051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したヒートポンプを用いた風呂湯張り装置や特許文献2に記載の自動風呂装置は、浴槽の水位が減少したときに満水位置まで水位復元を行うので、湯張りまたは水位復元から、次の水位復元までの時間が長い場合、浴槽内の湯の温度が低下しているので風呂リモコンで設定された設定温度の足し湯を行ったとしても浴槽内の湯温が所望の温度よりも低くなり入浴に適さないという問題がある。
【0005】
もちろん足し湯の後、追い焚きして浴槽の湯温を調整することもできるが、沸かし直しに時間を要すると共に、熱交換ロスによる効率低下が生じる。また、貯湯式の場合は、追い焚きに伴う熱交換によってタンク内の温度分布が壊れるという問題が新たに生じる。
次に前述した特許文献1に記載の浴槽用給湯及び追焚装置の制御方法は、浴槽内の水位が低下したとき、少量の足し湯を行って浴槽内の温度を検出し、所望の温度よりも低い場合に追い焚きを行うことを繰り返し実行することで所望の満水位置まで給湯する制御方法をとっているので、前述した従来の風呂湯張り装置と同様に熱交換ロスによる効率低下や熱交換によってタンク内の温度分布が壊れるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような従来の湯張り装置の問題を解決するべくなされたもので、その目的とするところは、浴槽の水位が減少したとき、その減少した水位を補うべく湯を注ぎ足すと共に、所望の湯温を維持する風呂湯張り方法および装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するべく本発明の風呂湯張り方法は、加熱された湯を蓄える貯湯タンクから浴槽に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽内に湯張りをした後、該浴槽内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、その減少した湯量を求めると共に、該浴槽の満水位置まで前記貯湯タンクから足し湯をする際、前記浴槽内の湯を所望の湯の温度にするに必要な足し湯の熱量を求め、前記湯量および前記熱量を満足する足し湯を行うことを特徴としている。
【0008】
またこの風呂湯張り方法が適用される本発明の風呂湯張り装置は、加熱された湯を蓄える貯湯タンクから浴槽に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽内に湯張りをした後、該浴槽内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、前記浴槽に湯を注ぎ足して所望の満水位置を維持する風呂湯張り装置であって、特に前記配管路に介挿されて前記貯湯タンクに蓄えられた湯と外部から供給される水とを混合して所望の湯温に調整する混合弁と、前記浴槽に湯張りする湯の温度および満水位置を設定する設定部と、浴槽に接続された配管路を介して、該浴槽に湯張りされた湯の水位および温度をそれぞれ検出する水位センサおよび温度センサと、前記水位センサが前記設定部に設定された満水位置から所定の水位を下回ったことを検出したとき、その減少した水位から満水位置に至るまでに必要な前記浴槽への注ぎ足し湯量を求める給湯容量計算部と、この給湯容量計算部が求めた注ぎ足し湯量を前記浴槽に満たすとき、前記温度センサが検出した前記湯の温度から前記設定部に設定された湯温にするに必要な前記注ぎ足し湯の熱量を求める給湯熱量計算部と、前記混合弁を調整して前記浴槽に前記給湯熱量計算部が求めた熱量を満たす足し湯を供給する混合弁調整部とを備えることを特徴としている。
【0009】
したがって上述の風呂湯張り方法および風呂湯張り装置は、足し湯完了と同時に所望の設定温度の湯を浴槽に得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の風呂湯張り方法および装置は、浴槽内の湯が満水位置から減少したとき、再び満水位置まで足し湯をする際、足し湯後の温度を所望の温度にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る風呂湯張り方法を適用した風呂湯張り装置を図1〜図6に示す添付図面を参照しながら説明する。尚、これらの図において従来の風呂湯張り装置等を示す図7と同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成は従来のものと同様である。また本発明の風呂湯張り方法および装置は、図1〜図6に示す図によって限定されるものではない。
【0012】
さて、本発明の一実施形態に係る風呂湯張り方法を適用した風呂湯張り装置は、貯湯タンク3として低温貯湯タンク3aおよび高温貯湯タンク3bの二つの貯湯タンクを備え、市水等から供給される給水をヒートポンプ2によって加熱して湯を作り、この湯を貯湯タンク3a,3bに蓄え、浴槽等に給湯する構成をとっている。そこでまず図1に示す配管回路図を用いながら本発明の風呂湯張り方法を適用した風呂湯張り装置について説明する。
【0013】
市水等から供給される給水は、この給水に含まれる異物等の不純物を取り除くストレーナ6を介して、その下方に接続された配管路4aによって導かれて低温貯湯タンク3aに蓄えられる。また、ストレーナ6を出た給水の一部は、別の配管路4bを通り、給水の逆流を防止する逆止弁7aを介して高温貯湯タンク3bから供給される湯と混合して給湯出力する給湯混合弁8に導かれる。この給湯混合弁8は、給湯に適した温度になるよう給水と湯とを混合して給湯水を出力する役割を担っている。尚、ストレーナ6と逆止弁7aとを接続する配管路4bには、給水の温度を検出する給水サーミスタ9aが設けられ、また給湯混合弁8から供給される給湯水を導く配管路4cには、この給湯水の温度を検出する給湯サーミスタ9bおよび給湯量を計測するフローセンサ10が設けられている。
【0014】
低温貯湯タンク3aの下方には、この低温貯湯タンクに蓄えられた水を加熱するヒートポンプ2に導く配管路4dが接続される。この配管路4dには、低温貯湯タンクに蓄えられた水をヒートポンプ2に送り出すポンプ(HPポンプ11)が介挿されている。
ヒートポンプ2によって加熱された水は、湯となって再びヒートポンプ2に戻すことができるヒートポンプバイパス弁12に接続された配管路4e、および、このヒートポンプバイパス弁12からその上方に接続された配管路4fによって高温貯湯タンク3bに導かれる。尚、HPポンプ11とヒートポンプ2とを接続する配管路4gおよびヒートポンプ2とヒートポンプバイパス弁12とを接続する配管路4eには、それぞれエア抜きバルブ13a,13bが設けられて管路内の溜まったエアを抜くことができるようになっている。また、ヒートポンプ2とヒートポンプバイパス弁12を接続する配管路4eには、ヒートポンプ2によって加熱された湯の温度を検出するヒートポンプサーミスタ9cが設けられている。
【0015】
低温貯湯タンク3aの上方には、高温貯湯タンク3bの下方に接続される配管路4hが設けられている。そして高温貯湯タンク3bの上方には、この高温貯湯タンク3bに蓄えられた湯と低温貯湯タンク3aの上方に設けられた配管路4iによって導かれる湯を混合する中間混合弁14に、それぞれの湯を導く配管路4jが設けられている。
中間混合弁14によって混合された混合湯は、配管路4kに設けられた逆止弁7bを介して前述した給湯混合弁8に導かれる。更にこの混合湯は、配管路4kから分岐して別の逆止弁7cを介してストレーナ6から出た給水と混合して出力する風呂混合弁15に導かれる。尚、中間混合弁14から出た混合湯の温度は、配管路4kに設けられた混合サーミスタ9dによって検出される。また風呂混合弁15から出た湯は、配管路4qに設けられた風呂サーミスタ9eによって検出される。
【0016】
ちなみに低温貯湯タンク3aには、低温貯湯タンク3aの下方部に位置付けたサーミスタTH1、略中央部に位置付けられたサーミスタTH2および上方部に位置付けられたTH3が備えられている。また高温貯湯タンク3bには、高温貯湯タンク3bの下方部に位置付けたサーミスタTH4、略中央部に位置付けられたサーミスタTH5および上方部に位置付けられたTH6が備えられている。これらのサーミスタは、それぞれ低温貯湯タンク3aおよび高温貯湯タンク3b内の湯温を検出するとともに、各タンク内に湯がどの程度残っているのかを検知する役割を担っている。つまり、タンク内に湯がない場合は、サーミスタが検出する温度は、通常の湯温より低い温度である。したがって、通常の湯温より低い温度を検出したときは、貯湯タンク3a,3b内に湯がないものと判断できる。
【0017】
また高温貯湯タンク3bの上方には、更に別の配管路4mが設けられて、図示しない浴槽に蓄えられた湯を追い焚きする熱交換器16の一次側を通って熱交換した後、低温貯湯タンク3aに導かれるようになっている。尚、高温貯湯タンク3bと熱交換器16との間の配管路4mには、逆流を防止する逆止弁7d、熱交換器16の出口から低温貯湯タンク3aとの間には、追い焚き一次ポンプ17がそれぞれ設けられている。
【0018】
この熱交換器16の二次側は、図示しない浴槽と循環して風呂水を追い焚きする追い焚き回路が接続されている。この追い焚き回路は、浴槽に接続された配管路4nから浴槽内の湯を導き、熱交換器16の二次側を介して再び浴槽に戻す配管路4pによって構成され、配管路4nに介挿された風呂循環ポンプ18によって湯が循環して追い焚きができるようになっている。尚、浴槽と風呂循環ポンプ18とを接続する配管路4nには、浴槽に張られた湯の水圧を検出して浴槽の水位を求める水位センサ5、追い焚き回路内を湯が循環していることを検出するフロースイッチ19および循環する湯の温度を検出する循環サーミスタ9fが設けられている。またそれぞれの配管路4n,4pには、エア抜きバルブ13c,13dがそれぞれ設けられて、これらの配管路4n,4p内に存在する不要なエアが抜けるようになっている。更に追い焚き回路には、浴槽の湯が減ったときに足し湯をするべく、風呂混合弁15から風呂電磁弁20の開閉制御によって湯を導く配管路4qが風呂循環ポンプ18と熱交換器16との間に接続されている。
【0019】
このように各部が接続された本発明の風呂湯張り装置は、図2に示す給湯制御部30によって制御される。この給湯制御部30は、前述した水位センサ5、フローセンサ10およびフロースイッチ19が検出した情報を受け取るセンサ情報入力部31、このセンサ情報入力部31から入力された情報に基づいて後述する所定の演算を行う演算部32、この演算部32が演算した結果および後述する初期値等の情報を保持する記憶部33、浴槽へ正しく給水が行われたかどうかを判定する風呂給水カウンタ34、湯張り設定を実行させるテストスイッチ35、湯張り設定中である等の作動状況を表示する表示部36、風呂電磁弁20、中間混合弁14、風呂混合弁15および風呂循環ポンプ18を駆動制御する出力部37、浴槽内の水位レベルや給湯温度を設定する設定部(操作入力部39)および給湯制御部30全体の制御を司る主制御部38を備えて構成される。
【0020】
前記演算部32は、水位センサ5が操作入力部39から設定された満水位置から所定の水位を下回ったことを検出したとき、その減少した水位から満水位置に至るまでに必要な前記浴槽への注ぎ足し湯量を求める給湯容量計算部32aと、給湯容量計算部32aが求めた注ぎ足し湯量を浴槽1に満たすとき、温度センサ(循環サーミスタ9f)が検出した湯の温度から操作入力部39から設定された湯温にするに必要な足し湯の熱量を求める給湯熱量計算部3bを備えている。
【0021】
また前記主制御部38は、各バルブを調整して浴槽1に給湯熱量計算部3bが求めた熱量を満たす足し湯を供給する混合弁調整部の役割も担っている。
概略的には上述したように構成された本発明の風呂湯張り装置に適用される風呂湯張り方法について図3、図5および図6のフローチャートを用いて説明する。図3のフローチャートは、施工時等に行われる風呂水位記憶運転時の作動に関するものであり、図5および図6のフローチャートは、風呂湯張り装置における風呂保温運転の作動手順を示すものである。
【0022】
まず湯張り装置の主制御部38は、テストスイッチ35が押下されると(ステップS1)、アダプタ1aの位置を検出するべく給水量を20Lに設定(ステップS2)し、風呂電磁弁20をオンにして(ステップS3)、中間混合弁14の開度を給水側全開、風呂混合弁15の開度を略中間開度にそれぞれ設定する(ステップS4,S5)。そして主制御部38は、設定量の給水が完了したかどうかを確認する(ステップS6)。
【0023】
主制御部38は、ステップS6で設定量の給水が完了したと判定すると、次工程の一次給水工程に移行する。
尚、ステップS6で、主制御部38は、設定量の給水が未完了と判定したとき、再びステップS8に戻り、設定量の給水が完了するまでその処理を繰り返す。
このようにしてアダプタ位置の検出ができた主制御部38は、一次給水工程を開始するべく風呂電磁弁20をオンする(ステップS7)。そして主制御部38は、20Lの給水が完了したかを確認する(ステップS8)。主制御部38は、ステップS21で設定量の給水が完了したと判定したとき、風呂電磁弁20をオフする。
【0024】
そして主制御部38は、30Lの給水が完了したかを確認する(ステップS11)。主制御部38は、ステップS11で設定量の給水が完了したと判定したとき、風呂電磁弁20をオフする(ステップS12)。
そうして30Lの給水が完了した後、主制御部38は、演算部32に所定の演算を行わせてその結果を記憶部33に保持し、一次給水を完了する(ステップS13)。ちなみにこのときの水位は、図4に示すようにアダプタ1aの上方における一次注水水位の位置にある。
【0025】
このようにして一次給水が完了した主制御部38は、次に二次給水を開始するべく必要な給水量の計算を実行する(ステップS14)。この給水量は、記憶部33に保持された情報を用いて演算部32が計算する。
そして主制御部38は、風呂電磁弁20をオンする(ステップS15)。次いで主制御部38は、設定した給水が完了したかを確認する(ステップS16)。主制御部38は、ステップS16で設定量の給水が完了したと判定したとき、風呂電磁弁20をオフする(ステップS17)。ちなみにこのときの水位は、図4に示すように一次注水水位の上方の二次注水水位にある。
【0026】
主制御部38は、水位と水圧との関係を示す情報を記憶部33に保持させるとともに、風呂水位記憶運転であるテストモードを終了する(ステップS18)。
このようにして初期設定が完了した風呂湯張り装置における風呂保温運転について図5および図6のフローチャートを参照しながら説明する。
主制御部38は、操作入力部39から予め設定入力された風呂保温時間設定時間内であるかどうかを判定する(ステップS101)。そして主制御部38は、更に保温が風呂保温時間設定時間内の所定時間以内で(ステップS102)、自動足し湯カット設定がなされていないかを判定する(ステップS103)。主制御部38は、ステップS102で保温が所定時間以内で、自動足し湯カット設定がなされていないとき、浴槽1の水位が図示しない風呂リモコン等から設定された所望の満水水位(設定水位)から一定の水位以下になっているかどうかを水位センサ5によって検出された水位情報から判定する(ステップS104)。
【0027】
尚ステップS103で主制御部38は、自動足し湯カット設定がなされていると判定したとき、およびステップS104で風呂リモコン等から設定された所望の満水水位(設定水位)から一定の水位以下になっていないと判定したとき、再びステップS101以降の処理を実行する。
ステップS104で主制御部38が浴槽水位が設定水位より一定の水位以下であると判定したとき、演算部32は、設定水位と浴槽水位から設定水位までの給湯量を求める(ステップS105)。
【0028】
演算部32は、風呂リモコンに設定された給湯温度と循環サーミスタ9fが検出した湯温から足し湯の給湯温度T(J)を求める(ステップS106)。
次いで主制御部38は、演算部32が求めた給湯温度T(J)の値が予め定められた上限温度値以下であるかどうかを判定する(ステップS107)。ステップS107で主制御部38は、給湯温度T(J)が上限温度値を超えていると判定したとき給湯温度T(J)を上限温度値に設定する(ステップS108)一方、給湯温度T(J)が上限温度値以下であると判定したときは、更に給湯温度T(J)が予め定められた下限温度値以上であるかどうかを判定する(ステップS109)。このステップS109で主制御部38は、給湯温度T(J)が下限温度値未満であると判定したとき給湯温度T(J)を下限温度値に設定する(ステップS110)一方、給湯温度T(J)が下限温度値℃以上であると判定したときには、風呂電磁弁20をオンする(ステップS111)。そして主制御部38は、風呂給湯運転を実行し(ステップS112)、設定量の給湯が完了するまでステップS112の風呂給湯運転を実行する(ステップS113)。
【0029】
ステップS113で設定量の給湯が完了すると主制御部38は、風呂電磁弁20をオフする(ステップS114)。次いで主制御部38は、水位センサ5の検出値が満水位近傍にあるか調べる(ステップS115)。
主制御部38は、ステップS115で水位センサ5の検出値が満水位近傍でないと判定したとき、演算部32に再給湯量を求めさせる(ステップS116)。次いで主制御部38は、前回の給湯と同じ給湯温度に設定し(ステップS117)、再びステップS111以降の処理を実行する。
【0030】
またステップS102で主制御部38は、保温が風呂保温時間設定時間内の所定時間以内でないと判定したとき、循環サーミスタ9fが検出した湯の温度が風呂設定温度より低いかどうかを判定する(ステップS118)。
主制御部38は、ステップS118で循環サーミスタ9fが検出した湯の温度が風呂設定温度より低いと判定したとき、追い焚きタイマをリセットし(ステップS119)、風呂設定温度と循環サーミスタ9fとの温度差およびサーミスタTH6から追い焚き一次ポンプ17に運転ポジションを設定する(ステップS120)。そして主制御部38は、追い焚き一次ポンプ17をオンして(ステップS121)、追い焚き制御を実行する(ステップS122)。
【0031】
次いで主制御部38は、サーミスタTH1〜TH6のすべてのサーミスタが検出した温度が所定給湯温度未満でないかどうかを判定する(ステップS123)。主制御部38は、ステップS123でサーミスタTH1〜TH6のすべてのサーミスタが検出した温度が所定給湯温度未満でないと判定したとき、更に循環サーミスタ9fが検出した温度が、風呂設定温度以上であるかを判定する(ステップS124)。
【0032】
ステップS124で主制御部38は、循環サーミスタ9fが検出した温度が、風呂設定温度以上であると判定したとき、追い焚き一次ポンプ17をオフし(ステップS125)、所定時間経過後に風呂循環ポンプ18をオフして(ステップS126)、追い焚きタイマをリセットし(ステップS127)、再びステップS101に戻って処理を継続する。
尚、ステップS118で主制御部38は、循環サーミスタ9fが検出した温度が、風呂設定温度を超えていると判定したとき、ステップS125以降の処理を実行する。
【0033】
またステップS124で主制御部38は、循環サーミスタ9fが検出した温度が、風呂設定温度未満であると判定したとき、追い焚き開始から予め定めた時間内であるかどうかを判定する(ステップS128)。このステップS128で主制御部38は、追い焚き開始から予め定めた時間内であると判定したときには、再びステップS122以降の追い焚き制御を実行する一方、追い焚き開始から予め定めた時間を超えていると判定したときには、風呂追い焚き異常処理を実行し(ステップS129)、ステップS130の風呂自動運転に移行する。
【0034】
尚、ステップS101で主制御部38は、風呂保温時間設定の時間内でないと判定したとき、およびステップS123でサーミスタTH1〜TH6のいずれかのサーミスタが検出した温度が所定給湯温度を超えていると判定したとき、風呂待機工程に移行する(ステップS131)。
かくして本発明の風呂湯張り方法は、加熱された湯を蓄える貯湯タンク3a,3bから浴槽1に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽1内に湯張りをした後、浴槽1内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、その減少した湯量を求めると共に、浴槽1の満水位置まで貯湯タンク3a,3bから足し湯をする際、所望の湯の温度にするに要する足し湯の熱量を求め、その湯量および熱量を満足する足し湯を行っている。このため浴槽への足し湯完了と同時に所望の設定温度の湯が浴槽に得ることができる。
【0035】
また本発明の風呂湯張り装置は、上述した風呂湯張り方法を適用したものであって、詳しくは加熱された湯を蓄える貯湯タンク3a,3bから浴槽1に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽1内に湯張りをした後、浴槽1内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、浴槽1に湯を注ぎ足して所望の満水位置を維持するよう構成したものであって、配管路に介挿されて貯湯タンク3a,3bに蓄えられた湯と外部から供給される水とを混合して所望の湯温に調整する給湯混合弁と、浴槽1に湯張りする湯の温度および満水位置を設定する設定部(操作入力部39)と、浴槽1に接続された配管路を介して、浴槽1に湯張りされた湯の水位および温度をそれぞれ検出する水位センサ5および湯温センサ9fと、水位センサ5が操作入力部39に設定された満水位置から所定の水位を下回ったことを検出したとき、その減少した水位から満水位置に至るまでに必要な浴槽1への注ぎ足し湯量を求める給湯容量計算部と、この給湯容量計算部が求めた注ぎ足し湯量を浴槽1に満たすとき、温度センサ9fが検出した湯の温度から操作入力部39に設定された湯温にするに必要な注ぎ足し湯の熱量を求める給湯熱量計算部と、給湯混合弁9bを調整して浴槽1に給湯熱量計算部が求めた熱量を満たす足し湯を供給する混合弁調整部とを備えて構成されているので、足し湯完了と同時に所望の設定温度の湯を浴槽1内に得ることができる。
【0036】
つまり本発明の風呂湯張り方法を適用した風呂湯張り装置は、浴槽内への足し湯を行うときの追い焚き回数を減らすことができ、それ故、効率低下を防ぐことができる。特に本発明の風呂湯張り方法を適用した風呂湯張り装置は、貯湯式タンク内の温度分布、即ち追い焚き一次回路のタンク戻り口付近の温度を乱すことがなく、追い焚き戻りによる中間温度水の生成を防止することができる等の実用上多大なる効果を奏する。
【0037】
尚、本発明の風呂湯張り方法および装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る風呂湯張り装置の機能部品との配管接続を示す要部配管回路図。
【図2】図1に示す風呂湯張り装置に適用される給湯制御部の構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す給湯制御部の作動順序を示すフローチャート。
【図4】浴槽に給湯される水の水位関係を示す図。
【図5】図2に示す給湯制御部の足し湯作動順序を示すフローチャート。
【図6】図5に続く給湯制御部の足し湯作動順序を示すフローチャート。
【図7】従来の風呂湯張り装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0039】
30 給湯制御部
31 センサ情報入力部
32 演算部
32a 給湯容量計算部
32b 給湯熱量計算部
33 記憶部
34 風呂給水カウンタ
36 表示部
37 出力部
38 主制御部(混合弁調整部)
39 操作入力部(設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された湯を蓄える貯湯タンクから浴槽に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽内に湯張りをした後、該浴槽内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、その減少した湯量を求めると共に、該浴槽の満水位置まで前記貯湯タンクから足し湯をする際、前記浴槽内の湯を所望の湯の温度にするに必要な足し湯の熱量を求め、前記湯量および前記熱量を満足する足し湯を行うことを特徴とする風呂湯張り方法。
【請求項2】
加熱された湯を蓄える貯湯タンクから浴槽に接続された配管路を介して所望の満水位置までその浴槽内に湯張りをした後、該浴槽内における湯の水位が所定の水位を下回ったとき、前記浴槽に湯を注ぎ足して所望の満水位置を維持する風呂湯張り装置であって、
前記配管路に介挿されて前記貯湯タンクに蓄えられた湯と外部から供給される水とを混合して所望の湯温に調整する混合弁と、
前記浴槽に湯張りする湯の温度および満水位置を設定する設定部と、
前記浴槽に接続された配管路を介して、該浴槽に湯張りされた湯の水位および温度をそれぞれ検出する水位センサおよび温度センサと、
前記水位センサが前記設定部に設定された満水位置から所定の水位を下回ったことを検出したとき、その減少した水位から満水位置に至るまでに必要な前記浴槽への注ぎ足し湯量を求める給湯容量計算部と、
この給湯容量計算部が求めた注ぎ足し湯量を前記浴槽に満たすとき、前記温度センサが検出した前記湯の温度から前記設定部に設定された湯温にするに必要な前記注ぎ足し湯の熱量を求める給湯熱量計算部と、
前記混合弁を調整して前記浴槽に前記給湯熱量計算部が求めた熱量を満たす足し湯を供給する混合弁調整部と
を備えることを特徴とする風呂湯張り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−116130(P2008−116130A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300112(P2006−300112)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】