説明

風車の避雷方法及び装置

【課題】落雷による破損を効率的に防止可能であるとともに、コストも低減可能な風車の避雷方法及び装置を提供することを課題としている。
【解決手段】風車1の羽根6に落雷した際の雷電流を、誘導手段によって、前記羽根6の表面に設けられた受雷部7側に誘導する風車の避雷方法であって、風車1の羽根6の平坦な外面に受雷部7に向かう方向に段差11を形成することにより前記誘導手段を構成し、該段差11によって、羽根6に落雷した際の雷電流を受雷部7側に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車の羽根に落雷した際の雷電流を、誘導手段によって、風車の羽根の表面に設けられた受雷部側に案内する避雷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の、環境汚染や資源枯渇の問題に対応すべく、グリーンエネルギ利用の必要性が高まっており、発電容量の大きい大型の羽を備えた風力発電装置の開発が進んでいるが、このような大型の風車は、全高も高く、羽根が高い位置に設置されるため、該羽根への落雷の確率も増加する。
【0003】
この落雷によって風車の羽根が破損した場合、修復に手間やコストがかかるとともに、修復が完了するまで風力発電を行うことができず、稼動率が低下する。特に、北陸地方の日本海沿岸では、日本海の暖流と上空の寒気団の温度差により、広大で且つ高度の低い雷雲が発達し、蓄積された電荷が一気に放電されて大きなエネルギーを有する冬季雷が発生するため、この問題が顕著である。
【0004】
このような問題に対処するため、風車の羽根に落雷した際の雷電流を、誘導手段によって、前記羽根の表面に設けられた受雷部側に誘導し、受雷部から地中に逃がす特許文献1に示す風車の避雷方法及び装置が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−100658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記文献の避雷装置では、風車の羽根の外面における受雷部以外の箇所に雷が落ちても、誘導手段によって、雷の放電電流を、受雷部側に誘導することが可能であるため、落雷による風車の羽根の破損を効率的に防止できる一方で、風車の外面に接着剤等で貼付される絶縁層に誘電体層を重ね合わせるとともに該誘電体層に所定間隔毎に導電性のセグメントを配置することにより前記誘導手段を構成しているため、該誘導手段の構成が複雑でコストが高くなる。
【0007】
本発明は、落雷による破損を効率的に防止可能であるとともに、コストも低減可能な風車の避雷方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、第1に、風車1の羽根6に落雷した際の雷電流を、誘導手段によって、前記羽根6の表面に設けられた受雷部7側に誘導する風車の避雷方法であって、風車1の羽根6の平坦な外面に受雷部7に向かう方向に段差11を形成することにより前記誘導手段を構成し、該段差11によって、羽根6に落雷した際の雷電流を受雷部7側に案内することを特徴としている。
【0009】
第2に、前記段差11に水を溜めることによりなることを特徴としている。
【0010】
第3に、風車の羽根6に受雷部7を設置し、風車1の羽根6に落雷した際の雷電流を前記受雷部7に誘導する誘導手段を設けた風車の避雷装置であって、前記受雷部7に向かって延びる帯状の凸部を羽根6の平坦な外面に形成し、凸部の幅方向端部と、羽根6の外側面との境界に沿って形成された段差11によって誘導手段を構成し、該段差11によって、羽根6に落雷した際の雷電流を受雷部7側に案内することを特徴としている。
【0011】
第4に、表裏面が平坦であってフレキシブルに変形する帯状の誘導シート9が前記受雷部7に向かって延びるように、該誘導シート9を羽根6の平坦な外面に貼付することにより、前記凸部を形成したことを特徴としている。
【0012】
第5に、前記誘導シート9が単一層によって形成されたことを特徴としている。
【0013】
第6に、前記誘導シート9を羽根6に着脱可能に貼付したことを特徴としている。
【0014】
第7に、前記受雷部7に向かって帯状に延びるように、塗料を羽根6の平坦な外面に塗布することにより、前記凸部を形成したことを特徴としている。
【0015】
第8に、風車1の羽根6に受雷部7を設置し、風車1の羽根6に落雷した際の雷電流を前記受雷部7に誘導する誘導手段を設けた風車の避雷装置であって、前記受雷部7に向かって延びる誘導溝12を風車の平坦な外面に凹設し、該誘導溝12の段差11によって前記誘導手段を構成し、該段差11によって、羽根6に落雷した際の雷電流を受雷部7側に案内することを特徴としている。
【0016】
第9に、受電部7を羽根6の先端部に配置し、上記段差11を受電部7よりも基端側に配置したことを特徴としている。
【0017】
第10に、上記段差11を受雷部7又はその近傍まで延設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、風車の羽根の平坦な外面に受雷部に向かう段差を形成し、誘導手段を構成する該段差によって、羽根に落雷した際の雷電流が、受雷部側に案内されるため、落雷による羽根の破損を効率的に防止できるとともに、誘導手段の構成もシンプルであるため、コストも低減できる。ちなみに、風車の外面に接着剤等で貼付される絶縁層に誘電体層を重ね合わせるとともに該誘電体層に所定間隔毎に導電性のセグメントを配置することにより前記誘導手段を構成した場合、絶縁体層の幅方向端部と、羽根の外面との境界に沿って段差は形成されるが、複数のセグメントによって、段差の近傍に凹凸が形成されるため、段差によって雷電流を受雷部側に誘導するという効果を望むことができない。
【0019】
また、前記段差に水を溜めれば、雷電流を誘導する作用がさらに高まり、落雷による破損をより効率的に防止できる。
【0020】
また、誘導シートが単一層によって形成されれば、誘導手段の構成がさらに簡略化される。
【0021】
さらに、前記誘導シートを羽根に着脱可能に貼付すれば、誘導シートを適宜交換させることによって、誘導手段の機能を長期的に維持させることが可能になる。
【0022】
なお、受雷部を羽根の先端部に配置し、上記段差を受雷部よりも基端側に配置すれば、羽根の先端側に落雷し易い特性を利用して、より効率的に受雷部側に雷電流を誘導できる。
【0023】
また、上記段差を受雷部又はその近傍まで延設すれば、より効率的に受雷部側に雷電流を誘導できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】風力発電装置を示す正面図である。
【図2】風力発電装置の要部を示す要部拡大側面図である。
【図3】誘導テープを貼付した羽根の先端側を示す要部拡大図である。
【図4】図3の要部A−A断面図である。
【図5】誘導溝が凹設された羽根の先端側を示す要部拡大図である。
【図6】図5の要部B−B断面図である。
【図7】(A)及び(B)は、実験態様を示す参考図である。
【図8】(A)は、交流電圧の印加時における放電の進展を示した図であり、(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態で交流電圧を印加した際の放電の進展を示した図である。
【図9】(A)は、インパルス電圧の印加時における放電の進展を示した図であり、(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態でインパルス電圧を印加した際の放電の進展を示した図である。
【図10】(A)は、試料端部からの誘導溝の長さと交流電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図であり、(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態において、試料端部からの誘導溝の長さと交流電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図である。
【図11】(A)は、試料端部からの誘導溝の長さとインパルス電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図であり、(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態において、試料端部からの誘導溝の長さとインパルス電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、風力発電装置を示す正面図であり、図2は、風力発電装置の要部を示す要部拡大側面図である。
風力発電装置1は、上下方向の支柱2と、発電機を内装するとともに支柱2の上端部に支持固定されたナセル3と、ナセル3に回転自在に軸支されて発電機に直結された前後方向の回転軸4と、回転軸4の軸回りに所定ピッチ毎(図示する例では等ピッチ毎)に設置された羽根6とを備えた風車である。
【0026】
該風車に設置された複数枚(図示する例では3枚)の羽根6は、正面視回転軸4から放射状に延びる板状部材であって、前後方向の風を受けることにより、回転軸4を自身の軸回りに回転作動させ、この回転軸4の回転動力が発電機に伝動されることにより、発電が行われる。
【0027】
前記避雷装置は、前記羽根6の先端部(回転軸から遠い側の端部)の前後(表裏)両面側にそれぞれに設けられる受雷部7と、地中に設けたアース導体(図示しない)と、該受雷部7及びアース導体の間を繋ぐ導電線8と、前記受雷部7の周辺に落雷した際の雷電流を受雷部7へと誘導する誘導手段とを備え、前記受雷部7に落雷した際の雷電流(放電電流)は、前記導電線8により羽根6の内部とナセル3内と支柱2内とに亘って配線された避雷用導線を介して、アース導体に達し、地中へ逃がされる。
【0028】
また、上記誘導手段は、平坦な羽根6の外面側の受雷部7近傍に、フレキシブルに変形する帯状の誘導テープ9(誘導シート)を貼付することにより凸部を形成し、該凸部の幅方向端部と羽根の外面側との境界に沿って形成された段差部11(段差)によって構成されている。
【0029】
次に、図3及び図4に基づき、誘導手段について説明する。
図3は、誘導テープを貼付した羽根の先端側を示す要部拡大図であり、図4は、図3の要部A−A断面図である。前記誘導テープ9は表裏両面が平坦なシート状部材であり、該誘導テープ9を、起伏のない非凹凸状の平滑なフラット面又は曲面である羽根6外面に貼付している。さらに詳しくは、羽根6外面における中途部から受雷部7が位置する先端側に向かって、誘導テープ9が貼付されている。図示する例では、羽根6外面における受雷部7よりも基端寄りに配置された誘導テープ9は、その先端側が受雷部7に近接する位置まで延設されているが、該誘導テープ9が受雷部7に向かう方向に延びていれば、受雷部7と誘導テープ9との距離がある程度離れていても、誘導効果が期待できる他、誘導テープ9を受雷部7に接するようにしてもよい。
【0030】
前記誘導テープ9を、羽根6の長手方向に沿って該羽根6の外面側に貼付することによって、誘導テープ9の幅方向端部と、貼付された羽根6の外面側との境界に、該境界に沿って誘導テープ9の厚さ分の高低差を有する前記段差部11が形成される。該段差部11は、誘導テープ9の幅方向の両側端側に形成され、受雷部7に向かってそれぞれ延びており、雷電流を受雷部7へと誘導する誘導手段となる。このとき、前記段差部11の高低差、つまり誘導テープ9の厚さは、100マイクロメートル以上あることが望ましい。
【0031】
以上の構成により、羽根6に設けた受雷部7の周辺であって、前記段差部11の近傍に落雷した場合、該落雷による雷電流は、誘導テープ9の両幅方向端部側の段差部11へと導かれ、該雷電流が段差部11に沿って受雷部7に誘導される。これにより、羽根6に落雷した際に発生した雷電流が受雷部7へと案内されるため、羽根6への落雷による破損を防止することができる。
【0032】
このとき、雷雨等により、前記段差部11に沿って水滴が溜まることによって、より段差部11に沿って雷電流が進展し易くなり、さらに効率的に雷電流を受雷部7へと誘導することができるようになる。
【0033】
該構成による誘導手段は、先行文献1に記載された、帯状の誘電体層に導体からなるセグメントを一定間隔で多数突設し、該セグメントの間に放電を発生させることにより雷電流を誘導する方法と異なり、羽根6に貼付した誘導テープ9の幅方向両端側に前記段差部11を形成するとともに、該段差部11以外の部分(具体的には、誘導テープ9の表面や、羽根6外面の段差部11以外の箇所)を平坦にすることにより、羽根6の外面に雷撃した際の雷電流を、段差部11に沿って受雷部7に誘導できる。このため、本発明の誘導手段は、より簡略な構成により、雷電流を、効率的且つ低コストで、受雷部7まで案内できる。
【0034】
したがって、前記誘導テープ9は段差部11を形成することができれば雷電流を誘導する効果を発揮できるため、誘導テープ9は、マスキングテープ等の非導電体であっても、金属等の導電体からなるテープであっても良い。また、誘導テープ9を貼付することによって段差部11を形成できるため、既存の風車の羽根6にも容易に誘導手段を設けることができるとともに、誘導テープ9を交換することによって段差部11を形成し直すことができるため、メンテナンスも容易である。さらに、薄いテープを貼付するだけで雷電流を受雷部7へと誘導する効果を発揮できるため、風力発電装置1の発電効率に影響を与えることもない。
【0035】
また、受雷部7に向って羽根6の外面に貼付される前記誘導テープ9を、受雷部7を中心として放射状に複数設けて、より広範囲で落雷による雷電流を受雷部7に誘導できるように構成しても良い。なお、前記誘導テープ9は、受雷部7に直接接続するに至る位置まで貼付する構成とすることにより、より確実に雷電流を受雷部7へ誘導することができる他、該誘導テープ9を一定の間隔を空けて不連続に貼付した場合であっても、羽根6の表面に落雷した際の雷電流を受雷部7へ誘導することができる。
【0036】
また、風力発電装置1への落雷は、羽根6の先端部付近に雷撃する確率が高いため、羽根6の先端部に設けた受雷部7側から数メートルの範囲で誘導テープ9を張ることにより充分な避雷効果を得ることができる。
【0037】
さらに、羽根6の先端部だけでなく中間部にも受雷部7を設けた構成の大型の風車においては、該羽根6の中間部に設けた受雷部7から放射状に誘導テープ9を貼付することによって、羽根6に受ける雷撃を受雷部7で受けて地中へと逃がすことのできる範囲をより広範囲にすることができる。
【0038】
なお、上述の例では、誘導テープ9を羽根6の平坦な外面に貼付することにより、受雷部7に向かって延びる凸部を形成したが、該構成の凸部を形成する手段は、これに限定されるものではなく、帯状の誘導テープに換えて線状の誘導糸を貼付することにより前記凸部を形成しても良いし、塗料を羽根6の平坦な外面に塗布することにより前記凸部を形成しても良い。
【0039】
次に、図5及び図6に基づき、前記誘導手段の他例を説明する。
図5は、誘導溝が凹設された羽根の先端側を示す要部拡大図であり、図6は、図5の要部B−B断面図である。図示する例より、起伏のない非凹凸状の平滑なフラット面又は曲面である羽根6外面に、受雷部7の設置箇所よりも基端側から該受電部7に向かって延びる誘導溝12を直接凹設することにより、前記段差部11を形成し、該段差部11によって誘電手段を構成している。ちなみに、誘導溝12の配置構成は、上述した誘導テープの配置構成と同一になる。
【0040】
当該構成により、羽根6に凹設した前記誘導溝12の近傍を雷撃した際、雷撃による雷電流が前記誘導溝12に導かれ、該誘導溝12に沿って受雷部7へと誘導することができるとともに、雷雨等により誘導溝12に水滴が溜まることによって、より効率的に雷電流を誘導できる。
【0041】
また、前記誘導溝12を羽根6の表面に直接凹設することにより段差部11を形成するシンプルな構成のため、低コストで雷電流の誘導手段を設けることができるとともに、メンテナンス等を頻繁にしなくとも段差部11が保たれるため、ランニングコストも抑制することができる。
【0042】
次に、図7乃至11に基づき、誘導溝の有無による放電の進展方向の違いを観察する実験を実施した。
図7は、実験態様を示す参考図である。具体的には、図7(A)及び(B)に示されるように、半径20mmの円形試料の端部から円の中心に向って一本の誘導溝を設け、該円形試料の中心に配置した電極から交流電圧若しくはインパルス電圧を印加して放電電圧を測定するとともに、放電の進展の様子を観察した。ここで、前記円形試料に設ける誘導溝の長さ(x)は、5mmと,10mmと,15mmと、溝を設けない(0mm)場合とで放電電圧のピーク値をそれぞれ測定した。
【0043】
図8(A)は、交流電圧の印加時における放電の進展を示した図であり、図8(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態で交流電圧を印加した際の放電の進展を示した図であり、図9(A)は、インパルス電圧の印加時における放電の進展を示した図であり、図9(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態でインパルス電圧を印加した際の放電の進展を示した図である。
【0044】
同図より、交流電圧及びインパルス電圧の何れの電圧を印加した場合においても、円形試料の中心に配置される電極からの放電が、電極から前記誘導溝へと導かれ、該誘導溝に沿って円形試料の端部に誘導されている様子が確認できる。また、誘導溝の上に水滴がある場合においても同様にして放電が誘導溝に導かれて円形試料の端部に案内されている。
【0045】
図10(A)は、試料端部からの誘導溝の長さと交流電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図であり、図10(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態において、試料端部からの誘導溝の長さと交流電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図である。また、図11(A)は、試料端部からの誘導溝の長さとインパルス電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図であり、図11(B)は、誘導溝の上に水滴がある状態において、試料端部からの誘導溝の長さとインパルス電圧を印加した際に測定された放電電圧との関係を示した図である。
【0046】
同図より、交流電圧又はインパルス電圧を印加した際に、円形試料に誘導溝を設けない場合と、誘導溝を設けて放電を該誘導溝に沿って円形試料の端部へと誘導した場合とを比較すると、誘導溝を設けた方が、計測される放電電圧の値が小さくなっていることがわかる。また、試料端部からの誘導溝の距離が長い場合、つまり、電極の接触位置と誘導溝との距離が近い程、計測される放電電圧の値が小さくなる傾向にあることが確認された。
【0047】
また、交流電圧印加時、インパルス電圧印加時のいずれの場合も、誘導溝に水滴がない状態と、誘導溝に水滴がある状態とを比較すると、誘導溝に水滴がある場合の方が測定される放電電圧の値が小さくなることが確認された。
【符号の説明】
【0048】
1 風力発電装置(風車)
6 羽根
7 受雷部
9 誘導テープ(誘導シート)
11 段差部(段差)
12 誘導溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車(1)の羽根(6)に落雷した際の雷電流を、誘導手段によって、前記羽根(6)の表面に設けられた受雷部(7)側に誘導する風車の避雷方法であって、風車(1)の羽根(6)の平坦な外面に受雷部(7)に向かう方向に段差(11)を形成することにより前記誘導手段を構成し、該段差(11)によって、羽根(6)に落雷した際の雷電流を受雷部(7)側に案内する風車の避雷方法。
【請求項2】
前記段差(11)に水を溜めることによりなる請求項1に記載の風車の避雷方法。
【請求項3】
風車の羽根(6)に受雷部(7)を設置し、風車(1)の羽根(6)に落雷した際の雷電流を前記受雷部(7)に誘導する誘導手段を設けた風車の避雷装置であって、前記受雷部(7)に向かって延びる帯状の凸部を羽根(6)の平坦な外面に形成し、凸部の幅方向端部と、羽根(6)の外側面との境界に沿って形成された段差(11)によって誘導手段を構成し、該段差(11)によって、羽根(6)に落雷した際の雷電流を受雷部(7)側に案内する風車の避雷装置。
【請求項4】
表裏面が平坦であってフレキシブルに変形する帯状の誘導シート(9)が前記受雷部(7)に向かって延びるように、該誘導シート(9)を羽根(6)の平坦な外面に貼付することにより、前記凸部を形成した請求項3に記載の風車の避雷装置。
【請求項5】
前記誘導シート(9)が単一層によって形成された請求項4に記載の風車の避雷装置。
【請求項6】
前記誘導シート(9)を羽根(6)に着脱可能に貼付した請求項4又は5の何れかに記載の風車の避雷装置。
【請求項7】
前記受雷部(7)に向かって帯状に延びるように、塗料を羽根(6)の平坦な外面に塗布することにより、前記凸部を形成した請求項3に記載の風車の避雷装置。
【請求項8】
風車(1)の羽根(6)に受雷部(7)を設置し、風車(1)の羽根(6)に落雷した際の雷電流を前記受雷部(7)に誘導する誘導手段を設けた風車の避雷装置であって、前記受雷部(7)に向かって延びる誘導溝(12)を風車の平坦な外面に凹設し、該誘導溝(12)の段差(11)によって前記誘導手段を構成し、該段差(11)によって、羽根(6)に落雷した際の雷電流を受雷部(7)側に案内する風車の避雷装置。
【請求項9】
受電部(7)を羽根(6)の先端部に配置し、上記段差(11)を受電部(7)よりも基端側に配置した請求項3乃至8の何れかに記載の風車の避雷装置。
【請求項10】
上記段差(11)を受雷部(7)又はその近傍まで延設した請求項3乃至9の何れかに記載の風車の避雷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−149569(P2012−149569A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8690(P2011−8690)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】