食品入り容器
【課題】使用に際してゴミを生じず、意図せぬ落下による紛失を招くことのない、ミネラル補給用補助食品の携帯手段を提供する。
【解決手段】食品入り容器1は、容器11と、容器11に係合し容器11の上方に設けられた開口部111を塞ぐキャップ12と、容器11に収容された食品13と、キャップ12の環状部122に取り付けられたカラビナ14とを備える。ユーザはカラビナ14をベルト等に取り付けて食品入り容器1を携行し、必要に応じてキャップ12を容器11から取り外した後、食品13を容器11から取り出し摂取する。その後、ユーザはキャップ12を容器11に取り付けて、食品入り容器1の携行を継続することができる。
【解決手段】食品入り容器1は、容器11と、容器11に係合し容器11の上方に設けられた開口部111を塞ぐキャップ12と、容器11に収容された食品13と、キャップ12の環状部122に取り付けられたカラビナ14とを備える。ユーザはカラビナ14をベルト等に取り付けて食品入り容器1を携行し、必要に応じてキャップ12を容器11から取り外した後、食品13を容器11から取り出し摂取する。その後、ユーザはキャップ12を容器11に取り付けて、食品入り容器1の携行を継続することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発汗等に伴い不足するミネラルを容易に補給することを可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツや入浴等に伴う発汗により体内のミネラル、特に塩化ナトリウムが不足すると、身体が不調を訴える場合がある。特に、昨今は地球温暖化による気温の上昇の影響もあってか、夏場に熱中症にかかる人が増えており、ミネラル不足は人命を左右する深刻な事態を招くこともある。
【0003】
ミネラルの不足を補うために広く行われていることは、ミネラル成分を含む飲料水(いわゆるスポーツドリンク)を飲むことである。しかし、スポーツドリンクはミネラル成分を含まない飲料水と比較し、飲用以外に用いることができず汎用性がなく、出先での補充も容易ではないため、例えば登山家が登山中に携帯するには不便である。
【0004】
上記の問題を解消するため、特許文献1においては、ミネラル補給用補助食品を携帯するためのパックが提案されている。特許文献1に提案のパックは、脱水され粉状または粒状にされた黒糖と海塩の混合物であるミネラル補給用補助食品をアルミシートにてシールしたものである。このパックは携帯に便利であり、ユーザがミネラルを補給したい場合、シールされたパックの一部を切開してミネラル補給用補助食品を取り出せるため、便利である。すなわち、特許文献1に提案のパックによれば、ユーザは、例えば山小屋でペットボトル等に詰めた飲料水とパックから取り出したミネラル補給用補助食品とを摂取することにより、スポーツドリンクを持ち歩くことなく、ミネラル成分の補給を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3130382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において提案されているパックによる場合、使用済みのアルミシートのパックがゴミとなり、資源の有効利用の観点から望ましくない。また、例えば、心ない登山家が登山中に使用した後のパックを山中に捨てると、山の自然環境の悪化につながる。さらに、携帯していた未使用のパックが意図せずポケット等から落下し、必要とする時にパックが見つからないという事態に陥る可能性もある。
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は使用に際してゴミを生じず、意図せぬ落下による紛失を招くことのない、ミネラル補給用補助食品の携帯手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明は、
一方の端部に開口部を有し、前記一方の端部に対向する他方の端部には開口部を有さない筒形状の容器と、
前記容器内に収容されたミネラル成分を含む粒状もしくは粉状の食品と、
前記一方の端部において前記容器と水密に係合し前記一方の端部の開口部を塞ぐとともに、前記容器と係合している状態で前記容器の外側に突出する環状部を有するキャップと、
を備える食品入り容器
を提供する(第1の実施態様)。
【0009】
上記第1の実施態様の好ましい態様において、
前記食品入り容器は、前記環状部に取り付けられたカラビナを備える
構成としてもよい(第2の実施態様)。
【0010】
上記第1もしくは第2の実施態様の好ましい態様において、
前記キャップは、前記容器に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記容器と水密に係合し、
前記容器の側面には開口部が設けられ、
前記キャップは前記第1の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞がない
構成としてもよい(第3の実施態様)。
【0011】
上記第1もしくは第2の実施態様の好ましい態様において、
前記筒形状の容器は、第1の部分と、前記第1の部分に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記第1の部分と水密に係合する第2の部分とを備え、
前記第1の部分の側面には開口部が設けられ、
前記第2の部分は前記第1の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞がない
構成としてもよい(第4の実施態様)。
【0012】
上記のいずれかの食品入り容器において、
前記食品は塩化ナトリウムを含むミネラル成分およびブドウ糖を含み、前記食品の全重量に対するミネラル成分の重量比が0.7乃至0.8であり、前記食品の全重量に対するブドウ糖の重量比が0.2乃至0.3である
構成としてもよい(第5の実施態様)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の実施態様によれば、ユーザはキャップに設けられた環状部に、例えば紐を通してその紐をベルト等に結びつけることで、ミネラル成分を含む食品を容易に携帯可能である。その場合、食品が意図せず落下して紛失することはない。また、例えば、キャップと容器との係合を解くことにより、ユーザは容器から食品を取り出し体内に補給することができる。その後、再びキャップと容器を係合させることにより、ゴミを生じることなく、残った食品の携帯を継続することができる。
【0014】
本発明の第2の実施態様によれば、ユーザはカラビナをベルト等に引っかけることにより、ミネラル成分を含む食品を容易に携帯可能である。また、例えば食品の摂取に際し、カラビナをベルト等から取り外す必要が生じた場合にも、その取り外しに困難が伴わない。
【0015】
本発明の第3の実施態様によれば、ユーザは、キャップを容器と係合させつつ容器に対しスライド等させて容器の側面に設けられた開口部を外部に対し開放することにより、キャップと容器との係合を解くことなく容器から食品を取り出すことができる。
【0016】
本発明の第4の実施態様によれば、ユーザは、容器が備える可動蓋部を容器の本体に対しスライド等させて容器の本体側面に設けられた開口部を外部に対し開放することにより、キャップと容器との係合を解くことなく容器から食品を取り出すことができる。
【0017】
本発明の第5の実施態様によれば、ユーザは塩化ナトリウムを含むミネラル成分を摂取できるため、発汗等による体内のミネラル成分の不足、特に塩化ナトリウムの不足を補うことができ、熱中症等の予防を容易に行うことができる。その際、塩化ナトリウムの塩っ辛さがブドウ糖の甘味により和らげられるため、ユーザはさほどの抵抗感なくミネラル補給用食品を摂取できる。さらに、ブドウ糖は脳が唯一吸収できる栄養素であると同時に筋肉において短時間でエネルギーに変換されるため、例えば暑さで朦朧としたユーザの頭を働かせるとともに筋肉にも活力を与える。従って、本発明の第5の実施態様によれば、事故の予防と作業効率の向上ももたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器の本体を構成する2つの部分の係合の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる食品入り容器1を示した図である。図1(a)は食品入り容器1を正面から見た外観図を示している。図1(b)は食品入り容器1を側面から見た外観図を示している。図1(c)は図1(b)の破線位置における食品入り容器1の断面図を示している。
【0020】
食品入り容器1は容器11と、キャップ12と、容器11に収容された食品13と、カラビナ14とを備えている。ただし、図1(c)において、カラビナ14は図示を省略している。
【0021】
容器11は図1における上方の端部に開口部111を有する筒形状であり、上方の端部付近の外側面にはねじ山が切られている。キャップ12は図1における下方に開口部121を有し、下方付近の内側面にねじ溝が切られている。
【0022】
容器11のねじ山とキャップ12のねじ溝とは、容器11に対しキャップ12を押し当てて図1の上方から見て時計回りにねじ込むことにより互いに水密に係合する。また、容器11とキャップ12が係合している状態で、容器11に対しキャップ12を図1の上方から見て反時計回りにねじることにより、互いの係合が解かれる。
【0023】
なお、キャップ12に設けられているねじ溝は、広く市場に出回っている飲料容器としてのペットボトルの開口部付近に設けられているねじ山と係合するサイズおよび形状であり、ユーザはキャップ12に、容器11に代えてペットボトルを取り付け、必要なものの携帯に流用することもできる。
【0024】
キャップ12には、容器11と係合した状態で容器11の外側に位置する部分に環状部122が設けられている。環状部122にはカラビナ14が取り付けられている。
【0025】
食品13は、粒状もしくは粉状のヒマラヤ岩塩とブドウ糖の混合物である。食品13に含まれるヒマラヤ岩塩の食品13全体に対する重量比は約75%(70〜80%)であり、食品13に含まれるブドウ糖の食品13全体に対する重量比は約25%(30〜20%)である。なお、食品13は、ヒマラヤ岩塩に代えて、複数種類のミネラル成分を含む他の自然塩を含むようにしてもよい。また、多様なミネラル成分を含む点で自然塩は精製塩よりも優れているが、熱中症の予防等に最も重要であるのは塩化ナトリウムであるため、食品13は、自然塩に代えてコスト等の点で優れる精製塩を含むようにしてもよい。
【0026】
ユーザは、食品13が収容された容器11と係合したキャップ12の環状部122に取り付けられたカラビナ14を、例えばベルトに取り付けて携帯する。ユーザは食品の摂取をしたいと思うと、カラビナ14をベルト等から取り外し、キャップ12を容器11に対し反時計回りにねじって係合を解いて、容器11の開口部111から容器11に収容されている食品を適量取り出し摂取する。摂取が終わると、ユーザはキャップ12を容器11に対し時計回りにねじ込んで再び係合させた後、カラビナ14をベルト等に取り付け、その後の携帯を継続する。
【0027】
上記のように、食品入り容器1によれば、ユーザはカラビナ14をベルト等に取り付けるだけで食品13を携帯することができ、摂取のために食品13を容器11から取り出したいと思う場合はカラビナ14をベルト等から取り外し、キャップ12を容器11から取り外すだけでよい。その後、ユーザがキャップ12を容器11に取り付け、カラビナ14をベルト等に取り付ければ、ゴミを出すことなく食品13の携帯を継続することができる。また、容器11とキャップ12は水密に係合するため、食品13の携帯中に雨や汗等により食品13が湿気を帯びたり濡れたりすることはない。また、カラビナ14が正しくベルト等に取り付けられている限り、食品13がユーザの意図せぬ間に落下等することはない。
【0028】
なお、容器11内の食品13がユーザの摂取に伴い少なくなると、ユーザは例えば樹脂製可撓性フィルムパックに収容された形で販売されるリフィル用の食品13を購入し、食品13を開口部111から容器11に補充することができる。
【0029】
[2.第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態にかかる食品入り容器2を示した図である。図2において、食品入り容器2が備える構成部のうち食品入り容器1と共通するものには図1において用いられている符号と同じ符号が用いられている。図2 (a)は食品入り容器2の断面図を示している。図2(b)は食品入り容器2の容器11の側面に設けられた開口部112がキャップ12により塞がれ、容器11の内部と外部が通じていない状態(以下、「閉状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。図2(c)は開口部112を介して容器11の内部と外部が通じている状態(以下、「開状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。なお、図2において食品13およびカラビナ14は図示を省略している。
【0030】
食品入り容器2の構成は食品入り容器1と以下に述べる点を除き共通している。以下に食品入り容器2が食品入り容器1と異なる点のみを説明する。
【0031】
食品入り容器2が備える容器11には、円筒状の容器11の上方のキャップ12と係合するねじ山が切られている側面の一部に開口部112が設けられている。容器11に対しキャップ12を完全にねじ込むと、図2(b)に示される閉状態となる。閉状態においては、キャップ12により開口部111と開口部112の両方が完全に塞がれる。そのため、容器11に収容されている食品13は外部の湿気等から保護される一方、ユーザは閉状態において食品13を容器11から取り出すことはできない。
【0032】
ユーザが容器11に収容されている食品13を取り出したい場合、食品入り容器1の場合と同じようにキャップ12を容器11から完全に取り外し、開口部111から食品13を取り出してもよいが、食品入り容器2においては、キャップ12を容器11に対し反時計回りにねじってゆき、開口部112が外部に露出したところ、すなわち図2(c)に示される開状態になったところでねじるのを止めて、開口部112から食品13を取り出してもよい。
【0033】
開状態において、キャップ12は容器11との間でなお係合を維持しているため、容器11の開口部111はキャップ12により塞がれている。食品入り容器2によれば、ユーザが食品13の取り出しを終えて再度、容器11に対しキャップ12を閉める際、容器11とキャップ12との係合位置を合わせる手間を要せず便利である。また、ユーザが食品13を取り出す際、容器11とキャップ12がばらばらにならず、カラビナ14の取り付けられたキャップ12をうっかり落としてしまうといった不都合が生じない。
【0034】
[3.第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器3を示した図である。図3において、食品入り容器3が備える構成部のうち食品入り容器1と共通するものには図1において用いられている符号と同じ符号が用いられている。図3(a)は食品入り容器3の断面図を示している。図3(b)は食品入り容器3の容器11の第1部分113の側面に設けられた開口部1132が容器11の第2部分114により塞がれ、容器11の内部と外部が通じていない状態(以下、「閉状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。図3(c)は開口部1132を介して容器11の内部と外部が通じている状態(以下、「開状態」と呼ぶ)の食品入り容器3の外観図を示している。なお、図3において食品13およびカラビナ14は図示を省略している。
【0035】
食品入り容器3の構成は食品入り容器1と以下に述べる点を除き共通している。以下に食品入り容器3が食品入り容器1と異なる点のみを説明する。
【0036】
食品入り容器3が備える容器11は、2つの部分、すなわち第1部分113と第2部分114とにより構成されている。第1部分113は容器11の開口部111側の部分、すなわち図3における上方を構成する部分であり、開口部111に対向する位置に開口部1131を有している。第1部分113には、さらに、側面に開口部1132が設けられている。開口部1132は食品入り容器2における開口部112に相当し、開状態において食品13の取り出しに用いられる。第1部分113の開口部1131を取り巻く縁部には、第1部分113の円筒状の本体から外側に突出するように、例えば2つの突起部、すなわち突起部1133−1および突起部1133−2が設けられている。
【0037】
第2部分114は図3における容器11の下方を構成する部分であり、図3の上方に開口部1141を有している。なお、第2部分114の開口部1141に対向する部分は開口していない。第2部分114の開口部1141を取り巻く縁部には、第2部分114の円筒状の本体から内側に突出するように、環状の突起部1142が設けられている。
【0038】
第2部分114の図3における上方の側面内側には、突起部1142の下面に接するように、環状のパッキン1143が取り付けられている。パッキン1143は例えば合成ゴム等の弾性体であり、第1部分113と第2部分114とが互いに係合した際に、それらを互いに移動可能としつつ、容器11の内側を外側に対し水密に封止する役割を果たす。
【0039】
第2部分114の側面内側には、第2部分114に対する第1部分113の移動に伴いパッキン1143が移動しないように、パッキン1143の下方に接するように、第2部分114の円筒状の本体から内側に突出するように、環状の突起部1144が設けられている。
【0040】
第2部分114の側面内側の突起部1144から開口部1132の図3における上下方向の径とほぼ等しい距離だけ下方の位置には、第2部分114が第1部分113に対し上方にスライドされる際に、不必要に上方にスライドされないためのストッパーの役割を果たす環状の突起部1145が、円筒状の本体から内側に突出するように設けられている。
【0041】
第2部分114は、例えば、モールド成型により一体成形された突起部1142、突起部1144および突起部1145を備える本体に対し、突起部1142と突起部1144の間の位置にパッキン1143をはめ込むことにより製造される。
【0042】
図4は、第1部分113の突起部1133と第2部分114の突起部1142とが互いに係合する仕組みを示す図である。図4(a)は第1部分113を図3の下方から見た図を示し、図4(b)は第2部分114を図3の上方から見た図を示す。
【0043】
まず、第1部分113の本体の外径は、第2部分114の突起部1142の内径よりごく僅かに小さい。第2部分114の突起部1142には、2つの切り欠、すなわち切り欠11421−1および切り欠11421−2が設けられている。第2部分114の切り欠11421−1および切り欠11421−2は、それぞれ、第1部分113の突起部1133−1および突起部1133−2が通過する位置に設けられている。図4(b)においては見えないが、第2部分114の突起部1144にも、突起部1142と同様の位置に切り欠が設けられている。
【0044】
そのため、第1部分113の下方部を第2部分114の上方部に差し込み、第1部分113の突起部1142が第2部分114の突起部1144より下方に至るまで押し込んだ後、第2部分114に対し第1部分113を時計回りもしくは反時計回りに少々回転させることにより、第1部分113と第2部分114が係合される。
【0045】
パッキン1143の内径は突起部1142の内径より僅かに大きく、第1部分113の本体の外径よりごく僅かに小さい。そのため、パッキン1143は、第1部分113と第2部分114とが係合された状態において第1部分113の外側と第2部分114の内側に挟まれ、第1部分113と第2部分114との接合部を水密に封止する。なお、パッキン1143は弾性体であるため、第1部分113が第2部分114に差し込まれる際には第1部分113の突起部1133−1および突起部1133−2により一時的に押しのけられるが、その後、元の形状を回復し、上記の水密封止を維持する。
【0046】
ユーザは、閉位置、すなわち第1部分113を第2部分114に深く差し込んだ状態で食品入り容器3を携帯する。そして、食品13を摂取したい場合、ユーザは第2部分114を第1部分113に対し下に下げるように引き、開状態にする。開状態においては開口部1132が露出し、容器11の内部と外部が開口部1132を介して通じるため、ユーザは開口部1132から食品13を取り出すことができる。ユーザはその後、再度、第2部分114を第1部分113に対し押し上げる、言い換えれば第1部分113を第2部分114に押し込むことにより、食品入り容器3を閉状態とし、その後の携帯を継続することができる。
【0047】
上記のように、食品入り容器3によれば、食品入り容器2による利便性に加え、ユーザが容器11の押し引きにより閉状態と開状態とを切り替え、容易に食品13の取り出しを行うことができる、という利便性が得られる。
【0048】
[4.変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形可能である。以下にそのような変形例を示す。
【0049】
上述した実施形態においては、容器11とキャップ12との係合はねじ山とねじ溝との組み合わせにより行われるものとしたが、それに限られず、水密封止を可能とする係合方法であればいずれの方法が採用されてもよい。例えば、容器11の弾性率より高い弾性率を有する素材で作られ、容器11の係合部の外径よりもやや小さい内径を持つキャップ12に対し容器11を押し込むことにより容器11とキャップ12とを水密に係合させる構成としてもよい。
【0050】
上述した第3実施形態においては、容器11の本体を第1部分113と第2部分114とにより構成するものとし、容器11の筒形状の軸と平行の方向に第1部分113と第2部分114との位置関係を移動させる(スライドさせる)ことにより、閉状態と開状態とを切り替えるものとした。本発明はそれに限られず、例えば、容器11の筒形状の軸を中心に、第1部分113と第2部分114との位置関係を回転移動させることにより、閉状態と開状態とを切り替える構成としてもよい。
【0051】
また、容器11の本体を2つの部分に分割することなく、容器11の側面に設けられた開口部を水密に塞ぐための可動蓋部を設け、当該可動蓋部を開閉することにより食品入り容器3の開状態と閉状態とを切り替える構成としてもよい。
【0052】
また、上述した第3実施形態における開口部1132の位置は任意に変更可能である。例えば、第1部分113にではなく第2部分114に開口部1132を設け、第1部分113の側面により開口部1132を塞ぐ構成としてもよい。
【0053】
また、上述した第3実施形態における第1部分113と第2部分114との係合方法も水密封止可能な方法であればいずれの方法が採用されてもよい。例えば、第1部分113の外側側面および第2部分114の内側側面に各々、ねじ山およびねじ谷を設け、第2実施形態における食品入り容器2の容器11とキャップ12との係合と同様の係合を行わせる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の食品入り容器は、ミネラル補給のための食品を容易に携行可能とするため、出先でのミネラル補給を要する全ての者にとって利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…食品入り容器、2…食品入り容器、3…食品入り容器、11…容器、12…キャップ、13…食品、14…カラビナ、111…開口部、112…開口部、113…第1部分、114…第2部分、121…開口部、122…環状部、1131…開口部、1132…開口部、1133…突起部、1141…開口部、1142…突起部、1143…パッキン、1144…突起部、1145…突起部、11421…切り欠。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発汗等に伴い不足するミネラルを容易に補給することを可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツや入浴等に伴う発汗により体内のミネラル、特に塩化ナトリウムが不足すると、身体が不調を訴える場合がある。特に、昨今は地球温暖化による気温の上昇の影響もあってか、夏場に熱中症にかかる人が増えており、ミネラル不足は人命を左右する深刻な事態を招くこともある。
【0003】
ミネラルの不足を補うために広く行われていることは、ミネラル成分を含む飲料水(いわゆるスポーツドリンク)を飲むことである。しかし、スポーツドリンクはミネラル成分を含まない飲料水と比較し、飲用以外に用いることができず汎用性がなく、出先での補充も容易ではないため、例えば登山家が登山中に携帯するには不便である。
【0004】
上記の問題を解消するため、特許文献1においては、ミネラル補給用補助食品を携帯するためのパックが提案されている。特許文献1に提案のパックは、脱水され粉状または粒状にされた黒糖と海塩の混合物であるミネラル補給用補助食品をアルミシートにてシールしたものである。このパックは携帯に便利であり、ユーザがミネラルを補給したい場合、シールされたパックの一部を切開してミネラル補給用補助食品を取り出せるため、便利である。すなわち、特許文献1に提案のパックによれば、ユーザは、例えば山小屋でペットボトル等に詰めた飲料水とパックから取り出したミネラル補給用補助食品とを摂取することにより、スポーツドリンクを持ち歩くことなく、ミネラル成分の補給を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3130382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において提案されているパックによる場合、使用済みのアルミシートのパックがゴミとなり、資源の有効利用の観点から望ましくない。また、例えば、心ない登山家が登山中に使用した後のパックを山中に捨てると、山の自然環境の悪化につながる。さらに、携帯していた未使用のパックが意図せずポケット等から落下し、必要とする時にパックが見つからないという事態に陥る可能性もある。
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は使用に際してゴミを生じず、意図せぬ落下による紛失を招くことのない、ミネラル補給用補助食品の携帯手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明は、
一方の端部に開口部を有し、前記一方の端部に対向する他方の端部には開口部を有さない筒形状の容器と、
前記容器内に収容されたミネラル成分を含む粒状もしくは粉状の食品と、
前記一方の端部において前記容器と水密に係合し前記一方の端部の開口部を塞ぐとともに、前記容器と係合している状態で前記容器の外側に突出する環状部を有するキャップと、
を備える食品入り容器
を提供する(第1の実施態様)。
【0009】
上記第1の実施態様の好ましい態様において、
前記食品入り容器は、前記環状部に取り付けられたカラビナを備える
構成としてもよい(第2の実施態様)。
【0010】
上記第1もしくは第2の実施態様の好ましい態様において、
前記キャップは、前記容器に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記容器と水密に係合し、
前記容器の側面には開口部が設けられ、
前記キャップは前記第1の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞がない
構成としてもよい(第3の実施態様)。
【0011】
上記第1もしくは第2の実施態様の好ましい態様において、
前記筒形状の容器は、第1の部分と、前記第1の部分に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記第1の部分と水密に係合する第2の部分とを備え、
前記第1の部分の側面には開口部が設けられ、
前記第2の部分は前記第1の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞がない
構成としてもよい(第4の実施態様)。
【0012】
上記のいずれかの食品入り容器において、
前記食品は塩化ナトリウムを含むミネラル成分およびブドウ糖を含み、前記食品の全重量に対するミネラル成分の重量比が0.7乃至0.8であり、前記食品の全重量に対するブドウ糖の重量比が0.2乃至0.3である
構成としてもよい(第5の実施態様)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の実施態様によれば、ユーザはキャップに設けられた環状部に、例えば紐を通してその紐をベルト等に結びつけることで、ミネラル成分を含む食品を容易に携帯可能である。その場合、食品が意図せず落下して紛失することはない。また、例えば、キャップと容器との係合を解くことにより、ユーザは容器から食品を取り出し体内に補給することができる。その後、再びキャップと容器を係合させることにより、ゴミを生じることなく、残った食品の携帯を継続することができる。
【0014】
本発明の第2の実施態様によれば、ユーザはカラビナをベルト等に引っかけることにより、ミネラル成分を含む食品を容易に携帯可能である。また、例えば食品の摂取に際し、カラビナをベルト等から取り外す必要が生じた場合にも、その取り外しに困難が伴わない。
【0015】
本発明の第3の実施態様によれば、ユーザは、キャップを容器と係合させつつ容器に対しスライド等させて容器の側面に設けられた開口部を外部に対し開放することにより、キャップと容器との係合を解くことなく容器から食品を取り出すことができる。
【0016】
本発明の第4の実施態様によれば、ユーザは、容器が備える可動蓋部を容器の本体に対しスライド等させて容器の本体側面に設けられた開口部を外部に対し開放することにより、キャップと容器との係合を解くことなく容器から食品を取り出すことができる。
【0017】
本発明の第5の実施態様によれば、ユーザは塩化ナトリウムを含むミネラル成分を摂取できるため、発汗等による体内のミネラル成分の不足、特に塩化ナトリウムの不足を補うことができ、熱中症等の予防を容易に行うことができる。その際、塩化ナトリウムの塩っ辛さがブドウ糖の甘味により和らげられるため、ユーザはさほどの抵抗感なくミネラル補給用食品を摂取できる。さらに、ブドウ糖は脳が唯一吸収できる栄養素であると同時に筋肉において短時間でエネルギーに変換されるため、例えば暑さで朦朧としたユーザの頭を働かせるとともに筋肉にも活力を与える。従って、本発明の第5の実施態様によれば、事故の予防と作業効率の向上ももたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器を示した図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器の本体を構成する2つの部分の係合の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1.第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる食品入り容器1を示した図である。図1(a)は食品入り容器1を正面から見た外観図を示している。図1(b)は食品入り容器1を側面から見た外観図を示している。図1(c)は図1(b)の破線位置における食品入り容器1の断面図を示している。
【0020】
食品入り容器1は容器11と、キャップ12と、容器11に収容された食品13と、カラビナ14とを備えている。ただし、図1(c)において、カラビナ14は図示を省略している。
【0021】
容器11は図1における上方の端部に開口部111を有する筒形状であり、上方の端部付近の外側面にはねじ山が切られている。キャップ12は図1における下方に開口部121を有し、下方付近の内側面にねじ溝が切られている。
【0022】
容器11のねじ山とキャップ12のねじ溝とは、容器11に対しキャップ12を押し当てて図1の上方から見て時計回りにねじ込むことにより互いに水密に係合する。また、容器11とキャップ12が係合している状態で、容器11に対しキャップ12を図1の上方から見て反時計回りにねじることにより、互いの係合が解かれる。
【0023】
なお、キャップ12に設けられているねじ溝は、広く市場に出回っている飲料容器としてのペットボトルの開口部付近に設けられているねじ山と係合するサイズおよび形状であり、ユーザはキャップ12に、容器11に代えてペットボトルを取り付け、必要なものの携帯に流用することもできる。
【0024】
キャップ12には、容器11と係合した状態で容器11の外側に位置する部分に環状部122が設けられている。環状部122にはカラビナ14が取り付けられている。
【0025】
食品13は、粒状もしくは粉状のヒマラヤ岩塩とブドウ糖の混合物である。食品13に含まれるヒマラヤ岩塩の食品13全体に対する重量比は約75%(70〜80%)であり、食品13に含まれるブドウ糖の食品13全体に対する重量比は約25%(30〜20%)である。なお、食品13は、ヒマラヤ岩塩に代えて、複数種類のミネラル成分を含む他の自然塩を含むようにしてもよい。また、多様なミネラル成分を含む点で自然塩は精製塩よりも優れているが、熱中症の予防等に最も重要であるのは塩化ナトリウムであるため、食品13は、自然塩に代えてコスト等の点で優れる精製塩を含むようにしてもよい。
【0026】
ユーザは、食品13が収容された容器11と係合したキャップ12の環状部122に取り付けられたカラビナ14を、例えばベルトに取り付けて携帯する。ユーザは食品の摂取をしたいと思うと、カラビナ14をベルト等から取り外し、キャップ12を容器11に対し反時計回りにねじって係合を解いて、容器11の開口部111から容器11に収容されている食品を適量取り出し摂取する。摂取が終わると、ユーザはキャップ12を容器11に対し時計回りにねじ込んで再び係合させた後、カラビナ14をベルト等に取り付け、その後の携帯を継続する。
【0027】
上記のように、食品入り容器1によれば、ユーザはカラビナ14をベルト等に取り付けるだけで食品13を携帯することができ、摂取のために食品13を容器11から取り出したいと思う場合はカラビナ14をベルト等から取り外し、キャップ12を容器11から取り外すだけでよい。その後、ユーザがキャップ12を容器11に取り付け、カラビナ14をベルト等に取り付ければ、ゴミを出すことなく食品13の携帯を継続することができる。また、容器11とキャップ12は水密に係合するため、食品13の携帯中に雨や汗等により食品13が湿気を帯びたり濡れたりすることはない。また、カラビナ14が正しくベルト等に取り付けられている限り、食品13がユーザの意図せぬ間に落下等することはない。
【0028】
なお、容器11内の食品13がユーザの摂取に伴い少なくなると、ユーザは例えば樹脂製可撓性フィルムパックに収容された形で販売されるリフィル用の食品13を購入し、食品13を開口部111から容器11に補充することができる。
【0029】
[2.第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態にかかる食品入り容器2を示した図である。図2において、食品入り容器2が備える構成部のうち食品入り容器1と共通するものには図1において用いられている符号と同じ符号が用いられている。図2 (a)は食品入り容器2の断面図を示している。図2(b)は食品入り容器2の容器11の側面に設けられた開口部112がキャップ12により塞がれ、容器11の内部と外部が通じていない状態(以下、「閉状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。図2(c)は開口部112を介して容器11の内部と外部が通じている状態(以下、「開状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。なお、図2において食品13およびカラビナ14は図示を省略している。
【0030】
食品入り容器2の構成は食品入り容器1と以下に述べる点を除き共通している。以下に食品入り容器2が食品入り容器1と異なる点のみを説明する。
【0031】
食品入り容器2が備える容器11には、円筒状の容器11の上方のキャップ12と係合するねじ山が切られている側面の一部に開口部112が設けられている。容器11に対しキャップ12を完全にねじ込むと、図2(b)に示される閉状態となる。閉状態においては、キャップ12により開口部111と開口部112の両方が完全に塞がれる。そのため、容器11に収容されている食品13は外部の湿気等から保護される一方、ユーザは閉状態において食品13を容器11から取り出すことはできない。
【0032】
ユーザが容器11に収容されている食品13を取り出したい場合、食品入り容器1の場合と同じようにキャップ12を容器11から完全に取り外し、開口部111から食品13を取り出してもよいが、食品入り容器2においては、キャップ12を容器11に対し反時計回りにねじってゆき、開口部112が外部に露出したところ、すなわち図2(c)に示される開状態になったところでねじるのを止めて、開口部112から食品13を取り出してもよい。
【0033】
開状態において、キャップ12は容器11との間でなお係合を維持しているため、容器11の開口部111はキャップ12により塞がれている。食品入り容器2によれば、ユーザが食品13の取り出しを終えて再度、容器11に対しキャップ12を閉める際、容器11とキャップ12との係合位置を合わせる手間を要せず便利である。また、ユーザが食品13を取り出す際、容器11とキャップ12がばらばらにならず、カラビナ14の取り付けられたキャップ12をうっかり落としてしまうといった不都合が生じない。
【0034】
[3.第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態にかかる食品入り容器3を示した図である。図3において、食品入り容器3が備える構成部のうち食品入り容器1と共通するものには図1において用いられている符号と同じ符号が用いられている。図3(a)は食品入り容器3の断面図を示している。図3(b)は食品入り容器3の容器11の第1部分113の側面に設けられた開口部1132が容器11の第2部分114により塞がれ、容器11の内部と外部が通じていない状態(以下、「閉状態」と呼ぶ)の食品入り容器2の外観図を示している。図3(c)は開口部1132を介して容器11の内部と外部が通じている状態(以下、「開状態」と呼ぶ)の食品入り容器3の外観図を示している。なお、図3において食品13およびカラビナ14は図示を省略している。
【0035】
食品入り容器3の構成は食品入り容器1と以下に述べる点を除き共通している。以下に食品入り容器3が食品入り容器1と異なる点のみを説明する。
【0036】
食品入り容器3が備える容器11は、2つの部分、すなわち第1部分113と第2部分114とにより構成されている。第1部分113は容器11の開口部111側の部分、すなわち図3における上方を構成する部分であり、開口部111に対向する位置に開口部1131を有している。第1部分113には、さらに、側面に開口部1132が設けられている。開口部1132は食品入り容器2における開口部112に相当し、開状態において食品13の取り出しに用いられる。第1部分113の開口部1131を取り巻く縁部には、第1部分113の円筒状の本体から外側に突出するように、例えば2つの突起部、すなわち突起部1133−1および突起部1133−2が設けられている。
【0037】
第2部分114は図3における容器11の下方を構成する部分であり、図3の上方に開口部1141を有している。なお、第2部分114の開口部1141に対向する部分は開口していない。第2部分114の開口部1141を取り巻く縁部には、第2部分114の円筒状の本体から内側に突出するように、環状の突起部1142が設けられている。
【0038】
第2部分114の図3における上方の側面内側には、突起部1142の下面に接するように、環状のパッキン1143が取り付けられている。パッキン1143は例えば合成ゴム等の弾性体であり、第1部分113と第2部分114とが互いに係合した際に、それらを互いに移動可能としつつ、容器11の内側を外側に対し水密に封止する役割を果たす。
【0039】
第2部分114の側面内側には、第2部分114に対する第1部分113の移動に伴いパッキン1143が移動しないように、パッキン1143の下方に接するように、第2部分114の円筒状の本体から内側に突出するように、環状の突起部1144が設けられている。
【0040】
第2部分114の側面内側の突起部1144から開口部1132の図3における上下方向の径とほぼ等しい距離だけ下方の位置には、第2部分114が第1部分113に対し上方にスライドされる際に、不必要に上方にスライドされないためのストッパーの役割を果たす環状の突起部1145が、円筒状の本体から内側に突出するように設けられている。
【0041】
第2部分114は、例えば、モールド成型により一体成形された突起部1142、突起部1144および突起部1145を備える本体に対し、突起部1142と突起部1144の間の位置にパッキン1143をはめ込むことにより製造される。
【0042】
図4は、第1部分113の突起部1133と第2部分114の突起部1142とが互いに係合する仕組みを示す図である。図4(a)は第1部分113を図3の下方から見た図を示し、図4(b)は第2部分114を図3の上方から見た図を示す。
【0043】
まず、第1部分113の本体の外径は、第2部分114の突起部1142の内径よりごく僅かに小さい。第2部分114の突起部1142には、2つの切り欠、すなわち切り欠11421−1および切り欠11421−2が設けられている。第2部分114の切り欠11421−1および切り欠11421−2は、それぞれ、第1部分113の突起部1133−1および突起部1133−2が通過する位置に設けられている。図4(b)においては見えないが、第2部分114の突起部1144にも、突起部1142と同様の位置に切り欠が設けられている。
【0044】
そのため、第1部分113の下方部を第2部分114の上方部に差し込み、第1部分113の突起部1142が第2部分114の突起部1144より下方に至るまで押し込んだ後、第2部分114に対し第1部分113を時計回りもしくは反時計回りに少々回転させることにより、第1部分113と第2部分114が係合される。
【0045】
パッキン1143の内径は突起部1142の内径より僅かに大きく、第1部分113の本体の外径よりごく僅かに小さい。そのため、パッキン1143は、第1部分113と第2部分114とが係合された状態において第1部分113の外側と第2部分114の内側に挟まれ、第1部分113と第2部分114との接合部を水密に封止する。なお、パッキン1143は弾性体であるため、第1部分113が第2部分114に差し込まれる際には第1部分113の突起部1133−1および突起部1133−2により一時的に押しのけられるが、その後、元の形状を回復し、上記の水密封止を維持する。
【0046】
ユーザは、閉位置、すなわち第1部分113を第2部分114に深く差し込んだ状態で食品入り容器3を携帯する。そして、食品13を摂取したい場合、ユーザは第2部分114を第1部分113に対し下に下げるように引き、開状態にする。開状態においては開口部1132が露出し、容器11の内部と外部が開口部1132を介して通じるため、ユーザは開口部1132から食品13を取り出すことができる。ユーザはその後、再度、第2部分114を第1部分113に対し押し上げる、言い換えれば第1部分113を第2部分114に押し込むことにより、食品入り容器3を閉状態とし、その後の携帯を継続することができる。
【0047】
上記のように、食品入り容器3によれば、食品入り容器2による利便性に加え、ユーザが容器11の押し引きにより閉状態と開状態とを切り替え、容易に食品13の取り出しを行うことができる、という利便性が得られる。
【0048】
[4.変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形可能である。以下にそのような変形例を示す。
【0049】
上述した実施形態においては、容器11とキャップ12との係合はねじ山とねじ溝との組み合わせにより行われるものとしたが、それに限られず、水密封止を可能とする係合方法であればいずれの方法が採用されてもよい。例えば、容器11の弾性率より高い弾性率を有する素材で作られ、容器11の係合部の外径よりもやや小さい内径を持つキャップ12に対し容器11を押し込むことにより容器11とキャップ12とを水密に係合させる構成としてもよい。
【0050】
上述した第3実施形態においては、容器11の本体を第1部分113と第2部分114とにより構成するものとし、容器11の筒形状の軸と平行の方向に第1部分113と第2部分114との位置関係を移動させる(スライドさせる)ことにより、閉状態と開状態とを切り替えるものとした。本発明はそれに限られず、例えば、容器11の筒形状の軸を中心に、第1部分113と第2部分114との位置関係を回転移動させることにより、閉状態と開状態とを切り替える構成としてもよい。
【0051】
また、容器11の本体を2つの部分に分割することなく、容器11の側面に設けられた開口部を水密に塞ぐための可動蓋部を設け、当該可動蓋部を開閉することにより食品入り容器3の開状態と閉状態とを切り替える構成としてもよい。
【0052】
また、上述した第3実施形態における開口部1132の位置は任意に変更可能である。例えば、第1部分113にではなく第2部分114に開口部1132を設け、第1部分113の側面により開口部1132を塞ぐ構成としてもよい。
【0053】
また、上述した第3実施形態における第1部分113と第2部分114との係合方法も水密封止可能な方法であればいずれの方法が採用されてもよい。例えば、第1部分113の外側側面および第2部分114の内側側面に各々、ねじ山およびねじ谷を設け、第2実施形態における食品入り容器2の容器11とキャップ12との係合と同様の係合を行わせる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の食品入り容器は、ミネラル補給のための食品を容易に携行可能とするため、出先でのミネラル補給を要する全ての者にとって利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…食品入り容器、2…食品入り容器、3…食品入り容器、11…容器、12…キャップ、13…食品、14…カラビナ、111…開口部、112…開口部、113…第1部分、114…第2部分、121…開口部、122…環状部、1131…開口部、1132…開口部、1133…突起部、1141…開口部、1142…突起部、1143…パッキン、1144…突起部、1145…突起部、11421…切り欠。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に開口部を有し、前記一方の端部に対向する他方の端部には開口部を有さない筒形状の容器と、
前記容器内に収容されたミネラル成分を含む粒状もしくは粉状の食品と、
前記一方の端部において前記容器と水密に係合し前記一方の端部の開口部を塞ぐとともに、前記容器と係合している状態で前記容器の外側に突出する環状部を有するキャップと、
を備える食品入り容器。
【請求項2】
前記環状部に取り付けられたカラビナを備える
請求項1に記載の食品入り容器。
【請求項3】
前記キャップは、前記容器に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記容器と水密に係合し、
前記容器の側面には開口部が設けられ、
前記キャップは前記第1の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞がない
請求項1または2に記載の食品入り容器。
【請求項4】
前記筒形状の容器は、第1の部分と、前記第1の部分に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記第1の部分と水密に係合する第2の部分とを備え、
前記第1の部分の側面には開口部が設けられ、
前記第2の部分は前記第1の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞がない
請求項1または2に記載の食品入り容器。
【請求項5】
前記食品は塩化ナトリウムを含むミネラル成分およびブドウ糖を含み、前記食品の全重量に対するミネラル成分の重量比が0.7乃至0.8であり、前記食品の全重量に対するブドウ糖の重量比が0.2乃至0.3である
請求項1乃至4のいずれかに記載の食品入り容器。
【請求項1】
一方の端部に開口部を有し、前記一方の端部に対向する他方の端部には開口部を有さない筒形状の容器と、
前記容器内に収容されたミネラル成分を含む粒状もしくは粉状の食品と、
前記一方の端部において前記容器と水密に係合し前記一方の端部の開口部を塞ぐとともに、前記容器と係合している状態で前記容器の外側に突出する環状部を有するキャップと、
を備える食品入り容器。
【請求項2】
前記環状部に取り付けられたカラビナを備える
請求項1に記載の食品入り容器。
【請求項3】
前記キャップは、前記容器に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記容器と水密に係合し、
前記容器の側面には開口部が設けられ、
前記キャップは前記第1の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記容器の側面に設けられた開口部を塞がない
請求項1または2に記載の食品入り容器。
【請求項4】
前記筒形状の容器は、第1の部分と、前記第1の部分に対し第1の位置と第2の位置との間を移動可能に前記第1の部分と水密に係合する第2の部分とを備え、
前記第1の部分の側面には開口部が設けられ、
前記第2の部分は前記第1の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞ぎ、前記第2の位置にある時に前記第1の部分の側面に設けられた開口部を塞がない
請求項1または2に記載の食品入り容器。
【請求項5】
前記食品は塩化ナトリウムを含むミネラル成分およびブドウ糖を含み、前記食品の全重量に対するミネラル成分の重量比が0.7乃至0.8であり、前記食品の全重量に対するブドウ糖の重量比が0.2乃至0.3である
請求項1乃至4のいずれかに記載の食品入り容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−241451(P2010−241451A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90713(P2009−90713)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 FOODEX JAPAN 2009 第34回 国際食品・飲料展、主催者名 社団法人日本能率協会 社団法人日本ホテル協会 社団法人国際観光旅館連盟 社団法人日本観光旅館連盟 社団法人国際観光日本レストラン協会 社団法人国際観光施設協会、開催日 2009年3月3日〜2009年3月6日
【出願人】(507093101)アースコンシャス有限会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 FOODEX JAPAN 2009 第34回 国際食品・飲料展、主催者名 社団法人日本能率協会 社団法人日本ホテル協会 社団法人国際観光旅館連盟 社団法人日本観光旅館連盟 社団法人国際観光日本レストラン協会 社団法人国際観光施設協会、開催日 2009年3月3日〜2009年3月6日
【出願人】(507093101)アースコンシャス有限会社 (1)
【Fターム(参考)】
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