説明

食品品質改良剤

【課題】そしゃく・嚥下困難者でも経口摂取が可能な食品を提供しようとする研究が多く行われており、飲み込みやすい適度なかたさをもち、べたつきが少なく食塊がまとまっている食品が望まれている。本発明はでん粉質を主体とする食品(米飯、お粥、穀類、芋類、豆類など)の摂食・嚥下適性を改善するための品質改良剤を提供することを目的とする。
【解決手段】乳化剤を食品に添加して混合、均質化することにより、でん粉質を主体とする食品に口腔内でのべたつき感を抑制しまとまりのあるの優れた摂食・嚥下適性を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はでん粉質を主体とする食品(米飯、お粥、穀類、芋類、豆類など、以下でん粉性食品と呼称する)の摂食・嚥下適性を改善する品質改良剤及び品質改良剤を食品に添加し、混合、均質化することを特徴とする加工食品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢になるにつれ、さまざまな身体機能の低下が生じてくる。その一つにそしゃく・嚥下機能の低下がある。人にとって食べることは楽しみの一つであり、これらの機能が低下した高齢者にとって、摂食可能な食品を選ぶことが重要になってくる。さらに、そしゃく・嚥下困難者は嚥下時に食品が誤って気管に流入するいわゆる誤嚥が生じ、肺炎や窒息死等の原因になり、食品の形態は高齢者の生命を脅かす問題になっている。
これまでそしゃく・嚥下困難者でも経口摂取が可能な食品を提供しようとする研究が多く行われており、飲み込みやすい適度なかたさをもち、べたつきが少なく食塊がまとまっている食品が望まれている。
【0003】
しかしながら、病院や福祉施設等で主食として高頻度で提供されるご飯やお粥、うどん、パン等のでん粉性食品においては、摂食・嚥下容易で、手間やコスト面で手軽に利用できる食品はほとんど開発されておらず、病院や福祉施設等では、米飯をミキサーなどの剪断機を用いてペースト状のミキサー粥にして提供しているような状況にある。ミキサー粥は、流動状であり噛む必要はないものの、べたつき感が非常に高くて、まとまりにくい物性のため非常に飲み込みにくい。そこで、ミキサー時にとろみ調製食品等を添加して、物性を改善した形で提供されることが多いが、依然としてそのべたつき感の高さから、口腔内や咽頭に残留しやすく、嚥下機能に障害のある患者にとって食べにくい食品であった。
【0004】
嚥下容易なでん粉性食品としては、「易嚥下加工米飯及びその加工品」(例えば、特許文献1参照。)、「易嚥下粥」(例えば、特許文献2参照。)、「咀嚼・嚥下困難者用粥」(例えば、特許文献3参照。)などが報告されている。しかしながら、これらの技術は米飯や粥の包被による具材形状の崩壊防止や凝固剤又は増粘剤の添加による粥の重湯と米粒の分離防止を目的としたものであり、べたつき感の抑制や適切なかたさ、まとまり感について摂食・嚥下適性を改善するには十分ではなかった。
【特許文献1】特開平11−113512号
【特許文献2】特開平10−191908号
【特許文献3】特開平11−187832号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、でん粉を主体とする食品(でん粉性食品)の摂食・嚥下適性を改善するための品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意努力した結果、乳化剤と増粘多糖類を用いることにより、でん粉性食品の摂食・嚥下適性が改善されることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記(1)〜(10)に関するものである。
(1)乳化剤を配合することを特徴とする、でん粉性食品に口腔内でのべたつき感を抑制しまとまりのある摂食・嚥下適性の高い物性を付与するための、食品品質改良剤。
(2)増粘多糖類及び/又はゼラチンを併用することを特徴とする前記(1)記載の食品品質改良剤。
(3)乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、酵素分解レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である前記(1)又は(2)記載の食品品質改良剤。
(4)増粘多糖類がゲル化剤と増粘剤から選ばれる少なくとも1種以上である前記(2)記載の食品品質改良剤。
(5)ゲル化剤が寒天、カラギナン、ジェランガム、カードラン、アルギン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種以上である前記(4)記載の食品品質改良剤。
【0008】
(6)増粘剤がキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、グルコマンナン、タマリンドガム、タラガム、ペクチン、アラビアガム、サイリュームシードガム、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、カラヤガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、グァーガム酵素分解物から選ばれる少なくとも1種以上である前記(4)記載の食品品質改良剤。
(7)乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酵素分解レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であり増粘多糖類が寒天、カラギナン、ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする前記(2)から(6)いずれか記載の食品品質改良剤。
(8)食品品質改良剤の食品が、穀類、芋類、豆類からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を原料とする加工食品である前記(1)から(7)いずれか記載の食品品質改良剤。
(9)食品が、米飯又はお粥である前記(8)記載の食品品質改良剤。
(10)前記(1)から(9)いずれか記載の食品品質改良剤を食品に添加し、混合、均質化することを特徴とする加工食品の調製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の品質改良剤を用いることによりでん粉質を主体とする食品(でん粉性食品)は、べたつき感を抑制し、適切なかたさ、まとまり感のある優れた摂食・嚥下適性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に用いる乳化剤は、通常食品に使用されるものであって、形態及び形状、HLB、ケン化価、ヨウ素価、構成脂肪酸等について特に限定されるものではない。食品に用いられる乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられ、でん粉性食品の品質改良効果の点からグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、酵素分解レシチンが好ましい。
本発明に用いられるグリセリン脂肪酸エステルとは、特に限定されるものではないが、脂肪酸の炭素鎖として8〜26がでん粉性食品の品質改良効果の点から好ましい。
本発明に用いられる有機酸モノグリセリドとは、特に限定されるものではなく、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリドが挙げられ、脂肪酸の炭素鎖として8〜22が好ましい。
【0011】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、特に限定されるものではないが、好ましくは平均重合度2〜10のもの、脂肪酸の炭素鎖として8〜22、好ましくは10〜14のものがよい。
【0012】
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルとは、特に限定されるものではないが、脂肪酸の炭素鎖として8〜22が好ましい。
本発明に用いられる酵素分解レシチンとは、レシチンを酵素分解して得られたものであれば、特に限定されるものではない。
【0013】
本発明における食品品質改良剤の乳化剤の配合量は、使用される乳化剤の種類、でん粉性食品の種類等に応じて種々選択されるものであり、目的とする効果が得られるように適宜決定すればよい。一般には、乳化剤の配合量が増すにしたがって乳化剤由来の味が強くなって、食味上問題になることがあり、逆に、乳化剤の添加量が少ないと、でん粉性食品のまとまりがなく、べたつき感の抑制が不十分で、十分な摂食・嚥下適性が得られないが、好ましくは5〜50重量%である。
【0014】
本発明に用いる増粘多糖類は、通常食品に使用されるものであって、ゲル化剤と増粘剤から選ばれる少なくとも1種以上を組み合わせて用いることにより、食品にかたさやまとまりを付与したり、それらの食感を改良したりするものであればよい。増粘多糖類以外のものとして、ゼラチンを増粘多糖類の代わりに添加してもよい。具体的には、例えば、ゲル化剤として寒天、カラギナン、ジェランガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムとローカストビーンガム又はグルコマンナンもしくはタラガムの組み合わせ、増粘剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、グルコマンナン、タマリンドガム、タラガム、ペクチン、アラビアガム、サイリュームシードガム、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、カラヤガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、グァーガム酵素分解物等が挙げられ、これらの少なくとも1種以上を組み合わせて用いるとよい。これら増粘多糖類の中でも、でん粉性食品に添加し、剪断機等で混合・均質化する時点では粘度発現がなく、摂食者が食する時点で適度な粘性若しくはゲル化性が発現するものが望ましい。そのような増粘多糖類の一例として、寒天、ジェランガム、カラギナン等が挙げられる。さらに、寒天はでん粉性食品に添加、剪断機等で混合・均質化することによりゲル化性が発現しにくくなるが、乳化剤と併用することでゲル化性が発現する。
【0015】
本発明における食品品質改良剤の増粘多糖類の配合量は、乳化剤、増粘多糖類の種類により適宜調製することができるが、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%である。本発明の食品品質改良剤において、乳化剤と増粘多糖類を別々に個装しておいてもよいし、あらかじめ混合しておいてもよいが、あらかじめ混合しておくことが好ましい。また、食品品質改良剤のでん粉性食品への混合分散性を高めるために顆粒化等の加工を行うこともできる。
【0016】
本発明の食品品質改良剤を食品に添加することを特徴とする加工食品の調製方法として、でん粉性食品に乳化剤とゼラチン及び/又は増粘多糖類を添加し、混合・均質化処理を行う。また、混合・均質化処理は剪断機を用いることが好ましい。本発明に用いる剪断機とは、例えば、ミキサー、フードカッター、マイルダー等の高速剪断機が挙げられる。本発明における食品品質改良剤のでん粉性食品に対する配合量は、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0017】
本発明の食品品質改良剤及び食品品質改良剤を食品に添加することを特徴とする加工食品の調製方法により、乳化剤がでん粉性食品のべたつき感を抑制するとともに適度なまとまりとゲル化性を付与する効果がある。さらに、増粘多糖類を乳化剤と併用することで、増粘多糖類がでん粉性食品中で十分にその増粘、ゲル化機能を発揮することができるようになるため、嚥下に好適な物性に整えることができる。ここで嚥下に好適な食品物性とは、適度に柔らかく(変形が容易)、べたつき感が少なく、適度にまとまりが良く(口の中でバラけない)であるが、かたさだけを少し増やすとか、まとまりだけをわずかに付与するだけでも、該食品を摂取する者(患者等)にとっての摂食・嚥下適性を改善したことになるケースが多い。
【0018】
本発明で使用する食品はでん粉質を主体とする食品(でん粉性食品)である。本発明で使用するでん粉質とは、小麦、大麦、米、トウモロコシ等の穀類、該穀類を原料とする小麦粉、大麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉、該穀粉、又は、馬鈴薯、甘藷、片栗、蕨、タピオカ、レンコン等を原料とするコーンスターチ、片栗粉等のでん粉、加工でん粉、デキストリン類等が挙げられ、目的の風味、食感等に応じて適宜選択し、これらを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明における穀類とは、米、小麦、大麦、えん麦、ライ麦、そば、トウモロコシ等の食品群、芋類とは、馬鈴薯、甘藷、さといも等の食品群、豆類とは、あずき、いんげんまめ、えんどう、大豆、緑豆等の食品群である。これら該穀類を原料とする小麦粉、大麦粉、米粉、そば粉、コーンフラワー等の穀粉、馬鈴薯、甘藷、片栗、蕨、タピオカ、レンコン等を原料とするコーンスターチ、きな粉等の豆粉、又は米飯、お粥、シリアル類、パン類、麺類、菓子類(スナック類、ビスケット類等)、あずき餡、豆腐、おから、はるさめ、くずきり等の該穀類を原料とする加工食品が挙げられる。好ましくは米飯又はお粥、さらにはこれら加工食品を剪断機等で混合、均質化処理したペースト状のミキサー粥がでん粉質を主体とする食品として挙げられる。
【0020】
本発明の食品品質改良剤を含む食品には、各種のカルシウム類、ビタミン類、鉄分、ミネラル類、食物繊維などの微量栄養素、粉末みそ、粉末ソース、かつおぶしの粉末、脱脂粉乳、粉末ポタージュなどの粉末調味料、乾燥わかめや乾燥野菜の粉末又は小片、細かく砕いた魚肉や肉製品の小片などの小片固形物、フルーツフレーバー、ミルクフレーバーなどの食品香料などのうち任意のものを適宜添加してもよい。これらの任意原料は、一旦食品品質改良剤を含む食品を製した後で加配してもよく、また加工前のでん粉性食品へ加配しておいてもよい。
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0022】
実施例1
太陽化学社製乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)「サンソフトNo.8000V」2gを90℃の七分粥1000gに添加後、ミキサーで2分間混合したものを、100ml容プラスチックカップに満量充填し、室温まで冷却することで、加工食品を調製した。
【0023】
実施例2
太陽化学社製乳化剤(有機酸モノグリセリド)「サンソフトNo.681SPV」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0024】
実施例3
太陽化学社製乳化剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)「サンソフトA−181EP」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0025】
実施例4
太陽化学社製乳化剤(酵素分解レシチン)「サンレシチンA−1」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0026】
実施例5
太陽化学社製乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステル)「サンソフトNo.61S」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0027】
実施例6
太陽化学社製乳化剤(プロピレングリコール脂肪酸エステル)「サンソフトNo.25CD」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0028】
実施例7
太陽化学社製乳化剤(レシチン)「サンレシチンL−61」を使用し、実施例1と同様にして加工食品を調製した。
【0029】
比較例1
比較例として乳化剤を添加しない以外は実施例1と同様にして、加工食品を調製した。
【0030】
試験例1
実施例1及至7と比較例1で調製した加工食品をプラスチックカップから取り出し、皿の上に移しかえたときの形状の目視観察と摂食・嚥下適性の官能評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。摂食・嚥下適性は、口腔内でのまとまりを5段階(1:悪い、2:やや悪い、3:やや良い、4:良い、5:非常に良い)で評価した。また、口腔及び咽頭へのべたつき感を5段階(1:悪い(多い)、2:やや悪い(多い)、3:やや良い(少ない)、4:良い(少ない)、5:非常に良い(少ない))で評価した。総合評価としてまとまりとべたつき感を合計した点数が10点のものを◎7〜9点のものを○、6点以下を×とした。
【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように乳化剤を配合した食品品質改良剤を七分粥に使用すれば、摂食・嚥下適性に優れた加工食品を調製することができる。
【0033】
実施例8
太陽化学社製キサンタンガム「ネオソフトXC」、太陽化学社製乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)「サンソフトNo.8000V」を表2の実施例8に示す処方で調製した食品品質改良剤20gを90℃の七分粥1000gに添加後、ミキサーで2分間混合したものを、100ml容プラスチックカップに満量充填し、室温まで冷却することで、加工食品を調製した。
【0034】
比較例2
比較例として、表2の比較例2に示す処方で調製した比較品2を使用し、実施例8と同様にして加工食品を調製した。
【0035】
【表2】

【0036】
試験例2
実施例8と比較例2で調製した加工食品を試験例1と同様にして評価した。これらの評価結果を表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
表3に示すように乳化剤と増粘多糖類を配合した食品品質改良剤を七分粥に使用すれば、摂食・嚥下適性に優れた加工食品を調製することができる。
【0039】
実施例9
太陽化学社製キサンタンガム太陽化学社製寒天「ネオソフトAR」、太陽化学社製乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル)「サンソフトNo.8000V」を表4の実施例9に示す処方で調製した食品品質改良剤20gを90℃の全粥1000gに添加後、スパーテルで手撹拌により充分に混合してから、100ml容プラスチックカップに満量充填し、室温まで冷却することで、加工食品を調製した。
【0040】
比較例3
比較例として、表4の比較例3に示す処方で調製した比較品3を使用し、実施例9と同様にして加工食品を調製した。
【0041】
【表4】

【0042】
試験例3
実施例9と比較例3で調製した加工食品を試験例1と同様にして評価した。これらの評価結果を表5に示す。
【0043】
【表5】

【0044】
表5に示すように乳化剤と増粘多糖類を配合した食品品質改良剤を全粥に使用すれば、摂食・嚥下適性に優れた加工食品を調製することができる。
【0045】
実施例10
太陽化学社製カラギナン「サンカラNo.1049」、太陽化学社製乳化剤(酵素分解レシチン製剤)「サンレシチンA−1」、塩化カリウムを表6の実施例10に示す処方で調製した食品品質改良剤10gを90℃の七分粥1000gに添加後、ミキサーで2分間混合したものを、100ml容プラスチックカップに満量充填し、室温まで冷却することで、加工食品を調製した。
【0046】
実施例11
太陽化学社製ジェランガム「ネオソフトJ−40」、太陽化学社製乳化剤(酵素分解レシチン製剤)「サンレシチンA−1」を表6の実施例11に示す処方で調製した食品品質改良剤を使用し、実施例10と同様にして加工食品を調製した。
【0047】
【表6】

【0048】
試験例4
実施例10、11で調製した加工食品を試験例1と同様にして評価した。これらの評価結果を表7に示す。
【0049】
【表7】

【0050】
表7に示すように乳化剤と増粘多糖類を配合した食品品質改良剤を七分粥に使用すれば、摂食・嚥下適性に優れた加工食品を調製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の食品品質改良剤及び食品品質改良剤を食品に添加することを特徴とする加工食品の調製方法により、そしゃく・嚥下機能に障害のある患者にべたつき感を抑制しまとまりのある摂食・嚥下適性に優れたでん粉性食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤を配合することを特徴とする、でん粉性食品に口腔内でのべたつき感を抑制しまとまりのある摂食・嚥下適性の高い物性を付与するための、食品品質改良剤。
【請求項2】
増粘多糖類及び/又はゼラチンを併用することを特徴とする請求項1記載の食品品質改良剤。
【請求項3】
乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、酵素分解レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2記載の食品品質改良剤。
【請求項4】
増粘多糖類がゲル化剤と増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項2記載の食品品質改良剤。
【請求項5】
ゲル化剤が寒天、カラギナン、ジェランガム、カードラン、アルギン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項4記載の食品品質改良剤。
【請求項6】
増粘剤がキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、グルコマンナン、タマリンドガム、タラガム、ペクチン、アラビアガム、サイリュームシードガム、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、カラヤガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、グァーガム酵素分解物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項4記載の食品品質改良剤。
【請求項7】
乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酵素分解レシチンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であり増粘多糖類が寒天、カラギナン、ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2から6いずれか記載の食品品質改良剤。
【請求項8】
食品品質改良剤の食品が、穀類、芋類、豆類からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を原料とする加工食品である請求項1から7いずれか記載の食品品質改良剤。
【請求項9】
食品が、米飯又はお粥である請求項8記載の食品品質改良剤。
【請求項10】
請求項1から9いずれか記載の食品品質改良剤を食品に添加し、混合、均質化することを特徴とする加工食品の調製方法。

【公開番号】特開2010−142138(P2010−142138A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320667(P2008−320667)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】