説明

食品容器

【課題】従来と同じ掻き混ぜ方であっても、食品を短時間でより効率良く掻き混ぜること。
【解決手段】底壁部10を有する有底筒状に形成され、食品を収容する容器本体2と、底壁部の中央部から上方に向けて立設され、頂壁16を有する筒部15と、を備え、筒部の外壁面には、凹凸部17が形成されている食品容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品を収納する食品容器は、様々なものが数多く提供されている。その1つとして、納豆を収容する納豆容器が知られている。従来の納豆容器としては、容器内の納豆上に仕切りフィルムを配置し、このフィルム上に調味料が封入された小袋等が載置された容器(特許文献1参照)や、蓋体の上面に収納凹部を形成して、この凹部内に前記小袋等が収納された容器(特許文献2)等が知られている。特に、食品が納豆の場合には、食する際に粘着性のある納豆糸等により手が汚れ易い。そのため、上述した納豆容器のように、前記小袋等が直接的に納豆に接触することを防止することで、できるだけ手が汚れないような対策が施されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−199364号公報
【特許文献2】特開2002−284215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、納豆を食する際には、通常、納豆に調味料や薬味等を適宜添加した後、これらを良く掻き混ぜてから食している。特に、納豆は、掻き混ぜるほど食感や風味が増すので、納豆容器は納豆を収容する容器としての役割に加え、納豆を掻き混ぜる容器としての役割も果している。
しかしながら、上述した納豆容器を含む従来の食品容器は、納豆等の食品を掻き混ぜるための容器という観点において、改善の余地があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、従来と同じ掻き混ぜ方であっても、納豆を短時間でより効率良く掻き混ぜることができる納豆容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る食品容器は、底壁部を有する有底筒状に形成され、食品を収容する容器本体と、前記底壁部の中央部から上方に向けて立設され、頂壁を有する筒部と、を備え、前記頂壁には、調味料が収容される窪み部が形成され、前記筒部の外壁面には、凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る食品容器においては、容器本体に収容されている食品に調味料を添加した後に掻き混ぜると、食品は筒部の外壁面に接触しながら主にこの筒部の回りを周方向に移動させられながら攪拌される。この際、外壁面には、凹凸部が形成されているので、食品は凹凸部を乗り越える度にこの凹の窪み方向及び凸の突出方向(周方向と異なる方向/以下、他方向とする)に移動させられる。これにより、主に周方向に沿って攪拌されている食品に対して、他方向に移動させる力を適宜加えることができ、食品の動きに変化をつけることができる。
従って、従来と同じ掻き混ぜ方であっても、食品を短時間でより効率良く掻き混ぜることができる。
【0008】
また、筒部の頂壁に形成された窪み部に調味料が収容されているので、この調味料を食品に対して速やかに添加できるうえ、手が汚れ難い。また、筒部は、底壁部の中央部に立設しているので、容器本体によって周囲が囲まれて保護されている。よって、流通過程等において窪み部を含む筒部に外力が加わり難く、調味料をより安全に保管することができる。
【0009】
(2)本発明に係る食品容器は、上記本発明の食品容器において、前記凹凸部が、周方向に凸部と凹部とが連続的に交互に繰り返されるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る食品容器においては、周方向に凸部と凹部とが連続的に交互に繰り返されるように凹凸部が形成されているので、掻き混ぜ時に、凸部と凹部とを交互に乗り越えるように食品が移動する。従って、掻き混ぜ時に、食品をより頻繁に他方向に移動させながら主に周方向に沿って攪拌することができる。よって、食品により大きな動きの変化をつけることができ、さらに効率良く掻き混ぜを行うことができる。
【0011】
(3)本発明に係る食品容器は、上記本発明の食品容器において、前記筒部が、前記頂壁から前記底壁部に向かって漸次拡径する錐台状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る食品容器においては、筒部が錐台状に形成されており、底壁部側に近いほど径が大きく、食品に接触する表面積が大きい。通常、食品を掻き混ぜた場合には、容器本体の底部側に食品が溜まり易いので、底壁部に近いほど食品の量が多くなってしまい易い。ところが、上述したように筒部は底壁部に近づくほど表面積が大きくなるので、食品がより筒部の外壁面に接触し易い状態となっている。従って、底壁部に近い位置においても、効率の良い掻き混ぜが可能になる。
【0013】
(4)本発明に係る食品容器は、上記本発明の食品容器において、前記筒部が、円錐台状に形成され、前記容器本体が、平面視円形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る食品容器においては、筒部が円錐台状に形成されているうえ、容器本体が平面視円形状に形成されている。よって、筒部の外壁面及び容器本体の内壁面は、共に突起した角部が無い滑らかな形状となっている。従って、これら筒部の外壁面及び容器本体の内壁面に引っ掛かることなく掻き混ぜ動作を行うことができる。よって、より効率良く掻き混ぜを行うことができる。
また、筒部が円錐台状に形成されているうえ、容器本体が平面視円形状に形成されているので、容器本体の中心を貫く中心軸回りの位置合わせが不要である。そのため、食品及び調味料をそれぞれ収容させる際に、食品容器自体を周方向に回転させて特定の位置を装置に対して位置決めするといったことが不要である。従って、速やかに食品及び調味料を収容することができ、この点においても製造効率の向上化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る食品容器によれば、従来と同じ掻き混ぜ方であっても、食品を短時間でより効率良く掻き混ぜることができ、食品を速やかに食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る食品容器の一実施形態を示す外観斜視図(一部断面図)である。
【図2】図1に示す食品容器の断面図である。
【図3】図1に示す食品容器を構成する容器本体の斜視図である。
【図4】図1に示す食品容器を構成する容器本体を一部断面視した斜視図である。
【図5】図3に示す容器本体を矢印A方向から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る食品容器の一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、食品として納豆を例に挙げ、この納豆を収容する納豆容器を食品容器として説明する。
【0018】
本実施形態の納豆容器1は、図1及び図2に示すように、納豆Bを収容する容器本体2と、容器本体2を密封するシート体(蓋体)3と、を備えている。
なお、図1は、納豆容器1の外観斜視図(一部断面図)である。図2は、図1に示す納豆容器1の断面図である。また、容器本体2の中心を貫く軸を中心軸Oといい、中心軸Oに直交する方向を径方向、中心軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
【0019】
まず、シート体3は、金属箔や紙、或いは、樹脂フィルム(シート)等の材料により形成された薄いシートであり、後述するフランジ部2aの上面に接着等により貼り付けられている。これにより、納豆Bが収容されている容器本体2に蓋をすることができ、内部を密封している。なお、このシート体3は、必要時に容易に剥がし、容器本体2から取り外すことが可能とされている。
【0020】
容器本体2は、図3から図5に示すように、ポリスチレン等からなる合成樹脂製、或いは、紙等の合成樹脂以外の材料からなるカップ型容器であり、底壁部10及び周壁部11を有する有底筒状に形成されている。
なお、図3は、容器本体2の斜視図である。図4は、容器本体2の一部を断面視した斜視図である。図5は、図3に示す矢印A方向から見た容器本体2の上面図である。
【0021】
底壁部10の略中央部には、開口端に向けて上方に立設した筒部15が形成されている。本実施形態の筒部15は、頂壁16を有し、頂壁16から底壁部10に向かって漸次拡径する円錐台状に形成されている。また、この筒部15は、図2に示すように、容器本体2の開口端を塞ぐシート体3に対して頂壁16が接するように高さ設定されている。
【0022】
筒部15の外壁面には、図3から図5に示すように凹凸部17が形成されている。本実施形態の凹凸部17は、周方向に凸部17aと凹部17bとが連続的に交互に繰り返されるように形成されている。これら凸部17a及び凹部17bは、それぞれ頂壁16から底壁部10に向かって直線状となるように形成されている。
前記凹部17bは、凸部17a間の外壁面で構成されているが、この外壁面からさらに筒部内方に突出する凹部とすることもできる。
また、頂壁16には、調味料が収容される窪み部18が形成されている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、この窪み部18に調味料としてゼリー状に固められたタレWが収容されている。
【0023】
容器本体2は、平面視円形状に形成されており、開口端面には径方向外方に向かって折曲されたフランジ部2aが形成されている。上述したように、このフランジ部2aの上面にシート体3が貼り付けられるようになっている。
また、底壁部10の上面には、筒部15の外壁面と同様に、周方向に凸部19aと凹部19bとが連続的に交互に繰り返されるように形成された凹凸部19が形成されている。これら凸部19a及び凹部19bは、それぞれ径方向に沿って直線状となるように形成されている。
前記凹部19bは、凸部19a間の底壁部10で構成されているが、この底壁部10の下面側に向けてさらに突出する凹部とすることもできる。
【0024】
次に、このように構成された納豆容器1を使用する場合について説明する。
はじめに、図1に示すシート体3を容器本体2から取り外し、納豆B及びタレWを露出させる。次いで、納豆BにタレWを添加した後に、納豆BとタレWを良く掻き混ぜる。すると、納豆Bは、容器本体2の内部において、筒部15の外壁面に接触しながら主にこの筒部15の回りを周方向に移動させられながら攪拌される。
【0025】
この際、筒部15の外壁面には、凹凸部17が形成されているので、納豆Bは凹凸部17を乗り越える度に他方向(主に径方向)に移動させられる。つまり、凹凸部17を利用して、主に周方向に沿って攪拌されている納豆Bに対して他方向に移動させる力を適宜加えることができ、納豆Bの動きに変化をつけることができる。
特に、本実施形態では、周方向に凸部17aと凹部17bとが連続的に交互に繰り返されるように凹凸部17が形成されているので、掻き混ぜ時に凸部17aと凹部17bとを交互に乗り越えるように納豆Bを移動させることができる。従って、掻き混ぜ時に、納豆Bをより頻繁に他方向に移動させながら主に周方向に沿って攪拌することができる。そのため、より大きな動きの変化を納豆Bにつけることができる。
【0026】
これらの結果、従来と同じ掻き混ぜ方であっても、納豆Bを短時間でより効率良く掻き混ぜることができ、納豆Bを速やかに食することができる。
特に、筒部15は円錐台状に形成されており、底壁部10側に近いほど径が大きく、納豆Bに接触する表面積が大きい。この為、底壁部10側に溜まっている納豆Bについても、凹凸部17によって確実に動きの変化をつけることができる。
【0027】
更に、本実施形態では、容器本体2の底壁部10の上面にも凹凸部17が形成されているので、これらの凹凸部17によっても納豆Bの動きにさらに変化をつけることができ、この点においても効率の良い掻き混ぜを行うことができる。
加えて、筒部15が円錐台状に形成されているうえ、容器本体2が平面視円形状に形成されているので、筒部15の外壁面及び容器本体2の内壁面は、共に突起した角部がない滑らかな形状となっている。従って、これら筒部15の外壁面及び容器本体2の内壁面に引っ掛かることなく掻き混ぜ動作を行うことができる。よって、この点においても掻き混ぜ易くなり、効率の良い掻き混ぜを行うことができる。
【0028】
また、タレWがゼリー状に固められているうえ、筒部15の頂壁16に設けられた窪み部18に収容されているので、納豆Bに対して速やかに添加できるうえ手が汚れ難く、非常に使い易い。しかも、筒部15は、底壁部10の略中央部に立設しているので、容器本体2によって周囲が囲まれて保護されている。よって、流通過程等において窪み部18を含む筒部15に外力が加わり難く、タレWをより安全に保管することができる。
【0029】
また、本実施形態の納豆容器1によれば、製造時に以下の作用効果を奏することができる。
まず、筒部15が円錐台状に形成されているうえ、容器本体2が平面視円形状に形成されているので、中心軸O回りの位置合わせが不要である。そのため、納豆B及びタレWをそれぞれ収容させる際に、納豆容器1自体を周方向に回転させて特定の位置を装置に対して位置決めするといったことが不要である。従って、速やかに納豆B及びタレWを収容することができ、製造効率の向上化を図ることができる。
【0030】
また、頂壁16がシート体3に接するように筒部15の高さが設定されているので、シート体3をフランジ部2aに貼り付けて容器本体2を密封した際に、同時にタレWが収容された窪み部18にも蓋をすることができる。従って、製造工程の簡略化を図ることができる。また、頂壁16がシート体3に接しているので、流通過程等においてタレWが納豆B側に誤って混入してしまうことを抑制することができる。
【0031】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、食品容器の一例として、納豆Bを収容する納豆容器1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0033】
また、上記実施形態では、シート体3を利用して容器本体2を密封した場合を例に挙げて説明したが、ヒンジ部を介して開閉可能な蓋体を容器本体2のフランジ部2aに連設し、この蓋体を利用して容器本体2を密封しても構わない。この際、ヒンジ部に破断可能なミシン目を形成し、蓋体を開けた後にミシン目を破断して、蓋体を容器本体2から取り外せるように構成することが好ましい。
【0034】
また、上記実施形態では、筒部15の外壁面に凸部17aと凹部17bとが周方向に連続的に交互に形成されるように凹凸部17を形成したが、この場合に限られるものではない。筒部15の外壁面全体或いは一部に、例えば螺旋状や半球状等、何らかの凹凸部が形成されていれば構わない。この場合であっても、掻き混ぜによって攪拌されている納豆Bの動きに変化をつけることができ、効率の良い掻き混ぜに貢献することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、調味料の一例としてゼリー状に固められたタレWを例に挙げたが、ゲル状や固体状等、収容される形態はこの場合に限定されるものではない。例えば、液体状のタレを小袋に入れたものを調味料として窪み部18に収容しても構わないし、窪み部18がシート体3によって液密に密閉されるように構成して液体状の調味料を直接収容しても良い。更に、辛子等のタレ以外の調味料や調味料以外の添加物(薬味等)を1種又は複数収容しても構わない。いずれにしても、納豆Bに添加するものであれば、調味料として窪み部18に収容して構わない。
また、納豆B以外の食品やその他製品を容器本体2に収容しても構わない。
【0036】
また、上記実施形態では、筒部15を円錐台状に形成したが、角錐台状に形成しても構わないし、円筒状や上面視多角形状等の筒状に形成しても構わない。また、容器本体2に関しても、上面視円形状に形成したが、上面視多角形状や楕円形状等に形成しても構わない。
また、容器本体2の底壁部10と同様に内壁面にも、凹凸部を形成しても構わない。こうすることで、さらに効率良く納豆Bを掻き混ぜ易くすることができる。
更に、凹凸部の軸方向長さや幅、及び形成数等は限定されない。
【0037】
更に、上記実施形態では、頂壁16がシート体3に接するように筒部15の高さを設定したが、頂壁16とシート体3との間に一定の隙間が開くように筒部の高さを設定しても構わない。また、接触状態の頂壁16とシート体3とを剥離可能に接着しても良い。この場合には、窪み部18の密閉性が高まる。
【符号の説明】
【0038】
B…納豆(食品)
W…タレ(調味料)
1…納豆容器(食品容器)
2…容器本体
3…シート体(蓋体)
10…容器本体の底壁部
15…筒部
16…筒部の頂壁
17…凹凸部
17a…凸部
17b…凹部
18…窪み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部を有する有底筒状に形成され、食品を収容する容器本体と、
前記底壁部の中央部から上方に向けて立設され、頂壁を有する筒部と、を備え、
前記頂壁には、調味料が収容される窪み部が形成され、
前記筒部の外壁面には、凹凸部が形成されていることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
請求項1に記載の食品容器において、
前記凹凸部は、周方向に凸部と凹部とが連続的に交互に繰り返されるように形成されていることを特徴とする食品容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の食品容器において、
前記筒部は、前記頂壁から前記底壁部に向かって漸次拡径する錐台状に形成されていることを特徴とする食品容器。
【請求項4】
請求項3に記載の食品容器において、
前記筒部は、円錐台状に形成され、
前記容器本体は、平面視円形状に形成されていることを特徴とする食品容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−228784(P2010−228784A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78533(P2009−78533)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】