説明

食品廃棄物処理装置

【課題】食品廃棄物を十分に加熱することのできる食品廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、食品廃棄物が投入される処理槽2と、処理槽2内を減圧する減圧ポンプ3と、処理槽2内の食品廃棄物を攪拌する攪拌手段4と、処理槽2の内壁面に沿って形成された加熱流路21と、処理槽2の中心部を延びるように設置された電熱線44と、処理槽2内に吸入側が接続されるとともに加熱流路21に吐出側が接続された圧縮機5と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品製造業や、外食産業、家庭内から排出される食品廃棄物を処理するための装置として、例えば、特許文献1に挙げられるような装置が提案されている。この処理装置は、攪拌槽内に食品廃棄物などを投入し、この攪拌槽内の食品廃棄物を攪拌させつつ攪拌槽内を加熱及び減圧して食品廃棄物を処理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−258530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した食品廃棄物処理装置において、攪拌槽内の食品廃棄物を加熱する手段は、攪拌槽の外側面を覆うようにして設置されたガス赤外線バーナ(加熱炉)によって構成されているが、この加熱手段では内部の食品廃棄物の加熱が十分でないといった問題があった。そこで、本発明は、食品廃棄物を十分に加熱することのできる食品廃棄物処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る食品廃棄物処理装置は、食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、食品廃棄物が投入される処理槽と、前記処理槽内を減圧する減圧手段と、前記処理槽内の食品廃棄物を攪拌する攪拌手段と、前記処理槽の内壁面に沿って形成された加熱流路と、前記処理槽の中心部を延びるように設置された加熱手段と、前記処理槽内に吸入側が接続されるとともに前記加熱流路に吐出側が接続された圧縮機と、を備えている。
【0006】
この食品廃棄物処理装置によれば、処理槽の中心部を延びるように設置された加熱手段によって、処理槽の中心部から食品廃棄物を加熱するとともに、この加熱により発生した蒸気が圧縮機によって圧縮されて高温・高圧の気体となり加熱流路へと送られることで、食品廃棄物を処理槽の内壁面側からも加熱するため、食品廃棄物を十分に加熱することができる。また、従来では、処理槽内で発生した蒸気は、冷却塔において凝縮させてから排水していた。しかし、本発明に係る食品廃棄物処理装置では、処理槽内で発生した蒸気は加熱流路へと送られ、加熱流路内にて食品廃棄物に対して放熱することで凝縮されて凝縮水となるために冷却塔の設置が不要となり、装置の小型化や低コスト化が可能となる。
【0007】
上記攪拌手段は、処理槽の中心部を延びる攪拌ロッドと、攪拌ロッドの外周に形成された攪拌羽根と、を有する構成とすることができる。この場合、上述した加熱手段は、攪拌ロッド及び攪拌羽根の少なくとも一方の周囲に巻かれた電熱線とすることができる。また、攪拌ロッドは、中空状に形成されており、圧縮機の吐出側に接続された構造とすることができる。また、攪拌羽根は、攪拌ロッドの内部と連通するよう中空状に形成することもできる。
【0008】
また、上記処理槽は、内側槽と外側槽との2つの槽から構成されており、この内側槽と外側層との間隙を加熱流路とすることができる。
【0009】
また、処理槽の内壁面に沿って配管を設置し、この配管を上述した加熱流路とすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る食品廃棄物処理装置によれば、食品廃棄物を十分に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本実施形態に係る食品廃棄物処理装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る食品廃棄物処理装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図中の矢印は、蒸気や加熱媒体、凝縮水などの流れを示している。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る食品廃棄物処理装置1は、食品廃棄物が投入される処理槽2と、処理槽2内を減圧する減圧ポンプ3と、処理槽2内に投入された食品廃棄物を攪拌する攪拌手段4と、蒸気を圧縮する圧縮機5と、を備えている。
【0014】
処理槽2は、水平方向に軸が延びる円筒状の内側槽20aと、その内側槽20aを覆うように設置された円筒状の外側槽20bとの二重構造となっている。この内側槽20aと外側槽20bとの間の間隙によって、加熱流路21が形成されている。なお、内側槽20aはその内部において食品廃棄物の処理を行うためのものであり、外側槽20bは内側槽20aとの間に加熱流路21を形成するためのものである。内側槽20a及び外側槽20bの材質は、特に限定されるものではないがステンレスなどとすることができる。
【0015】
処理槽2の上部には、食品廃棄物を内側槽20a内に投入するための投入口22が形成されており、この投入口22は外側槽20bを通り抜けて内側槽20a内へと延びている。また、内側槽20aの側面下部には、処理後の食品廃棄物を内側槽20aから外部へ取り出すための取出口23が設けられている。これら投入口22及び取出口23は、内側槽2a内を密閉できるよう開閉可能に構成されている。食品廃棄物を処理した後などには内側槽20a内に液体が溜まっていることがあるが、この液体を排出するための排液機構が処理槽2に設けられていることが好ましい。この排液機構は、単に処理槽2に排液管を設けてこの排液管から排液するような構成としてもよいし、その他にも処理槽2を回転させて遠心力により処理槽2の外周面に形成された排液口から排液するような機構とすることもできる。処理槽2の容量は、特に限定されるものではないが、例えば、600〜2000Lとすることが好ましい。
【0016】
処理槽2内には、処理槽2の中央部を軸方向に延びるように攪拌手段4が設置されている。この攪拌手段4は、攪拌ロッド41と、その攪拌ロッド41の外周面に形成された攪拌羽根42とを備えており、処理槽2内に回転可能に設置されている。攪拌ロッド41の左端部は内側槽20aに支持され、右端部は攪拌モータ43に連結しており、攪拌モータ43を作動させることで攪拌ロッド41を中心に攪拌手段4が回転する。このように構成された攪拌手段4の攪拌ロッド41及び攪拌羽根42の外周には電熱線44が巻き付けられている。なお、この電熱線44が本発明の加熱手段に相当する。
【0017】
処理槽2の外部には、圧縮機5が設置されている。この圧縮機5は、吸入側が配管などを介して内側槽20aの内部と接続されており、吐出側が配管などを介して加熱流路21に接続されている。内側槽20a内においては電熱線44を発熱させることで食品廃棄物が加熱され蒸気が発生するが、圧縮機5は、この内側槽20a内にて発生した蒸気を吸入側から吸入して約50〜140℃程度となるように圧縮して高温・高圧の気体にし、これを配管などを介して加熱流路21へと吐出する。
【0018】
また、ドレインタンク6が、配管などを介して処理槽2の加熱流路21と接続されている。このドレインタンク6には、圧縮機5で圧縮されて加熱流路21へと送られた蒸気が食品廃棄物に対して放熱することで凝縮されて生成された凝縮水が溜められる。なお、ドレインタンク6内に溜められた凝縮水は定期的に外部へと排水される。
【0019】
次に、上述した食品廃棄物処理装置1による食品廃棄物の処理方法について説明する。
【0020】
まず、投入口22から食品廃棄物を処理槽2の内側槽20a内に投入し、投入口22を閉めて内側槽20a内を密閉する。そして、減圧ポンプ3を作動させて、内側槽20a内を減圧する。このときの内側槽20a内の気圧は、7〜31kPa程度とすることが好ましい。
【0021】
また、攪拌手段4に巻き付けられた電熱線44に電流を流すことで電熱線44を発熱させて内側槽20a内に投入された食品廃棄物を内側から加熱する。この加熱により食品廃棄物中に含まれる水分が蒸発して蒸気が生成され、この蒸気が配管などを介して圧縮機5に送られる。そして、この蒸気が圧縮機5で圧縮されることで高温・高圧となり配管などを介して加熱流路21内へと送られ、食品廃棄物を外側から加熱する。この加熱流路21においては、高温・高圧の蒸気は食品廃棄物へ放熱することで凝縮して液体となり、この液体はドレインタンク6へと排出され、最終的には外部へと排水される。
【0022】
以上のように、本実施形態に係る食品廃棄物処理装置は、電熱線44により食品廃棄物を内側から加熱するとともに、加熱流路21内を流れる蒸気によって食品廃棄物を外側からも加熱するため、食品廃棄物を十分に加熱することができる。また、処理槽2内で発生した蒸気は、加熱流路21内で凝縮してドレインタンク6へと排出されるため、冷却塔などを設置する必要が無く、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。またさらには、ボイラを使用することなく、食品廃棄物を加熱することができるため、エネルギー使用効率を向上させることができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0024】
例えば、上記実施形態では、加熱流路21を内側槽20a及び外側槽20bの間隙によって形成していたが、特にこれに限定されるものではなく、加熱流路を、処理槽2の内壁面に沿って螺旋状に設置した配管により形成し、この配管に圧縮機5の吐出側を接続するような構成とすることもできる。
【0025】
また、上記実施形態では、攪拌ロッド41及び攪拌羽根42の双方に電熱線44が巻き付けられていたが、この電熱線44は、攪拌ロッド41及び攪拌羽根42のどちらか一方のみに巻き付けていてもよい。
【0026】
また、攪拌ロッド41を中空状とし、加熱流路21に送る高温・高圧の蒸気の一部を攪拌ロッド41の内部に送るよう圧縮機5の吐出側からの流路を分岐して攪拌ロッド41に接続する構成とすることもできる。これにより、電熱線44だけでなく、攪拌ロッド41内を流れる蒸気によっても、食品廃棄物の内側からの加熱を行うことができる。また、攪拌羽根42も中空状にし、攪拌ロッド41と攪拌羽根42とを内部で流体が自由に流通できるように連通させて、攪拌羽根42にも蒸気を送るように構成することもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 食品廃棄物処理装置
2 処理槽
2a 内側槽
2b 外側槽
21 加熱流路
3 減圧ポンプ(減圧手段)
4 攪拌手段
41 攪拌ロッド
42 攪拌羽根
5 圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品廃棄物を乾燥させて処理する装置であって、
食品廃棄物が投入される処理槽と、
前記処理槽内を減圧する減圧手段と、
前記処理槽内の食品廃棄物を攪拌する攪拌手段と、
前記処理槽の内壁面に沿って形成された加熱流路と、
前記処理槽の中心部を延びるように設置された加熱手段と、
前記処理槽内に吸入側が接続されるとともに前記加熱流路に吐出側が接続された圧縮機と、
を備えた、食品廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記攪拌手段は、前記処理槽の中心部を延びる攪拌ロッドと、前記攪拌ロッドの外周に形成された攪拌羽根と、を有している、請求項1に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記攪拌ロッド及び攪拌羽根の少なくとも一方の周囲に巻かれた電熱線である、請求項2に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記攪拌ロッドは、中空状に形成されており、前記圧縮機の吐出側に接続される、請求項2又は3に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記攪拌羽根は、前記攪拌ロッドの内部と連通するよう中空状に形成されている、請求項4に記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記処理槽は、内側槽と外側槽との2つの槽から構成されており、
前記加熱流路は、前記内側槽と外側槽との間隙により形成される、請求項1から5のいずれかに記載の食品廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記加熱流路は、前記処理槽の内壁面に沿って設置された配管によって形成される、請求項1から5のいずれかに記載の食品廃棄物処理装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−217977(P2012−217977A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89759(P2011−89759)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】