説明

食品殺菌方法及び食品殺菌装置

【課題】装置形状に係わらず、加熱蒸気により食品を均等に加熱殺菌することができる食品殺菌方法を提供する。
【解決手段】本発明に係わる食品殺菌方法は、食品を加熱殺菌室2に搬入する工程と、空気排出部10から空気を排出することにより、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6を加熱殺菌室2に密着させて加熱殺菌室2を密閉し、加熱殺菌室2を減圧する工程と、空気排出部10を閉じて、蒸気供給部7,8から加熱蒸気を供給することにより、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第1開口28とを密着させて第1開閉部3及び第2開閉部4及び加熱殺菌室2を密閉し、蒸気供給部7,8から供給した蒸気により食品を加熱殺菌するとともに、第1蒸気抜き部31,第2蒸気抜き部32から加熱蒸気の一部を排出する工程と、蒸気供給部7,8を閉じて、蒸気排出部9から加熱殺菌室2の蒸気を排出する工程と、食品を加熱殺菌室2から搬出する工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品殺菌方法及び食品殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の加熱殺菌を行う食品殺菌装置としては、多数の食品を入れる大型の釜と、この釜の開口部を外部から密閉するロック機構とを備えたものが用いられている。
【0003】
このような大型の釜を用いた食品殺菌装置では、内部に収容した食品に温度ムラが発生しやすい。そこで、上チャンバと下チャンバとを密接させて内部に密閉空間を形成し、この密閉空内に複数の食品を収容するようにした食品殺菌装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−99061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の食品殺菌装置によれば、蒸気室内の密閉空間が小さいため、温度ムラの発生をある程度は抑制することができる。しかしながら、従来例の食品殺菌装置は、蒸気室が、一列に配置された食品を収容するために細長い筒形となっている。このため、加熱蒸気の供給口から離れた場所では、加熱蒸気が十分に行き渡らず、食品を均等に加熱殺菌することが難しいという課題があった。
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、加熱蒸気により食品を均等に加熱殺菌することができる食品殺菌方法及び食品殺菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、食品が通過する開口を備えた開閉部と、当該開閉部から搬入された前記食品を加熱殺菌する加熱殺菌室と、前記開閉部の開口及び前記加熱殺菌室に対し移動自在に支持された密閉蓋と、前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給する蒸気供給部と、前記食品の加熱殺菌後に前記加熱殺菌室の内部から蒸気を排出する蒸気排出部と、前記加熱殺菌室の内部の空気を排出する空気排出部と、を有する食品殺菌装置を用いた食品殺菌方法であって、前記食品を前記開閉部の開口から前記加熱殺菌室の内部に搬入する工程と、前記空気排出部から前記加熱殺菌室の内部の空気を排出し、当該空気の吸引力により前記密閉蓋と前記加熱殺菌室とを密着させて、前記加熱殺菌室の内部を密閉した後、当該加熱殺菌室の内部を減圧する工程と、前記空気排出部を閉じて、前記蒸気供給部から前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給し、当該蒸気の圧力により前記密閉蓋と前記開閉部の開口とを密着させて、前記開閉部及び前記加熱殺菌室の内部を密閉した後、前記蒸気供給部から供給した前記蒸気により、前記加熱殺菌室の内部に搬入された前記食品を加熱殺菌するとともに、当該加熱殺菌中に前記蒸気排出部から前記加熱殺菌室の内部の蒸気の一部を排出する工程と、前記蒸気供給部を閉じて、前記蒸気排出部から前記加熱殺菌室の内部の蒸気を排出する工程と、前記食品を前記開閉部の開口から前記加熱殺菌室の外部に搬出する工程と、を含むことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、食品を加熱殺菌する加熱殺菌室と、前記食品が通過する第1開口及び第2開口を有する開閉部と、前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給する蒸気供給部と、前記食品の加熱殺菌後に前記加熱殺菌室の内部から蒸気を排出する第1蒸気排出部と、前記食品の加熱殺菌中に前記加熱殺菌室の蒸気の一部を排出する第2蒸気排出部と、前記加熱殺菌室の内部の空気を排出する空気排出部と、前記開閉部の前記第1開口及び前記第2開口に対し移動自在に支持され、前記空気排出部から前記加熱殺菌室の内部の空気が排出されたときは、当該空気の吸引力により前記開閉部の前記第2開口と密着することにより前記加熱殺菌室の内部を密閉状態とし、前記蒸気供給部から前記加熱殺菌室の内部に蒸気が供給されたときは、当該蒸気の圧力により前記開閉部の前記第1開口と密着することにより前記開閉部及び前記加熱殺菌室の内部を密閉状態とする密閉蓋と、を備えることを要旨とする食品殺菌装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の食品殺菌装置において、前記加熱殺菌室が、前記食品を収容する略筒型の密閉容器からなり、前記開閉部が、前記密閉容器の長手方向の一端に設けられた前記第1開口を有する第1開閉部と、前記密閉容器の長手方向の他端に設けられた前記第2開口を有する第2開閉部とを備え、前記食品は、前記第1開閉部の前記第1開口から前記密閉容器の中に搬入され、前記第2開閉部の前記第2開口から前記密閉容器の外に搬出されることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の食品殺菌装置において、前記第2蒸気排出部が、前記第1開閉部及び前記第2開閉部の下部に設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の食品殺菌装置において、前記密閉蓋は、前記開閉部を貫通する支持軸により、前記開閉部の内部で回動及び平行移動自在に支持され、前記支持軸の一方の端部は、前記密閉蓋の中心から偏心した位置で当該密閉蓋と結合することを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の食品殺菌装置において、少なくとも、前記密閉蓋と前記開閉部の前記第2開口とが密着する位置に配置したシール部材を更に備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加熱蒸気により食品を均等に加熱殺菌することができる食品殺菌方法及び食品殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係わる食品殺菌装置の全体構成図である。
【図2】食品殺菌装置の左側面図である。
【図3】第1開閉部の概略断面図である。
【図4】リテーナーの外観斜視図である。
【図5】(a)〜(d)は食品殺菌装置を用いた食品の殺菌工程を示す工程図である。
【図6】(e)〜(g)は食品殺菌装置を用いた食品の殺菌工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係わる食品殺菌方法及び食品殺菌装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係わる食品殺菌装置1の全体構成図である。本実施形態に係わる食品殺菌装置1は、蒸気室となる加熱殺菌室2と、食品が通過する開閉部としての第1開閉部3及び第2開閉部4と、第1開閉部3の内部に配置された第1密閉蓋5及び第2開閉部4の内部に配置された第2密閉蓋6と、蒸気供給部7,8と、第1蒸気排出部としての蒸気排出部9と、空気排出部10と、第2蒸気排出部としての第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32と、を備える。
【0016】
加熱殺菌室2は、内部に空間を有する略筒型の容器により構成されている。加熱殺菌室2は、長手方向の両側面に開口12を有する。加熱殺菌室2の開口12は、第1開閉部3及び第2開閉部4とそれぞれ連結している。加熱殺菌室2の内部には、後述のリテーナー40を載置するためのプレート23が配置されている。また、加熱殺菌室2の外周には、蒸気供給部7,8、蒸気排出部9、及び空気排出部10が設けられている。
【0017】
蒸気供給部7,8は、加熱殺菌室2の内部に高温高圧の蒸気(以下、加熱蒸気という)を供給するための機構である。蒸気供給部7,8は、蒸気供給電磁弁13,14と、導通管15,16とを備える。蒸気供給電磁弁13,14は、加熱殺菌室2に加熱蒸気を供給する図示しない蒸気供給器と接続されている。本実施形態の蒸気供給部7,8は、加熱殺菌室2の長手方向の両端付近に設けられているが、蒸気供給部7,8の位置は本実施形態の例に限らず、他の位置であってもよい。
【0018】
蒸気排出部9は、食品の加熱殺菌が完了した後、加熱殺菌室2の内部に供給された蒸気を外部に排出するための機構である。蒸気排出部9は、蒸気排出電磁弁17と、導通管18とを備える。蒸気排出電磁弁17は、図示しない蒸気排出管と接続されている。本実施形態の蒸気排出部9は、加熱殺菌室2の長手方向の中央付近に設けられているが、蒸気排出部9の位置は本実施形態の例に限らず、他の位置であってもよい。また、本実施形態では、蒸気排出部9を加熱殺菌室2の上部に設けているが、下部に設けてもよい。
【0019】
空気排出部10は、加熱殺菌室2の内部の空気を外部に排出するための機構である。空気排出部10は、空気排出電磁弁19と、導通管20とを備える。空気排出電磁弁19は、加熱殺菌室2の内部の空気を排出する図示しない排出装置と接続されている。本実施形態において、空気排出部10の導通管20は、蒸気排出部9の導通管18の途中に設けられているが、この導通管20が加熱殺菌室2に直接に接続される構成としてもよい。
【0020】
第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32は、食品の加熱殺菌中に、加熱殺菌室2から蒸気の一部を排出するための機構である。第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32は、蒸気抜き電磁弁33,34と、導通管35,36と、をそれぞれ備える。電磁弁33,34は、図示しない蒸気抜き管と接続されている。
【0021】
本実施形態における第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32は、第1開閉部3及び第2開閉部4の下部にそれぞれ設けられている。ただし、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32の位置は、本実施形態の例に限定されない。例えば、後述するドレン水の排出を考慮しない場合には、第1開閉部3及び第2開閉部4の上部、又は加熱殺菌室2の上部に設けてもよい。
【0022】
次に、第1開閉部3及び第2開閉部4の構成について説明する。ここでは、第1開閉部3の構成を、図2及び図3を参照しながら説明する。第2開閉部4の構成は、部材の配置が第1開閉部3と反対になることを除いて同一であるため、第1開閉部3の説明を援用し、説明を省略する。また、第2開閉部4において、説明を省略した部材の符号を適宜にカッコ書きで記載する。
【0023】
図2は、食品殺菌装置1の左側面図である。図3は、第1開閉部3の概略断面図である。第1開閉部3は、内部に第1密閉蓋5を備える。また、第1開閉部3は、第1開口28及び第2開口29と、後述の支持軸5aが貫通する貫通穴30とを備える。第1開口28及び第2開口29は、食品が収容されたリテーナー40が通過可能な大きさを有する。また、第2開口29は、加熱殺菌室2の開口12と連通している。
【0024】
第1密閉蓋5は、第1開閉部3の貫通穴30を貫通する支持軸5a(6a)と結合している。支持軸5aは、一方の端部が第1密閉蓋5の中心から偏心した位置で第1密閉蓋5と結合している。支持軸5aの他方の端部は、図示しない駆動機構と接続している。この駆動機構は、第1密閉蓋5を回動させるための駆動力を支持軸5aに与えるものである。支持軸5aは、図3の矢印Aに示すように、時計回り又は反時計回りに回動する。図2では、第1開口28が開くように第1密閉蓋5を回動させた状態(開位置)を二点鎖線で示し、第1開口28が閉じるように第1密閉蓋5を回動させた状態を(閉位置)を破線で示す。なお、支持軸5aは、駆動機構により回動する例に限らず、手動により回動する構成であってもよい。
【0025】
また、第1開閉部3の内側には、図3に示すように、シールゴム24,25が取り付けられている。シールゴム24は、空気排出部10から空気が排出されたときの空気の吸引力により、第1密閉蓋5が内側に平行移動して、第1開閉部3の第2開口29と密着したときに、第1密閉蓋5と第2開口29との間を密閉するためのシール部材である。シールゴム24は、第1開閉部3の第2開口29の周囲の内壁に形成された溝26に嵌め込まれている。第1密閉蓋5と第1開閉部3の第2開口29とが密着すると、シールゴム24により第1密閉蓋5と第2開口29との間が密閉され、第1開閉部3の第2開口29が塞がれる。このようにして、第1開閉部3(及び第2開閉部4)の第2開口29が塞がれることにより、加熱殺菌室2の内部が密閉状態となる。
【0026】
一方、シールゴム25は、蒸気供給部7,8から加熱蒸気が供給されたときの加熱蒸気の圧力により、第1密閉蓋5が外側に平行移動して、第1開閉部3の第1開口28と密着したときに、第1密閉蓋5と第1開口28との間を密閉するためのシール部材である。シールゴム25は、第1開閉部3の第1開口28の周囲の内壁に形成された溝27に嵌め込まれている。第1密閉蓋5と第1開閉部3の第1開口28との間が密着すると、シールゴム25により第1密閉蓋5と第1開口28との間が密閉され、第1開閉部3の第1開口28が塞がれる。このようにして、第1開閉部3(及び第2開閉部4)の第1開口28が塞がれることにより、第1開閉部3(及び第2開閉部4)並びに加熱殺菌室2の内部が密閉状態となる。
【0027】
なお、本実施形態では、図2に示すように、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29を円形とし、シールゴム24,25をリング状とした例について示したが、第1開口28、第2開口29は四角形でもよい。その場合は、シールゴム24,25を四角形の枠状とする。
【0028】
支持軸5aは、図3の矢印Bに示すように、第1密閉蓋5を平行移動自在に支持している。第1密閉蓋5は、空気の吸引力又は蒸気の圧力により平行移動する。すなわち、第1密閉蓋5は、空気排出部10から空気が排出された場合は、排出される空気の吸引力により第1開閉部3の内側に平行移動して、加熱殺菌室2の側面と密着する。これにより、加熱殺菌室2は、第1密閉蓋5(及び第2密閉蓋6)並びにシールゴム24により両側面が塞がれて密閉状態となる。
【0029】
また、第1密閉蓋5は、蒸気供給部7,8から加熱蒸気が供給された場合には、供給された蒸気の圧力により第1開閉部3の外側に平行移動して、第1開閉部3の第1開口28と密着する。これにより、第1開閉部3は、第1密閉蓋5及びシールゴム25により第1開口28が塞がれ(第2開閉部4も同じ)、第1開閉部3(及び第2開閉部4)並びに加熱殺菌室2の内部が密閉状態となる。
【0030】
上述したように、図1に示す第2開閉部4及び第2密閉蓋6も、第1開閉部3及び第1密閉蓋5と同一構成であり、第2開閉部4の第2密閉蓋6は、第1開閉部3の第1密閉蓋5と同期した所定のタイミングで駆動される。
【0031】
次に、加熱殺菌の対象となる食品及びリテーナーについて説明する。図4は、リテーナー40の外観斜視図である。リテーナー40は断面が略コ字型に形成された金属製のトレイである。
【0032】
リテーナー40には、食品50を収容するための複数の開口部41が形成されている。食品50は、略箱枠形状のプラスチック製の容器で構成されている。この容器中には、内容物として米、大豆、根菜類、麺類等が充填される。本実施形態では、容器内に内容物が充填されている状態を「食品」と呼ぶ。なお、図4では、1つのリテーナー40に4つの食品50を一列に収容する例を示すが、食品50の収容数や配置は適宜に選択可能である。
【0033】
本実施形態において、食品50を収容したリテーナー40は、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29から加熱殺菌室2の内部に搬入される。そして、後述する加熱殺菌の処理を施した後、第1開閉部3と対向する側に連結された第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29(図示を省略)から加熱殺菌室2の外に搬出される。
【0034】
なお、食品殺菌装置1は、リテーナー40を第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29から連続的に加熱殺菌室2の内部に搬入するための図示しない搬入機構と、リテーナー40を第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29から連続的に加熱殺菌室2の外部に搬出するための図示しない搬出機構とを備える。そして、これら搬入機構及び搬出機構の動作と連動して、第1開閉部3の第1密閉蓋5及び第2開閉部4の第2密閉蓋6を回動するように構成されている。
【0035】
上述した搬入機構及び搬出機構は、リテーナー40を連続的に搬入/搬出することができれば、様々な機構を採用することができる。例えば、ベルトコンベア式の移動機構を採用してもよいし、竿送り機構を採用してもよい。
【0036】
次に、上記のように構成された食品殺菌装置1を用いた食品殺菌方法について説明する。図5(a)〜(d)、及び図6(e)〜(g)は、食品殺菌装置1を用いた食品の殺菌工程を示す工程図である。なお、図5及び図6では、各工程の説明に必要な箇所にのみ符号を付している。また、各部における断面のハッチング等を省略する。更に、開いている電磁弁を白地で表わし、閉じている電磁弁には「×」印を付している。
【0037】
第1の工程では、図5(a)に示すように、第1開閉部3の第1密閉蓋5を開位置まで回動させ、食品50を収容したリテーナー40を、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29から加熱殺菌室2の内部に搬入する。なお、図5(a)に示すように、リテーナー40の出口側となる第2開閉部4の第2密閉蓋6は、リテーナー40の入口側となる第1開閉部3の第1密閉蓋5と同じく開位置に回動している。ただし、リテーナー40の搬入時は、第2開閉部4の第2密閉蓋6を閉位置としてもよい。また、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6は、この状態で平行移動自在となっている。
【0038】
第2の工程では、図5(b)に示すように、第1開閉部3の第1密閉蓋5、及び第2開閉部4の第2密閉蓋6を閉位置まで回動させる。また、蒸気供給部7,8の蒸気供給電磁弁13,14、及び蒸気排出部9の蒸気排出電磁弁17を閉じる。
【0039】
第3の工程では、図5(c)に示すように、空気排出部10の空気排出電磁弁19を開いて、空気排出部10から加熱殺菌室2の内部の空気を排出する。このとき、排出される空気の吸引力により、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6がそれぞれ第1開閉部3及び第2開閉部4の内側に平行移動して、第2開口29と密着する。これにより、加熱殺菌室2の両側面に形成された開口12が、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6及びシールゴム24により塞がれて密閉状態となる。この後、更に空気排出部10から加熱殺菌室2の内部の空気を排出して、加熱殺菌室2の内部を減圧する。この減圧により加熱殺菌室2の内部が真空圧となったときに、次の工程に移行する。
【0040】
第3の工程において、加熱殺菌室2の内部を真空圧とするのは、食品50の内容物の表面に空気が存在していると、加熱蒸気を供給したときに熱の伝わりが不均等になるためである。加熱殺菌室2の内部を真空圧として、空気のように熱を伝える媒体を少なくすることにより、後述する第4の工程において、加熱蒸気の熱を食品50に均等に伝えることができる。また、加熱蒸気の熱を食品50に伝えやすくなるため、加熱殺菌に要する時間を短縮することができる。更に、加熱殺菌室2の内部を短時間で高温にすることができる。
【0041】
なお、加熱殺菌室2の内部は絶対真空とすることが望ましいが、真空圧に達するまでに時間がかかると、生産効率の低下を招くことになる。このため、減圧工程では、数秒の排気時間で実用的な真空圧とすることが望ましい。一例として、0.07MPa〜0.09MPa程度の真空圧であれば、短時間で十分な効果を得ることができる。ただし、上記のような真空圧としない場合でも、加熱殺菌室2の内部を大気圧よりも減圧することにより、相応の効果を得ることができる。
【0042】
第4の工程では、図5(d)に示すように、空気排出部10の空気排出電磁弁19を閉じて、空気の排出を停止する。これにより、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第2開口29との密着が解除され、平行移動可能な状態となる。続いて、蒸気供給部7,8の蒸気供給電磁弁13,14を開いて、蒸気供給部7,8から加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気を供給する。加熱蒸気を供給すると、加熱蒸気の圧力により、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6がそれぞれ第1開閉部3及び第2開閉部4の外側に平行移動して、第1開閉部3及び第2開閉部4の第1開口28と密着する。これにより、第1開閉部3及び第2開閉部4のそれぞれの第1開口28が、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6並びにシールゴム25により塞がれ、第1開閉部3及び第2開閉部4並びに加熱殺菌室2の内部は密閉状態となる。
【0043】
また、第4の工程では、蒸気供給部7,8から加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気を供給すると同時に、蒸気抜き電磁弁33,34を開いて、加熱殺菌室2の内部の加熱蒸気の一部を第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32から排出する。例えば、蒸気供給部7,8から3.2km/mの加熱蒸気を供給した場合は、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32から、合計で0.2km/mの加熱蒸気を排出する。これにより、加熱殺菌室2の内部には、常に3.0km/mの圧力で加熱蒸気が供給されることになる。なお、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32の蒸気抜き電磁弁33,34は、全工程を通じて、常に開状態でもよい。
【0044】
このように、第4の工程では、蒸気供給部7,8から加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気を供給しつつ、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32から加熱殺菌室2の内部の加熱蒸気の一部を排出する。そして、この状態を維持したまま、加熱殺菌室2の内部に供給した加熱蒸気により、食品50を所定時間、加熱殺菌する。この加熱殺菌が完了すると、次の工程に移行する。
【0045】
第5の工程では、図6(e)に示すように、蒸気供給部7,8の蒸気供給電磁弁13,14を閉じて、加熱蒸気の供給を停止する。これにより、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第1開閉部3及び第2開閉部4の第1開口28との密着が解除され、回動可能な状態となる。続いて、蒸気排出部9の蒸気排出電磁弁17を開いて、蒸気排出部9から加熱殺菌室2の内部の加熱蒸気を排出する。加熱蒸気の排出が完了すると、次の工程に移行する。
【0046】
第6の工程では、図6(f)に示すように、第1開閉部3の第1密閉蓋5、及び第2開閉部4の第2密閉蓋6を開位置まで回動させる。
【0047】
第7の工程では、図6(g)に示すように、加熱殺菌した食品50を収容したリテーナー40を第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29から加熱殺菌室2の外に搬出する。
【0048】
なお、第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29からリテーナー40を搬出すると同時に、次に加熱殺菌する食品50を収容した別のリテーナー40を、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29から加熱殺菌室2の内部に搬入するようにしてもよい。本実施形態の食品殺菌装置1では、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29からリテーナー40を加熱殺菌室2の内部に搬入し、加熱殺菌を施した後、第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29からリテーナー40を搬出するようにしている。これによれば、上述したように、食品50を収容したリテーナー40を加熱殺菌室2に対し連続的に搬入/搬出することができるので、加熱殺菌処理の効率化を図ることができる。
【0049】
上記第1〜第7の工程を繰り返し実施することにより、リテーナー40に収容した食品50を連続的に加熱殺菌することができる。なお、実際の加熱殺菌では、複数の殺菌工程を実施することがほとんどである。例えば、米を内容物とした場合の生産ラインでは、一例として以下のような工程が含まれる。
(a)プラスチックの容器をリテーナー40に収容する。
(b)内容物となる米を計量し、前記容器に充填する(以下、食品50)。
(c)リテーナー40を加熱殺菌室2の内部に搬入する。
(d)食品50を所定時間、加熱殺菌(一次殺菌)する。一次殺菌後、リテーナー40を加熱殺菌室2の外に搬出する。
(e)リテーナー40から食品50を取り出し、次工程で用いる炊飯装置まで搬送する。なお、食品50を取り出したリテーナー40は、クリーントンネルを経由して、再び(a)の工程を行う場所まで返却される。
(f)食品50の容器内に所定量の水を充填する。
(g)炊飯装置の蒸気槽で20〜30分、100℃前後で加熱殺菌(二次殺菌)する。二次殺菌後、食品50を炊飯装置の蒸気槽から搬出し、次工程で用いるシール装置まで搬送する。
(h)シール装置内のクリーンな環境下で食品50に蓋をかぶせてシールする。
(i)再び炊飯装置の蒸気槽(又は温水)で10〜20分、70〜80℃で加熱殺菌(三次殺菌)する。
(j)三次殺菌後、食品50を10〜30分、冷水又は冷水シャワーで冷却する。
(k)冷却後、食品50を乾燥工程、外観検査工程、包装工程の順に搬送する。
【0050】
以上説明した、本実施形態の食品殺菌装置1及びこれを用いた食品殺菌方法よれば、以下のような効果を奏する
【0051】
(1)本実施形態の食品殺菌装置1では、蒸気供給部7,8から加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気を供給しつつ、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32から、加熱殺菌室2の内部の加熱蒸気の一部を排出するようにしている。これによれば、加熱殺菌室2に加熱蒸気を供給することにより、加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気の流れを作り出すことができる。このため、加熱殺菌室2の内部を密閉状態とした場合と比べて、加熱殺菌室2の隅々まで加熱蒸気を行き渡らせることができる。したがって、加熱殺菌室2が細長い筒形であっても、リテーナー40に収容されたすべての食品50を均等に加熱殺菌することができる。
【0052】
(2)本実施形態の食品殺菌装置1では、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32を、第1開閉部3及び第2開閉部4の下部に設けている。このため、加熱殺菌室2に供給された加熱蒸気の一部が凝縮して水に変わった場合でも、この水をドレン水として第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32から排出することができる。これによれば、第1開閉部3及び第2開閉部4からドレン水を抜くための作業が不要となるため、装置の運転を定期的に止めることなく、連続して加熱殺菌処理を行うことができる。したがって、作業効率を向上させることができる。更に、装置のメンテナンス回数を減らすことができる。
【0053】
また、加熱殺菌室2の内部にドレン水がある程度溜まってから一度に排出すると、加熱殺菌室2の内部に急激な温度変化を生じる。しかしながら、本実施形態のように、加熱殺菌中に第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32からドレン水を徐々に排出するようにした場合は、加熱殺菌室2の内部に急激な温度変化が生じにくいので、安定した温度状態で加熱殺菌を行うことができる。
【0054】
(3)本実施形態の食品殺菌装置1では、加熱蒸気による加熱殺菌の前に、加熱殺菌室2の内部を真空圧として、空気のように熱を伝える媒体を少なくしている。このため、加熱殺菌時には、加熱蒸気の熱を食品50に均等に伝えることができる。また、加熱蒸気の熱を食品50に伝えやすくなるため、加熱殺菌に要する時間を短縮することができる。更に、加熱殺菌室2の内部を短時間で高温にすることができる。
【0055】
(4)本実施形態の食品殺菌装置1では、加熱殺菌室2の内部を真空圧にするときに、空気の吸引力により加熱殺菌室2を密閉状態とすることができる。また、加熱殺菌室2の内部の食品50を加熱殺菌するときは、加熱蒸気の圧力により第1開閉部3及び第2開閉部4及び加熱殺菌室2を密閉状態とすることができる。これによれば、密閉空間を形成するための外部からのロック機構が不要となるため、装置を大型化することなく、外部からのロック機構によらない手法により密閉空間を形成することができる。
【0056】
(5)外部からのロック機構や、その駆動機構等を備えた従来装置では、密閉容器の蓋が内圧で開かないように、蓋を固定する作業が必要となる。また、殺菌処理の後は、蓋の固定を解除する作業が必要となる。このため、従来装置では、蓋を固定したり、解除したりするための作業時間が必要となっていた。しかしながら、本実施形態の食品殺菌装置1では、加熱殺菌室2からの空気の排気や蒸気の供給だけで、加熱殺菌室2を密閉状態とすることができる。また、加熱殺菌室2からの空気の排気や蒸気の供給を停止するだけで、加熱殺菌室2の密閉状態を解除することができる。これによれば、蓋の固定や解除のための作業工程が不要となるため、作業時間を短縮することができる。
【0057】
(6)第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6は、外部から回動のための駆動力を与えるだけでよく、平行移動のための駆動力を与える必要がないため、装置構成を簡略化することができる。
【0058】
(7)本実施形態の食品殺菌装置1では、第1開閉部3の第1開口28及び第2開口29からリテーナー40を加熱殺菌室2の内部に搬入し、加熱殺菌を施した後、第1開閉部3と対向する側に連結された第2開閉部4の第1開口28及び第2開口29からリテーナー40を搬出するようにしている。この構成によれば、食品50を収容したリテーナー40を、一方通行で直線的に加熱殺菌室2に搬入/搬出することができる。したがって、ベルトコンベア等を用いた搬入/搬出機構により、リテーナー40の搬入/搬出を容易に自動化することが可能となる。
【0059】
(8)本実施形態の食品殺菌装置1では、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6を、第1開閉部3及び第2開閉部4を貫通する支持軸5a,6aにより回動及び平行移動自在に支持するとともに、支持軸5a,6aの一方の端部を、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6の中心から偏心した位置で第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と結合させている。この構成によれば、支持軸5a,6aを回動させることによって、第1開閉部3及び第2開閉部4の第1開口28を容易に開閉することができる。また、第1開閉部3及び第2開閉部4を貫通するのは支持軸5a,6aのみとなるため、密閉性を低下させる開口部分を必要最小限とすることができる。
【0060】
(9)本実施形態の食品殺菌装置1では、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と、第1開閉部3及び第2開閉部4の第2開口29とが密着する位置に、シール部材としてシールゴム24を設けている。この構成によれば、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第2開口29とが密着したときの密閉性を高めることができる。更に、本実施形態の食品殺菌装置1では、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と、第1開閉部3及び第2開閉部4の第1開口28とが密着する位置に、シール部材としてシールゴム25を設けている。この構成によれば、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と、第1開口28とが密着したときの密閉性を高めることができる。
【0061】
また、本発明に係わる食品殺菌方法及び食品殺菌装置は、上記実施形態以外にも、以下に示すような種々の変形、置き換え、構成の追加等が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0062】
(1)本実施形態では、加熱殺菌時(第4の工程)において、加熱殺菌室2に加熱蒸気を連続的に供給するようにしているが、これに限らず、加熱蒸気を断続的に供給するようにしてもよい。すなわち、上述した第3の工程(減圧)、第4の工程(供給)、及び第5の工程(排出)を1サイクルとし、これを所定回数繰り返し実施するというものである。
【0063】
このように、加熱殺菌室2の内部の減圧、加熱蒸気の供給及び排出を繰り返し実施するようにした場合は、例えば、1.0秒〜1.5秒という比較的短時間で100℃付近から約140℃の温度に昇温させることができる。また、加熱蒸気を比較的短時間で排出することができる。
【0064】
上記のような手法で加熱殺菌を行うことにより、加熱殺菌室2の内部を短時間に殺菌に必要な温度まで上昇させることができる。また、短時間に元の温度に下降させることができる。これによれば、殺菌に要する時間を大幅に削減することができる。また、その前後の工程を自動化することにより、生産性をより向上させることが可能となる。
【0065】
(2)加熱殺菌室2は、本実施形態に示すような細長い筒形以外の形状であってもよい。例えば、角柱型、だ円柱型、かまぼこ型等の形状を採用することができる。また、加熱殺菌室2の高さ、幅、全長は、加熱殺菌する食品50の大きさや個数により適宜設定することができる。例えば、リテーナー40を2列同時に搬入/搬出可能な構成としてもよい。更に、食品殺菌装置1を、複数並列に配置した構成としてもよい。その場合は、同一工程の処理を同時に実行してもよいし、所定の時間差で実行するようにしてもよい。
【0066】
(3)シール部材となるシールゴム24、25を、いずれも設けない構成としてもよい。この場合は、第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第1開口28(開口周囲部分)、又は第1密閉蓋5及び第2密閉蓋6と第2開口29(開口周囲部分)とが接触するそれぞれの面の平滑性を高めることにより、蒸気漏れを最小限に抑えることができる。また、第1開閉部3及び第2開閉部4の内部におけるシールゴムの構成は同一であることが望ましいが、それぞれが異なる構成としてもよい。更に、シールゴム以外にも、例えば、耐熱性樹脂からなるシール部材を用いてもよい。
【0067】
(4)本実施形態の食品殺菌装置1は、第1蒸気排出部としての蒸気排出部9と、第2蒸気排出部としての第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32と、を備える。しかしながら、第1蒸気抜き部31及び第2蒸気抜き部32を省略し、蒸気排出部9のみとする構成としてもよい。この場合は、上記第4の工程において、蒸気供給部7,8から加熱殺菌室2の内部に加熱蒸気を供給すると同時に、蒸気排出電磁弁17を開いて、加熱殺菌室2の内部の加熱蒸気の一部を蒸気排出部9から排出する。
【符号の説明】
【0068】
1:食品殺菌装置、2:加熱殺菌室、3:第1開閉部、4:第2開閉部、5:第1密閉蓋、6:第2密閉蓋、5a,6a:支持軸、7,8:蒸気供給部、9:蒸気排出部(第1蒸気排出部)、10:空気排出部、24,25:シールゴム、28:第1開口、29:第2開口、31:第1蒸気抜き部(第2蒸気排出部)、32:第2蒸気抜き部(第2蒸気排出部)、40:リテーナー、50:食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が通過する開口を備えた開閉部と、当該開閉部から搬入された前記食品を加熱殺菌する加熱殺菌室と、前記開閉部の開口及び前記加熱殺菌室に対し移動自在に支持された密閉蓋と、前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給する蒸気供給部と、前記食品の加熱殺菌後に前記加熱殺菌室の内部から蒸気を排出する蒸気排出部と、前記加熱殺菌室の内部の空気を排出する空気排出部と、を有する食品殺菌装置を用いた食品殺菌方法であって、
前記食品を前記開閉部の開口から前記加熱殺菌室の内部に搬入する工程と、
前記空気排出部から前記加熱殺菌室の内部の空気を排出し、当該空気の吸引力により前記密閉蓋と前記加熱殺菌室とを密着させて、前記加熱殺菌室の内部を密閉した後、当該加熱殺菌室の内部を減圧する工程と、
前記空気排出部を閉じて、前記蒸気供給部から前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給し、当該蒸気の圧力により前記密閉蓋と前記開閉部の開口とを密着させて、前記開閉部及び前記加熱殺菌室の内部を密閉した後、前記蒸気供給部から供給した前記蒸気により、前記加熱殺菌室の内部に搬入された前記食品を加熱殺菌するとともに、当該加熱殺菌中に前記蒸気排出部から前記加熱殺菌室の内部の蒸気の一部を排出する工程と、
前記蒸気供給部を閉じて、前記蒸気排出部から前記加熱殺菌室の内部の蒸気を排出する工程と、
前記食品を前記開閉部の開口から前記加熱殺菌室の外部に搬出する工程と、
を含むことを特徴とする食品殺菌方法。
【請求項2】
食品を加熱殺菌する加熱殺菌室と、
前記食品が通過する第1開口及び第2開口を有する開閉部と、
前記加熱殺菌室の内部に蒸気を供給する蒸気供給部と、
前記食品の加熱殺菌後に前記加熱殺菌室の内部から蒸気を排出する第1蒸気排出部と、
前記食品の加熱殺菌中に前記加熱殺菌室の蒸気の一部を排出する第2蒸気排出部と、
前記加熱殺菌室の内部の空気を排出する空気排出部と、
前記開閉部の前記第1開口及び前記第2開口に対し移動自在に支持され、前記空気排出部から前記加熱殺菌室の内部の空気が排出されたときは、当該空気の吸引力により前記開閉部の前記第2開口と密着することにより前記加熱殺菌室の内部を密閉状態とし、前記蒸気供給部から前記加熱殺菌室の内部に蒸気が供給されたときは、当該蒸気の圧力により前記開閉部の前記第1開口と密着することにより前記開閉部及び前記加熱殺菌室の内部を密閉状態とする密閉蓋と、
を備えることを特徴とする食品殺菌装置。
【請求項3】
前記加熱殺菌室は、前記食品を収容する略筒型の密閉容器からなり、
前記開閉部は、前記密閉容器の長手方向の一端に設けられた前記第1開口を有する第1開閉部と、前記密閉容器の長手方向の他端に設けられた前記第2開口を有する第2開閉部とを備え、
前記食品は、前記第1開閉部の前記第1開口から前記密閉容器の中に搬入され、前記第2開閉部の前記第2開口から前記密閉容器の外に搬出されることを特徴とする請求項2に記載の食品殺菌装置。
【請求項4】
前記第2蒸気排出部は、前記第1開閉部及び前記第2開閉部の下部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の食品殺菌装置。
【請求項5】
前記密閉蓋は、前記開閉部を貫通する支持軸により、前記開閉部の内部で回動及び平行移動自在に支持され、前記支持軸の一方の端部は、前記密閉蓋の中心から偏心した位置で当該密閉蓋と結合することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の食品殺菌装置。
【請求項6】
少なくとも、前記密閉蓋と前記開閉部の前記第2開口とが密着する位置に配置したシール部材を更に備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の食品殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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