説明

食品焼成板

【課題】 食品焼成装置への装着後において焼成面に対するメンテナンスを簡易に行うことができる食品焼成板を提供することを課題をする。
【解決手段】 食品焼板1は、主に、複数の焼成部2bを焼成面2aに有する長方形板状の型板2と、その型板2が嵌着される嵌着孔3を有する長方形枠状の枠板4と、その枠板4に型板2を係止する係止プレート5と、その係止プレート5を枠板4にネジ止め固定する係止固定ビス6とを備えている。この食品焼板1は、型板2の外周形状と枠板4の嵌着孔3の内周形状とが整合したものとなっており、その嵌着孔3内に嵌着された型板2が枠板4に対して2枚の係止プレート5及び4本の係止固定ビス6を介して係止されることで組み立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱器を装備した食品焼成装置に装着され、その加熱器の加熱により食品を焼成する食品焼成板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鯛焼や大判焼等の焼成食品を焼成する食品焼成装置には、火力式の加熱器に比べて温度制御が容易であることから、電気式の加熱ヒータが加熱器として用いられている。このような食品焼成装置は、食品材料が流し込まれる成形凹部が表面に凹設された一対の板状の生地焼成凹板と、その各生地焼成凹板の裏面に固定される加熱ヒータと、その加熱ヒータに給電する電源回路と、その加熱ヒータの発熱温度を制御する制御回路とを備えている(特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1記載の食品焼成装置は、上記した電源回路及び制御回路を収容した筐体とを備えており、かかる筐体の上面部には、左右一対の生地焼成凹板がヒンジを介して相互に連結された状態で複数対装着されている。これらの各対の生地焼成凹板は一方が他方へ向けてヒンジを介して回動されて上下重合可能に構成されており、各生地焼成凹板には、その生地焼成凹板をヒンジを介して回動させるために手で把持されるハンドルが取着されている。
【0004】
この特許文献1の食品焼成装置によれば、各成形凹部に所要の食品材料が流し込まれ、生地焼成凹板が加熱ヒータにより加熱されると、各成形凹部で食品の皮部が焼成され、それから一方の生地焼成凹板の各成形凹部で焼成された食品皮部に餡などの具材が載せられて、他方の生地焼成凹板がヒンジを介して回動されて一方の生地焼成凹板の上に重合されると、各対の生地焼成凹板の間で上下2枚の皮部が重なり合った食品が製造される。
【0005】
また、上記した食品焼成装置については、上記した構成要素の他に、上記した各生地焼成凹板の隣接して、その各生地焼成凹板の成形凹部に対して多少小型の相似形状に形成された成形凸部が表面に凸設された板状の生地焼成凸板と、その生地焼成凸板の裏面に固定される加熱ヒータとを備え、この生地焼成凸板の加熱ヒータについても電源回路及び制御回路により温度制御するものがある(特許文献2参照。)
【0006】
この特許文献2記載の食品焼成装置は、その筐体の上面部に、各生地焼成凹板の外側に隣接して生地焼成凸板がヒンジを介して装着されており、各生地焼成凸板は、それらの内側に隣接した各生地焼成凹板へ向けてヒンジを介して回動されて上下重合可能に構成されており、各生地焼成凸板にも、その生地焼成凹板をヒンジを介して回動させるために手で把持されるハンドルが取着されている。
【0007】
この特許文献2の食品焼成装置によれば、各対の生地焼成凹板同士を重ね合わせる前に、各生地焼成凹板上にそれぞれ生地焼成凸板を重ね合わせることで、各成形凹部に成形凸部が嵌挿され、各成形凹部に流し込まれた食品材料が成形凹部と成形凸部の対向面間で挟持されて全体的に押圧されて、薄肉でかつ均一な厚さの食品生地が焼成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−102009号公報
【特許文献2】特開2005−102624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した生地焼成凹板の成形凹部の形成面、及び、生地焼成凸板の各成形凸部の形成面には、食品の生地の剥離性を高める観点から、フッ素樹脂等のコーティング剤を用いたコーティング処理が施されており、このコーティング剤の耐久性が乏しいが故に、概ね3か月〜6か月毎にコーティング処理をし直す補修が必要となるという問題点がある。
【0010】
また、生地焼成凹板及び生地焼成凸板については、一般に個別受注により少量生産される鋳造品であることから、その1枚当たりの製造コストが高く、結果、1枚当たりの製品価格も高額となってしまうため、そうそう頻繁に交換できるものではなく、長期間使用し続けるには、上記したように短期的に補修を繰り返すことが不可欠となる。
【0011】
ところが、上記した食品焼成装置では、生地焼成凹板や生地焼成凸板などの食品焼成板についてコーティング処理の補修を行う場合に、食品焼成装置の筐体に装着された食品焼成板を取り外す必要があり、更に、食品焼成板の裏面に直接固定された加熱ヒータも取り外す必要があり、その分、食品焼成板のメンテナンス作業が煩雑となるという問題点があった。
【0012】
また、食品焼成板のメンテナンス作業が短期的に頻繁に行われることから、食品焼成板の筐体への脱着作業、及び、加熱ヒータの食品焼成板への脱着作業も頻繁となり、これらの脱着作業時に加熱ヒータの損傷などを招来する危険頻度も高くなるという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、食品焼成装置への装着後において焼成面に対するメンテナンスを簡易に行うことができる食品焼成板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、請求項1の食品焼成板は、加熱器を装備した食品焼成装置に装着され、その加熱器の加熱により食品を焼成するものであり、食品材料から所定形状の食品を焼成するためその形状を象った焼成部が1又は2以上形成される焼成面と、その焼成面の裏面であって加熱器により加熱される被加熱面とを有する焼型部材と、その焼型部材を嵌着可能な嵌着孔が貫通形成され、その嵌着孔に前記焼型部材が嵌着された状態で、その焼型部材の焼成面を表面側から出現させ、その焼型部材の被加熱面を裏面側から出現させ、その焼成面の出現される表面側から前記嵌着孔に前記焼型部材を嵌脱可能に形成される枠状部材と、その枠状部材に対して前記嵌着孔内に嵌着されている前記焼型部材を係止する係止部材と、その焼型部材の被加熱面に加熱器を対向させた状態でその加熱器を前記枠状部材の裏面に固定するのに用いられる加熱器固定部と、その加熱器固定部とともに前記枠状部材に設けられ当該枠状部材の食品焼成装置に対する装着に用いられる枠状部材装着部とを備えている。
【0015】
請求項2の食品焼成板は、請求項1の食品焼成板において、前記枠状部材の表面側から前記嵌着孔へ嵌入される前記焼型部材を、その焼型部材の被加熱面と加熱器との間に所定幅の間隔が確保される位置に衝止するストッパ手段を備えている。
【0016】
請求項3の食品焼成板は、請求項1又は2の食品焼成板において、前記ストッパ手段は、前記焼型部材の一部とその焼型部材の前記嵌着孔へ嵌入方向に対向する前記枠状部材の一部との衝合により、前記焼型部材を、その焼型部材の被加熱面と加熱器との間に所定幅の間隔が確保される位置に衝止するものである。
【0017】
請求項4の食品焼成板は、請求項1から3のいずれかの食品焼成板において、前記係止部材は、前記枠状部材の表面側から操作可能に設けられている。
【0018】
本発明の食品焼成板によれば、焼型部材は、枠状部材に設けられる嵌着孔に嵌入された様態で、係止部材により枠状部材に対して係止される。この係止により、焼型部材は枠状部材と一体化される。このとき、焼型部材の焼成面については、枠状部材の表面側に出現される。一方、焼型部材の被加熱面については、焼型部材の嵌着される嵌着孔が枠状部材に貫通形成されるものであるが故、かかる嵌着孔を通じて枠状部材の裏面側から出現させられる。
【0019】
枠状部材は、この枠状部材自体に設けられる枠状部材装着部を介して、食品焼成装置に装着される。また、食品焼成装置の加熱器は、枠状部材に設けられる加熱器固定部を介して、枠状部材の裏面側に固定される。この固定により、加熱器は、枠状部材の裏面側から出現した焼型部材の被加熱面に対向配置させられる。
【0020】
この状態で、食品焼成装置を稼働させて加熱器を発熱させれば、その熱が焼型部材の被加熱面から焼成面の焼成部へと伝熱され、この加熱された焼成部により食品材料が加熱されて食品が焼成される。
【0021】
ところで、焼型部材は、係止部材を操作することで枠状部材に対する係止状態が解除され、嵌着孔内から枠状部材の表面側へ向けて抜脱可能となる。焼型部材が嵌着孔から抜脱されると、焼型部材は枠状部材から分離される。このとき、依然として、枠状部材は食品焼成装置に枠状部材装着部を介して装着されており、加熱器は枠状部材の裏面側に加熱器固定部を介して固定されている。
【0022】
よって、焼型部材の焼成面にある1又は2以上ある焼成部に対して補修を施すような場合は、焼型部材のみを枠状部材から取り外すだけでよく、食品焼成板に対する加熱器の脱着作業や、食品焼成装置に対する枠状部材の脱着作業を行うことが不要となる。
【0023】
請求項2又は請求項3の食品焼成板によれば、特に、焼型部材が枠状部材の嵌着孔へ嵌入される場合、その焼型部材の被加熱面と加熱器との間に所定幅の間隔が確保された位置で、焼型部材がストッパ手段により衝止されるので、加熱器が焼型部材と接触して損傷することを防止できる。
【0024】
請求項4の食品焼成板によれば、特に、係止部材は、枠状部材の表面側から操作されるので、加熱器が枠状部材の裏面側に固定されたままの状態でも、何の問題もなく、この係止部材を操作して焼型部材の係止や係止解除の操作が行える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の食品焼成板によれば、食品焼成板についてコーティング処理の補修を行う場合、食品焼成装置に装着された枠状部材を取り外すことも不要であり、かつ、食品焼成板の枠状部材の裏面側に固定された加熱器を取り外すことも不要であるので、その分、食品焼成板のメンテナンス作業が容易となるという効果がある。
【0026】
また、食品焼成板のメンテナンス作業が短期的に頻繁に行われる状況にあっても、食品焼成板全体の脱着作業および加熱器の脱着作業が不要となることから、これらの脱着作業時に加熱器の損傷などを招来する危険性を低減できるという効果がある。
【0027】
さらに、食品形状や浮彫絵柄の異なる焼成部を有する焼型部材を複数種類用意すれさえすれば、その焼型部材の中から販売場所、時節、記念日その他の場面に応じた形状や絵柄の食品を焼成できる焼成部を有したものを選択し、その選択した焼型部材を係止部材により枠状部材に装着できるので、食品焼成装置全体を取り替えずとも焼型部材を交換するだけで、形状や絵柄の異なる食品を1台の食品焼成装置で焼成できるという効果がある。
【0028】
この点、従来の食品焼成板については、食品形状毎に食品焼成装置を製造していたため、食品形状が異なれば食品焼成板を含めて食品焼成装置全体を新規に製作する必要があったが、本発明については焼型部材のみを新規に製作することで足り、異なる形状や絵柄の食品を各種焼成できる食品焼成装置の購入者に低価格で提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施例の食品焼板の平面図(表面図)である。
【図2】第1実施例の食品焼板の底面図(裏面図)である。
【図3】第1実施例の型板の部品図であり、(a)は、型板の平面図(表面図)であり、(b)は、型板の正面図であり、(c)は、型板の底面図(裏面図)である。
【図4】第1実施例の枠板の部品図であり、(a)は、枠板の平面図(表面図)であり、(b)は、(a)のB−B線における枠板の縦断面図であり、(c)は、枠板の底面図(裏面図)である。
【図5】(a)は、図1のVA−VA線における食品焼板の部分縦断面図であり、(b)は、図1のVB−VB線における食品焼板の縦断面図である。
【図6】第1実施例の食品焼板が装着された加熱調理機の外観図であり、(a)は、全ての左右一対の食品焼板が開かれた状態における加熱調理機の平面図であり、(b)は、(a)に示した状態における加熱調理機の正面図であり、(c)は、全ての左右一対の食品焼板が上下に重合された状態における加熱調理機の平面図である。
【図7】(a)は、加熱ヒータ及びヒータボックスが取り付けられた食品焼板の平面図であり、(b)は、(a)に示した食品焼板の正面図である。
【図8】(a)は、図7(a)のVIIIA−VIIIA線における部分拡大縦断面図であり、(b)は、図7(a)のVIIIB−VIIIB線における拡大縦断面図である。
【図9】第2実施例の食品焼板の平面図(表面図)である。
【図10】(a)は、図9のXA−XA線における部分縦断面図であり、(b)は、図9のXB−XB線における食品焼板の縦断面図である。
【図11】第2実施例の食品焼板の型板の部品図であり、(a)は、型板の平面図(表面図)であり、(b)は、型板の正面図であり、(c)は、型板の底面図(裏面図)である。
【図12】第2実施例の食品焼板の枠板の部品図であり、(a)は、枠板の平面図(表面図)であり、(b)は、(a)のB−B線における枠板の縦断面図であり、(c)は、(a)のC−C線における枠板の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態の食品焼成板は、鯛焼、大判焼その他の食品を焼成して製造するための用途に用いられるものであり、加熱調理機に装着して使用されるものである。下記する各実施例では、特に、鯛焼を焼成するための加熱調理機(食品焼成装置)10に装着して用いられる鯛焼用の食品焼板1,100について説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、第1実施例の食品焼板1の平面図である。図1に示すように、食品焼板1は、主に、複数の焼成部2bが形成される焼成面2aを有した長方形板状の型板2と、その型板2が嵌着される嵌着孔3を有する長方形枠状の枠板4と、その枠板4に型板2を係止する係止プレート5と、その係止プレート5を枠板4にネジ止め固定する係止固定ビス6とを備えており、これらが組み合わさることにより全体として長方形板状の形態を有している。
【0032】
この食品焼板1は、型板2の外周形状と枠板4の嵌着孔3の内周形状とが整合したものとなっており(図3から図5参照。)、その嵌着孔3内に嵌着された型板2が枠板4に対して2枚の係止プレート5及び4本の係止固定ビス6を介して係止されることで組み立てられる。また、食品焼板1の各部品のうち、型板2及び枠板4については、アルミニウム合金、鉄その他の金属製の鋳造物で形成されている。
【0033】
型板2は、その表面に平坦状の焼成面2aが形成されており、この焼成面2aには、複数の鯛焼を一度に焼成するため、合計7個の焼成部2bが等間隔で形成されている。また、この型板2の長手方向両端部にはそれぞれ1枚ずつ係止プレート5が配設されている。
【0034】
各係止プレート5は、型板2の短辺方向に延設される長方形板状に形成されており、型板2の長手方向両端部と枠板4の嵌着孔3の長手方向両縁部とに跨って凹設される係合凹部7にそれぞれ嵌着され、その係合凹部7の枠板4側の底面に螺合される2本の係止固定ビス6によりネジ止め固定されている。
【0035】
図2は、食品焼板1の底面図である。図2に示すように、嵌着孔3は枠板4の裏面まで貫通形成されており、この嵌着孔3からは、型板2の裏面に形成される被加熱面2cが露出されている。このように、食品焼板1は、その枠板4の表面側(図1参照。)から型板2の焼成面2aが現われ、枠板4の裏面側(図2参照。)から型板2の被加熱面2cが現われるように形成されている。
【0036】
型板2の被加熱面2cは、加熱ヒータ15により加熱される面である。被加熱面2cの長手方向両側には枠板4の裏面の一部をなす凹部面4aがそれぞれ形成されており、これらの凹部面4aは被加熱面2cと面一とされている。また、枠板4の裏面における周縁部の全周には、被加熱面2c及び凹部面4aを取り囲むようにヒータ固定面4bが形設されており、このヒータ固定面4bは被加熱面2c及び凹部面4aから所定量突出した隆起面となっている(図5参照。)。
【0037】
枠板4のヒータ固定面4bは、型板2の被加熱面2cを加熱する加熱ヒータ15と、その加熱ヒータ15全体を被包するヒータカバー16とを、枠板4の裏面にネジ止め固定するために用いられる面である(図7及び図8参照。)。
【0038】
このヒータ固定面4bには、そのヒータ固定面4bに加熱ヒータ15を固定するためのボルトBが螺合される6個のヒータ固定穴4b1と、そのヒータ固定面4bにヒータカバー16をネジ止め固定するためのボルトBが螺合される8個のカバー固定穴4b2とが凹設されている。
【0039】
また、枠板4における長手方向両端面はヒンジ固定面4cとなっており、これらのヒンジ固定面4cには、一対の食品焼板1同士を開閉自在に連結するヒンジ13がそれぞれ固定される(図6参照。)。このため、各ヒンジ固定面4cには、ヒンジ13をネジ止め固定するためのボルトBが螺合されるヒンジ固定穴4c1が2箇所ずつ凹設されている。
【0040】
さらに、一方のヒンジ固定面4c(図1及び図2左側)には、食品焼板1にハンドル14を螺着するためのハンドル固定穴4c2も凹設されている。このハンドル14は、食品焼板1がヒンジ13を介して加熱調理機10に装着された場合に、そのヒンジ13を介して食品焼板1(枠板4)を正転方向又は反転方向へ回動させるために把持される持ち手である(図6参照。)。
【0041】
図3は、型板2の部品図であり、特に、図3(a)は、型板2の平面図であり、図3(b)は、型板2の正面図であり、図3(c)は、型板2の底面図である。図3(a)に示すように、型板2の長手方向両端部には、上記した係止プレート5が嵌着される係合凹部7の一部となる係合切欠7aがそれぞれ凹設されている。
【0042】
図3(b)に示すように、型板2は、その外周面に段差のある段付き板状に形成されており、片面に焼成面2aを有する板表部21と、その板表部21の反焼成面2a側から凸設され片面に被加熱面2cを有する板裏部22とを備えている。このように型板2は、板表部21と板裏部22とを有する段付き板であるため、型板2の被加熱面2cには一定幅の段差面2dが、図3(c)に示すように、被加熱面2cの周縁部の全周を縁取るように周設された形態となっている。
【0043】
図4は、枠板4の部品図であり、特に、図4(a)は、枠板4の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B線における枠板4の縦断面図であって枠板4を長辺方向に縦断面視したものであり、図4(c)は、枠板4の底面図である。図4に示すように、枠板4は、嵌着孔3が貫通形成されることにより平面視ロ字状に形成されており、この嵌着孔3内に型板2が嵌着された場合、この枠板4の表面と型板2の焼成面2aとが面一となる(図5参照。)。
【0044】
また、枠板4の嵌着孔3の長手方向両縁部には、係合凹部7の一部となる係合切欠7bがそれぞれ凹設されており、この係合切欠7bの底面には、係止固定ビス6が螺合される固定孔7cが2つずつ設けられている。図4(a)及び図4(b)に示すように、枠板4の嵌着孔3は、その内周面の全周から内方へ段部4dが突設された段付き孔であり、この段部4dに型板2の段差面2dが載置されるようになっている(図5参照。)。
【0045】
図5(a)は、図1のVA−VA線における食品焼板1の部分縦断面図であって食品焼板1を長辺方向に縦断面視したものであり、図5(b)は、図1のVB−VB線における食品焼板1の縦断面図であって食品焼板1を短辺方向に縦断面視したものであり、図中の白抜矢印は、型板2を嵌着孔3内へ嵌着する場合の嵌入方向を示している。
【0046】
なお、図5では、便宜上、焼成部2bの凹陥部2b1の内面に刻設される浮彫絵柄の図示を省略しており、また、図5(a)では、便宜上、食品焼成板1の長手方向一端側のみを部分的に図示している。
【0047】
図5に示すように、型板2の焼成部2bは、食品材料から所定形状の食品を焼成するために焼成面2aの一部に凹設される凹陥部2b1と、その凹陥部2b1の縁部全周から土手状に立設される壁部2b2とを備えている。この焼成部2bの壁部2b2は焼成面2aから所定高さ分だけ突出されており、この壁部2b2の上端面は食品焼板1の見切面となっている。また、隣り合う焼成部2b,2b同士は互いの壁部2b2が一体的に繋がった形態となっている。
【0048】
焼成部2bの凹陥部2b1は、鯛焼皮部の生地材が流し込まれて鯛焼の皮部が焼成される部位であり、この凹陥部2b1の内面には、鯛焼の片面の形状を象った浮彫絵柄が形成されている(図1参照。)。また、本実施例の食品焼板1では、1枚の型板2に凹設される全ての凹陥部2b1に同じ浮彫絵柄が形成されている(図1参照。)。
【0049】
係合凹部7には係止プレート5が嵌着されており、この係止プレート5の上面は型板2の焼成面2a及び枠板4の表面と面一となっている。また、係止固定ビス6は、係止プレート5に穿設される通孔5aに軸部6bが挿通されており、その軸部6bが枠板4の固定孔7cに螺合されている。この係止固定ビス6の皿状の頭部6aは、係止プレート5のザグリ穴5bに係合されており、かかる頭部6aの上端面が係止プレート5の上面と面一となっている。
【0050】
また、嵌着孔3は、枠板4の表面側(図5(a)及び図5(b)上側)から型板2を嵌入可能でかつ抜脱可能な段付き孔に形成されており、型板2の板表部21が嵌着可能に形成される大孔部31と、その大孔部31に連通形成され型板2の板裏部22が嵌着可能に形成される小孔部32とを備えている。
【0051】
このように嵌着孔3は、そこへ枠板4の表面側から嵌入される型板2が枠板4の裏面側へ抜け落ちることを防止するため、枠板4の表面側に開口量の大きな大孔部31が設けられ、この大孔部31より開口量の小さな小孔部32が枠板4の裏面側に設けられている。
【0052】
また、嵌着孔3の段部4dと型板2の段差面2dとは、型板2の嵌入方向(図5(a)及び図5(b)白抜矢印方向)に対向した位置関係にあり、これらの段部4d及び段差面2dが互いに衝合することで、型板2が枠板4に対する所定位置に衝止されるようになっている。この衝止によって、型板2が嵌着孔3内に必要以上入り込むことが規制され、後述するように型板2の被加熱面2cと加熱ヒータ15との間に所定幅の間隔Wが確保されるものとなる(図8参照。)
【0053】
また、嵌着孔3の大孔部31の深さ(枠板4の表面から段部4d上端面までの深さ)は板表部21の厚さ(型板2の焼成面2aから段差面2dまでの厚さ)と等しく、嵌着孔3の小孔部32の深さ(段部4dの厚さ)は板裏部22の厚さ(型板2の板裏部22における段差面2dから被加熱面2cまでの厚さ)と等しくなっている。このため、型板2の焼成面2aと枠板4の表面とが面一となり、かつ、型板2の被加熱面2cと枠板4の凹部面4aとが面一となる。
【0054】
図6は、食品焼板1が装着された加熱調理機10の外観図であり、図6(a)は、全ての左右一対の食品焼板1,1が開かれた状態(非重合状態)のときの加熱調理機10の平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示した状態における加熱調理機10の正面図であり、図6(c)は、全ての左右一対の食品焼板1,1が重合状態のときの加熱調理機10の平面図である。
【0055】
図6(a)に示すように、加熱調理機10は、上面に開放部11aが開口形成された中空箱状の筐体フレーム11を備えており、この筐体フレーム11の開放部11aには、この開放部11aを塞ぐように左右一対の食品焼板1,1が横並びに合計3対並設されている。また、筐体フレーム11の内部には、電源ユニット12が内蔵されている。この電源ユニット12は、各食品焼板1に1個ずつ装着される加熱ヒータ15に給電する電源回路と、加熱ヒータ15の温度制御を行う制御回路とが内蔵されている。
【0056】
左右一対の食品焼板1,1の互いの枠板4のヒンジ固定面4cには、ヒンジ13が各ヒンジ固定穴4c1に螺合されるボルトBによりネジ止め固定されており、このヒンジ13を介して、左右一対の食品焼板1,1は開閉自在に相互に連結されるとともに筐体フレーム11に対して装着されている。また、各食品焼板1の枠板4には、その筐体フレーム11の正面側にあるヒンジ固定面4cのハンドル固定穴4c2にハンドル14も螺着されている。
【0057】
図6(b)に示すように、筐体フレーム11の正面部には、電源ユニット12の一部であって、各加熱ヒータ15の温度を設定するための複数のダイヤル12aを有する操作パネル12が設けられている。さらに、図6(c)に示すように、各食品焼板1の枠板4におけるヒータ固定面4bには、各ヒータ固定穴4b1及び各カバー固定穴4b2に螺合されるボルトBにより、加熱ヒータ15及びヒータカバー16がネジ止め固定されている(図7参照。)。
【0058】
このように、食品焼板1は、ヒンジ13及びハンドル14が枠板4のヒンジ固定面4cに固定及び螺着され、かつ、加熱ヒータ15及びヒータカバー16が枠板4のヒータ固定面4bに固定されており、これらのヒンジ固定面4c及びヒータ固定面4bは、いずれも枠板4の表面を避けた部分に設けられている。よって、枠板4の表面側から型板2が嵌着孔3に嵌脱する作業において、ヒンジ13、ハンドル14並びに加熱ヒータ15(図7参照。)及びヒータカバー16の存在が邪魔にならない。
【0059】
図7(a)は、図6に示した加熱ヒータ15及びヒータボックス16が取り付けられた食品焼板1の平面図であり、図7(b)は、図7(a)に示した食品焼板1の正面図であり、図8(a)は、図7(a)のVIIIA−VIIIA線における部分拡大縦断面図であって食品焼板1を長辺方向に縦断面視したものであり、図8(b)は、図7(a)のVIIIB−VIIIB線における拡大縦断面図であって食品焼板1を短辺方向に縦断面視したものである。
【0060】
なお、図7及び図8では、ヒンジ13の図示を省略しており、また、図8では、便宜上、焼成部2bの凹陥部2b1の内面に刻設される浮彫絵柄の図示を省略しており、図8(a)では、便宜上、食品焼板1、加熱ヒータ15及びヒータカバー16の長手方向一端側のみを部分的に図示している。
【0061】
図7(a)に示すように、加熱ヒータ15は、例えば、シーズヒータ等の電気発熱式のヒータであって、型板2の被加熱面2cの全面に蛇行状に設けられている。この加熱ヒータ15には、その蛇行方向両端部に給電用の接続端子15aがそれぞれ設けられており、これらの接続端子15aは、いずれも食品焼板1におけるハンドル14の非螺着側のヒンジ固定面4c側(図7(a)右側)に位置している。
【0062】
図7(a)及び図7(b)に示すように、ヒータカバー16は、型板2の被加熱面2c及び枠板4の凹部面4aに覆設される有蓋無底の本体部16aと、その本体部16aの長辺部壁面下端から外方に水平突設される平板状のヒータ固定面4bに当着されるフランジ部16bとを備えている。本体部16a内には加熱ヒータ15が収容されており、この加熱ヒータ15の接続端子15aには給電ケーブル17の一端が電気接続されている。
【0063】
給電ケーブル17は、電源ユニット12から供給される電力を加熱ヒータ15の接続端子15aに給電するためのケーブルであり、ヒータカバー16のターミナルボックス16cからヒータカバー16外へ導出されて、その他端が電源ユニット12と電気接続されている(図6(c)参照。)。
【0064】
ターミナルボックス16cは、加熱ヒータ15の接続端子15aの配設側に設けられており、ヒータカバー16の本体部16aの上面に固定されている。このターミナルボックス16cには、金属製の中空管状のケーブルホース16dの一端が連結されている。ケーブルホース16dはその内周部に給電ケーブル17を被包して熱から保護するものであり、給電ケーブル17は、このケーブルホース16d内を通じて筐体フレーム11の電源ユニット12まで導出されている。
【0065】
ヒータカバー16のフランジ部16bには枠板4の各カバー固定穴4b2との対向箇所に通孔が穿設されており、これらの通孔から挿入されたボルトBがカバー固定穴4b2に螺合されることで、ヒータカバー16は枠板4のヒータ固定面4bにネジ止め固定されている。また、このヒータ固定面4bのうち枠板4の短辺方向両側(図7(a)上下両側)に設けられるものの間にはベース板18が架設されている。
【0066】
ベース板18は、ヒータ固定穴4b1、ボルトB及びヒータ留板19と協働して、加熱ヒータ15を枠板4のヒータ固定面4bに固定する部材である。ベース板18の長手方向両端部は、ヒータ固定面4bのヒータ固定穴4b1に螺合されるボルトBにより、ヒータ固定面4bにネジ止め固定されている。
【0067】
また、ベース板18は、枠板4の長手方向(図7(a)左右方向)に間隔を隔てて3枚配設されており、これら3枚のベース板18の上に加熱ヒータ15が載架されている。このようにベース板18がヒータ固定面4bにネジ止め固定されることから、ヒータカバー16には、図7(b)に示すように各ベース板18を避ける逃げ窓16eが本体部16aおよびフランジ部16bを部分的に切除することで設けられている。
【0068】
図8(a)に示すように、加熱ヒータ15は、ベース板18及びヒータ留板19を介してヒータ固定面4bに固定された状態で、型板2の被加熱面2cから所定幅の間隔Wを隔てて対向配置されている。この加熱ヒータ15と被加熱面2cとの間にある間隔Wは、上記した嵌着孔3内へ型板2が嵌着された場合に、型板2の段差面2dが嵌着孔3内の段部4dと衝合して型板2が枠板4に対して衝止されることで確保されている。
【0069】
また、このように被加熱面2cと加熱ヒータ15との間に所定幅の間隔Wを確保するため、型板2の被加熱面2cは、ベース板18が当接されるヒータ固定面4bよりも若干低まった位置に設けられている。
【0070】
図7(a)に示すように、ヒータ留板19は各ベース板18の上面にそれぞれ重畳配置されており(図7参照。)、図8(b)に示すように、ヒータ留板19は、そのベース板18との間に加熱ヒータ15が挟み込んだ状態で、その長手方向(図7(a)上下方向)両端部及び中央部の3箇所が対応するベース板18にボルトBを用いてネジ止め固定されている。
【0071】
また、各ヒータ留板19には、そのベース板18との対向面に蛇行状の加熱ヒータ15の断面形状に適合させて複数の凹部19aが凹設されており、これらの凹部19a内に嵌合された状態で、加熱ヒータ15は、ヒータ留板19とベース板18との間に挟持されている。
【0072】
以上説明したように本実施例の食品焼型によれば、食品焼板1の焼成部2bの凹陥部2b1内面にコーティング処理を施す補修を行う場合、係止固定ビス6を緩めて係止プレート5を係合凹部7から外し、型板2を嵌着孔3から抜脱させれば、枠板4からヒンジ13を取り外さず、かつ、枠板4のヒータ固定面4bから加熱ヒータ15及びヒータカバー16を取り外さずに、焼成部2bの凹陥部2b1に対する補修が行える。よって、ヒンジ13の脱着作業や加熱ヒータ15及びヒータカバー16の脱着作業が不要となることから、かかる脱着作業時に加熱ヒータ15の取り扱いを誤って損傷させる危険性が回避される。
【0073】
しかも、型板2が枠板4の嵌着孔3へ嵌着される場合、その型板2の段差面2dと嵌着孔3の段部4dとの衝合によって、型板2は、その被加熱面2cと加熱ヒータ15との間に所定幅の間隔Wが確保された位置にて衝止されるので、型板2の取り扱いを誤って、その型板2を嵌着孔3の裏側にある加熱ヒータ15に衝突させて損傷させてしまうことを予防できる。また、係止プレート5及び係止固定ビス6は枠板4の表面側に設けられるので、これらの脱着操作も枠板4の表面側から行うことができる。
【実施例2】
【0074】
次に、図9から図12を参照して、上記実施例の変形例について説明する。第2実施例の食品焼板100は、上記した第1実施例の食品焼板1に対し、型板の板表部及び嵌着孔の大孔部の形状を変更し、型板を枠板から抜脱するために工具が差し込まれる差込溝を追加したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0075】
図9は、第2実施例の食品焼板100の平面図であり、図10(a)は、図9のXA−XA線における部分縦断面図であって食品焼板100を長辺方向に縦断面視したものであり、図10(b)は、図9のXB−XB線における食品焼板100の縦断面図であって食品焼板100を短辺方向に縦断面視したものであり、図10(a)及び図10(b)中の白抜矢印は、型板2を嵌着孔3内へ嵌着する場合の嵌入方向を示している。
【0076】
なお、図9では、一方の係合凹部7から係止プレート5を取り外した状態を図示しており、図10では、焼成部2bの凹陥部2b1の内面に刻設される浮彫絵柄の図示を省略しており、また、図10(a)では、便宜上、食品焼板100の長手方向一端側のみを部分的に図示している。
【0077】
図9に示すように、係合凹部7の底面には、型板2と枠板4との境界部分に差込溝101が開口形成されている。この差込溝101は型板2の短辺方向に向けて細長いスリット状に形成されており、この差込溝101には、マイナスドライバー等の工具における尖形平板状の先端が差込可能となっている。しかも、この差込溝101は、図10(a)に示すように型板2の段差面2dの下方にまで連通されている。
【0078】
このため、例えば、マイナスドライバーなどの工具先端を、係合凹部7の底面に現われる差込溝101の開口部から差し込んで型板2の段差面2dに下側へ向けて押し込みながら、型板2を嵌着孔3の上方へ、即ち、型板2の反嵌入方向(図10(a)及び図10(b)白抜矢印方向とは逆方向)へ向けて持ち上げれば、型板2を嵌着孔3から容易に持ち上げて抜脱させることができる。
【0079】
図10(a)及び図10(b)に示すように、型板2の板表部21の外周面にはガイドテーパー面121が形成されている。ガイドテーパー面121は、型板2の嵌着孔3への嵌入をガイドするための案内面である。このガイドテーパー面121は、型板2の板表部21における嵌着孔3への嵌入方向(図10(a)及び図10(b)白抜矢印方向)前端側から後端側にかけて、即ち、型板2の段差面2d側から焼成面2a側にかけて、板表部21の板幅が外側に向けて漸次大きくなるように形成されている。
【0080】
また、嵌着孔3の大孔部31の内周面にはガイドテーパー面131が形成されている。ガイドテーパー面131は、型板2の嵌着孔3への嵌入をガイドするための案内面である。このガイドテーパー面131は、嵌着孔3の大孔部31における型板2の嵌入方向(図10(a)及び図10(b)白抜矢印方向)前端側から後端側にかけて、即ち、嵌着孔3の段部4dの上端面から枠板4の表面にかけて、嵌着孔3の孔幅が外側に向けて漸次大きくなるように形成されている。
【0081】
したがって、この第2実施例の食品焼板100によれば、型板2を嵌着孔3内へ嵌入させる場合、型板2のガイドテーパー面121が枠板4のガイドテーパー面131に沿って案内され、型板2が嵌着孔3内へスムーズに嵌入される。しかも、型板2のガイドテーパー面121と嵌着孔3のガイドテーパー面131とが同じ傾斜角度とされており、これらのガイドテーパ面121,131同士が全面的に当接され、かつ、型板2の板表部21と嵌着孔3の大孔部31とが合致して嵌め合わされる。
【0082】
図11は、食品焼板100の型板2の部品図であり、特に、図11(a)は、型板2の平面図であり、図11(b)は、型板2の正面図であり、図11(c)は、型板2の底面図である。図11に示すように、型板2のガイドテーパー面121は、型板2の板表部21における外周面の全周に形成されている。
【0083】
図12は、食品焼板100の枠板4の部品図であり、特に、図12(a)は、枠板4の平面図であり、図12(b)は、図12(a)のB−B線における枠板4の縦断面図であって枠板4を長辺方向に縦断面視したものであり、図12(c)は、図12(a)のC−C線における枠板4の拡大縦断面図であって、枠板4を短辺方向に縦断面視したものである。
【0084】
図12に示すように、嵌着孔3のガイドテーパー面131は、嵌着孔3の大孔部31における内周面の全周に形成されている。また、差込溝101は、図12(a)に示すように、枠板4の嵌着孔3の内周面であってその嵌着孔3の長手方向両側(図12(a)左右方向両側)の縁辺中央にそれぞれ凹設されている。また、これらの差込溝101は、互いに対向した位置に凹設されており、嵌着孔3の中心点及びこの中心点で交差する中心線について点対称及び線対称となる形態を有している。
【0085】
そして、各差込溝101は、図12(b)及び図12(c)に示すように、係合凹部7となる係合切欠7bの底面から、嵌着孔3の大孔部31の内周面、段部4dの上端面および小孔部32の内周面まで連なった溝状に凹設されている。
【0086】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0087】
例えば、上記実施例では、凹陥部2b1の内面に浮彫絵柄が施された焼成部2bを有した型板2を備えた食品焼板1について説明したが、かかる食品焼板の型板に形成される焼成部は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、上記した特許文献2にあった焼成面に凸設される隆起部の表面に浮彫絵柄が施された焼成部を有したものであっても良い。
【0088】
また、上記実施例では、枠板4とヒンジ13とを別体に形成したが、かかる枠板とヒンジとは必ずしも別体である必要はなく、例えば、枠板にヒンジを一体成形するようにしても良い。かかる場合には、本発明における枠状部材を食品焼成装置に装着するための枠状部材装着部は、枠板におけるヒンジ固定面及びヒンジ固定穴ではなく、枠板におけるヒンジ部自体が該当することなる。
【0089】
また、上記実施例では、型板2の焼成面2aに7個の焼成部2bを形成したが、かかる焼成部の数は必ずしも7個に限定されるものではなく、例えば、焼成面に1個以上形成されていれば良い。また、上記実施例では、焼成部の浮彫絵柄を鯛焼のものとしたが、かかる浮彫絵柄は必ずしもこれに限定されるものではなく、他の絵柄であっても良い。更に、焼成部により焼成される食品は鯛焼に限定されるものではなく、大判焼その他の焼成食品であっても良い。
【符号の説明】
【0090】
1,100 食品焼成板
2 型板(焼型部材)
2a 焼成面
2b 焼成部
2c 被加熱面
2d 段差面(焼型部材の一部(請求項3))
3 嵌着孔
4 枠板(枠状部材)
4b ヒータ固定面(加熱器固定部の一部)
4b1 ヒータ固定穴(加熱器固定部の一部)
4b2 カバー固定穴(加熱器固定部の一部)
4c ヒンジ固定面(枠部材装着部の一部)
4c1 ヒンジ固定穴(枠部材装着部の一部)
4d 段部(枠状部材の一部(請求項3)、ストッパ手段)
5 係止プレート(係止部材の一部)
6 係止固定ビス(係止部材の一部)
10 加熱調理機(食品焼成装置)
15 加熱ヒータ(加熱器の一部)
16 ヒータカバー(加熱器の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器を装備した食品焼成装置に装着され、その加熱器の加熱により食品を焼成する食品焼成板において、
食品材料から所定形状の食品を焼成するためその形状を象った焼成部が1又は2以上形成される焼成面と、その焼成面の裏面であって加熱器により加熱される被加熱面とを有する焼型部材と、
その焼型部材を嵌着可能な嵌着孔が貫通形成され、その嵌着孔に前記焼型部材が嵌着された状態で、その焼型部材の焼成面を表面側から出現させ、その焼型部材の被加熱面を裏面側から出現させ、その焼成面の出現される表面側から前記嵌着孔に前記焼型部材を嵌脱可能に形成される枠状部材と、
その枠状部材に対して前記嵌着孔内に嵌着されている前記焼型部材を係止する係止部材と、
その焼型部材の被加熱面に加熱器を対向させた状態でその加熱器を前記枠状部材の裏面に固定するのに用いられる加熱器固定部と、
その加熱器固定部とともに前記枠状部材に設けられ当該枠状部材の食品焼成装置に対する装着に用いられる枠状部材装着部とを備えていることを特徴とする食品焼成板。
【請求項2】
前記枠状部材の表面側から前記嵌着孔へ嵌入される前記焼型部材を、その焼型部材の被加熱面と加熱器との間に所定幅の間隔が確保される位置に衝止するストッパ手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の食品焼成板。
【請求項3】
前記ストッパ手段は、前記焼型部材の一部とその焼型部材の前記嵌着孔へ嵌入方向に対向する前記枠状部材の一部との衝合により、前記焼型部材を、その焼型部材の被加熱面と加熱器との間に所定幅の間隔が確保される位置に衝止するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品焼成板。
【請求項4】
前記係止部材は、前記枠状部材の表面側から操作可能に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食品焼成板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−268745(P2010−268745A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124325(P2009−124325)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 第22回石川県中小企業技術展 主催者名 財団法人石川県産業創出支援機構 開催日 平成21年5月21日〜平成21年5月23日
【出願人】(506118412)有限会社小松鋳型製作所 (5)
【出願人】(509089432)
【Fターム(参考)】