説明

食品用の機能シート、及び包装容器

【課題】食肉からの肉汁や調理液、香辛料が透明上蓋に付着することを防止して食品の見栄えを良くできる機能シートと、この機能シートを使用した包装容器を提供する。
【解決手段】包装容器内の食品上に載置されると共に、該包装容器の透明な上蓋の下部に配置される食品用の機能シート5Aは、透明部6と印刷を施したデザイン部7とを有する透明シート部材で構成されている。デザイン部7は、食品の産地表示や調理方法表示等の各種情報を伝える情報部分7a,7b及び/又は野菜や模様等を表示する装飾部分7cを備え、透明部6は、食品を目視できる構成となっている。包装容器1は機能シート5Aと、上方が開口し食品を載置する本体容器2と、この本体容器の上方の開口を蓋する透明上蓋としてラップ材3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の上部に載置される食品用の機能シートと、この機能シートと共に食品を包装する包装容器に係り、特に、食品の各種情報と、装飾性を出現させて購買意欲を高めることができる機能シートと包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スーパーマーケット等で販売されている食肉(牛肉、豚肉)等は、生肉売り場のバックヤードでスライスカットされ、発泡スチロールトレイ等に載せたあと、上部をフィルム包装して密封された形態で販売されている。また、調味料や香辛料により味付けされた食肉も多種多様のものが同包装形態により販売されている。
【0003】
しかし、商品の包装過程において、肉汁や調味液、香辛料等が包装容器の上部の透明フィルムに付着し、商品の見栄えを悪くするという問題が従来から指摘されていた。また、食肉商品には肉の種類、銘柄、価格のみが表示されるのみであり、消費者の購買意欲をそそるためのスーパーマーケットの売り場に設置する広告や販促物を別途準備しなければならず、販売に要するコストの問題も指摘されていた。
【0004】
従来、この種の食肉、肉製品の包装形態としては、長方形の包装材の上にスライスした肉片を置き該包装材を谷折りして該肉片を覆い、該包装材を山折りして包装する形態(特許文献1参照)がある。また、食品を包装する食品包装容器において、表面に、その食品を使用した調理例表示部及びその調理方法を具体的に説明する調理方法が表示された調理方法表示部を設けた食品包装容器(特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3083224号公報
【特許文献2】特開2000−335587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている包装形態は、肉片を1枚1枚剥がしやすくするためのものであり、スーパーマーケット等で陳列したときに食品である肉片の見栄えを良くして、購買意欲を向上させるものではない。また、特許文献2に記載されている食品包装容器は、包装材の外側に調理例及び調理方法を印刷しているだけであり、食品の見栄えを良くすることは考慮されず、消費者に商品情報を提供するものではない。さらに、食肉の包装形態で採用するような薄いフィルムには調理例や方法を印刷することはできず食肉の包装形態にはそぐわない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、1枚のシートを使用するだけで多機能な使用が可能となる食品用の機能シートと、包装容器を提供することにある。すなわち、食肉からの肉汁や調理液、香辛料が透明上蓋に付着することを防止して食品の見栄えを良くすることができ、かつ消費者にとって購買意欲をそそるデザイン、商品名、調理例等を印刷した食品の機能シートを提供することにある。また、この機能シートを使用し、陳列したとき見栄えが良く、購買意欲を向上させることができる包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明に係る食品用の機能シートは、包装容器内の食品上に載置される食品用の機能シートであって、該機能シートは、透明部と印刷を施したデザイン部とを有する透明シート素材で構成されていることを特徴としている。透明シート素材としては、透明プラスチックシートが好適である。
【0009】
前記のごとく構成された本発明の食品用の機能シートは、食品の上に置かれ、この食品を透明部から目視することで食品の鮮度や色合いを確認することができ、印刷を施したデザイン部により食品に関する情報や調理方法等を知ることができ、食品を美しく装飾することができ、消費者の購買意欲を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る機能シートの他の態様としては、包装容器内の食品上に載置されると共に、該包装容器の透明な上蓋の下部に配置される食品用の機能シートであって、該機能シートは、透明部と印刷を施したデザイン部とを有する透明シート素材で構成されていることを特徴としている。
【0011】
このように構成された本発明の食品用の機能シートは、食品の上に置かれ、この食品を覆うことで包装容器内に収容されたとき食品の汁や調味料、香辛料等が包装容器の透明上蓋に付着せず、食品の見栄えを向上させることができ、消費者の購買意欲を向上させることができる。また、食品に関する情報や、食品の調理に関する情報を機能シートの印刷を施したデザイン部から得ることができる。
【0012】
また、本発明に係る食品用の機能シートの好ましい具体的な態様としては、前記デザイン部は、前記食品の産地表示や調理方法表示等の各種情報を伝える情報部分及び/又は野菜や模様等を表示する装飾部分を備え、前記透明部は、前記食品を目視できる構成となっていることを特徴としている。この構成によれば、デザイン部に表示された産地表示等の情報部分により、消費者は包装された食品を安心して購入することができ、野菜や模様等が施された装飾部分により調理されたあとの盛り付け等を想像できるため、献立等を想像して購入することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る包装容器は、前記のいずれかに記載の食品用の機能シートと、上方が開口し前記食品を載置する本体容器と、該本体容器の前記上方の開口を蓋する透明上蓋と、を備えた包装容器であって、前記機能シートは、前記上蓋と前記食品との間の該食品上に載置されて該食品を被覆すると共に、前記デザイン部で前記食品の産地表示や調理方法等の各種情報及び/又は野菜や模様等の装飾性を具現し、前記透明部を通して前記食品を目視できることを特徴としている。
【0014】
このように構成された包装容器は、上方が開口する本体容器の上に食品を載置し、食品の上に機能シートを載置するため、食品が直接包装容器の透明上蓋に接触せず、包装された食品の見栄えが向上する。また、機能シートに印刷されたデザイン部の情報部分から、食品の産地等の情報を知ることができ、装飾部分で調理方法や盛り付け方法を想像することができるため、購買意欲を向上させることができる。
【0015】
前記包装容器の好ましい具体的な態様としては、前記透明上蓋は、前記機能シートを覆うように前記本体容器の前記上方の開口を被覆して該本体容器の外周で折り返されて密着される透明ラップ材であることを特徴としている。この構成によれば、本体容器の上に食品を載置し、食品の上に機能シートを載置し、上方の開口を透明ラップ材で被覆して本体容器の外周で折り返して容易に食品を包装することができる。
【0016】
前記本体容器は、中央部に対して外周部が立ち上げられた容器状であり、前記透明上蓋は前記本体容器の外周部に溶着されることが好ましい。この構成によれば、本体容器の上に食品を載置し、さらに食品の上に機能シートを載置してから、本体容器の外周部に透明上蓋を溶着して食品を包装することができるため、包装作業が容易に行なえる。
【0017】
また、前記本体容器は、中央部に対して外周部が立ち上げられた容器状であり、前記透明上蓋は前記本体容器の外周部に連結されることが好ましい。この構成によれば、本体容器の上に食品を載置し、さらに食品の上に機能シートを載置してから、本体容器の外周部に連結された透明上蓋を本体容器の上に被せて食品を包装することができるため、包装作業が容易に行なえる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の機能シートは、1枚のシートを使用するだけで多機能な使用が可能となる。すなわち、食品と食品を包装する包装容器の透明上蓋とが接触するのを防止することができ、例えば食肉の場合、肉汁が表面の透明上蓋に付着せず、この機能シートを用いた包装容器は陳列中の食品の見栄えを向上させることができる。また、機能シートには食品に関する情報や食品の調理に関する情報が記載され、食品を安心して購入することができ、家庭では調理に関する情報を見ながら効率良く調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る機能シートを用いる包装容器の一実施形態を示し、(a)は包装容器を構成する本体容器と上蓋の正面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図2】(a)は図1の本体容器に食肉を載せた状態の正面図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図3】(a)は本体容器に食肉を載せた正面図、(b)は本発明に係る機能シートの一実施形態の正面図。
【図4】(a)は本体容器に食肉を載せ、機能シートを載せ、透明ラップ材を載せた正面図、(b)は(a)のC−C線断面図。
【図5】本発明に係る機能シートの他の実施形態を示す斜視図。
【図6】図5の機能シートを食品の上に載置し、食品を包装した包装容器の斜視図。
【図7】本発明に係る包装容器を構成する本体容器と上蓋の他の実施形態の斜視図。
【図8】図7の本体容器に食品を収容し、機能シートを収容する前の分解状態を示す斜視図。
【図9】図7,8の本体容器に食品と機能シートを収容して包装した斜視図。
【図10】本発明に係る包装容器のさらに他の実施形態の包装容器、食品及び機能シートを示す斜視図。
【図11】図10の包装容器に食品及び機能シートを収容した状態の斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る食品用の機能シートと、この機能シートを用いた包装容器の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る包装容器を構成する本体容器と上蓋の正面図と、A−A線断面図、図2は、図1の本体容器に食品としてスライス肉(食肉)を載せた状態の正面図と、B−B線断面図、図3は食肉を載せた本体容器と、機能シートを示す正面図、図4は図3の食肉の上に機能シートを載せ、透明ラップ材を載せた状態の正面図である。
【0021】
図1〜4において、本発明に係る食肉やハム等の食品を包装する包装容器1は、上方が開口するトレイ等の本体容器2と、本体容器2の上方開口を覆う透明な上蓋としてラップ材3と、本体容器2の上に載置した食品4を覆う機能シート5とから構成され、この機能シート5は、本体容器2の上に置かれた食品4とラップ材3との間に配置されている。本体容器2は発泡スチロール等の合成樹脂で形成され、中央の平坦部から外周が立ち上げられた傾斜状の壁面部により収容部2aが形成され、容器状の形状をしている。この収容部2aにハム、ソーセージ、ベーコン、肉等の食品4を載置して包装容器1内に食品4を収容することができる。
【0022】
本発明に係る機能シート5は、透明シート素材として透明なプラスチックシートからなり、本体容器2の内部に収まる寸法、形状となっている。具体的には本体容器2の平面形状より小さい横長の長方形状となっている。機能シート5には、その一部に印刷が施され、透明部6と印刷を施したデザイン部7とが形成されている。機能シート5の素材としては、ポリエチレンや、ポリエステル樹脂シート等の透明プラスチックシートを用いているが、透明であれば他の適宜のプラスチックシートを用いることもできる。
【0023】
デザイン部7は、食品4の商品名、産地表示や調理方法表示等の各種情報を伝える情報部分7a,7b、及び/又は野菜や模様等を表示する装飾部分7cを備え、透明部6は、このシート素材を透過して食品4を目視できる構成となっている。デザイン部7には、絵柄や文字、模様等が印刷されるため、絵柄や文字、模様を見やすくするために、透明素材の上に先ず白地の印刷がされ、その上に文字や絵柄、模様が印刷されている。透明素材の上に直接文字等を印刷すると、この機能シート5を食品4の上に載せたときに食品の色や模様で文字等が読取り難くなるが、白の下地を印刷してから文字等を印刷することで不透明となっており、下方に位置する食品を透視できないため文字や模様等を浮き上がらせて明確に表示することができる。デザイン部7の上面は、印刷インク面が露出しないようにポリエステルフィルム等の被覆フィルムで覆うか、コーティングすると好ましい。
【0024】
機能シート5は、透明部6を通して食品4を目視できる機能、デザイン部7で食品4の産地等を確認できる機能、デザイン部7で食品4を装飾する機能、ラップ材3と食品4との間に位置して両者を密着させない機能等の多数の機能を有するものである。デザイン部7に印刷される文字や絵柄、模様等は、包装される食品に合わせて決められると好ましい。例えば、情報部分7aとして、肉の調理方法や、調理例を印刷すると共に、情報部分7bとしてバーコードを印刷してもよい。また、肉の産地、生産者情報、その他の情報を記載することもできる。さらに、装飾部分7cとして、食肉が包装されるときは、肉の色合いを引き立たせる配色の緑色系の模様や野菜の写真等が好ましく、レタス等の青葉類、赤や黄色のパプリカ等の野菜類を印刷したものも好ましい。
【0025】
機能シート5の寸法は本体容器2の内部にぴったりと収まる寸法の必要はなく、正方形状の本体容器に長方形状の機能シートを収めて上下に空間ができるように構成してもよい。例えば、機能シート5の横方向の長さを本体容器2の長さと同じに設定し、機能シート5の縦方向の高さを本体容器2の高さより小さく設定して、機能シート5の両サイドを本体容器2とラップ材3で挟むようにしてもよい。この場合は、機能シート5は食品4の一部を覆うように構成される。機能シート5と本体容器2を同じ寸法にすると、機能シートは食品の全面を覆うことができる。
【0026】
前記の如く構成された本実施形態の包装容器1に食品4を包装する動作について以下に説明する。本体容器2の中央の収容部2aに食肉等の食品4を載置する。本実施の形態では、4枚のスライス肉を載置している。つぎに、食品4の上に機能シート5を被せる。この機能シート5は本体容器2より小さい形状であり、本体容器2内に収まる。このあと、機能シート5の上部に透明フィルムのラップ材3を広げ、本体容器2の外周部で下方に折り返して本体容器2の側面の壁面部に密着させる。このようにして、食品4は包装容器1に収容され包装される。
【0027】
包装容器1内に収容された食品4は、上部の透明な上蓋であるラップ材3と食品4との間に機能シート5が位置しているため、食品4が直接ラップ材3に接触することはない。このため、肉が収容されているときには、上部のラップ材3に肉汁が触れることがなくなる。また、調味料、香辛料等で味付けされた肉を収容するときには、肉の表面に付着している調味料や香辛料等は、機能シート5で覆われるためラップ材3に直接接触しない。このため、肉類等の食品4と表面のラップ材3との間に空間が形成され、食品4の見栄えが向上する。
【0028】
食品4とラップ材3との間に配置される機能シート5には、そのデザイン部7に食品4に関する情報、例えば、産地、生産者、使用される甘味料、保存料、正味の重量、消費期限、賞味期限等の事項が記載される。デザイン部7は不透明になっており、記載された情報を読取りやすい。また、食品4の調理方法、調理例等の情報も情報部分7a,7bに記載される。機能シート5は食品4の産地表示や調理方法等の各種情報を備えていると共に、野菜や模様等の装飾性を高めている。消費者はこれらの情報を基に、包装された食品4を選択して購入する。
【0029】
また、機能シート5にはデザイン部7の他に透明部6が形成されている。消費者は機能シート5の透明部6及び透明なラップ材3を通して肉類等の食品4を透視することができ、肉の色合い、脂身の分量、脂の乗り具合、脂身の分布状態等を考慮して、購入するための判断を行うことができる。さらに、機能シート5は食品4に関する情報や、食品4を装飾する模様等を備えているため、購入者はこれらの情報を見ることで食品に対する購買意欲が向上する。
【0030】
このように構成された食品4が収容された包装容器1は、消費者が調理等で使用するとき、本体容器2の上面にラップされたラップ材3を剥がす。このラップ材3は内部の食品4と直接接触していないため、食肉の場合は肉汁が付着せず、焼肉のたれ等の調味料で味付けされた場合は調味料や香辛料が付着していないため、手を汚すことなく除去することができる。このあと、食品4の上に載せられた機能シート5を外すことで、食品4を取り出し調理することができる。
【0031】
また、食品4と上蓋3との間に機能シート5が配置されているため、食品4をダメージから保護することができる。そして、機能シート5は種々の大きさの包装容器に適用でき、食品4を装飾することで、包装された食品の見栄えが良くなる。包装容器内に各種情報や絵柄、模様等を印刷した機能シートを食品と同時に包装することで、食品に対する広告や販売促進の機能を達成することができる。さらに、本発明の機能シート5は、包装の直前に、最新の情報を小売店で挿入することができるため、消費者は最新の情報を基に購入することができる。
【0032】
図5,6は機能シートの他の実施形態を示している。この機能シート5Aは長方形状の透明素材である透明プラスチックシートの上部に、トマト、パプリカ、ブロッコリー等のカラフルな野菜が印刷された装飾部分7cが形成され、下部にはトマト、レタス、たまねぎ、ニンジン等のカラフルな野菜と、野菜と焼肉を盛り付けた皿とを有する装飾部分7cが印刷されている。また、情報部分7aとして、本実施の形態では、「1、器にサラダを盛り付けます。2、熱したフライパンでお肉を焼き、1に盛り付けます。3、上から添付のドレッシングをかけたら出来上がり。」というような調理方法が印刷されている。他の残部は透明部6となっている。
【0033】
機能シート5Aを食品4の上に載置して図6に示すように包装すると、本体容器2の上に載置された食品は機能シート5Aの透明部6、及び透明なラップ材3を通して食品4の状態を目視することができる。また、食品が薄切り焼肉用のスライス肉であることが情報部分7aから分かり、装飾部分7cで野菜等と盛り合わせると好ましいことを理解でき、情報部分7aで調理方法を知ることができる。このように、機能シート5Aにより、食品4とラップ材3とが接触せずに食品4の見栄えが向上し、消費者にこの食品に対する購買意欲を向上させることができる。
【0034】
本発明の他の実施形態を図7〜9に基づき詳細に説明する。図7は本発明に係る包装容器を構成する本体容器と上蓋の他の実施形態を示す分解した状態の斜視図、図8は図7の本体容器と、この本体容器に収容する機能シートを示す斜視図、図9は食品を収容し包装した包装容器の斜視図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、包装容器の形態が異なることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
図7〜9に示す包装容器11は、プラスチックシートを熱成型し上方が開口する本体容器12と、本体容器12の開口を閉じる透明の上蓋13とから構成される。本体容器12は平板状のプラスチックシートを熱成型して直方体状の食品収容部12aを形成してあり、食品収容部12aに食品14を入れて、上部の平坦な縁部に透明のプラスチックシートで形成した上蓋13を熱溶着して包装する形態となっている。本体容器12を構成するプラスチックシートは透明であっても、不透明であってもよい。
【0036】
本実施形態では、包装容器11に収容され包装される食品14は4本のソーセージを示している。食品14の上に載置され、食品をカバーする機能シート15は透明プラスチックシートで長方形状に形成され、上下に不透明なデザイン部17が印刷され、中間は印刷されていない透明部16となっている。この機能シート15は本体容器12の食品収容部12aの内部に収まる寸法で、食品収容部の縦横の寸法より僅かに小さい縦横寸法に設定されている。機能シート15のデザイン部17には、前記の実施形態と同様に、食品14に関する情報や、食品の調理方法、調理例等が記載されている。
【0037】
機能シート15は本体容器12に収容された食品14の上に置かれたとき、透明部16を通して食品14を透視することができるため、包装された食品14の状態を確認することができる。デザイン部17は下地の白色の上に文字や絵柄、模様等が印刷され、食品が透視できないため文字や模様が鮮明に浮き上がり、記載された情報や調理方法等を容易に読取ることができる。
【0038】
この包装容器11に食品14を包装するときは、本体容器12の食品収容部12aに食品14を入れ、食品の上部に機能シート15を被せて食品を覆い、本体容器12の上部に透明上蓋13を置いて、その縁部同士を熱溶着する。これにより食品14は包装容器11内に密封状態に包装される。包装された食品14に例えばケチャップ等の調味料で味付けがされていても、調味料は機能シート15に接触するが透明上蓋13には接触せず、食品14の見栄えが向上する。また、機能シート15のデザイン部17は不透明であるため、印刷で記載された情報は調味料の影響を受けず容易に確実に読取ることができる。
【0039】
本発明のさらに他の実施形態を図10,11に基づき詳細に説明する。図10は本発明に係る包装容器のさらに他の実施形態と、食品及び機能シートの他の実施形態の斜視図、図11は、図10の本体容器に食品及び機能シートを収容した状態の斜視図であり、包装する前の状態を示している。この実施形態は、前記した実施形態と包装容器及び機能シートの形状が異なることを特徴としている。
【0040】
この実施の形態では、包装容器21は本体容器22と上蓋23とが連結されて一体に形成されているものである。すなわち、本体容器22と上蓋23とは透明なプラスチックシートで一体的に形成されており、本体容器22の外周と上蓋23の外周とが連結部21aで結合されている。そして、上蓋23は連結部21aを支点として折り曲げることができ、本体容器22の上部の開口を閉じ、蓋することができる構成となっている。
【0041】
本体容器22の収容部には、肉片等の食品24が収容でき、食品24の上に機能シート25が載置される。機能シート25は長方形状の透明シート素材で形成され、透明部26と印刷を施したデザイン部27とが形成されている。デザイン部27は上部の三角形状の情報部分と下部の三角形状の装飾部分とを有している。このように、2つのデザイン部の間に透明部26が形成され、この透明部を通して収容された食品24の状態を目視することができる構成となっている。
【0042】
この包装容器21では、食品24を本体容器22の収容部に載置したあと、食品24の上に機能シート25を載置し、包装容器21の連結部21aを折り曲げて本体容器22の上部の開口を上蓋23で覆うことで食品24を包装することができる。このあと、必要に応じて本体容器22の縁と上蓋23の縁を重ねてホッチキス等で上蓋23を本体容器22に固定する。また、ホッチキスの代わりにセロテープ等で固定することもできる。さらに、上蓋を本体容器に圧入して固定することや、パッチン止めで固定するように構成してもよい。
【0043】
このように包装された食品24は、透明上蓋23と機能シート25の透明部26を通して食品24を目視することができ、機能シート25のデザイン部27に印刷された情報を透明上蓋23を通して読取ることができる。また、機能シート25が食品24と上蓋23との間に配置され、食品24と上蓋23が直接触れないため、包装された食品24の見栄えが向上する。さらに、食品24を包装容器21から取り出すとき、食品24と上蓋23とが接触していないため、手を汚さずに食品を取り出すことができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、機能シートの外形は長方形の例を示したが、この形状に限られるものでなく、上下辺が波型の四角形状等、適宜の形状を用いることができる。機能シートのデザイン部や透明部の形状も、前記の実施の形態に限られるものでなく、適宜の形状とすることができる。
【0045】
また、機能シートの印刷部に記載する事項、情報としては、他のいかなる情報でもよいことは勿論である。さらに、食品の例として、スライス肉や、味付けしたスライス等の肉製品の例を示したが、魚の切り身や、味付けした切り身、ハムやベーコン等、適宜の食品を覆って、包装することもできる。また、とろみを付けた煮物等を包装する場合にも、この機能シートや包装容器は最適である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例として、この食品容器を用いて食肉以外の食料品の包装ができ、機能シートを食品と透明上蓋との間に配置することによって惣菜等の食品を包装する用途にも適用できる。また、包装容器の上部が透明であれば、本発明の機能シートは食品に限らず、各種の商品に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1,11,21:包装容器、2,12,22:本体容器、2a,12a:収容部、3:ラップ材(透明上蓋)、4,14,24:食品、5,5A,15,25:機能シート、6,16,26:透明部、7,17,27:デザイン部(不透明部)、7a,7b:情報部分、7c:装飾部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器内の食品上に載置される食品用の機能シートであって、
該機能シートは、透明部と印刷を施したデザイン部とを有する透明シート素材で構成されていることを特徴とする食品の用の機能シート。
【請求項2】
包装容器内の食品上に載置されると共に、該包装容器の透明な上蓋の下部に配置される食品用の機能シートであって、
該機能シートは、透明部と印刷を施したデザイン部とを有する透明シート素材で構成されていることを特徴とする食品用の機能シート。
【請求項3】
前記デザイン部は、前記食品の産地表示や調理方法表示等の各種情報を伝える情報部分及び/又は野菜や模様等を表示する装飾部分を備え、前記透明部は、前記食品を目視できる構成となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用の機能シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品用の機能シートと、上方が開口し前記食品を載置する本体容器と、該本体容器の前記上方の開口を蓋する透明上蓋と、を備えた包装容器であって、
前記機能シートは、前記上蓋と前記食品との間の該食品上に載置されて該食品を被覆すると共に、前記デザイン部で前記食品の産地表示や調理方法等の各種情報及び/又は野菜や模様等の装飾性を具現し、前記透明部を通して前記食品を目視できることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
前記透明上蓋は、前記機能シートを覆うように前記本体容器の前記上方の開口を被覆して該本体容器の外周で折り返されて密着される透明ラップ材であることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記本体容器は、中央部に対して外周部が立ち上げられた容器状であり、前記透明上蓋は前記本体容器の外周部に溶着されることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。
【請求項7】
前記本体容器は、中央部に対して外周部が立ち上げられた容器状であり、前記透明上蓋は前記本体容器の外周部に連結されることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−148534(P2011−148534A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12396(P2010−12396)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セロテープ
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】