説明

食品移載装置

【課題】
本発明は、シャッタ式移載装置とコンベヤ下流端往復式移載装置を入れ替えることなく、様々な形状の食品を天板などの受取面に整列しながら搬送することが可能な食品移載装置を提供するものである。
【解決手段】
複数の食品を縦列状に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの下流端から供給される個々の前記食品を一時的に保持し、その後、前記食品を下方に排出するシャッタ装置と、前記シャッタ装置から排出される前記食品を受取り所要の間隔に整列しながら搬送する搬送装置を備えた食品移載装置において、前記搬送コンベヤの下流端部がほぼ水平の位置と下流側に向かって傾斜する位置との間を上下に揺動可能に備えるとともに、前記シャッタ装置のシャッタ部を使用位置と退避位置との間を移動可能に支持する支持部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子やパン生地などの食品を移載する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子やパン生地などの食品3を天板9上に移載する装置として、例えば、図9に示すように、ほぼ横一列に並んだ複数の食品3を縦列状に搬送する搬送コンベヤ6と、前記搬送コンベヤ6から供給される複数の前記食品3を一時的に保持し、その後、複数の前記食品3を一斉に下方に排出するシャッタ装置8と、前記天板9を搬送する天板搬送装置12を備えた菓子、パン生地類の移載装置2(自動収納装置)があった(特許文献1を参照)。ここでは、このような移載装置をシャッタ式移載装置と称する。
【0003】
また、図10に示すように、縦列状に搬送コンベヤ6上を搬送されてくる食品3を、前記搬送コンベヤ6の下流端部(食品素材排出端部)を後退させて、下流の受取面としての天板9に整列して移載する食品等の移載装置2があった(特許文献2を参照)。ここでは、このような移載装置をコンベヤ下流端往復式移載装置と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−97379号公報
【特許文献2】特開平9−322718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された移載装置は、ロールパンやクロワッサンなど、生地片を巻き上げて成形した略円柱状の食品を供給コンベヤから天板に移載する際に適した構成である。また、特許文献2に記載された移載装置は、前記コンベヤの下流端部(食品素材排出端部)における搬送面(コンベヤベルトの上面)が傾斜しているため、搬送される食品が転がり難い形状の食品、つまり、食品の底部が平面的な略半球状の饅頭や、短冊状のパン生地などを天板などの受取面に移載する際に適した構成である。
【0006】
このように、1つの成形ラインにおいて、様々な形状の食品を天板などの受取面に移載する際には、特許文献1及び特許文献2に記載された2つの移載装置(シャッタ式移載装置とコンベヤ下流端往復式移載装置)を備える必要があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、装置の省スペース化、構成の簡略化が可能であり、また、誤動作のない安心して使用できる食品移載装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、第一の発明は、複数の食品を縦列状に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの下流端から供給される個々の前記食品を一時的に保持し、その後、前記食品を下方に排出するシャッタ装置と、前記シャッタ装置から排出される前記食品を受取り所要の間隔に整列しながら搬送する搬送装置を備えた食品移載装置において、前記搬送コンベヤの下流端部がほぼ水平の位置と下流側に向かって傾斜する位置との間を上下に揺動可能に備えるとともに、前記シャッタ装置のシャッタ部を使用位置と退避位置との間を移動可能に支持する支持部を備えたことを特徴とする食品移載装置である。
【0009】
また、第二の発明は、上記食品移載装置において、前記支持部は前記シャッタ部を揺動可能に支持する支持軸と、前記支持軸と一体に揺動しその外周に少なくとも1つの凹部が形成されたカム部材と、前記カム部材が揺動することにより前記カム部材の外周部と前記凹部との間でスイッチが切り換え可能なリミットスイッチを備えたことを特徴とする食品移載装置である。
【0010】
また、第三の発明は、上記食品移載装置において、前記カム部材の凹部を90度ずつ位相をずらして3箇所に備え、さらに、前記リミットスイッチを2個備え、各リミットスイッチのON又はOFFの状態を示す信号の組み合わせにより前記シャッタ部の揺動位置を検出するとともに、前記シャッタ部がその揺動範囲の端部に位置しない場合には前記食品移載装置を停止するよう制御する制御装置を備えたことを特徴とする食品移載装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シャッタ式移載装置とコンベヤ下流端往復式移載装置を入れ替えることなく、様々な形状の食品を天板などの受取面に整列しながら搬送することが可能となる。
【0012】
また、シャッタ装置のシャッタ部を移動可能に支持する支持部に前記シャッタ部の固定位置(シャッタ装置の使用位置及び退避位置)を検出する位置検出装置を備えているので、シャッタ式移載モードとコンベヤ下流端往復式移載モードを選択して使用することができる。
【0013】
また、前記シャッタ部が前記固定位置に配置されていない場合に移載装置が作動しない安全装置が備えられているので移載装置が誤動作することなく、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1の概要を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1の概要を示す平面図である。
【図3】図1の反対側(紙面裏側)から見た移載装置1の概要を示す正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1に備えられた往復動駆動装置31の概略を示す説明図であり、(a)図は平面図、(b)図は正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1の概要を示す正面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1の概要を示す平面図である。
【図7】図5の反対側(紙面裏側)から見た移載装置1の概要を示す正面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1に備えられたシャッタ装置7の支持部81の概要を示す平面図である。
【図9】従来の移載装置2の概要を示す正面図である。
【図10】従来の移載装置2の概要を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る移載装置1について図面に基づき説明する。移載装置1には、ほぼ横一列(幅方向に一列)に並んだ複数の食品3を縦列状に搬送する搬送コンベヤ5と、前記搬送コンベヤ5から供給される複数の前記食品3を一時的に保持し、その後、複数の前記食品3を一斉に下方に排出するシャッタ装置7と、天板9を搬送する天板搬送装置11が備えられている。
【0016】
搬送コンベヤ5は、基台13に取り付けられた図示されない駆動モータに連動連結された駆動ローラ、後端ローラ、先端ローラ21、テンションローラ23、リターンローラ25に巻き掛けられた無端状のコンベヤベルト27を備えている。また、搬送コンベヤ5には、その先端部分に前記先端ローラ21を回転自在に保持する先端プレート29が備えられている。さらに、前記先端プレート29の後端側(図1において紙面右側)には、支点シャフト35を介して往復動プレート33の下流側(図1において紙面左側)が連結されている。また、前記往復動プレート33の上流側には前記テンションローラ23が回転自在に取り付けられている。そして、前記先端プレート29及び前記往復動プレート33が往復動駆動装置31により搬送方向Dに沿って往復動可能に備えられている。
【0017】
往復動駆動装置31は、前記往復動プレート33の幅方向の一端部(図2における紙面上側、搬送方向Dに向かって右側)に連結されている。前記往復動駆動装置31には、駆動用歯付プーリ41及び従動用歯付プーリ47に巻き掛けられた無端状の歯付ベルト49が備えられている。前記駆動用歯付プーリ41は、前記基台13に取り付けられたサーボモータのごとき往復動用駆動モータ37の回転出力軸39に軸止されている。また、前記従動用歯付プーリ47は、前記基台13に水平に取り付けられた支軸45に回転自在に軸支されている。そして、前記歯付ベルト49は、前記コンベヤベルト27の搬送方向Dと同方向に回動するよう張架されている。また、前記往復動プレート33の幅方向の一端部は、前記基台13に取り付けられたガイドレール51に摺動するスライダ52に支持されるとともに前記歯付ベルト49の上側張架部分49Aに連結されている。
【0018】
そして、前記往復動プレート33の幅方向の他端部(図2における紙面下側、搬送方向Dに向かって左側)には、一対のキャスタ57が備えられている。前記キャスタ57は、前記基台13に取り付けられたレール56上を転動するとともに、前記往復動プレート33を支持するものである。
【0019】
前記往復動駆動装置31には、前記往復動プレート33の幅方向の一端部に感知体53が備えられるとともに、前記基台13に近接スイッチ54が備えられている。そして、前記感知体53が前記近接スイッチ54に感知される位置を往復動プレート33の移動する際の基準位置として往復動位置を制御装置によって制御するものである。また、前記近接スイッチ54を挟んで、上流側には上流側リミットスイッチ55Aが備えられ、下流側には下流側リミットスイッチ55Bが備えられている。それは、前記往復動プレート33の往復動範囲を規制するために備えられており、前記感知体53が前記リミットスイッチ55A、55Bを作動させた場合には、前記往復動プレート33の往復動作が停止されるよう制御されている。
【0020】
また、前記先端プレート29の両端側の略中央部分には、アーム部材59が水平方向に取り付けられている。前記アーム部材59の先端部分には、キャスタ61が前記搬送方向Dに沿って転動自在にそれぞれ備えられている。そして、前記キャスタ61は、前記天板搬送装置11に備えられた一対のレール部材63のレール63Aに支持されている。また、前記先端プレート29の先端部分には、前記搬送コンベヤ5で搬送される前記食品3を感知するための光電スイッチ62が前記先端プレート29の両端に備えられている。
【0021】
したがって、前記駆動用歯付プーリ41を前記往復動用駆動モータ37により左右に回転させて前記歯付ベルト49の上側張架部分49Aを左右に往復動させることにより、前記テンションローラ23、前記往復動プレート33及び前記先端プレート29が一体的に往復動し、前記コンベヤベルト27の下流端部が搬送方向Dに沿って往復動するものである。このとき、前記基台13に固定されたリターンローラ25と搬送方向Dに沿って往復動する前記テンションローラ23の接近離反動作により前記コンベヤベルト27の張りをほぼ均一に保つことができる。また、前記キャスタ57は前記レール56の上面を転動しながら往復動し、また、前記キャスタ61は前記レール63Aの上面を転動しながら往復動するものである。
【0022】
前記天板搬送装置11は、前記食品3の受取面としての天板9を前記搬送方向Dに移動させる搬送装置である。前記天板搬送装置11は、前記搬送コンベヤ5に対し上下に重なるように前記搬送コンベヤ5の下方に備えられている。前記天板搬送装置11は、上流側より、前記天板9を連続的に搬送する連続搬送部65と、前記天板9を所定の距離ずつ間欠的に移動させる間欠搬送部67と、前記天板9を下流側に搬出する搬出部69を順次備えている。
【0023】
前記連続搬送部65は、インダクションモータのごとき駆動モータ65Aに連動連結され連続的に回動するコンベヤベルト65Bを備えている。また、前記間欠搬送部67は、サーボモータのごとき駆動モータ67Aに連動連結され間欠的に回動するコンベヤベルト67Bを備えている。さらに、前記間欠搬送部67において前記基台11Aの左右(図2の紙面において上下)の上面には、前記間欠搬送部67のコンベヤベルト67Bに搬送される前記天板9を両端部より挟持しながら搬送する天板挟持搬送装置70が備えられている。前記天板挟持搬送装置70は、無端状の歯付ベルトで形成されるガイドベルト71をそれぞれ左右に備えている。前記ガイドベルト71は、その幅方向を上下(図1の紙面において上下)方向に指向するよう備えられており、サーボモータのごとき駆動モータ71Aに連動連結され間欠的に回動する駆動用歯付プーリ71Bと、回動自在な従動用歯付プーリ71Cと、垂直な軸回りに回動自在な複数のローラ71Dに掛け回されている。
【0024】
複数の前記ローラ71Dは、前記ガイドベルト71の内側において前記コンベヤベルト67Bに対向する側に備えられている。さらに、一方のガイドベルト71の前記ローラ71Dは水平方向に移動可能に備えられており、図示されないねじりばねなどの付勢手段により前記コンベヤベルト67Bの方向(図2の紙面において上方向)に付勢されている。そして、一対の前記ガイドベルト71は、前記コンベヤベルト67Bの側で対向する対向面により前記天板9の幅方向の側面を挟持しながら前記コンベヤベルト67Bとともに前記天板9を間欠的に搬送する。また、前記搬出部69は、インダクションモータのごとき駆動モータ69Aに連動連結され連続的に回動するコンベヤベルト69Bを備えている。
【0025】
また、前記間欠搬送部67の前記基台11Aの両側面には前記レール部材63を昇降動作させる昇降駆動部73が備えられている。前記昇降駆動部73には、前記基台11Aの幅方向の一側面(図2の紙面における上側、図3を参照)に取り付けられたサーボモータのごとき駆動モータ73A、前記駆動モータ73Aの回転出力軸に軸止された駆動歯車73B、前記駆動歯車73Bに噛合され、図示されない軸受部材に支持された回転軸73Dに一体的に結合された従動歯車としてのピニオン73Cが備えられている。また、前記基台11Aの幅方向の他側面(図2の紙面における下側、図1を参照)には、前記回転軸73Dに一体的に結合された別のピニオン73Cが備えられている.そして、前記レール部材63の基端部63Bには、前記ピニオン73Cと噛合されるラック部材63Cが備えられている。また、前記基台11Aには、上下方向を長手方向とするガイドレ−ル74Aが取り付けられ、前記ガイドレール74Aにスライダ74Bが摺動する。そして、前記スライダ74Bに前記基端部63Bが取り付けられている。したがって、前記駆動モータ73Aにより駆動歯車73Bを左右に回動させることにより、左右のピニオン73Cを介して左右のレール部材63が同調して昇降するものである。
【0026】
前記シャッタ装置7には、上下2段の上シャッタ75及び下シャッタ77を備えたシャッタ部79と、前記シャッタ部79を水平方向に揺動自在に支持する支持部81が備えられている。前記シャッタ部79のフレーム部材79Aの揺動端(図2の紙面における下側)にはプランジャ79Bが取り付けられ、前記天板挟持搬送装置70の上面には係合部材79Cが取り付けられている。前記プランジャ79Bを係合部材79Cの係合孔に係合させることにより前記シャッタ部79を前記天板挟持搬送装置70に固定させる。前記シャッタ部79には、二組の上回動軸76R、76L及び下回動軸78R、78Lが対向して同調して互いに反対方向に回動するよう備えられており、前記上回動軸76R、76L及び前記下回動軸78R、78Lには上シャッタ部材75R、75L及び下シャッタ部材77R、77Lがそれぞれ取り付けられている。また、前記上回動軸76R、76L及び前記下回動軸78R、78Lは、フレーム部材79Aの内部に備えられた、流体アクチュエータ及びリンク機構などの図示されない駆動装置により回動自在に備えられている。
【0027】
したがって、前記上シャッタ部材75Rの下端部及び前記上シャッタ部材75Lの下端部を互いに接近させ、前記上シャッタ75を閉じる状態にして前記搬送コンベヤ5から供給される食品3を一時的に保持する。その後、前記下端部を互いに離反させ、上シャッタ75を開いた状態にして一時的に保持した前記食品3を下方の下シャッタ77に落下排出させる。前記下シャッタ部材77R及び下シャッタ部材77Lも前記上シャッタ部材75R及び前記上シャッタ部材75Lと同様に動作させることにより、前記下シャッタ77を閉じる状態にして前記上シャッタ75から落下排出された前記食品3を一時的に保持し、その後、前記下シャッタ77を開いた状態にして前記食品3を下方の天板9に落下排出させて移載する。なお、前記上シャッタ75及び前記下シャッタ77は、開いて前記食品3を排出した直後に閉じている。
【0028】
前記シャッタ装置7の支持部81は、前記天板挟持搬送装置70の側面にベース部材81Bを基台として取り付けられている。前記シャッタ装置7の支持部81には、前記シャッタ部79を支持する支軸81Aと、前記支軸81Aを回動自在に軸支し、前記ベース部材81Bに立設された上下の軸受部材82と、前記支軸81Aの下端に前記支軸81Aと一体に回動するカム部材85と、前記カム部材85の回動により動作するリミットスイッチ83、84が備えられている。前記カム部材85の外周部には、円形の外周に3箇所の凹部85A、85B、85Cが90度ずつ位相をずらして備えられている。前記リミットスイッチ83及び前記リッミトスイッチ84は前記支軸81Aを挟んで対向するよう配設されている。図2及び図8(a)に示された状態、つまり、前記シャッタ装置7を用いて前記食品3を天板9に載置する場合に、前記シャッタ部79が天板搬送装置11の搬送部上方に配置されている。この位置を前記シャッタ装置7の使用位置と称する。この状態では、前記リミットスイッチ83の可動ローラ部83Aが前記カム部材85の凹部85Aに入り込み、前記リミットスイッチ83がON(電気回路が閉じる)の状態となっている。また、前記リミットスイッチ84の可動ローラ部84Aが前記カム部材85の凹部85Cに入り込み、前記リミットスイッチ84がONの状態となっている。つまり、両方のリミットスイッチがONの状態であるという信号が図示されない制御装置に送信されている。
【0029】
また、図6及び図8(b)に示された状態、つまり、前記シャッタ装置7を用いずに前記搬送コンベヤ5から前記食品3を天板9に載置する場合に、前記シャッタ部79が使用位置である天板搬送装置11の搬送部上方から90度揺動して退避され、前記シャッタ部79が前記天板搬送装置11の側部上方に配置される。この位置を前記シャッタ装置7の退避位置と称する。このとき、前記プランジャ79Bを前記天板搬送装置11に固定されたフレーム(図1の紙面の左側に二点鎖線で示した)に取り付けられた別の係合部材79Cに係合されて前記シャッタ部79が前記天板搬送装置11に固定される。この状態では、前記リミットスイッチ83の可動ローラ部83Aが前記カム部材85の外周部(凹部でない部位)に当接して前記リミットスイッチ83の本体内部に後退し、前記リミットスイッチ83がOFF(電気回路が開く)の状態となっている。また、前記リミットスイッチ84の可動ローラ部84Aが前記カム部材85の凹部85Bに入り込み、前記リミットスイッチ84がONの状態となっている。つまり、一方のリミットスイッチがONの状態であり、他方のリミットスイッチがOFFの状態であるという信号が前記制御装置に送信されている。
【0030】
また、前記シャッタ部79が前記天板搬送装置11の搬送部上方と前記天板搬送装置11の側部上方との間を揺動する際には、前記リミットスイッチ83の可動ローラ部83A及び前記リミットスイッチ84の可動ローラ部84Aが前記カム部材85の外周部に当接して前記リミットスイッチ83及び前記リミットスイッチ84の本体内部にそれぞれ後退し、前記リミットスイッチ83及び前記リミットスイッチ84がOFFの状態となっている。つまり、両方のリミットスイッチがOFFの状態であるという信号が前記制御装置に送信されている。
【0031】
したがって、前記シャッタ装置7は、前記リミットスイッチ84、85及び前記カム部材85を備えて前記シャッタ部79を前記使用位置と前記退避位置との間で水平方向に揺動させることにより前記シャッタ部79の固定位置を感知できるとともに、前記シャッタ部79が前記固定位置に配置されていない場合には、前記リミットスイッチ84、85の両方のリミットスイッチからのOFFの状態を示す信号により前記移載装置1の各装置が稼動しないよう安全性が確保されている。つまり、前記シャッタ装置7には、前記シャッタ部79の固定位置を検出する位置検出装置と、前記シャッタ部79が適正な位置に配置されていない場合に装置が作動しない安全装置が備えられている。
【0032】
まず、図1乃至図3及び図8(a)に示す前記シャッタ装置7を用いて前記食品3を天板9に載置する場合(シャッタ式移載モードと称す)について説明する。前記シャッタ装置7のシャッタ部79が前記使用位置である前記天板搬送装置11の間欠搬送部67の上方に配置されている。このとき、前記上シャッタ75及び下シャッタ77の長手方向が前記天板搬送装置11の搬送方向Dに直交する方向に水平に、言い換えれば、前記天板搬送装置11の幅方向に沿って配置されている。したがって、前記リミットスイッチ83、84の両方がONの状態であるという信号が前記制御装置に送信されている。
【0033】
前記搬送コンベヤ5の前記先端プレート29は、前記レール部材63の上昇により略水平に保持される。また、前記搬送コンベヤ5の下流端が前記上シャッタ75の上方に配置される。このとき、前記往復動プレート33がその往復動範囲の最下流側より所要の距離だけ上流側に移動されて停止されている。つまり、前記往復動駆動装置31は、前記コンベヤベルト27の下流端の停止位置を調節することもできるものである。また、前記天板9は前記天板搬送装置11に搬送され、前記下シャッタ77の下方で所定の位置に停止される。
【0034】
この初期状態から前記食品3が幅方向に3列で搬送方向Dに沿って縦列状に間隔を開けて順次搬送されてくる。前記食品3が前記コンベヤベルト27の下流端付近を通過すると、前記光電スイッチ62が前記食品3を感知する。前記食品3は前記ベルトコンベヤ27の下流端より落下排出され、前記コンベヤベルト27の下流端より落下排出され閉じた前記上シャッタ75に一次的に保持される。なお、前記光電スイッチ62をシャッタ部79に備え、そして、前記光電スイッチ62の感知信号に基づき前記制御装置に設定された所要時間後に前記上シャッタ75が開き、前記食品3は落下排出され閉じた状態で待機する前記下シャッタ77に一次的に保持される。さらに、前記上シャッタ75が開いた所要時間後に前記下シャッタ77が開き、前記食品3は落下排出され前記天板9の所定位置に載置される。前記上シャッタ75及び前記下シャッタ77は、前記食品を排出した後には再びシャッタを閉じた状態に戻される。前記上シャッタ75及び下シャッタ77は、上述した開閉動作を繰り返すことにより前記食品3が前記天板9に順次落下排出される。
【0035】
前記食品3が載置された天板9は、前記天板搬送装置11の前記間欠搬送部67及び前記天板挟持搬送装置71により所要の距離P1(この距離を1ピッチという)だけ搬送され、再び停止される。その後、前記下シャッタ77から次の食品3が落下排出され、直前に移載された前記食品3の隣に1ピッチ分離れて移載される。この間欠的な搬送動作を繰り返すことにより、前記天板9に幅方向に3列で搬送方向に5行の前記食品3が配列される。
【0036】
このように、前記搬送コンベヤ5の下流端(食品排出端)と食品3の受取面としての天板9の高低差(落差と同意)が大きい場合には、シャッタを上下に二段あるいはそれ以上備えることにより、前記食品3の一段当たりの落下距離を短くできる。言い換えれば、前記食品3の一段当たりの落下時間を短縮できる。したがって、前記搬送コンベヤ5から排出される前記食品3の時間的な供給間隔を短くできるので、単位時間当たりの食品3の供給量を増大させることが可能となる。なお、前記シャッタ部79のシャッタは、前記高低差が比較的に小さい場合や、生産量の条件などにより1段であってもよい。
【0037】
つぎに、図5乃至図7及び図8(b)に示す前記シャッタ装置7を用いずに前記搬送コンベヤ5の下流端を上流側に移動させて前記食品3を天板9に載置する場合(コンベヤ下流端往復式移載モードと称す)ついて説明する。前記シャッタ装置7のシャッタ部79が退避位置である前記天板搬送装置11の側部上方に配置されている。このとき、前記リミットスイッチ83がOFFの状態であり、前記リミットスイッチ84がONの状態であるという信号が前記制御装置に送信されている。前記制御装置は、この信号を受信している場合のみ、前記レール部材63の昇降動作を行えるよう前記昇降駆動部73を制御している。
【0038】
前記搬送コンベヤ5の前記先端プレート29は、前記レール部材63の下降により前記先端プレート29の下流端部を搬送方向Dに向かって下がるように傾斜させて保持されている。また、前記搬送コンベヤ5の下流端は、前記往復動プレート33がその往復動範囲の最下流側に移動されて停止されている。この初期状態から前記食品3が幅方向に7列で搬送方向Dに沿って縦列状に間隔を開けて順次搬送されてくる。前記食品3が前記コンベヤベルト27の下流端付近を通過すると、前記光電スイッチ62が前記食品3を感知する。
【0039】
そして、前記光電スイッチ62の感知信号に基づき前記制御装置に設定された所要時間後に前記天板9の搬送が開始される。前記天板9は、前記間欠搬送部67及び前記天板挟持搬送装置71により前記搬送コンベヤ5の搬送速度とほぼ同一の速度で搬送される。また、前記天板9は、前記天板9に載置される前記食品3の間隔P2(1ピッチという)の半分の距離だけ搬送され、再び停止される。このとき、前記先端プレート29が前記往復動装置31により前記間隔P2の半分の距離だけ上流側に向かって移動されて再び停止され、前記食品3は、前記天板9に移載される。その後、再び前記天板9の搬送と前記先端プレート29の上流側への移動を行うことにより次の食品3が前記コンベヤベルト27の先端部より排出され、直前に移載された前記食品3の隣に1ピッチ離れて移載される。この間欠的な動作を繰り返すことにより、前記天板9に幅方向に7列で搬送方向に3行の前記食品3が配列される。そして、前記先端プレート29は下流側に移動され初期状態に戻る。
【0040】
前記天板9の搬送と前記先端プレート29の上流側への移動を併用して行うことにより、前記先端プレート29の往復動範囲を図10に示された従来の移載装置2の半分に短縮することができ、装置の省スペース化や簡略化が可能となった。
【0041】
前記移載装置1は前述の通り、シャッタ式移載モードとコンベヤ下流端往復式移載モードを選択して使用することができる。各モードの切り換えを行う際には、前記制御装置に備えられた選択スイッチなどの設定により選択できるが、前記安全装置が備えられることにより前記移載装置1の誤動作することなく、安全に使用することができる。また、前記位置検出装置を備えることにより、シャッタ式移載モードからコンベヤ下流端往復式移載モードに切り換える際に、前記シャッタ部79が前記天板搬送装置11の搬送部上方の位置から前記天板搬送装置11の側部上方へ退避したことが前記制御装置により検出されない場合には、前記搬送コンベヤ5の先端プレート29が降下しないよう制御することができ、前記シャッタ部79と前記搬送コンベヤ5の下流端部が衝突するようなことがなく、前記移載装置1を安全に使用することができる。
【0042】
本発明の実施の形態に係る移載装置1の説明は概ね上述した通りであるが、これに限らず特許請求の範囲内において変更が可能である。上記実施例においては、前記リミットスイッチ83及び前記リッミトスイッチ84は前記支軸81Aを挟んで対向して配設される、つまり、180度位相をずらして設けるよう説明したが、90度位相をずらして配設されてもよい。このとき、前記リミットスイッチ83及び前記リミットスイッチ84のそれぞれのON又はOFFの状態を示す信号の組み合わせにより前記シャッタ部の揺動位置を検出することも可能である。
【0043】
また、前記シャッタ装置7のシャッタ部79を使用位置から退避位置に移動する機構として前記支持部91の支軸81Aを回動中心として揺動するものと説明したが、前記シャッタ部79を搬送方向Dに沿って移動可能なリニアレール部材などの支持部に取り付け、前記シャッタ部79を使用位置から下流側に移動させる機構であってもよい。このようにシャッタ部79を使用位置と退避位置との間を往復動させても、シャッタ装置7を移載装置1から着脱させる必要がなく、シャッタ式移載モードとコンベヤ下流端往復式移載モードを切り換えて使用することができる。
【0044】
また、上記実施例においては、前記シャッタ部79の位置検出装置及び安全装置として、前記支持部81の支軸81Aと一体に揺動するカム部材85と、それに係合するリミットスイッチ83,84を用いるよう説明したが、前記シャッタ部79が退避位置に移動された際に、前記シャッタ部79のフレーム部材79Aにより直接押圧されるように一方のリミットスイッチを前記天板搬送装置11などの基台11Aに取り付けてもよい。このような場合であっても、2個のリミットスイッチのON又はOFFの状態を示す信号の組み合わせにより前記シャッタ部79の揺動位置を検出するとともに、前記シャッタ部79がその揺動範囲の端部に位置しない場合には前記食品移載装置を停止するよう制御することが可能である。
【0045】
また、シャッタ装置のシャッタ部の移動を往復動とする場合であっても、シャッタ部の使用位置と退避位置を検出するリミットスイッチを備えることにより、前記シャッタ部79の移動位置を検出するとともに、前記シャッタ部79がその移動範囲の端部、つまり、使用位置あるいは退避位置にない場合に前記食品移載装置を停止するよう制御することが可能である。
【0046】
なお、前記移載装置1が稼動している際に、前記シャッタ部79が固定位置から移動されて前記移載装置1が稼動を停止されぬよう、前記支持部に前記シャッタ部79を固定する固定機構を備えてもよい。前記固定機構は、例えば、前記シャッタ部79が移動されるのに伴い前記支持部81の支軸81Aが回動され前記リミットスイッチ84,85からのONまたはOFFの信号が変化したときに前記支持部81の支軸81Aを回動できぬよう保持するチャック機構でよく、前記移載装置1が稼動している時のみに作動するよう前記制御装置により制御されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 移載装置
3 食品
5 搬送コンベヤ
7 シャッタ装置
11 天板搬送装置
73 昇降駆動部
79 シャッタ部
81 支持部
83,84 リミットスイッチ
85 カム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食品を縦列状に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤの下流端から供給される個々の前記食品を一時的に保持し、その後、前記食品を下方に排出するシャッタ装置と、前記シャッタ装置から排出される前記食品を受取り所要の間隔に整列しながら搬送する搬送装置を備えた食品移載装置において、前記搬送コンベヤの下流端部がほぼ水平の位置と下流側に向かって傾斜する位置との間を上下に揺動可能に備えるとともに、前記シャッタ装置のシャッタ部を使用位置と退避位置との間を移動可能に支持する支持部を備えたことを特徴とする食品移載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の食品移載装置において、前記支持部は前記シャッタ部を揺動可能に支持する支持軸と、前記支持軸と一体に揺動しその外周に少なくとも1つの凹部が形成されたカム部材と、前記カム部材が揺動することにより前記カム部材の外周部と前記凹部との間でスイッチが切り換え可能なリミットスイッチを備えたことを特徴とする食品移載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の食品移載装置において、前記カム部材の凹部を90度ずつ位相をずらして3箇所に備え、さらに、前記リミットスイッチを2個備え、各リミットスイッチのON又はOFFの状態を示す信号の組み合わせにより前記シャッタ部の揺動位置を検出するとともに、前記シャッタ部がその揺動範囲の端部に位置しない場合には前記食品移載装置を停止するよう制御する制御装置を備えたことを特徴とする食品移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−125271(P2011−125271A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287010(P2009−287010)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】