説明

食器類の水切り棚構造

【課題】水切り棚であって両側の脚フレーム以外を全金属線とした多段構造で、容易かつ安定に組み立て、分解できる安価かつ軽量で取り扱いやすく使用しやすいものとする。
【解決手段】棒材、パイプ材で両足1、2を形成した脚フレーム3における両足1、2間の、片面上下の複数段に、棚連結ブリッジ4を渡して接合した一対の支持脚5、下側の網体6と上側の枠体7とのフレーム線8、9が、少なくとも各支持脚5の対応する側の両足1、2への両側の連結域8a、9aにて上下に重なり、連結域8a、9aのフレーム線8、9方向2か所に上下に渡して接合される渡し部11aを有して網体6下へ枠状に張り出し、前記対応する側の両足1、2間の棚連結ブリッジ4に上方から引っ掛けて相互を連結する連結枠部11を設けた複数の水切り棚12、13、・・を備え、水切り棚12、13は連結域8a、9a間寸法を異ならせて、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、厨房の水まわりに載置して食器類を受載して水切りするのに適した食器類の水切り棚構造に関し、詳しくは金属線を用いた水切り棚を備えた食器類の水切り棚構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属線を用いた水切り棚は、金属線を用いた水切り籠と共に広く用いられている。下記特許文献1は水切り籠の底部の長手方向中央部に水切り籠がシーソー運動する支点を設けて置き、水切り籠がシーソー運動する長手方向の底部両側端部から排水する技術を開示しているが、対象食器類を収納する深い形態であることが影響してか1段での使用になっている。
【0003】
一方、下記特許文献2〜4は、水切り棚であるが1段で使用する技術を開示している。特許文献2が開示する技術は、底部に首振りの排水樋を連結した水受皿に扁平な水切り棚を受け入れて流し台に載置し、食器類を載置して水切りし、落ちた水を水受皿で受けて、向きを調整した排水樋を通じシンク内に排水するトレーとしての水切り材受け具を提案している。特許文献3が開示する技術は、2つの水切り棚を用いながら、一方を他方に対して出し入れできるように組み合わせ1段で使用するようにしている。特許文献4が開示する技術は、シンク内に水切り棚を1段に載置して使用するようにしている。
【0004】
さらに、下記特許文献5〜8は、水切り棚を多段に使用して水切りを行う技術を開示している。特許文献5〜7に記載の技術はいずれも、水切り棒を配列して水切り棚を構成しており、特許文献5に記載の水切り棚は、流し台上に吊り設置する収納棚を多段に構成している。特許文献6に記載の水切り棚は、両側にスライダーを立説した下段と、それらスライダーに嵌り合うガイドを両側に垂下した上段と、をスライダーおよびガイドの嵌め合わせによって高さ調節できるように組み合わせ構成している。特許文献7に記載の水切り棚は、両側板の中央のほぼ全長に長穴を形成し、この長穴の適所に上下の水切り棚の両側に設けた支持軸を通して螺子止めするように構成している。
【0005】
特許文献8は、金属線を用いた水切り棚で、上下2段に一体に形成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−233072号公報
【特許文献2】特開2004−267285号公報
【特許文献3】特開2005−312844号公報
【特許文献4】特開2008−206602号公報
【特許文献5】特開2001−104069号公報
【特許文献6】特開2001−104081号公報
【特許文献7】特開2003−102564号公報
【特許文献8】特開2006−158414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示の籠タイプ、特許文献2〜3に開示の棚タイプの別を問わず、1段方式では、狭い流し台の上やシンク内を利用するのに、食器類の取り扱い数が大きく制限される問題がある。これを、水切り棚を多段に設けて対応するのに、特許文献5に記載のように収納棚に構成するのでは、厨房設置物となって大型かつ高価なものとなってしまい、直置きしたり収納したりして手軽に利用できない。なお、特許文献3に記載のものは、1段であるが2つの水切り棚が一方に対し他方を引き出せることで、取り扱い食器類の多少に対応できるが、流し台上やシンクでの利用可能なスペースの制限を受けることに変わりはない。特許文献6、7に記載の水切り棚は、直置き式の2段構成にしてはいるが、特許文献6に記載のものは、上段の水切り棚は箱枠型で構成が複雑で大型であり、上段の水切り棚と下段の水切り棚とのスライダーとガイドとによる連結構造は、ストッパ機構を併せなお複雑かつ大型で、取り扱いが容易でなく狭い流し台上での簡易使用には向かない。特許文献7に記載の水切り棚は、特許文献6に記載のものに比し大幅に簡易化しているが、両側板と2つの水切り棚との組み立てが位置合わせやねじ止めを含め複雑で手間がかかるので、組み立て、分解収納を繰り返しながら使用するには不便である。しかも、金属線によらない構成である点で、食器類の取り扱い数の少ない小型なものにしては高価につく。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑み、複数の水切り棚を両側の脚フレーム以外を全金属線とした簡易構造で、容易かつ安定に組み立て、また分解できる安価かつ軽量で取り扱いやすく使用しやすい水切り棚構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の水切り棚構造は、棒材またはパイプ材を門型に折り曲げて両足が形成された脚フレームを有し、この脚フレームの両足間の片面上下の複数段に金属線よりなる棚連結ブリッジを渡して接合した一対の支持脚と、金属線よりなる下側の網体と上側の枠体とのフレーム線どうしが、少なくとも各支持脚の対応する側の両足に連結する両側の連結域にて上下に間隔を有して重なり、かつ、それら連結域のフレーム線方向2か所に上下に渡して接合される渡し部を有して網体の下へ枠状に張り出し、前記対応する側の両足間の棚連結ブリッジの両足への接合側に上方から引っ掛けて両足を網体および枠体の連結域に引き付け相互を連結する連結枠部を設けた、複数の水切り棚と、を備え、複数の水切り棚は、両側の連結域間の寸法を少なくとも大小2通りに設定したことを特徴としている。
【0010】
このような構成では、全金属線よりなる複数の水切り棚と、門型に折り曲げられた脚フレームが形成している両足間の上下複数段に金属線よりなる棚支持ブリッジを接合した支持脚とにより、簡単かつ軽量で食器類収容域に対するかさ張りの小さい多段な水切り棚構造が得られる。複数の水切り棚は、下側の網体と上側の枠体とのフレーム線どうしが、両側の連結域のフレーム線方向2か所にて、連結枠部の渡し部が上下に渡され接合されていることにより、食器類を受載して支持する網体と、網体に受載した食器類の脱落を防止する枠体とが、連結枠部を介し、互いに保形性を高め合って結合される。これによって、各水切り棚は、棚支持ブリッジの接合側で対向し合った両側の支持脚の間で同じ段の棚支持ブリッジに両側の連結枠部を対応させて上方から引っ掛けることにより、両側の支持脚の両足を網体および枠体のフレーム線双方の連結域に引き付けるので、1つの水切り棚と支持脚だけでも互いを安定に連結することができ、この連結が上下2段以上行われるので安定度が高まる。しかも、両側の連結域間の寸法が大きい水切り棚と小さい水切り棚とで、棚支持ブリッジを介した支持脚との高い剛性での連結位置に寸法差に見合ったズレが生じ、これが連結部に拗れ圧を及ぼして歪みや揺れ、捻じれに対する剛性を十分に高め、かつ連結解除に対する抵抗度を適度に高められる。また、各水切り棚の連結枠部の支持脚の棚支持ブリッジへの引っ掛かりを前記連結解除の適度な抵抗に抗して外すだけで連結を解除することができる。さらに、分離した水切り棚どうしは互いを重ねて、扁平な2つの支持脚を合わせても、かさ低く纏められる。この場合、水切り棚の両側の連結域間の寸法の違いを、寸法の小さな側で寸法の大きな側との重ね位置を規制したり、弾性的な押し広げを受けて重なり状態に安定させたりするのに利用できる。
【0011】
上記において、さらに、各水切り棚は、連結域のない両辺の一方側を出し入れ側とし、両側の連結枠の反出し入れ側渡し部が立ち上がって後、枠体のフレーム線の反出し入れ側と上下に間隔を有して重なる補助枠をなしたものとすることができる。
【0012】
このような構成では、上記に加え、さらに、各水切り棚の出し入れ側は浅くて食器類を出し入れしやすく、反出し入れ側は枠体の上の補助枠によって出し入れ側よりも深くなって、洗浄した食器類を次々出し入れ側から入れていくのに反出し入れ側に過剰に押し込まれたりする食器類を受け止めやすく、縦に長い食器類でも反出し入れ側に転倒したり落下したりし難くする。また、各水切り棚は、反出し入れ側だけかさ高になるが、各水切り棚は2組単位で、反出し入れ側が反対向きになるようにして枠部側で合わせるように重ねると、補助枠部分のかさ張りを吸収することができる。この場合、寸法の小さな水切り棚の連結枠部から立ち上がる補助枠部の両側立ち上がり部が、寸法の大きな水切り棚の枠部との当接により所定の重なり位置に位置決めし、または、寸法の大きな水切り棚の枠部をそれによる弾性的な押し退けを伴い立ち上がり部間に受け入れて所定の重なり状態に弾性的に安定させられる。
【0013】
上記において、さらに、補助枠の連結枠部から立ち上がって反出し入れ側に向かう部分を、足の片面に接合された棚支持ブリッジの足側から足を迂回して枠部のフレーム線との重なり位置に至る迂回形状とすることができる。
【0014】
このような構成では、上記に加え、さらに、棚支持ブリッジの足側に接合された連結枠部が上方に延びて枠体のフレーム線に重なるために必須となる曲がりを、足を迂回する形状とすることで、補助枠が足よりも反出し入れ側に張り出すことを可能にする。
【0015】
上記において、さらに、下段の側の水切り棚の補助枠の立ち上がり部から出し入れ側までの寸法よりも、上段の側の水切り棚の補助枠の立ち上がり部から出し入れ側までの寸法の方を小さいものとすることができる。
【0016】
このような構成では、上記に加え、さらに、上下段の水切り棚の反出し入れ側が上下に重なり、出し入れ側は下段よりも上段が反出し入れ側に後退した位置関係になるので、下段の水切り棚に対し食器類を出し入れするのに上段の水切り棚が邪魔になりにくくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の食器類の水切り棚構造によれば、支持脚の脚フレーム以外の全てが金属線よりなる簡単かつ軽量で食器類収容域に対するかさ張りの小さい多段な水切り棚が安価に得られ、狭い流し台の上やシンクにて多量の食器類を水切りするのに好適となる。また、複数の水切り棚は、網体と枠体との両フレーム線および連結枠部相互の接合により、互いに保形性を高め合って結合されるので、型崩れしないし取り扱いやすい。各水切り棚は、両側の支持脚の間で各段の棚支持ブリッジに両側の連結枠部を引っ掛けるだけで、棚支持ブリッジが渡され接合されている両足を各段の網体および枠体に引き付け、高い安定度にて連結できる上、各水切り棚によって棚支持ブリッジを介した支持脚との高い剛性での連結位置に互いの寸法差に見合ったズレに伴う拗れ圧を連結部に及ぼして歪みや揺れ、捻じれに対する剛性を十分に高め、かつ連結解除に対する抵抗度を適度に高められるので、多段での食器類の水切りをぐらつきなどなく安定に達成することができる。しかも、各水切り棚の連結枠部の支持脚の棚支持ブリッジへの引っ掛かりを前記連結解除の適度な抵抗に抗して外すだけで連結を解除でき、分離した水切り棚どうしは重ね合って、扁平な2つの支持脚を合わせても、かさ低く纏められるので、搬送や収納に便利である。さらに、水切り棚の両側の連結域間の寸法の違いを、寸法の小さな側で寸法の大きな側との重ね位置を規制したり、弾性的な押し広げを受けて重なり状態に安定させたりするのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の食器類の水切り棚構造を組み立て状態で示す斜視図。
【図2】同水切り棚構造の分解斜視図。
【図3】同水切り棚構造の分離した各水切り棚を重ね合わせた状態を示す斜視図。
【図4】同水切り棚構造の組み立て状態での平面図。
【図5】同水切り棚構造の組み立て状態での底面図。
【図6】同水切り棚構造の組み立て状態での正面図。
【図7】同水切り棚構造の組み立て状態での側面図。
【図8】同水切り棚構造の組み立て状態での各水切り棚の寸法の違いの連結部への影響を模式的に示す半部の断面図。
【図9】同水切り棚構造の分離した各水切り棚を重ね合わせた状態での寸法の違いによる影響を示す半部の正面図。
【図10】同水切り棚構造の分離した各水切り棚を重ね合わせた状態での寸法の違いによる影響を示す半部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る食器類の水切り棚構造の具体例につき、図1〜図10を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載事項を限定するものではない。
【0020】
図1、図2に示す水切り棚構造100は、棒材またはパイプ材を門型に折り曲げて両足1、2が形成された脚フレーム3を有し、この脚フレーム3の両足1、2間の片面上下の複数段に金属線よりなる棚連結ブリッジ4を渡して接合した一対の支持脚5と、金属線よりなる下側の網体6と上側の枠体7とのフレーム線8、9どうしが、少なくとも各支持脚5の対応する側の両足1、2に連結する両側の連結域8a、9aにて互いに上下に間隔Sを有して重なり、かつ、それら連結域8a、9aのフレーム線方向2か所に上下に渡して接合される渡し部11aを有して網体6の下へ枠状に張り出し、前記対応する側の両足1、2間の棚連結ブリッジ4の両足1、2への接合側に上方から引っ掛けて両足1、2を網体6および枠体7の連結域8a、9aに引き付け相互を連結する連結枠部11を設けた、複数の水切り棚12、13、・・と、を備え、複数の水切り棚12、13、・・は、両側の連結域8a、9a間の寸法を少なくとも大小2通りに設定している。
【0021】
これにより、図1、図2に示すように、全金属線よりなる複数の水切り棚12、13、・・と、門型に折り曲げられた脚フレーム3が形成している両足1、2間の上下複数段に金属線よりなる棚連結ブリッジ4を接合した支持脚5とにより、簡単かつ軽量で食器類収容域に対するかさ張りの小さい多段な水切り棚構造100が得られる。複数の水切り棚12、13、・・は、下側の網体6と上側の枠体7とのフレーム線8、9どうしが、両側の連結域8a、9aのフレーム線方向2か所にて、連結枠部11の渡し部11aが上下に渡され接合されていることにより、食器類を受載して支持する網体6と、網体6に受載した食器類の脱落を防止する枠体7とが、連結枠部11を介し、互いに保形性を高め合って結合される。このため、各水切り棚12、13、・・は、棚連結ブリッジ4の接合側で対向し合った両側の支持脚5の間で同じ段の棚連結ブリッジ4に両側の連結枠部11を対応させて上方から引っ掛けることにより、両側の支持脚5の両足1、2を網体6および枠体7のフレーム線8、9双方の連結域8a、9aに引き付けるので、水切り棚12、13の1つと支持脚5、5だけでも互いを安定に連結することができ、この連結が上下2段以上行われるので安定度が高まる。しかも、両側の連結域8a、9aおよび8a、9a間の寸法Lが大きい水切り棚12などと小さい水切り棚13などとで、棚連結ブリッジ4を介した支持脚5、5との高い剛性での連結位置に図8に示す寸法差ΔLに見合ったズレが図8に仮想線で示す状態から実線で示す状態に生じ、これが連結部に拗れ圧を及ぼして歪みや揺れ、捻じれに対する剛性を十分に高め、かつ連結解除に対する抵抗度を適度に高められる。また、各水切り棚12、13の連結枠部11の支持脚5、5の棚連結ブリッジ4への引っ掛かりを前記連結解除の適度な抵抗に抗して外すだけで連結を解除することができる。さらに、分離した水切り棚12、13、・・どうしは互いを図3に示すように重ねて、扁平な2つの支持脚5、5を合わせても、かさ低く纏められる。この場合、水切り棚12、13、・・の両側の連結域8a、9aおよび8a、9a間の寸法Lの違いを、寸法Lの小さな側で寸法Lの大きな側との重ね位置を規制したり、弾性的な押し広げを受けて重なり状態に安定させたりするのに利用できる。
【0022】
以上の結果、支持脚5、5の脚フレーム3以外の全てが金属線よりなる簡単かつ軽量で食器類収容域に対するかさ張りの小さい多段な水切り棚12、13、・・が得られ、狭い流し台の上やシンクにて多量の食器類を水切りするのに好適となる。また、複数の水切り棚12、13、・・は、網体6と枠体7との両フレーム線8、9および連結枠部11相互の接合により、互いに保形性を高め合って結合されるので、型崩れしないし取り扱いやすい。各水切り棚12、13、・・は、両側の支持脚5、5の間で各段の棚連結ブリッジ4に両側の連結枠部11を引っ掛けるだけで、棚連結ブリッジ4が渡され接合されている両足1、2を各段の網体6および枠体7に引き付け、高い安定度にて連結できる上、各水切り棚12、13、・・によって棚連結ブリッジ4を介した支持脚5、5との高い剛性での連結位置に互いの寸法差に見合ったズレに伴う拗れ圧を連結部に及ぼして歪みや揺れ、捻じれに対する剛性を十分に高め、かつ連結解除に対する抵抗度を適度に高められるので、多段での食器類の水切りをぐらつきなどなく安定に達成することができる。しかも、各水切り棚12、13、・・の連結枠部11の支持脚5、5の棚連結ブリッジ4への引っ掛かりを前記連結解除の適度な抵抗に抗して外すだけで連結を解除でき、分離した水切り棚12、13、・・どうしは重ね合って、扁平な2つの支持脚5、5を合わせても、かさ低く纏められるので、搬送や収納に便利である。さらに、水切り棚12、13、・・の両側の連結域8a、9aおよび8a、9a間の寸法Lの違いを、寸法Lの小さな側で寸法Lの大きな側との重ね位置を規制したり、弾性的な押し広げを受けて重なり状態に安定させたりするのに利用できる。
【0023】
図示例では、上下2つの水切り棚12、13を組み合わせてあり、寸法Lは大小2通りとしてあり、寸法差ΔLは1mm程度として左右の連結部に0.5mmずつのずれによる拗れが生じ、前記適度な抵抗が得られる。もっとも、これに限られることはなく、寸法差ΔLは0.5mm〜1.5mm程度の幅で設定してよい。特に、上下の水切り棚12、13の間隔が小さい程寸法差ΔLを小さくし、間隔が大きい程寸法差ΔLを大きくするのが好適である。図示例では下段の水切り棚13を小さく、上段の水切り棚12を大きくしてあるが、逆にしてもよい。棚数が3つ以上の場合、寸法を下段から上段へ、また逆に大きくしていってもよいが、寸法を2通りとして大小の関係で順次に配置し連結しても同様の効果が得られる。
【0024】
図示例の各水切り棚12、13は、また、連結域8a、9aおよび連結枠部11が平面視直状であることにより、同じく直状な棚連結ブリッジ4への連結枠部11の引っ掛けによる両足1、2と連結域8a、9a間の引き付け合いを容易かつ遊びなく達成するのに好適であり、かつ、一方側の連結域8a、9aと他方側の連結域8a、9aとが平面視して平行であることにより、図1に示すように両側の支持脚5、5が平面視して平行に対峙させる状態に連結することができる。連結域8a、9aのない両辺も平面視して平行な直状として、両側の連結域8a、9aに湾曲部を介して繋がったほぼ直方な平面形状としてあり、前記両辺の一方側を出し入れ側14とし、両側の連結域8a、9aの反出し入れ側渡し部11aが図1、図2に示すように立ち上がって後、枠体7のフレーム線9の反出し入れ側と上下に間隔Sを有して重なる補助枠15をなしたものとしている。しかし、このような形態に限られることはない。
【0025】
これにより、各水切り棚12、13の出し入れ側14は浅くて食器類を出し入れしやすく、反出し入れ側は枠体7の上の補助枠15によって出し入れ側14よりも深くなって、洗浄した食器類を次々出し入れ側から入れていくのに反出し入れ側に過剰に押し込まれたりする食器類を受け止めやすく、縦に長い食器類でも反出し入れ側に転倒したり落下したりし難くする。また、各水切り棚12、13は、反出し入れ側だけかさ高になるが、各水切り棚12、13は2組単位で、図3に示すように反出し入れ側が反対向きになるようにして枠部7側で合わせるように重ねると、補助枠15部分のかさ張りを互いの網体6および枠体7間に重畳して吸収することができる。この場合、寸法Lの小さな水切り棚13の連結枠部11から立ち上がる補助枠15の両側立ち上がり部15aが、寸法の大きな水切り棚12の枠部7との図9に示すΔL分の当接代により図3に示し、図10に仮想線で示す所定の重なり位置に位置決めし、または、これらの位置から寸法の大きな水切り棚12の枠部7をそれによる弾性的な押し退けを伴い立ち上がり部15a間に受け入れて所定の重なり状態に弾性的に安定させられる。
【0026】
また、補助枠15の、連結枠部11の渡し部11aからの立ち上がり部15aを経て反出し入れ側に向かう部分を、足2の片面に接合された棚連結ブリッジ4の足1側から足1を迂回して枠部7のフレーム線9との重なり位置に至る迂回形状としている。これにより、棚連結ブリッジ4の足1側に接合された連結枠部11が上方に延びて枠体7のフレーム線9に重なるために必須となる曲がりを、足1を迂回する形状とすることで、補助枠15が足1よりも図1、図4、図5、図7に示すように反出し入れ側に張り出すことを可能にする。なお、この迂回形状は、上下の水切り棚12、13において共通なものとして、加工の統一を図っている。同様な意味から寸法Lの違い以外は基本的に共通の形態とするのが好適である。
【0027】
しかし、図示例では、図1、図7に示すように、下段の側の水切り棚13の補助枠15の立ち上がり部15aから出し入れ側14までの寸法よりも、上段の側の水切り棚12の補助枠15の立ち上がり部15aから出し入れ側までの寸法の方を小さいものとしている。これにより、上下段の水切り棚12、13の保護枠15のある反出し入れ側が上下に重なり、出し入れ側14は下段よりも上段が反出し入れ側に後退した位置関係になるので、下段の水切り棚13に対し食器類を出し入れするのに上段の水切り棚12が邪魔になりにくくなる。
【0028】
なお、支持脚5、5には、図1、図6などに示すように、下側の棚連結ブリッジ4に支持し連結した下側の水切り棚13の補助枠15よりも少し上の位置に補助支持ブリッジ16を設け、図8に示すように箸などの小物水切り籠17をそのフック部17aを引っ掛けて支持し、網体6では脱落したり網目に嵌り込んで取り扱いにくくなるようなことを回避できるようにしている。補助支持ブリッジ16は、両足1、2の棚連結ブリッジ4と同じ片側から接合してあるが、両足1、2の直径線上まで回り込むように接合してある。これにより、小物水切り籠17を図8に仮想線で示すように支持脚5の外側から掛けるにも、逆に内側から掛けるにも、両足1、2に対し同じ条件で掛け止められる。特に、内側から掛け止めると、小物水切り籠17を水切り棚13内に位置させた使用ができ、外まわりにかさ張るのを回避することができる。また、網体6は、フレーム線8の出し入れ側14および反出し入れ側の両辺間に網線18を多数平行に渡して接合し、全網線18の中央部にその下側から補強線19を当てがって接合し、補強線19の両端はフレーム線8の連結域8aの中央位置下側に接合してある。上下の水切り棚12、13と両側の支持脚5、5との連結状態で、連結域8aは棚連結ブリッジ4の上に載る形になるので、棚連結ブリッジ4には補強線19のフレーム線8への接合端を逃げる局部的な屈曲部4aを形成している。さらに、既述した特許文献2に開示のような水受皿21で水切り棚構造100を図1に仮想線で示すように受けて用いると、流し台のシンクの横に載置して、排水口22を中心に旋回できる図示しない排水樋をシンク側に向きを調節することで、水切り棚12、13に収容した食器類から落ちる水を水受皿21で受け、排水樋を通じシンクに排水させられる。脚フレーム3の両足1、2の接地端にはゴムキャップ23を装着して滑り止めや設置個所への傷つけ防止を図っている。連結枠部11は矩形としてあるが、これに限られることはない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、支持脚の脚フレーム以外を金属線として食器類収容域に対するかさ張りが低く安価で、組み立て、分解しやすく、剛性の十分な水切り棚構造とするのに実用できる。
【符号の説明】
【0030】
1、2 足
3 脚フレーム
4 棚連結ブリッジ
5 支持脚
6 網体
7 枠体
8、9 フレーム線
8a、9a 連結域
11 連結枠部
11a 渡し部
12、13 水切り棚
14 出し入れ側
15 補助枠
15a 立ち上がり部
16 補助支持ブリッジ
17 小物水切り籠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材またはパイプ材を門型に折り曲げて両足が形成された脚フレームを有し、この脚フレームの両足間の片面上下の複数段に金属線よりなる棚連結ブリッジを渡して接合した一対の支持脚と、金属線よりなる下側の網体と上側の枠体とのフレーム線どうしが、少なくとも各支持脚の対応する側の両足に連結する両側の連結域にて上下に間隔を有して重なり、かつ、それら連結域のフレーム線方向2か所に上下に渡して接合される渡し部を有して網体の下へ枠状に張り出し、前記対応する側の両足間の棚連結ブリッジの両足への接合側に上方から引っ掛けて両足を網体および枠体の連結域に引き付け相互を連結する連結枠部を設けた、複数の水切り棚と、を備え、複数の水切り棚は、両側の連結域間の寸法を少なくとも大小2通りに設定したことを特徴とする食器類の水切り棚構造。
【請求項2】
各水切り棚は、連結域のない両辺の一方側を出し入れ側とし、両側の連結枠の反出し入れ側渡し部が立ち上がって後、枠体のフレーム線の反出し入れ側と上下に間隔を有して重なる補助枠をなしている請求項1に記載の食器類の水切り棚構造。
【請求項3】
補助枠の連結枠部から立ち上がって反出し入れ側に向かう部分を、足の片面に接合された棚連結ブリッジの足側から足を迂回して枠部のフレーム線との重なり位置に至る迂回形状とした請求項1、2のいずれか1項に記載の食器類の水切り棚構造。
【請求項4】
下段の側の水切り棚の補助枠の立ち上がり部から出し入れ側までの寸法よりも、上段の側の水切り棚の補助枠の立ち上がり部から出し入れ側までの寸法の方を小さいものとした請求項1〜3のいずれか1項に記載の食器類の水切り棚構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−19954(P2012−19954A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160065(P2010−160065)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(591011650)アスベル株式会社 (15)
【Fターム(参考)】