説明

食材の殺菌又は保存方法

【課題】食塩やカテキン類で単独で用いるよりも優れた食材の殺菌又は保存作用を示し、食材の殺菌又は保存方法、及び殺菌又は保存組成物を提供すること。
【解決手段】2〜30質量%の食塩の存在下にカテキン類を用いることを特徴とする食材の殺菌又は保存方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の殺菌又は保存方法、及び食材の殺菌又は保存用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食材に繁殖する微生物を防ぎ、食材の保存安定性を高めるべく、古くから食塩を用いて食材、例えば魚介類の殺菌や保存を行っている。
一方、近年では、抗菌力を示す食品添加物が開発され、食材の殺菌や保存を目的として多用される場面も多く、また生活習慣病予防のための食塩の摂取抑制の推奨から食塩に代えて食品添加物を用いる場面もみられるようになった。しかしながら、化学合成の食品添加物の長期摂取による化学物質過敏症が問題視されるようになっている。
このため、食材の殺菌又は保存組成物として、優れた殺菌力を示し、且つ長期間摂取しても健康を害さないものが望まれるようになっている。
【0003】
他方、カテキン類は、茶葉から抽出することのできるポリフェノールの一種であり、黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ等の食中毒細菌、薬剤耐性細菌や植物病原菌に有効であることが報告されている(特許文献1〜5、非特許文献1)。しかしながら、他の食品添加物と比べ、その抗菌力は十分なものではなく、経済性や現実性の観点からカテキンの使用量をより少なくする必要がある。
【特許文献1】特開平2−276562号公報
【特許文献2】特開平2−117608号公報
【特許文献3】特開平3−246227号公報
【特許文献4】特開平8−38133号公報
【特許文献5】特開2000−328443号公報
【非特許文献1】FFI Reports、Technical Reports「カテキン」 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、ホームページ、http://www.saneigenffi.co.jp/foods/index.html、平成18年9月12日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安全性が高く、且つ優れた食材の殺菌又は保存作用を示し、食材の殺菌又は保存方法、及び殺菌又は保存用組成物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、食材に対して殺菌又は保存効果のある物質について検討した結果、驚くべきことに食塩とカテキン類との組み合わせが微生物に対して殺菌又は静菌的に作用し、また、カテキン類及び食塩の使用量を共に低減できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、2〜30質量%の食塩の存在下にカテキン類を適用することを特徴とする食材の殺菌又は保存方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、食塩及びカテキン類を質量比30:0.001〜2:0.2で含有する食材の殺菌又は保存用組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、食塩及びカテキン類を質量比30:0.001〜2:0.2で含有する組成物を用いて食材を処理することを特徴とする、食材の殺菌又は保存方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、食経験が豊富で副作用が少なく、安全性が高いカテキン類及び食塩を用いたものであり、これによればそれぞれの使用量を低減しつつ、食材の微生物増殖を有効に防止し、安定した保存が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に使用する食塩は、食品上許容される塩化ナトリウム又は天然塩(海水由来や岩塩由来)が挙げられ、当該食塩濃度は塩化ナトリウム濃度として、カテキン類と共に食材(表面及び/又は内部)に接触した際の濃度が2〜30質量%であることが必要であり、3〜20質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
また、このとき用いるカテキン類の量は、特に限定されないが、食材に接触した際の濃度が0.001〜0.5質量%であり、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%がより好ましい。
【0011】
本発明におけるカテキン類とは、カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類の総称であり、これらの一種以上を含有するのが好ましい。また、カテキン類は、非重合体であるのが好ましい。
【0012】
本発明に使用するカテキン類は、一般的には茶葉から直接抽出すること、又はその茶抽出物を濃縮若しくは精製することにより得ることができるが、他の原料由来のもの、カラム精製品及び化学合成品であってもよい。
【0013】
当該茶葉抽出は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、またはそれらの雑種から得られる茶葉より製茶された茶葉に、水や熱水、場合によってはこれらに抽出助剤を添加して抽出することにより行うことができる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
当該製茶された茶葉には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶などの緑茶類;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などの半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマンなどの発酵茶が含まれる。
抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又はこれら有機酸塩類が挙げられる
【0014】
当該茶抽出物の濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。
例えば、当該茶抽出物(茶カテキンともいう。)は、特開昭59-219384号、特開平4-20589号、特開平5-260907号、特開平5-306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、(株)伊藤園「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、DSMニュートリショナル・プロダクツ「テアビゴ」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
【0015】
当該茶抽出物中のカテキン類は、非重合体若しくは重合体で存在し、かつ液に溶解しているもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものとして存在する。
また、茶葉中のカテキン類の大部分はエピ体カテキン類として存在しており、このエピ体カテキン類を用いて熱や酸やアルカリ等の処理により立体異性体である非エピ体に変化させることができる。従って、非エピ体カテキン類を使用する場合には、緑茶類、半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶抽出液の濃縮物を水溶液にして、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して得ることができる。また非エピカテキン類含有量の高い茶抽出液の濃縮物を使用してもよい。それらは単独又は併用してもよい。
【0016】
本発明の食塩及びカテキン類を用いた食材の処理は、食材の表面及び/又は内部の食塩が2〜30質量%で存在する状態においてカテキン類を適用すること、又は、当該食材にカテキン類が存在する状態において食塩を2〜30質量%にしてもよい。また、食塩及びカテキン類を含有する組成物を食材の表面及び/又は内部に添加してもよい。
【0017】
上記食塩及びカテキン類はこれらを共に含有する殺菌又は保存用組成物とすることができる。当該組成物における食塩の含有量は、2〜30質量%であり、3〜20質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。また、当該組成物におけるカテキン類の含有量は、0.001〜0.5質量%であり、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%がより好ましい。
また、食塩とカテキン類との質量比は、30:0.001〜2:0.2が好ましく、20:0.005〜3:0.2がより好ましく、8:0.01〜3:0.1が特に好ましい。
【0018】
当該組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の成分を適宜配合してもよく、また、その形態は、粉末や氷等の固体、ペースト状等の半固体、調味料や浸漬液等の液体であってもよい。他の配合成分としては、酸化防止剤、香料、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、pH調整剤、品質安定剤、多糖増粘剤等が挙げられる。
【0019】
当該組成物のpHは、食材に用いる際に、4〜10となるのが好ましく、5〜9となるのがより好ましい。
pH調製のために用いられるpH調整剤としては、酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸及び酒石酸等の有機酸塩、リン酸及び炭酸等の無機塩が挙げられる。当該塩としては、食品上許容される塩であれば問題ないが、例えば、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
【0020】
本発明の食塩及びカテキン類の食材への適用方法としては、食材の表面への撒布や塗布、又は食材内部への浸漬や注入等が挙げられる。
【0021】
本発明における食材としては、畜肉、淡産又は海産魚介類、野菜、果物等の何れでもよく、そのまま又はそれをカッティングした未加工品の他、これらを混和した加工品や予め加熱処理した加工品でもよい。このうち、本発明の方法は、好塩細菌及び/又は耐塩性細菌が生育する状態にある食塩を用いて保存する食材、例えば海産魚介類、野菜や畜肉等に好適に適用できる。
【0022】
後記実施例に示すように、食材を汚染する各種細菌に対して優れた抗菌力を示すことから、食材の微生物汚染を有効に防止することができる。
ここで、食材を汚染する細菌としては、例えば、赤痢属(Shigella)細菌:バシラス属(Bacillus)細菌:アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)細菌:ブルセラ属(Brucella)細菌:ブドウ球菌属(Staphylococcus)細菌:大腸菌群(Escherichia coli):サルモネラ属(Salmonella)細菌:ビブリオ属(Vibrio)細菌:シュードモナス属(Pseudomonas)細菌:クロストリジウム属(Clostridium)細菌:変敗菌等が挙げられる。
【0023】
赤痢属(Shigella)細菌としては、より具体的には、S. dysenteria(赤痢菌A亜群),S. flexneri(赤痢菌B亜群),S. boydii(赤痢菌C亜群),S. sonnei(赤痢菌D亜群)等が挙げられる。
バシラス属(Bacillus)細菌としては、より具体的には、B. cereus(セレウス菌),B. subtilis(枯草菌),B. polymyxa等が挙げられる。
アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)細菌としては、より具体的には、Al. Acidoterrestris(旧B. Acidoterrestris)等が挙げられる。
ブドウ球菌属(Staphylococcus)細菌としては、より具体的には、S. aureus(黄色ブドウ球菌),S. pyogenes等が挙げられる。
大腸菌群(Escherichia coli)としては、より具体的には、E. coli.O157等が挙げられる。
サルモネラ属(Salmonella)細菌としては、より具体的には、S. typhi(チフス菌),S. paratyphi A(パラチフスA菌),S. paratyphi B(パラチフスB菌),S. Typhimurium (ネズミチフス菌)S. Enteritidis(ゲルトネル菌)等が挙げられる。
ビブリオ属(Vibrio)細菌としては、より具体的には、V. cholerae(コレラ菌),V. parahaemoloyicus(腸炎ビブリオ)等が挙げられる。
シュードモナス属(Pseudomonas)細菌としては、より具体的には、P. aeruginosa等が挙げられる。
クロストリジウム属(Clostridium)細菌としては、より具体的には、C. botulinum(ボツリヌス菌),C. perfringens(ウェルシュ菌),C. difficile, C. sporogens等が挙げられる。
変敗菌としては、より具体的には、Leuconostoc mesenteroides, Desulfotomaculum nigrificans, Enterococcus faecalis等が挙げられる。
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
【実施例】
【0025】
実施例1:Pseudomonas aeruginosa IFO13275における抗菌試験
試験菌として、Pseudomonas aeruginosa IFO13275を用いた。当該菌株をTSB液体培地(Tryptic Soy Broth, 1.7%カゼイン分解物、0.3%大豆酵素分解物、0.25%デキストロース、0.5%塩化ナトリウム、0.25%リン酸水素2カリウム、pH7、Becton Dickinson 社)にて、30℃で24時間振とう培養し、当該培養液を滅菌水で稀釈して、105〜106CFU/mLに調製した菌液を作成した。
食塩は、市販品の試薬である塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)を用いた。
塩化ナトリウムを添加し、最終濃度、0,2,4,6及び8%(W/V)となるように50%Luria Broth(LB)液体培地(基礎培地)に添加し、それぞれを高圧またはオートクレーブ滅菌し、各濃度の食塩添加の50%LB液体培地を作製した。
LB液体培地の組成は 1%トリプトン、0.5%酵母エキス、pH6.5である。
【0026】
カテキン類はPOLYPHENON 70A(三井農林(株)製)を用いた。当該カテキン類を1.0%(W/V)となるように純水に溶解し、pHを6.5に調整し、段階希釈にて0.125,0.25,0.5及び1.0%(W/V)として、希釈後、ろ過滅菌(0.2μm、関東化学社製)し、各濃度のカテキン類溶液を調整した。
9mLの各濃度の食塩添加の50%LB液体培地に各濃度カテキン類溶液を1mL添加した(表1)。そして、105〜106CFU/mLに調製した菌液100μLを添加(終菌数103〜105CFU/mL)、30℃で48時間静置培養(時々ボルテックス)した。培養後の生菌数を平板塗抹法により求めた。カテキン類未添加の場合は培養液の10倍稀釈系列を滅菌水で作成し、各稀釈液100μLをTSAの寒天平板に塗抹して48時間、30℃で静置培養した。培養後のコロニー数から生菌濃度を算出した。
TSA(Tryptic Soy Agar):1.7%カゼイン分解物、0.3%大豆酵素分解物、0.25%デキストロース、0.5%塩化ナトリウム、1.5%寒天、pH7、Becton Dickinson 社)。
【0027】
【表1】

【0028】
Pseudomonas aeruginosaに対して、0.05%カテキン類単独ではほとんど殺菌作用が認められなかったが、4%塩化ナトリウム及び0.0125%カテキン類共存下で殺菌作用が認められた。
【0029】
実施例2:E. coli O157: H7 (VT1,VT2)における抗菌試験
試験菌として、E. coli O157:H7 (VT1,VT2)を用いた。当該菌株をTSB液体培地にて、37℃で24時間振とう培養し、105〜106CFU/mLに調製した菌液を作製した以外は、上記実施例1と同様に行ったが、48時間の培養は37℃で行った。カテキン類は実施例1に準じて希釈し、50%LB培地に添加した(表2)。
【0030】
【表2】

【0031】
E. coli O157:H7に対して、0.1%カテキン類単独でも静菌作用は認められなかったが、6%塩化ナトリウム及び0.025%カテキン類存在下で強い殺菌作用を示した。
【0032】
実施例3:Bacillus cereus JCM 2152における抗菌試験
試験菌として、Bacillus cereus JCM 2152を用いた。培養温度を37℃とした以外は上記実施例1と同様に行った。カテキン類は実施例1に準じて希釈し、LB液体培地に添加した(表3)。
【0033】
【表3】

【0034】
Bacillus cereusに対して、4%塩化ナトリウム及び0.003125%カテキン類存在下で殺菌力を示すようになった。
【0035】
実施例4:Staphylococcus aureus IFO 3060における抗菌試験
試験菌として、Staphylococcus aureus IFO 3060を用いた。当該菌株を塩化ナトリウム2%添加のTSB液体培地にて、37℃で24時間振とう培養し、105〜106CFU/mLに調製した菌液を作製した以外は、上記実施例1と同様に行ったが、培養温度は37℃とした。カテキン類は実施例1に準じて希釈し、LB培地に添加した(表4)。
【0036】
【表4】

【0037】
S. aureusに対して、0.025%カテキン類単独でも静菌作用が認められなかったが、6%塩化ナトリウム及び0.0125%カテキン類存在下で殺菌作用が認められた。
【0038】
実施例5:Vibrio cholerae O1 FK (この菌株表記はOKですか)(オー血清型の1番、FK株なのでこのままでいいです)における抗菌試験
試験菌として、Vibrio cholerae O1 FKを用いた。当該菌株を塩化ナトリウム2%添加のTSB液体培地にて、37℃で24時間振とう培養し、105〜106CFU/mLに調製した菌液を作製した以外は、上記実施例1と同様に行ったが、培養温度は37℃とした。カテキン類は実施例1に準じて希釈し、LB培地に添加した(表5)。
【0039】
【表5】

【0040】
V. choleraeに対して、6%塩化ナトリウム及び0.003125%カテキン類共存下で殺菌作用が認められた。
【0041】
実施例6:浅漬け保存試験
市販品の白菜を約2cm幅にカットし、かき混ぜた後、約30gを1セットとした。
カット白菜の1セットを試験溶液(a)〜(d)270mLが入ったストマッカー袋に入れ、シーラーで密閉し、試験溶液ごとに4個作製した。試験溶液を入れないものを「そのまま」とした。
密閉後、冷蔵庫(5℃、暗所)で保存し、0、1、3、7日ごとにそれぞれのストマッカー袋を開封し、下記の方法にて生菌数を測定した。また、このとき、白菜は水洗浄せず用い、付着微生物の増殖を測定した。
各試験溶液(pH6.5):(a)脱イオン水、(b)4%(W/V)食塩、(c)0.025%(W/V)カテキン類、(d)4%(W/V)食塩+0.025%(W/V)カテキン類。
食塩は、市販品の試薬である塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)を用いた。
カテキン類は、POLYPHENON 70A(三井農林(株)製)を用いた。
【0042】
生菌数の測定方法としては、ストマッカー袋からカット白菜を取り出し、30秒軽く 滅菌したざるで水切りをした。水切りしたカット白菜を別のストマッカー袋に入れ、白菜の重さの9倍量の滅菌水を加え、密封した。ストマッカー(オルガノ社製)で当該袋を30秒処理し、その液を1mL採取し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.2)で希釈後、標準寒天培地(組成:0.25%酵母エキス、0.5%トリプトン、0.1%ブドウ糖、1.5%寒天、pH7.1、栄研化学社製)に塗布した。塗布した標準寒天培地を25℃、48時間培養後、コロニーカウントにより生菌数を測定した。
結果を表6に示す。
【0043】
【表6】

【0044】
白菜の浅漬け保存に際し、4%食塩又は0.025%カテキン類類単独では保存日数が延びるにつれ細菌の増殖がみられるが、4%食塩及び0.025%カテキン類を併用することにより当初の細菌数を減少させ、白菜に付着した細菌の増殖を抑制できることが認められた。
【0045】
上記実施例の示すように、2〜6質量%食塩とカテキン類を組み合わせることによって食中毒細菌を含む各種細菌に対するカテキン類の殺菌又は静菌作用が増大することが認められ、しかも、食塩及びカテキン類それぞれの使用量を低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜30質量%の食塩の存在下にカテキン類を適用することを特徴とする食材の殺菌又は保存方法。
【請求項2】
食塩及びカテキン類を質量比30:0.001〜2:0.2で含有する食材の殺菌又は保存用組成物。
【請求項3】
食塩及びカテキン類を質量比30:0.001〜2:0.2で含有する組成物を用いて食材を処理することを特徴とする、食材の殺菌又は保存方法。

【公開番号】特開2008−173049(P2008−173049A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9311(P2007−9311)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】