説明

食肉加工品及び肉質改質材

【課題】加熱処理等を施しても肉質の柔らかい食肉加工品を提供する。
【解決手段】
食肉加工品に、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然食品成分を配合する、肉質の柔らかい食肉加工品及び肉質改質材に関する。
【背景技術】
【0002】
食肉は、加熱等によりミオシン等の食肉の筋肉蛋白質が変性することで、肉汁が流出し硬く収縮する性質を持つ。一般に、ステーキ、ビーフシチュー、ハンバーグ、ミートソース、ロールキャベツ等に例示される食肉加工品は、噛んだ時の肉質の柔らかさが重要性を占めている。この肉質の柔らかさは、いわゆる歩留まりを向上させることにより改質することができ、種々の検討がなされてきた。例えば、食肉にリン酸塩を配合させる方法が良く知られている(特許文献1)。リン酸塩は、肉の保水性(蛋白質の収縮を抑制し、肉汁や配合水を抜けにくくする)や結着性(ミオシンの3次元構造形成を促進し、肉片同士を結着する)を高めると言われている。
【0003】
しかしながら、近年における健康志向等の消費者ニーズの多様化に応えるため、リン酸塩等の食品添加物の使用を極力抑えようとする動きが広がっている。このように、上記物質は消費者の要望を十分に満足するものではないことより、肉質の柔らかい食肉加工品が要望されている。
【0004】
本出願人は、食品添加物を必要とせずに食肉加工品の肉質を柔らかくする方法として、食肉加工品に乳酸発酵卵白を配合する発明について出願(特願2008―142422号)を行っている。しかしながら、さらに柔らかくジューシーな食肉加工品を求める消費者の意向に応える必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2539653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、加熱処理等を施しても肉質の柔らかい食肉加工品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく、食肉加工品の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、食用油脂を配合した卵白混合液を特定処理した加工液卵白、さらに当該加工液卵白を乾燥した加工乾燥卵白を食肉加工品に配合するならば、意外にも、食肉加工品の肉質が柔らかくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合する食肉加工品、
(2)上記加工液卵白が、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白である(1)記載の食肉加工品、
(3)上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を配合する(1)又は(2)記載の食肉加工品、
(4)上記加工液卵白又は上記加工乾燥卵白の配合量が、原料肉100部に対し、固形分換算で0.5〜15部である(1)乃至(3)のいずれかに記載の食肉加工品、
(5)卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を有効成分として含有する肉質改質材、
(6)上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を有効成分として含有する(5)記載の肉質改質材、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肉質の柔らかい食肉加工品を提供できる。これにより、食品市場における食肉加工品の更なる需要の拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
【0011】
本発明は、食用油脂を配合した卵白混合液を特定処理した加工液卵白、さらに当該加工液卵白を乾燥した加工乾燥卵白を配合する食肉加工品及び肉質改質材に係る発明である。配合する加工卵白の製造方法に特徴を有することから、説明上、まず本発明で用いる加工卵白の代表的な製造方法を中心に詳述する。
【0012】
本発明の食肉加工品及び肉質改質材に用いる加工卵白は、卵白及び食用油脂を主成分とした加工液卵白であって、その製造方法に特徴を有する。つまり、本発明で用いる加工液卵白は、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施すことにより得られる。
【0013】
上記加工液卵白で用いる卵白蛋白質としては、水分を除く卵白成分の9割が卵白蛋白質であることから、例えば、鶏等の鳥類の卵を割卵し卵黄を分離したものであり工業的に得られる生卵白、またこれを殺菌、凍結したもの、濃縮又は希釈したもの、特定の成分(リゾチームやアビジン等)を除去したもの、乾燥させたもの等を用いると良い。また本発明においては、効果に影響を及ぼさない程度に卵黄やその他の卵由来の成分を含んでいても差し支えない。
【0014】
また、上記加工液卵白で用いる食用油脂としては、食用に供される油脂であればいずれのもので良い。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂等が挙げられる。
【0015】
本発明の食肉加工品及び肉質改質材に用いる加工卵白は、まず、卵白及び食用油脂を配合した卵白混合液を調製する。卵白混合液に対する卵白の配合量は卵白蛋白質換算で2〜8%、好ましくは3〜8%である。つまり、卵白蛋白質の原料として生卵白やこれを殺菌した殺菌卵白を用いた場合、五訂食品成分表2001(女子栄養大学出版部発行)によると生卵白は水分が88.4%、蛋白質が10.5%であることより、卵白混合液に対し生卵白を19〜76%、好ましくは28.5〜76%配合することとなる。また、卵白混合液に対する食用油脂の配合量は5〜20%、好ましくは5〜15%である。本発明の加工液卵白は、上記卵白混合液を後述する乳酸発酵により発酵させたものである。したがって、卵白混合液中の卵白蛋白質及び食用油脂の配合量は、本発明の食肉加工品及び肉質改質材に用いる加工液卵白中の配合量となる。
【0016】
卵白混合液中の卵白蛋白質の配合量が上記範囲より少ない、あるいは食用油脂の配合量が上記範囲より少ないと、得られた加工卵白を食肉加工品及び肉質改質材に配合した際、満足な肉質の柔らかさが得られない恐れがある。一方、卵白蛋白質の配合量が上記範囲より多いと、乳酸発酵前の殺菌を兼ねた加熱処理において、全体がセットしてしまう場合があり、その後の乳酸発酵が出来ない場合がある。また、食用油脂の配合量が上記範囲より多いと、乳酸発酵が困難となる場合がある。
【0017】
卵白混合液は、次工程で乳酸発酵処理を施すが、乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類、発酵促進物質及びpH調整剤を卵白混合液に配合することが好ましい。また、卵白にはリゾチーム等の微生物増殖抑制因子を含有するが、乳酸発酵を円滑に促進する目的で、卵白混合液の加熱殺菌も兼ねて上記因子の失活処理を施すことが好ましい。
【0018】
乳酸菌資化性糖類としては、特に限定されないが、例えば、単糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン等)、二糖類(ラクトース、マルトース、スクロース、セルビオース、トレハロース等)、オリゴ糖類(特に3〜5個の単糖類が結合しているもの)、ブドウ糖果糖液糖等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて卵白混合液に配合することが出来る。また、卵白混合液に対する乳酸菌資化性糖類の配合量は、1〜15%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。乳酸菌資化性糖類の配合量が上記範囲より少ないと、乳酸菌資化性糖類不足により発酵が十分に進行しない場合があり、一方、上記範囲より多いと浸透圧上昇により発酵が進行しにくくなる傾向がある。
【0019】
発酵促進物質としては、発酵を促進するための成分、例えば、ビタミン(ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン等)、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、又は核酸等を含んだものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、カゼイン加水分解物、卵黄、脱脂粉乳、ビタミン類、補酵素類、ミネラル類等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて卵白混合液に配合することが出来る。また、卵白混合液に対する発酵促進物質の配合量は、1〜20%が好ましく、2〜20%がさらに好ましい。発酵促進物質の配合量が上記範囲より少ないと、発酵促進としての機能を発揮し難く、一方、上記範囲より多くしたとしても配合量に応じた発酵促進機能が期待し難く経済的でない。
【0020】
pH調整剤としては、卵白混合液中の卵白がアルカリ性を呈すること、及び乳酸発酵の至適pHが5.0〜7.5であることより、酸剤を用いることが好ましい。酸剤としては、具体的には、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、塩酸等が挙げられ、本発明は乳酸発酵処理を施すことから、乳酸が好ましい。なお、pH調整剤の添加量は、卵白混合液が上記至適pHとなるように添加すれば良い。また、乳酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤と組み合わせても良い。
【0021】
本発明の食肉加工品及び肉質改質材に用いる加工液卵白は、卵白蛋白質及び食用油脂、並びに乳酸発酵の効率を改善する目的で一般的に添加されている乳酸菌資化性糖類及び発酵促進物質を配合し、pH調整剤により乳酸発酵の至適pHに調整した卵白混合液を、微生物増殖抑制因子の失活と加熱殺菌を兼ねて加熱処理を施すと良い。加熱処理は、卵白蛋白質が加熱変性される程度の条件で行えば良く、具体的には、60〜110℃が好ましく、70〜95℃がより好ましい。上記範囲より加熱温度が低いと卵白蛋白質中に存在する微生物増殖抑制因子の失活や殺菌が不十分で乳酸発酵が不十分となる場合があり、上記範囲より加熱温度が高いと褐変や焦げ付きにより工業的利用が困難になる場合がある。また、処理時間は、加熱温度にもよるが、1〜60分が好ましく、5〜40分がより好ましい。卵白混合液の加熱処理は、加熱による卵白蛋白質の局部的な凝固物の発生を防止するため、流動性を持たせながら行うことが好ましい。例えば、攪拌機で攪拌したり、プレートヒーターで流しながら行う等の方法で行うと良い。
【0022】
次に、得られた卵白蛋白質及び食用油脂を配合した卵白混合液を乳酸発酵の至適温度、具体的には、15〜50℃に冷却した後、pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵する。上記食用油脂を配合した卵白混合液を乳酸発酵し、その後の工程を行って得られる本発明で用いる加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上となり、食肉加工品及び肉質改質材に配合すると、加熱処理等による食肉蛋白質の収縮が抑制され、肉質が柔らかくなり歩留りが向上する。これに対し、後述の試験例で示しているとおり食用油脂を配合しない卵白混合液を本発明と同様、乳酸発酵させ均質化処理して加工液卵白を製した後、当該加工液卵白に食用油脂を添加して再度、均質化処理した際には、粘度が800mPa・sを下回り、食肉加工品及び肉質改質材に配合しても、加熱処理等により肉質の柔らかさが損なわれて好ましくない。また、乳酸発酵もpHが4.5以下となるように行わないと、食肉加工品及び肉質改質材に配合した際に、加熱処理等により肉質の柔らかさが損なわれて好ましくない。なお、乳酸発酵が進行するとpHが徐々に低下するが、pHが低くなり過ぎると酸により逆に乳酸菌が死滅し発酵効率が低下し、実質的にpHを3.8より低くすることが出来ない。
【0023】
乳酸発酵に用いる乳酸菌は、特に限定されないが、例えば、一般的にヨーグルトやチーズの製造に利用される例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus bulgaricus等)、ストレプトコッカス属(Streptococcus thermophilus、Streptococcus diacetylactis等)、ラクトコッカス属(Lactococcus lactis等)、ロイコノストック属(Leuconostoc cremoris等)、エンテロコッカス属(Enterococcus faecalis)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium Bbifidum等)等が挙げられ、本発明の乳酸発酵は、これらの乳酸菌の1種又は2種以上を含んだ乳酸菌スターターを用いると良い。また、乳酸発酵の条件も、一般的な条件で行うと良く、具体的には、例えば、乳酸菌スターターを1mLあたり好ましくは10〜10、さらに好ましくは10〜10になるように卵白混合液に添加し、15〜50℃で8〜72時間発酵すると良い。
【0024】
次に、得られた乳酸発酵液を乳酸菌を死滅させるために加熱殺菌し殺菌発酵液を調製する。加熱殺菌は、具体的には、70〜140℃で2秒〜30分行うことが好ましく、70〜95℃で30秒〜20分行うことがより好ましい。
【0025】
本発明の食肉加工品及び肉質改質材に用いる加工液卵白は、上記で得られた殺菌発酵液を30〜55℃、好ましくは35〜50℃に冷却した後、均質化処理を施す必要がある。殺菌発酵液を冷却せずに、あるいは冷却しても冷却温度が上記範囲より高い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、平均粒子径が40μmより大きく、食肉加工品及び肉質改質材に配合した際に、加熱処理等により肉質の柔らかさが損なわれて好ましくない。一方、冷却温度が上記範囲より低い状態で均質化処理を施すと、得られる加工液卵白は、粘度が800mPa・sより低く、食肉加工品及び肉質改質材に配合した際に、加熱処理等により肉質の柔らかさが損なわれて好ましくない。
【0026】
冷却は、工業的規模での生産性を考慮し冷却水を用いて行うと良い。また、均質化処理は、加工液卵白の平均粒子径が40μm以下となるようなせん断力に優れた均質化処理機であればいずれのものでも良い。例えば、高圧ホモゲナイザーを用いる場合は、工業規模での生産性を考慮し、圧力5〜100MPa(ゲージ圧)で処理することが好ましく、8〜70MPaで処理することがより好ましい。
【0027】
均質化処理を施した上記加工液卵白は、常法に則り、室温(30℃以下)以下に冷却し、細菌面を考慮し10℃以下で冷蔵保管する。
【0028】
以上の製造方法で得られた加工液卵白は、卵白蛋白質2〜8%(好ましくは3〜8%)及び食用油脂5〜20%(好ましくは5〜15%)を配合し、粘度が800mPa・s以上(好ましくは1,000mPa・s以上)(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下(好ましくは30μm以下)である水中油型乳化物からなる加工液卵白であり、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。これにより、本発明に用いる加工液卵白は、食肉加工品及び肉質改質材に配合すると、加熱処理等による食肉蛋白質の収縮を抑制して肉質の柔らかさを保ち、歩留りを向上する。ここで、加工液卵白が乳酸発酵されたものとは、加工液卵白の製造工程の何れかで乳酸発酵工程を含んでいるということである。
【0029】
これに対し、後述の試験例で示しているとおり卵白蛋白質を2〜8%及び食用油脂を5〜20%配合した卵白混合液を乳酸発酵させることなくpHを3.8〜4.5となるように調整し、その後、均質化処理を施したものは、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白が得られる。しかしながら、上述した加工液卵白は、加工液卵白を乳酸発酵されていないためか、本発明で用いる加工液卵白と同様に食肉加工品及び肉質改質材に配合すると、加熱処理等により肉質の柔らかさが損なわれて好ましくない。
【0030】
また、本発明で用いる加工液卵白に、例えば、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、グアガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の増粘剤を安定化剤として添加した場合、本発明で用いる加工液卵白の上記粘度は、当該増粘剤を添加していない時の粘度である。また、粘度は品温10℃の時の粘度であり、BH形粘度計を用いローター:No.5、回転数:20rpmの条件で測定し、2回転後の示度により算出した値である。
【0031】
また、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装(株)製、商品名「マイクロトラックMT3300EXII」)を用いて、試料をセットしてから超音波をかけることなく1.5分後に測定開始し、2.5分後に測定終了して得られた値である。
【0032】
本発明で用いる加工液卵白において、粘度の上限及び平均粒子径の下限については、特に規定していないが、工業的規模での生産性、並びに卵白蛋白質及び食用油脂の配合量より、上述した方法で得られる加工液卵白は、粘度が20,000mPa・s以下(品温10℃)、平均粒子径が1μm以上程度である。
【0033】
本発明は、長期保管を考慮し、上記本発明で用いる加工液卵白に、必要に応じデキストリン等の賦形材や清水等の水系媒体を添加した後、乾燥処理を施した加工乾燥卵白としても良い。乾燥処理は、例えば、スプレードライ、フリーズドライ、パンドライ等、任意の方法を採用することが出来る。特に、スプレードライは、瞬時に乾燥されるためか、加工液卵白の物性が良く保持され、上述した本発明で用いる加工液卵白と同様、食肉加工品及び肉質改質材に配合すると、加熱処理後も肉質の柔らかさが保たれることから好ましい。
【0034】
本発明の食肉加工品に配合する加工卵白量は、肉質を柔らかくする作用が発現される程度であれば特に限定されず適宜設定することができるが、原料肉100部に対し、固形分換算で0.5〜15部配合することが好ましく、1〜15部がより好ましい。加工卵白の配合量が上記の範囲よりも少ないと、満足な肉質の柔らかさが得られない恐れがある。一方、上記の範囲を超えると、食肉の色が白くなり好ましくない場合がある。
【0035】
原料肉に本発明に用いる加工卵白や本発明の肉質改質材を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、小片に裁断した食肉に攪拌混合する方法、タンブリングを施し食肉全体になじませる方法、静置して食肉全体に漬け込む方法、インジェクターを用い食肉に強制注入する方法、スプレーで吹き付ける方法等を挙げることができる。加工卵白をそのまま用いても良いが、清水、リン酸塩、卵白蛋白、大豆蛋白、カゼイン、デキストリン、食塩、香辛料等の副原料を加えても良い。上記方法で調製した食肉加工品は、加熱処理等による食肉蛋白質の収縮が抑制され、肉質が柔らかくなり歩留まりが向上している。
【0036】
本発明の食肉加工品は、乳酸発酵した加工卵白を配合するものである。ここで、原料肉とは、特に限定されないが、例えば、牛、豚、鶏、羊、馬、七面鳥、鴨、ガチョウ等の獣肉類を挙げることができる。
【0037】
本発明の食肉加工品は、特に限定されないが、例えば、焼肉、ステーキ、とんかつ、照焼きチキン、ポークカレー、ビーフシチュー、フライドチキン、フライ、ムニエル、ピカタ、唐揚げ、酢豚、ローストビーフ、焼豚、ハム、ベーコン等の肉塊をそのまま或いは比較的大きくスライス、カットして用いる製品や、ハンバーグ、ミートソース、ソーセージ、ロールキャベツ、餃子、シュウマイ、豚饅、蒲鉾、竹輪、はんぺん等の肉塊をミンチ状として用いる製品等を挙げることができる。
【0038】
本発明の食肉加工品は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜各種の副原料を配合することができ、例えば、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸塩、卵白、大豆、カゼイン等の動植物性蛋白質、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉、プロテアーゼ、トランスグルタミナーゼ等の酵素製剤、食塩、砂糖、醤油、グルタミン酸ナトリウム、エキス等の調味料、玉葱、トマト、人参等の野菜、香辛料、発色材等を挙げることができる。
【0039】
本発明の食肉加工品は、加熱処理による蛋白質の変性や収縮に対し特に好適である。加熱処理方法は、ボイルや油ちょう等の方法が挙げられるが、特にボイル処理が好適である。前記ボイル処理の加熱温度が、60〜100℃で行うのが好ましく、70〜100℃で行うのがより好ましい。60℃未満であると、食肉が十分に加熱殺菌されず好ましくない。また、ボイル処理の時間は、加熱温度によって異なるが、10秒〜60分間が好ましく、30秒〜30分間がより好ましい。10秒未満であると、食肉が十分に加熱殺菌されず好ましくない。60分間を越えると、食肉加工品の肉質が硬くなる傾向があり好ましくない。
【0040】
本発明の肉質改質材は、上記の加工卵白を有効成分とし、その含有量は肉質改質作用が発現される程度であれば特に限定されず適宜設定することができ、加工卵白をそのまま用いても良い。本発明の肉質改質材は、肉質改質材に対し加工卵白を固形分換算で0.5〜90%含有することが好ましく、1〜50%がより好ましい。加工卵白の含有量が上記範囲よりも少ないと満足な肉質改質作用が得られない場合があり、一方、上記範囲よりも多いと、原料肉への肉質改質材の分散が悪くなり、本発明の効果を十分に発揮することができない場合がある。
【0041】
本発明の肉質改質材を原料肉に配合する量は、肉質改質材の加工卵白含有量にもよるが、原料肉100部に対し、0.1〜100部であることが好ましい。肉質改質材の配合量が上記の範囲よりも少ないと、肉質改質剤を原料肉に均一に分散させることが困難になる場合がある。一方、上記の範囲を超えると、原料肉の凝固力を損ねて歩留りを低下させる場合がある。
【0042】
本発明の肉質改質材の形態は、種々の形態(例えば、液状、粉末状、マイクロコロイド状、クリーム状、ペースト状、ゼリー状)を有することができる。すなわち、原料肉の性状に応じて、適切な形態に加工し使用することができる。
【0043】
本発明の肉質改質材は、公知の肉質改質材を含有することができ、例えば、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸塩、卵白、大豆、カゼイン等の動植物性蛋白質、湿熱処理澱粉、加工澱粉等の澱粉、プロテアーゼ、トランスグルタミナーゼ等の酵素製剤、食塩等を挙げることができる。
【実施例】
【0044】
以下に本発明の食肉加工品を実施例及び試験例に基づき詳述する。なお、本発明の食肉加工品は、これに限定するものではない。
【0045】
[本発明品用加工液卵白の製造例1]
生卵白34部(卵白蛋白質3.6部)、菜種油10部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水49.3部からなる卵白混合液100部(pH6.8)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら85℃で30分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で48時間発酵しpH4.2とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により40℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白1を製した。
【0046】
得られた本発明品用加工液卵白1は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度2,200mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径25μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
【0047】
[本発明品用加工液卵白の製造例2]
生卵白50部(卵白蛋白質5.3部)、菜種油12部、スクロース6部、生卵黄0.5部、酵母エキス0.05部、50%乳酸0.15部及び清水31.3部からなる卵白混合液100部(pH7.0)を攪拌、調製した。得られた卵白混合液を高速で攪拌させながら75℃で15分間加熱した後、冷水により35℃まで冷却し、次いで乳酸菌スターター0.01部(Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus)を添加し、35℃で24時間発酵しpH4.4とした。次に、発酵液を85℃で5分間加熱殺菌した後、冷水により45℃まで冷却し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて30MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し本発明品用加工液卵白2を製した。
【0048】
得られた本発明品用加工液卵白2は、卵白蛋白質を5.3%、食用油脂を12%含有し、固形分24%、粘度7,200mPa・s(品温10℃)、pH4.4、平均粒子径18μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
【0049】
[本発明品用加工乾燥卵白の製造例3]
本発明品用加工液卵白の製造例1で得られた加工液卵白20部、デキストリン2部及び清水78部を混合した後、当該混合液を送風温度160℃、排風温度65℃の条件でスプレードライし本発明品用加工乾燥卵白3を製した。
【0050】
得られた本発明品用加工乾燥卵白3は、卵白蛋白質を11.5%、食用油脂を32%含有し、固形分64%、デキストリン32%、水分4%、pH4.2であり、乳酸発酵された加工液卵白を粉末化したものである。
【0051】
[対照用加工液卵白の製造例]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、菜種油10部を除いた配合で、本発明品用加工液卵白の製造例1の全工程と同様の方法で食用油脂を配合しないで乳酸発酵させた加工液卵白を製した後、当該加工液卵白90部に菜種油10部を添加混合し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し対照用加工液卵白を製した。
【0052】
得られた対照用加工液卵白は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度700mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径22μmである水中油型乳化物からなり、加工液卵白が乳酸発酵されたものである。
【0053】
[比較用加工液卵白の製造例]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の配合で、本発明品用加工液卵白の製造例1の乳酸菌を添加する前までの工程を行った後、50%乳酸でpHを4.2に調整し、次いで高圧ホモゲナイザーを用いて10MPaの圧力で処理し、冷水により10℃に冷却し比較用加工液卵白を製した。
【0054】
得られた比較用加工液卵白は、卵白蛋白質を3.6%、食用油脂を10%含有し、固形分20%、粘度1,500mPa・s(品温10℃)、pH4.2、平均粒子径21μmである水中油型乳化物からなるものであるが、加工液卵白が乳酸発酵されたものでない。
【0055】
[試験例1]
本発明品用加工液卵白1及び2、対照用加工液卵白、比較用加工液卵白を用いて、加工液卵白の製造方法の違いによる、食肉加工品の肉質への影響を調べた。以下の方法によりモデル食肉加工品を調製した。牛ひき肉1000g、各加工液卵白500g、清水500gを攪拌混合し、30分間静置した。パンチングメッシュを用いて30分間静置して液切り後、95℃の熱湯で5分間ボイルした。また、加工液卵白を清水に置き換えて、加工液卵白を配合しない試験区とした。ボイル後、パンチングメッシュを用いてボイル液を30分間液切りし、食肉加工品(牛ひき肉ボイル品)を製した。得られた食肉加工品の評価は、官能評価と歩留りで行った。歩留りは、製した食肉加工品の重量を測定し、牛ひき肉の配合量(1000g)に対する歩留りで算出した。
【0056】
<評価基準>
◎:対照よりも非常に柔らかい(非常にジューシーである)。
○:対照よりも柔らかい(ジューシーである)。
×:対照よりも固い。
【0057】
【表1】

<乳酸発酵>○:乳酸発酵している。×:乳酸発酵していない。
【0058】
表1より、油脂を配合せず乳酸発酵されてなる加工液卵白に食用油脂を添加し均質化処理した対照用加工液卵白は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・sより低かった。油脂を配合し乳酸発酵されてなる本発明品用加工液卵白1および2は、粘度が800mPa・s以上であり、平均粒子径が40μm以下であり、対照用加工液卵白よりも食肉加工品の肉質を柔らかくする能力に優れていた。これに対し、乳酸発酵していない比較用加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上であり、平均粒子径も40μm以下であるが、本発明品用加工液卵白1および2よりも食肉加工品の肉質を柔らかくする能力に劣っていた。
【0059】
[試験例2]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、生卵白および菜種油の配合量を変えて下記表の卵白蛋白質および食用油脂の含有量の加工液卵白を本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で調製し、得られた各加工液卵白を用いて、卵白蛋白質および食用油脂の含有量の違いによる、食肉加工品の肉質への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、モデル食肉加工品を調製し、試食して行った。
【0060】
【表2】

【0061】
表2より、卵白蛋白質の含有量が2%より少ない加工液卵白、あるいは食用油脂が5%より少ない加工液卵白は、歩留りが75%以下だった。卵白蛋白質の含有量が2%より少ない加工液卵白については食肉加工品の肉質を柔らかくする能力が劣っていた。これに対し卵白蛋白質を2〜8%及び食用油脂を5〜20%の範囲で含有する加工液卵白は、歩留りが80%以上であり、食肉加工品の肉質を柔らかくする能力に優れていた。
【0062】
[試験例3]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、乳酸発酵し加熱殺菌した後の冷却温度を下記表の温度まで行った以外は、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で加工液卵白を調製し、得られた各加工液卵白を用いて冷却温度の違いによる、食肉加工品の肉質への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれもpHが3.8〜4.5である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、モデル食肉加工品を調製し、試食して行った。
【0063】
【表3】

【0064】
表3より、品温55℃より高い状態までしか冷却しなかった加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)であるが、平均粒子径が40μmより大きく、歩留りが75%以下だった。また、冷却を品温30℃より低い状態まで行った加工液卵白は、平均粒子径が40μm以下であるが、粘度が800mPa・s(品温10℃)より低く、歩留りが75%以下だった。これに対し、冷却を30〜55℃まで行った加工液卵白は、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が40μm以下であり、歩留りが80%以上だった。特に、冷却を35〜50℃まで行った加工液卵白は、粘度が1,000mPa・s以上(品温10℃)、平均粒子径が30μm以下であり、歩留りが85%以上と大幅に向上した。
【0065】
[試験例4]
本発明品用加工液卵白の製造例1において、乳酸発酵を下記表のpHとなるように処理時間を変えた以外は、本発明品用加工液卵白の製造例1と同様の方法で加工液卵白を調製し、得られた各加工液卵白を用いて、食肉加工品の肉質への影響を調べた。なお、得られた加工液卵白は、いずれも粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、当該加工液卵白が乳酸発酵されたものである。また、評価試験は、試験例1と同様、モデル食肉加工品を調製し、試食して行った。
【0066】
【表4】

【0067】
表4より、pHが4.5より高い加工液卵白は、歩留りが75%以下だった。pHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵させた加工液卵白は、歩留りが85%以上だった。
【0068】
[実施例1]
<唐揚げ>
本発明品用加工液卵白1を500gに20g大にカットした鶏胸肉1000gを漬け込み、5℃で8時間静置保存し熟成した。熟成後、薄力粉300gを加えて混合し、180℃の菜種油で5分間油ちょうして本発明の食肉加工品である唐揚げを製した。製した唐揚げは肉質が柔らかく、ジューシーで非常に好ましかった。なお、加工卵白の配合量は、原料肉100部に対し、固形分換算で10部だった。
【0069】
[比較例1]
<唐揚げ>
比較用加工液卵白500gに20g大にカットした鶏胸肉1000gを漬け込み、5℃で8時間静置保存し熟成した。熟成後、薄力粉300gを加えて混合し、180℃の菜種油で5分間油ちょうして食肉加工品である唐揚げを製した。製した唐揚げは肉質が固く、ぱさついて好ましくない食感を呈した。なお、加工卵白の配合量は、原料肉100部に対し、固形分換算で10部だった。
【0070】
[実施例2]
<肉団子>
みじん切りにした玉葱350gに本発明品用加工乾燥卵白3を15gまぶした後、酒150g、豚ひき肉1000gと混合した。25g大に成型し、180℃のオーブンで15分間焼成して本発明の食肉加工品である肉団子を製した。製した肉団子は肉質が柔らかく、ジューシーで非常に好ましかった。なお、加工卵白の配合量は、原料肉100部に対し、固形分換算で1.0部だった。
【0071】
[実施例3]
<蒸し鶏>
本発明品用加工液卵白1を500gに鶏胸肉1000gを漬け込み、5℃で8時間静置保存し熟成した。液切りして1015gとした後、スチーマーにて90℃で30分間加熱して本発明の食肉加工品である蒸し鶏を製した。製した蒸し鶏は肉質が柔らかく、ややジューシーで好ましかった。なお、加工卵白の配合量は、原料肉100部に対し、固形分換算で0.3部だった。
【0072】
[実施例4]
<ボンレスハム>
本発明品用加工乾燥卵白2を620g、デキストリン130g、食塩40g、砂糖30g、グルタミン酸ナトリウム5g、香辛料5g、清水170gの混合液を、豚もも肉1000gにインジェクターで打ち込んだ。タンブリングでピックル液を馴染ませた原料肉をファイブラスケーシングに充填し、60℃で60分間の乾燥、70℃で30分間のスモーク、75℃で30分間の蒸煮を行い、本発明の食肉加工品であるボンレスハムを得た。製したボンレスハムは肉質が柔らかく、ジューシーで非常に好ましかった。なお、加工卵白の配合量は、原料肉100部に対し、固形分換算で14.9部だった。
【0073】
以上の結果より、本発明品用加工卵白を配合した食肉加工品は、加熱処理後も、肉質が柔らかく好ましかった(実施例1〜4)。原料肉100部に対し、本発明品用加工卵白を固形分換算で0.5〜15部の範囲で配合した場合に肉質はさらに柔らかく、ジューシーで非常に好ましかった(実施例1、2、4)。一方、本発明品用加工卵白を食肉加工品に配合しない場合は、肉質の柔らかさが劣り好ましくなかった(比較例1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を配合することを特徴とする食肉加工品。
【請求項2】
上記加工液卵白が、卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合した卵白混合液をpHが3.8〜4.5となるように乳酸発酵し、次いで加熱殺菌し、該殺菌発酵液を30〜55℃に冷却した後、均質化処理を施して得られる加工液卵白である請求項1記載の食肉加工品。
【請求項3】
上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を配合する請求項1又は請求項2記載の食肉加工品。
【請求項4】
上記加工液卵白又は上記加工乾燥卵白の配合量が、原料肉100部に対し、固形分換算で0.5〜15部である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の食肉加工品。
【請求項5】
卵白蛋白質2〜8%及び食用油脂5〜20%を配合し、粘度が800mPa・s以上(品温10℃)、pHが3.8〜4.5、平均粒子径が40μm以下である水中油型乳化物からなる加工液卵白であって、該加工液卵白が乳酸発酵されてなる加工液卵白を有効成分として含有することを特徴とする肉質改質材。
【請求項6】
上記加工液卵白に乾燥処理を施して製した加工乾燥卵白を有効成分として含有する請求項5記載の肉質改質材。


【公開番号】特開2011−88(P2011−88A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147249(P2009−147249)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】