説明

食肉移送用スクリューコンベヤ

【課題】スクリューコンベヤを形成するスクリューがシリンダー内で遊動することなく食肉をスムーズに移送することが可能で清掃、点検も容易な食肉移送用スクリューコンベヤを提供する。
【解決手段】水平スクリューコンベヤ2の出口部に垂直スクリューコンベヤ5を直交させて連結した食肉移送用スクリューコンベヤにおいて、水平スクリューコンベヤ2の出口部に食肉の通過口を有した水平スクリューコンベヤ2を構成するスクリュー3の先端部を支承する軸受具10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍肉切削機などで切削された食肉をチョッパーへ、あるいは、チョッパーで粗挽きされたミンチを次工程のミキサー又は仕上用チョッパーなどへ移送する食肉移送用スクリューコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術には、本出願人による実公昭62−7105号公報(特許文献1)および実開平6−76222号公報(特許文献2)に開示されたものがある。
これらの公報に記載されたスクリューコンベヤを用いた移送装置においては、水平スクリューコンベヤの出口部に垂直スクリューコンベヤを直交させ連結している。
【0003】
上記何れの公報においても、水平スクリューコンベヤのスクリューは、出口部において自由状態とされている。従って、運転中においてスクリューがシリンダー内を遊動してスクリューの外周がシリンダーの内壁と干渉しその際に発生した切粉が、食肉に混入するおそれがあった。
【特許文献1】実公昭62−7105号公報
【特許文献2】実開平6−76222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した従来技術における問題点に対応するとともに、清掃、点検が容易な食肉移送用スクリューコンベヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上部にホッパーが設けられた水平スクリューコンベヤの出口部に垂直スクリューコンベヤを直交させて連結した食肉移送用スクリューコンベヤにおいて、前記水平スクリューコンベヤのシリンダー出口部と垂直スクリューコンベヤのシリンダーとの突き合せ部付近における垂直スクリューコンベヤのスクリューの外周に近接した位置に、水平スクリューコンベヤのスクリューの先端部を支承する軸受具が設けられ、該軸受具には食肉の通過口が開口されるとともに、軸受具に対し前記スクリューの先端部が挿脱可能に構成された食肉移送用スクリューコンベヤとする。
【0006】
また、前記垂直スクリューコンベヤのシリンダーが、軸線方向に分割された一対の部材により構成され部材の一方を水平スクリューコンベヤ側に固着し他方を一方の部材に対して回動可能に支承する構成であって、前記シリンダーが回動された状態で前記軸受具と水平スクリューコンベヤのスクリューとを前記シリンダー側に抜き取ることが可能に構成された食肉移送用スクリューコンベヤとする。
【0007】
さらに、前記軸受具は、水平スクリューコンベヤのシリンダー先端部の内壁に嵌脱自在に嵌め込まれる外環と水平スクリューコンベヤのスクリュー先端部を支持する中心部に設けられたボス部とで構成され、前記外環とボス部とはアームによって連結されていてアームを除いた空間部は食肉の通過口として開口される。
【0008】
前記軸受具に形成されたアームの端面と、水平スクリューコンベヤのスクリューの端面とは、少なくとも移送される食肉片の厚み寸法以上の隙間を有して対向するよう構成される。
【発明の効果】
【0009】
水平スクリューコンベヤの出口部に垂直スクリューコンベヤを直交させて連結した食肉移送用スクリューコンベヤにおいて、水平スクリューコンベヤの出口部にスクリューの先端部を支承する軸受具を設けたので運転中にスクリューが遊動することなくスクリューの外周とシリンダーの内壁とが干渉するおそれがない。
【0010】
軸受具は、垂直スクリューコンベヤのスクリューの外周に近接した位置に設けられているので移送中の食肉が停滞することが少なく水平スクリューコンベヤから垂直スクリューコンベヤへとスムーズに引き継がれる。
【0011】
また、垂直スクリューコンベヤのシリンダーが、軸線方向に分割され一方を回動させた状態で軸受具と水平スクリューコンベヤのスクリューとをシリンダー側に抜き取ることが可能に構成されているので垂直スクリューコンベヤのシリンダーを外さなくとも水平スクリューコンベヤのスクリューを前記回動させたシリンダー側から機外に取り出すことが可能で清掃、点検が楽にできる。
【0012】
さらに、軸受具は、外環と中心部に設けられたボス部とで構成され、外環とボス部とはアームによって連結されていて、アームを除いた空間部は食肉の通過口として開口されているので食肉の移送を妨げない。
【0013】
軸受具のアームの端面と、水平スクリューコンベヤのスクリューの端面とは、少なくとも移送される食肉片の厚み寸法以上の隙間を有して対向するよう構成されているので、移送される食肉片が隙間に挟まれロックすることがないのでスムーズな搬送ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を実施するための最良の形態について図面を対照して説明する。
【0015】
図1は本発明装置の実施例における要部の側面図で、図2は同図におけるA−A断面の要部のみを示す図である。
【0016】
図1に示すように、ホッパー1の底部に沿って水平スクリューコンベヤ2が設けられ、水平スクリューコンベヤ2を構成する螺旋状のスクリュー3の一端(図1では右側)は公知の構成なので図示を省略したが、機体に据え付けられているモータに連結された駆動軸に、軸方向には可動な係合手段で連結され回転可能とされている。
【0017】
また、水平スクリューコンベヤ2の出口側(図1では左側)のホッパー1の側壁からは水平スクリューコンベヤ2のシリンダー(外筒)4が一体的に延設されている。
【0018】
水平スクリューコンベヤ2の出口部には、垂直スクリューコンベヤ5が直交して連結される。
即ち、水平スクリューコンベヤ2のシリンダー4の出口部が、垂直スクリューコンベヤ5のシリンダー6の側壁に両コンベヤ2、5の軸心線を交差させて突き合わされた状態で連結される。
【0019】
垂直スクリューコンベヤ5を構成する螺旋状のスクリュー7は、底部に設けられた駆動装置8から突設された駆動軸9に挿脱可能とされ、図示しないが排出口付近が支持された状態で回転可能に支承されている。
【0020】
水平スクリューコンベヤ2のシリンダー4の出口部と垂直スクリューコンベヤ5のシリンダー6との突合せ部付近であって、垂直スクリューコンベヤ5のスクリュー7の外周に近接した位置に本発明の要旨である水平スクリューコンベヤ2のスクリュー3の先端部を支承する軸受具10が設けられる。
【0021】
図2に示すように軸受具10の移送方向側端面が、垂直スクリューコンベヤ5のスクリュー7の外周に近接する位置に設けられるので、軸受具10に形成された通過口を通過しようとする食肉片を垂直スクリューコンベヤ5のスクリュー7が引き出す。
【0022】
軸受具10は、水平スクリューコンベヤ2のスクリュー3の外径寸法程度の内径寸法と適宜巾寸法を有したリング状の外環11と、中心部に設けられたスクリュー3の先端部を支持するボス部12と、外環11とボス部12とを連結する適宜個数のアーム13・・で構成される。
【0023】
外環11の内壁面とボス部12の外周面とで形成されるドーナツ状の空間の内、アーム13・・で占められる部分を除いて食肉の通過口とされる。アーム13・・は、通過障害とならないように図2に示される断面形状が扁平な平板状とされ、食肉が取り込み易いように流れ方向に適宜のすくい角を有して形成される。
【0024】
軸受具10は、垂直スクリューコンベヤ5のシリンダー6の内側からシリンダー4の内壁に嵌脱自在とされる。
【0025】
軸受具10の外環11の外周の複数箇所には詳細表示は省略するが、ありみちが刻設されていて、軸受具10がシリンダー6の内側からシリンダー4の内壁に嵌め込まれたとき、ありみちがシリンダー4から突設された位置決めピン14・・と契合して定位置に固定される構成である。
【0026】
ボス部12には、スクリュー3の先端部を支持する支持ピン15がねじなどによって一体的に固着され支持ピン15とスクリュー3の先端部に形成された軸受穴とは緩く嵌合し挿脱可能とされる。
逆に、支持ピン15をスクリュー3の先端部に固着し、軸受具10に軸受穴を形成するようにしても良い。
【0027】
軸受具10に形成されたアーム13・・の端面と、水平スクリューコンベヤ2のスクリュー3の端面とは、少なくとも移送される食肉片の厚み寸法以上の隙間Cを有して対向するよう構成させる。
これは食肉片が隙間Cに挟まれてロック状態となり過大負荷が発生して各部の破損や運転停止となるなどの問題発生を防止するためである。
【0028】
本実施例においては、垂直スクリューコンベヤ5のシリンダー6は公知(例えば実公平2−40022)のように、軸線方向に分割された一対の部材6aおよび6bにより構成され、一方の部材6bを水平スクリューコンベヤ2側に固着し、他方の部材6aを部材6bに対して図2の仮想線表示のように回動可能に支承する構成としている。
【0029】
軸受具10が取り付けられるシリンダー4とシリンダー6との突き合せ部の構成は、シリンダー6の固定側部材6bが、シリンダー4との突き合せ部分近くで上下に分割され下側の部材はシリンダー4と一体構成とされる。尚、分割部分はボルトなどで締結され上側の部材が取り外せる構成とされる。
【0030】
上述のように構成された食肉移送用スクリューコンベヤにおける作業終了後の清掃要領について説明する。
【0031】
先ず、垂直スクリューコンベヤ5のシリンダー6の回動側部材6aを回動させてシリンダー6を開放状態とし、スクリュー7を取り外す。
ついで軸受具10を回動させて、ありみちと位置決めピン14・・との契合を解き軸受具10をシリンダー6の内側から機外に抜き出す。
最後にスクリュー3を、シリンダー6を経て機外に抜き出し各部品および食肉が通過した部分を、圧力水などを用いて洗浄し清掃する。
【0032】
スクリュー3は、汚れ具合によっては機外への抜き出しは行わず、軸受具10のみを外した状態で清掃しても良い。
【0033】
詳細は表示しないが、シリンダー4とシリンダー6とを、突き合せ部で接離可能として、軸受具10をシリンダー6側に取り付けた構成とし、清掃時には、垂直スクリューコンベア5を水平スクリューコンベヤ2の軸線方向にスライドさせて、軸受具10とスクリュー3の先端部との係合を解き、垂直スクリューコンベヤ5を水平スクリューコンベヤ2から分離してからスクリュー3を機外に抜き取るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明装置の実施例における要部の側面図。
【図2】図1におけるA−A断面の要部のみを示す図。
【符号の説明】
【0035】
2 水平スクリューコンベヤ
3 水平スクリューコンベヤのスクリュー
4 水平スクリューコンベヤのシリンダー
5 垂直スクリューコンベヤ
6 垂直スクリューコンベヤのシリンダー
7 垂直スクリューコンベヤのスクリュー
10 軸受具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にホッパーが設けられた水平スクリューコンベヤの出口部に垂直スクリューコンベヤを直交させて連結した食肉移送用スクリューコンベヤにおいて、前記水平スクリューコンベヤのシリンダー出口部と垂直スクリューコンベヤのシリンダーとの突き合せ部付近における垂直スクリューコンベヤのスクリューの外周に近接した位置に、水平スクリューコンベヤのスクリューの先端部を支承する軸受具が設けられ、該軸受具には食肉の通過口が開口されるとともに、軸受具に対し前記スクリューの先端部が挿脱可能に構成されたことを特徴とする食肉移送用スクリューコンベヤ。
【請求項2】
前記垂直スクリューコンベヤのシリンダーが、軸線方向に分割された一対の部材により構成され部材の一方を水平スクリューコンベヤ側に固着し他方を一方の部材に対して回動可能に支承する構成であって、前記シリンダーが回動された状態で前記軸受具と水平スクリューコンベヤのスクリューとを前記シリンダー側に抜き取ることが可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の食肉移送用スクリューコンベヤ。
【請求項3】
前記軸受具は、水平スクリューコンベヤのシリンダー先端部の内壁に嵌脱自在に嵌め込まれる外環と水平スクリューコンベヤのスクリュー先端部を支持する中心部に設けられたボス部とで構成され、前記外環とボス部とはアームによって連結されていてアームを除いた空間部は食肉の通過口として開口されていることを特徴とする請求項1または2に記載の食肉移送用スクリューコンベヤ。
【請求項4】
前記軸受具に形成されたアームの端面と、水平スクリューコンベヤのスクリューの端面とは、少なくとも移送される食肉片の厚み寸法以上の隙間を有して対向するよう構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の食肉移送用スクリューコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−51663(P2009−51663A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252583(P2007−252583)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000152815)株式会社日本キャリア工業 (61)
【Fターム(参考)】