説明

飲料ディスペンサ

本発明は、温かいインスタント飲料を準備するための飲料ディスペンサ(400)に関わる。この飲料ディスペンサは、温水のための加熱装置と、インスタント材料のための容器ホルダ(40)と、前記インスタント材料を前記温水に混合するためのミキシング装置と、準備された飲料を吐出するためのノズル(49)とを有する。前記加熱装置は、底壁(9)によって形成されている下壁と、天井壁(10)によって形成されている上壁と、これら壁間に延びる垂直な中心線(13)とを備えた二重壁(9、10、11)を有する、閉じられており断熱された容器(1)と、加熱部材(5)と、容器の内部(8)への入口開口部(14)から排出するための水入口(12)と、容器の前記内部の出口開口部(16)から排出するための水出口(15)とを有する。前記加熱部材は、容器の前記内部の前記底壁(9)から距離(A)上方に配置されている。前記入口開口部は、前記加熱部材より低い位置に、前記出口開口部は、前記加熱部材より高い位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
温水のための加熱装置と、
インスタント材料のための容器ホルダと、
前記容器ホルダからのインスタント材料と前記加熱装置からの温水とを混合するためのミキシング装置と、
飲料を吐出するためのノズルと、
を具備する、温かいインスタント飲料を準備するための飲料ディスペンサに関わる。
【背景技術】
【0002】
このような飲料ディスペンサは、例えば特許文献1によって周知である。周知の飲料ディスペンサは、短い待ち時間で温かいインスタント飲料を吐出するために、常時温水を吐出するように設定された加熱装置を有している。この加熱装置中の水が、所望の温度で長く保管されると、比較的多くのエネルギーを消費する熱損失を招く。更に、温水が使用のために吐出されたときに、前記加熱装置には、新しい水が再び満たされなければならず、またこの水は、所望のレベルに吐出される温水の温度を保つために、すばやく加熱されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】NL1013769
【発明の概要】
【0004】
本発明は、請求項1の前文に関する飲料ディスペンサであって、この飲料ディスペンサから温かい飲料が吐出された場合であっても、所望の温度を有する一定量の温水の吐出が、有効な方法で為される飲料ディスペンサを提供することを、意図している。
【0005】
本発明の更なる目的は、容易に製造され得、動作の確実性を有する飲料ディスペンサを提供することである。特別な目的は、二重壁を備えた容器を有する飲料ディスペンサを提供することであり、周囲への漏れの可能性が、前記二重壁中に収容されている絶縁材によって、もしくは、前記二重壁間に生じる圧力によって、減じられる。
【0006】
前記目的は、本発明に従えば、温かいインスタント飲料を準備するための飲料ディスペンサを提供することによって、果たされる。この飲料ディスペンサは、
温水のための加熱装置と、
インスタント材料のための容器ホルダと、
前記容器ホルダからのインスタント材料と前記加熱装置からの温水とを混合するためのミキシング装置と、
飲料を吐出するためのノズルと、
を具備し、本発明に係る飲料ディスペンサは、
底壁によって形成されている下壁と、天井壁によって形成されている上壁と、前記下壁と上壁との間を垂直に延びている垂直な中心線とを備えた容器の壁によって全側を囲まれている閉じられた容器と、
加熱部材と、
入口開口部を通して前記容器の内部に排出するための水入口と、
出口開口部を通して容器の内部から排出するための水出口と、
を具備する加熱装置であり、
前記加熱装置は、容器の内部の前記底壁から所定の距離で離間されて上方に配置されており、
前記入口開口部は、垂直方向で、前記加熱部材の下方にあり、
前記出口開口部は、垂直方向で、前記加熱部材の上方にあり、
前記容器の壁は、被挿入部中に受けられる挿入体を有しており、この挿入体は、前記容器の壁の残りの部分から独立して形成されており、またこの挿入体は、前記容器の壁に直交する方向に、容器の外部から容器の内部へと延びており、温度センサと、水入口と、加熱部材と、水出口とのような容器の内部にある部材用の少なくとも1つのダクトが、前記挿入体中にある。
【0007】
閉じられた容器と、加熱部材と、容器への水入口と、容器からの水出口とを有する加熱装置によって、容器中に温水を有することと、温水が前記出口から吐出されたときに前記入口から水吐出部を再び満たすこととが、可能となる。前記加熱部材によって、容器中の水の温度が、所望の温度に保持されるか、新しい水が入った時に、水が所望の温度にされる。本発明に従えば、前記加熱部材は、容器の内部の、この容器の底壁から上方に離間されて設けられている。前記水入口の前記入口開口部は、容器中の前記加熱部材の下方に設けられており、また、前記水出口の前記出口開口部は、前記加熱部材より高い位置に設けられている。周知のように、熱は上昇する傾向があり、この結果、温かい液体の層は、冷たい液体の層の上にある傾向がある。前記出口が容器から温水を吐出するために通る前記出口開口部を前記加熱部材の上方に設けることによって、温水が容器の比較的温かい部分から吐出されることを確実にする。新しい水が容器に与えられるために通る前記入口開口部を前記加熱部材の下方に設けることによって、容器の比較的高温の部分中にある水の温度への影響が、比較的制限されながら、新しい水が、容器中の比較的冷たい部分中に吐出される。新しく比較的冷たい水は、物理的な相互作用の結果、容器の底壁側へと流れる。前記比較的冷たい水を容器の下側の部分中に吐出することによって、前記新しい水が前記出口開口部の近くの温かい層を通らないことと、飲料の準備のための吐出に使用される温水が冷却されるのを防ぐこととが、果たされる。前記水出口と水入口との間に加熱部材を設けることによって、容器の底壁部分中からの冷水が、容器の比較的温かい/加熱された部分中まで上昇する前に、前記加熱部材を通らなければならない。このことは、有効な方法によって所望の温度で準備される飲料のために、温水の「直接吐出」を可能にする。このことは、温かい飲料を吐出するための待ち時間を制限することによって、高度な使い心地の良さをもたらすだけでなく、減じられたエネルギー消費ももたらす。
【0008】
製造のために、前記天井壁もしくは底壁に、すべてのダクトを設けることが有効である。前記ダクトは、独立して形成された前記挿入体を通る。この挿入体は、挿入体を通るように前記ダクトを配置した後に、容器の壁中の被挿入部にあるプラグと同様に、ほぼ全体が固定される。この点において、前記容器の壁は、完全にもしくはほぼ完全に閉じられるように設定されている。この効果は、容器が二重壁を有する容器であり、空間が真空である場合、特に実際的な価値を有する。また、この効果は、前記空間が絶縁ガスによって充填されている場合に、有効である。このガスは、詳しくは、空気とは異なるガスである。このことは、前記挿入体を挿入するためだけの前記容器の壁を通る通路を形成することを可能にする。この1つの通路は、容器の製造の間に形成され得る。熱漏れを防ぐ密度のような前記容器の壁の一体性に影響を及ぼすような前記通路を形成することは、以後必要ない。類似した容器の二重壁の一体性に影響が及ぶと、このことは、この容器の絶縁特性の損失もしくは部分的な損失をもたらし得る。できる限り前記ダクトを、挿入体を通るように配置することによって、また、この挿入体全体を前記容器の壁中の被挿入部中に固定することによって、前記容器の壁の一体性に影響を及ぼすことが、完全に妨げられる。容器の内部にある部材間の縦の相互関係(即ち、本発明に従えば、前記入口開口部は、前記加熱部材より下側にあり、前記出口開口部は、前記加熱部材より上側にあるという縦の相互関係)のために、容器の前記底壁にもしくは容器の前記天井壁に前記挿入体を配置することが、有効である。以下に説明される理由のために、前記入口用のダクトと、前記加熱部材用のダクトと、前記温度センサ用のダクトと、従って前記挿入体に関しては、これらを前記底壁に位置づけることが好ましい。
【0009】
本発明に従って熱損失を減じるために、容器の外の状態に対して容器の前記内部を断熱することによってこの容器をほぼ断熱することが有効である。このような断熱自体は、加熱装置に関して周知であり、断熱フォームもしくは他の材料中で容器をパックキングすることによって、与えられ得る。
【0010】
容器の断熱は、本発明に従えば、容器に二重壁を設けることによって、果たされる。前記二重壁間に、断熱材が設けられ得る。また、前記二重壁間の空間を、ガスもしくは真空状態によって満たすことが可能である。(真空状態とは、断熱の技術に従えば、ガスの無い状態ではなく、周囲の気圧より低い気圧を指す。)ガスが充填され且つ真空状態の二重壁を有する容器に関しては、二重壁を備えた容器の壁の少なくとも1つを、金属の層、特に銅を含む金属のコーティングのような熱反射層によって覆うことが、更に有効である。前記二重壁の内側の空間に前記コーティングを設けることが、実際的である。ガラスの壁の場合、前記層は、前記両壁のうちの一方に面している側に設けられるコーティングを通例含む。金属の壁の場合、前記層は、前記空間に設けられている熱反射フォイルであり得る。
【0011】
本発明に従えば、前記水入口用のダクトを前記底壁に設けることが、有効である。このダクトは、熱ガイドとなり、この熱ガイドを通って、他の断熱された容器からの熱が、外部に流出することができる。容器の比較的冷たい部分である下側の部分に前記水入口用のダクトを設けることによって、熱の漏れが最小限に抑えられ得る。
【0012】
また、前記加熱部材は、特にこの加熱部材が停止されている時に、容器からの熱漏れの原因となり得る。同様の理由で、本発明に従えば、前記加熱部材用のダクトを前記底壁に設けることが有効である。
【0013】
また、前記温度センサは、容器からの熱漏れの原因となり得る。同様の理由で、本発明に従えば、容器の内部に少なくとも1つの温度センサが設けられている前記加熱装置を提供することと、前記少なくとも1つの温度センサ用のダクトを前記底壁に設けることとが、有効である。
【0014】
更に、前記水出口もまた、前記容器からの熱漏れの原因となり得る。同様の理由で、本発明に従えば、前記底壁に前記水出口用のダクトを設けることが、有効である。容器の比較的温かい部分から発生して前記水出口によって導かれる熱は、前記底壁に至るまでに、前記容器の比較的冷たい部分を最初に通らなければならず、この熱が容器の外部に達するまでに、容器の比較的温かい部分から受ける熱の一部が、伝えられる。前記水出口に関しては、(前記水入口の入口開口部が容器の底壁にもしくはこの底壁の近くに位置されている場合は特に、)前記底壁を通るのではなく、容器の前記天井壁を通るように前記ダクトを設けることが有効である、ということが重要である。このことは、容器と飲料ディスペンサとを、メンテナンスもしくはその他のために、単純な方法で空にすることを可能にし得る。
【0015】
本発明の更なる実施形態に従えば、前記加熱装置は、容器の前記内部に収容されている第1の温度センサと、容器の前記内部に収容されている第2の温度センサとを有している。これら両温度センサは、垂直方向で見ると、前記加熱部材より上方に設けられており、前記第1の温度センサは、垂直方向で見ると、前記第2の温度センサより前記加熱部材の近くに位置されている。前記加熱部材の近くに位置されている前記第1の温度センサは、容器中の温度の制御を可能にするように設定されている。前記第2の温度センサは、容器から吐出される水の状況に注意を払い、温度が低すぎないかどうかを監視するために、この温度を測定することができる。この温度が低すぎる場合、容器からの温水の吐出は、延期され得る。更に、前記第2の温度センサは、容器中の水を、この水が沸騰しないように常時観察するために使用され得る。この水の沸騰は、一般的に望ましくないと考えられている。
【0016】
前記加熱部材の精度の良い制御のために、本発明に従えば、前記第1の温度センサを、垂直方向で見て、前記加熱部材から最長2cm上方に設けることが、有効である。
【0017】
前記吐出部から吐出される前記温水の温度の精度の良い検出のために、本発明に従えば、前記第2の温度センサを、垂直方向で見て、前記出口開口部から最長2cm下方に設けることが、有効である。
【0018】
吐出された新しく比較的冷たい水を可能な限り前記底壁の近くに維持するために、そして、前記比較的冷たい水が比較的温かい領域に流れることを防ぐために、本発明に従えば、前記水入口の入口開口部を、水平方向に向けて、即ち下方に向けて設けることが、有効である。
【0019】
前記新しく比較的冷たい水を、容器中の可能な限り低い位置に吐出するために、更に、(容器中の前記底壁の近くの冷たい水の層と、前記天井壁の近くの温かい水の層との)前述の好ましい効果を最適化するために、本発明に従えば、前記入口開口部を前記底壁の近くに、好ましくは容器の最底部の近くに設けることが、有効である。
【0020】
本発明の更なる実施形態に従えば、前記加熱部材と前記底壁との間の距離は、35mm以下であり、好ましくは30mm以下であり、例えば25mmかこれ以下である。このことは、前記加熱部材が、容器の底壁の近くに集められる比較的冷たい水に達し得ることを、確実にし得る。
【0021】
本発明の更なる実施形態に従えば、前記加熱部材と前記底壁との規定の距離は、5mm以下であり、好ましくは少なくとも8mmであり、例えば15mmもしくはこれ以上である。このことによって、容器の前記底壁に、そして前記加熱部材の下に新しく比較的冷たい水を吐出して集めるための、且つこの水の温度を上げるために十分な大きさの空間(容量)が、提供され得る。
【0022】
前記比較的温かい水を容器の可能な限り高い位置に吐出するために、そして規定の好ましい効果を最適化するために、本発明に従えば、前記外側の開口部を前記天井壁の最長1cm下方に、好ましくは(この天井壁から下方に延びないように、)この天井壁に設けることが、有効である。
【0023】
本発明は、本発明の実施形態を概略的に示している図によって説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置の第1の実施形態の縦断面を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置の第2の実施形態の縦断面を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置の第3の実施形態の銃断面を概略的に示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る飲料ディスペンサの更なる概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置の第1の好ましい実施形態の概略図を示している。
【0026】
前記加熱装置100は、容器の壁9、10、11によってすべての側から囲まれている容器1を有している。前記容器の壁は、この容器の下壁を形成している底壁9と、この容器の上壁を形成している天井壁10と、前記底壁9と天井壁10とを接続している側壁11とを有している。この容器は、ほぼ閉じられている。使用時に、容器は、垂直に配置される。即ち、中心線13が、ほぼ垂直に配置される。更に、容器1は、二重壁を備えた容器であり、図1では、内壁2と、外壁4と、これらの間の中間層3とを備えた全体的に金属製の容器1である。断熱性を向上させるために、前記内壁2と前記外壁4との間の空間は、真空、即ち少なくとも空虚であるか気圧が比較的低い。前記中間の層3は、フォイルであり、このフォイルは、所定の位置に固定されるように、しかし前記外壁4の前記内壁2との接触が全くもしくはほとんど無いように、複数の位置に取り付けられている。前記中間の層3は、一般的に、前記内壁2と前記外壁4との間の空間を前記フォイル3の両側で2つの完全に分離された空間に分けることを、可能であるけれど行わない。前記断熱性を向上させるために、前記中間の層3は、特に熱反射フォイルとして、配置されている。前記中間の層3には、この目的のために、前記容器に面している側に、金属層の、特に銅を有する金属層のコーティングが、与えられている。
【0027】
更に、前記加熱装置は、全体が容器1の前記内部8中に配置されており容器1の外側即ち容器1の外側の環境30に電力端子6と電力端子7とを有している電子加熱部材5を、更に有している。前記加熱部材5(の下側部分)から容器1の前記底壁9までの距離Aは、図示されているこの実施形態では、約15mmである。
【0028】
容器1の下側には、容器中に少なくとも1つの入口開口部14を有する水入口12が、設けられている。この入口開口部14は、好ましくは径方向に、即ち前記中心線13に直交するように開かれており、また、複数の入口開口部14を含み得る。前記入口開口部14は、前記加熱部材5の下方に位置されている。
【0029】
容器1の上側には、出口開口部16を有する水出口15が、設けられており、前記出口開口部16を通って、温水が、容器から、温かい飲料の準備に使用されるために、前記水出口中へと流れる。前記出口開口部16は、天井壁10と同一平面上に位置されており、即ち、少なくとも前記天井壁10の内周の内側に位置されている。
【0030】
容器1中には、第1の下側の温度センサ17と第2の上側の温度センサ18とが、収容されている。前記第1の温度センサ17は、支持部19に取り付けられており、前記加熱部材の上方に距離Bで離間されて配置されるように設定されている。この距離Bは、2cm以下であり、例えば1cmである。前記第2の温度センサ18は、支持部20に取り付けられており、前記出口開口部16の下方に距離Cで離間されて配置されるように設定されている。この距離Cは、2cm以下、例えば1cmである。
【0031】
単純な組み立てを可能にするために、前記加熱部材8のダクト22、23、24、25、26と、前記両温度センサ17、18と、前記水入口12とが、挿入体21を通っているか、この中に収容されている。この挿入体21は、独立した部分であり、プラスチックか、金属か、他の材料によって形成され得る。この挿入体が容器の底壁の被挿入部28中に取り付けられる前に、前記加熱部材5と、前記温度センサ17、18と、前記水入口12とは、前記挿入体に固定され、即ち、これら部材は、前記挿入体を通って挿入体に固定される。取り付けられた前記加熱部材5と、前記温度センサ17、18と、前記水入口12とを有する前記挿入体21は、容器1の前記底壁9の底全体に取り付けられている。
【0032】
容器の壁に直交する方向に、前記挿入体は、容器1の外部30から容器1の内部8中へと(即ち、この内部に組み入るように)、延びている。容器がステンレス鋼のような金属によって形成されている場合、前記挿入体は、好ましくは前記容器の壁が形成されている金属によって、特にステンレス鋼のような同じ金属によって、形成されている。前記挿入体は、前記被挿入部中に(硬質)はんだ付けされているか、溶接されている。硬質はんだ付けの場合、銀が使用され得る。容器1の壁2、4と同じ材料によって前記挿入体21を製造することによって、異なる膨張率によって生じる問題が防がれ、容器1の前記壁2、4と前記挿入体21との間の(漏れの原因となる)独立したガスケットを、失くすことが可能となる。
【0033】
図2は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置200の第2の実施形態を示している。前記加熱装置は、別個の参照符号200によって示されているが、しかしながら、便宜上、図1に類似した部分に対しては、同じ参照符号が使用されている。加熱装置200と加熱装置100との主な違いは、前記加熱装置200には、加熱部材5と、温度センサ17、18と、水入口12と、水出口15とのすべてのダクトが、前記天井壁10を通るように、特に図1の前記挿入体21に類似した挿入体21を通るように、配置されている。指摘した最も重要な違いに関係しない他の小さな違いは、容器1の容器の壁である。この容器の壁は、二重壁であるが、中間層が無く、取り付けフレーム27が、飲料ディスペンサ中の取り付けのために容器1の周りに設けられている。加熱装置200の容器1は、特にガラスによって形成されている。加熱装置200に対する加熱装置100の効果は、加熱装置100が、容器を傾けることもしくは逆さまにすることを必要とせず、この容器を比較的簡単に空にすることができることである。加熱装置100の更なる効果は、前記ダクトが、容器の底壁部分に、即ち、容器中に保管されている加熱された水が比較的最も冷たい容器の部分中に、設けられていることである。前記ダクトによる熱漏れ(/熱損失)が、加熱装置200に対して加熱装置100では少ない。前記加熱装置200は、容器が上側の断熱された前記壁を通る通路を1つだけ有する、という効果を有している。このような通路は、前記加熱装置の温度調整において、特に真空によって絶縁されている二重壁を有する容器に対して、弱い連結(a weak link)を成す。
【0034】
図3は、本発明に係る飲料ディスペンサのための加熱装置300の第3の実施形態を示している。この加熱装置は、別個の参照符号300によって示されているが、しかしながら、便宜上、図1及び図2に類似した部分に対しては、同じ参照符号が使用されている。加熱装置300の前記容器1は、詳しくは、ガラスによって形成されている。図2の加熱装置200との主な違いは、挿入体21が、加熱装置300中の底壁9の近くに設けられていることと、加熱部材5が前記挿入体21の近くに位置される結果として、入口と出口とが、図2に係る実施形態に対して、相互に交換されることとである。
【0035】
温水が、加熱装置100、200、300の上側の領域から水出口15を通って出される即ち吐出されると、同時に、もしくはこの直後に、新しい比較的冷たい水が、水入口12から吐出され得る。吐出された比較的冷たい水は、容器中の温かい水と混合されない、あるいは、混合される方法が制限される。このことは、容器の上部中に既にある温水が、取り出された温水とおおよそ同じ温度を保つことを確実にする。温水の第1の吐出の直後に、温水の次の吐出分が、容器から取り出され得る。容器の底壁の近くで吐出された比較的冷たい水が、この底壁から上昇した時に前記加熱部材を通り抜け、所望の温度に加熱され、この所望の温度で前記加熱部材の上方に達し、更に上昇する。
【0036】
図1、図2、図3に係る二重壁を有する容器は、いかなる断面を有していても良いが、これらの断面(即ち前記垂直中心線13に直交する面)は、図1及び図2と対応してほぼ円形であり得る。
【0037】
これまで、本発明に係る加熱装置が、説明されてきた。前記加熱装置は、本発明に従った飲料ディスペンサと組み合わされて使用されるように特に意図されているが、また、他の適用に使用されることもできる。また、本発明は、飲料ディスペンサから独立した加熱装置を、もしくは他の装置を含む。また、本発明は、図1、図2、図3に示されているような実施形態を含む。
【0038】
図4は、本発明に係る飲料ディスペンサ400を概略的に示している。この飲料ディスペンサ400には、図1に従った加熱装置100が設けられているが、図2に従った加熱装置200、もしくは図3に従った加熱装置300、もしくは他の加熱装置が、図示されている前記加熱装置に取り換えられ得ることが、明らかである。
【0039】
この飲料ディスペンサ400は、加熱装置100と、コーヒー、紅茶、牛乳、スープなどのようなインスタント飲料の準備のための容器ホルダ40と、ミキシング装置46と、準備された飲料を例えばカップ50に吐出するためのノズル49と、飲料ディスペンサ400を制御するための制御装置41と、パワーネットに接続するためのプラグ42とを、具備している。複数の制御ワイヤが、誇張して(with stretch)図示されており、独立した参照符号を有していない。
【0040】
水入口12には、新しく比較的冷たい水を容器1に吐出するための且つ水の制御を可能にするための、前記制御装置41に1つのワイヤによって接続されているポンプ即ち弁43が、設けられている。同様に、水出口15には、容器1からの温水の取り出しを制御するように、制御装置41に1つのワイヤによって接続されているポンプ即ち弁44が、設けられている。
【0041】
温水は、ミキシング装置46に運ばれる。インスタント材料は、容器ホルダ40からこのミキシング装置に吐出される。この吐出は、パイプ51によって為され、移送装置45を操作する前記制御装置によって制御される。
【0042】
前記ミキシング装置46中では、温水とインスタント材料とが、ノズル49を通してカップ50に吐出される所望のインスタント飲料を準備するように、一緒に混合される。前記ミキシング装置46は、ミキシング工程を制御するために、制御装置41によって制御されるモータ48によって駆動されるロータ47を有し得る。
【0043】
前記温度センサ17、18は、信号ワイヤによって前記制御装置41に接続されている。前記温度センサ17は、加熱部材5を制御装置41によって制御するために、使用され得る。前記温度熱センサ18は、種々の目的のために、使用され得る。この温度センサ18は、前記容器の上側の領域中の温水の温度を測定することを可能にする。温水が求められない場合、信号は、前記加熱部材の「補助の」制御のために使用され得る。温水が求められる場合、温度センサ18からの信号は、吐出される水の温度を確認するために使用され得る。温水の温度があまりに低い場合、温水の吐出は、十分な加熱が果たされるまで、延期され得る。更に、温度センサ17及び/もしくは温度センサ18は、容器中での水の沸騰を防ぐために、使用され得る。容器中での水の沸騰は、望ましくない。沸騰が検出されると、前記制御装置は、例えば前記加熱装置を停止させることによって処置し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温かいインスタント飲料を準備するための飲料ディスペンサ(400)であって、この飲料ディスペンサ(400)は、
温水のための加熱装置(100、200、300)と、
インスタント材料のための容器ホルダ(40)と、
前記容器ホルダ(40)からのインスタント材料と、前記加熱装置(100、200)からの温水とを、混合するためのミキシング装置(46)と、
前記飲料を吐出するためのノズルと、を有する装置において、
前記加熱装置(100、200、300)は、
底壁(9)によって形成されている下壁と、天井壁(10)によって形成されている上壁と、前記下壁と上壁との間を垂直方向に延びている垂直な中心線(13)とを備えた容器の壁(9、10、11)によって全側を囲まれている閉じられた容器(1)と、
加熱部材(5)と、
入口開口部(14)による前記容器(1)の内部(8)への排出のための水入口(12)と、
出口開口部(16)による前記容器(1)の内部(8)からの排出のための水出口(15)と、
を具備し、
前記加熱装置(5)は、前記容器(1)の内部(8)中に前記底壁(9)から距離(A)で離間されて上方に配置されており、
前記入口開口部(14)は、垂直方向で、前記加熱部材(5)の下方にあり、
前記出口開口部(15)は、垂直方向で、前記加熱部材(5)の上方にあり、
前記容器の壁は、被挿入部(28)中に受けられる挿入体(21)を有しており、この挿入体(21)は、前記容器の壁の残りの部分から独立して形成されており、またこの挿入体(21)は、前記容器の壁(9、10、11)に直交する方向に、前記容器の外部(30)から容器(1)の内部(8)へと延びており、温度センサ(17、18)と、水入口(12)と、加熱部材(5)と、水出口(15)とのような容器の内部にある部材用の少なくとも1つのダクト(22、23、24、25、26)が、前記挿入体(21)中に入れられることを特徴とする、飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記挿入体(21)は、容器(1)の前記底壁(9)もしくは前記天井壁(10)内に設けられる、請求項1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項3】
前記容器(1)は、容器(1)の前記内部(8)を容器(1)の外の状況に対して断熱するためにほぼ断熱されている請求項1または2に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項4】
前記容器(1)は、ほぼ二重の壁を有する容器(1)である請求項3に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項5】
前記二重の壁は、二重の壁間に真空の空間を有している、請求項4に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項6】
前記水入口(12)用のダクト(26)は、容器(1)の前記底壁(9)に設けられている請求項1乃至5のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項7】
前記加熱部材(5)用の前記ダクト(22、23)は、容器(1)の前記底壁(9)に設けられている、請求項1乃至5のいずれか1、もしくは特に請求項6に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項8】
前記加熱装置(100、300)は、容器(1)の前記内部(8)に設けられた温度センサ(17、18)を有しており、少なくとも1つの前記温度センサ(17、18)用の前記ダクト(24、25)が、前記底壁に設けられている請求項1乃至7のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項9】
前記水出口(15)用のダクトは、前記底壁(9)に設けられている請求項1乃至8のいずれか1、特に請求項6乃至8のいずれか1に飲料ディスペンサ(400)。
【請求項10】
前記加熱装置(100、200、300)は、容器(1)の前記内部(8)中に収容されている第1の温度センサ(17)と、容器の前記内部(8)中に収容されている第2のセンサ(18)とを有しており、これら両温度センサ(17、18)は、前記加熱部材(5)の上方に、垂直方向に設けられ、前記第1の温度センサ(17)は、前記第2の温度センサ(18)よりも前記加熱部材(5)の近くに垂直方向で配置されている、請求項1乃至9のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項11】
前記第1の温度センサ(17)は、垂直方向で見て、前記加熱部材から2cm以下の距離(B)で離間された上方に、設けられている、請求項10に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項12】
前記第2の温度センサ(18)は、垂直方向で見て、前記出口開口部(16)から2cm以下の距離(C)で離間された下方に、設けられている、請求項10又は11に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項13】
前記入口開口部(14)は、前記底壁(9)に、もしくはこの近くに、好ましくは、前記底壁(9)の下側の部分に、配置されている、請求項1乃至12のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項14】
前記加熱部材(5)と前記底壁(9)との間の距離(A)は、35mm以下であり、好ましくは30mm以下、例えば、25mm以下である、請求項1乃至13のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項15】
前記加熱部材(5)と前記底壁(9)との間の距離(A)は、少なくとも5mmであり、好ましくは少なくとも8mm、例えば、15mm以上である請求項1乃至14のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項16】
前記出口開口部(16)は、前記天井壁(10)から最長1cm下方のところに、好ましくは前記天井壁(10)に、設けられている請求項1乃至15のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項17】
前記水入口(12)の前記入口開口部(14)は、水平方向に向けられているか、下方に向けられている請求項1乃至16のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1に記載の飲料ディスペンサ(400)の前記加熱装置に従って設定されており、請求項1乃至17のいずれか1に記載の飲料ディスペンサに特に適している加熱装置(100、200、300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−523390(P2011−523390A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511534(P2011−511534)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050291
【国際公開番号】WO2009/145625
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(508122091)ブレイビロア・ホールディング・ビー.ブイ. (9)
【氏名又は名称原語表記】Bravilor Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】Pascalstraat 20, NL−1704 RD Heerhugowaard, the Netherlands
【Fターム(参考)】