説明

飲料前駆体及びその製造方法

本発明は、その少なくとも4乾燥重量%の量でテアニンを含むことを特徴とする、紅茶葉を含む飲料前駆体を提供する。本発明は更に、i)テアニンを含む組成物で紅茶葉を被覆し、その少なくとも8乾燥重量%のテアニンを含む被覆された紅茶葉を生ずる工程;次いでii)被覆された紅茶葉を被覆されていない茶葉と混合する工程を含む、飲料前駆体の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶葉を含む飲料前駆体に関する。本発明はまた、紅茶葉を含む飲料前駆体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、紅茶葉を調製するために、Camellia sinensis植物の新鮮な緑葉を干し(摘んだ茶葉の水分を失わせ、特に芳香における化学的/生化学的変化をもたらす工程)、マセレーションし、発酵し(茶葉中の酵素が大気中の酸素を使用して各種の基質を酸化し、着色生成物を生ずる工程)、次いで高温で乾かす(酵素を不活性化するため)。緑茶の製造は、発酵工程を含まないが、「ウーロン茶」として既知の中間タイプのお茶を生産するためには、部分的発酵を使用しても良い。
【0003】
お茶は、温飲料または冷飲料(例えばアイスティー)として消費することができる。この飲料に独特の感覚刺激特性を与える茶葉中の数多くの化合物は、冷水中にわずかしか可溶性ではなく、それ故お茶は通常100℃に近い温度で湯中に煎出される。
【0004】
冷水可溶性のお茶は通常、紅茶の抽出によって得られる液体のスプレー乾燥によって調製される。しかしながら、この方法は、高温またはアルカリのような苦い化学物質での処理を必要とし、それは、味、色、及び芳香を含むお茶の属性に負に影響してしまう。
【0005】
WO 2005/067727(Unilever PLC等)は、容易に煎出可能であり、改善された赤色の着色を有するお茶生成物の製造方法に関する。この方法は、アスコルビン酸及び/またはその塩、酸化剤、及び水と紅茶葉を少なくとも5分間接触させ、その後乾燥する工程を含む。このお茶は、良好な赤色の着色を有する。この文献は更に、紅茶を好ましくは、乾燥の前に一つ以上のアミノ酸と接触させることを教示している。WO 2005/067727に開示された方法は、迅速に煎出され、良好な赤色の着色を有する紅茶葉の製造における顕著な改善をもたらすにも関わらず、お茶に天然で関連する化合物を使用する良好な煎出能力を有するお茶を生産する必要が存在している。消費者はますます、自然なイメージを感じられる生成物を求めており、特に人工添加物として感じられてしまう成分を含む生成物を避けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2005/067727
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
テアニンは、植物界において茶(Camellia sinensis)に独特に見出され、茶葉中で乾燥物質の約1重量%を含むアミノ酸である。
【0008】
本出願人は、紅茶葉と特定濃度のテアニンを混合することが、テアニンを酸化する必要及び/またはそれをアスコルビン酸で処理する必要なく、改善された煎出能力を有する組成物を生産できることを見出した。
【0009】
定義
飲料
ここで使用される用語「飲料」は、ヒトの消費に適した実質的に水性の溜飲可能な組成物を称する。
【0010】
飲料前駆体
飲料前駆体は、飲料を調製するのに適した加工組成物として定義される。
【0011】
お茶
本発明の目的のための「お茶」は、Camellia sinensis var. Sinensis及び/またはCamellia sinensis var. Assamica由来の物質を意味する。
【0012】
本発明の目的のための「茶葉」は、煎出されていない形態の茶の葉または茶の葉と茎の混合物を意味する。茶葉が茎を含む場合、茶葉は茎より高量の飲料を生産するため、茎の量は最小限に維持されることが好ましい。かくして、茶葉は少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは80から100重量%の茶の葉を含むことが好ましい。
【0013】
「紅茶葉」は、実質的に発酵された茶葉を称する。
【0014】
「発酵」は、特定の内因性酵素と基質とが、例えば茶葉のマセレーションによる細胞の機械的破壊によって共に混合された際にお茶が受ける酸化的工程及び加水分解工程を称する。この工程の間で、茶葉中の無色のカテキンは、黄色及び橙色から暗褐色のポリフェノール物質の複雑な混合物へと変換される。
【0015】
被覆
茶葉がある物質で「被覆」されたと記載された場合、これはこの物質が茶葉に対して外因性であるが、茶葉と接着する態様で茶葉と結合していることを意味するように解されるべきである。かくして、茶葉を被覆しているこの物質の少なくともあるものは、茶葉の表面に存在してよい(好ましくは表面に存在する)が、用語「被覆」は、茶葉内にこの物質が吸収されていることも包含する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の特徴点では、本発明は、その少なくとも4乾燥重量%の量でテアニンを含む、紅茶葉を含む飲料前駆体を提供する。
【0017】
本出願人は、比較的高濃度のテアニンを有する前駆体が、紅茶葉単独で典型的なテアニン濃度を有する前駆体と比較して、改善された煎出能力を有することを見出した。理論によって結び付けられることを期待しないが、本出願人は、テアニンが紅茶の着色ポリフェノール分画(例えばテアフラビン及び/またはテアルビジン)を可溶化するよう機能しているのであろうと思料する。
【0018】
本出願人は更に、テアニンが非常に高量で紅茶葉に吸収され、高濃度のテアニンで被覆された紅茶葉を製造可能であることを見出した。更にこの被覆された紅茶葉は、被覆されていない紅茶葉と混合し、その煎出能力を改善できる。
【0019】
かくして第二の特徴点では、本発明は、
i)テアニンを含む組成物で紅茶葉を被覆し、その少なくとも8乾燥重量%のテアニンを含む被覆された紅茶葉を生ずる工程;次いで
ii)被覆された紅茶葉を被覆されていない茶葉と混合する工程
を含む、飲料前駆体の製造方法を提供する。
【0020】
第一の特徴点の飲料前駆体を製造するために、いずれの適切な方法も使用できるが、有利には、第二の特徴点の方法が使用されて良い。かくして本発明は、第二の特徴点の方法によって得られた及び/または得ることができる、第一の特徴点の飲料前駆体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
飲料前駆体
テアニン:
前記前駆体は、少なくとも4乾燥重量%のテアニンを含む。紅茶葉の煎出能力を更に促進するために、前記前駆体は、その少なくとも6乾燥重量%、より好ましくは少なくとも8乾燥重量%、更により好ましくは少なくとも12乾燥重量%、最も好ましくは少なくとも20乾燥重量%の量でテアニンを含むことが好ましい。しかしながら、紅茶の親しまれた特性を保持するために、テアニンの濃度はあまり高くないほうが好ましい。かくして、テアニンの量は、前記前駆体の50乾燥重量%未満、より好ましくは40乾燥重量%未満、最も好ましくは35乾燥重量%未満であることが好ましい。
【0022】
L−テアニンは天然で存在している異性体であるため、テアニンはL型であることが好ましい。かくして、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは98から100%のテアニンがL−テアニンであることが好ましい。
【0023】
テアニンのあるものは、通常紅茶葉中に天然で存在しているであろう。しかしながら、煎出能力の促進に必要とされる高濃度を得るために、前記前駆体は、添加されたテアニン、即ち紅茶葉に対して外因性であるテアニンを通常含むであろう。典型的に、添加されたテアニンの量は、前駆体中の全テアニンの少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95から100%までであろう。添加されたテアニンは、合成テアニン、例えばTaiyo Corporation社製のSuntheanine(登録商標)を含んでよい。別法としてまたは追加例として、添加されたテアニンは、お茶抽出物、特にWO 2006/021317、WO 2006/037503、WO 2006/037511及び/またはWO 2006/037504の国際特許出願に記載されたもののような、テアニンで天然で富化されたお茶抽出物の一部であってよく、これらの特許出願は全体として参考としてここに取り込まれる。
【0024】
紅茶葉:
紅茶の親しまれた感覚刺激特性を最大化するために、前記飲料前駆体は、前駆体の少なくとも60乾燥重量%、より好ましくは少なくとも70乾燥重量%、最も好ましくは80から96乾燥重量%の量で紅茶葉を含む。
【0025】
紅茶葉は、添加されたテアニンに対するキャリアとして従来機能できる。かくして、好ましい実施態様では、紅茶葉の少なくともあるものは、テアニンの少なくともあるもので被覆される。例えば、前記前駆体中の全テアニンの少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95から100%は、紅茶葉の少なくともあるものを被覆できる。実質的に全ての添加されたテアニンが、紅茶葉の少なくともあるものを被覆することが特に好ましい。
【0026】
紅茶葉の全てがテアニンで被覆されても良い。しかしながら、紅茶葉はテアニンに対する従来のキャリアを提供しているが、被覆は茶葉の外観のような茶葉のある特性を改変し得る。本出願人は、被覆されていない茶と被覆された茶葉を混合することによって、促進された煎出能力を改変せずに、そのような影響を希釈できることを見出した。かくして好ましい実施態様では、前記前駆体中の被覆されていない茶葉に対する被覆された茶葉の重量比は、1:50から5:1、より好ましくは1:20から2:1、更により好ましくは1:10から1:1、最も好ましくは1:5から1:2である。
【0027】
他の成分:
前記前駆体は、バイオポリマー(デンプン及び/またはゴムを含む)、甘味料、酸、ポリフェノール、カフェイン、香料、またはそれらの混合物といった追加成分を含んでも良い。カフェインは前記前駆体から調製される飲料に対して苦味を添加し、それはテアニンのいずれかの非所望の味を除去するように機能できるため、カフェインが特に好ましい。更にカフェインは、テアニンの特定の生理学的効果を促進する。かくして好ましい実施態様では、前記前駆体はカフェインを含む。カフェインに対するテアニンの重量比は、好ましくは10:1から1:5の範囲、より好ましくは5:1から1:1.5の範囲である。
【0028】
促進された煎出能力はテアニンによって提供されるため、追加の煎出補助に対する必要は存在しない。かくして、前記前駆体は、添加されたアスコルビン酸、その塩、及び/または酸化生成物を含まないことが好ましい。前記前駆体は、添加された酸化剤を含まないことも好ましい。特に好ましい実施態様では、飲料前駆体の乾燥物質は、紅茶葉とテアニンとからなる。
【0029】
前記前駆体は、典型的に水を含むであろう。しかしながら、テアニンが特に水溶液中で分解する傾向を有するため、前記前駆体は実質的に乾燥していることが好ましい。かくして、前記前駆体は、その30重量%未満、より好ましくは1から10重量%の水を含むことが好ましい。
【0030】
製品形態及び実装
好ましい実施態様では、前記前駆体は、煎出された際に一回の飲料給仕を提供するのに十分な単位用量の形態で存在するであろう。例えば、前記前駆体の乾燥重量は、1から5g、より好ましくは1.5から3.5gの範囲であって良い。
【0031】
前記前駆体は茶葉を含むため、ティーバッグのような煎出実装品中に実装されることが特に好ましい。
【0032】
使用時は、前記飲料前駆体は、水性媒体と前記前駆体を接触させることにより、飲料を製造するように使用される。水性媒体は例えば、水、ミルク、またはそれらの混合物であって良い。
【0033】
方法
茶葉の被覆:
本発明の方法は、(i)テアニンを含む組成物と紅茶葉を接触させ、その少なくとも8乾燥重量%のテアニンを含む被覆された紅茶葉を生ずる工程を含む。
【0034】
被覆された紅茶場中の高量のテアニンは、比較的少量の被覆された茶葉のみを使用して、被覆された茶葉を被覆されていない茶葉と混合しながら、前記飲料前駆体の煎出能力をいまだ促進することを可能にする。かくして、被覆された紅茶葉は、その少なくとも10乾燥重量%、より好ましくは少なくとも15乾燥重量%、更により好ましくは少なくとも20乾燥重量%、最も好ましくは25から60乾燥重量%のテアニンを含むことが好ましい。
【0035】
テアニンのあるものは、通常紅茶葉中に天然で存在しているであろう。しかしながら、典型的に、テアニンを含む組成物中のテアニンは、被覆された紅茶葉中の全テアニンの少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは95から100%までであろう。
【0036】
テアニンを含む組成物は、合成テアニン、例えばTaiyo Corporation社製のSuntheanine(登録商標)を含んでよい。別法としてまたは追加例として、テアニンを含む組成物は、お茶抽出物、特にWO 2006/021317、WO 2006/037503、WO 2006/037511及び/またはWO 2006/037504の国際特許出願に記載されたもののような、テアニンで天然で富化されたお茶抽出物の一部であってよく、これらの特許出願は全体として参考としてここに取り込まれる。
【0037】
テアニンを含む組成物中のテアニンの量は、例えば組成物の5から100乾燥重量%の範囲であって良い。前記組成物は、その少なくとも10乾燥重量%、より好ましくは少なくとも20乾燥重量%、更により好ましくは少なくとも50乾燥重量%、最も好ましくは少なくとも80乾燥重量%のテアニンを含むことが好ましい。前記組成物は、バイオポリマー(デンプン及び/またはゴムを含む)、甘味料、酸、ポリフェノール、カフェイン、香料、またはそれらの混合物といった追加乾燥成分を含んでも良い。特に好ましい実施態様では、前記組成物は、カフェイン、ポリフェノール、またはそれらの混合物のような水溶性茶固形分を含み、カフェインが特に好ましい。
【0038】
テアニンは酸化剤により容易に分解されるため、被覆工程(i)の間で紅茶葉を酸化剤と接触させないことが好ましい。
【0039】
被覆はいずれかの適切な態様で達成されてよいが、好ましい実施態様では、溶媒の存在下でテアニンを含む組成物と紅茶葉を接触させ、次いで溶媒を除去する。好ましい溶媒は水であり、それを乾燥によって除去し、茶葉の茶葉の焦げ付きを導く熱い表面と茶葉の接触を避けるため、流動床ドライヤーの使用が好ましい。除去される溶媒の量は、被覆された紅茶葉がその少なくとも30重量%未満、より好ましくは1から10重量%の量で溶媒を含むのに十分なものが好ましい。
【0040】
溶媒が水である場合、被覆は例えば、前記組成物の水溶液に紅茶葉を浸液すること、及び/または紅茶葉に前記水溶液をスプレー処理することによって達成されて良い。
【0041】
大量の溶媒の除去は、長時間及び/または大量のエネルギーを必要とするため、溶媒の量はあまり多くないことが好ましい。かくして、工程(i)における紅茶葉に対する溶媒の重量比は、10:1から1:10、より好ましくは5:1から1:5、更により好ましくは3:1から1:2、最も好ましくは2:1から1:1であることが好ましい。
【0042】
紅茶葉は、その最大量を被覆することを可能にするように、被覆工程(i)の間で攪拌されることが好ましい。
【0043】
混合:
前記方法は、(ii)被覆されていない紅茶葉と被覆された紅茶葉を混合する工程を含む。被覆された紅茶葉を被覆されていない紅茶葉と混合する割合は制限されないが、被覆された茶葉と被覆されていない茶葉は、1:50から5:1、より好ましくは1:20から2:1、更により好ましくは1:10から1:1、最も好ましくは1:5から1:2の重量比で混合されることが好ましい。被覆されていない茶葉は好ましくは紅茶葉である。
【0044】
追加工程:
好ましい実施態様では、前記方法は、サイズによって茶葉を選別する工程、前記前駆体を煎出実装品に実装する工程、またはそれらの組み合わせから選択される一つ以上の追加工程を含む。特に好ましい実施態様では、前記方法は、工程(i)の被覆の前に、サイズによって紅茶葉を選別する工程を含む。被覆の前の選別は、工程(i)の後のみに選別が行われると生ずるであろうテアニン富化材料の廃棄の危険を最小化する。
【0045】
飲料前駆体:
前記方法から回収される飲料前駆体は好ましくは、この好ましい実施態様のいずれかまたは全てを含む第一の特徴点の前駆体について上記記載の組成物を有する。
【実施例】
【0046】
本発明は、以下の非制限的な実施例を参考にして、更に説明されるであろう。
【0047】
実施例1
本実施例は、紅茶葉に対してテアニンを添加することによって得られる煎出能力の改善を説明する
【0048】
材料:
紅茶葉は、Unilever Foodsolutions (Crawley, UK)によって供給されるLipton Yellow Label(登録商標)であり、約1重量%の全テアニン含量を有した。
【0049】
テアニンは、Taiyo Kagaku (Yokkaichi, Japan)によって供給されるSuntheanine(登録商標)であった。
【0050】
サンプル調製:
6種のサンプルを、表1に示された各種のテアニン量で調製した。
【0051】
【表1】

【0052】
各サンプルを、75mlの脱イオン水中に示された量のテアニンを溶解し、生成したテアニン溶液で50gの紅茶葉を湿らせることによって調製した(サンプル1については、75mlの脱イオン水を添加されたテアニンなしで使用した)。茶葉とテアニン溶液の混合物を、全ての溶液が茶葉に吸収されるまで手で攪拌した。室温(〜20℃)で1時間の貯蔵期間の後、100℃に設定された空気温度でFluid Bed Dryerで各サンプルを乾かした。次いで各乾燥サンプルを篩い分けし、煎出に容易である425−850nmのサイズ分画を得た。「425−850nmのサイズ分画」により、850nmの孔のスクリーンを通過し、425nmの孔のスクリーンによって保持されるサンプルの部分を意味する。
【0053】
煎出能力:
フローセルを備えたUV/vis分光光度計を使用して、各サンプルについて別個に煎出能力を測定した。フローセルを被覆容器に連結し、煎出液を蠕動ポンプでセルに汲み上げた。被覆容器は、65℃の温度の200mlの脱イオン水を含み、それに対して1:100の重量比(即ち2gの紅茶葉)で紅茶葉と水を含む煎出混合物を生ずるのに十分なサンプルを加えた。容器に添加された各サンプルの量は、表2に示されている。煎出された固形分の量の測定値として、60秒の煎出時間の後の445nmでの吸光度を使用した。各サンプルの煎出能力を二度測定し、二度の操作のそれぞれについての値が表2に示されている。
【0054】
【表2】

【0055】
表2のデータは、添加されたテアニンを有するサンプルが、添加されたテアニンのないサンプル(サンプル1)と比較して、より迅速な煎出を示したことを説明する。700nmでの吸光度データの分析により、煎出速度の観察された差異は、テアニンを含む煎出物中の余分な濁りのためではないことが示された。
【0056】
実施例2
本実施例は、テアニンで被覆された紅茶葉と被覆されていない紅茶葉を混合することによって得られる煎出能力の改善を説明する。
【0057】
材料:
紅茶葉とテアニンを実施例1と同様であった。被覆された紅茶葉は、実施例1のサンプル6であった。被覆されていない紅茶葉を、被覆された紅茶葉と同じサイズに篩い分けした(425−850nmのサイズ分画)。
【0058】
サンプル調製:
サンプル7は、2.67:1の重量比で被覆されていない紅茶葉と被覆された紅茶葉を混合することによって調製された。かくして、生成したサンプルは、10乾燥重量%のテアニン含量を有した。
【0059】
煎出能力:
水温を85℃にする点を除き実施例1と同様に煎出能力を測定した。コントロールとして実施例1のサンプル1を使用した。その結果が表3に示されている。
【0060】
【表3】

【0061】
表3のデータは、テアニンで被覆された紅茶葉を含むサンプル(サンプル7)が、添加されたテアニンを有さないサンプル(サンプル1)と比較して、改善された煎出能力を有することを説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その少なくとも4乾燥重量%の量でテアニンを含むことを特徴とする、紅茶葉を含む飲料前駆体。
【請求項2】
テアニンの量が前駆体の少なくとも6乾燥重量%である、請求項1に記載の飲料前駆体。
【請求項3】
前駆体の少なくとも50乾燥重量%の量で紅茶葉を含む、請求項1または2に記載の飲料前駆体。
【請求項4】
紅茶葉の少なくともあるものがテアニンの少なくともあるもので被覆されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料前駆体。
【請求項5】
テアニンの少なくとも75重量%が紅茶葉の少なくともあるものを被覆している、請求項4に記載の飲料前駆体。
【請求項6】
i)テアニンを含む組成物で紅茶葉を被覆し、その少なくとも8乾燥重量%のテアニンを含む被覆された紅茶葉を生ずる工程;次いで
ii)被覆された紅茶葉を被覆されていない茶葉と混合する工程
を含む、飲料前駆体の製造方法。
【請求項7】
溶媒の存在下でテアニンを含む組成物と紅茶葉を接触させ、次いで溶媒を除去する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が乾燥によって除去される水である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
被覆された紅茶葉がその少なくとも15乾燥重量%のテアニンを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)の被覆されていない紅茶葉に対する被覆された紅茶葉の乾燥重量比が1:50から5:1である、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−538666(P2010−538666A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525284(P2010−525284)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060323
【国際公開番号】WO2009/037048
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】