説明

飲料抽出装置

【課題】回収容器25での使用済みフィルタ部分19の回収量を増加させ、飲料の抽出可能回数を増加できる飲料抽出装置11を提供する。
【解決手段】フィルタ面向き変換手段26により、抽出器12から排出されて自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きを、抽出器12の前後方向に向く向きに変換させる。回収容器25の前後方向の奥行き寸法を十分に確保できる場合、回収容器25での使用済みフィルタ部分19の回収量を増加させる。回収容器25での使用済みフィルタ部分19の回収量を増加により、飲料の抽出可能回数を増加できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続した帯状のフィルタを用いて飲料を順次抽出する飲料抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料をカップに入れて提供販売するカップ式飲料自動販売機では、例えば、原料としてコーヒー豆を使用するレギュラーコーヒーを抽出する場合、コーヒー豆をミルで挽き、挽いたコーヒー粉末を抽出器に供給するとともに湯を供給し、この抽出器でコーヒー粉末と湯とを混合してコーヒー液をフィルタで濾過して抽出している。
【0003】
フィルタとしては、フィルタ面が連続した帯状に長いフィルタで、ロール状に巻回したものが用いられている。そして、フィルタは、フィルタをロール状に巻回したロール部から引き出されてフィルタ面が上下方向に向く向きで抽出器の左右方向の一側から供給され、その抽出器で飲料の抽出に使用した使用済みフィルタ部分が抽出器の左右方向の他側から引き出されるとともに使用済みフィルタ部分の自重で下方へ向けて排出され、下方に配置される回収容器内に回収される。
【0004】
抽出器から引き出されて下方へ向けて排出されるフィルタのフィルタ面の向きは抽出器の左右方向に対応しており、回収容器に回収される使用済みフィルタ部分は左右方向に蛇行するように折り畳まれながら回収容器内の底部側から積み上げられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−322731号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回収容器が満杯になって使用済みフィルタ部分の収納ができなくなれば、それ以降の飲料の抽出ができなくなってしまう。
【0006】
また、自動販売機の左右方向の横幅の制限や自動販売機内の左右方向のレイアウトの規制により、回収容器の左右方向の幅を十分に確保できない場合がある。
【0007】
従来、回収容器内には使用済みフィルタ部分が左右方向に蛇行するように折り畳まれながら積み上げられるため、回収容器の左右方向の幅を十分に確保できない場合には、抽出回数が少なくても使用済みフィルタ部分が回収容器の上部まで直ぐに積み上がってしまい、飲料の抽出ができなくなってしまう。そのため、回収容器によって飲料の抽出可能回数が制限され、飲料の抽出可能回数が少なかった。
【0008】
また、自動販売機の左右方向の横幅の制限や自動販売機内の左右方向のレイアウトの規制があっても、回収容器の前後方向の奥行き寸法を十分に確保することができる場合があるが、回収容器の前後方向の奥行き寸法を十分に確保したとしても、使用済みフィルタ部分が左右方向に蛇行するように折り畳まれながら積み上げられたのでは、回収容器内の使用済みフィルタ部分の前後方向に空間が生じるだけで、使用済みフィルタ部分の回収量を増加させることは困難である。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回収容器の前後方向の奥行き寸法を十分に確保できる場合に対応して回収容器での使用済みフィルタ部分の回収量を増加させることができ、飲料の抽出可能回数を増加できる飲料抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の飲料抽出装置は、フィルタ面が連続した帯状のフィルタを用いて飲料を順次抽出する抽出器と、前記フィルタをロール状に巻回したロール部からフィルタを引き出してフィルタ面が上下方向に向く向きで前記抽出器の左右方向の一側から供給し、その抽出器で飲料の抽出に使用した使用済みフィルタ部分を抽出器の左右方向の他側から引き出すとともに使用済みフィルタ部分の自重で下方へ向けて排出させるフィルタ供給手段と、前記抽出器から排出されて自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分のフィルタ面の向きを抽出器の前後方向に向く向きに変換させるフィルタ面向き変換手段とを具備しているものである。
【0011】
請求項2記載の飲料抽出装置は、請求項1記載の飲料抽出装置において、フィルタ面向き変換手段は、使用済みフィルタ部分が下方へ向かう方向に沿って回転可能なローラであるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の飲料抽出装置によれば、フィルタ面向き変換手段により、抽出器から排出されて自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分のフィルタ面の向きを、抽出器の前後方向に向く向きに変換させるため、回収容器の前後方向の奥行き寸法を十分に確保できる場合に対応して回収容器での使用済みフィルタ部分の回収量を増加させることができ、飲料の抽出可能回数を増加できる。
【0013】
請求項2記載の飲料抽出装置によれば、請求項1記載の飲料抽出装置の効果に加えて、フィルタ面向き変換手段を、使用済みフィルタ部分が下方へ向かう方向に沿って回転可能なローラで構成するため、使用済みフィルタ部分の下方への排出を阻害することなく、使用済みフィルタ部分のフィルタ面の向きをスムーズに変換させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1に飲料抽出装置の正面図を示す。この飲料抽出装置11は、飲料をカップに入れて提供販売するカップ式飲料自動販売機などに内蔵される。
【0016】
この飲料抽出装置11は、レギュラーコーヒーなどの飲料を注出する抽出器12を有している。この抽出器12は、上部のブルワ部13と下部のシリンダ部14とで構成され、上部のブルワ部13が上下方向に移動して下部のシリンダ部14に対して接離し、上部のブルワ部13と下部のシリンダ部14との間にはフィルタ15が通されている。ブルワ部13には例えばコーヒー豆をミルで挽いた抽出原料としてのコーヒー粉末および販売機内で所定温度に沸き上げられている湯が供給され、このブルワ部13内で飲料としてコーヒー液が抽出される。シリンダ部14には図示しないピストンが上下方向に移動可能に配置され、ピストンの下降によりブルワ部13内のコーヒー液をフィルタ15にて濾過させて抽出する。
【0017】
フィルタ15は、フィルタ面16が連続した帯状に長いフィルタで、ロール部17にロール状に巻回したものが用いられている。そして、フィルタ供給手段21により、フィルタ15の未使用フィルタ部分18が抽出器12に供給されるとともに、抽出器12でコーヒー液の抽出に使用した使用済みフィルタ部分19が排出される。使用済みフィルタ部分19には、抽出器12でコーヒー液を抽出し終えたコーヒー粉末かすである抽出済み原料20が所定の間隔(フィルタ15の送り間隔)をあけて付着されている。
【0018】
このフィルタ供給手段21では、抽出器12の左右方向の一側であって例えば左側に、ロール部17の軸方向が抽出器12の前後方向に向く向きとなるようにフィルタ15のロール部17が回動可能に配置されている。ロール部17から上方に向けてフィルタ15が引き出され、抽出器12の左側に配設される供給側ローラ22を介してフィルタ面16が上下方向に向く向きに変換された後に、フィルタ15が抽出器12の左側から供給される。
【0019】
抽出器12の左右方向の他側である右側には、図示しないモータなどの駆動部で回転駆動される排出側ローラ23、およびこの排出側ローラ23との間に使用済みフィルタ部分19を挟持する回転自在な押えローラ24が配設されており、抽出器12で飲料の抽出に使用した使用済みフィルタ部分19が抽出器12の右側から引き出される。
【0020】
排出側ローラ23を通過した使用済みフィルタ部分19は、付着している抽出済み原料20および浸透しているコーヒー液を含めた使用済みフィルタ部分19の自重で下方へ向けて排出される。
【0021】
使用済みフィルタ部分19が下方へ向かう下方位置には、使用済みフィルタ部分19を回収する回収容器25が配設されている。この回収容器25は、図2に示すように、上面を開口した四角形枠状のバケツなどが用いられ、この回収容器25の左右方向の幅寸法Aに対して前後方向の奥行き寸法Bが長い関係にあり、幅寸法Aはフィルタ15の幅よりも少し大きい程度としている。
【0022】
排出側ローラ23を通過して自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きは抽出器12の左右方向に向く向きであるが、その使用済みフィルタ部分19が下方へ向かう途中位置に、フィルタ面16の向きを抽出器12の前後方向に向く向きに90°変換させるフィルタ面向き変換手段26が配設されている。このフィルタ面向き変換手段26は、軸方向が左右方向に向けられて水平に配置されることにより使用済みフィルタ部分19が下方へ向かう方向に沿って回転可能なローラ27を備えている。
【0023】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0024】
待機時には、フィルタの未使用フィルタ部分が抽出器に供給され、その未使用フィルタ部分を挟持するようにブルワ部がシリンダ部に閉じている。
【0025】
コーヒー液の抽出時には、コーヒー豆をミルで挽いた抽出原料としてのコーヒー粉末および販売機内で所定温度に沸き上げられている湯がブルワ部13に供給され、このブルワ部13内で飲料としてコーヒー液が抽出される。シリンダ部14のピストンの下降によりブルワ部13内のコーヒー液がフィルタ15にて濾過されて抽出される。抽出器12内のフィルタ15上にはコーヒー液を抽出し終えたコーヒー粉末かすである抽出済み原料20が付着して残る。
【0026】
その後、ブルワ部13が上昇し、フィルタ供給手段21の排出側ローラ23の回転駆動により、抽出器12内から使用済みフィルタ部分19が引き出されるとともに、次の未使用フィルタ部分18が抽出器12内に供給される。
【0027】
排出側ローラ23を通過した使用済みフィルタ部分19は、付着している抽出済み原料20および浸透しているコーヒー液を含めた使用済みフィルタ部分19の自重で下方へ向けて排出される。
【0028】
排出側ローラ23を通過して自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きは抽出器12の左右方向に向く向きであるが、その使用済みフィルタ部分19が下方へ向かう途中位置に配設されたフィルタ面向き変換手段26により、フィルタ面16の向きが抽出器12の前後方向に向く向きに90°変換される。
【0029】
このとき、フィルタ面向き変換手段26は、使用済みフィルタ部分19が下方へ向かう方向に沿って回転可能なローラ27で構成しているため、使用済みフィルタ部分19の下方への排出を阻害することなく、使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きをスムーズに変換させることができる。さらに、フィルタ15の抽出済み原料20が付着したフィルタ面16に対して反対側のフィルタ面16側にローラ27が接触するため、ローラ27に抽出済み原料20が付着することがなく、使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きをよりスムーズに変換させることができる。なお、ローラ27との間に使用済みフィルタ部分19を挟持する挟持ローラを用いれば、使用済みフィルタ部分19のフィルタ面16の向きをより確実に変換させることができる。
【0030】
そして、フィルタ面16の向きが抽出器12の前後方向に向く向きに変換された使用済みフィルタ部分19は下方の回収容器25内に下降して回収される。この回収容器25に回収される使用済みフィルタ部分19は、前後方向に蛇行するように折り畳まれながら回収容器25内の底部側から積み上げられる。
【0031】
このとき、回収容器25は前後方向の奥行き寸法Bが十分に確保されているため、この回収容器25の前後方向長さを利用して使用済みフィルタ部分19を前後方向に蛇行するように折り畳みながら積み上げることができ、回収容器25内の空間を使用済みフィルタ部分19の収納に有効に利用でき、使用済みフィルタ部分19の回収量を増加できる。
【0032】
この使用済みフィルタ部分19の回収量を増加により、回収容器25によるコーヒー液の抽出可能回数の制限が緩和され、コーヒー液の抽出可能回数を増加できる。
【0033】
なお、フィルタ面向き変換手段26は、ローラ27に限らず、線状のガイドやシュートなどを用いて変換してもよい。
【0034】
また、抽出する飲料は、コーヒー液に限らす、茶葉から抽出するお茶や紅茶などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す飲料抽出装置の正面図である。
【図2】同上飲料抽出装置の回収容器への使用済みフィルタ部分の回収動作を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
11 飲料抽出装置
12 抽出器
15 フィルタ
16 フィルタ面
17 ロール部
19 使用済みフィルタ部分
21 フィルタ供給手段
26 フィルタ面向き変換手段
27 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ面が連続した帯状のフィルタを用いて飲料を順次抽出する抽出器と、
前記フィルタをロール状に巻回したロール部からフィルタを引き出してフィルタ面が上下方向に向く向きで前記抽出器の左右方向の一側から供給し、その抽出器で飲料の抽出に使用した使用済みフィルタ部分を抽出器の左右方向の他側から引き出すとともに使用済みフィルタ部分の自重で下方へ向けて排出させるフィルタ供給手段と、
前記抽出器から排出されて自重で下方へ向かう使用済みフィルタ部分のフィルタ面の向きを抽出器の前後方向に向く向きに変換させるフィルタ面向き変換手段と
を具備していることを特徴とする飲料抽出装置。
【請求項2】
フィルタ面向き変換手段は、使用済みフィルタ部分が下方へ向かう方向に沿って回転可能なローラである
ことを特徴とする請求項1記載の飲料抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−86336(P2008−86336A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266936(P2006−266936)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】