説明

飲食用容器

【課題】フォークやスプーン等の取り出し部材をコンパクトに収納し容器の外観を損ねることのない飲食用容器を提供する。
【解決手段】 内容物を収納するカップ(1)と、このカップ(1)を支える脚部(2)とを備えた飲食用容器において、前記脚部(2)を、下面を接地面とする台座(2a)とこの台座(2a)の上面にて起立し前記カップ(1)の底部につながる脚部本体(2b)にて構成し、前記脚部本体(2b)に、台座(2a)の下面にて開口する内部空間(3)を設け、この内部空間(3)内に内容物の取り出し部材(4)を収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイスクリーム等の氷菓子やプリン、ゼリー等のデザート類を内容物として収納するのに好適な容器に関するものであり、該内容物を取り出す際に使用するフォークやスプーンの如き取り出し部材をコンパクトな状態で収納しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
氷菓子等を入れる容器には、容器の開封後に内容物をすぐさま取り出すことができるようにスプーンやフォーク等の部材が備え付けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平5−46739号公報
【0004】
ところで、この種の容器は、スプーンやフォークは容器の外面に装着されていることから、商品の搬送過程において脱落し紛失しまうことも懸念され、また、外観上商品としての見栄えもよくないところに問題を残している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、フォークやスプーン等の取り出し部材を、該取り出し部材の脱落や容器外観の見栄えを損なうことなしにコンパクトに収納できる新規な飲食用容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収納するカップと、このカップを保持する脚部とを備える飲食用容器であって、
前記脚部は、台座とこの台座の上面にて起立し前記カップの底部につながる脚部本体からなり、
前記脚部本体に、台座の下面にて開口する内部空間を設け、この内部空間内に内容物の取り出し部材を収納したことを特徴とする飲食用容器である。
【0007】
上記の構成になる容器において、前記取り出し部材は、フォーク又はスプーンとするのが好ましい。
【0008】
また、前記取り出し部材は、台座の開口に着脱自在に嵌合する基部と、この基部から突出しその先端を接地させて台座と協働してカップを安定的に支える膨出部を備えることができる。
【0009】
前記カップと脚部本体とは、一体連結することができるが、何れか一方に凹部を設け、この凹部に嵌まり込む凸部をもう一方に設けて連結するようにしてもよい。
【0010】
さらに、脚部本体は、カップから離脱させて取り出し部材と連結するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
取り出し部材は、脚部本体の内側に設けた収納空間に配置されるため他のものに触れて脱落することはなく、また、商品の見栄えを損なうこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明にしたがう飲食用容器の実施の形態を示した図であり、図における1は薄肉シートSにより密閉可能で氷菓子等を内容物として収納したカップ(グラス)を示したものであり、2はカップ1を支える脚部である。
【0013】
脚部2は下面を接地面とする台座2aとこの台座2aの上面にて起立しカップ1の底部につながる脚部本体2bからなっている。
【0014】
また、3は脚部本体2bの内側に設けられ台座2aの下面にて開口する内部空間、4は内部空間3に収納される取り出し部材である。この取り出し部材4は台座2aの開口に着脱自在に嵌合する基部4aと、この基部4aから突出しその先端を接地させて台座2aと協働してカップ1を安定的に支える膨出部(突起)4bを備える。取り出し部材4は脚部2の内部空間3に着脱可能に圧入された場合について図示したが、該取り出し部材4は内部空間3からの脱落を確実に防止するため、アンダーカット嵌合あるいは螺合等の固定方法を採用してもよい。
【0015】
上記の構成になる容器において、取り出し部材4は脚部本体2bに設けられた内部空間3に収納されており、これにより容器の外観を損ねることはなく、しかも、該取り出し部材4が他のものに接触して脱落するおそれもない。なお、脚部2については、透明又は半透明の樹脂で構成することで取り出し部材4を外部から視認することが可能であるが、有色の樹脂で構成するようにしてもよく、この場合には内部空間3に収納される取り出し部材4が外部から見えないので、商品の美観がより一層高まる。
【0016】
カップ1は脚部本体2bを通して主に台座2aにて支えることになるが、取り出し部材4の膨出部4bを接地させることでカップ1の支えはより一層安定化される。
【0017】
上掲図1の例では、カップ1と脚部本体2bとは一体連結した場合について示したが、例えば図2に示すようにカップ1の底部に凸部5を設け、脚部本体2bに凹部6を設けて、該凸部5を凹部6に嵌め込んでそれらを相互に連結してもよく、この点については限定されない。
【0018】
なお、カップ1と脚部本体2bとを凹凸嵌合等にて連結する場合、カップ1、脚部2の製造、充填前段階において、夫々をスタッキングすることが可能となる。
【0019】
カップ1と脚部本体2bの分離が可能な連結構造になっている場合、飲食時に、カップ1から脚部本体2bを離脱させ、内部空間3から取り出した取り出し部材4の膨出部4bを脚部本体2bの凹部6(カップ連結部)に圧入、アンダーカット嵌合、螺合等の方法により係合、連結することで取り出し部材4の延長を図ることができ、深皿形のカップ1であっても内容物の取り出しが容易になるとともに、取り出し部材4を把持しやすくなり飲食の際の使い勝手が改善される。
【0020】
本発明の容器は合成樹脂を所望の形状に射出成形することによって得ることができるものであり、容器の形状は内容物の種類に応じて種々変更可能で、図示の形状のみに限定はされない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
フォークやスプーン等の取り出し部材をコンパクトに収納し容器の外観を損ねることのない飲食用容器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にしたがう飲食用容器の実施の形態を示した図である。
【図2】本発明にしたがう飲食用容器の他の例を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 カップ
2 脚部
2a 台座
2b 脚部本体
3 内部空間
4 取り出し部材
4a 基部
4b 膨出部
5 凸部
6 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納するカップと、このカップを支える脚部とを備えた飲食用容器であって、
前記脚部は、下面を接地面とする台座とこの台座の上面にて起立し前記カップの底部につながる脚部本体からなり、
前記脚部本体に、台座の下面にて開口する内部空間を設け、この内部空間内に内容物の取り出し部材を収納したことを特徴とする飲食用容器。
【請求項2】
前記取り出し部材が、フォーク又はスプーンである請求項1記載の飲食用容器。
【請求項3】
前記取り出し部材が、台座の開口に着脱自在に嵌合する基部と、この基部から突出しその先端を接地させて台座と協働してカップを安定的に支える膨出部を有する請求項1又は2記載の飲食用容器。
【請求項4】
前記カップと脚部本体とは、凹部とこの凹部に嵌まり込む凸部によって連結されたものである、請求項1〜3の何れかに記載の飲食用容器。
【請求項5】
前記脚部本体と取り出し部材とを連結可能とする、請求項1〜4の何れかに記載の飲食用容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−16021(P2006−16021A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194121(P2004−194121)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】