説明

養液栽培用の栽培装置

【課題】養液が停滞して発生する植物の病気を極減する。設備コストを著しく低減する。
【解決手段】養液栽培用の栽培装置は、水平栽培台7の上に並べて配設される複数の培地収納トレイ6と、培地収納トレイ6の上に張設される非透水シート2と、非透水シート2の上に積層される培地プレート1と、培地プレート1の上に積層される根切りシート3と、根切りシート3の上に所定の厚さに積層される培地4とを備える。培地収納トレイ6は、両端に延びる縦溝9を上面に有すると共に、両側に沿って隔壁8を設けてなる溝形としている。培地プレート1は、上面に突出する多数の凸部11を有し、各凸部11は上端を同一面として根切りシート3を水平に配置している。さらに、培地プレート1は、凸部11の間に排水溝10を形成しており、培地4と根切りシート3を透過する廃水を外周に向かって流して培地プレート1から培地収納トレイ6の縦溝9に排水している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を植え付けしている培地に養液を供給して植物を生育させる養液栽培用の栽培装置に関し、特にミョウガの栽培に最適な養液栽培用の栽培装置にする。
【背景技術】
【0002】
ミョウガを養液栽培する装置は開発されている。(特許文献1参照)
この公報に記載される栽培装置を図1に示す。この装置は、養液30を充填しているトレイ31に所定の厚さのロックウール32を敷き、ロックウール32の上に根切りシート33を積層して、根切りシート33の上に培地34を積層する。トレイ31の養液30は、ロックウール32の下部を浸漬して、根切りシート33を浸漬しないレベルにコントロールされる。
【0003】
この公報に記載される栽培装置は、生育させるミョウガ等の植物が病気になりやすく、また設備コストが非常に高価となる欠点がある。植物が病気になりやすいのは、トレイに養液を貯溜するので、これが汚れたり腐敗するからである。また、栽培装置が高価になるのは、養液を貯溜するためにトレイを水漏れしない構造とし、さらに、トレイには厚いロックウールを敷設し、さらに、このロックウールの下部のみを養液に浸漬するように、養液レベルを正確にコントロールするからである。
【0004】
植物の培地から速やかに養液を排水する栽培装置は開発されている。(特許文献2参照)
この公報に記載される栽培装置は、培地の底部に水分気化排出材を敷設している。水分気化排出材は、トレイの底に設けた貫通孔から外部に引き出されている。この水分気化排出材は不織布で、培地の水分を吸い取って外部に移行させる。水分気化排出材で外部に移行された水分は、気化して消失される。この栽培装置は、水分気化排出材で培地の水分を外部に排出する。
【0005】
この構造の栽培装置は、水分気化排出材で培地の水分を外部に移行させるが、培地底部の水分率は高くなって、この部分を水分率の低い状態にはできない。それは、培地の水分率が低くなるにしたがって、培地の水分が水分気化排出材に移行し難くなるからである。したがってこの培地では、種々の植物を病気から保護して元気に生育させるのが難しい欠点がある。
【特許文献1】特開平11−318244号公報
【特許文献2】特開平11−313565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の栽培装置が有する以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、養液が停滞して発生する植物の病気を極減することに加えて、設備コストを著しく低減できる養液栽培用の栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
養液栽培用の栽培装置は、露地7Aや載せ台7B等の水平栽培台7の上に縦に並べて配設される複数の培地収納トレイ6と、この培地収納トレイ6の上に水平に張設される非透水シート2と、この非透水シート2の上に積層される培地プレート1と、この培地プレート1の上に積層されて、水を透過させるが植物の根が通過するのを防止する根切りシート3と、この根切りシート3の上に所定の厚さに積層される培地4とを備え、植物を植え付けている培地4に水を供給して植物を生育させる。培地収納トレイ6は、両端に延びる縦溝9を上面に有すると共に、両側に沿って隔壁8を設けてなる溝形としている。培地収納トレイ6の上に載せられる培地プレート1は、上面に突出する多数の凸部11を有すると共に、各々の凸部11は上端を同一面に配置して、根切りシート3を水平に配置できる形状としている。さらに、培地プレート1は、凸部11の間に排水溝10を形成して、この排水溝10でもって、培地4と根切りシート3を透過する廃水を外周に向かって流して培地プレート1から培地収納トレイ6の縦溝9に排水している。
【0008】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地収納トレイ6が、隔壁8の内側と中央部に縦溝9を設けることができる。
【0009】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地収納トレイ6が、縦溝9にドレン孔17を開口することができる。さらに、本発明の養液栽培用の栽培装置は、ドレン孔17に、上下に移動できるように排水パイプ26を挿入することができる。
【0010】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地収納トレイ6の下面に支持脚29を設けることができる。
【0011】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地収納トレイ6を発泡スチロールとすることができる。
【0012】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地収納トレイ6を複数の区画トレイ6Aに分割して、隣接して配置される区画トレイ6Aを嵌着構造で連結することができる。
【0013】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地プレート1を、平面プレート12から多数の凸部11が突出する形状に成形することができる。この培地プレート1は、凸部11の上端を同一平面に位置させると共に、凸部11の形状を、多角柱状、円柱状、楕円柱状のいずれかの形状とすることができる。
【0014】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、根切りシート3と培地プレート1との間に保水シート5を積層して、培地4と根切りシート3を透過する水を保水シート5に保水させることができる。
【0015】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地プレート1を複数の区画プレート1Aに分割して、隣接して配置される区画プレート1Aを嵌着構造で連結することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の養液栽培用の栽培装置は、養液が停滞して発生する植物の病気を極減できる特長がある。それは、本発明の栽培装置が、水平栽培台の上に縦に並べて複数の培地収納トレイを配設すると共に、この培地収納トレイの上に水平に張設される非透水シートの上に培地プレートを積層し、この培地プレートの上に根切りシートと培地とを積層して、培地に水を供給して植物を生育する構造としており、培地プレートの上面に多数の凸部を突出して設けると共に、凸部の間に形成した排水溝で、培地と根切りシートを透過する廃水を外周に向かって流して培地プレートから排水しているからである。この構造の栽培装置は、培地と根切りシートを透過した養液を、従来の栽培装置のように貯溜することなく、速やかに流して培地プレートから排水するので、停滞する養液に起因する植物の病気を極減できる。しかも、この構造の栽培装置は、従来のように水漏れしない構造を必要とせず、また貯溜された養液レベルをコントロールするための機構を必要としないので、設備コストを著しく低減できる特長もある。
【0017】
さらに本発明の養液栽培用の栽培装置は、水平栽培台のレベルに多少の狂いがあっても、停滞する養液に起因する植物の病気を極減できる特徴がある。それは、水平栽培台に、上面に縦溝があって両側に隔壁のある溝形の培地収納トレイを配設し、この培地収納トレイの上に非透水シートを積層し、さらにこの非透水シートの上に、培地プレートと根切りシートを積層して、培地を配設するからである。この構造の栽培装置は、培地に供給される水を、培地プレートに設けている多数の凸部で排水し、さらに、この培地プレートの水を培地収納トレイの縦溝で排水する。この構造の栽培装置は、培地の下面と排水レベルとの高低差が、凸部を設けている培地プレートの高さに、培地収納トレイに設けている縦溝の深さを加算したトータル値となる。たとえば、培地プレートの高さを5cm、縦溝の深さを3cmとすれば、培地の底面と縦溝の底とは8cmの高低差ができる。培地底面と縦溝底面との高低差は、露地や載台等の水平栽培台を設置するときの高低差を制限する。水平栽培台の高低差が、培地底面と縦溝底面との高低差よりも大きいと、培地が培地収納トレイに設けている凸部の間に溜る水に接触して、スムーズに排水できなくなるからである。本発明の養液栽培用の栽培装置は、培地プレートに凸部を設け、さらに培地収納トレイに縦溝を設けて、凸部と縦溝で培地と縦溝底面との高低差を大きくするので、培地プレートと縦溝のトータル高低差よりも高低差が小さくなるように水平栽培台を設置して、培地に供給される水を速やかに排水して、停滞する養液に起因する植物の病気を確実に防止する。また、培地収納トレイを溝形とし、この上に非透水シートを積層して、培地に給水する水を排水するので、水を集合して便利に排水できる特徴もある。
【0018】
また、本発明の請求項4の栽培装置は、培地収納トレイの縦溝にドレン孔を設けて、このドレン孔に上下に移動できるように排水パイプを挿入しているのて、排出パイプを上下に移動して、溝形の培地収納トレイに水を所定のレベルに蓄えることできる。このため、たとえば、溝形の培地収納トレイに殺菌液を蓄えて殺菌し、あるいは過乾燥状態となった培地に給水することができる。また、排出パイプを降下させて、縦溝からスムーズに排水できる。
【0019】
本発明の請求項7の栽培装置は、培地収納トレイを複数の区画トレイに分割して、隣接して配置される区画トレイを嵌着構造で連結しているので、所定の大きさの区画トレイを、簡単に連結して細長い培地収納トレイを実現できる。また、本発明の請求項10の養液栽培用の栽培装置は、培地プレートを複数の区画プレートに分割して、隣接して配置される区画プレートを嵌着構造で連結しているので、所定の大きさの区画プレートを、簡単に連結して細長い培地プレートを実現できる。
【0020】
さらに、本発明の請求項9の養液栽培用の栽培装置は、根切りシートと培地プレートとの間に積層した保水シートで、培地と根切りシートを透過する水を保水するので、培地が乾燥するときに、保水シートから培地に水分を供給して、培地の過乾燥を防止しながら植物を生育できる特長がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための養液栽培用の栽培装置を例示するものであって、本発明は栽培装置を以下のものに特定しない。
【0022】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0023】
図2ないし図4に示す養液栽培用の栽培装置は、水平栽培台7の上に縦に並べて配設される複数の培地収納トレイ6と、この培地収納トレイ6の上に水平に張設される非透水シート2と、この非透水シート2の上に積層している培地プレート1と、この培地プレート1の上に積層されて、水を透過させるが植物の根が通過するのを防止する根切りシート3と、この根切りシート3の上に所定の厚さに積層される培地4とを備える。これ等の図に示す栽培装置は、地面から上に離して配置している載せ台7Bの水平栽培台7に載せて、あるいは露地7Aの水平栽培台7に載せて、水平栽培台7の上に複数の培地収納トレイ6を並べて配設している。これらの栽培装置は、植物を植え付けている培地4に給水器25で養液20を供給して植物を生育させる。
【0024】
培地収納トレイ6は、図5ないし図11に示すように、両側縁に沿って上方に突出する一対の隔壁8を一体的に成形して設けている。この隔壁8は、培地収納トレイ6の上に載せられる培地プレート1を内部に収納できる高さを有する。さらに、隔壁8は、培地プレート1の上に積層される培地4や、給水管23から供給される養液20が、培地収納トレイ6の外側にこぼれ落ちるのを防止する。したがって、隔壁8の高さは、培地4や養液20が外にこぼれるのを防止できる高さに成形する。隔壁8の高さは、培地収納トレイ6に載せられる培地プレート1の上面とほぼ等しくし、あるいは培地プレート1の上面より多少高くすることができる。
【0025】
図の隔壁8は、培地収納トレイ6の両側に設けた本体壁8Aの上端部を外側に向かって延長して突出部8Bを一体的に設けると共に、突出部8Bの先端部に上方に突出する起立部8Cを一体的に設けている。この起立部8Cは、その上端の位置が、培地収納トレイ6に載せられる培地プレート1の上端面よりも高くなるように成形している。この培地収納トレイ6は、培地プレート1の上面より上方に突出する起立部8Cで培地4や養液20をせき止めることができるので、培地4や溶液20が培地収納トレイ6からこぼれ落ちるのを有効に防止できる。このように、本体壁8Aの外側に突出部8Bを設けて、この突出部8Bの先端に培地プレート1の上面より突出する起立部8Cを備える隔壁8は、本体壁8Aの高さを、培地収納トレイ6に載せられる培地プレート1の上面よりも多少低くすることもできる。さらに、培地収納トレイは、図示しないが、隔壁の突出部を培地収納トレイの開口部が広くなる方向に傾斜させることもできる。この培地収納トレイは、突出部の上に排水される養液を、突出部の上面に沿って、速やかに流下できる。ただ、培地収納トレイは、必ずしも隔壁に突出部を設ける必要はない。突出部のない隔壁は、上端の位置を培地収納トレイに載せられる培地プレートの上端面よりも高くして、培地や養液が培地収納トレイの外側にこぼれ落ちるのを有効に防止できる。
【0026】
さらに、図に示す培地収納トレイ6は、隔壁8の本体壁8Aの外側と突出部8Bの下方に突出して、これらを互いに連結する複数列の補強リブ15を設けている。補強リブ15は、本体壁8Aと突出部8Bに対して垂直な方向に形成されており、培地収納トレイ6の両側に所定の間隔で一体的に成形して設けている。この補強リブ15は、突出部8Bを下側から支持してこれを補強しており、この部分が変形したり破壊されるのを防止している。
【0027】
さらに、培地収納トレイ6は、上面に、両端に延びる縦溝9を備えている。縦溝9は、図5と図10に示すように、培地収納トレイ6の両端面まで延長して設けている。図に示す縦溝9は、一対の隔壁8の内側に、隔壁8に沿って設けた一対の側溝9Aと、一対の側溝9Aの間に設けた中央溝9Bとを備える。中央溝9Bは、一対の側溝9Aの中間に位置して、側溝9Aと平行に設けている。この培地収納トレイ6は、培地4を透過して培地プレートから排水される廃水をこの縦溝9に案内し、この縦溝9から培地収納トレイ6の外部に排水する。ただ、培地収納トレイは、必ずしも中央溝を設ける必要はない。中央溝のない培地収納トレイは、培地を透過して培地プレートから排水される廃水を側溝に案内して外部に排水する。図に示す培地収納トレイ6は、縦溝9の間の中央上面を水平面としている。この構造は、中央上面の上方に配設される培地プレート1を安定して配設できる。ただ、培地収納トレイは、中央上面を、縦溝に向かって下り勾配に多少傾斜させることもできる。
【0028】
縦溝9は、廃水をスムーズに流すことができる幅と深さを有する。縦溝9は、幅が狭すぎても、深さが浅すぎても、廃水に含まれる異物が詰まりやすくなり、廃水をスムーズに排水できない。さらに、栽培装置は、縦溝9の深さによって、培地プレート1の上面に積層される培地4の下面と、縦溝9に排水される廃水レベルとの高低差が変化する。このため、これらのことを考慮して、縦溝9の幅は、たとえば2cm以上、好ましくは3cm以上とする。また、縦溝9の深さは、たとえば1cm以上、好ましくは2cm以上とする。ただ、培地収納トレイは、縦溝の幅を広くして、深さを深くすると全体の強度が低下する。このため、縦溝9の幅と深さは、たとえば7cmよりも小さく、好ましくは6cm以下とする。縦溝9は、廃水の詰まりを少なくし、かつ培地プレート1を水平に保持し、さらに、培地プレート1の上面に積層される培地4の下面と縦溝9内の廃水レベルとの高低差を十分な間隔とすることから、好ましくは幅を3〜5cmとし、深さを2〜5cmとする。
【0029】
さらに、培地収納トレイ6は、縦溝9に流れ込んだ廃水を培地収納トレイ6の外部に排水するドレン孔17を設けている。図5に示す培地収納トレイ6は、ドレン孔17を、一方の側溝9Aの中央部に設けている。ドレン孔17は、図9に示すように、培地収納トレイ6の底面を貫通する貫通孔で、縦溝9に流れ込んだ廃水を通過させて外部に排水する。培地収納トレイは、図示しないが、縦溝の底面をドレン孔に向かって下り勾配に傾斜させて、縦溝を流れる廃水を速やかにドレン孔に流すことができる。ただ、ドレン孔17は、図5の鎖線で示すように、中央溝9Bに設けることもできる。
【0030】
さらに、図に示す培地収納トレイ6は、一対の側溝9Aと中央溝9Bとを連結溝16で連結している。連結溝16は、一対の縦溝9Aを連結して設けた溝で、中央溝9Bを横断して、中央溝9Bと垂直に交差している。図の培地収納トレイ6は、両端部と中央部にそれぞれ連結溝16を設けている。両端部に設けられる連結溝16は、図12に示すように、互いに隣接して配設される区画トレイ6Aを連結した状態で溝が形成されるようにしている。これらの連結溝16の幅と深さも、前述の縦溝9と同じ範囲とすることができる。
【0031】
以上の連結溝16は、一対の側溝9Aと中央溝9Bとを流れる廃水を流動させて排水する。縦溝9に流入する廃水は、ドレン孔17を介して外部に排水される。したがって、側溝9Aにドレン孔17を設けてなる培地収納トレイ6は、この側溝9Aに向かって廃水を流してドレン孔17から排水する。また、中央溝にドレン孔を設けてなる培地収納トレイは、側溝から中央溝に向かって廃水を流して、中央溝に設けたドレン孔から排水する。さらに、連結溝は、廃水の流動方向に向かって、底面を下り勾配に傾斜させることもできる。この構造の連結溝は、廃水を速やかに流して排水することができる。たとえば、一方の側溝にドレン孔を設けている培地収納トレイは、他方の側溝からこの側溝に向かって連結溝の底面を下り勾配に傾斜させて速やかに排水できる。この構造は、他方の側溝と中央溝を流れる廃水を、ドレン孔を設けた側溝に流下させて排水する。ただ、連結溝は、必ずしも必要ではない。連結溝のない培地収納トレイは、各縦溝にドレン孔を設けて排水する。
【0032】
さらに、図13に示す栽培装置は、縦溝9内の廃水を外部に排水する排水パイプ26をドレン孔17に配設している。図の排水パイプ26は、ドレン孔17を上下に貫通して挿通している。この排水パイプ26は、上下に移動できるようにドレン孔17に挿入している。上下に移動できる排水パイプは、図の鎖線で示すように、上下位置を変更して、溝形の培地収納トレイ6の内部に液体を所定のレベルに蓄えることできる。この構造の栽培装置は、たとえば、溝形の培地収納トレイ6に殺菌液を蓄えて殺菌し、あるいは養液を蓄えて過乾燥状態となった培地に給水することができる。また、上下に移動できる排水パイプは、実線で示す位置まで降下させて、縦溝9の廃水をスムーズに排水できる。
【0033】
さらに、図の排水パイプ26は、ドレン孔17から抜け落ちるのを防止するために、上端に鍔部27を設けている。また、ドレン孔17は、排水パイプ26の鍔部27を案内する段差凹部28を内側に設けている。この形状のドレン孔17は、段差凹部28に鍔部27を案内して、排水パイプ26の上端を縦溝9の底面とほぼ等しい高さ、あるいは底面よりやや低い位置に配置できるようにしている。このように、排水パイプ26の上端を縦溝9の底面と等しく、あるいは底面より低く配置する構造は、縦溝9に溜まった廃水をドレン孔17から効率よく排水できる特長がある。さらに、段差凹部28に案内される鍔部27の下面を段差凹部28の底面に当接させて、排水パイプ26がドレン孔17から抜けるのを阻止している。
【0034】
以上の構造の培地収納トレイ6は、プラスチックを発泡成形して製作される。この培地収納トレイ6は安価に多量生産できる。プラスチック発泡体で製作される培地収納トレイ6は、表面に非発泡層を設けて、廃水の内部への浸透を阻止し、あるいは独立気泡に発泡させて、廃水の内部への浸透を阻止することができる。ただ、培地収納トレイは、上面に敷設される非透水シート2で、廃水が培地収納トレイに浸透するのを防止できるので、培地収納トレイを完全な防水構造とする必要はない。プラスチック発泡体の培地収納トレイ6は、発泡スチロールで製作して、とくに安価に多量生産できる。ただ、培地収納トレイは、他のプラスチック発泡体、たとえば塩化ビニル発泡体、EVA発泡体、ウレタン発泡体等で製造することもできる。
【0035】
さらに、図の培地収納トレイ6は、複数の区画トレイ6Aに分割して、隣接して配置する区画トレイ6Aを嵌着構造で連結する構造としている。この培地収納トレイ6は、所定の大きさの区画トレイ6Aを並べて畝のように細長く連結できる。区画トレイ6Aは、隣接縁に互いに嵌着できる連結突出部18と連結凹部19とを設けている。この培地収納トレイ6は、図12に示すように、連結突出部18を連結凹部19に入れて、隣接する区画トレイ6Aを定位置に連結できる。栽培装置は、培地収納トレイ6の上に非透水シート2を敷設するので、区画トレイ6Aを、連結部から水が漏れないように防水構造で連結する必要はない。上に敷設している非透水シート2で、廃水が培地収納トレイ6の上面に浸透しないようにしながら集めることができるからである。
【0036】
非透水シート2は、培地収納トレイ6の上に敷設している。この非透水シート2は、上側に配設される培地プレート1や保水シート5等と、下側に配設されると培地収納トレイ6とを区画している。非透水シート2は、培地4を通過した廃水がこれを透過して、培地収納トレイ6まで浸透するのを防止している。非透水シート2は、培地収納トレイ6の外形よりも大きく、両側の隔壁8の外側面まで延長して配設される。隔壁8と非透水シート2の間から廃水が浸入するのを防止するためである。
【0037】
非透水シート2は、培地収納トレイ6の上面に沿う状態で敷設される。縦溝9に敷設される非透水シート2は、図2ないし図4に示すように、その内面に沿って敷設される。縦溝9の内面に敷設される非透水シート2は、たとえば、両面接着テープ(図示せず)を介して縦溝9の内面に接着して固定することができる。縦溝9の内面に沿って敷設される非透水シート2は、その内側に形成される溝内を廃水が流れる。したがって、本明細書において、「縦溝を廃水が流れる」とは、縦溝の内側に直接に廃水が流れるのではなく、縦溝の内側に敷設される非透水シートの内側を廃水が流れることを意味するものとする。
【0038】
非透水シート2は、プラスチックフィルムからなる非透水性のシートである。プラスチックフィルムである非透水シート2は、ポリエチレンフィルムが適している。ただ、非透水シート2であるプラスチックフィルムには、塩化ビニルフィルムも使用できる。さらに、本発明の栽培装置は、非透水シートを、プラスチックフィルムに特定しない。非透水シートには、たとえば表面を防水加工した不織布や布等も使用できるからである。不織布や布で構成される非透水シートは、プラスチックフィルムに比べて破れ難く、また熱に強い特長がある。
【0039】
培地プレート1は、上面に突出する多数の凸部11を有する。各々の凸部11は、上端を同一面に配置して、根切りシート3を水平に配置できる形状としている。図の培地プレート1は、凸部11の上面を平面状に成形している。この培地プレート1は、上端の平面で根切りシート3を面接触状態に支持して、水平に調整できる。凸部11は、上端の平面部の面積を大きくして、根切りシート3を水平に支持する面積を大きくできる。ただ、凸部上端の平面部を大きくすると、凸部11の間に設ける排水溝10が占める割合が狭くなって、根切りシート3を透過する廃水を速やかに排水できなくなる。したがって、凸部上端の平面部の面積は、根切りシート3を裏から支持してほぼ水平に配置でき、しかも排水溝10で根切りシート3を透過する廃水をスムーズに排水できるようにする。たとえば、凸部上端の面積は、1cm〜100cm、好ましくは1cm〜30cm、さらに好ましくは2cm〜20cmとする。
【0040】
図14の培地プレート1は、凸部11を四角柱状として、凸部11の間に碁盤格子状に排水溝10を設けている。ただし、培地プレートの凸部は、四角柱、六角柱、八角柱等の多角柱状、あるいは図15に示す円柱状、あるいはまた、楕円柱状とすることができる。さらに、図示しないが、培地プレートの凸部は、下方に向かって水平断面積が大きくなる形状、たとえば、角錐台や円錐台形状とすることもできる。また、培地プレートは、必ずしも凸部の間に碁盤格子状に排水溝を設けた構造とする必要はなく、図16に示すように、細長い直方体の凸部11の間に、筋状に排水溝10を設けた構造とすることもできる。
【0041】
培地プレート1は、凸部11の間に排水溝10を形成し、この排水溝10でもって、培地4と根切りシート3を透過する廃水を外周に向かって流して培地プレート1から排水する。また、培地プレート1の凸部11は、排水溝10の廃水から根切りシート3を上方に分離して、廃水に起因する病気を防止する。根切りシート3を廃水から分離するために、凸部11の高さは1cm以上、好ましくは1.5cm以上、さらに好ましくは2cm以上とする。凸部11を高くするほど、根切りシート3を排水溝10の廃水から確実に分離できる。ただ、凸部を高くすると培地プレート全体が厚くなって製造コストが高くなり、また凸部の強度も低下する。このため、凸部11の高さは、5cmよりも低く、好ましくは4cm以下とする。
【0042】
さらに、排水溝10の幅、すなわち隣接する凸部11の間隔は、廃水をスムーズに流すことができる幅とする。排水溝10の幅が狭すぎると、廃水に含まれる異物が詰まりやすい。このため、排水溝10の幅は、たとえば2mm以上、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上とする。ただ、排水溝は、根切りシートを支持しない部分となるので、この幅が広すぎると、根切りシートを水平な姿勢に支持できなくなる。このため、排水溝10の幅は、たとえば50mmよりも狭く、好ましくは40mmよりも狭く、さらに好ましくは30mmよりも狭くする。排水溝10の最適幅は、廃水の詰まりを少なく、かつ根切りシート3を水平に保持することから、最適には10mm〜25mmとする。
【0043】
さらに、多数の凸部11の間に形成される排水溝10は、図16に示すように、底面を傾斜面10Aとして、廃水を速やかに外周に流すことができる。図に示す排水溝10は、中央を山形とする傾斜面10Aを設けて、廃水を培地プレート1の両側に流す構造としている。ただ、傾斜面は一方向にのみ傾斜させることもできる。さらに、図示しないが、複数の凸部を碁盤格子状に備える培地プレートも、縦横に交差する排水溝の底面を傾斜面とすることができる。これらの排水溝は、廃水を速やかに培地プレートの外側に流すことができる形状の傾斜面とする。
【0044】
培地プレート1は、下面の平面プレート12から多数の凸部11を上に突出させる形状に成形している。平面プレート12は、たとえば5mm〜30mmの厚さの板状としている。図に示す培地プレート1は、プラスチックの発泡体で製作される。この培地プレート1は安価に多量生産できる。プラスチック発泡体からなる培地プレート1は、表面に非発泡層を設けて、廃水の内部への浸透を阻止し、あるいは独立気泡に発泡させて、廃水の内部への浸透を阻止している。ただ、栽培装置は、培地プレート1の下に非透水シート2を敷設するので、培地プレートを完全な防水構造とする必要はない。培地プレート1に浸透して透過した廃水を、下に敷設している非透水シート2で所定の位置に集めることができるからである。プラスチック発泡体の培地プレート1は、発泡スチロールで製作して、とくに安価に多量生産できる。ただ、培地プレートは、他のプラスチック発泡体、たとえば塩化ビニル発泡体、EVA発泡体、ウレタン発泡体等で製造することもできる。
【0045】
さらに、培地プレートは、図示しないが、熱可塑性のプラスチックシートを真空成形して凸部を設けることもできる。この培地プレートは、平面プレートの一部を上方に突出するように成形して凸部とし、凸部の間に排水溝を設ける。この培地プレートも安価に多量生産できる。
【0046】
培地プレート1は、複数の区画プレート1Aに分割して、隣接して配置する区画プレート1Aを嵌着構造で連結する構造にできる。この培地プレート1は、所定の大きさの区画プレート1Aを細長く並べて連結できる。図17の区画プレート1Aは、隣接縁に互いに嵌着できる連結突出部13と連結凹部14とを設けている。この培地プレート1は、連結突出部13を連結凹部14に入れて、隣接する区画プレート1Aを定位置に連結できる。
【0047】
根切りシート3は、防根シートとも呼ばれるシートで、すでに市販されているものを使用する。根切りシート3は、細繊維を立体的に集合した不織布が使用できる。また、微細な貫通孔を無数に設けているプラスチックフィルムも根切りシート3として使用できる。さらに、根切りシート3は、水を透過させて植物の根が成長して透過するのを阻止できる全てのシートを使用することができる。
【0048】
根切りシート3は、培地プレート1の上面に積層されて、培地4に植え付けしている植物の根が伸びて排水溝10に侵入するのを阻止する。植物の根が排水溝10に侵入すると、根が廃水に接触して病気になるおそれがあるからである。したがって、根切りシート3は、好ましくは、図2ないし図4に示すように、培地プレート1を収納した培地収納トレイ6の上面全面に張設される。ただ、培地プレートの上面の一部に培地を載せて植物を生育させる場合、必ずしも培地プレートを収納した培地収納トレイの上面全面に根切りシートを張設する必要はない。根切りシート3は、培地4と培地プレート1との間に張設されて、根が培地プレート1の排水溝10に侵入するのを阻止する。図の根切りシート3は、培地プレート1を収納した培地収納トレイ6の上面全面、すなわち、培地プレート1の上面と、培地収納トレイ6の隔壁8の突出部8Bの上面の全面に水平に張設して、培地収納トレイ6の外周から下方に垂らしている。
【0049】
さらに、図2ないし図4に示す栽培装置は、根切りシート3と培地プレート1との間に保水シート5を配設している。この保水シート5は、培地4と根切りシート3を透過した廃水を吸水して保水する。保水シート5は、無機繊維を方向性なく立体的に集合している保水マット、微細な繊維を方向性なく集合して、無数の空隙ができるように交点で結合している不織布、所定の厚さのロックウール、織布、耐水性のある紙等が使用できる。図に示す栽培装置は、培地プレート1を収納した培地収納トレイ6の上面のほぼ全面にわたって1枚の保水シート5を配設している。ただ、栽培装置は、培地プレートの上面にのみ配設することもできる。
【0050】
保水シート5に水分を保水する栽培装置は、培地4が乾燥するときに、保水する水分を根切りシート3に透過させて、培地4に供給する。保水シート5の水分は、気化して培地4に供給され、あるいは根切りシート3を透過して培地4に浸透して補給される。したがって、ここに保水シート5を配設する栽培装置は、培地4の過乾燥を防止しながら植物を生育できる特徴がある。ただ、本発明の栽培装置は、必ずしも保水シートを設ける必要はない。保水シートのない栽培装置は、乾燥状態で生育できる植物の栽培に適している。また、培地の水分率を検出して、培地が過乾燥になると、給水器25で培地4に養液を供給して、植物を生育することもできる。
【0051】
培地4は、供給される水分を保水する保水性と、過剰な水分を排水する排水性とが要求される。図の培地4は、所定の厚さのマット状で、根切りシート3の上に載せている。培地4は、生育させる植物に最適なものが選択され、たとえば植物の場合は、ヤシガラやバーク等の有機物を所定の厚さのマット状としたものが使用される。この培地4で植物を生育させる場合、たとえば長さを1m、幅を30cm、養液を供給する状態での厚さを約12cmとするものを使用する。ただ、培地には、植物の生育に適した保水性と排水性のある全てのもの、たとえば有機物や無機物を単独であるしは混合したものが使用しできる。無機物である培地は、たとえば、シリカやアルミナを無数の空隙がある状態に焼結した粒体やロックウール等が使用できる。
【0052】
以上の栽培装置は、水平栽培台7の上に、複数の培地収納トレイ6を並べて水平に配置する。ただ、複数の培地収納トレイ6を水平に並べて連結する栽培装置は、水平栽培台7のレベルに狂いがあると、長く連結された複数の培地収納トレイ6を最適な配置にできず、部分的に養液が停滞して、この養液に起因して植物が病気になるおそれがある。とくに、水平栽培台7の高低差が、培地底面と縦溝底面との高低差よりも大きいと、培地4が培地収納トレイ6に溜る水に接触して、スムーズに排水できなくなる。このため、複数の培地収納トレイ6を水平に並べて水平栽培台7の上に配置する栽培装置は、水平栽培台7を設置するときの高低差が制限される。本発明の栽培装置は、凸部11を設けた培地プレート1を培地収納トレイに収納し、さらに培地収納トレイ6に縦溝9を設けているので、培地底面と縦溝底面との高低差を大きくできる。たとえば、図13に示すように、培地底面と縦溝底面との高低差は、培地プレート1の高さ(h)、すなわち、平面プレート12の厚み(a)と凸部11の高さ(b)のトータルに、縦溝9の深さ(d)を加えた高低差とすることができる。したがって、水平栽培台7を設置するときの高低差を大きくでき、複数の培地収納トレイ6を並べてなる栽培装置を理想的に配置できる。これにより、培地4に供給される水を速やかに排水して、停滞する養液に起因する植物の病気を確実に防止できる。
【0053】
図2に示す水平栽培台7は、地面から上に離して配置している載せ台7Bである。このように、載せ台7Bに載置される栽培装置は、ドレン孔17から外部に排水される廃水を自然に流下させて効率よく回収できる特長がある。図3と図4に示す水平栽培台7は、露地7Aである。図3に示す水平栽培台7は、露地7Aを上方に突出させており、突出する露地7Aの上面を水平面として、培地収納トレイ6を直接に載置している。図4に示す水平栽培台7は、露地7Aを上方に突出させることなく、露地7Aの上面を地面と同レベルの水平面としている。
【0054】
さらに、図4に示す栽培装置は、培地収納トレイ6の下面に、支持脚29を設けている。この支持脚29は、培地収納トレイ6を下から支持して所定の高さに配置する。支持脚29は、図17に示すように、垂直壁29Aの下端部の両側に支持プレート部29Bを連結した形状としている。この支持脚29は、垂直壁29Aの両側を支持プレート部29Bで支持して、支持脚29が倒れるのを防止している。さらに、図の支持脚29は、垂直壁29Aの側面と支持プレート部29Bの上面とを補強リブ29Cで連結して補強している。さらにまた、図17に示す支持脚29は、培地収納トレイ6の下面に嵌着して連結できるように、垂直壁29Aの上面から上方に突出する嵌入凸部29aを一体的に成形して設けている。この支持脚29は、嵌入凸部29aを培地収納トレイ6の下面に設けた嵌着凹部(図示せず)に嵌入して、培地収納トレイ6の下面の定位置に連結するようにしている。以上の構造の支持脚29は、培地収納トレイ6と同じ材質とすることができる。支持脚29は、たとえば、プラスチックを発泡成形して製作して安価に多量生産できる。このように、支持脚29を備える栽培装置は、簡単な構造で、培地収納トレイ6を水平栽培台7から上方に離して所定の高さに配置できる。ただ、支持脚は、必ずしも図に示す形状とする必要はなく、培地収納トレイを下方から支持して所定の高さに支持できる他の構造とすることもできる。
【0055】
以上の栽培装置は、図2ないし図4に示すように、植物を植え付けている培地4に、給水器25で養液20を供給している。給水器25は、図に示すように、養液20を貯溜するタンク21と、このタンク21内の養液20を吸い上げて移送するポンプ22と、このポンプ22から供給される養液20を培地4に散水する給水管23とを備える。この構造の給水器25は、ポンプ22を連続運転して植物に定量の養液20を連続供給し、あるいは、ポンプ22の運転を制御部24で制御して、所定量の養液20を所定の時間間隔で植物に供給する。植物に供給される養液20は、培地4と根切りシート5とを透過して、一部は保水シート5に吸収され、残りは廃水として培地プレート1の排水溝10を流下して、培地プレート1から培地収納トレイ6の縦溝9に流入される。培地収納トレイ6の縦溝9に流入して回収される廃水は、図13に示すように、ドレン孔17に挿入した排水パイプ26を介して外部に排水される。培地収納トレイ6から排水された廃水は、回収され、あるいは図4の鎖線で示すように給水器25のタンク21に環流される。図4に示す給水器25は、タンク21に環流される廃水を、再び植物に供給する構造としているが、回収した廃水は、給水器とは別の回収用のタンクに集めることもできる。
【0056】
植物に供給される養液20は、水に肥料や薬剤を添加した溶液である。したがって、培地4と根切りシート3を透過した廃水が、露地に排水されるのは好ましくない。それは、廃水に含まれる成分によって露地の土壌を汚染し、あるいは、雑草や細菌等の繁殖を促進するおそれがあるからである。このように、培地収納トレイから外部に排水される廃水を回収する栽培装置は、廃水が露地に浸透するのを防止して、理想的な環境で植物を栽培できる特長がある。
【0057】
回収された廃水は、廃棄され、あるいは再び培地に供給される。回収されて再び培地4に供給される廃水は、必要な肥料を添加して所定の肥料濃度に調整される。ただ、回収された廃水は、肥料濃度を調整することなく、水分を補給する目的で培地4に供給することもできる。回収した廃水を再び培地4に供給する装置は、水を有効に利用して水の消費量を少なくできる。また、廃水には肥料も含有されているので、廃水を再び培地に供給する装置は、ランニングコストを低減できる特長もある。さらにまた、肥料を含む廃水を周囲に排水しない特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の養液栽培装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる養液栽培用の栽培装置の概略断面図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかる養液栽培用の栽培装置の概略断面図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる養液栽培用の栽培装置の概略断面図である。
【図5】培地収納トレイの平面図である。
【図6】図5に示す培地収納トレイの底面図である。
【図7】図5に示す培地収納トレイの正面図である。
【図8】図5に示す培地収納トレイのA−A線断面図である。
【図9】図5に示す培地収納トレイのB−B線断面図である。
【図10】図5に示す培地収納トレイのC−C線断面図である。
【図11】図5に示す培地収納トレイのD−D線断面図である。
【図12】区画トレイの連結構造を示す断面図である。
【図13】培地収納トレイがドレン孔から廃水を排水する状態を示す拡大断面図である。
【図14】培地プレートの一例を示す斜視図である。
【図15】培地プレートの他の一例を示す斜視図である。
【図16】培地プレートの他の一例を示す断面斜視図である。
【図17】区画プレートの連結構造を示す平面図である。
【図18】支持脚の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1…培地プレート 1A…区画プレート
2…非透水シート
3…根切りシート
4…培地
5…保水シート
6…培地収納トレイ 6A…区画トレイ
7…水平栽培台 7A…露地
7B…載せ台
8…隔壁 8A…本体壁
8B…突出部
8C…起立部
9…縦溝 9A…側溝
9B…中央溝
10…排水溝 10A…傾斜面
11…凸部
12…平面プレート
13…連結突出部
14…連結凹部
15…補強リブ
16…連結溝
17…ドレン孔
18…連結突出部
19…連結凹部
20…養液
21…タンク
22…ポンプ
23…給水管
24…制御部
25…給水器
26…排水パイプ
27…鍔部
28…段差凹部
29…支持脚 29A…垂直壁
29B…支持プレート部
29C…補強リブ
29a…嵌入凸部
30…養液
31…トレイ
32…ロックウール
33…根切りシート
34…培地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露地(7A)や載せ台(7B)等の水平栽培台(7)の上に縦に並べて配設される複数の培地収納トレイ(6)と、この培地収納トレイ(6)の上に水平に張設される非透水シート(2)と、この非透水シート(2)の上に積層している培地プレート(1)と、この培地プレート(1)の上に積層されて、水を透過させるが植物の根が通過するのを防止する根切りシート(3)と、この根切りシート(3)の上に所定の厚さに積層される培地(4)とを備え、植物を植え付けている培地(4)に水を供給して植物を生育させる養液栽培用の栽培装置であって、
培地収納トレイ(6)は、両端に延びる縦溝(9)を上面に有すると共に、両側に沿って隔壁(8)を設けてなる溝形で、
この培地収納トレイ(6)の上に載せられる培地プレート(1)は、上面に突出する多数の凸部(11)を有すると共に、各々の凸部(11)は上端を同一面に配置して、根切りシート(3)を水平に配置できる形状としており、
さらに、凸部(11)の間には排水溝(10)を形成して、この排水溝(10)でもって、培地(4)と根切りシート(3)を透過する廃水を外周に向かって流して培地プレート(1)から培地収納トレイ(6)の縦溝(9)に排水するようにしてなる養液栽培用の栽培装置。
【請求項2】
培地収納トレイ(6)が、隔壁(8)の内側と中央部に縦溝(9)を設けている請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項3】
培地収納トレイ(6)が、縦溝(9)にドレン孔(17)を開口している請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項4】
ドレン孔(17)に、上下に移動できるように排水パイプ(26)を挿入している請求項3に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項5】
培地収納トレイ(6)の下面に支持脚(29)を設けている請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項6】
培地収納トレイ(6)が発泡スチロールである請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項7】
培地収納トレイ(6)を複数の区画トレイ(6A)に分割しており、隣接して配置される区画トレイ(6A)を嵌着構造で連結するようにしてなる請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項8】
培地プレート(1)が、平面プレート(12)から多数の凸部(11)が突出する形状に成形すると共に、凸部(11)の上端を同一平面に位置させ、さらに、凸部(11)の形状を、多角柱状、円柱状、楕円柱状のいずれかの形状としている請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項9】
根切りシート(3)と培地プレート(1)との間に保水シート(5)を積層し、培地(4)と根切りシート(3)を透過する水を保水シート(5)に保水させる請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。
【請求項10】
培地プレート(1)を複数の区画プレート(1A)に分割しており、隣接して配置される区画プレート(1A)を嵌着構造で連結するようにしてなる請求項1に記載される養液栽培用の栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−330227(P2007−330227A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169234(P2006−169234)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(393019355)
【Fターム(参考)】