説明

首振りセル装置及びその制御方法

【課題】搬送物の間隔が狭くかつ高速搬送においてもその搬送物の姿勢を自在に変更でき、また搬送物ごとの仕分け方向に迅速に対応できる首振りセル装置を提供する。
【解決手段】搬送物(10)を載置可能なベルト(8)が架け渡された一対の搬送ローラ(6)を駆動するベルト駆動手段と、前記ベルトを搬送物の載置面に沿った水平方向に回転させる水平駆動手段と、前記ベルトの搬送物が搬送される上流側若しくは下流側の少なくとも1方に配置された物品感知センサ(9)とを備え、前記物品感知センサの検出出力に応じて、前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流システムにおいて物品もしくは物品を収納する搬送ケースなどの搬送姿勢を制御することの出来る首振りセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物流システムにおいては、物品の保管、仕分け、ピッキング、配送等の各種物流形態がある。例えば、仕分けのための搬送方向の変更に限らず、その必要に応じて、その搬送向きや搬送位置などを変更する必要がある。
【0003】
従来においては、荷物に効率良く力を伝えてスムーズに荷物を任意の方向に搬送することが可能な搬送装置及び搬送システムが提供されている。
【0004】
これは、例えば、下記特許文献2に示す搬送装置に備えた送給部では、ツイストベースのうち送給ローラより下方にツイストギヤを配置したので、従来のツイストギヤの内側に送給ローラを配置した構成のものに比べて、ツイストギヤ及び送給ローラそれぞれの形状の自由度が高まる。これにより、ツイストギヤの小型化を図ることが可能になり、送給部同士を従来よりも近づけて配置することができると共に、送給ローラの大型化を図ることも可能になり、荷物と送給ローラとの接触面積を増やすことも可能になる。これにより、各送給部から荷物に効率良く力を伝えてスムーズに荷物を任意の方向に搬送することが可能になる。(特許第3516343号)
【0005】
また、下記特許文献1においては、パレット段積み商品をパレット搬送コンベアへ搬送しているときの分流と合流を高速化して、商品の搬送と仕分けの効率を高める装置が提案されている。
【0006】
この装置は、パレット段積み商品を搬送コンベアから分岐コンベアに分岐するとき、パレット段積み商品が分岐部に近づくと、分岐装置の制御ユニットは円弧状のデフレクタを上昇させるとともに複数のスキューローラの各回転テーブルを所定角度回転させ、分岐ローラをそれぞれ所定の回転速度で回転させる。分岐ローラの回転速度を制御するときに、回転中心側に近いスキューローラの分岐ローラをほとんど回転させず、回転中心より遠いスキューローラの分岐ローラを速く回転させ、パレット段積み商品を停止させずに円滑に回頭して分岐する。(特許第3228266号)
【0007】
【特許文献1】特許第3228266号
【特許文献2】特許第3516343号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1においては、回転速度と首振り角度を変えられる複数のスキューローラと駆動制御ユニットを有しているが、複数のスキューローラは中央制御装置によって制御され構成であるのでシステムが大掛かりになり汎用性が低い問題を抱えている。
また、この種の中央制御の形態では、例えば、搬送物(パレット)が通過した後に、後方から搬送されてくる次の搬送物に対して仕分け向きを変えるような場合、該搬送物間の間隔が狭いときには仕分けできない事態が発生する。
したがって、従来の搬送設備においては、搬送物の間隔を所定以上の間隔に設定しておく必要があった。
また、搬送物の分岐点において、スキューローラの搬送物との摩擦力の不足を補うために、搬送物の向きを変える補助具としてデフレクタを用いる構成を採用している。
【0009】
また、特許文献2においては、多数のローラ群が歯車ユニットにて連結された構成であるので、装置自体が大型化してしまい、機構部分のメンテナンスが大変であること、各ローラを個別の回転速度にて制御することができないこと、さらには個別の首振り角度設定ができないだけでなく、ローラ群の迅速な首振りが難しいなどの問題を抱えており、搬送物の間隔が狭く搬送能力の高い設備には不向きである。
また、従来のコンベヤ等における搬送物の仕分けタイミングは、コンベヤの上流側における所定位置を基準として仕分け位置までの距離を基に行うのが一般的である。これは、搬送物の位置を常に把握する必要があるために、大量処理かつ多品種の搬送物を中央制御出行う場合、その制御が複雑化する問題を抱えている。特に、搬送物の間隔が狭い場合や高速搬送には問題を抱えている。
【0010】
本発明の課題は、搬送物の間隔が狭くかつ高速搬送においても搬送物の姿勢(向き)を自在に変更ができ、搬送物ごとの仕分け方向に迅速に対応できる首振りセル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる首振りセル装置では、搬送物を載置可能なベルトが架け渡された一対の搬送ローラを駆動するベルト駆動手段と、前記ベルトを搬送物の載置面に沿った水平方向に回転させる水平駆動手段と、前記ベルトの搬送物が搬送される上流側若しくは下流側の少なくとも1方に配置された物品感知センサとを備え、前記物品感知センサの検出出力に応じて、前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする。(請求項1)
【0012】
また、本発明にかかる首振りセル装置では、前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の丸ベルトが装着されていることを特徴とする。(請求項2)
【0013】
また、本発明にかかる首振りセル装置では、前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の上面が平坦なVベルトが装着されていることを特徴とする。(請求項3)
【0014】
また、本発明にかかる首振りセル装置の制御方法では、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、上流側に設けられた前記物品感知センサが搬送物の先端を検知後、搬送物の後端を当該物品感知センサで通過したことを検知したことによって、当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする。(請求項4)
【0015】
また、本発明にかかる首振りセル装置の制御方法では、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、上流側に設けられた前記物品検知センサが搬送物の先端を検知してから所定時間経過後に当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする。(請求項5)
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、搬送物を載置可能なベルトが架け渡された一対の搬送ローラを駆動するベルト駆動手段と、前記ベルトを搬送物の載置面に沿った水平方向に回転させる水平駆動手段と、前記ベルトの搬送物が搬送される上流側若しくは下流側の少なくとも1方に配置された物品感知センサとを備え、前記物品感知センサの検出出力に応じて、前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とするので、搬送物の検出信号に基づく制御であるので、首振り装置の首振り動作等が搬送物の到達と直接連動して制御することができ、極めて迅速な制御が可能となる。
したがって、本発明の首振りセル装置によれば、搬送物の物品間隔が狭い搬送や高速搬送に容易に対応することができる。
【0017】
また、請求項2の発明は、前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の丸ベルトが装着されているので、搬送物の底面が平坦でない場合のも、各丸ベルトごとに個別に対応して搬送物底面に柔軟に接触することができる。したがって、搬送物の底面の平坦性を選ぶことなくより広範囲な物品に対して保持を確実にすることができ、搬送ローラの回転力を搬送物に伝えることができ、搬送物の姿勢制御を迅速・確実に行うことが可能となる。
【0018】
また、請求項3の発明は、前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の上面が平坦なVベルトが装着されているので、請求項2の発明と同様に、搬送ローラにVベルトを掛け渡した構成では、搬送物の底面が平坦でないとき、各Vベルトごとに個別に対応して搬送物底面に柔軟に接触することができる。またVベルトの場合では、このVベルトに対してベルト横方向の力が作用した場合、Vベルトは構造上捩れが発生しにくいので、搬送物の底面の平坦性を選ぶことが無いだけでなく、丸ベルトの場合よりもより物品保持を確実にすることができ、搬送ローラの回転力を搬送物に伝えることができ、搬送物の姿勢制御を迅速・確実に行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項4の発明は、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、上流側に設けられた前記物品感知センサが搬送物の先端を検知後、搬送物の後端を当該物品感知センサで通過したことを検知したことによって、当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御するので、搬送物が仕分け部(首振りセル)上に載置されたことを確実・迅速に検出することができ、搬送物全体が該領域に移動するまでには、例えば仕分け動作のために首振り済ませることができ、迅速な動作が可能である。
【0020】
また、請求項5の発明は、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、上流側に設けられた前記物品検知センサが搬送物の先端を検知してから所定時間経過後に当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御するので、搬送物が仕分け部(首振りセル)上に載置されたことを確実・迅速に検出することができ、搬送物全体が該領域に移動するまでには、例えば仕分け動作のために首振り済ませることができ、迅速な動作が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態であってコンベヤの仕分け設備の平面図である。
図2は図1に示す仕分け設備の首振りセル(装置)の部分斜視図である。
図3は首振りセルの要部断面の側面図である。
【0022】
図1において、主搬送ラインのコンベヤ2の所定の領域には、このコンベヤ2上を搬送されてくる搬送物10を、仕分けライン19との合流部分にて仕分ける仕分け部3が設けられている。 この仕分け部3には、搬送物10に接触可能なベルト8に架け渡された一対の搬送ローラ6を備えた首振りセル5が1つ設けられている。
【0023】
この一対の搬送ローラ6は、図2に示すように、幅広い平ベルト8が架けられブラケット7により回転自在に支持されている。
また、搬送ローラ6は一方がモータローラ等からなり適宜回転駆動される。
また、このブラケット7は回転軸線Cを中心にして水平方向で右周り或いは左周りの左右両方向(図中においてZ方向)に回転可能に支持されている。そして、このブラケット7には、搬送物10が搬送されてくる上流側若しくは下流側の少なくとも1方の位置に物品感知センサ9が設けられている。
【0024】
このブラケット7は、図3に示すように、回転軸線Cを回転中心とするロータ21aおよび該ロータ21aに磁力を及ぼすコイル部21bを有する首振りモータ21にて構成された首振り機構によって水平方向に回転自在に支持されている。また、この首振りモータ21は仕分け部3のベース部12に取付けられている。
このように、首振りセル5が仕分け部3のベース部12の上に取り付けられていることにより、例えば、この首振りセル5をメンテナンスするときは、表面板18等を取り外すことにより仕分け部3の上方から作業することができ、その作業性は極めてよい。
また、ベース部3への取り付けや取り外しが容易であるので、首振りセル5の故障時等に交換が容易にできる。
【0025】
ブラケット7に保持された搬送ローラ6、首振りモータ21は配線ケーブル6aや配線ケーブル11を介して電力が供給される。そして、この搬送ローラ6は回転速度が制御部20により適宜制御される。
また、首振りモータ21については、その首振り向き(回転向き)が制御部20にて制御される。
なお、この物品感知センサ9は、例えば発光素子と受光素子にて構成されており、搬送物10(物品)が首振りセル上部に存在することを的確に検知し、その検知信号が制御部20の所定の制御信号として利用される。
【0026】
図1は首振りセル5が左右の両仕分けライン19に対して中立な方向(主搬送ラインの搬送方向)に向いた状態を示す。
この状態は、搬送物10の先端部分が仕分け部3の上流側の物品感知センサ9が検知(搬送物の先端の検知後、搬送物の後端が通過したことを検知した時)したとき、或いは搬送物の先端を検知してから所定時間後(搬送物10の移動速度によって適宜設定された時間)に搬送物10が首振りセル5の上に確実に乗った状態で、制御部20の信号により、予め入力されているデータ等により首振りセル5が45度の首振り動作を行う。
この首振りセル5の首振り動作によって、搬送物10は搬送方向が45度(図中において矢印A1の方向に)変わり、コンベヤ2上の向きのまま図中下側の仕分けライン19上に送り出される。
【0027】
また、搬送物10が下側の仕分けライン19上に送り出されると同時に、首振りセル5の物品検知センサ9においても搬送物10を検出できなくなることで、首振りセル5を元の向き(図1の状態)に戻す動作を行う。
このように、首振りセル5が元の向き(図1の状態)になることにより、次に搬送されてくる搬送物10に対して、直前の仕分け方向とは異なった方向への仕分けにも、既に準備ができている状態であることから極めて迅速に対応することができる。
【0028】
図4、図5および図6を参照して、本発明の首振りセルの応用例について詳細に説明する。
なお、図4は本発明の首振りセルを多数個仕分け部に配置した場合のコンベヤの仕分け設備の平面図である。
図1のコンベヤの仕分け設備では、仕分け部に1個の首振りセルを配置しているために、首振りセルの大きさは、搬送物の移送を可能に大きさにしてあるが、図4〜6の仕分け設備では複数個の首振りセルで搬送物の移送を実行するために、その大きさは仕分け部配置する首振りセルの個数に応じて小さくされている。
【0029】
図4は全ての首振りセルが全てコンベヤ2の搬送物10の運搬方向に向いた平面図である。 図5は全ての首振りセルが全て90度首振り状態を示す平面図である。図6は全ての首振りセルが全て同じ首振り状態でない場合を示す平面図である。
【0030】
図4においては、主搬送ラインにおいてコンベヤ2の所定の領域には、このコンベヤ2上を搬送されてくる搬送物10を、図中下側の仕分けライン19との合流部分にて仕分ける仕分け部3が設けられている。なお、仕分け部3に隣接して直進用ローラ部4が設けられている。
この仕分け部3には、搬送物10に接触可能に配置された一対の搬送ローラ6を備えた首振りセル5が複数個並べて設けられている。
【0031】
図4は全ての首振りセル5が仕分けライン19方向に向いた状態を示す。
この状態は、搬送物10の先端部分が仕分け部3の最上流側の物品感知センサ9が検知(搬送物10の先端部分が仕分け部3の最上流側の首振りセルの物品感知センサ9が検知後、搬送物の後端が通過したことを検知した時)したとき、或いは搬送物10の先端部分が仕分け部3の最上流側の首振りセルの物品感知センサ9が検知してから所定時間後(搬送物10の移動速度によって適宜設定された時間)に搬送物10が首振りセル5の上にある程度乗った状態で、制御部20の信号により全ての首振りセル5が90度の首振り動作を行う。
この首振りセル5の首振り動作によって、搬送物10は搬送方向が90度(図中において矢印A2の方向に)変わり、コンベヤ2上の向きのまま仕分けライン19上に送り出される。
【0032】
また、搬送物10が仕分けライン19上に送り出されると同時に、何れの首振りセル5の物品検知センサ9においても搬送物10を検出できなくなることで、全ての首振りセル5を元の向き(図4の状態)に戻す動作を行う。このように、首振りセル5が元の向き(図4の状態)になることにより、次に搬送されてくる搬送物10に極めて迅速に対応することができる。
【0033】
図6においては、首振りセル5を4つの群に区分けして制御する場合について説明する。
なお、この4つの群は、図中において最下側でかつ最上流側の首振りセル5の回転中心(P)を中心にした円弧の接線にほぼ沿った第1セル群S1(4個)、第2セル群S2(11個)、第3セル群S3(10個)、第4セル群S4(2個)とする。
【0034】
図6に示す状態は、搬送物10の先端部分が仕分け部3の最上流側の物品感知センサ9が検知したときに、搬送物10を仕分ける方向の方向転換曲線(Pを中心とした矢印Yにて示す曲線)に略沿った上記各群毎に、方向転換曲線の内側のセル群の首振り角度が大きく設定された状態である。
また、搬送ローラ6の回転速度(搬送速度)は、第1セル群S1よりも第2セル群S2が速く、第2セル群S2よりも第3セル群S3が速く、第3セル群S3よりも第4セル群S4が速く設定されている。また、隣り合うセル群における回転速度の速度差は、搬送物10が仕分けライン19に送り出されたときに、その向きが90度回転しているように適宜設定されている。
【0035】
このような首振りセル5の首振り動作によって、搬送物10はコンベヤ2上の向きとは90度回転した状態で仕分けライン19上に送り出される。
また、搬送物10が仕分けライン19上に送り出されると、何れの首振りセル5の物品検知センサ9においても搬送物10を検出できなくなる。この物品検知センサ9における無検知の信号で、全ての首振りセル5を元の向き(図4の状態)に戻す動作を行う。このように、搬送物10が通過し終わると直ぐに首振りセル5が元の向き(図4の状態)になることにより、次に搬送されてくる搬送物10に極めて迅速に対応することができ、搬送速度の向上、物品間隔の短縮でき、高速大量搬送を可能とする。
【0036】
上述のように方向転換曲線の内側のセル群を小さくするように制御することにより、搬送物の向きを変えるときに、この搬送物10の横ずれが生じることなく仕分けライン19に沿って滑らかに向きを変更することができる。また、上記各セル群の首振り角度や搬送ローラ6の回転速度を適宜変えることにより、仕分けた後の搬送物10の向きを所望に設定することができる。
すなわち、例えば図6に示す以外の群に分けるとともに各セル群ごとに首振り向き並びに搬送ローラの回転速度を相違するように制御することで、仕分け時以外に搬送中の搬送物10の搬送向きや姿勢を自在に制御することも可能である。
【0037】
図7に示す第2の実施形態は、一対の搬送ローラ60に複数の本の丸ベルト68を掛け渡した首振りセル50を示す。なお、図示以外の構造については前掲の第1実施形態にて示したとものと同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態のように、搬送ローラ60に丸ベルト68を掛け渡した構成の場合、例えば搬送物10の底面が平坦でないとき、各ベルト68ごとに個別に対応して搬送物底面に柔軟に接触することができる。したがって、搬送物10の底面の平坦性を選ぶことなくより広範囲な物品に対して保持を確実にすることができ、搬送ローラの回転力を搬送物10に伝えることができ、搬送物10の姿勢制御を迅速・確実に行うことが可能となる。
【0038】
図8に示す第3の実施形態は、一対の搬送ローラ80に複数のVベルト88を掛け渡したものを示す。なお、図示以外の構造については前掲の第1実施形態にて示したとものと同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
搬送ローラ80にVベルト88を掛け渡した構成の場合、前記の第2実施形態と同様に例えば搬送物10の底面が平坦でないとき、各Vベルト88ごとに個別に対応して搬送物底面に柔軟に接触することができる。またVベルト88の場合では、このVベルト88に対してベルト横方向の力が作用した場合、Vベルト88はその捩れが発生しにくいので、搬送物10の底面の平坦性を選ぶことが無いだけでなく、丸ベルトの場合よりもより物品保持を確実にすることができ、搬送ローラの回転力を搬送物10に伝えることができ、搬送物10の姿勢制御を迅速・確実に行うことが可能となる。
【0039】
その他、首振りセル5を多数並べた他の変形例としては、例えば図9に示すように、主搬送ライン2から左右両側斜め前方(A3方向およびB4方向)に仕分ける、所謂Y字両側仕分けにも適用することができる。
この場合、特に図6の如き首振りセル5を4つの群に区分けして制御する場合と同様な制御を行う場合について説明する。
【0040】
本実施形態の場合、仕分け部3よりも搬送ラインの上流側に例えばバーコード読み取り部90が設けられており、このバーコード読み取り部90によって搬送物10に設けられたバーコード91により仕分け方向が識別できる。したがって、このバーコード読み取り部90にて仕分け方向が読み取られた後、搬送物10Aの先端部分が仕分け部3の最上流側の物品感知センサ9(図2参照)が検知されると、搬送物10Aを、例えば左方向へ仕分ける方向の方向転換曲線(P1を中心とした矢印X方向にて示す曲線)に略沿った上記各群毎に、方向転換曲線の内側のセル群の首振り角度が大きく向き、合わせて、搬送ローラ6の回転速度が、第1セル群S1よりも第2セル群S2が速く、第2セル群S2よりも第3セル群S3が速く、第3セル群S3よりも第4セル群S4が速く動く。これにより、搬送物10Aは仕分けライン19Aの仕分け方向A3の方向に向きを変えて搬送される。
【0041】
また、搬送物10Bを右方向(矢印B4の方向)へ仕分ける方向の方向転換曲線(P2を中心とした矢印Y方向にて示す曲線)に略沿った別のセル群(P1を中心とする場合とはセル群配列の向きが異なった例えば、S1b、S2b、S3b、S4b)を設定しておき、この場合も方向転換曲線Zの内側のセル群の首振り角度が大きく設定され且つ搬送ローラ6の回転速度も別途適宜設定されている。
そして、搬送物10Bが仕分け部3に到達したときは、左方向の仕分けとは逆になるように各セル群(S1b、S2b、S3b、S4b)が動作して所定のB4方向の仕分けが行われる。
【0042】
上記各実施形態は、物品感知センサが搬送ローラの上流側の位置に設けられた構成について説明したが、本発明はこの構成に何ら限定されるものではなく、物品感知センサが搬送ローラの下流側の位置に設けられた構成或いは搬送ローラの前後に設けられた構成を採用することができる。
また、本発明においては、物品感知センサは必ずしもセルに設けられた構成でなくてもよく、各セルの近傍に配置された構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
請求項1〜5に記載の発明は、搬送物の仕分け等のタイミングは仕分け領域に設けられた物品感知センサの信号を基に行われるので、動作タイミングの誤差がほとんど無くすことができ、搬送物の間隔が狭くかつ高速搬送においてもその搬送物の姿勢(向き)を自在に変えることができ、搬送物ごとの仕分け方向に迅速に対応できる首振りセル装置を実現することができるので、産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態であってコンベヤの仕分け設備の平面図である。
【図2】図1に示す仕分け設備に設けた首振りセルの部分斜視図である。
【図3】第1実施形態における首振りセルの要部断面の側面図である。
【図4】本発明の応用例であってコンベヤの仕分け設備の平面図である。
【図5】図4において、全ての首振りセルが全て90度首振り状態を示す平面図である。
【図6】図4において、全ての首振りセルが全て同じ首振り状態でない場合を示す平面図である。
【図7】第2の実施形態における首振りセルの要部断面の側面図である。
【図8】第3実施形態における首振りセルの要部断面の側面図である。
【図9】別の応用例における要部の平面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 主搬送ライン
3 仕分け部
5 首振りセル(装置)
6 搬送ローラ
7 ブラケット
8 平ベルト
9 センサ
10 搬送物
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を載置可能なベルトが架け渡された一対の搬送ローラを駆動するベルト駆動手段と、
前記ベルトを搬送物の載置面に沿った水平方向に回転させる水平駆動手段と、
前記ベルトの搬送物が搬送される上流側若しくは下流側の少なくとも1方に配置された物品感知センサと、
を備え、前記物品感知センサの検出出力に応じて、前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする首振りセル装置。
【請求項2】
前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の丸ベルトが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の首振りセル装置。
【請求項3】
前記搬送ローラには、ローラ外周に搬送物との接触抵抗を大きくするための複数本の上面が平坦なVベルトが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の首振りセル装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、
上流側に設けられた前記物品感知センサが搬送物の先端を検知後、搬送物の後端を当該物品感知センサで通過したことを検知したことによって、当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする首振りセル装置の制御方法。
【請求項5】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の首振りセル装置の制御方法であって、
上流側に設けられた前記物品検知センサが搬送物の先端を検知してから所定時間経過後に当該搬送物が首振りセル装置上に載置されたことを検出して前記ベルト駆動手段及び水平駆動手段を個別に制御することを特徴とする首振りセル装置の制御方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−269478(P2007−269478A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99626(P2006−99626)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】