説明

駅務機器及びセンター装置

【課題】駅務機器を使用する係員による不正を防止する駅務機器及びセンター装置を提供すること。
【解決手段】係員が、窓口処理機40などの駅務機器で特定業務を行う際、駅務機器は、当該係員が登録ファイルに登録されているか照合するために、当該係員が所持するICカードのID番号、当該係員の生体照合情報、及び当該駅務機器の駅情報をセンター装置100に送信する。センター装置100は、センター装置に登録されている登録ファイルの登録情報と照合を行い、照合が一致した場合に権限設定ファイルに登録されている特定業務の操作権限の有無を駅務機器に送信する。当該係員は、操作権限有の業務を行うことが可能になる。なお、当該係員ごとに特定業務の操作権限の有無が上記登録ファイルの権限設定ファイルに登録される。この権限設定ファイルはスーパバイザ権限を有する係員によって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器及びセンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窓口処理機等の駅務機器を操作する鉄道会社の係員が当該駅務機器を使用し、ICカード情報の書き換えなどの不正を行うことができるという課題があった。
【0003】
この種の課題に対して、許可された人間以外が装置の立ち上げを行うことを規制し、不審者の悪用を未然に防ぐ方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−178522号公報(第7頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、鉄道会社の係員以外の者が、例えば、深夜など通常の利用時間以外の時間に窓口処理機などの装置を立ち上げる際にパスワード等による認証確認を行い、当該装置の立ち上げを阻止するものである。従って、通常の利用時間に当該装置の利用が可能な係員は、当該係員の業務以外の業務における不正は比較的容易に行うことができるという課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、係員が各駅の駅務機器において、特定業務を行う際、当該係員のICカードのID番号、生体照合情報及び当該駅務機器の駅情報をセンター装置に送信し、センター装置の登録ファイルに登録されている登録情報との照合が取れた場合に、特定業務処理を行うことができるようにすることにより、係員による不正を防止することが可能な認証機能を備えた駅務機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の駅務機器は、駅に設置される駅務機器と、この駅務機器と通信可能に接続されたセンター装置で構成された駅務システムの駅務機器であって、ICカードの読取・書込み可能なICカードリーダ・ライタと、当該駅務機器を操作する係員の生体照合を行う生体照合装置と、当該駅務機器を操作する係員の操作権限を業務ごとに登録する権限登録業務手段と、この権限登録業務手段によって登録された係員による当該駅務機器の操作を可能にする特定業務処理手段と、を備え、前記権限登録業務手段は、係員が前記センター装置の登録ファイルに登録されているか照合するために、前記ICカードリーダ・ライタで読み込んだ当該係員のICカードのID情報、生体照合装置で読み込んだ生体情報及び当該駅務機器の駅情報を前記センター装置に送信する送信手段と、前記センター装置から当該係員の照合結果を受信する受信手段と、この受信手段で受信した照合結果が照合OKのときに、操作権限を有する係員が操作可能な前記登録ファイルの新規登録処理手段、変更処理手段又は削除処理手段と、を備え、前記特定業務処理手段は、係員が前記センター装置の登録ファイルに登録されているか照合するために、前記ICカードリーダ・ライタで読み込んだ当該係員のICカードのID情報、生体照合装置で読み込んだ生体情報及び当該駅務機器の駅情報を前記センター装置に送信する送信手段と、前記センター装置から当該係員の照合結果と、当該係員が操作権限を有する特定業務を受信する受信手段と、を備え、係員は、この受信手段で受信した照合結果が照合OKのときに、操作権限を有する特定業務を行うことができることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る自動改札システム(ローカルシステム)図
【図2】各駅に設置された自動改札システムが、回線を介してセンター装置に接続されたシステム(広域システム)図
【図3】センター装置で管理される登録ファイルを説明する図
【図4】権限登録業務処理に関する駅務機器処理のフローチャート及びセンター装置処理のフローチャート
【図5】不正防止における特定業務処理に関する駅務機器処理のフローチャート及びセンター装置処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例1の自動改札システムは、自動券売機、自動改札機、窓口処理機及び上位装置などがLAN(Local Area Network:構内通信回線)で接続されて構成される。このように構成された自動改札システムにおいて、係員が所持するICカードのID番号、当該係員の生体照合情報、特定業務内容ごとの操作権限の有無及び操作する駅務機器の駅情報をセンター装置の登録ファイルに登録する。各駅の駅務機器において、特定業務を行う際、当該係員のICカードのID番号、生体照合情報及び当該駅務機器の駅情報をセンター装置に送信し、登録ファイルの登録情報との照合を行う。この照合がOKの場合に、特定業務処理を行うことができるようにする。なお、当該係員ごとに特定業務の操作権限の有無が権限設定ファイルに登録される。この権限設定ファイルはスーパバイザ権限を有する係員が行うことができる。
【0010】
ここで、駅務機器とは、自動券売機、自動改札機、定期券発行機及び窓口処理機などの総称である。
【0011】
上記定期券発行機及び窓口処理機は鉄道利用者の要求に応じて係員が当該装置の操作を行うため、当該係員が生体照合の対象となる。一方、自動券売機及び自動改札機は、鉄道利用者が操作又は利用するものであるが、本実施例の機能を使用する場合は、係員又は保守作業を行う保守員が当該装置の操作を行うため、生体照合の対象となる。以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る駅に設置された場合の自動改札システム(ローカルシステム)図である。また、図2は、各駅に設置された自動改札システムの上位装置50が、回線80を介してセンター装置100に接続されたシステム(広域システム)図である。なお、上位装置50は、自動改札ステムの規模が小さい場合には、省略される場合もある。以下、これらの図を参照して説明する。
【0013】
図1に示す自動改札システムは、自動券売機10、定期券発行機20、自動改札機30及び窓口処理機40などがLAN60を介して上位装置50と通信可能に接続される。
【0014】
自動券売機10及び自動改札機30は鉄道利用者によって操作又は利用されるが、定期券発行機20及び窓口処理機40は係員によって操作されるのが一般的である。
【0015】
また、上位装置50は、当該自動改札システムを管理する管理者によって操作されるものとする。
【0016】
窓口処理機40は、係員操作部41、チャージ部42、客用表示部44、ICカードリーダ・ライタ45及び生体照合装置70などで構成され、係員によって操作される。
【0017】
生体照合装置70は、例えば指紋照合装置で構成され、当該装置を使用する係員が照合する10指を当該指紋照合装置で読み込ませて登録することができる。
【0018】
この登録は、ICカードのID番号の属性として登録される。すなわち、係員が所持するICカードに当該ICカードを所持する係員の指紋パターンを属性として登録する。登録する指は左右何れの指であってもよく、所定の指数(例えば10指)まで登録が可能である。
【0019】
この登録されたデータは、ICカードに登録されると共に、上記上位装置50を介してセンター装置100が管理する登録ファイルに登録される。新規に登録される場合は、ICカードのID番号に関連付けられた係員登録No.が付与される。また、この登録ファイルのファイル情報は、係員登録No.又はICカードのID番号による検索が可能である。
【0020】
なお、この登録ファイルの登録は、スーパバイザ権限を有する係員によって行われるが、詳細は後述する。
【0021】
このような形態をとることにより、自動改札システムに関わる係員の、ICカードのID番号、生体照合情報、特定業務内容ごとの操作権限の有無及び操作する駅務機器の駅情報がセンター装置100に登録される。
【0022】
上記生体照合情報の登録は、駅に設置された窓口処理機40に接続された生体照合装置(指紋照合装置)70を用いて登録する場合を示したが、これに限ることはなく、自動券売機10、定期券発行機20及び自動改札機30に、生体照合装置70及び必要に応じてキーボードなどの入力装置71又はPC(Personal Computer)を接続することにより上記登録を行うことが可能である。
【0023】
図2は、各駅設置された自動改札システムが、回線80を介してセンター装置100に接続されたシステム(広域システム)図である。各駅毎に上位装置50が配置されており、この上位装置50に対してLAN60を介して自動券売機10、定期券発行機20、自動改札機30及び窓口処理機40が接続された場合を示す。
【0024】
なお、図示した例では、自動券売機10、自動改札機30などの装置が各1台LAN60接続された場合を示しているが、駅の規模によりこれらの装置が駅に複数台設置されて運用されるのが一般的である。その場合には、当該LAN60にこれらの装置が複数台接続されて自動改札システムが構成される。また、この上位装置50は、センター装置100と接続される。このように構成された上位装置50は、自動券売機10、自動改札機30及び窓口処理機40などからの問い合わせに対応すると共に、これらの機器の利用状況をセンター装置100に送信する。
【0025】
センター装置100は、上位装置50から受信した係員のICカードのID番号、当該係員の生体照合情報、特定業務内容ごとの操作権限の有無及び操作する駅務機器の駅情報を当該センター装置100が管理する登録ファイルに登録する。また、この登録ファイルの登録情報は、係員登録No.又はICカードのID番号を検索キーとして検索が可能である。
【0026】
また、照合要求の際は、駅務機器から受信したICカードのID番号、生体照合情報及び当該駅務機器の駅情報が登録ファイルに登録されている情報に一致するか照合を行い、その照合結果を要求してきた駅務機器に送信する。
【0027】
図3は、センター装置100で管理される登録ファイルを説明する図である。センター管理の登録ファイルは、係員登録ファイル及び権限設定ファイルを有して構成される。
【0028】
係員登録ファイルは、係員登録No.、ICカードのID番号及び指紋パターン登録情報で構成される。
【0029】
権限設定ファイルは、上記係員登録No.に関連付けられた係員属性ファイル及び特定業務ファイルで構成される。
【0030】
係員属性ファイルは、スーパバイザ権限情報及び使用可能駅情報で構成される。スーパバイザ権限情報は、当該権限設定ファイルの新規登録処理、変更登録処理又は削除処理を行う権限の有無を示す情報であり、このスーパバイザ権限有の係員によって当該情報の登録が行われる。
【0031】
使用可能駅情報は、上述した操作する駅務機器の駅情報である。係員がどこの駅に設置されている駅務機器を操作することが可能かが登録される。
【0032】
ここで、特定業務とは、チャージ処理、入場キャンセル処理及び強制出場処理など、係員登録された係員にのみ当該業務を行う権限を付与するものである。
【0033】
例えば、係員登録No.がNo.1の係員は、下記の権限を有する。
(1)スーパバイザ権限:有
スーパバイザ権限とは、例えば、権限設定ファイルデータの新規登録処理、変更登録処理及び削除処理などができる。
【0034】
(2)使用可能駅 :東京
使用可能駅とは、東京駅でのみ当該係員が上記駅務機器の処理ができる。
【0035】
(3)チャージ処理 :無
ICカードに対する入金処理のことである。
【0036】
(4)入場キャンセル :無
ICカードを自動改札機に翳して入場すると、当該ICカードに入場ビットが書き込まれるが、この入場ビットをキャンセルする。一般的にICカードを自動改札機に翳して出場する際、入場ビットが書き込まれていない場合にはエラーになり自動改札機のゲートが閉じて出場できない。
【0037】
(5)強制出場:無
ICカードを自動改札機に翳して入場すると、上述した入場ビットが当該ICカードに書き込まれる。この入場ビットが書き込まれたICカードを利用して自動改札機から出場することができる。従って、入場ビットが書き込まれていないICカードを自動改札機に翳して出場することができない。一方、強制出場は、自動改札機を利用して出場する際、入場したICカードの精算金額の発生の有無などに関係なく出場を可能にする。従って、この強制出場を用いることにより、いわゆるキセル乗車などの不正乗車が可能になる。
【0038】
従って、本実施例は、特定業務として、この強制出場権限を特定の係員に設定することにより、権限を有さない係員による不正使用を防止することができる。
【0039】
また、係員登録No.がNo.5の係員は、下記の権限を有する。
(1)スーパバイザ権限:有
(2)使用可能駅 :品川
(3)チャージ処理 :無
(4)入場キャンセル :無
(5)強制出場 :無
No.5の係員は、スーパバイザ権限を有するが、使用可能駅が品川であるため、当該係員であっても、東京に配置された窓口処理機などの駅務機器を操作することはできない。
【0040】
図3(2)は、係員登録No.に登録される個人情報の詳細である。例えば、係員登録NO.がNO.1の係員のICカードのID番号及び指紋パターン(実施例では10指)が登録される。
【0041】
図4は、権限登録業務処理に関する駅務機器処理のフローチャート及びセンター装置処理のフローチャートである。駅務機器処理のフローチャートとは、自動券売機10、定期券発行機20、自動改札機30及び係員窓口機40などの駅務機器における権限登録業務処理フローあり、これらの駅務機器から権限登録業務が行える。なお、これらの駅務機器は、それぞれ異なる機能を有するため、操作方法は異なってくるが、権限登録業務処理に関する基本的な操作は共通である。
【0042】
たとえば、窓口処理機40には、入出力装置としての係員操作部41がすでに備えられているために生体照合装置70を接続することにより容易に上記権限登録業務処理を行うことが可能だが、自動改札機30には、入出力装置としての係員操作部が備えられていないため、出力装置として案内表示部32を用い、入力装置71及び生体照合装置70を接続することにより上記権限登録業務処理を行うことが可能である。また、当該自動改札機30に当該権限登録業務を行うためのプログラムをインストールしたPC(Personal Computer)を接続することにより当該業務を容易に行うことが可能なのは言うに及ばない。
【0043】
自動券売機10の場合は、入出力装置として操作表示部13を用いることが可能であり、生体照合装置70を接続することにより、容易に権限登録業務処理を行うことが可能である。上述したPCを用いて当該権限登録業務を行うことが可能なのは言うに及ばない。
【0044】
以上のことを前提に権限登録業務処理フローを説明する。ここでは、駅務機器として窓口処理機40を用いた場合を例に説明する。
【0045】
図4(1)は、権限登録業務処理に関する駅務機器の処理フローチャートである。最初に、当該登録業務を行うために、係員操作部41に表示された権限登録業務を押下すると(S01)、認証業務が開始する(S02)。
【0046】
係員が、係員操作部41に表示された画面指示に従って、ICカードTをICカードリーダ・ライタ45に挿入すると(S03)、ICカードのID番号が読み取られる。次に、指紋の読取が要求され、要求に従って指紋が読み取られる(S04)。窓口処理機40は、要求に従って入力されたICカードTのID番号若しくは指紋情報又は駅務機器の駅情報をセンター装置100に送信する(S05)。
【0047】
センター装置100は、窓口処理機40から受信した上記情報に基づいて登録ファイルに登録されている登録情報との照合を行う(S05)。ここでは、当該窓口処理機40及び当該窓口処理機40を操作する係員が登録ファイルに登録されているかの照合を行う。照合結果は当該窓口処理機40に送信される。
【0048】
窓口処理機40は、センター装置100から受信した照合結果がOKの場合(S06のY)、下記に示す、新規登録、変更登録及び削除からなる権限登録業務を係員操作部41に表示する。
【0049】
新規登録:新規の使用者の登録を行う
変更登録:登録済の使用者の権限の変更登録を行う
削除:登録済みの使用者の削除を行う
上記権限業務の何れかが選択されると、センター装置100のプログラム制御の元で登録画面が表示され、所定のデータを入力すると、当該センター装置100の権限設定ファイルに登録される。
【0050】
図4(2)は、権限業務処理フローに関するセンター装置側のセンター装置処理のフローチャートである。図4(1)のステップS05において、センター装置100は、駅務機器(窓口処理機)から送信されたICカード、指紋、駅務機器の駅情報を受信し、当該受信した情報の照合処理を行う。この照合処理では、以下の内容を確認す。
【0051】
駅務機器から受信したICカードのID番号、指紋情報、駅務機器の駅情報を受信し、図3に示す権限設定ファイルに登録されている管理者に一致しているか照合する。具体的には各項目ごとに下記の照合を行う。
【0052】
(1)ICカードのID番号:ICカードのID番号が登録されているか
(2)指紋情報:上記ICカードのID番号に関連付けられて登録されている指紋パターンと一致するか照合する。なお、当該指紋パターンは10指分まで登録可能であり、当該10指の指紋パターンに一致するか照合する。なお、10指登録するのは、1指の場合には、指を怪我し、一時期当該指の指紋が使えない場合を防止するためと、人によっては、指紋が表れにくい指又は人が現実に存在することが知られておりこれを防止するためである。
(3)駅務機器の駅情報:使用可能駅と一致するか照合する。図3に示す権限設定ファイルでは、係員登録No.ごとに使用可能駅が設定されており、当該駅務機器の駅情報が使用可能駅に一致するか確認する。
【0053】
(4)上記(1)〜(3)で説明した全ての条件に一致する場合に当該駅務機器OKを送信する。すなわち、駅務機器OKとは、駅務機器を操作する係員が登録者であることを示す。当該照合結果は駅務機器に送信される(S20)。
【0054】
この照合結果を用いてステップS06移行の処理が実行されることは前した通りである。
【0055】
次に、ステップS11において、新規登録処理、更新登録処理又は削除処理の何れかが選択された場合には、当該処理をセンター装置において権限業務登録処理を実行する(S21)。具体的には、センター装置から、当該選択された権限登録画面が駅務機器に表示され、駅務機器の係員(この場合、スーパバイザが該当する)が登録処理を行うと、当該情報に基づく権限設定ファイルの新規登録処理、更新登録処理又は削除処理が行われる。
【0056】
なお、上記ステップS06〜S11の処理を駅務機器の処理として説明したが、ステップS05において、駅務機器からICカード、指紋及び駅務機器の駅情報を送信すると、それを受信したセンター装置側が、駅務機器の画面にステップS07〜S11の処理画面を表示し、当該表示内容に基づいて、権限業務処理を行うことも可能である。
【0057】
図5は、不正防止における特定業務に関する駅務機器処理のフローチャート及びセンター装置処理のフローチャートである。図3に示す権限設定ファイルにおいて、スーパバイザ権限及び使用可能駅を除くチャージ処理、入場キャンセル処理及び強制出場処理などは特定業務に該当する。以下、図5(1)を参照して駅務機器処理フローチャートを説明する。ここでは、駅務機器としての窓口処理機40から上記特定業務を行う場合について説明する。
【0058】
窓口処理機40の係員操作部41に表示された特定業務の中から処理する業務が選択されると(S30)、当該選択された業務が特定業務に該当するか確認する(S31)。この確認の結果、特定業務の場合は(S31のY)、係員操作部41に表示された画面指示に従って、ICカードTをICカードリーダ・ライタ45に挿入すると、ICカードが読み取られる(S32)。次に、指紋の読取が要求され、要求に従うことにより指紋が読み取られる(S33)。窓口処理機40は、要求に従って入力されたICカード、指紋、駅務機器の駅情報は、センター装置100に送信する。
【0059】
センター装置100は、窓口処理機40から受信した情報に基づいて係員の照合を行う。この照合の結果、当該係員のID番号、指紋情報及び役務機器の駅情報(以下、係員登録情報)が登録ファイルに登録されている場合には、当該係員が操作権限を有する特定業務の有無情報を当該窓口処理機40に送信する(S34)。
【0060】
窓口処理機40は、センター装置から受信した照合結果がOKの場合(S35のY)、センター装置100から受信した処理可能な特定業務処理を行うことができる(S36)。なお、この特定業務処理では、係員ごとに処理可能な特定業務の有無が設定されていることは上述した通りである。
【0061】
この結果、図3に示す登録ファイルにおいて、係員は、特定業務を構成する各業務が有に登録されている業務の処理は行うことが可能だが、無に登録されている業務の処理は行うことができない。
【0062】
図5(2)は、センター装置100側のセンター装置処理のフローチャートである。図5(1)のステップS34において、センター装置100は、窓口処理機40から受信したICカードのID番号、指紋情報、駅務機器の駅情報が図3に示す登録ファイルに登録されているか照合する。具体的には、各項目ごとに下記の照合を行う。
【0063】
(1)ICカードのID番号:ICカードのID番号が登録されているか
(2)指紋情報:上記ICカードのID番号に関連付けられて登録されている指紋パターンと一致するか照合する。なお、当該指紋パターンは10指分まで登録可能であり、当該10指の指紋パターンに一致するか照合する。なお、10指登録するのは、1指の場合には、指を怪我し、一時期当該指の指紋が使えない場合を防止するためと、人によっては、指紋が表れにくい指又は人が現実に存在することが知られておりこれを防止するためである。
(3)駅務機器の駅情報:使用可能駅と一致するか照合する。図3に示す権限設定ファイルでは、係員登録No.ごとに使用可能駅が設定されており、当該駅務機器が使用可能駅に一致するか確認する。
【0064】
(4)上記(1)〜(3)で説明した全ての条件に一致する場合に駅務機器OKの照合結果と共に処理可能な特定業務を送信する。
【0065】
窓口処理機40を操作する係員がセンター装置100から受信した特定業務の範囲内であれば、当該特定業務を行うことが可能になり、特定業務の範囲外であれば、当該特定業務を行うことができない。
【0066】
例えば、従来は、上記乗車券の入場処理の場合、A駅からB駅区間の定期券を有する利用者が定期券利用区間外のC駅で下車する際、当該係員が、当該利用者から提示されたICカードを受け取り、当該利用者がA駅から乗車した際書き込まれた乗車ビットを、窓口処理機を用いてクリアすることにより、定期券の乗車区間外であっても区間外乗車した分の料金を支払わずに当該駅から出場することができた。
【0067】
また、窓口処理機において、利用客から料金を頂かずに、利用者が所持するICカードにチャージすることができた。この処理は当然ながら、利用者が係員が所持するICカードであっても同様に行うことができるため、従来、係員による不正が散見された。
【0068】
しかしながら。上述した特定業務を行う係員の登録と、業務に応じて生体照合による確認を必須要件とすることにより、上記不正を防止することが可能になる。すなわち、特定業務は、登録された係員のみが行うことができ、かつ、当該係員の生体照合による本人確認を行うことにより、登録されていない係員による不正を防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
T ICカード
10 自動券売機
20 定期券発行機
30 自動改札機
40 窓口処理機
41 係員操作部
45 ICカードリーダ・ライタ
50 上位装置
60 LAN
70 生体照合装置
71 入力装置
100 センター装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅に設置される駅務機器と、この駅務機器と通信可能に接続されたセンター装置で構成された駅務システムの駅務機器であって、
ICカードの読取・書込み可能なICカードリーダ・ライタと、
当該駅務機器を操作する係員の生体照合を行う生体照合装置と、
当該駅務機器を操作する係員の操作権限を業務ごとに登録する権限登録業務手段と、
この権限登録業務手段によって登録された係員による当該駅務機器の操作を可能にする特定業務処理手段と、
を備え、
前記権限登録業務手段は、
係員が前記センター装置の登録ファイルに登録されているか照合するために、前記ICカードリーダ・ライタで読み込んだ当該係員のICカードのID情報、生体照合装置で読み込んだ生体情報及び当該駅務機器の駅情報を前記センター装置に送信する送信手段と、
前記センター装置から当該係員の照合結果を受信する受信手段と、
この受信手段で受信した照合結果が照合OKのときに、操作権限を有する係員が操作可能な前記登録ファイルの新規登録処理手段、変更処理手段又は削除処理手段と、を備え、
前記特定業務処理手段は、
係員が前記センター装置の登録ファイルに登録されているか照合するために、前記ICカードリーダ・ライタで読み込んだ当該係員のICカードのID情報、生体照合装置で読み込んだ生体情報及び当該駅務機器の駅情報を前記センター装置に送信する送信手段と、
前記センター装置から当該係員の照合結果と、当該係員が操作権限を有する特定業務を受信する受信手段と、を備え、
係員は、この受信手段で受信した照合結果が照合OKのときに、操作権限を有する特定業務を行うことができることを特徴とする駅務機器。
【請求項2】
前記駅務機器は、前記操作権限を有する特定業務を表示し、かつ、操作可能であることを特徴とする請求項1記載の駅務機器
【請求項3】
駅に設置される駅務機器と、この駅務機器と通信可能に接続されたセンター装置で構成された駅務システムのセンター装置であって、
前記駅務機器から送信されたICカードのID情報、生体情報及び当該駅務機器の駅情報を受信し、当該センター装置が管理する登録ファイルの登録情報を照合する照合手段と、
この照合手段による照合の結果一致するとき、当該係員が当該駅務機器において操作権限を有する特定業務の有無情報を当該駅務機器に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とするセンター装置。
【請求項4】
駅に設置される駅務機器と、この駅務機器と通信可能に接続されたセンター装置で構成された駅務システムのセンター装置であって、
前記照合手段による照合の結果一致する場合、当該駅務機器から受信した新規登録要求、変更登録要求又は削除要求に基づいて、前記登録ファイルに登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3記載のセンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243100(P2012−243100A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112890(P2011−112890)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】