説明

駆動伝達装置、駆動装置、及び画像形成装置

【課題】従来よりも組立てが簡単で小型化が可能な駆動伝達装置、駆動装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、駆動伝達装置50と、駆動伝達装置50に駆動力を入力するモータ52と、駆動伝達装置50から駆動力が出力される感光体28とを有する。駆動伝達装置50は、回転体54と、回転体54の一端側に挿入される凸部64を有し、回転体54を回転可能に支持する本体フレーム62と、回転体54の他端部側が挿入される挿入孔68が形成され、回転体54を回転可能に支持する本体フレーム66とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置、駆動装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動伝達装置に関する技術であって、例えばギア等からなる回転体を、例えば装置フレーム、装置筺体等の支持部材を用いて回転可能に支持する技術が知られている。また、駆動装置に関する技術であって、上述のような駆動伝達装置と、この駆動伝達装置に駆動力を入力する駆動源とを有する技術が知られている。また画像形成装置に関する技術であって、上述のような駆動装置と、この駆動装置から駆動力の出力がなされる例えば感光体等の画像形成関連部材とを有する技術が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−72279
【特許文献2】特開2002−351284
【特許文献3】特開2003−148503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来よりも組立てが簡単で小型化が可能な駆動伝達装置、駆動装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴とするところは、回転体と、この回転体の一端側に挿入される凸部を有し、前記回転体の一端側を回転可能に支持する第1の支持部材と、前記回転体の他端側が挿入される挿入孔が形成され、前記回転体の他端側を回転可能に支持する第2の支持部材とを有する駆動伝達装置にある。したがって、回転体を支持するために回転軸等を用いる必要がなくなり、従来よりも構造を簡素にすることが可能であり、組立てが簡単で、小型化が可能である。また、凸部により回転体の内側が支持され、挿入孔によって回転体の外側が支持される。このように、回転体が内側と外側とから挟みこまれるように支持されるため、回転体が良好に支持される。また、例えば、両端側ともに挿入孔に挿入するようにして回転体を支持する場合、2つの挿入孔の位置にずれがあると、回転体の両側に負荷がかかり、回転体にねじれ力が発生しやすいのに対して、本構成では、回転体の凸部が挿入される側には負荷が加わりにくいため、回転体にねじれ力が生じにくい。また、また第1の支持部材が挿入孔を有しないため、例えばグリス等の潤滑剤を用いる場合であっても、潤滑剤を漏れ出しにくくすることができる。
【0006】
好適には、前記回転体の回転軸方向における移動を規制する規制手段をさらに有する。したがって、規制手段により規制されることで、軸方向に移動しにくくなり、回転体が安定した状態で回転することが可能となる。
【0007】
また、好適には、前記回転体は、前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面とを有し、前記段差面は、前記回転体の回転軸方向における移動が前記第2の支持部材により規制される。したがって、回転体に段差面を設けるとの簡素な構成で回転体の移動を規制することができる。
【0008】
また、好適には、前記回転体の回転に伴い生じる衝撃を吸収する衝撃吸収部材をさらに有する。したがって、回転体が回転時に受ける衝撃が小さくなり、回転体がより良好に回転するようになる。
【0009】
また、好適には、前記回転体は、前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面とを有し、前記衝撃吸収部材は、前記段差面と前記第2の支持部材との間に設けられている。したがって、段差面と第1の支持部材との間で生じる衝撃が吸収され、回転体が回転時に受ける衝撃が小さくなり、回転体がより良好に回転するようになる。
【0010】
また、好適には、前記回転体と前記第2の支持部材との間の摩擦係数を低減させる摩擦係数低下部材をさらに有する。したがって、回転体と第2の支持部材との間の摩擦が低下し、回転体がより良好に回転するようになる。
【0011】
また、好適には、前記回転体は、前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面とを有し、前記摩擦係数低減部材は、前記段差面と前記第2の支持部材との間に設けられている。したがって、段差面と第2の支持部材との間の摩擦が低下し、回転体がより良好に回転するようになる。
【0012】
また、好適には、前記回転体は、ギア列が形成されている。したがって、ギア列を用いて、回転体に駆動力を入力し、回転体から駆動力を出力することができ、駆動伝達をより良好に行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、上述の駆動伝達装置と、この駆動伝達装置に駆動力を入力する駆動源とを有する駆動装置とを含むものである。
【0014】
また、本発明は、上述の駆動装置と、この駆動装置から駆動力が出力され、画像形成又はシート搬送に用いられる画像形成関連部材とを有する画像形成装置を含むものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来よりも組立てが簡単で小型化が可能な駆動伝達装置、駆動装置、及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられている。また、画像形成装置本体12内に画像形成手段14と、例えば2段のシート供給装置18、18とが搭載されている。
【0017】
画像形成手段14は電子写真方式のもので、画像形成関連部材として用いられるドラム形状の感光体28と、感光体28を一様帯電する帯電装置30と、帯電装置30により帯電された感光体28に光により潜像を書き込む光書き込み装置32と、光書き込み装置32により感光体28の表面に形成された潜像を現像剤により可視化する現像装置34と、この現像装置34による現像剤像をシートに転写する例えば転写ロールからなる転写装置36と、感光体28に残存する現像剤をクリーニングするクリーニングブレード37を備えたクリーニング装置38と、転写装置36により転写されたシート上の現像剤像をシートに定着させる定着装置40とから構成されている。光書き込み装置32は例えば走査型のレーザ露光装置からなり、後述するプロセスカートリッジ46を横切り、感光体28に潜像を形成する。なお、光書き込み装置32は、他の実施形態としてLEDや面発光レーザ等を用いることができる。
【0018】
画像形成手段14を構成する部材のうち、感光体28、帯電装置30、現像装置34及びクリーニング装置38は、プロセスカートリッジ46として一体化され交換できるようになっている。
【0019】
シート供給装置18、18は、例えば給紙カセットからなるシート収納部19、19と、シート収納部に収納された最上位のシートをピックアップするピックアップロール20、20と、ピックアップロール20、20によりピックアップされたシートを搬送するフィードロール21、21とをそれぞれ有し、シート収納部19、19に積層された状態で収納されているシートを、それぞれ前述の画像形成手段14へと供給する。
【0020】
フィードロール21のシート搬送方向下流にはレジストロール22が設けられ、このレジストロール22の下流側には、前述の転写装置36とプロセスカートリッジ46の感光体28とが設けられ、さらに下流側には前述の定着装置40が設けられている。
【0021】
図2及び図3には、駆動伝達装置50が示されている。駆動伝達装置50は、駆動源として用いられるモータ52から駆動力が入力され、感光体28に駆動力を出力する装置であり、回転体54を有する。
【0022】
回転体54は、中空の円筒部56と、円筒部56の長手方向と略垂直な向きに円筒部56から突出した突出部58と、突出部58に支持され、円筒部56よりも大径の円筒形状を有する外径部60とを有する。円筒部56の一端側には、第1の支持部材として用いられる本体フレーム62に形成された凸部64が挿入されていて、凸部64によって円筒部56の一端側が回転可能に支持されている。円筒部56の他端部側は、第2の支持部材として用いられる本体フレーム66に形成された挿入孔68に挿入されていて、挿入孔68によって円筒部56の他端部側が回転可能に支持されている。
【0023】
円筒部56は、挿入孔68に挿入され、挿入孔68と略同径の外径を有する挿入部70と、挿入部70よりも本体フレーム62側に位置し、挿入孔68よりも大径の大径部72とを有し、挿入部70と大径部72との間に、回転体54の回転軸方向と略垂直な方向に段差面74が形成されている。そして、この段差面74と本体フレーム66とは、回転体54の軸方向における移動を規制する規制手段として用いられている。すなわち、段差面74が本体フレーム66に当接することにより、回転体54の図2及び図3中における右方向への移動が規制される。回転体54は、本体フレーム62により左方向への移動も規制されているため、軸方向に移動して、本体フレーム62、66から抜け落ちることがない。
【0024】
円筒部56の本体フレーム66側には、例えば圧入する等の方法で感光体28の軸76が連結されている。軸76を圧入することに替えて、例えば、軸76に螺旋リブを、円筒部56の内径部に螺旋溝を形成し、螺旋リブと螺旋溝とを噛み合わせる等の方法で回転体54と感光体28とを連結しても良い。
【0025】
外径部60の外周面にはギア列78が形成されている。そして、ギア列78に噛み合うように、ギア80が設けられている。ギア80は軸82を用いて本体フレーム62、本体フレーム66に回転可能に支持されていて、軸82を用いてモータ52に連結されている。よって、モータ52からの駆動力が軸82を介してギア80に入力され、ギア80から回転体54に駆動力が入力され、駆動力の入力がなされた回転体54が感光体28とともに回転する。
【0026】
段差面74と本体フレーム66の本体フレーム62側向きの面との界面には、衝撃吸収部材として用いられるフェルトワッシャ84が設けられている。フェルトワッシャ84は、弾性体であるフェルトを材料とし、挿入部70よりも若干大径の孔が形成されていて、この孔に挿入部70が挿入されるようにして段差面74と本体フレーム66との界面に支持されている。フェルトワッシャ84により、回転体54が回転することに伴って生じることがある衝撃が吸収され、例えば、スティックスリップ等の回転不良の発生が生じにくくなり、回転体54がより良好に回転するようになる。
【0027】
段差面74と本体フレーム66の本体フレーム62側向きの面との界面には、フェルトワッシャ84とともに、摩擦係数低下部材として用いられるナイロンワッシャ86が設けられている。ナイロンワッシャ86は、段差面74及び本体フレーム66よりも摩擦係数が低い材料であるナイロンを材料とし、挿入部70よりも若干大径の孔が形成されている。そして、この孔に挿入部70が挿入されるようにして段差面74と本体フレーム66との界面に支持されている。ナイロンワッシャ86を設けることにより、回転体54の段差面74が回転する際に受ける摩擦力を低下させることができ、例えば、スティックスリップ等の回転不良の発生が生じにくくなり、回転体54がより良好に回転するようになる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上述べたように、本発明は例えばギア等を有する駆動伝達装置と、このような駆動伝達装置とモータ等の駆動源等を有する駆動装置と、このような駆動装置を有する、例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に用いられる駆動伝達装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に用いられる駆動伝達装置の要部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 画像形成装置
28 感光体
50 駆動伝達装置
52 モータ
54 回転体
56 円筒部
58 突出部
60 外径部
62 本体フレーム
64 凸部
66 本体フレーム
68 挿入孔
70 挿入部
72 大径部
74 段差面
84 フェルトワッシャ
86 ナイロンワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
この回転体の一端側に挿入される凸部を有し、前記回転体の一端側を回転可能に支持する第1の支持部材と、
前記回転体の他端側が挿入される挿入孔が形成され、前記回転体の他端側を回転可能に支持する第2の支持部材と、
を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
前記回転体の回転軸方向における移動を規制する規制手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
前記回転体は、
前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、
この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、
前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面と、
を有し、
前記段差面は、前記回転体の回転軸方向における移動が前記第2の支持部材により規制されることを特徴とする請求項1又は2記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
前記回転体の回転に伴い生じる衝撃を吸収する衝撃吸収部材をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
前記回転体は、
前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、
この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、
前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面と、
を有し、
前記衝撃吸収部材は、前記段差面と前記第2の支持部材との間に設けられたことを特徴とする請求項4記載の駆動伝達装置。
【請求項6】
前記回転体と前記第2の支持部材との間の摩擦係数を低減させる摩擦係数低下部材をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の駆動伝達装置。
【請求項7】
前記回転体は、
前記挿入孔に挿入され、前記挿入孔と略同径の挿入部と、
この挿入部よりも前記第1の支持部材側に位置し、前記挿入孔よりも大径の大径部と、
前記挿入部と前記大径部との間に、回転軸方向と略垂直方向に形成される段差面と、
を有し、
前記摩擦係数低下部材は、前記段差面と前記第2の支持部材との間に設けられたことを特徴とする請求項6記載の駆動伝達装置。
【請求項8】
前記回転体は、ギア列が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか記載の駆動伝達装置と、
前記駆動伝達装置に駆動力を入力する駆動源と、
を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項9記載の駆動装置と、
この駆動装置から駆動力が出力され、画像形成又はシート搬送に用いられる画像形成関連部材と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−89962(P2008−89962A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270472(P2006−270472)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】