説明

駆動機構およびカメラ装置

【課題】 リニア駆動力を駆動部材から被駆動部材へ効率よく伝達することのできる駆動機構を提供する。
【解決手段】 内視鏡装置1の駆動機構は、駆動モータ14と、駆動モータ14が回転することにより、所定の回転軸を中心にして回転運動するとともに回転軸の軸方向に沿って直線運動する軸部材16と、軸部材16の回転運動により得られる回転駆動力が伝達されることなく、軸部材16の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達されるリンク部材17を備える。この場合、リニア駆動力が軸部材16からリンク部材17へ伝達されるときに、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力によってリニア駆動力が低減されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア駆動力を駆動部材から被駆動部材へ効率よく伝達する駆動機構に関し、特に、小型のカメラヘッドを回転させるための駆動機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ装置などで用いられる駆動装置として、リニアアクチュエータを利用したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。リニアアクチュエータは、駆動モータが回転すると軸方向に移動する軸(駆動部材)を備えている。そして、この軸で被駆動部材を押すことにより、リニアアクチュエータの押圧力(リニア駆動力)が被駆動部材に伝達される。リニアアクチュエータは、被駆動部材を微少な距離だけ動かすような用途(例えば、小型のカメラヘッドを回転させる用途など)に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−148299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の駆動装置では、リニアアクチュエータの付勢力に対して反対の方向に弾性的な付勢力を加えるコイルばねが設けられており、この反対方向の付勢力によって、リニアアクチュエータのリニア駆動力が低減されてしまうことになる。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、リニア駆動力を駆動部材から被駆動部材へ効率よく伝達することのできる駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動機構は、駆動モータと、前記駆動モータが回転することにより、所定の回転軸を中心にして回転運動するとともに前記回転軸の軸方向に沿って直線運動する駆動部材と、前記駆動部材の回転運動により得られる回転駆動力が伝達されることなく、前記駆動部材の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達される被駆動部材と、を備え、前記リニア駆動力が、前記リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、前記駆動部材から前記被駆動部材へ伝達される構成を有している。
【0007】
この構成により、駆動モータが回転することにより得られるリニア駆動力が、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、駆動部材から被駆動部材へ伝達される。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0008】
また、本発明の駆動機構は、前記被駆動部材に取り付けられるとともに、前記駆動部材の一方の端部(被駆動部材側の端部)に取り付けられる第1の部材と、前記駆動部材の他方の端部(被駆動部材と反対側の端部)に取り付けられる第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に取り付けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを互いに引き合う方向の付勢力を発生させる付勢部材と、を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、駆動部材が第1の部材と第2の部材によって挟まれる。このように駆動部材を挟んだ状態で、第1の部材と第2の部材には、第1の部材と第2の部材とを互いに引き合う方向の付勢力がかけられる。したがって、第1の部材と第2の部材は、駆動部材の直線移動に追従することができる。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、第1の部材を介して被駆動部材に伝達される。この場合、第1の部材と第2の部材には、第1の部材と第2の部材とを互いに引き合う方向の付勢力がかけられるが、この付勢力は、リニア駆動力を低減させるように働かない。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0010】
また、本発明の駆動機構は、前記被駆動部材に取り付けられ、前記駆動部材の一方の端部を抜け止めするとともに軸受けするベアリング部材を備えた構成を有している。
【0011】
この構成により、駆動部材がベアリング部材によって軸受けされる。この場合、ベアリング部材によって、駆動部材の抜け止めも行われる。したがって、ベアリング部材は、駆動部材の直線移動に追従することができる。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、ベアリング部材を介して被駆動部材に伝達される。このとき、被駆動部材は、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力を受けない。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0012】
また、本発明の駆動機構は、前記被駆動部材に伝達された前記リニア駆動力を、第2の被駆動部材に伝達されるべき回転駆動力に変換する変換部を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、被駆動部材に伝達されたリニア駆動力が、回転駆動力に変換されて、第2の被駆動部材に伝達される。例えば、この回転駆動力によりカメラヘッド(第2の被駆動部材)を回転させることができる。なお、第2の被駆動部材は、カメラヘッドに回転駆動力を伝達するためのプーリなどでもよい。
【0014】
本発明のカメラ装置は、カメラヘッドと、前記カメラヘッドを所定の回転軸を中心に回転させるための駆動機構とを備えたカメラ装置であって、前記駆動機構は、駆動モータと、前記駆動モータが回転することにより、所定の回転軸を中心にして回転運動するとともに前記回転軸の軸方向に沿って直線運動する駆動部材と、前記駆動部材の回転運動により得られる回転駆動力が伝達されることなく、前記駆動部材の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達される被駆動部材と、を備え、前記リニア駆動力が、前記リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、前記駆動部材から前記被駆動部材へ伝達される構成を有している。
【0015】
このカメラ装置によっても、上記と同様に、駆動モータが回転することにより得られるリニア駆動力が、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、駆動部材から被駆動部材へ伝達される。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、リニア駆動力を駆動部材から被駆動部材へ効率よく伝達することができるという効果を有する駆動機構を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における駆動機構の説明図
【図2】第1の実施の形態におけるカメラ装置(内視鏡装置)のブロック図
【図3】第1の実施の形態におけるカメラ装置(内視鏡装置)のカメラヘッドの拡大図
【図4】第1の実施の形態における駆動機構の動作の説明図
【図5】第1の実施の形態における駆動機構の動作の説明図
【図6】本発明の第2の実施の形態における駆動機構の説明図
【図7】第2の実施の形態における駆動機構の動作の説明図
【図8】第2の実施の形態における駆動機構の動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の駆動機構およびカメラ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、カメラ装置が、腹腔内を観察するための腹腔鏡等として用いられる内視鏡装置の場合を例示する。なお、このカメラ装置(内視鏡装置)は、医療用の内視鏡装置に限られず、工業用の内視鏡装置でもよいことは勿論である。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の駆動機構および内視鏡装置(カメラ装置)の構成を、図1〜図3を参照して説明する。ここでは、まず、図2を参照して、内視鏡装置の全体の構成について説明する。図2に示すように、内視鏡装置1は、信号処理部2や光源部3などが内蔵されている本体部4と、本体部4に着脱自在に取り付けられる内視鏡カメラ5で構成されている。信号処理部2は、内視鏡カメラ5から得られた映像入力信号に所定の信号処理を施して、モニタ(図示せず)などに出力される映像出力信号を生成する機能を備えている。光源部3は、光ファイバ(図示せず)などを用いて内視鏡カメラ5に照明光を送る機能を備えている。
【0020】
つぎに、図3を参照して、内視鏡カメラ5の構成について説明する。図3に示すように、内視鏡カメラ5は、円筒状の硬性ケース6を備えており、硬性ケース6の先端部には、球状のカメラヘッド7が備えられている。この例では、カメラヘッド7の一部(ほぼ半分)が、硬性ケース6の先端部から外出しており、カメラヘッド7の残部(残りの半分)が、硬性ケース6の内部に収納されている。そして、硬性ケース6の先端部には、カメラヘッド7の外出した部分を覆う半球ドーム状のカバー8が備えられている。このカバー8は、透明な光学ガラスや光学プラスチックで構成されている。なお、カメラヘッド7とカバー8との間には、所定の隙間9が設けられている。なお、図1では、説明の便宜のため、カバー8の1/4球のみが図示されているが、実際には、カバー8の形状は、1/2球(半球)形状である。
【0021】
カメラヘッド7には、レンズ10が備えられている(図1および図2参照)。また、カメラヘッド7の球面上において、レンズ10の光軸から90度ずれた左右一対の極の位置には、パンベルト11の両方の端部がそれぞれ固定されている。また、このカメラヘッド7の球面上において、レンズ10の光軸から90度ずれた上下一対の極の位置には、チルトベルト12の両端がそれぞれ固定されている。この場合、パンベルト11やチルトベルト12の厚さは、カメラヘッド7とカバー8との間の隙間9より小さい。また、パンベルト11やチルトベルト12は、固定用のボルト13を用いてカメラヘッド7に固定されている。
【0022】
つぎに、図1を参照して、カメラヘッド7の駆動機構について説明する。なお、ここでは、チルト方向の駆動機構について説明するが、特に言及しない限り、パン方向の駆動機構の構成や動作は、チルト方向の駆動機構と同様である。
【0023】
図1に示すように、チルトベルト12には、チルトモータ14の回転駆動力がチルト用プーリ15を介して伝達される。このチルトモータ14は、リニアアクチュエータとして構成されており、チルトモータ14(駆動モータ)が回転すると、軸部材16(軸状の駆動部材)が軸中心に回転運動するとともに、軸方向に沿って直線運動する。この軸部材16は、リンク部材17(被駆動部材)に連結されている。
【0024】
この場合、リンク部材17には、軸部材16の回転運動により得られる回転駆動力は伝達されず、軸部材16の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達される。すなわち、リンク部材17は、軸部材16からの回転駆動力によって軸中心に回転運動をすることはないが、軸部材16からのリニア駆動力によって軸方向に沿って直線運動をする。
【0025】
そして、このリニア駆動力は、従来のようにリニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、軸部材16からリンク部材17へ伝達される。本実施の形態では、そのための構成として、軸部材16の一方の端部(リンク部材17の側の端部)に第1フレーム部材18が取り付けられ、軸部材16の他方の端部(リンク部材17と反対側の端部)に第2フレーム部材19が取り付けられている。また、第1フレーム部材18は、リンク部材17にも連結されている。そして、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19との間には、ばね部材20が取り付けられており、ばね部材20の付勢力(ばね弾性力)により、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19が互いに引き合うように構成されている。
【0026】
また、本実施の形態では、リンク部材17に、チルト用プーリ15に立設されたピン21が挿入される長穴22が設けられている。軸部材16から伝達されたリニア駆動力によってリンク部材17が直線運動をすると、チルト用プーリ15が回転する。このとき、チルト用プーリ15のピン21は、リンク部材17の長穴22の中でスライド可能である。このようにして、リンク部材17(被駆動部材)に伝達されたリニア駆動力が、回転駆動力に変換されて、チルト用プーリ15(第2の被駆動部材)に伝達される。したがって、この場合、ピン21と長穴22が、本発明の変換部に相当する。
【0027】
以上のように構成された第1の実施の形態の内視鏡装置1の駆動機構について、図4および図5を参照して、その動作を説明する。
【0028】
図4および図5に示すように、チルトモータ14が回転すると、軸部材16が軸方向(図における左右方向)に直線運動する。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、軸部材16からリンク部材17に伝達され、そのリニア駆動力が回転駆動力に変換されて、チルト用プーリ15に伝達される。
【0029】
この回転駆動力によりチルト用プーリ15が回転して、チルトベルト12の一方の端部が引っ張られるとともに、チルトベルト12の他方の端部が押し出されると、カメラヘッド7がチルト軸を中心にしてチルト方向に回転する。この場合、カメラヘッド7は、パンベルト11の両方の端部によって左右両側から挟むように保持されている。このパンベルト11の両方の端部は、カメラヘッド7がチルト方向に回転するときの回転軸(チルト軸)上に位置している。したがって、カメラヘッド7がチルト方向に回転するときには、パンベルト11の両方の端部を軸として回転するともいえる。なお、ここでは、内視鏡カメラ5で撮影された画像をモニタに表示したときのモニタ上の上下方向が「チルト方向」に相当する。
【0030】
ここでは、図示を省略するが、上記と同様にして、パン用プーリには、パンモータのリニア駆動力が、回転駆動力に変換されて伝達される。
【0031】
その回転駆動力によりパン用プーリが回転して、パンベルト11の一方の端部が引っ張られるとともに、パンベルト11の他方の端部が押し出されると、カメラヘッド7がパン軸を中心にしてパン方向に回転する。この場合、カメラヘッド7は、チルトベルト12の両方の端部によって上下両側から挟むように保持されている。このチルトベルト12の両方の端部は、カメラヘッド7がパン方向に回転するときの回転軸(パン軸)上に位置している。したがって、カメラヘッド7がパン方向に回転するときには、チルトベルト12の両方の端部を軸として回転するともいえる。なお、ここでは、内視鏡カメラ5で撮影された画像をモニタに表示したときのモニタ上の左右方向が「パン方向」に相当する。
【0032】
このような第1の実施の形態の内視鏡装置1の駆動機構によれば、リニア駆動力を軸部材16からリンク部材17へ効率よく伝達することができる。
【0033】
すなわち、本実施の形態では、チルトモータ14やパンモータが回転することにより得られるリニア駆動力が、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、軸部材16からリンク部材17へ伝達され、カメラヘッドがチルト方向やパン方向に回転される。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0034】
この場合、軸部材16が第1フレーム部材18と第2フレーム部材19によって挟まれる。このように軸部材16を挟んだ状態で、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19には、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19とを互いに引き合う方向の付勢力がかけられる。したがって、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19は、軸部材16の直線移動に追従することができる。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、第1フレーム部材18を介してリンク部材17に伝達される。この場合、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19には、第1フレーム部材18と第2フレーム部材19とを互いに引き合う方向の付勢力(ばね弾性力)がかけられるが、この付勢力は、リニア駆動力を低減させるように働かない。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、リンク部材17に伝達されたリニア駆動力が、回転駆動力に変換されて、チルト用プーリ15やパン用プーリに伝達される。そして、チルト用プーリ15やパン用プーリに伝達された回転駆動力により、カメラヘッド7をチルト方向やパン方向に回転させることができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の駆動機構および内視鏡装置(カメラ装置)について説明する。ここでは、第2の実施の形態が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0037】
本実施の形態でも、リニアアクチュエータで発生したリニア駆動力は、従来のようにリニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、軸部材16からリンク部材17へ伝達される。図6に示すように、本実施の形態では、そのための構成として、ベアリング部材30が用いられる。ベアリング部材30は、軸部材16の一方の端部(リンク部材17の側の端部)を軸受けするように構成されている。また、このベアリング部材30は、軸部材16の一方の端部(リンク部材17の側の端部)を抜け止めするようにも構成されている。例えば、軸部材16とベアリング部材30の内輪を接着するなどの方法により、抜け止めされている。また、ベアリング部材30は、リンク部材17にも連結されている。
【0038】
また、本実施の形態では、リンク部材17は、ベアリング部材30とチルト用プーリ15に、それぞれ回動可能に取り付けられており、このようにして、リンク部材17(被駆動部材)に伝達されたリニア駆動力が、回転駆動力に変換されて、チルト用プーリ15(第2の被駆動部材)に伝達される。したがって、この場合、リンク部材17が、本発明の変換部にも相当する。
【0039】
以上のように構成された第2の実施の形態の内視鏡装置1の駆動機構について、図7および図8を参照して、その動作を説明する。
【0040】
図7および図8に示すように、チルトモータ14が回転すると、軸部材16が軸方向(図における左右方向)に直線運動する。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、軸部材16からリンク部材17に伝達され、そのリニア駆動力が回転駆動力に変換されて、チルト用プーリ15に伝達される。
【0041】
なお、本実施の形態では、チルトベルト12は、カメラヘッド7とチルト用プーリ15との間で交差している。ここでは、図示を省略するが、チルトベルト12が交差する位置には、ベルト挿通孔が設けられている。この場合、チルトベルト12を交差させることによって、チルトベルト12の端部が所定方向に引っ張られるように構成されている。
【0042】
このチルトベルト12の端部が引っ張られる方向は、チルトベルト12の一方の端部を引っ張ることによりカメラヘッド7のチルト方向の回転角θが最大となるときに、チルト平面上のカメラヘッド7の円の接線方向(この場合、チルトベルト12の一方の端部における接線方向)に設定されている。ここで、「チルト平面」とは、カメラヘッド7の球中心を通りかつカメラヘッド7のチルト軸に垂直な平面をいい、「チルト平面上のカメラヘッド7の円」とは、チルト平面とカメラヘッド7の球面とが交差することにより形成される円をいう。なお、硬性ケース6の内部には、チルトベルト12を所定方向(接線方向)にガイドするガイド部31が設けられてもよい。
【0043】
このような第2の実施の形態の内視鏡装置1の駆動機構によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0044】
この場合、軸部材16がベアリング部材30によって軸受けされる。この場合、ベアリング部材30によって、軸部材16の抜け止めも行われる。したがって、ベアリング部材30は、軸部材16の直線移動に追従することができる。そして、この直線運動により得られるリニア駆動力が、ベアリング部材30を介してリンク部材17に伝達される。このとき、リンク部材17は、リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力を受けない。したがって、従来のようにリニア駆動力が反対方向の付勢力により低減される場合に比べて、効率よくリニア駆動力を伝達することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる駆動機構は、リニア駆動力を駆動部材から被駆動部材へ効率よく伝達することができるという効果を有し、小型のカメラヘッドを回転させるための駆動機構等として有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 内視鏡装置(カメラ装置)
2 信号処理部
3 光源部
4 本体部
5 内視鏡カメラ
6 硬性ケース
7 カメラヘッド
8 カバー
9 隙間
10 レンズ
11 パンベルト
12 チルトベルト
13 ボルト
14 チルトモータ(駆動モータ)
15 チルト用プーリ
16 軸部材(駆動部材)
17 リンク部材(被駆動部材)
18 第1フレーム部材(第1の部材)
19 第2フレーム部材(第2の部材)
20 ばね部材(付勢部材)
21 ピン
22 長穴
30 ベアリング部材
31 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
前記駆動モータが回転することにより、所定の回転軸を中心にして回転運動するとともに前記回転軸の軸方向に沿って直線運動する駆動部材と、
前記駆動部材の回転運動により得られる回転駆動力が伝達されることなく、前記駆動部材の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達される被駆動部材と、
を備え、
前記リニア駆動力が、前記リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、前記駆動部材から前記被駆動部材へ伝達されることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記被駆動部材に取り付けられるとともに、前記駆動部材の一方の端部に取り付けられる第1の部材と、
前記駆動部材の他方の端部に取り付けられる第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との間に取り付けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを互いに引き合う方向の付勢力を発生させる付勢部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記被駆動部材に取り付けられ、前記駆動部材の一方の端部を抜け止めするとともに軸受けするベアリング部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記被駆動部材に伝達された前記リニア駆動力を、第2の被駆動部材に伝達されるべき回転駆動力に変換する変換部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駆動機構。
【請求項5】
カメラヘッドと、前記カメラヘッドを所定の回転軸を中心に回転させるための駆動機構とを備えたカメラ装置であって、
前記駆動機構は、
駆動モータと、
前記駆動モータが回転することにより、所定の回転軸を中心にして回転運動するとともに前記回転軸の軸方向に沿って直線運動する駆動部材と、
前記駆動部材の回転運動により得られる回転駆動力が伝達されることなく、前記駆動部材の直線運動により得られるリニア駆動力が伝達される被駆動部材と、
を備え、
前記リニア駆動力が、前記リニア駆動力の方向と反対方向の付勢力により低減されることなく、前記駆動部材から前記被駆動部材へ伝達されることを特徴とするカメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187247(P2012−187247A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52577(P2011−52577)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】