説明

駆動装置

【課題】部品点数を増やすことなく小型化を図ると共に、移動軸を精度良く動作させることを可能とした駆動装置を提供する。
【解決手段】モータは、マグネット1、第1及び第2のステータ2、3、第1及び第2のコイル4、5、第1及び第2のボビン6、7、第1及び第2の軸受8、9、回転軸10、雄ねじシャフト11、変換部材12、回転軸補助部材13を備える。雄ねじシャフト11は、回転軸10の内径部10eに係合し、変換部材12の雌ねじ部12aと噛合する。変換部材12は、回転軸10の軸部10dに固着され、回転軸10の回転運動を直線運動に変換する。回転軸10の回転に伴い、雄ねじシャフト11が直線運動する移動軸として動作する。移動軸である雄ねじシャフト11が回転軸10の内径部10eに係合されているため、回転軸10の内径部10eが移動軸のガイドの役割も兼用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動を直線運動に変換する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ部の回転運動を出力ロッド部の直線運動に変換する駆動装置として、リニアアクチュエータに関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、第1の従来例に係るリニアアクチュエータの構成を示す断面図である。
【0004】
図6において、リニアアクチュエータのモータ部Aは、中空状の回転シャフトBと、この回転シャフトBの外周に一体に形成された回転子Cと、回転子Cの外周囲に形成された固定子Dとから構成されている。リニアアクチュエータの出力ロッドであるボールネジ軸Eは、回転シャフトBを貫通し、該回転シャフトBの内周面全域に亘って形成されたネジ溝と鋼球Fを介して螺合している。従って、モータ部Aの固定子Dへの通電により回転シャフトBが回転すると、ボールネジ軸Eが左右方向に直線運動する。即ち、回転シャフトBの回転運動がボールネジ軸Eの直線運動に変換される。
【0005】
上記の構成では、回転シャフトBの回転量とボールネジ軸Eの移動量との関係は、両者のネジのピッチにより規定される。そのため、回転量と移動量との関係が異なる別仕様のリニアアクチュエータを製造する場合には、ボールネジ軸Eのネジのピッチだけでなく、モータ部Aの構成要素である回転シャフトBのネジのピッチも変更しなければならない。それを改良するために、図7に示す構成のリニアアクチュエータが提案されている。
【0006】
図7は、第2の従来例(特許文献1)に係るリニアアクチュエータの構成を示す断面図である。
【0007】
図7において、リニアアクチュエータのモータ部1001は、中空状の回転シャフト1002と、回転シャフト1002の外周面に一体に形成されたロータ1003と、ロータ1003の外周囲に設けられたステータ1004とを備えている。回転シャフト1002は、小径部1002aと大径部1002bとを有する。大径部1002bの後端の外周部には、ナット1009、1010が螺合されている。これにより、ベアリング1007のインナーが大径部1002bに締着されている。
【0008】
ナット1010の外側面には、ボルト1011を介してホルダトランス1012が固着されている。また、ホルダトランス1012の内側面には、ボルト1013を介して保持ブロック1014が固着されている。保持ブロック1014は、回転シャフト1002の大径部102bの端部内に同軸状に位置しており、回転シャフト1002の軸線上に位置する中央部位にネジナット1015を貫通状態に固着してある。
【0009】
回転シャフト1002の小径部1002aには、出力ロッド1016−1が摺動可能に挿入されている。出力ロッド1016−1は、後端にネジロッド1018が連接されている。ネジロッド1018は、保持ブロック1014のネジナット1015に螺合されている。
【0010】
モータ部1001の回転シャフト1002が回転すると、その回転力がナット1010及びホルダトランス1012を介して保持ブロック1014に伝達される。その結果、保持ブロック1014に固着されたネジナット1015が回転シャフト1002と共に回転する。ネジロッド1018は、回り止めブッシュ1017によりその回動が抑制されている。このため、ネジナット1015の回転に伴ってネジロッド1018に軸線方向の推力が発生する。その結果、出力ロッド1016−1が図7の左右方向に直線運動することになる。
【0011】
上記リニアアクチュエータでは、モータ部1001の回転シャフト1002にネジナット手段としての機能を持たせず、保持ブロック1014のネジナット1015に同機能を持たせてある。そして、ネジナット1015を備えた保持ブロック1014は、ボルト1011及びホルダトランス1012を介して回転シャフト1002に着脱自在に設けられている。そのため、ネジロッド1018及び出力ロッド1016−1からなる運動変換手段を、回転運動を直線運動に変換する運動変換モジュールとしてモータ部1001から独立させることができる。
【特許文献1】特開2000−220715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記第1の従来例(図6)のリニアアクチュエータは、鋼球Fを介して回転シャフトBの回転運動がボールネジ軸Eの直線運動に変換するボールネジ軸タイプの構造を有する。そのため、リニアアクチュエータを小型化するには鋼球Fの直径をかなり小さくする必要があり、製造上の限界がある。また、小径化した鋼球を製造できたとしても、リニアアクチュエータの性能が落ちてしまうという問題が発生する。
【0013】
また、上記第2の従来例(図7)のリニアアクチュエータは、回転シャフト1002の回転運動を出力ロッド1016−1の直線運動に変換させる、ネジロッド1018及び出力ロッド1016−1からなる運動変換手段を独立させたモジュール化している。そのため、部品点数が増加すると共に、小型化が困難であるという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、部品点数を増やすことなく小型化を図ると共に、移動軸を精度良く動作させることを可能とした駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明の駆動装置は、円筒形状のマグネットと、前記マグネットの外周面に対向する磁極部を有するステータと、前記ステータを励磁するコイルと、前記マグネットの内周側に固定される回転軸と、前記回転軸の回転運動を直線運動に変換する変換部材と、前記回転軸の回転運動に伴い前記変換部材を介して軸方向に移動する移動軸とを備え、前記回転軸は、前記移動軸が係合され前記移動軸を軸方向に案内する内径部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転軸の回転運動に伴い変換部材を介して移動軸が軸方向に移動する際に、回転軸の内径部が移動軸を軸方向に案内するガイドの役割も兼用する。これにより、移動軸を案内するための部材を別個に設けることが不要となり、部品点数を増やすことなく駆動装置の小型化を図ることが可能となる。また、移動軸を精度良く動作させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置としてのモータの構成を示す分解斜視図である。図2は、モータの組立完成状態の構成を示す断面図である。図3は、モータの一部を拡大した構成を示す断面図である。
【0019】
図1乃至図3において、モータは、マグネット1、第1及び第2のステータ2、3、第1及び第2のコイル4、5、第1及び第2のボビン6、7、第1及び第2の軸受8、9、回転軸10、雄ねじシャフト11、変換部材12、回転軸補助部材13を備えている。
【0020】
マグネット1は、円筒形状に構成されており、その外周面を円周方向にN分割してS極及びN極に交互に着磁された着磁部を有する。
【0021】
第1のステータ2は、軟磁性材料から形成されており、円筒を切り欠いた形状の外筒と、中央に穴部2aが形成されたドーナツ状の天板2bとから構成されている。第1のステータ2の外筒には、軸方向に延出する歯形状の第1の外側磁極部が形成されている。第1の外側磁極部は、円周方向に等間隔で形成されており、マグネット1の外周面に対向する状態に配置される。
【0022】
第2のステータ3は、軟磁性材料から形成されており、円筒を切り欠いた形状の外筒と、中央に穴部3aが形成されたドーナツ状の天板3bとから構成されている。第2のステータ3の外筒には、軸方向に延出する歯形状の第2の外側磁極部が形成されている。第2の外側磁極部は、円周方向に等間隔で形成されており、マグネット1の外周面に対向する状態に配置される。
【0023】
第1のコイル4は、第1のボビン6に巻き付けられている。第1のコイル4への通電により、第1のステータ2の第1の外側磁極部と後述する回転軸10の第1の内側磁極部10aとが反対の極に励磁される。第1のコイル4は、その外径がマグネット1の外径と略同じ寸法に設定されている。
【0024】
第2のコイル5は、第2のボビン7に巻き付けられている。第2のコイル5への通電により、第2のステータ3の第2の外側磁極部と後述する回転軸10の第2の内側磁極部10bとが反対の極に励磁される。第2のコイル5は、その外径がマグネット1の外径と略同じ寸法に設定されている。
【0025】
第1のボビン6は、樹脂モールドにより形成されており、円筒部6a、カバー部6b、端子ピン6c、6dを備えている。円筒部6aの外周には、第1のコイル4が巻回されている。円筒部6aの軸方向一方の端部には鍔部が配設されており、鍔部の外周縁部から軸方向に筒状のカバー部6bが延出されている。
【0026】
カバー部6bは、第2のボビン7のカバー部7bと嵌合する。カバー部6bの内径は、第1のステータ2の第1の外側磁極部を避けるため該外側磁極部より外側に位置するように構成されており、該外側磁極部が変形したりするのを保護している。カバー部6bの一部には、第1のコイル4のコイル端末がからげられる端子ピン6c、6dが一体的に成形されている。
【0027】
第2のボビン7は、樹脂モールドにより形成されており、円筒部7a、カバー部7b、端子ピン7c、7dを備えている。円筒部7aの外周には、第2のコイル5が巻回されている。円筒部7aの軸方向一方の端部には鍔部が配設されており、鍔部の外周縁部から軸方向に筒状のカバー部7bが延出されている。
【0028】
カバー部7bは、その内径部が第1のボビン6のカバー部6bの外径部と嵌合する。カバー部7bの内径は、第2のステータ3の第2の外側磁極部を避けるため該外側磁極部より外側に位置するように構成されており、該外側磁極部が変形したりするのを保護している。カバー部7bの一部には、第2のコイル5のコイル端末がからげられる端子ピン7c、7dが一体的に成形されている。
【0029】
第1の軸受8は、軟磁性材料から形成されており、底部8aを備えることで内径部が貫通しない構造を有する。第1の軸受8は、第1のステータ2の穴部2aに固定される。これにより、第1の軸受8と第1のステータ2が磁気的に接続される。また、第1の軸受8は、内径部において後述する回転軸10の軸部10cと嵌合することで、回転軸10を回転可能に保持する。
【0030】
また、第1の軸受8は、上記嵌合箇所において回転軸10と磁気的に接続されることで、後述の第1の内側磁極部10aの一部として作用する。以上の構造により、第1の軸受8を介して第1のステータ2と回転軸10とが磁気的に接続される。磁気抵抗が小さいので、第1コイル4により発生する磁束を流れやすくしている。
【0031】
第2の軸受9は、軟磁性材料から形成されており、内径部が貫通した構造を有する。第2の軸受9は、第2のステータ3の穴部3aに固定される。これにより、第2の軸受9と第2のステータ3が磁気的に接続される。また、第2の軸受9は、内径部において後述する回転軸10の軸部10dと嵌合することで、回転軸10を回転可能に保持する。
【0032】
また、第2の軸受9は、上記嵌合箇所において回転軸10と磁気的に接続されることで、後述の第2の内側磁極部10bの一部として作用する。以上の構造により、第2の軸受9を介して第2のステータ3と回転軸10とが磁気的に接続される。磁気抵抗が小さいので、第2コイル5により発生する磁束を流れやすくしている。
【0033】
回転軸10は、軟磁性材料から形成されており、内径部10eを有する中空状に構成されている。回転軸10は、第1の内側磁極部10a及び第2の内側磁極部10bを有する大径の本体部と、小径の軸部10c及び軸部10dとを備えている。回転軸10は、マグネット1の内径部に接着固定され、且つ、軸部10cが第1のコイル4の内周側に挿入され、軸部10dが第2のコイル5の内周側に挿入される。
【0034】
また、回転軸10には、マグネット1に対向している第1のステータ2の第1の外側磁極部と対向した軸方向の範囲でマグネット1を挟む位置に、第1の内側磁極部10aが形成されている。第1の内側磁極部10aは、第1のコイル4への通電により、第1のステータ2の第1の外側磁極部とは反対の極に励磁される。
【0035】
同様に、回転軸10には、マグネット1に対向している第2のステータ3の第2の外側磁極部と対向した軸方向の範囲でマグネット1を挟む位置に、第2の内側磁極部10bが形成されている。第2の内側磁極部10bは、第2のコイル5により、第2のステータ3の第2の外側磁極部とは反対の極に励磁される。
【0036】
雄ねじシャフト11は、軟磁性材料から形成されており、その外径が回転軸10の内径部10eに係合可能な寸法に設定されている。雄ねじシャフト11は、回転軸10の内径部10eに係合される。
【0037】
変換部材12は、概略円筒形状に構成されており、回転軸10の回転運動を雄ねじシャフト11の直線運動に変換する部材であり、雌ねじ部12aと内径部12bを備えている。雌ねじ部12aは、雄ねじシャフト11と噛合し、内径部12bは、回転軸10の軸部10dの外周に固着される。これにより、変換部材12は、回転軸10と共に回転する。
【0038】
回転軸補助部材13は、円柱部13aと半球部13bを備えている。円柱部13aは、回転軸10の内径部10eに係合されることにより、回転軸10と共に回転する。回転時に、回転補助部材13は、半球部13bを介して第1の軸受8の底部8aと接する。これにより、回転摩擦が小さくなるように構成されている。
【0039】
次に、上記構成を有する本実施の形態のモータの動作を図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0040】
モータの回転軸10が回転すると、回転軸10の軸部10dの外周に変換部材12の内径部12bが固着されているため、回転軸10の回転と同時に変換部材12も回転する。この時、変換部材12の雌ねじ部12aと雄ねじシャフト11が噛合しているため(図3)、回転軸10の回転力に伴って、雄ねじシャフト11に軸方向の推進力が発生する。その結果、雄ねじシャフト11は軸方向に直線運動する。
【0041】
また、雄ねじシャフト11は、常に回転軸10の内径部10eに係合している。つまり、回転軸10の内径部10eは、雄ねじシャフト11が軸方向(図2、図3の左右方向)に直線運動する時のガイドの役割を果たす。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、モータに、回転軸10の内径部10eに係合する雄ねじシャフト11と、回転軸10の回転運動を雄ねじシャフト11の直線運動に変換する変換部材12を設ける。回転軸10と変換部材12が係合し、変換部材12と雄ねじシャフト11が噛合している。その結果、回転軸10の回転に伴い、雄ねじシャフト11が直線運動する移動軸として動作する。移動軸である雄ねじシャフト11が回転軸10の内径部10eに係合されているため、回転軸10の内径部10eが移動軸のガイドの役割も兼用する。
【0043】
これにより、移動軸である雄ねじシャフト11をガイドするための部材を別個に設けることが不要となり、部品点数を増やすことなくモータの小型化を図ることが可能となる。また、移動軸である雄ねじシャフト11を精度良く動作させることが可能となる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置としてのモータの組立完成状態の構成を示す断面図である。図5は、モータの一部を拡大した構成を示す断面図である。
【0045】
図4及び図5において、モータは、マグネット1、第1及び第2のステータ2、3、第1及び第2のコイル4、5、第1及び第2のボビン6、7、第1及び第2の軸受8、9、回転軸110、シャフト111、変換部材112を備えている。
【0046】
本実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、回転軸10、雄ねじシャフト11、変換部材12、回転軸補助部材13を備える代わりに、回転軸110、シャフト111、変換部材112を備える点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上述した第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので、同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
回転軸110は、軟磁性材料から形成されており、内径部110eを有する中空状に構成されている。回転軸110は、第1の内側磁極部及び第2の内側磁極部を有する大径の本体部と、小径の軸部110c、110dとを備えている。回転軸110は、マグネット1の内径部に接着固定され、且つ、軸部110cが第1のコイル4の内周側に挿入され、軸部110dが第2のコイル5の内周側に挿入される。
【0048】
また、回転軸110は、少なくとも、後述する変換部材112の雌ねじ部112aと噛合う部分110fの外形部が雄ねじ形状に形成されている(以後、雄ねじ形状部110fと表記する)。尚、回転軸110の軸部110cの外形部と軸部110dの外形部も雄ネジ形状に形成してもよい。また、回転軸110の第1の内側磁極部及び第2の内側磁極部の構成は上記第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0049】
シャフト111は、軟磁性材料から形成されており、外径が回転軸110の内径部110eに係合可能な寸法に設定されている。シャフト111は、回転軸110の内径部110eに係合される。また、シャフト111は、軸方向一方の端部側が後述する変換部材112の内径部112bに固着される。
【0050】
変換部材112は、概略円筒形状に構成されており、回転軸110の回転運動をシャフト111の直線運動に変換する部材であり、雌ねじ部112aと内径部112bを備えている。雌ねじ部112aは、回転軸110の雄ねじ形状部110fと噛合し、内径部112bは、シャフト111の外周に固着される。
【0051】
次に、上記構成を有する本実施の形態のモータの動作を図4及び図5を参照しながら説明する。
【0052】
回転軸110と変換部材112は、回転軸110の雄ねじ形状部110fと変換部材112の雌ねじ部112aが噛合しているため(図5)、回転軸110が回転すると、変換部材112は軸方向に直線運動する。また、変換部材112の内径部112bがシャフト111の外周に固着されているため、変換部材112の移動に伴って、シャフト111も移動する。つまり、回転軸110が回転するとシャフト111が軸方向に直線運動する移動軸として作動する。
【0053】
また、シャフト111は、常に回転軸110の内径部110eに係合している。つまり、回転軸110の内径部110eは、シャフト111が軸方向(図4、図5の左右方向)に直線運動する時のガイドの役割を果たす。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、回転軸110が雄ねじ形状部110fを備えており、回転軸110の雄ねじ形状部110fと変換部材112の雌ねじ部112aが噛合している。また、変換部材112がシャフト111と固着している。その結果、回転軸110の回転に伴い、変換部材112を介してシャフト111が軸方向に直線運動する移動軸として動作する。移動軸であるシャフト111が回転軸110の内径部110eに係合されているため、回転軸110の内径部110eが移動軸のガイドの役割も兼用する。
【0055】
これにより、移動軸であるシャフト111をガイドするための部材を別個に設けることが不要となり、部品点数を増やすことなくモータの小型化を図ることが可能となる。また、移動軸であるシャフト111を精度良く動作させることが可能となる。
【0056】
[他の実施の形態]
上記第1及び第2の実施の形態では、モータ単体について説明したが、本発明のモータは、小型電子機器(撮像装置、MD等のディスクシステム)における各種機構の駆動源として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置としてのモータの構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1のモータの組立完成状態の構成を示す断面図である。
【図3】図2のモータの一部を拡大した構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置としてのモータの組立完成状態の構成を示す断面図である。
【図5】図4のモータの一部を拡大した構成を示す断面図である。
【図6】第1の従来例に係るリニアアクチュエータの構成を示す断面図である。
【図7】第2の従来例に係るリニアアクチュエータの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 マグネット
2 第1のステータ(ステータ)
3 第2のステータ(ステータ)
4 第1のコイル(コイル)
5 第2のコイル(コイル)
6 第1のボビン
7 第2のボビン
8 第1の軸受
9 第2の軸受
10 回転軸
10e 内径部
11 雄ねじシャフト(移動軸、雄ねじ軸)
12 変換部材
12a 雌ねじ部
13 回転補助部材
110 回転軸
110f 雄ねじ形状部
111 シャフト(移動軸)
112 変換部材
112a 雌ねじ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のマグネットと、
前記マグネットの外周面に対向する磁極部を有するステータと、
前記ステータを励磁するコイルと、
前記マグネットの内周側に固定される回転軸と、
前記回転軸の回転運動を直線運動に変換する変換部材と、
前記回転軸の回転運動に伴い前記変換部材を介して軸方向に移動する移動軸とを備え、
前記回転軸は、前記移動軸が係合され前記移動軸を軸方向に案内する内径部を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記変換部材は、前記回転軸に固定されると共に、雌ねじ部を有し、
前記移動軸は、前記変換部材の前記雌ねじ部に噛合する雄ねじ軸であることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記変換部材は、前記移動軸に固定されると共に、雌ねじ部を有し、
前記回転軸は、前記変換部材の前記雌ねじ部に噛合する雄ねじ部を有することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−211810(P2007−211810A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29611(P2006−29611)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】