説明

駆動軸共有装置および駆動軸共有方法

【課題】専用の制御装置を用いることなく、1つの共有駆動軸を複数の制御装置によって駆動制御することができ、構造が簡単であるとともに、低コストで実現することが可能な、駆動軸共有装置および駆動軸共有方法を提供する。
【解決手段】駆動軸共有装置10は、共有駆動軸20と、共有駆動軸20に連結され、共有駆動軸20を駆動する第1の駆動装置31および第2の駆動装置32とを備えている。第1の駆動装置31および第2の駆動装置32は、第1の制御装置40および第2の制御装置50によってそれぞれ制御される。第1の制御装置40は、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されていないとき、第1の駆動装置31により共有駆動軸20を排他的に駆動する。第2の制御装置50は、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されていないとき、第2の駆動装置32により共有駆動軸20を排他的に駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸共有装置および駆動軸共有方法に係り、とりわけ1つの共有駆動軸を複数の制御装置によって駆動制御することが可能な駆動軸共有装置および駆動軸共有方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のロボットおよびそれらを制御する複数のロボットコントローラが、互いに干渉し合って動作を行う技術として、「協調動作」や「同期動作」と呼ばれる技術が存在する。
【0003】
特許文献1には、通信路を介して互いに接続された複数の制御装置によって共有軸を制御する技術であって、同時に複数の制御装置が共有軸を制御することがないように排他制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−173849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、共有軸を駆動するために専用の制御装置が設けられているので、コスト面で不利になるという問題が存在する。また、排他制御を行うために同期通信などを行う必要があり、複雑なやり取りが必要となる。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、専用の制御装置を用いることなく、1つの共有駆動軸を複数の制御装置によって駆動制御することができ、構造が簡単であるとともに、低コストで実現することが可能な、駆動軸共有装置および駆動軸共有方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、駆動軸共有装置において、共有駆動軸と、前記共有駆動軸に連結され、前記共有駆動軸を駆動する第1の駆動装置と、前記第1の駆動装置に接続され、前記第1の駆動装置を制御する第1の制御装置と、前記共有駆動軸に連結され、前記共有駆動軸を駆動する第2の駆動装置と、前記第2の駆動装置に接続され、前記第2の駆動装置を制御する第2の制御装置とを備え、前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第1の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動し、前記第2の制御装置は、前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第2の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動することを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0008】
本発明は、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置とは、信号線により互いに接続され、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置とは、前記信号線を介して互いに使用権ステータスを入出力することが可能であり、前記第1の制御装置は、前記第1の制御装置が使用権ステータスを有する場合に前記第1の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動し、前記第2の制御装置は、前記第2の制御装置が使用権ステータスを有する場合に前記第2の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動することを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0009】
本発明は、前記第1の制御装置に接続された第3の駆動装置と、前記第3の駆動装置によって駆動される非共有駆動軸とを更に備え、前記第1の制御装置は、前記第3の駆動装置により前記非共有駆動軸を駆動することを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0010】
本発明は、前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されている間、前記第3の駆動装置により前記非共有駆動軸を駆動することを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0011】
本発明は、前記第1の駆動装置および前記第2の駆動装置はそれぞれサーボモータからなり、前記第1の駆動装置および前記第2の駆動装置は、それぞれ駆動ベルトを介して前記共有駆動軸に連結されていることを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0012】
本発明は、前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されているとき、前記第1の駆動装置に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御し、前記第2の制御装置は、前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されているとき、前記第2の駆動装置に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御することを特徴とする駆動軸共有装置である。
【0013】
本発明は、駆動軸共有装置を用いて、前記共有駆動軸を駆動する駆動軸共有方法において、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第1の駆動装置が前記共有駆動軸を排他的に駆動する工程と、前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第2の駆動装置が前記共有駆動軸を排他的に駆動する工程とを備えたことを特徴とする駆動軸共有方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の制御装置は、第2の駆動装置によって共有駆動軸が駆動されていない場合、第1の駆動装置により共有駆動軸を排他的に駆動する。また、第2の制御装置は、第1の駆動装置によって共有駆動軸が駆動されていない場合、第2の駆動装置により共有駆動軸を排他的に駆動する。このことにより、共有駆動軸を駆動するための専用の制御装置を別途設ける必要が無く、駆動軸共有装置の構造を簡単なものとすることができるとともに、駆動軸共有装置を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態による駆動軸共有装置を示す概略構成図。
【図2】本発明の一実施の形態による駆動軸共有装置における、共有駆動軸、第1の駆動装置および第2の駆動装置を有する1軸駆動装置を示す平面図。
【図3】本発明の一実施の形態による駆動軸共有装置における、共有駆動軸、第1の駆動装置および第2の駆動装置を有する1軸駆動装置を示す概略斜視図。
【図4】本発明の一実施の形態による駆動軸共有方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。図1乃至図4は、本発明の一実施の形態を示す図である。
【0017】
まず、図1乃至図3により、本発明の一実施の形態による駆動軸共有装置の構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態による駆動軸共有装置10の全体構成を示す概略図である。
【0019】
図1に示すように、駆動軸共有装置10は、共有駆動軸20と、共有駆動軸20に連結され、それぞれ共有駆動軸20を駆動する第1の駆動装置31および第2の駆動装置32と、第1の駆動装置31に接続された第1の制御装置40と、第2の駆動装置32に接続された第2の制御装置50とを備えている。
【0020】
このうち共有駆動軸20と、第1の駆動装置31と、第2の駆動装置32とにより、1軸駆動装置15が構成されている。
【0021】
また、第1の制御装置40には第1の直交2軸駆動装置60が接続され、第2の制御装置50には第2の直交2軸駆動装置70が接続されている。
【0022】
図2は、共有駆動軸20と、第1の駆動装置31と、第2の駆動装置32とを有する1軸駆動装置15を示す平面図であり、図3は、図2に示す1軸駆動装置15の構成を簡略化して示した概略斜視図である。
【0023】
図2および図3に示すように、共有駆動軸20は、長尺状の駆動軸本体21と、駆動軸本体21の長手方向に延びるボールねじ22と、ボールねじ22に沿って直線移動自在のスライダ23とを有している。このうちボールねじ22の一端にはプーリ24が固着され、プーリ24には、第1のタイミングベルト(駆動ベルト)25および第2のタイミングベルト(駆動ベルト)26が巻き掛けられている。
【0024】
図3に示すように、第1の駆動装置31の駆動軸にはプーリ27が固着されており、このプーリ27には、第1のタイミングベルト25が巻き掛けられている。この場合、第1の駆動装置31の駆動軸からの動力は、プーリ27、第1のタイミングベルト25、およびプーリ24を順次介してボールねじ22に伝えられ、スライダ23がボールねじ22に沿って直動するようになっている。
【0025】
同様に、第2の駆動装置32の駆動軸にはプーリ28が固着されており、プーリ28には、第2のタイミングベルト26が巻き掛けられている。この場合、第2の駆動装置32の駆動軸からの動力は、プーリ28、第2のタイミングベルト26、およびプーリ24を順次介してボールねじ22に伝えられ、スライダ23がボールねじ22に沿って直動するようになっている。
【0026】
第1の駆動装置31および第2の駆動装置32は、それぞれサーボモータからなっている。図3に示すように、第1の駆動装置31および第2の駆動装置32には、それぞれその駆動軸の位置を検出するためのエンコーダ33、34が取り付けられている。また、第1の駆動装置31は、エンコーダ33および信号線35を介して第1の制御装置40に接続され、第2の駆動装置32は、エンコーダ34および信号線36を介して第2の制御装置50に接続されている。なお、信号線35、36は、サーボモータを駆動する動力線やエンコーダの信号線を全て含んだ形で図示している。
【0027】
再度図1を参照すると、第1の制御装置40は、第1の駆動装置31を駆動するものであって、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されていないとき、第1の駆動装置31により共有駆動軸20を排他的に駆動することができる。
【0028】
第1の制御装置40は、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)部41と、動作プログラム・メモリ部42と、動作プログラム解析部43と、動作プログラム指令部44と、駆動制御部45と、I/O部46とを有している。
【0029】
HMI部41は、ユーザーが第1の制御装置40を制御する際に使用するものであり、例えば、表示装置やティーチングペンダント等を含んでいる。
【0030】
動作プログラム・メモリ部42は、1軸駆動装置15および第1の直交2軸駆動装置60を駆動するための動作プログラムを記憶しておくものである。この動作プログラムは、HMI部41においてユーザーによって登録されたものである。
【0031】
動作プログラム解析部43は、動作プログラム・メモリ部42に記憶された動作プログラムを解析し、各駆動装置(第1の駆動装置31、第1の直交2軸駆動装置60)を駆動する際の移動速度等を含む解析情報を、動作プログラム指令部44に対して出力する。
【0032】
動作プログラム指令部44は、動作プログラム解析部43によって解析された解析情報に基づいて、各駆動装置(第1の駆動装置31、第1の直交2軸駆動装置60)の動作指令を出力するものである。
【0033】
駆動制御部45は、動作プログラム指令部44からの動作指令に基づき、各駆動装置(第1の駆動装置31、第1の直交2軸駆動装置60)に対して指令を出力するものである。
【0034】
I/O部46は、信号線48により、後述する第2の制御装置50のI/O部56に対して接続されている。このI/O部46は、動作プログラム指令部44からの指令に基づいて、第2の制御装置50のI/O部56との間で互いに使用権ステータスを入出力するものである。
【0035】
ここで使用権ステータスとは、第1の制御装置40および第2の制御装置50のうち、どちらが共有駆動軸20を使用(駆動制御)する権利を有するかを示すものである。具体的には、第1の制御装置40が使用権ステータスを有する場合、第1の制御装置40は、第1の駆動装置31により共有駆動軸20を排他的に駆動することができ、この間、第2の駆動装置32は共有駆動軸20を駆動することができない。他方、第2の制御装置50が使用権ステータスを有する場合、第2の制御装置50は、第2の駆動装置32により共有駆動軸20を排他的に駆動することができ、この間、第1の駆動装置31は共有駆動軸20を駆動することができない。
【0036】
なお、使用権ステータスは、第1の制御装置40および第2の制御装置50のうちどちらか一方が必ず有している必要はない。共有駆動軸20を全く駆動する必要がないときは、第1の制御装置40および第2の制御装置50がともに使用権ステータスを有していなくても良い。
【0037】
一方、第2の制御装置50は、第2の駆動装置32を駆動するものであり、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されていないとき、第2の駆動装置32により共有駆動軸20を排他的に駆動することができる。
【0038】
第2の制御装置50は、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)部51と、動作プログラム・メモリ部52と、動作プログラム解析部53と、動作プログラム指令部54と、駆動制御部55と、I/O部56とを有している。
【0039】
これらHMI部51、動作プログラム・メモリ部52、動作プログラム解析部53、動作プログラム指令部54、駆動制御部55およびI/O部56の機能は、第1の制御装置40のHMI部41、動作プログラム・メモリ部42、動作プログラム解析部43、動作プログラム指令部44、駆動制御部45およびI/O部46の機能と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0040】
なお、第1の制御装置40および第2の制御装置50により共有駆動軸20を駆動制御する方法の詳細については後述する。
【0041】
ところで、図1に示すように、第1の直交2軸駆動装置60は、2つの駆動装置(第3の駆動装置)61、62と、駆動装置61、62によってそれぞれ駆動される非共有駆動軸63、64とを有している。
【0042】
このうち非共有駆動軸64は、非共有駆動軸63に対して直交する向きに連結されており、非共有駆動軸63の長手方向に沿って移動可能となっている。さらに、非共有駆動軸64は、非共有駆動軸64の長手方向に沿って移動可能なスライダ部65を有している。
【0043】
また、駆動装置61、62は、それぞれ信号線66、67を介して、第1の制御装置40の駆動制御部45に接続されている。そして第1の制御装置40は、駆動装置61、62により非共有駆動軸63、64を駆動するようになっている。なお、信号線66、67は、モータを駆動する動力線やエンコーダの信号線を全て含んだ形で図示している。
【0044】
一方、第2の直交2軸駆動装置70は、2つの駆動装置71、72と、駆動装置71、72によってそれぞれ駆動される非共有駆動軸73、74とを有している。
【0045】
このうち非共有駆動軸74は、非共有駆動軸73に対して直交する向きに連結されており、非共有駆動軸73の長手方向に沿って移動可能となっている。さらに、非共有駆動軸74は、非共有駆動軸74の長手方向に沿って移動可能なスライダ部75を有している。
【0046】
また、駆動装置71、72は、それぞれ信号線76、77を介して、第2の制御装置50の駆動制御部55に接続されている。そして第2の制御装置50は、駆動装置71、72により非共有駆動軸73、74を駆動するようになっている。なお、信号線76、77は、モータを駆動する動力線やエンコーダの信号線を全て含んだ形で図示している。
【0047】
なお、第1の直交2軸駆動装置60および第2の直交2軸駆動装置70としては、それぞれ一般的な2軸直交ロボットを用いることができる。
【0048】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について、図4を用いて説明する。
【0049】
まず、第1の制御装置40の動作プログラム解析部43が、動作プログラム・メモリ部42に記憶された動作プログラムを解析し、第1の制御装置40が共有駆動軸20を駆動制御する予定があるか否かを判断する(図4のステップSa1)。
【0050】
仮に、第1の制御装置40が共有駆動軸20を駆動制御する予定がない場合、第1の制御装置40は使用権ステータスを有さない(以下、第1の制御装置40の使用権ステータスを「使用権ステータス1」ともいう)。このため、第1の制御装置40は使用権ステータス1をOFFにした状態のままである。この場合、第1の制御装置40は、共有駆動軸20を駆動することはできないが、第1の直交2軸駆動装置60を駆動することは可能である。
【0051】
第1の制御装置40が共有駆動軸20を駆動制御する予定がある場合、第1の制御装置40は、使用権ステータス1をONにする(図4のステップSa2)。
【0052】
続いて、第1の制御装置40のI/O部46は、信号線48を介して、第2の制御装置50のI/O部56に対して使用権ステータス1(ON)を出力(送信)する(図4のステップSa3)。
【0053】
次に、第1の制御装置40のI/O部46は、信号線48を介して、第2の制御装置50のI/O部56から第2の制御装置50の使用権ステータスを読み取る(図4のステップSa4)(以下、第2の制御装置50の使用権ステータスを「使用権ステータス2」ともいう)。
【0054】
次いで、第1の制御装置40は、第2の制御装置50の使用権ステータス2がOFFであるか否かを判断する(図4のステップSa5)。
【0055】
仮に、使用権ステータス2がONであると、第2の制御装置50との間で使用権ステータスが競合してしまうため、第1の制御装置40は使用権ステータス1を有することができない。したがって、第1の制御装置40は、使用権ステータス1をOFFとする(図4のステップSa8)。この場合、第1の制御装置40のI/O部46は、信号線48を介して、第2の制御装置50のI/O部56に対して使用権ステータス1(OFF)を出力(送信)する(図4のステップSa9)。
【0056】
一方、図4のステップSa5において、使用権ステータス2がOFFであると判断される場合、すなわち、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されていない場合、第1の駆動装置31が共有駆動軸20を排他的に駆動する。
【0057】
この際、第1の制御装置40の駆動制御部45は、信号線35を介して第1の駆動装置31に対して動作指令を出力する。次に、第1の駆動装置31の駆動軸が駆動され、この駆動軸からの動力は、プーリ27、第1のタイミングベルト25、およびプーリ24を順次介してボールねじ22に伝えられ、スライダ23がボールねじ22に沿って直動する(図3参照)。このようにして、共有駆動軸20が駆動される(図4のステップSa6)。
【0058】
このように第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されているとき、第2の制御装置50の駆動制御部55は、第2の駆動装置32に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御を行う。
【0059】
また、このとき第2の駆動装置32に接続されたエンコーダ34は、第2の駆動装置32の回転位置(パルス)に関する情報を、信号線36を介して第2の制御装置50に対して送信している。したがって、第2の制御装置50は、第2の駆動装置32を駆動していない間も、共有駆動軸20のスライダ23の位置を常時把握することができる。
【0060】
同時に、第1の制御装置40の駆動制御部45は、各信号線66、67を介して、第1の直交2軸駆動装置60の各駆動装置61、62に対して、それぞれ動作指令を出力する。この場合、各駆動装置61、62は非共有駆動軸63、64を駆動する。このようにして、第1の制御装置40により、共有駆動軸20(1軸駆動装置15)とともに、非共有駆動軸63、64(第1の直交2軸駆動装置60)が駆動される。
【0061】
この間、第2の制御装置50は、共有駆動軸20を駆動することはできないが、第2の直交2軸駆動装置70を駆動しても良い。すなわち、第2の制御装置50の駆動制御部55は、各信号線76、77を介して、第2の直交2軸駆動装置70の各駆動装置71、72に対してそれぞれ動作指令を出力し、各駆動装置71、72が非共有駆動軸73、74を駆動しても良い。
【0062】
その後、共有駆動軸20の駆動が終了し、共有駆動軸20が停止する(図4のステップSa7)。
【0063】
次に、第1の制御装置40は、使用権ステータス1をOFFにする(図4のステップSa8)。その後、第1の制御装置40のI/O部46は、信号線48を介して、第2の制御装置50のI/O部56に対して使用権ステータス1(OFF)を出力(送信)する(図4のステップSa9)。
【0064】
このようにして、第1の制御装置40による共有駆動軸20の駆動制御が行われる。
【0065】
一方、図4において、第2の制御装置50におけるステップSb1〜Sb9については、それぞれ第1の制御装置40におけるステップSa1〜Sa9と同様である。以下では、第2の制御装置50におけるステップSb1〜Sb9の概要のみを簡単に説明する。
【0066】
すなわち、まず第2の制御装置50が共有駆動軸20を駆動制御する場合、第2の制御装置50は、使用権ステータス2をONとし、第1の制御装置40のI/O部46に対して使用権ステータス2(ON)を出力(送信)する(図4のステップSb1〜Sb3)。
【0067】
次いで、第2の制御装置50は、第1の制御装置40の使用権ステータス1がOFFであり、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されていない場合、第2の駆動装置32が共有駆動軸20を排他的に駆動する(図4のステップSb4〜Sb6)。
【0068】
このように第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されているとき、第1の駆動装置31は、第1の駆動装置31に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御を行う。この間、第1の制御装置40は、共有駆動軸20を駆動することはできないが、第1の直交2軸駆動装置60を駆動しても良い。
【0069】
その後、第2の制御装置50による共有駆動軸20の駆動が終了し、共有駆動軸20が停止する(図4のステップSb7)。次に、第2の制御装置50は、使用権ステータス2をOFFにし、第1の制御装置40に対して使用権ステータス2(OFF)を出力(送信)する(図4のステップSb8〜Sb9)。
【0070】
このように本実施の形態によれば、第1の制御装置40は、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されていない場合、第1の駆動装置31により共有駆動軸20を排他的に駆動する。また、第2の制御装置50は、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されていない場合、第2の駆動装置32により共有駆動軸20を排他的に駆動する。このことにより、共有駆動軸20を駆動するための専用の制御装置を設ける必要が無いので、駆動軸共有装置10の全体構造を簡単なものとすることができる。また、駆動軸共有装置10を低コストで実現することができる。
【0071】
また本実施の形態によれば、第1の制御装置40と第2の制御装置50とは、信号線48により接続されているので、第1の制御装置40と第2の制御装置50との間で信号線48を介して互いに使用権ステータスを入出力することができるようになっている。この場合、第1の制御装置40は、第1の制御装置40が使用権ステータスを有する場合に第1の駆動装置31により共有駆動軸20を排他的に駆動し、第2の制御装置50は、第2の制御装置50が使用権ステータスを有する場合に第2の駆動装置32により共有駆動軸20を排他的に駆動する。このことにより、第1の制御装置40と第2の制御装置50との間で、共有駆動軸20の使用権が競合することを防止し、第1の駆動装置31および第2の駆動装置32の両方が同時に共有駆動軸20を駆動することがないようになっている。
【0072】
また本実施の形態によれば、第1の制御装置40は、第1の駆動装置31により共有駆動軸20を駆動するのと同時に、駆動装置61、62により非共有駆動軸63、64を駆動するので、1軸駆動装置15と第1の直交2軸駆動装置60とを、1つのロボットのように一体的に駆動制御することができる。同様に、第2の制御装置50は、第2の駆動装置32により共有駆動軸20を駆動するのと同時に、駆動装置71、72により非共有駆動軸73、74を駆動するので、1軸駆動装置15と第2の直交2軸駆動装置70とを、1つのロボットのように一体的に駆動制御することができる。
【0073】
さらに本実施の形態によれば、第1の制御装置40は、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されている間、駆動装置61、62により非共有駆動軸63、64を駆動することができるので、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されている間も、非共有駆動軸63、64によって別の作業を実行することができる。同様に、第2の制御装置50は、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されている間、駆動装置71、72により非共有駆動軸73、74を駆動することができるので、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されている間も、非共有駆動軸73、74によって別の作業を実行することができる。
【0074】
さらに本実施の形態によれば、第1の駆動装置31および第2の駆動装置32はそれぞれサーボモータからなり、第1の駆動装置31および第2の駆動装置32は、それぞれタイミングベルト(駆動ベルト)25、26を介して共有駆動軸20に連結されているので、複数の駆動装置(第1の駆動装置31、第2の駆動装置32)により1つの共有駆動軸20を駆動するための構造が簡単なものとなる。
【0075】
さらに本実施の形態によれば、第1の制御装置40は、第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されているとき、第1の駆動装置31に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御する。また、第2の制御装置50は、第1の駆動装置31によって共有駆動軸20が駆動されているとき、第2の駆動装置32に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御する。このことにより、片方の駆動装置により共有駆動軸20を駆動している間は、他方の駆動装置の動力的影響を極力除くことができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態においては、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0077】
すなわち本実施の形態においては、共有駆動軸20に2つの駆動装置(第1の駆動装置31および第2の駆動装置32)が連結されている。しかしながら、これに限らず、共有駆動軸20に対して3つ以上の駆動装置が連結されていても良い。例えば、共有駆動軸20に対して更に第3の駆動装置が連結され、この第3の駆動装置によって共有駆動軸20が駆動されるようになっていても良い。この場合、第3の駆動装置は第3の制御装置によって駆動され、第3の制御装置は、第1の駆動装置31および第2の駆動装置32によって共有駆動軸20が駆動されていないとき、第3の駆動装置により共有駆動軸20を排他的に駆動する。
【0078】
また本実施の形態においては、第1の制御装置40および第2の制御装置50に、それぞれ第1の直交2軸駆動装置60および第2の直交2軸駆動装置70が接続されているが、これに限られるものではない。例えば、第1の直交2軸駆動装置60および第2の直交2軸駆動装置70に代えて、それぞれ1軸または3軸以上の直交ロボットを用いても良い。あるいは、第1の直交2軸駆動装置60および第2の直交2軸駆動装置70に代えて、垂直多関節ロボットまたは水平多関節ロボットを用いても良い。
【符号の説明】
【0079】
10 駆動軸共有装置
15 1軸駆動装置
20 共有駆動軸
21 駆動軸本体
22 ボールねじ
23 スライダ
24 プーリ
25 第1のタイミングベルト(駆動ベルト)
26 第2のタイミングベルト(駆動ベルト)
27、28 プーリ
31 第1の駆動装置
32 第2の駆動装置
33、34 エンコーダ
35、36 信号線
40 第1の制御装置
41、51 HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)部
42、52 動作プログラム・メモリ部
43、53 動作プログラム解析部
44、54 動作プログラム指令部
45、55 駆動制御部
46、56 I/O部
48 信号線
50 第2の制御装置
60 第1の直交2軸駆動装置
61、62、71、72 駆動装置
63、64、73、74 非共有駆動軸
65、75 スライダ部
66、67、76、77 信号線
70 第2の直交2軸駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸共有装置において、
共有駆動軸と、
前記共有駆動軸に連結され、前記共有駆動軸を駆動する第1の駆動装置と、
前記第1の駆動装置に接続され、前記第1の駆動装置を制御する第1の制御装置と、
前記共有駆動軸に連結され、前記共有駆動軸を駆動する第2の駆動装置と、
前記第2の駆動装置に接続され、前記第2の駆動装置を制御する第2の制御装置とを備え、
前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第1の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動し、
前記第2の制御装置は、前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第2の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動することを特徴とする駆動軸共有装置。
【請求項2】
前記第1の制御装置と前記第2の制御装置とは、信号線により互いに接続され、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置とは、前記信号線を介して互いに使用権ステータスを入出力することが可能であり、
前記第1の制御装置は、前記第1の制御装置が使用権ステータスを有する場合に前記第1の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動し、
前記第2の制御装置は、前記第2の制御装置が使用権ステータスを有する場合に前記第2の駆動装置により前記共有駆動軸を排他的に駆動することを特徴とする請求項1記載の駆動軸共有装置。
【請求項3】
前記第1の制御装置に接続された第3の駆動装置と、
前記第3の駆動装置によって駆動される非共有駆動軸とを更に備え、
前記第1の制御装置は、前記第3の駆動装置により前記非共有駆動軸を駆動することを特徴とする請求項1または2記載の駆動軸共有装置。
【請求項4】
前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されている間、前記第3の駆動装置により前記非共有駆動軸を駆動することを特徴とする請求項3記載の駆動軸共有装置。
【請求項5】
前記第1の駆動装置および前記第2の駆動装置はそれぞれサーボモータからなり、前記第1の駆動装置および前記第2の駆動装置は、それぞれ駆動ベルトを介して前記共有駆動軸に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の駆動軸共有装置。
【請求項6】
前記第1の制御装置は、前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されているとき、前記第1の駆動装置に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御し、
前記第2の制御装置は、前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されているとき、前記第2の駆動装置に対してトルク指令値がゼロとなるようサーボ制御することを特徴とする請求項5記載の駆動軸共有装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項記載の駆動軸共有装置を用いて、前記共有駆動軸を駆動する駆動軸共有方法において、
前記第2の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第1の駆動装置が前記共有駆動軸を排他的に駆動する工程と、
前記第1の駆動装置によって前記共有駆動軸が駆動されていないとき、前記第2の駆動装置が前記共有駆動軸を排他的に駆動する工程とを備えたことを特徴とする駆動軸共有方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−243090(P2012−243090A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112605(P2011−112605)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】