説明

駐車支援装置及び駐車支援方法

【課題】車両の駐車を支援する際に、設定入力時における視線移動の小さい駐車支援装置100を提供する。
【解決手段】
車両の速度が第1所定値未満である場合には、車両のステアリング500の近傍に設けられたメーターディスプレイ600に駐車支援用の入力補助情報を表示し、車両の速度が第1所定値よりも低い第2所定値未満である場合には、メーターディスプレイ600よりもステアリング500から離隔した位置に設けられたナビゲーション用ディスプレイ700に駐車支援用の入力補助情報を表示するように記入力補助情報を表示するディスプレイを切り替える表示制御機能を実行する制御装置10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周囲の映像をドライバに提示して駐車を支援する駐車支援装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置に関し、選択可能な駐車モードを示す情報をナビゲーション装置用のディスプレイに表示し、その情報を見ながらドライバが駐車モードを選択するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−201363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、駐車支援機能を利用する際に、ナビゲーション装置用のディスプレイに表示された情報を見ながら入力操作をすることが求められるため、入力操作時における視点移動が大きくなり、低速走行であるとはいえ、ドライバに負荷がかかるという問題があった。他方、駐車支援機能を利用するにあたっては、停車前に駐車支援に必要な情報を入力したいという要求がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、駐車支援機能を利用する際の入力操作時におけるドライバの視点移動を小さくする駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の駐車を支援する際に、車速が第1所定値未満となった場合には、車両のステアリングの近傍に設けられた第1ディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示し、車速が第1所定値よりも低い第2所定値未満となった場合には、第1ディスプレイよりもステアリングから離隔した位置に設けられた第2ディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車速が第1所定値未満である場合にはドライバの視線に近い位置のディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示し、車速が第1所定値よりも低い第2所定値未満である場合にはドライバの視線から相対的に遠い位置のディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示するので、駐車支援機能を利用する際に、車速が相対的に高いときにおけるドライバの視点移動を小さくすることができる。この結果、停車前に駐車支援に必要な情報を入力したいという要求を満たしつつ、駐車支援機能利用時の安全性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した実施形態に係る駐車支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る駐車支援システムのディスプレイを示す図である。
【図3】本発明を適用した実施形態に係る駐車支援システムによる駐車支援処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明を適用した実施形態に係る駐車支援システムにおける入力補助情報の表示態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る駐車支援装置を、選択された駐車モード(左右の並列駐車、左右の縦列駐車、左右の斜め駐車)で、ドライバが設定した駐車目標スペースに自車両を誘導する駐車支援システムに適用した場合を例にして説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置100を備える駐車支援システム1000のブロック構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の駐車支援システム1000は、カメラ1a〜1dと、画像処理装置2と、駐車支援装置100と、車両コントローラ200と、車両の駆動系400と、ステアリング500と、メーターディスプレイ600と、ナビゲーション用ディスプレイ700と、を備えている。
【0012】
図2は、ステアリング500と、メーターディスプレイ600と、ナビゲーション用ディスプレイ700の配置例を示す図である。図2に示すように、メーターディスプレイ600は、ステアリング500のステアリングコラムと連なる運転席正面のクラスタリッドに設けられており、前方を見るドライバの視線に近いため、ドライバの視界内に情報を提示することができる。ナビゲーション用ディスプレイ700は、インストルメントパネルの中央部分(運転席と助手席との中間部分)であって、上述したメーターディスプレイ600よりもステアリングコラムからは離隔した位置に設置されており、前方を見るドライバの視線から相対的に離れているが、画面の表示面はメーターディスプレイ600よりも大きい。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、駐車モードの選択を補助するための第1入力補助情報と、車両を駐車させる駐車ペースの設定を補助するための第2入力補助情報とを、それぞれ異なるディスプレイ600,700に切り替えて提示させ、設定された駐車目標スペースに自車両を誘導するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、駐車支援装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備えている。
【0014】
駐車支援装置100の制御装置10は、駐車支援コントロールユニットを備えることができる。駐車支援コントロールユニットは、AT/CVTコントロールユニット(車両コントローラ200)からのシフトレンジ情報、ABSコントロールユニット(車両コントローラ200)からの車輪速情報、舵角センサコントロールユニット(車両コントローラ200)からの舵角情報、ECM(車両コントローラ200)からのエンジン回転数情報等に基づいて、EPSコントロールユニット(車両コントローラ200)への自動転舵に関する指示情報、メータコントロールユニット(車両コントローラ200)への警告等の指示情報等を演算し、出力する。駐車支援の内容及び手法は特に限定されず、出願時において知られた手法を適宜に適用することができる。
【0015】
また、駆動系400は、駐車支援を実施するための車両の駆動機構群であり、駐車支援装置100から取得した制御指令信号に基づいて駆動し、自車両を駐車目標スペースへ誘導する。例えば、駆動系400に含まれるEPSモータは、駐車支援装置100から取得した制御指令信号に基づいてステアリング500が備えるパワーステアリング機構を駆動して自車両を駐車目標スペースへ誘導する。
【0016】
本実施形態の駐車支援装置10は、図1に示す駐車支援システム1000の各構成及び他の車載装置と情報の授受を行うことができるようにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0017】
本実施形態に係る駐車支援装置100の制御装置10は、表示制御機能と、駐車モード選択機能と、駐車目標スペース設定機能と、車両誘導機能とを実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行することができる。
【0018】
以下、駐車支援システム1000が実現する駐車支援処理を、図3及び図4に基づいて説明する。
【0019】
図3は、本発明の本実施形態に係る駐車支援システム1000の制御手順を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態の駐車支援処理は、開始処理に関する第1段階の処理、駐車モードの選択処理に関する第2段階の処理、駐車目標スペースの設定処理に関する第3段階の処理、及び車両誘導処理に関する第4段階の処理を含む。また、図4は、図3に示す各段階の処理においてディスプレイ600,700に表示される入力補助情報の一例を示す図である。
【0020】
起動に関する第1段階において、本実施形態に係る駐車支援装置100の制御装置10は、IPA(Intelligent Parking Assist System)起動スイッチにオン信号が入力されると、駐車支援装置100が起動して駐車支援処理を開始する。IPA起動スイッチの態様は特に限定されず、ステアリング500の周辺に設けられた各種スイッチにIPA起動機能を割りつけて本実施形態のIPA起動スイッチとすることができる。
【0021】
続いて、第2段階のステップ1に進み、車両の速度が10Km/h(第1所定値)未満であるか否かを判断する。車両の速度が10Km/h(第1所定値)以上である場合にはステップ10に進み、車両の速度が10Km/h未満である場合にはステップ11に進む。特に限定されないが、第1所定値は、10Km/h未満、5Km/h以上の値に設定することができる。
【0022】
ステップ10において、制御装置10は、車両の速度が10Km/h以上である場合には、安全を考慮し、駐車モード選択画面をグレーアウトしてメーターディスプレイ600(図2参照)に提示し、ドライバの駐車モードの選択入力の受け付けを禁止する。本実施形態における「駐車モード選択画面(又は駐車目標スペース設定画面)をグレーアウトする」とは、入力を受け付ける画面の選択部分をグレーで表示して、入力できない状態にすることをいう。駐車モード選択画面(又は駐車目標スペース設定画面)がグレーアウトされている場合には、入力しても駐車支援装置100は一時的に動作しない。画面をグレーアウトすることにより、ドライバに入力が禁止されていることを伝えることができる。これにより、低速の第1所定値未満で自車両が移動しているときに限って、駐車支援処理の入力を受け付ける処理を行うことができる。
【0023】
他方、ステップ11において、制御装置10は、駐車モード選択画面を、車両の操作においてドライバが握るステアリング500の近傍、具体的には、ステアリングコラムの上部のクラスタリッドに設けられたメーターディスプレイ600(図2参照)に提示する。駐車モード選択画面は、駐車モードの選択を補助するための情報(第1入力補助情報)であり、駐車支援用の入力補助情報の一態様である。
【0024】
駐車モード選択画面の態様は特に限定されないが、本実施形態の制御装置10は、図4に示す駐車モード選択画面M1のように、自車両の向きを示す車両のアイコンと、各駐車モード(左並列、左斜め、左縦列、右並列、右斜め、右縦列)のテキスト表示リストを並べてメーターディスプレイ600に提示する。駐車モード選択画面M1は、「左斜め」の駐車モードが選択された場合の表示例である。また、本実施形態の制御装置10は、図4に示す駐車モード選択画面M2のように、自車両の向きを示す車両のアイコンと、各駐車モード(左並列、左斜め、左縦列、右並列、右斜め、右縦列)における車両と駐車ペースとの位置関係を線図でメーターディスプレイ600に提示することもできる。図4に示す駐車モード選択画面M2は、「左並列」の駐車モードが選択された場合の表示例である。
【0025】
ステップ12において、制御装置10は、初期画面として、予め設定されたデフォルトの駐車モードを示す駐車モード選択画面をメーターディスプレイ600に提示する。デフォルトの駐車モードが「左斜め」である場合には、図4に示す駐車モード選択画面M1をデフォルトの駐車モードを示す駐車モード選択画面としてメーターディスプレイ600に提示する。もちろん、デフォルトの駐車モードが「左並列」である場合には、図4に示す駐車モード選択画面M2をデフォルトの駐車モードを示す駐車モード選択画面としてメーターディスプレイ600に提示することができる。なお、デフォルトの駐車モードの決定手法は特に限定されず、車両の販売地域において統計的に利用頻度(選択頻度)の高い駐車モードをデフォルトの駐車モードとして予め設定してもよいし、前回選択した駐車モードを今回選択するデフォルトの駐車モードとして設定してもよいし、過去のドライバの選択履歴から最も選択頻度の高い駐車モードを求めてこれをデフォルトの駐車モードとして設定してもよい。
【0026】
このように、車両が駐車目標スペースを探して低速で動いているときに駐車モードの選択を行うことができるので、駐車に要する時間を短縮することができる。また、前方を見るドライバの視線により近いメーターディスプレイ600に駐車モード選択画面M1を表示することにより、ドライバの視点移動を小さくできる。これにより、車両が低速で動いているときに駐車モード選択画面M1を提示してもドライバの車両操作の妨げにならず、ドライバに負荷をかけないようにすることができる。この結果、本実施形態の駐車支援装置100は、安全性を担保しつつ駐車モードの選択操作をドライバに求めることができる。
【0027】
続くステップ13において、制御装置10は、駐車モードの選択スイッチが操作されたか否かを判断する。選択スイッチが操作されない場合には、初期画面として提示された駐車モード選択画面が示すデフォルトの駐車モードをドライバが選択したと判断し、ステップ15に進む。他方、選択スイッチが操作されない場合には、初期画面として提示された駐車モード選択画面が示すデフォルトの駐車モード以外の駐車モードの選択をドライバが希望していると判断し、ステップ14において選択入力を受け付けた後に、ステップ15に進む。
【0028】
駐車モードの選択入力は、ステアリングスイッチ(例えばステアリング500に設けられたオーディオスイッチ、車間距離制御スイッチ、以下同じ。)の操作に基づいて行われる。例えば、オーディオスイッチを所定方向に押圧する度に、選択されている駐車モードが移り変わり、オーディオスイッチをダブルクリックする又は他の所定方向に押圧するといった決定操作により、駐車モードの選択が完了したと判断することができる。
【0029】
なお、駐車モード選択画面の表示態様は特に限定されないが、図4の駐車モード選択画面M1のように、駐車パターンをテキストで示す場合には、リストアップされた駐車モード(文字列)の表示位置を上下に順次に移動させてもよいし、駐車モードのリストを無端状態で連ねて順次に表示させてもよい。また、図4の駐車モード選択画面M2のように、駐車パターンを線図で示す場合には、ステアリングスイッチの操作に応じて、左並列駐車を示す線図を含む駐車モード選択画面M2から、他の駐車モードを示す線図を含む駐車モード選択画面に切り替えて、現在選ばれている駐車モードをドライバに示すこともできる。
【0030】
駐車モードの選択が完了したら、第3段階のステップ16に進む。ステップ16において、本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、車両の車速が第1所定値よりも低い第2所定値として定義した3Km/h未満であるか否かを判断する。車速が3Km/h未満である場合にはステップ17に進み、車速が3Km/h以上である場合にはステップ18に進む。なお、第2所定値としては5Km/h未満の値を設定することができる。
【0031】
ステップ18において、制御装置10は、グレーアウトされた駐車目標スペース設定画面を、ナビゲーション用ディスプレイ700(図2参照)に提示する。本実施形態における、駐車目標スペース設定画面は、自車両を駐車させる駐車目標スペースの設定を補助するための情報(第2入力補助情報)であり、駐車支援用の入力補助情報の一態様である。他方、車両の速度が3Km/h以上である場合には、安全を考慮し、駐車目標スペース設定画面をグレーアウトして、ドライバの駐車モードの選択入力の受け付けが禁止されていることをドライバに伝える。
【0032】
ステップ17において、制御装置10は、駐車目標スペース設定画面を、図2に示すように、メーターディスプレイ600よりも、ステアリング500から離隔した位置に設けられたナビゲーション用ディスプレイ700に提示する。図2に示すように、ドライバが車両操作時に握るステアリング500のステアリングコラムからメーターディスプレイ600までに距離は、ステアリングコラムからナビゲーション用ディスプレイ700までの距離よりも短い。また、図2に示すように、ナビゲーション用ディスプレイ700の表示用画面はメーターディスプレイ600の表示用画面よりも大きい(広い)。
【0033】
つまり、制御装置10は、自車両の車速が第1所定値未満である場合には、前方を確認するドライバの視線に近いメーターディスプレイ600に駐車モード選択画面を表示し、自車両の車速が第2所定値未満である場合には、メーターディスプレイ600よりもドライバの視線から遠いが表示面積の大きいナビゲーション用ディスプレイ700に駐車目標スペース設定画面を表示するように、表示の切り替えを制御する。
【0034】
図4に、駐車目標スペース設定画面E1の一例を示す。図4に示すように、本実施形態の駐車支援装置100は、自車両に搭載されたカメラ1a〜1dの撮像画像に基づく自車両周囲の俯瞰画像と、自車両周囲の駐車ペースと、自車両に対して所定位置の駐車ペースを示す設定枠とを含む駐車目標スペース設定画面E1と、自車両周囲の監視映像C1をナビゲーション用ディスプレイ700に提示する。図4の例では、ナビゲーション用ディスプレイ700の左側に駐車目標スペース設定画面E1を配置し、その右側に自車両周囲の監視映像C1を配置する。
【0035】
特に限定されないが、本実施形態のカメラ1a〜1dは、車両のフロントグリル部、リアバンパ近傍、左右のドアミラーの下部にそれぞれ配置されている。カメラ1a〜1dとしては視野角の広い広角カメラを使用する。画像処理装置2は、カメラ1a〜1dの撮像画像の視点変換をし、車両上空の所定の仮想視点から見た俯瞰画像を生成する。画像処理装置2により行われる画像処理は、出願時に知られた方法、例えば「鈴木政康・知野見聡・高野照久,俯瞰ビューシステムの開発,自動車技術会学術講演会前刷集,116-07(2007-10), 17-22.」などに記載された方法を用いればよい。
【0036】
ステップ19において、駐車目標スペースの設定スイッチの操作が確定したか否かを判断する。駐車目標スペースの設定は、タッチパネル式のナビゲーション用ディスプレイ700の入力機能を利用して、ナビゲーション用ディスプレイ700に表示された画像のうち、希望する駐車目標スペースを指で実際に触って設定してもよいし、自車両に対して所定位置の駐車ペースを示す設定枠(中央の駐車ペースに重畳表示した鉤形の印)を希望する駐車目標スペースに重畳させることにより設定してもよい。設定操作の後に、決定信号に対応するステアリングスイッチの操作がされた場合には、駐車目標スペースの設定を確定させて第4段階に進む。
【0037】
第4段階のステップ21において、駐車支援装置100は、駐車モードの選択情報及び駐車目標スペースの設定情報に基づいて、自車両の駐車モードの具体的な内容を決定し、駐車経路と自車両を駐車スペースに誘導する駐車パラメータを算出する。駐車支援装置100が備える駐車支援コントロールユニットは、自車両の位置と駐車目標スペースの位置との位置関係に基づいて駐車経路を計算する。この駐車経路は並列駐車、縦列駐車、斜め駐車のそれぞれに対応した経路を1種類ずつROM12に記憶しておき、選択された駐車モードに対応した経路を読み込み、駐車支援処理開始時における自車両の位置と駐車目標スペースの位置との位置関係に基づいて駐車経路を計算する。特に限定されないが、駐車支援コントロールユニットは、切り返し位置までの曲線と切り返し位置から駐車目標スペースまでの曲線とを、駐車経路として算出する。
【0038】
ステップ22において、駐車支援装置100は、車両が停止(車速=0Km/h)し、ドライバからの開始指示を取得した場合には、ステップ23に進み、駐車支援制御を実行する。駐車支援装置100は、算出した駐車経路に基づいて自車両を駐車目標スペースへ誘導する。車両の誘導時においては、図4に示す誘導画面A1及び監視画像C1をナビゲーション用ディスプレイ700に表示することができる。
【0039】
本実施形態の駐車支援装置100は、自車両が駐車経路に沿って移動するように、ステアリング500の操舵を制御する。駐車支援装置100は、計算された駐車経路に自車両の移動軌跡が一致するようにステアリング500の操舵角センサ510と操舵方向センサ520との出力値をフィードバックしながらEPSモータなどの車両の駆動系400への指令信号を演算し、この指令信号を駆動系400又は駆動系400を制御する車両コントローラ200へ送出する。もちろん、算出した駐車経路をナビゲーション用ディスプレイ700に表示し、自車両の移動軌跡が駐車経路と一致するようにステアリング500の操舵量、ステアリング500転舵のタイミング、ブレーキ又はアクセルの操作タイミングをドライバに指示することにより駐車支援を行うこともできる。
【0040】
自車両が駐車目標スペースに駐車すると、本実施形態に係る駐車支援装置100による駐車支援処理は終了する。
【0041】
以上のように構成され、動作する本実施形態の駐車支援装置10は、以下の効果を奏する。
【0042】
本発明の本実施形態の駐車支援装置10によれば、車速が第1所定値未満である場合と車速が第1所定値よりも低い第2所定未満である場合とで、駐車支援用の入力補助情報を表示するディスプレイを切り替え、車速が第1所定値未満かつ第2所定値以上である場合にはドライバの視線に近い位置のメーターディスプレイ600に駐車支援用の入力補助情報を表示し、車速が第1所定値よりも低い第2所定値未満である場合にはドライバの視線から比較的遠い位置のナビゲーション用ディスプレイ700に駐車支援用の入力補助情報を表示するので、駐車支援機能を利用する際に、車速が相対的に高いときにおけるドライバの視点移動を小さくすることができる。この結果、停車前に駐車モードの設定をしたいという要求を満たしつつ、駐車支援機能利用時の安全性を担保することができる。本発明の駐車支援方法によっても同様の動作により、同様の効果を奏する。
【0043】
車両の速度が第1所定値未満で、第2所定値以上である場合には、ドライバの視線に近い位置のメーターディスプレイ600(第1ディスプレイ)に駐車モードの選択を補助するための駐車モード選択画面M1,M2(第1入力補助情報)を表示するので、車両が駐車目標スペースを探して低速で動いているときに駐車支援時の駐車モードの選択を行うことができ、駐車に要する時間を短縮することができる。また、駐車モード選択画面M1,M2(第1入力補助情報)をメーターディスプレイ600に表示することにより、ドライバの視点移動を小さくできる、つまり、駐車時において相対的に高い車速で動いているときであっても、ドライバの車両操作の妨げにならないように駐車モード選択画面M1,M2(第1入力補助情報)を提示することができる。この結果、本実施形態の駐車支援装置100は、車両操作中であっても、その妨げにならないように、駐車モードの選択操作をドライバに求めることができる。
【0044】
車両の速度が第2所定値未満である場合には、ドライバの視線から相対的に遠いナビゲーション用ディスプレイ700(第2ディスプレイ)に車両の駐車目標スペースの設定を補助するための駐車目標スペース設定画面(第2入力補助情報)E1を表示するので、車両が駐車目標スペースを見つけて、停車のためにさらに速度を落として動いているときに駐車目標スペースのメニューの選択を行うことができ、駐車に要する時間を短縮することができる。また、駐車目標スペース設定画面(第2入力補助情報)E1を、メーターディスプレイ600よりも広い画面を有するナビゲーション用ディスプレイ700に表示することにより、車両と駐車目標スペースの位置関係を画面で確認しながら駐車目標スペースの設定ができるので、操作性が高く過誤入力を防止することができる。
【0045】
車両の速度が第1所定値以上である場合には、制御装置10はグレーアウトされた駐車モード選択画面M1,M2(第1入力補助情報)をメーターディスプレイ600に提示するので、ドライバの駐車モードの選択入力の受け付けが禁止されていることをドライバに伝えることができ、入力操作の便宜を図りつつも車両の安全を優先させることができる。
【0046】
車両の速度が第1所定値未満を経て第2所定値未満となった後に、第2所定値以上となった場合には、制御装置10はグレーアウトされた駐車目標スペース設定画面(第2入力補助情報)E1をナビゲーション用ディスプレイ700に提示するので、ドライバの駐車目標スペースの設定入力の受け付けが禁止されていることをドライバに伝えることができ、入力操作の便宜を図りつつも車両の安全を優先させることができる。
【0047】
なお、以上説明したすべての実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0048】
本明細書では、本発明に係る駐車支援装置の一態様として車両に搭載された駐車支援装置100を備える駐車支援システム1000を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
本明細書では、本発明に係る表示制御手段を有する駐車支援装置の一態様として、少なくとも表示制御機能を実行する制御装置10を備える駐車支援装置100を説明するがこれに限定されるものではない。本実施形態の駐車支援装置100の制御装置10は、表示制御機能のほか、駐車モード選択機能と、駐車目標スペース設定機能と、車両誘導機能とを実行することができる。
【符号の説明】
【0050】
1000…駐車支援システム
100…駐車支援装置
10…制御装置
11…CPU,12…ROM,13…RAM
1a〜1d…カメラ
2…画像処理装置
200…車両コントローラ
400…駆動系
500…ステアリング
510…操舵角センサ
520…操舵方向センサ
600…メーターディスプレイ
700…ナビゲーション用ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車を支援する駐車支援装置であって、
前記車両の速度が第1所定値未満である場合には、前記車両のステアリングの近傍に設けられた第1ディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示し、前記車両の速度が前記第1所定値よりも低い第2所定値未満である場合には、前記第1ディスプレイよりも前記ステアリングから離隔した位置に設けられた第2ディスプレイに前記駐車支援用の入力補助情報を表示するように、前記入力補助情報を表示するディスプレイを切り替える表示制御手段を備える駐車支援装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記車両の速度が前記第1所定値未満で、前記第2所定値以上である場合には、前記第1ディスプレイに前記駐車モードの選択を補助するための第1入力補助情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記車両の速度が前記第2所定値未満である場合には、前記第2ディスプレイに前記車両の駐車目標スペースの設定を補助するための第2入力補助情報を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記車両の速度が前記第1所定値以上である場合には、グレーアウトされた前記駐車支援用の入力補助情報を表示する請求項1〜3の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記車両の速度が前記第1所定値未満を経て第2所定値未満となった後に、前記第2所定値以上となった場合には、グレーアウトされた前記駐車支援用の入力補助情報を表示する請求項1〜4の何れか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
車両の駐車を支援する際に、
前記車両の速度が第1所定値未満となった場合には、前記車両のステアリングの近傍に設けられた第1ディスプレイに駐車支援用の入力補助情報を表示し、
前記第1所定値未満の速度を経て、前記車両の速度が前記第1所定値よりも低い第2所定値未満となった場合には、前記ステアリングを基準に前記第1ディスプレイよりも離隔した位置に設けられた第2ディスプレイに前記駐車支援用の入力補助情報を表示するように、前記入力補助情報を表示するディスプレイを切り替える駐車支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43507(P2013−43507A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181445(P2011−181445)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】