説明

骨内への経路を切削するための器具および方法

骨内に経路を切削するための器具および方法が提供される。機器は、その中に延びる曲線状の開口(504)を画定している曲線状のガイド部材(500)と、前記ガイド部材(500)の開口(504)内に配置されたビット部材(510)とを備える。前記ビット部材は、骨内に経路を切削するために前記ガイド部材の開口内で運動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、整形外科および脊椎外科の分野に関し、いくつかの実施形態では、本開示は、自然の椎間板の全体的または部分的な交換に使用するための椎間人工関節、およびそれとともに使用するための方法および工具に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年2月12日に提出された米国特許仮出願第60/446,963号の利益を請求する。米国特許仮出願第60/446,963号は、すべての正当な目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
脊椎の運動セグメントに影響を与える病気、怪我または機能不全、および特に椎間板組織に影響を与えるものの治療では、変性した椎間板、断裂した椎間板または別様の欠陥のある椎間板の一部あるいは全部を除去することが、長い間公知であった。除去された椎間板組織やそうではなくて脊椎運動セグメントにない椎間板組織を含む場合、除去された椎間板組織によって前もって分離された椎骨の正確な間隔を確実にするために、正確な測定が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの例では、隣接する2つの椎骨が、移植骨組織、人工固定構成要素またはその他の合成物または装置を使用して、互いに固定される。しかし、脊椎固定術は、椎間固定の生体機械的剛性が隣接する脊椎運動セグメントを早く劣化させることで、医学界での関心を高めている。より具体的には、自然の椎間板とは異なり、脊椎の固定は、固定された椎骨が、互いに対して枢動および回転することを妨げる。このような運動性の欠如は、隣接する脊椎運動セグメントへの応力を増加させる。
【0005】
また、椎間板の変性、椎間板ヘルニア、不安定性、脊椎狭窄、脊椎症および脊椎関節炎を含む、いくつかの状態が隣接する脊椎運動セグメント内で生じることがある。したがって、多くの患者は、追加の椎間板除去術および/または脊椎固定術の結果としての別のタイプの外科処置を必要とすることがある。したがって、脊椎固定術の代替となるものが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に、本開示は、脊椎固定術の代替となるものの挿入を補助する器具に関する。
骨内に経路を切削するための器具が提供される。器具は、湾曲した開口をその中に画定している湾曲したガイド部材と、ガイド部材の開口内に配置されたビット部材とを備える。ビット部材は、骨内に経路を切削するためにガイド部材の開口内で移動するように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、骨内に経路を切削するための器具が提供される。器具は、湾曲した開口をその中に画定している湾曲したガイド部材と、ガイド部材の開口内に配置されたビット部材と、ビット部材に回転運動を賦与するためにビット部材と動作可能に接続された回転自在な要素と、ビット部材に直進運動を賦与するためにビット部材と動作可能に接続されたハンドルとを備える。ビット部材は、ガイド部材内での回転運動およびガイド部材を通る直進運動を介して、骨内に湾曲した経路を切削するように構成されている。
【0008】
さらに別の実施形態では、骨内に経路を切削するための方法が提供される。方法は、湾曲した開口をその中に画定している湾曲したガイド部材を有する器具を提供するステップと、ガイド部材の開口内にビット部材を配置するステップと、ビット部材に回転運動を賦与するために器具を駆動するステップと、ビット部材を骨と係合させるステップと、骨内に湾曲した経路を切削するためにビット部材に直進運動のための力を賦与するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の原理についての理解を深める目的のために、図面に示され、それを説明するために特定の言語が使用されている、実施形態または実施例を参照する。それにもかかわらず、本発明の範囲を限定することがそれによって意図されていないことが理解されよう。説明される実施形態のいかなる変更およびさらなる修正、および本明細書で説明される本発明の原理のさらなる使用は、本発明が関連する当業者に通常行われるものであるように企図されている。同様に、別々に説明されている実施形態の個々の特徴は、追加の実施形態を形成するように結合されることができる。また脊椎すべり症などの奇形の例が議論される。しかし、本明細書で説明する様々な人工装置が、脊椎症の椎骨間だけでなく、ほぼ整列された椎骨間でも使用するように構成できることが理解される。
【0010】
I 横方向矯正
脊椎すべり症などの変形の多くの場合、1つまたは複数の椎体が、他の椎骨または仙骨に対して変位されることがある。このような奇形では、前の位置から変位した椎体を再配置することによって、変位の量を減少させることが望ましい。脊椎すべり症の減少は、神経の障害および周囲の柔らかい組織への損傷を防止するために多大な注意を必要とする、技術を要求する手法でありうる。
【0011】
図1を参照すると、自然の椎間板D1、D2、D3によって分離されている、一群の隣接する上側および下側椎骨V1、V2、V3、V4を示す、脊柱10の一部分の側面図が示されている。4つの椎骨の図は、一例として意図されているに過ぎない。別の例は、仙骨と1つの椎骨であろう。図面に示すように、椎骨V2は、椎骨V1から矢印22によって示す方向にずれている。同様に、椎骨V3は、矢印23によって示す方向にずれており、椎骨V4は、矢印24によって示す方向にずれている。椎骨V2、V3、V4の位置が、それぞれ矢印22、23、24と反対の方向にそれらを移動させることによって矯正されることが望まれる。
【0012】
さらなる例示のために図2をここで参照すると、下側椎骨Vおよび上側椎骨Vによって示されている変位された椎骨のうちの2つが、議論される。一実施形態では、2つの椎骨V、Vの間に配置された自然の椎間板のいくつかおよびすべてが、その詳細が当業者に公知である、椎間板切除術または類似の外科的手法を介して通常除去される。病気のまたは変性した椎間板の除去は、上側および下側椎骨V、Vの間の椎間空間Sの変形を結果として生じさせる。
【0013】
本実施形態では、参照によって本明細書に組み込まれる2002年1月9に提出された米国特許出願第10/042,589に開示されている人工関節と同様に、人工関節を椎間空間S内に挿入することが望まれる。しかし、上記で参照した人工関節にある変更が必要である。以下の説明のために、議論および説明される人工関節は、上記で参照した特許出願に開示されているものと同一であってもよく、例外は以下で議論および示唆される。
【0014】
脊椎すべり症は、以前は側方外科的アプローチによって矯正されなかった。しかし、いくつかの例では、脊椎すべり症の矯正は、血管および/または神経嚢の存在のため、側方アプローチによるものが望ましい。いくつかの実施形態では、側方アプローチは、脊椎の腰領域の脊椎すべり症を矯正するのに特に適しているが、脊椎の他の領域も企図されることを理解されたい。
【0015】
図3aおよび3bを参照すると、脊椎すべり症の矯正は、たとえば、椎骨V、Vそれぞれの中に挿入するための1対の骨ねじ30、32を設けることによって側方アプローチで対処されることができる。一実施形態では、骨ねじ30、32はバイコーティカルである。しかし、骨ねじは別法としてユニコーティカルであってもよいことを理解されたい。また、骨ねじ30、32は、吸収性材料、チタニウム、およびPEEKなどの様々な材料で形成されてもよい。PEEKの実施形態は、PEEK材料の使用により生じる放射線透過性のため、有利である。骨ねじ30、32が、別法として他の機械的構造であってもよく、たとえばピンまたはリベットの形態をとってもよいことをさらに理解されたい。さらに、骨ねじ30、32は、椎骨V、Vと係合するためのねじ付き部分を有することを限定されない。
【0016】
骨ねじ30、32は、両方の骨ねじの周りに回転するように構成されたロッド34を介して互いに連結されてもよい。様々な接続部材が、ロッド34以外に使用されてもよいことを理解されたい。たとえば、一様でない連結部材が、骨ねじ30、32を連結するために使用されてもよい。一様でない連結部材は、骨ねじの周りのその回転を補助するために係合されることができる複数のスロットおよび/または溝を提供してもよい。ロッド34は、骨ねじ30、32の椎骨V、V内への挿入の前に接続されてもよく、または別法として、ねじの配置の後に続いて接続されてもよい。ロッド34に矢印36の方向の回転力を加えることによって、上側椎骨Vが、下側椎骨Vに対して所望の位置に戻される。回転力は、外科医によって使用されることができるたとえば回転自在なレンチ(図示せず)によって加えられることができる。上側椎骨Vが、下側椎骨Vに対して完全な矯正位置に完全に到達しないことがあるが、変位が、少なくとも最小にされることができることを理解されたい。
【0017】
図示されていないが、別の実施形態では、脊椎にある椎骨V、Vが、両方の側方向から処置されることができることが企図されている。すなわち、骨ねじ30、32とほぼ同一である1対の骨ねじが、骨ねじ30、32の反対側から、骨ねじ30、32と対向する方向で、椎骨V、V内に挿入されてもよい。このような構成では、ロッド34は、1対の骨ねじのそれぞれと係合するラチェットシステムで代替されることができ、同様に、椎骨V、Vが、椎骨を互いに対して所望の位置にするために互いに対して回転されてもよい。
【0018】
さらに、ロッド34が、外科医によって使用される任意の数およびタイプの回転工具を受けるために任意の数およびタイプの係合手段を備えてもよい。たとえば、キー付き接続部が、ロッド34を対応する回転工具と係合させるとき、より大きな安定性を提供することができる。他の例では、締結工具が使用され、対応する締結切欠きが、締結工具を受けるためにロッド34内に形成されてもよい。このような構成は、回転のために必要な力を達成することを補助することができる。
【0019】
また、追加のロッド34および骨ねじ30、32は、脊椎症の椎骨V、Vを、互いに対して所望の位置へ戻るように回転させるのに使用するように企図されている。追加のロッド34および骨ねじ30、32は、処理中、追加の安定性を提供してもよい。
【0020】
また、ほぼ横方向の挿入として示されているが、骨ねじ30、32の椎骨V、V内への挿入が、横方向に対してわずかに傾斜されてもよい。挿入中の骨ねじ30、32のこのような角度は、そこから外科医が椎骨V、Vの互いに対する回転を開始することができる好ましい把持角度を提供することができる。
【0021】
図4a、図5および図6を参照すると、脊椎すべり症の矯正を補助するために椎間空間S(図2)内へ挿入するための椎間連接式人工関節40の一実施形態が示されている。連接式人工関節40は、ほぼ縦方向軸Lに沿って延びており、第1の連接構成要素42および第2の連接構成要素44を備える。連接構成要素42、44は、隣接する椎体V、Vの間の椎間空間S(図2)内に配置するようなサイズおよび形状にされた人工関節40を形成するために協働する。
【0022】
人工関節40は、自然の椎間板によって供給される通常の生体の機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体の間の相対的な枢動および回転運動を供給する。より具体的には、連接構成要素42、44は、縦方向軸Lの周りの横方向または左右の枢動運動、および横方向軸Tの周りの前後の枢動運動を含む、いくつかの軸の周りで互いに対して枢動することを許されている。本開示の一実施形態では、連接構成要素42、44は、縦方向軸Lおよび横方向軸Tと交差する平面内にある任意の軸の周りで互いに対して枢動することを許されていることを理解されたい。
【0023】
また、連接構成要素42、44は、回転軸Rの周りで互いに対して枢動することを許されている。人工関節40は、特定の組合せの連接運動を供給するとして図示および説明されているが、たとえば相対的な直進または線形運動などの他の組合せの連接運動も可能であり、このような運動は、本開示の範囲内にあることを企図されていることを理解されたい。
【0024】
人工関節40の連接構成要素42、44は、多種多様な材料から形成されているが、本開示の一実施形態では、連接構成要素42、44は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、本開示の代替となる実施形態では、連接構成要素42、44は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの他の材料で形成されてもよい。
【0025】
連接構成要素42、44はそれぞれ、支持表面46、48を備え、支持表面は、椎骨に直接接触して配置されてもよく、好ましくは、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイトなどの骨成長促進物質で被覆されている。また、連接構成要素42、44の支持表面46、48はそれぞれ、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に荒い面とされてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者に行われるその他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0026】
連接構成要素42は、連接表面52および対向する支持表面46を有する支持板50を備える。支持板50は、隣接する椎体V(図2)の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板50は、隣接する椎体V、V(図2)の間の椎間空間S(図2)内での人工関節40の操作および挿入を補助するために、外科用器具(図示せず)の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き54またはその他の指標を備える。外科用器具(図示せず)は、連接構成要素42、44を人工関節40の操作および挿入中所定の方向および互いに対する空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後、連接構成要素42、44を解放するように好ましくは構成されている。
【0027】
本開示の一実施形態では、連接構成要素42は、凸型形状を有する突起56を備える。突起は、球状のボール(その半分が示されている)として構成されてもよい。たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの他の形状の突起56も企図されることを理解されたい。連接構成要素42の残りの部分は、たとえば、突起56の周りに延びる四角い、または円錐形の形状などの平面状または非平面状の形状をとってもよいことを理解されたい。
【0028】
フランジ部材またはキール58が、支持表面46から延びており、隣接する椎骨終板内に事前形成された開口内に配置するように構成されている。支持表面46と同様に、キール58は、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイト被覆などの骨成長促進物質で被覆されてもよい。また、キール58は、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に粗くされてもよい。一実施形態では、キール58は、横方向軸Tに沿って延びており、支持表面46に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール58の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。
【0029】
一実施形態では、キール58が、連接構成要素42のほぼ一部に沿って横方向に延びている。このような実施形態は、たとえば前方アプローチとは逆の側方アプローチを使用した人工関節40の挿入に対応する。さらなる実施形態では、キール58は、キールの機能的な要求を容易にするように、傾斜、テーパ付けまたは他の形状に構成されてもよい。さらに別の実施形態では、キール58は、キール58の主本体部分を横切って延びる横部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0030】
一実施形態では、キール58はキールを貫通する3つの開口60を備える。3つの開口は、隣接する椎体V、V(図2)との固定を強化するよう、開口を通る骨の成長を容易にする。しかし、単一の開口または2つ以上の開口を含む、任意の数の開口60が、キール58を貫通して画定されてもよいことを理解されたい。開口60は、キール58を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール58が、それを部分的にまたは全体的に通る開口60を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口60は、円形の形状を有するように図示されているが、開口60の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。
【0031】
一実施形態では、連接構成要素44は、連接表面72および対向する支持表面48を有する支持板70を備える。支持板70は、隣接する椎体Vの椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板70は、連接構成要素42を参照にして上記で議論したような、外科用器具の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き74またはその他の指標を備えることができる。
【0032】
一実施形態では、連接表面72は、くぼみ76を備える。一実施形態では、くぼみ76は、凹型の形状を有し、球形のソケットとして構成されている。しかし、たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの他のくぼみ76の形状も企図されることを理解されたい。連接表面72の残りの部分は、傾斜される、またはそうでない場合人工骨の挿入および/または使用を容易にするように構成されることができる。
【0033】
凹型のくぼみ76は、ほぼ滑らかな、連続的な表面を有するとして示されているが、当接する連接構成要素42、44の間に配置された、表面の陥没部または空洞が粒子状の塵などの物質を清浄するための手段を提供するためにくぼみ76の一部分に沿って画定されてもよいことを理解されたい。このような場合、突起56の凸型の円筒形表面が、ほぼ滑らかな、連続的な連接表面を別法として画定してもよい。別の実施形態では、凸型の突起56および凹型のくぼみ76は、当接する連接構成要素42、44の間に配置された粒子状の物質の除去を容易にするために表面の陥没部を画定してもよい。
【0034】
連接構成要素42のキール58と同様に構成されたフランジ部材またはキール68が、支持表面48から延びている。一実施形態では、キール68が、横方向軸Tに沿って延びており、支持表面48の中心から偏移されている。このような実施形態は、側方アプローチを使用する人工関節40の挿入に適合する。しかし、キール68の他の形状、位置および方向も企図されることを理解されたい。たとえば、図4bおよび図4cでは、キール58および68が、静脈、動脈、骨部分、またはその他の人工関節40の挿入中に配置される障害物の迂回を補助するために、横方向軸Tに対して傾斜されてもよい。また、キール68は、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするようなある形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール68は、キールの主本体部分を横切って延びる横方向部分を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0035】
一実施形態では、および図5を参照すると、キール68は、それを通って延びる3つの開口70を備える。3つの開口は、隣接する椎骨との固定を強化するよう開口を通って骨が成長するのを容易にする。しかし、単一の開口または2つ以上の開口を含む、任意の数の開口70が、キール68を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口70は、キール68を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール68が、それを部分的にまたは全体的に通って延びる開口70を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口70は、円形の形状を有するように図示されているが、開口70の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する支持表面46、48は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面48およびキール68の表面は、隣接する椎体Vとの骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面48およびキール68の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗く削られてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、キール58、68の一方または両方が、図4の縁部68aによって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、キールの関連する椎体への挿入が容易にされる。また、縁部68aは、隣接する椎体が、以下でより詳細に議論する、キール68を受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0037】
図7を参照すると、中心位置がずらされている人工関節40の脊椎椎間空間内への挿入に対応するために、部分的に矯正された上側および下側椎骨V、Vが、人工関節40(図7aに断面を示す)をそれらの間で受けるように準備されてもよい。特に、細長い開口またはスロット80、82が、それぞれ上側および下側椎骨V、Vの椎骨終板に沿って、所定の幅で所定の深さまで形成されてもよい。スロット80、82は、変位した椎骨Vおよび/またはVに対応するために互いから横方向にオフセットされてもよい。一実施形態では、細長いスロット80、82は、矩形形状であり、椎骨V、Vに沿って横方向に延びている。特定の実施形態では、スロット80、82は、チゼルで彫ったりキューレットで掻爬したりすることで形成されている。しかし、たとえば穿孔したりまたはリーマーで孔を広げたりすることによるような、スロット80、82を形成するその他の方法も、当業者ならわかるように企図されている。また、人工関節40のいくつかの実施形態では、キール58および/または68が、それぞれそれら自体の対応するスロット80、82を形成することができる。
【0038】
図8を参照すると、一実施形態では、上側および下側椎骨V、Vは、完全に矯正され、したがって、代替となる人工関節90が脊椎すべり症を矯正するのに使用できる。連接式関節90は、連接式関節90の様々な要素の方向を除いて人工関節40とほぼ同様である。たとえば、完全に矯正された上側および下側椎骨V、V内への挿入に対応するために、連接式関節90は、連接式関節の上側連接構成要素94上のほぼ中央に配置された横方向に延びるキール92と、下側連接構成要素98上のほぼ中央に配置された横方向に延びるキール96とを備えてもよい。また、上側連接構成要素94は、下側連接構成要素98から延びるほぼ中央に配置された突起102に対応するようにほぼ中央に配置されたくぼみ100を備えてもよい。一実施形態では、上側および、下側連接構成要素94、98は、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vの間に配置されたとき、互いにほぼ同一平面状にある。
【0039】
偏移された人工関節90の挿入に対応するために、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vは、その間で人工関節90を受けるように準備されてもよい。特に、細長い開口またはスロット104、106が、それぞれ上側および下側椎骨V、Vの椎骨終板に沿って所定の幅で所定の深さまで形成されてもよい。スロット104、106は、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vに対応するように互いにほぼ整列されてもよい。一実施形態では、細長いスロット104、106は、矩形であり、それぞれ椎骨V、Vを通って横方向に延びている。特定の実施形態では、スロット104、106は、チゼルで彫ったりキューレットで掻爬したりすることによって形成されている。しかし、当業者ならわかるように、たとえば穿孔したりまたはリーマーで広げるといった、スロット104、106を形成する他の方法も企図されている。また、人工関節のいくつかの実施形態では、キール92および/または96が、それぞれそれら自体の対応するスロット104、106を形成することができる。
【0040】
図9を参照すると、代替となる実施形態では、滑動自在な人工関節110が、脊椎すべり症の治療のための側方アプローチを補助するために使用されることができる。滑動関節110は、ほぼ縦方向軸Lに沿って延びており、第1の滑動自在な構成要素112および第2の滑動自在な構成要素114を備える。滑動自在な構成要素112、114は、隣接する椎体の間の椎間空間内に配置するようなサイズおよび形状にされた滑動関節110を形成するために協働する。
【0041】
滑動関節110は、自然の椎間板によって供給される通常の生体機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体の間の運動を供給する。より具体的には、滑動自在な構成要素112、114は、軸方向平面内で互いに対して直進運動することを許されている。人工関節110の滑動自在な構成要素112、114は、多種多様な材料から形成されてもよいが、一実施形態では、滑動自在な構成要素112、114は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、本開示の代替となる実施形態では、滑動自在な構成要素112、114は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの他の材料で形成されてもよい。椎骨に直接接触して配置される滑動自在な構成要素112、114の表面は、好ましくは、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイト被覆などの骨成長促進物質で被覆されている。また、滑動自在な構成要素112、114の表面はそれぞれ、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に荒く削られてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者に行われるその他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0042】
滑動自在な構成要素112は、滑動自在な表面118および対向する支持表面120を有する支持板116を備える。支持板116は、好ましくは、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板116は、隣接する椎骨の間の椎間空間内での人工関節110の操作および挿入を補助するために、外科用器具(図示せず)の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き122またはその他の指標を備える。外科用器具(図示せず)は、滑動自在な構成要素112、114を人工関節110の操作および挿入中所定の方向および互いに対する空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後、滑動自在な構成要素112、114を解放するように好ましくは構成されている。
【0043】
フランジ部材またはキール124が、支持表面120から延びており、隣接する椎骨終板内の事前形成された開口内に配置するように構成されている。一実施形態では、キール124は、支持表面120から垂直に延びており、支持表面120に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール124の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。一実施形態では、キール124が、支持板114のほぼ一部に沿って横方向に延びている。このような実施形態は、側方アプローチを使用した人工関節110の挿入に対応する。さらなる実施形態では、キール124は、キールの機能的な要求を容易にするように、傾斜、テーパ付けまたは他の形状に構成されてもよい。さらに別の実施形態では、キール124は、キール124の主本体部分を横切って延びる横部分を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0044】
キール124は、キールを貫通して延びる開口126を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するよう、開口を通る骨の成長を容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口126が、キール124を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口104は、キール124を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを部分的に通って延びてもよいことも理解されたい。キール124が、それを部分的にまたは全体的に通って延びる開口126を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口126は、円形の形状を有するように図示されているが、開口126の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触している滑動自在な構成要素112の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面120およびキール124の表面は、隣接する椎骨との骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面120およびキール124の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗く削られてもよい。
【0045】
一実施形態では、滑動自在な構成要素114は、滑動自在な表面130および対向する支持表面132を有する支持板128を備える。支持板128は、好ましくは、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板128は、滑動自在な要素112を参照にして上記で説明したように、外科用器具の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き134またはその他のタイプの指標を備えることができる。
【0046】
滑動自在な要素112のキール124と同様に構成されたフランジ部材またはキール136が、支持表面132から延びている。一実施形態では、キール136は、支持表面132から垂直に延びており、椎骨の脊椎上での変位に対応するように支持表面132に沿って中心をずらして配置されている。また、中心をずらして配置されたキール136の位置は、静脈、動脈、骨部分、またはその他の関節110の挿入中に配置される障害物の迂回を補助する。キール136の他の位置、形状、方向および量もまた企図されることをさらに理解されたい。キール136は、異なる配置、形状または方向にされてもよく、あるいは同様のまたは追加の理由で、より多くのキール136が使用されることができることも理解されたい。
【0047】
一実施形態では、キール136が、支持板128のほぼ一部に沿って横方向に延びている。このような実施形態は、たとえば前方アプローチ等の他のアプローチとは逆の側方アプローチを使用した人工関節110の挿入に対応する。さらなる実施形態では、キール136は、キールの機能的な要求を容易にするように、傾斜、テーパ付けまたは他の形状に構成されてもよい。さらに別の実施形態では、キール136は、キール136の主本体部分を横切って延びる横部分を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0048】
キール136は、キールを貫通して延びる3つの開口138を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するよう、骨が開口を通って成長するのを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口138が、キール136を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口138は、キール136を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを部分的に通って延びてもよいことも理解されたい。キール136が、それを部分的にまたは全体的に通って延びる開口138を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口138は、円形の形状を有するように図示されているが、開口138の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触している滑動自在な構成要素114の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面132およびキール136の表面は、隣接する椎骨との骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面132およびキール136の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、キール124、136の一方または両方が、縁部124a、136aによって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、キール124、136の関連する椎体への挿入が容易にされる。また、縁部124a、136aは、椎体が、以下でより詳細に議論する、キール124、136をそれぞれ受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0050】
図10を参照すると、脊椎椎間空間の人工関節110の挿入に対応するために、上側および下側椎骨V、Vが、人工関節110をそれらの間で受けるように準備されてもよい。特に、細長い開口またはスロット142、144が、それぞれ上側および下側椎骨V、Vの椎骨終板に沿って、所定の幅で所定の深さまで形成されてもよい。スロット142、144は、変位した椎骨Vおよび/またはVに対応するために互いから横方向にずらして配置されてもよい。本開示の一実施形態では、細長いスロット142、144は、矩形形状であり、椎骨V、Vに沿って横方向に延びている。特定の実施形態では、スロット142、144は、チゼルで彫られたりまたはキューレットで掻爬されることで形成されている。しかし、当業者ならわかるように、たとえば穿孔したりリーマで広げることでスロット142、144を形成するその他の方法も企図されている。また、人工関節のいくつかの実施形態では、キール124および/または136が、それぞれそれら自体の対応するスロット142、144を形成することができる。
【0051】
図11を参照すると、一実施形態では、上側および下側椎骨V、Vは、完全に矯正され、したがって、代替となる人工関節150が脊椎すべり症を矯正するのに使用されてもよい。連接式関節150は、キールの方向を除いて人工関節110とほぼ同様である。たとえば、完全に矯正された上側および下側椎骨V、V内への挿入に対応するために、連接式関節150は、連接式関節の上側連接構成要素154上のほぼ中央に配置されたキール152と、下側連接構成要素158上のほぼ中央に配置されたキール156とを備えてもよい。一実施形態では、上側および下側連接構成要素154、158は、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vの間に配置されたとき、互いにほぼ同一平面状にある。
【0052】
偏移された人工関節150の挿入に対応するために、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vは、その間で人工関節150を受け入れるように準備されてもよい。特に、細長い開口またはスロット160、162が、上側および下側椎骨V、Vの椎骨終板に沿って所定の幅で所定の深さまで形成されてもよい。スロット160、162は、完全に矯正された上側および下側椎骨V、Vに適合するように互いにほぼ整列されてもよい。一実施形態では、細長いスロット160、162は、矩形であり、それぞれ椎骨V、Vを通って横方向に延びている。特定の実施形態では、スロット160、162は、チゼルで彫ることで、またはキューレットで掻爬することで形成されている。しかし、当業者ならわかるように、たとえば穿孔したりまたはリーマで孔を広げたりすることでスロット160、162を形成する他の方法も企図されている。また、人工関節のいくつかの実施形態では、キール152および/または156が、それぞれそれら自体の対応するスロット160、162を形成することができる。
【0053】
図12および図13を参照すると、上記で議論した運動保存実施形態と一致する、従来型の固定構成を超える方式で、固定板およびケージが1つまたは複数のキールを備えており、横方向に挿入できる。図12を特に参照すると、横方向人工骨170は、ケージ172、上側キール174および下側キール176を備える。ケージ172は、それぞれ支持板178、180を通って上側および下側キール174、176と接続している。ケージ172は、テネシー州メンフィスのMedtronic Sofamor Danek社によって供給されているLT―CAGEテーパ付き腰部固定装置(登録商標)の多くの特徴を備えることができ、生体材料および/またはその他の骨成長促進材料を含むように使用されることができる。また、横方向キール174、176は、固定が行われている間、矯正された椎骨の変位を維持することを補助することができる。
【0054】
図13を参照すると、人工骨190は、板192、上側キール194、下側キール196、上側支持板198および下側支持板200を備える。板192は、2つの支持板198、200の間の所望の距離を維持し、固定を促進するために使用されることができる。プレート192が比較的薄くすることができるため、椎間空間の残りの部分が、生体材料、骨材料およびまたはその他の骨成長促進材料で充填されることができる。
【0055】
II 前方矯正
いくつかの例では、脊椎すべり症の矯正が、前方アプローチによるのが望ましいことがある。図14〜図16を参照すると、本発明の代替となる実施形態による椎間連接式人工関節210が示されている。人工関節210は、ほぼ縦方向軸Lに沿って延びており、第1の連接構成要素212および第2の連接構成要素214を備える。連接構成要素212、214は、隣接する椎体V、Vの間の椎間空間Sのような、一対の隣接する椎体間の椎間空間内に配置するようなサイズおよび形状にされた人工関節210を形成するために協働する。
【0056】
人工関節210は、自然の椎間板によってもたらされる正常な生体の機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体V、Vの間の相対的な枢動および回転運動を供給する。より具体的には、連接構成要素212、214は、縦方向軸Lの周りの横方向または左右の枢動運動、および横方向軸Tの周りの前後の枢動運動を含む、いくつかの軸の周りで互いに対して枢動することを許されている。本開示の一実施形態では、連接構成要素212、214は、縦方向軸Lおよび横方向軸Tと交差する平面内にある任意の軸の周りで互いに対して枢動することを許されていることを理解されたい。また、連接構成要素212、214は、回転軸Rの周りに互いに対して回転することを許されている。人工関節210は、連接運動の特定の組合せを提供するとして図示および説明されているが、たとえば、相対的な直進または線形運動などの連接運動の他の組合せも可能であり、本開示の範囲内にあると企図されることを理解されたい。
【0057】
人工関節210の連接構成要素212、214は、多種多様な材料から形成されているが、本開示の一実施形態では、連接構成要素212、214は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、本開示の代替となる実施形態では、連接構成要素212、214は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの他の材料で形成されてもよい。椎骨と直接接触して配置される連接構成要素212、214の表面は、たとえば、リン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイトなどの骨成長促進物質で被覆されている。また、椎体骨に直接接触して配置された連接構成要素212、214の表面は、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に粗くされてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者に行われるその他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0058】
連接構成要素212は、連接表面218および対向する支持表面220を有する支持板216を備える。支持板216は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板216は、隣接する椎骨の間の椎間空間内での人工関節210の操作および挿入を補助するために、外科用器具(図示せず)の対応する部分を受け入れて且つ係合するための1つまたは複数の切欠き222またはその他のタイプの指標を備える。外科用器具(図示せず)は、連接構成要素212、214を人工関節210の操作および挿入中所定の方向および互いに対する空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後、連接構成要素212、214を解放するように好ましくは構成されている。
【0059】
一実施形態では、連接構成要素218は、凸型形状を有する突起224を備える。突起は、球状のボール(その半分が示されている)として構成されてもよい。たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの他の突起224の形状も企図されることを理解されたい。連接表面218の残りの部分は、たとえば、突起224の周りに延びる四角い、または円錐形の形状などの平面状または非平面状の形状をとってもよいことを理解されたい。
【0060】
一実施形態では、突起224の凸型の連接表面が、突起224に沿って延びる表面陥没部または空洞226によって遮られている。一実施形態では、表面陥没部226は溝として構成されている。しかし、陥没部がないことを含む、他のタイプの表面陥没部も企図されることを理解されたい。溝226の一目的は、連接構成要素212、214の当接部分の間に配置された物質の除去を容易にすることである。より具体的には、溝226は、構成要素212、214の当接する連接表面の間に配置された粒子状材料などの物質を清浄するのを補助する。
【0061】
フランジ部材またはキール230が、支持表面220から延びており、隣接する椎骨終板内に事前形成された開口内に配置するように構成されている。一実施形態では、キール230は、支持表面220から垂直に延びており、支持表面220に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール230の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。
【0062】
一実施形態では、キール230は、支持板216のほぼ全長に沿って延びている。このような実施形態は、前方アプローチを使用した人工関節210の挿入に対応する。さらなる実施形態では、キール230は、キールの機能的な要求を容易にするように、傾斜、テーパ付けまたは他の形状には構成されてもよい。さらに別の実施形態では、キール230は、キール230の主本体部分を横切って延びる横部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0063】
キール230は、それを通って延びる1対の開口232を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために骨が開口を通って成長するのを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口232が、キール230を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口232は、キール230を完全に通って延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール230が、それを部分的にまたは全体的に通る開口232を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口232は、円形の形状を有するように図示されているが、開口232の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素212の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面220およびキール230の表面は、隣接する椎骨との骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面220およびキール230の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。一実施形態では、連接構成要素214は、連接表面242および対向する支持表面244を有する支持板240を備える。支持板240は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板240は、連接構成要素212を参照にして上記で議論したように、外科用器具の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き246またはその他の指標を備える。
【0064】
一実施形態では、連接表面242は、球形のソケットの形状などの凹型の形状を有するくぼみ250を備える。しかし、たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの他のくぼみ250の形状も企図されることを理解されたい。連接表面242の残りの部分は、傾斜されており、またはそうでない場合、連接式関節210の挿入および/または使用を容易にするように構成されている。
【0065】
凹型のくぼみ250は、ほぼ滑らかな、連続的な表面を有するとして示されているが、当接する関節要素212、214の間に配置された、表面の陥没部または空洞が粒子状の塵などの物質を清浄するための手段を提供するためにくぼみ250の一部分に沿って画定されてもよいことを理解されたい。このような場合、ボール224の凸型の連接表面が、ほぼ滑らかな、連続的な連接表面を別法として画定してもよい。別の実施形態では、凸型の突起224および凹型のくぼみ250の各々が、当接する連接表面の間に配置された粒子状の物質の除去を容易にするために表面の陥没部を画定してもよい。
【0066】
連接構成要素212のキール230と同様に構成されたフランジ部材またはキール260が、支持表面244から延びている。一実施形態では、キール260が、支持表面244から垂直に延びており、支持表面244に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール260の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。連接構成要素214は、支持表面244から延びる2つ以上のキール260を備えてもよいことを理解されたい。
【0067】
一実施形態では、キール260が、支持板240のほぼ全長に沿って延びている。このような実施形態は、前方アプローチを使用した人工関節210の挿入に対応している。さらなる実施形態では、キール260が、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするようなある形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール260は、キール260の主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0068】
キール260は、それを通って延びる1対の開口262を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨が開口を通って成長することを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口262が、キール260を貫通して画定されてもよいことを理解されたい。開口262は、キール260を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール260が、それを部分的にまたは全体的に通る開口262を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口262は、円形の形状を有するように図示されているが、開口262の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素214の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面244およびキール260の表面は、隣接する椎骨との骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面244およびキール260の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗面化されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、キール230、260の一方または両方は、図14の縁部260aによって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、関連する椎体へのキールの挿入が容易にされる。また、縁部260aは、椎体が、以下でより詳細に議論する、キール260を受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0070】
脊椎すべり症に関連する図1の椎骨V1〜V5などのずれた椎骨とともに働くためには、脊椎症のセグメントを完全に矯正および整列するという作業が、外科医によって達成可能でないまたは望ましくないことが認識されている。したがって、同時係属中の本明細書に組み込まれる米国特許第10/042,589号に記載されている基本的な連接は、椎骨の変位に対応するための関連する変位を有する。すなわち、2つの隣接する脊椎症の椎骨の間の変位の量に対して、人工関節210の連接がそれに対応するように行われる。いくつかの実施形態では、このような変位は、連接構成要素212の連接表面218上の中心からずれた位置に1つまたは複数の突起224を配置し、連接構成要素214の連接表面242上の中心からずれた位置に1つまたは複数のくぼみ250を配置することによって行うことができる。このことは、未矯正のまたは部分的に矯正された偏移が移動されることを可能にする。
【0071】
より具体的には、図14および図17を参照すると、突起224が、連接表面218に対して中心がずらされて配置されている。たとえば、下側椎骨(図17のV)が後方方向へ(図17の矢印Pによって示されている)ずれている場合、連接構成要素212は、突起224が連接表面218に対して前方方向へずらして配置されているように構成される。この例を続けると、したがって、上側椎骨Vが前方方向へ(図17の矢印Aによって示されている)下側椎骨Vからずらして配置されており、従って、くぼみ250が連接表面242に対して後方方向へずらして配置されるように連接構成要素214が構成される。このようにして、突起224およびくぼみ250を介して互いに係合するが、図17の上側および下側椎骨V、Vのずれた関係に適合するように互いからまだずれて配置されているように、連接構成要素212、214を構成することができる。
【0072】
図16をここで参照すると、別の実施形態では、連接式関節210は、図17に対して(矢印272によって示す)、より目立った変位に対応するためにおよび/または亜脱臼に追加の安定性を提供するために、支持板216が延長セクション270を備えるように改良されてもよい。突起224は、連接構成要素212、214の間のより目立った変位を可能にするために延長セクション270上に配置されてもよい。
【0073】
図2および図17を参照すると、脊椎椎間空間Sの人工関節210の挿入に対応するために、上側および下側椎骨V、Vが、人工関節210をそれらの間で受けるように準備されてもよい。特に、細長い開口またはスロット280、282が、それぞれ上側および下側椎骨V、Vの椎骨終板に沿って、所定の幅で所定の深さまで形成されてもよい。本開示の一実施形態では、細長いスロット280、282は、矩形形状であり、椎骨V、Vの上側284から後方側に向かって延びている。特定の実施形態では、スロット280、282は、チゼルによって彫ったりキューレットで掻爬したりすることで形成されている。しかし、当業者ならわかるように、たとえば穿孔したりリーマで孔を大きくしたりすることでスロット280、282を形成する他の方法も企図されている。また、人工関節210のいくつかの実施形態では、キール230および/または260が、それぞれそれら自体の対応するスロット280、282を形成することができる。スロット280、282の準備および例示的なサイズが、同時係属中の本明細書に組み込まれる米国特許第10/042,589号にさらに詳細に記載されている。図18〜図20を参照すると、他の実施形態では、連接構成要素212、214の一方または両方が、異なる数のキールおよび/または改良されたキールを備えてもよい。図18を特に参照すると、290および292で示す2つのキールが、支持表面244から延びており、隣接する椎骨終板内の事前形成された開口内に配置されるように構成されている。一実施形態では、両方のキール290、292が、支持表面244から垂直に延びて、平行であり、支持表面244の中央部分に沿って均等に離隔されている。
【0074】
図19を特に参照すると、294および296で示す2つのキールが、支持表面224から延びており、隣接する椎骨終板内の事前形成された開口内に配置されるように構成されている。一実施形態では、両方のキール294、296が、支持表面224から垂直に延びて、平行であり、支持表面224の中央部分に沿って等しく離隔されている。キール290、292、294および296の他の配置および方向も企図されることを理解されたい。
【0075】
図20を特に参照すると、キール298が支持表面244に対向する横方向に延びる、すなわち「翼付き」部分300を備えることを除いて、図14のキール260と同様に、キール298が支持表面244から延びている。翼付き部分300は、支持表面244を椎体Vにきつく接して維持すること、および連接構成要素214のいかなる縦方向運動も実質的に防止することを含むいくつかの機能を提供する。同様に、キール302が、支持表面224から延びており、支持表面224に対向する翼付き部分304を備える。翼付き部分304は、支持表面224を椎体Vにきつく接して維持すること、および連接構成要素212のいかなる縦方向運動も実質的に防止することを含むいくつかの機能を提供する。
【0076】
図21〜図23を参照すると、上記で説明した代替となる人工関節210の椎間空間S内への挿入に適合するために、上側および下側椎骨V、Vを、人工関節210をそれらの間で受けるように準備することができる。図21を特に参照すると、図18の人工関節210の形状に対して、複数のスロット310および312が、上側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成され、単一のスロット314が、下側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。図22を特に参照すると、図19の人工関節210の形状に対して、複数のスロット316、318および320、322が、それぞれ、上側椎骨Vおよび下側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。図23を特に参照すると、図20の人工関節210の形状に対して、翼付きスロット324、326が、それぞれ、上側椎骨Vおよび下側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。スロット310、312、314、316、318、320、322、324、326の準備は、図17に関して上記で議論したのと同様の方式で達成されることができる。翼付きスロット324、326に対して、標準的なチゼルを使用することができる、または別法として、独自の翼形状のチゼルを使用することができる。
【0077】
図24を参照すると、人工関節210に加えて、織物状の矯正用インプラント330が、2つの椎骨V、Vの間の人工的な靭帯として作用するように使用されることができる。織物状インプラント330の一実施形態は、参照によって組み込まれる米国特許第10/082,579号に開示されている。インプラント330は、2つの椎骨V、Vをともに安定化させ、さらに固定することを補助するために自然の靭帯が機能するように機能し、さらなる変位を防止することを助ける(または変位が術前にそうであった方式に戻ることを防止する)。
【0078】
図25および26を参照すると、椎骨Vに対する関節突起334のような後方要素と接続する骨要素332内の断面によって示されているような部分破壊もまた、前方アプローチによる脊椎すべり症の矯正中に処置されることが、企図されている。さらにわかりやすくするために、破壊された骨要素332が図25では強調されていることを理解されたい。部分破壊は、骨要素332を通して椎体V内の開口338内へ及び関節突起334内へ、ねじ付き部分336aおよびねじなし部分336bを有するラグねじ336をねじ込むことによって修復できる。いくつかの実施形態では、開口338の全部または一部が、ドリルまたはチゼル(図示せず)で事前に穿孔されることができる。ラグねじ336が、前方方向を通って挿入およびアクセスされ、複数のねじが複数の突起を修復するために使用されることができる。破壊された後方要素を捕捉し、ラグねじ336を締結することによって、椎骨Vが修復される。
【0079】
III 経椎間孔人工関節
いくつかの例では、神経根、硬膜、黄色靭帯および棘間靭帯などの重要な解剖学的構造の潜在的な損傷のため、障害のある椎間板空間に侵入して除去することが困難であることがよくある。たとえば靭帯構造の保存は、セグメントおよびその隣接する対応部分の生体機械的安定性を回復するために極めて重要である。これらの状況では、経椎間孔アプローチにより、片側に神経孔を開けることによって椎間板空間全体のクリアランスが可能となる。適切なクリアランスの後、後方突起間伸延によって、椎間区画のさらなる拡大を達成することが可能である。この手法は、経椎間孔腰椎椎体間固定術、すなわちTILFなどの固定技術のために使用されているが、今まで運動保存インプラントとともに使用されていなかった。
【0080】
図27を参照すると、経椎間孔アプローチでは、椎間板Vは、矢印400によって示すようにアプローチされる。このアプローチは、後方アプローチと側方アプローチとの間であり、いくつかの場合、椎間板の片側のみが、処置を行うために(右または左に)露出される必要がある。
【0081】
図28〜図30を参照すると、本開示の別の形態による椎間連接式人工関節410が示されている。連接式関節410は、ほぼ縦方向Lに沿って延びており、第1の連接構成要素412および第2の連接構成要素414を備える。連接構成要素412、414は、隣接する椎体の間の椎間空間内に配置するようなサイズおよび形状にされた連接式関節410を形成するために協働する。
【0082】
人工関節410は、自然の椎間板によって供給される通常の生体機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体の間の相対的な枢動および回転運動を提供する。より具体的には、連接構成要素412、414は、縦方向軸Lの周りの横方向または左右の枢動運動、および横方向軸Tの周りの前後の枢動運動を含む、いくつかの軸の周りで互いに対して枢動することを許されている。本開示の一実施形態では、連接構成要素412、414は、縦方向軸Lおよび横方向軸Tと交差する平面内にある任意の軸の周りで互いに対して枢動することを許されていることを理解されたい。また、連接構成要素412、414は、好ましくは回転軸Rの周りで互いに対して枢動することを許されている。人工関節410は、特定の組合せの連接運動を提供するとして図示および説明されているが、他の組合せの連接運動も可能であり、本開示の範囲内にあることを企図されていることを理解されたい。たとえば相対的な直進または線形運動などの他のタイプの連接運動も企図されることを理解されたい。
【0083】
人工関節410の連接構成要素412、414は、多種多様な材料から形成されているが、本開示の一実施形態では、連接構成要素412、414は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、本開示の代替となる実施形態では、連接構成要素412、414は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの他の材料で形成されてもよい。椎骨に直接接触して配置される連接構成要素412、414の表面は、好ましくは、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイトなどの骨成長促進物質で被覆されている。また、椎骨に直接接触して配置される連接構成要素412、414の表面は、好ましくは、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に粗くされてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者は思いつくであろう他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0084】
連接構成要素412は、連接表面418および対向する支持表面420を有する支持板416を備える。支持板416は、隣接する椎体の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。一実施形態では、支持板416は経椎間孔挿入アプローチを容易にするような形状にされている。同様に、支持板416は、連接表面418および支持表面420の間に延びる支持板416のほぼ細長い部分として画定されている湾曲した側部部分422a、422bを備える。図示されていないが、支持板416は、隣接する椎骨の間の椎間空間内での人工関節410の操作および挿入を補助するために、外科用器具(これも図示せず)の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠きまたはその他の指標を備える。外科用器具(図示せず)は、連接構成要素412、414を人工関節410の操作および挿入中所定の方向および互いに対する空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後連接構成要素412、414を解放するように好ましくは構成されている。
【0085】
一実施形態では、連接表面418は、凸型形状を有する突起424を備える。突起は、球状のボール(その半分が示されている)として構成されてもよい。たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの突起424の他の形状も企図されることを理解されたい。連接表面418の残りの部分は、たとえば、突起424の周りに延びる四角い、または円錐形の形状などの平面状または非平面状の形状をとってもよいことを理解されたい。
【0086】
フランジ部材またはキール426が、支持表面410から延びており、隣接する椎骨終板内に事前形成された開口内に配置するように構成されている。一実施形態では、キール426は支持表面420から垂直に延びており、支持表面420に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール426の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。
【0087】
一実施形態では、キール426が、支持板416のほぼ一部に沿って横方向に延びている。キール426は、図27の矢印400とほぼ同様の方向に曲げられている。キール426の曲率は、側部部分422a、422bの曲率とほぼ同様であり、一致している。このような実施形態は、上記で議論した前方アプローチまたは側方アプローチとは逆の経椎間孔アプローチを使用した人工関節410の挿入に適合している。さらなる実施形態では、キール426は、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするようなある形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール426は、キール426の主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0088】
キール426は、それを通って延びる3つの開口428を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨が開口を通って成長することを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口428が、キール426を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口428は、キール426を完全に通って延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール426が、それを部分的にまたは全体的に通る開口428を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口428は、円形の形状を有するように図示されているが、開口428の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素412の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面420およびキール426の表面は、隣接する椎体との骨係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面420およびキール426の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗面化されてもよい。
【0089】
一実施形態では、連接構成要素414は、連接表面432および対向する支持表面434を有する支持板430を備える。支持板430は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。一実施形態では、支持板430は、経椎間孔挿入アプローチを容易にするような形状にされている。同様に、支持板416は、連接表面432と支持表面434との間を延びる支持板430の全体的に細長い部分として画定された、湾曲した側部部分436a、436bを備える。図示されていないが、支持板430は、連接要素412を参照にして上記で説明したように、外科用器具の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠きまたはその他のタイプの指標を備える。
【0090】
一実施形態では、連接表面432は、凹型の形状を有し、球形のソケットとして構成されているくぼみ440を備える。しかし、たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの、くぼみ440の他の形状も企図されることを理解されたい。連接表面432の残りの部分は、傾斜される、またはそうでない場合人工骨の挿入および/または使用を容易にするように構成されることができる。凹型のくぼみ440は、ほぼ滑らかな、連続的な連接表面を有するとして示されているが、粒子状の塵などの物質を清浄するための手段を提供するために、当接する関節要素412、414の連接表面の間に配置される、表面の陥没部または空洞がくぼみ440の一部分に沿って画定されてもよいことを理解されたい。このような場合、ボール424の凸型の連接表面が、ほぼ滑らかな、連続的な連接表面を別法として画定してもよい。別の実施形態では、凸型の突起424および凹型のくぼみ440は、当接する連接表面の間に配置された粒子状の物質の除去を容易にするために表面の陥没部を画定してもよい。
【0091】
連接構成要素412のキール426と同様に構成されたフランジ部材またはキール450が、支持表面434から延びている。一実施形態では、キール450が、中央に配置されることができ、直接またはキール450と平行に並べて配置される。キール450は、キール426と同様の図27の矢印400の方向に曲げられている。キール450の曲率は、側部部分436a、436bの曲率と実質的に同様であり一致している。このような実施形態は、上記で議論した前方アプローチまたは側方アプローチとは異なる経椎間孔アプローチを使用した人工関節410の挿入に適合している。いくつかの実施形態では、キール450の位置が、静脈、動脈、骨部分、または人工関節410の挿入中に配置される他の障害物を迂回するのを補助するために、中心をずらして配置されてもよい。
【0092】
キール450はまた、異なるような配置、形状または方向にされてもよく、またはより多くのキール450が、同様のまたは更なる理由で使用されてもよい。キール450は、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするような他の形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール450は、キールの主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0093】
一実施形態では、キール450は、それを通って延びる3つの開口452を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨が開口を通って成長することを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口452が、キール450を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口452は、キール450を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてキールを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール450が、キールを部分的にまたは全体的に通る開口452を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口452は、円形の形状を有するように図示されているが、開口452の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素414の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面434およびキール450の表面は、隣接する椎骨との骨係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面434およびキール450の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。いくつかの実施形態では、キール426、450の一方または両方が、図28cの縁部460、462によって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、キールの関連する椎体への挿入が容易にされる。また、縁部460、462は、隣接する椎体が、以下でより詳細に議論する、キール426、450を受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0094】
図31aおよび図31bを参照すると、人工関節410の挿入に適合するように、上側および下側椎骨V、Vは、その間で人工関節410を受け入れるように準備されてもよい。図31aを特に参照すると、図28〜図30の人工関節410の形状に対して、複数のスロット470、472が、上側椎骨Vおよび下側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。スロット470、472は、キール426、450自体によって作成してもよく、または事前に準備してもよい。
【0095】
図32を参照すると、人工関節410が上側および下側椎骨V、Vの間に挿入される前に、1つまたは複数のスロット470、472を準備することが望ましい。スロット470、472は、スロット472によって示すように、挿入中の人工関節410の運動を容易にするために、湾曲したキール426、450に従って曲げられてもよい。
【0096】
図33〜図35を参照すると、直線状のスロットの切削しか可能でないチゼル切削の代替として、ミリングガイド500を、上側および下側椎骨V、V内に湾曲したスロット470、472(図32で472によって示されている)を切削するためのミリング工具502とともに使用することもできる。ミリングガイド500およびミリング工具502は、チタニウムなどの生体適合性材料を含む任意の材料で形成できる。ミリングガイド500は、スロット470、472のための所望の曲線の形状に対応するための湾曲した開口504を画定する、細長い湾曲した部材503を備える。もちろん、ミリングガイド500、したがって湾曲した開口504の曲率は、スロット470、472の所望の湾曲に応じて様々であってよい。一実施形態では、ミリングガイド500は、湾曲した開口504の曲率が、ミリングガイドを交換する必要なく変更されることができるように、再形成の際に正確な形状を維持する柔軟な材料で形成されている。ミリングガイド500、したがって湾曲した開口504はまた、スロット470、472が椎骨の後方要素を通って連続される必要がある場合、スロットのこのような延長が同時に達成されることができるように十分な長さである。
【0097】
図34aおよび34bを特に参照すると、一実施形態では、ミリング工具502は、湾曲した開口504内で回転運動および直進運動されるように配置されたミリングビット510を備える。一実施形態では、ミリングビット510は、上側および下側椎骨V、V内に同時に延びることができる2溝彫りビットである。
【0098】
ミリングビット510はまた、湾曲した開口504内で前後に移動されることができるように、直進方向の力を受けるように構成されている。図34bを参照すると、一実施形態では、ミリングビットハンドル530が、ハウジング522(その一部が図示されている)と任意の従来型の方式で接続されている。ハンドル530は、ハウジング522から、外科医(図示せず)に対してミリングガイド500の近端部534に形成されたスロット532を通って延びている。このようにして、ハンドル530は、外科医によって直進運動されることができ、それによって湾曲した開口504を通ってミリングビット510を直進運動させる。このようにして、ハンドル530は、ミリングビット510に直進運動を賦与するように構成されている。湾曲した開口504内のミリングビット510の運動に適合するように、1対の支持アセンブリ512、514が、ミリングビット510を湾曲した開口に沿ってガイドするためにハウジング522に隣接して配置されてもよい。
【0099】
ハウジング522は、一実施形態ではギアアセンブリ524である回転アセンブリを収容している。ギアアセンブリ524は、回転自在なシャフト528と接続されてその周りに環状に延びている駆動ギア526を備える。シャフト528は、電源516(図35)によって表される外部源を介して回転自在である。一実施形態では、シャフト528が、ハンドル530内に収容されている。
【0100】
ギアアセンブリ524は、ミリングビット510と接続され、その周りに環状に延びているビットギア530をさらに備える。ビットギア530は、ビットギアが駆動ギア526に対して垂直であり、駆動ギアと接触するようにミリングビット510上に配置されている。すなわち、シャフト528の回転が、ギアアセンブリ524を介してミリングビット510に回転を賦与する。1対の環状のショルダ534、536もまた、ミリングビットが、図34bに示すように上または下方向に滑ることなく湾曲した開口504を通って前後に容易に運動することができるようにミリングビット510と接続されている。ギアアセンブリ524は、ミリングビット510に回転運動を賦与するために使用されるアセンブリの例示に過ぎないことを理解されたい。空気圧タイプのシステムなど、他のタイプの回転賦与アセンブリが、本開示内にあるように企図される。
【0101】
図34cを参照すると、このような一実施形態で、空気圧システム538が、ミリングビット510に回転を賦与するために採用されてもよい。一実施形態では、Medtronic Midas Rex(登録商標)Legend(商標)モータが、空気圧システムに動力(Pによって表される)を供給するために使用される。従来型のバルブ539が、ミリングビット510を回転させるために供給される空気流および圧力を制御するために使用される。さらに他の実施形態では、手動または組合せの電源が、好ましい電源516(図34b)およびP(図34c)であるように企図されている。
【0102】
図34aおよび図34bを参照すると、ガイドハンドル540が、ミリングガイド500がミリングビット510に対して独立に運動可能であるようにさらに設けられている。したがって、一実施形態では、ミリングガイド500がガイドハンドル540を介して保持される一方、ミリングビット510がハンドル530を介して湾曲した開口504内で動かされるようにできる。いくつかの実施形態では、ハンドル530が、図34bに示すようにガイドハンドル540を通って延びている。結果として、図35を参照すると、ミリングビット510は、矢印R1によって示される方向に回転するように構成され、矢印R2によって示される方向に湾曲した開口504を通って直進運動するように構成されている。
【0103】
術中、ミリングガイド500およびミリング工具502が、人工関節410の下側部分を受けるように椎体Vを準備するために、スロット472などのスロットを切削するために使用されることができる。外科医は、スロット472に賦与するための所望の量の曲率を最初に選択し、対応するミリングガイド500を選択または構成する。外科医は次に、ミリングガイド500を上側および下側椎骨V、Vの間の椎間空間内に配置し、ミリングビット510を上側および下側椎骨V、Vと当接させるために、経椎間孔アプローチから椎体Vに接近する。適切に配置すると、外科医は次に、ミリングビット510で上側および下側椎骨V、V内の切削を開始するために、電源516を介してミリング工具502を作動させる。
【0104】
ミリングガイド500は、ミリングビット510がミリングガイドを通って直進運動している間、ミリングガイドが静止するように外科医によってまたは外部器具を介して保持されてもよい。ミリングガイド500の曲率は、図32の下側椎骨V内に示されたスロット472などの経椎間孔スロットを切削し、上側および下側椎骨に椎間人工関節410を受け入れる準備をさせるように、上側および下側椎骨V、Vを通って椎間孔を経てミリングビット510をガイドする。
【0105】
代替となる実施形態では、人工関節410のキールが、関節を挿入するのに使用される、湾曲した、経椎間孔アプローチを補助するために代替となる形状および構成をとってもよい。図36〜図38を参照すると、符号550および560で示されているキールが、それぞれ支持表面434および420から延びている。キール550、560は、図28〜図30のキール450、426と比較して、比較的短く、したがって、それぞれ支持表面434および420の短い部分に沿って延びている。キール550、560が比較的に短いことは、このようなキールが、それぞれ開口470、472を追従することを補助する。加えて、キールが比較的短いこと及びそのようなキールが開口470、472にそれぞれ容易に追従できることで、キールが、直線状または湾曲したキールのいずれかとして構成されることを可能にし、このことは人工関節410の設計オプションを増加させる。キール550、560はまた、上側および下側椎骨V、V内へのキールの挿入を補助するためにテーパ付けされてもよい。
【0106】
IV 前方傾斜人工関節
神経根、硬膜、黄色靭帯および棘間靭帯などの重要な解剖学的構造の潜在的な損傷回避するために使用されることができる別のアプローチは、前方傾斜アプローチである。たとえば、椎骨L4およびL5の間の椎間空間、ならびに上側の椎間板レベルへの直線的な前方アプローチには、主要な血管が脊柱の前側に付着しているため、全椎間板代替インプラントの挿入中、高い外科的リスクが存在することがある。
【0107】
図39〜図41を参照すると、本開示の別の形態による椎間連接式人工関節600が示されている。人工関節600は、ほぼ縦方向軸Lに沿って延びており、第1の連接構成要素602および第2の連接構成要素604を備える。連接構成要素602、604は、隣接する椎体の間の椎間空間内に配置するようなサイズおよび形状にされた人工関節600を形成するために協働する。
【0108】
人工関節600は、自然の椎間板によって提供される通常の生体機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体の間の相対的な枢動および回転運動を提供する。より具体的には、連接構成要素602、604は、縦方向軸Lの周りの横方向または左右の枢動運動、および横方向軸Tの周りの前後の枢動運動を含む、いくつかの軸の周りで互いに対して枢動することを許されている。一実施形態では、連接構成要素602、604は、縦方向軸Lおよび横方向軸Tと交差する平面内にある任意の軸の周りで互いに対して枢動することを許されていることを理解されたい。また、連接構成要素602、604は、回転軸Rの周りで互いに対して回転することを許されている。人工関節600は、特定の組合せの連接運動を提供するものとして図示および説明されているが、他の組合せの連接運動も可能であり、このような運動は、本開示の範囲内にあることを企図されていることを理解されたい。たとえば相対的な直進または線形運動などの他のタイプの連接運動も企図されることを理解されたい。
【0109】
人工関節600の連接構成要素602、604は、多種多様な材料から形成されているが、本開示の一実施形態では、連接構成要素602、604は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、本開示の代替となる実施形態では、連接構成要素602、604は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの、他の材料で形成されてもよい。椎骨に直接接触して配置される連接構成要素602、604の表面は、好ましくは、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイトコーティングなどの骨成長促進物質で被覆されている。また、椎骨に直接接触して配置される連接構成要素602、604の表面は、好ましくは、成長中の骨をさらに強化するために骨成長促進物質で被覆される前に粗くされてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者に行われるその他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0110】
連接構成要素602は、連接表面612および対向する支持表面614を有する支持板610を備える。支持板610は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。一実施形態では、支持板610は、脊柱の左または右側のいずれかからの傾斜挿入アプローチを容易にするように三角形様の形状にされ、側部部分P1、P2およびP3を備える。側部部分P1、P2およびP3は、湾曲した形状(P2によって図示)またはまっすぐな形状(P1およびP3によって図示)を含む様々な形状をとってよい。
【0111】
支持板610は、隣接する椎骨の間の椎間空間内での人工関節600の操作および挿入を補助するために、外科用器具(これも図示せず)の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き616または他のタイプの指標を備える。外科用器具(図示せず)は、連接構成要素602、604を、人工関節600の操作および挿入中に所定の方向および互いに対する所定の空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後連接構成要素602、604を解放するように、好ましくは構成されている。
【0112】
一実施形態では、連接表面612は、凸型形状を有する突起620を備える。突起は、球状のボール(その半分が示されている)として構成されてもよい。たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの、他の形状の突起620も企図されることを理解されたい。連接表面612の残りの部分は、たとえば、突起620の周りに延びる四角い、または円錐形の形状などの平面状または非平面状の形状をとってもよいことを理解されたい。
【0113】
フランジ部材またはキール640が、支持表面614から延びており、隣接する椎骨終板内に事前形成された開口内に配置するように構成されている。一実施形態では、キール640は支持表面614から垂直に延びており、支持表面614に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール640の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。また、より多くのキール640が、同様のまたは追加の理由で使用されてもよい。
【0114】
一実施形態では、キール640が、支持板610のほぼ一部に沿って横方向に延びている。キール640は直線状であるが、切欠き616に向かう方向に沿って延びており、支持板610の側部部分P1の一方と平行である。本実施例では、キール640は、横方向軸Tと側方軸Lの間に配置されている。このような実施形態は、上記で議論した前方アプローチ、側方アプローチまたは経椎間孔アプローチとは逆の、斜方アプローチを使用した人工関節600の挿入に適合している。さらなる実施形態では、キール640は、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするような他のある形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール640は、キール640の主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0115】
キール640は、それを通って延びる1対の開口646を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨が開口を通って成長することを容易にする。また、隙間648がキール640内に形成されて、骨がそれを通って成長することを更に容易にすることもできる。隙間648はまた、人工関節600の挿入中、支持板602の位置および整合性を評価するためにX線が使用されることができるように、基準点を提供する。単一の開口または隙間、またはいくつかの開口または隙間を含む、任意の数の開口646および隙間648が、キール640を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口646および隙間648は、キール640を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてそれを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール640が、キールを部分的にまたは全体的に通る開口646または隙間648を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口646は、円形の形状を有するように図示されているが、開口646の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素602の表面は、骨成長促進物質で被覆されていてもよい。特に、支持表面614およびキール640の表面は、隣接する椎骨との骨係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面614およびキール640の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。
【0116】
一実施形態では、連接構成要素604は、連接表面652および対向する支持表面654を有する支持板650を備える。支持板650は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。一実施形態では、支持板610は、脊柱の左または右側のいずれかからの傾斜挿入アプローチを容易にするように三角形様の形状にされ、側部部分P4、P5およびP6を備える。側部部分P4、P5およびP6は、湾曲した形状(P5によって図示)またはまっすぐな形状(P4およびP6によって図示)を含む様々な形状をとってよい。支持板650は、連接構成要素602を参照にして上記で議論したように、外科用器具の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き656またはその他のタイプの指標を備えることができる。
【0117】
一実施形態では、連接表面652は、球形のソケットの形状などの凹型の形状を有するくぼみ660を備える。しかし、たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの、他の形状のくぼみ660も企図されることを理解されたい。連接表面652の残りの部分は、傾斜される、またはそうでない場合人工骨の挿入および/または使用を容易にするように構成されることができる。
【0118】
凹型のくぼみ660は、ほぼ滑らかな、連続的な表面を有するとして示されているが、連接構成要素602、604の当接する表面の間に配置された、表面の陥没部または空洞が、粒子状の塵などの物質を清浄するための手段を提供するためにくぼみ660の一部分に沿って画定されてもよいことを理解されたい。このような場合、ボール620の凸型の連接表面が、ほぼ滑らかな、連続的な連接表面を別法として画定してもよい。別の実施形態では、凸型の突起620および凹型のくぼみ660は、当接する連接表面の間に配置された粒子状の物質の除去を容易にするために表面の陥没部を画定してもよい。
【0119】
連接構成要素602のキール640と同様に構成されたフランジ部材またはキール670が、支持表面654から延びている。一実施形態では、キール670が、中央に配置されており、直接またはキール640と平行に並べて配置されている。キール640は直線状であるが、切欠き656に向かう方向に沿って延びており、支持板650の側部部分P4の一方と平行である。このような実施形態は、上記で議論した前方、側方、経椎間孔アプローチとは異なる傾斜アプローチを使用する人工関節600の挿入に適合する。いくつかの実施形態では、キール670の位置が、静脈、動脈、骨部分、または人工関節600の挿入中に配置される他の障害物の迂回を補助するように、中心をずらして配置されてもよい。
【0120】
キール670の他の位置、形状、方向および量が企図されることをさらに理解されたい。より多くのキール670が、同様のまたは追加の理由で使用されてもよいことも理解されたい。また、キール670は、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするような他の形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール670は、キール670の主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。一実施形態では、キール670はキールを通って延びる1対の開口676を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨がその中を通って成長することを容易にする。また、隙間678が、それを骨が通って成長することを更に容易にするためにキール670内に形成されてもよい。隙間678はまた、人工関節600の挿入中、支持板604の位置および整合性を評価するためにX線が使用されることができるように、基準点を提供する。単一の開口または隙間、またはいくつかの開口または隙間を含む、任意の数の開口676および隙間678が、キール670を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口676および隙間678は、キール670を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてキールを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール670が、キールを部分的にまたは全体的に通る開口676または隙間678を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口676は、円形の形状を有するように図示されているが、開口676の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素602の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面654およびキール670の表面は、隣接する椎骨との骨係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面654およびキール670の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、キール640、670の一方または両方は、縁部680、682によって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、キール640、670の関連する椎体への挿入が容易にされる。また、縁部680、682は、椎体が、以下でより詳細に議論する、キール640、670を受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0122】
図42〜図44aを参照すると、脊椎椎間空間の人工関節600の挿入に適合するように、上側および下側椎骨V、Vを、人工関節600をそれらの間で受けるように準備できる。図43を特に参照すると、図38〜図40の人工関節600の形状に対して、多数のスロット690、692が、それぞれ上側椎骨Vおよび下側椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。スロット690、692は、キール640、670自体によって作成されてもよく、または上記で議論した1つまたは複数の方法によって事前に準備されてもよい。図42〜図44からわかるように、1つまたは複数の血管694が直線的な前方アプローチを妨害する場合、傾斜アプローチが、前方/側方挿入を可能にする。インプラント600のデザインはまた、椎骨V、Vの椎骨終板と接触するための十分な接触表面を確保する。
【0123】
図44bを参照すると、一実施形態では、人工関節600は、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属米国特許出願第10/430,473号に記載の4イン1ガイドなどの機器を介して椎間空間内に挿入することができる。人工関節600を挿入するための挿入プロセスの一例では、椎骨V、Vの中線Mが、撮像機器を使用して検出され、ピン695が中線に沿って上側椎骨V内に挿入される。傾斜ガイド部材696が次に、フランジ697を介してピン695と接続され、傾斜ガイド部材696に付随するハンドル(図示せず)が次に適切な位置に調節される。傾斜ガイド部材の傾斜ピン698が次に、傾斜ガイド部材を固定するために上側椎骨V内に打ち込まれ、それによって人工関節600のための挿入基準点およびインプラント挿入方向を標示する。4イン1ガイド(図示せず)が次に、その詳細が、同時係属米国特許出願第10/430,473号でより完全に議論される、前方傾斜アプローチによって人工関節600を椎間空間内に埋め込むために使用される。
【0124】
V.可動支持人工関節
別の実施形態では、上記で説明した人工関節が、直進運動ならびに回転運動を可能にするように改良される。たとえば、図45〜図47を参照すると、前方挿入のための可動支持人工関節が全体的に符号700によって示されている。可動支持人工関節700は、わかりやすくするためだけに前方挿入に関して説明されており、したがって、様々な挿入方向が可動支持人工関節のために企図されることを理解されたい。
【0125】
人工関節700は、ほぼ縦方向軸Lに沿って延びており、第1の連接構成要素702および第2の連接構成要素704を備える。連接構成要素702、704は、隣接する椎体V、V(図48)の間の椎間空間S1などの、1対の椎体の間の椎間空間内に配置するようなサイズおよび形状にされた人工関節700を形成するために協働する。
【0126】
人工関節700は、自然の椎間板によって、ただし平行移動の追加の要素とともに提供される通常の生体機械的運動とほぼ同様の運動を維持または回復するために、隣接する椎体V、Vの間の相対的な枢動および回転運動を提供する。より具体的には、連接構成要素702、704は、縦方向軸Lの周りの横方向または左右の枢動運動、および横方向軸Tの周りの前後の枢動運動を含む、いくつかの軸の周りで互いに対して枢動することを許されている。一実施形態では、連接構成要素702、704は、縦方向軸Lおよび横方向軸Tと交差する平面内にある任意の軸の周りで互いに対する枢動を許されていることを理解されたい。また、連接構成要素702、704は、回転軸Rの周りで互いに対して回動することを許されている。また、連接構成要素702、704は、さらに説明するように互いに対して直進運動することを許されている。
【0127】
人工関節700の連接構成要素702、704は、多種多様な材料から形成されているが、一実施形態では、連接構成要素702、704は、コバルト・クロム・モリブデン金属合金(ASTM F−799またはF−75)で形成されている。しかし、代替となる実施形態では、連接構成要素702、704は、チタニウムまたはステンレス鋼、ポリエチレンなどのポリマー材料、または当業者に明らかであるその他の生体適合性材料などの他の材料で形成されてもよい。椎骨に直接接触して配置される連接構成要素702、704の表面は、たとえばリン酸カルシウムで形成されたハイドロキシアパタイトなどの骨成長促進物質で被覆されていてもよい。また、椎骨に直接接触して配置される連接構成要素702、704の表面は、成長中の骨をさらに強化するために、骨成長促進物質で被覆される前に粗くされてもよい。このような表面の粗面化は、たとえば、酸エッチング、ローレット切り、ビード被膜の付着、または当業者に行われる他の粗面化方法を用いて達成されてもよい。
【0128】
連接構成要素702は、連接表面708および対向する支持表面710を有する支持板706を備える。支持板706は、隣接する椎体の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板706は、隣接する椎骨の間の椎間空間内での人工関節700の操作および挿入を補助するために、外科用器具(これも図示せず)の対応する部分を受けるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き712またはその他の指標を備える。外科用器具(図示せず)は、好ましくは、構成要素702、704を人工関節700の操作および挿入中に所定の方向および互いに対する所定の空間関係に保持し、隣接する椎骨の間に正確に配置された後構成要素702、704を解放するように構成されている。
【0129】
一実施形態では、および図49aおよび49bを参照すると、くぼみ714が連接表面708内に形成されている。連接表面708に沿ってくぼみ714を画定する周縁部716はくぼみ表面718と同心関係にあるが、くぼみ714の拡がる円形の側面720(図48b)のため、周縁部はくぼみ表面に対して小さい直径を有する。円形の形状を有するものに関して説明されているが、くぼみ714は、正方形、三角形または矩形形状などの任意の数の形状をとってもよい。
【0130】
図50aおよび図50bを参照すると、くぼみ714(図49b)は、モジュラー式突起部材722を受け入れるように設計されている。突起部材722は、くぼみ714の形状に対応するような形状にされたフランジ部分724を備える。同様に、フランジ部分724は、ほぼ平面状の係合表面728を終点とする広がりを有する周縁部726を備える。係合表面728は、ほぼ平面状のくぼみ表面718(図49b)と係合するように構成されている。しかし、ほぼ平面状の係合表面728であるとして示されているが、係合表面728およびくぼみ表面718は、任意の数の対応する形状をとってよいことを理解されたい。係合表面728の直径は、くぼみ表面718の直径よりも小さく、それによってモジュラー式突起部材722の連接構成要素702に対する直進運動を許す。
【0131】
モジュラー式突起部材722の残りの部分は、球状のボール(その半分が示されている)として構成されてもよい。たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの、他の形状の突起730も企図されることを理解されたい。連接表面708の残りの部分は、たとえば、突起224の周りに延びる四角い、または円錐形の形状などの平面状または非平面状の形状をとってもよいことを理解されたい。
【0132】
一実施形態では、突起730の凸型の連接表面が、突起730に沿って延びる表面陥没部または空洞732によって遮られている。一実施形態では、表面陥没部732は溝として構成されている。しかし、陥没部がないことを含む、他のタイプの表面陥没部も企図されることを理解されたい。溝732の一目的は、連接構成要素702、704の当接部分の間に配置された物質の除去を容易にすることである。より具体的には、溝732は、構成要素702、704の当接する連接表面の間に配置された粒子状材料などの物質を清浄するのを補助する。
【0133】
図45および図49bを参照すると、フランジ部材またはキール740が、支持表面710から延びており、隣接する椎骨終板(図47のVなど)内に事前形成された開口内に配置するように構成されている。一実施形態では、キール740は、支持表面710からほぼ垂直に延びており、支持表面710に沿ってほぼ中央に配置されている。しかし、キール740の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。
【0134】
一実施形態では、キール740は、支持板706のほぼ全長に沿って延びている。このような実施形態は、前方アプローチを使用した人工関節700の挿入に対応する。しかし、上記で議論したように、側方アプローチ、経椎間孔アプローチ、および前方傾斜アプローチ等の他のアプローチも、人工関節700の挿入のために企図されている。さらなる実施形態では、キール740は、キールの機能的な要求を容易にするように、傾斜、テーパ付けまたは他の形状には構成されてもよい。さらに別の実施形態では、キール740は、キール740の主本体部分を横切って延びる横部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0135】
キール740は、キールを通って延びる1対の開口742を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために、骨が中を通って成長することを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口742が、キール740を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口742は、キール740を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてキールを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール740が、キールを部分的にまたは全体的に通る開口742を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口742は、円形の形状を有するように図示されているが、開口742の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素702の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面710およびキール740の表面は、隣接する椎骨との骨の係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面710およびキール740の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。
【0136】
図45〜図47を参照すると、一実施形態では、連接構成要素704は、連接表面752および対向する支持表面754を有する支持板750を備える。支持板750は、隣接する椎骨の椎骨終板のサイズおよび形状にほぼ対応するサイズおよび形状にされている。支持板750は、連接構成要素702を参照にして上記で議論したように、外科用器具の対応する部分を受け入れるまたはそれと係合するための1つまたは複数の切欠き756またはその他のタイプの指標を備える。
【0137】
一実施形態では、連接表面752は、球形のソケットの形状などの凹型の形状を有するくぼみ758(図47)を備える。しかし、たとえば、円筒形、楕円形またはその他の円弧状形状またはおそらくは非円弧状形状などの他の形状のくぼみ758も企図されることを理解されたい。連接表面752の残りの部分は、傾斜され、またはそうでない場合人工関節700の挿入および/または使用を容易にするように構成されることができる。凹型のくぼみ758は、全体的に滑らかな、連続的な表面を有するとして示されているが、関節要素702、704の当接する表面の間に配置された、表面の陥没部または空洞が粒子状の塵などの物質を清浄するための手段を提供するためにくぼみ758の一部分に沿って画定されてもよいことを理解されたい。このような場合、突起730の凸型の連接表面が、全体的に滑らかな、連続的な連接表面を別法として画定してもよい。別の実施形態では、凸型の突起730および凹型のくぼみ758は、当接する連接表面の間に配置された粒子状の物質の除去を容易にするために、表面の陥没部を画定してもよい。
【0138】
連接構成要素702のキール740と同様に構成されたフランジ部材またはキール760が、支持表面754から延びている。一実施形態では、キール760が、支持表面754から垂直に延びており、支持表面754に沿ってほぼ中心に配置されている。しかし、キール760の他の位置および方向も企図されることを理解されたい。連接構成要素704は、支持表面754から延びる2つ以上のキール760を備えてもよいことを理解されたい。
【0139】
一実施形態では、キール760が、支持板750のほぼ全長に沿って延びている。このような実施形態は、前方アプローチを使用した人工関節700の挿入に対応している。しかし、上記で議論したように、側方アプローチ、経椎間孔アプローチ、および前方傾斜アプローチ等の他のアプローチも、人工関節700の挿入のために企図されている。さらなる実施形態では、キール760が、傾斜、テーパ付け、またはキールの機能的な要求を容易にするような他の形状にされてもよい。さらに別の実施形態では、キール760は、キール760の主本体部分を横切って延びる横方向部分(図示せず)を備える翼付きキールとして構成されてもよい。
【0140】
キール760は、それを通って延びる1対の開口762を備える。これは、隣接する椎骨との固定を強化するために骨がそれを通って成長することを容易にする。しかし、単一の開口または3つ以上の開口を含む、任意の数の開口762が、キール760を通って画定されてもよいことを理解されたい。開口762は、キール760を完全に貫通して延びる必要は必ずしもなく、別法としてキールを通って部分的に延びてもよいことも理解されたい。キール760が、キールを部分的にまたは全体的に通る開口762を画定する必要は必ずしもないこともさらに理解されたい。また、開口762は、円形の形状を有するように図示されているが、開口762の他のサイズおよび形状も企図されることを理解されたい。上記で議論したように、椎骨と直接接触する連接構成要素704の表面は、好ましくは骨成長促進物質で被覆されている。特に、支持表面754およびキール760の表面は、隣接する椎骨との骨係合を促進するためにハイドロキシアパタイトで被覆されてもよい。これも上記で議論したように、支持表面754およびキール760の表面は、ハイドロキシアパタイト被覆の付着の前に粗くされてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、キール740、760の一方または両方は、図45および46の縁部760aによって示される鋭利な前縁部を備えてもよい。このような縁部を有することによって、キール740、760の関連する椎体への挿入が容易にされる。また、縁部760aは、椎体が、以下でより詳細に議論する、キール760を受けるためのスロットを必要としないように十分鋭利であってもよい。
【0142】
図45を参照すると、可動支持人工関節700は、モジュラー式突起772部材を連接構成要素702の連接表面708内に形成されたくぼみ714内に挿入することによって組立てられる。組立ての際、人工関節700が、それぞれ隣接する椎体V、V(図48)の間の椎間空間S1内に挿入されるように準備される。
【0143】
図48を参照すると、椎間空間S1内の人工関節700の挿入に適合するように、隣接する椎体V、Vは、それらの間で人工関節700を受けるように準備されてもよい。図45〜図47の人工関節700の形状に対して、スロット770、772が、それぞれ椎骨Vおよび椎骨Vの椎骨終板に沿って形成されている。スロット770、772は、キール740、760自体によって作成されてもよく、または上記で議論した方法の1つまたは複数によって事前に準備されてもよい。
【0144】
椎間空間S1内への挿入の際、人工関節700は、モジュラー式突起722の連接構成要素704の凹型のくぼみ758との係合のため、連接構成要素704の連接構成要素702に対する直進運動を許す。たとえば、図51では、モジュラー式突起部材722が、後方位置(連接構成要素704の後方方向Pへの移動の結果である)で示されているが、図52では、モジュラー式突起部材722が、前方位置(連接構成要素704の前方方向Aへの移動の結果である)で示されている。図51および52はもちろん、モジュラー式突起部材722および対応するくぼみ714の実装によって可能にされた直進運動の例示に過ぎず、したがって、モジュラー式突起部材722、したがって連接構成要素704の連接構成要素702に対する直進運動の量は、PおよびA以外の方向を含めて、様々であってよい。
【0145】
また、連接構成要素702のくぼみ714内のモジュラー式突起部材722の配置は、モジュラー式突起が連接構成要素702に対して高速回転することを可能にする。したがって、このような実施形態では、モジュラー式突起部材722は、連接構成要素704に賦与される直進運動とは独立に、連接構成要素704に(くぼみ758との係合を介して)回転を賦与することができるという利点を追加する。直進運動と回転運動の間のこのような独立な関係は、直進運動が回転運動に依存するおよびその逆の人工関節と比較して、人工関節700で受ける運動量を追加する。
【0146】
本開示は、いくつかの好ましい実施形態に対して説明されている。本開示を読んだ後に当業者に明らかになる改良および修正は、本出願の精神および範囲内にあると考えられる。たとえば、上記で説明した連接式関節の連接構成要素は、本開示のある態様から逸脱することなく逆転されてもよい。したがって、いくつかの修正、変更および代替が、前述の開示で企図されており、いくつかの例では、本開示のいくつかの特徴が、他の特徴をそれに対応して使用することなく採用されることを理解されたい。
【0147】
「縦方向」および「横方向」などのすべての空間的な符号は、例示の目的のために過ぎず、本開示の範囲内で様々であってよいことも理解されたい。したがって、頭記の特許請求の範囲は、広範囲に、本開示の範囲に一致するように解釈されることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】脊柱の一部分の側面図である。
【図2】図1の隣接する1対の椎骨終板の側面図である。
【図3】図3aはロッドおよびねじ構成を備える図2の隣接する1対の椎骨終板の側面図である。
【0149】
図3bは図3aの1対の隣接する椎体の縦方向部分断面図である。
【図4】図4aは本開示の一実施形態による側方挿入のための連接式人工関節の等角図である。
【0150】
図4bは本開示の別の実施形態による側方挿入のための連接式人工関節の等角図である。
図4cは図4bの側方挿入のための連接式人工関節の正面図である。
【図5】図4aの人工関節の縦方向図である。
【図6】図4aの人工関節の側面図である。
【図7】1対の脊椎椎骨終板の間に配置された図4aの人工関節の横方向部分断面図である。
【図8】1対の椎骨終板の間に配置された代替となる連接式人工関節の横方向部分断面図である。
【図9】本開示の別の実施形態による代替となる連接式人工関節の等角図である。
【図10】1対の脊椎椎骨終板の間に配置された図9の人工関節の横方向部分断面図である。
【図11】1対の椎骨終板の間に配置された代替となる連接式人工関節の横方向部分断面図である。
【図12】本開示の別の実施形態による人工椎間板の等角図である。
【図13】本開示の別の実施形態による代替となる人工椎間板の等角図である。
【図14】本開示の別の実施形態による前方挿入のための代替となる連接式人工関節の等角図である。
【図15】図14の人工関節の縦方向図である。
【図16】図14の人工関節の側面図である。
【図17】1対の脊椎椎骨終板の間に配置された図14の人工関節の側面図である。
【図18】本開示の別の実施形態による前方挿入のための代替となる連接式人工関節の縦方向図である。
【図19】本開示のさらに別の実施形態による前方挿入のための代替となる連接式人工関節の縦方向図である。
【図20】本開示のさらに別の実施形態による前方挿入のための代替となる連接式人工関節の縦方向図である。
【図21】図18の人工関節を受けるためのスロットを有する1対の椎骨終板の縦方向図である。
【図22】図19の人工関節を受けるためのスロットを有する1対の椎骨終板の縦方向図である。
【図23】図20の人工関節を受けるためのスロットを有する1対の椎骨終板の縦方向図である。
【図24】1対の脊椎椎骨終板と整形インプラントの間に配置された図14の人工関節の横方向部分断面図である。
【図25】1対の脊椎椎骨終板とラグねじの間に配置された図14の横方向部分断面図である。
【図26】図25に示された構成の上面概略図である。
【図27】経椎間孔挿入のための経路を示す椎体の上面概略図である。
【図28】本開示の別の実施形態による経椎間孔挿入のための代替となる連接式人工関節の等角図である。
【図29】図28の人工関節の側面図である。
【図30】図28の人工関節の縦方向図である。
【図31】図31aは1対の椎骨終板の間に配置された図28の人工関節の横方向部分断面図である。
【0151】
図31bは1対の椎骨終板の間に配置された図28の人工関節の縦方向部分断面図である。
【図32】椎骨終板内に形成された経椎間孔スロットを示す上面概略図である。
【図33】椎骨終板の上方に挿入されて示されたミリング装置を示す上面概略図である。
【図34a】隣接する1対の椎骨終板の間に配置されて示された図33のミリング装置の側面図である。
【図34b】図34aのミリング装置のミリング工具の詳細図である。
【図34c】代替となるミリング工具の詳細図である。
【図35】図33のミリング装置の概略図である。
【図36】本開示の別の実施形態による経椎間孔挿入のための代替となる連接式人工関節の等角図である。
【図37】図36の人工関節の側面図である。
【図38】図36の人工関節の縦方向図である。
【図39】本開示の別の実施形態による前方傾斜挿入のための代替となる連接式人工関節の等角図である。
【図40】図39の人工関節の縦方向図である。
【図41】図39の人工関節の側面図である。
【図42】1対の椎骨終板の間に配置された図39の人工関節の横方向部分断面図である。
【図43】1対の椎骨終板の間に配置された図39の人工関節の縦方向部分断面図である。
【図44a】図39の人工関節を受けるための椎骨終板内に形成されたスロットを示す上面概略図である。
【図44b】図39の人工関節の挿入に関連する整列プロセスを示す概略図である。
【図45】本開示のさらに別の実施形態による代替となる人工関節の分解図である。
【図46】図45の人工関節の等角図である。
【図47】図46の人工関節の縦方向図である。
【図48】1対の隣接する椎骨終板の縦方向図である。
【図49】図49aは図45の人工関節の連接構成要素の縦方向図である。
【0152】
図49bは線49b−49bに沿った図49aの連接構成要素の断面図である。
【図50】図50aは図45の人工関節のモジュラー式突起部材の平面図である。
【0153】
図50bは線50b−50bに沿った図50aのモジュラー式突起部材の断面図である。
【図51】図49aの連接構成要素内に挿入された図50aのモジュラー式突起部材の平面図である。
【図52】図51に対して異なる位置にあるモジュラー式突起部材を示す、図49aの連接構成要素内に挿入された図50aのモジュラー式突起部材の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド部材であって、その中に延びる延長された開口を画定しており、2つの椎体の間の椎間空間内に嵌合するように構成されたガイド部材と、
前記ガイド部材の前記開口内に配置された、上位の椎体の終板を切削するための上位切削部分および下位の椎体の終板を切削するための下位切削部分を備えるビット部材と、
前記上位および下位切削部分に回転運動を賦与するために前記ビット部材と動作可能に接続され、前記延長された開口の少なくとも一部に沿って前記ビット部材を運動させるために前記ガイド部材と動作可能に接続されている回転自在な要素と、
を備える、隣接する椎体の近位の終板を同時に除去するシステム。
【請求項2】
非線形ガイド部材であって、その中に延びる非線形の開口を画定している非線形ガイド部材と、
前記ガイド部材の開口内に配置されたビット部材と、
を備え、前記ビット部材が、骨内に経路を切削するために前記ガイド部材の前記開口内で運動するように構成されている、骨内に経路を切削するための器具。
【請求項3】
請求項2記載の器具であって、
前記ビット部材が、前記ガイド部材の開口内での前記ビット部材の位置調整に対応するために前記ガイド部材に隣接して配置された少なくとも1つの支持アセンブリを備える器具。
【請求項4】
請求項2記載の器具であって、
前記ガイド部材の開口内での前記ビット部材の回転運動に対応するための少なくとも1つの回転自在な要素をさらに備える、器具。
【請求項5】
請求項4記載の器具であって、
前記回転自在な要素が、ギアアセンブリである、器具。
【請求項6】
請求項2記載の器具であって、
前記ビット部材が、第1の椎骨から隣接する第2の椎骨へ延びている、器具。
【請求項7】
請求項4記載の器具であって、
前記ビット部材に回転運動を賦与するために前記ビット部材の前記回転自在な要素と動作可能に接続された電源をさらに備える、器具。
【請求項8】
請求項7記載の器具であって、
前記電源に付随するシャフトおよび前記回転自在な要素を収容するために前記ガイド部材から延びる導管をさらに備える、器具。
【請求項9】
請求項8記載の器具であって、
前記導管が前記ビット部材と動作可能に接続され、前記ビット部材に直進運動を賦与するように構成されている請求項8に記載の器具。
【請求項10】
請求項2記載の器具であって、
前記非線形のガイド部材が、比較的滑らかな曲率を提供し、湾曲した前記ガイド部材の曲率が、所定の切削経路に対応している、器具。
【請求項11】
請求項10記載の器具であって、
前記所定の切削経路が、椎骨を切削するための経椎間孔アプローチに適応する、器具。
【請求項12】
請求項2記載の器具であって、
非線形のガイド部材が、比較的滑らかな曲率を提供し、前記ガイド部材の曲率が可変である、器具。
【請求項13】
請求項8記載の器具であって、
前記ガイド部材に接続されたハンドルをさらに備える、器具。
【請求項14】
請求項13記載の器具であって、
前記ハンドルが前記導管の周りに同心状に配置されている、器具。
【請求項15】
ガイド部材であって、その中に延びる湾曲した開口を画定している湾曲したガイド部材と、
前記ガイド部材の前記開口内に配置されたビット部材と、
前記ビット部材に回転運動を賦与するために前記ビット部材と動作可能に接続された回転自在な要素と、
前記ビット部材に直進運動を賦与するために前記ビット部材と動作可能に接続されたハンドルとを備え、
前記ビット部材が、前記ガイド部材内での回転運動および前期ガイド部材を通る直進運動を介して、骨内に湾曲した経路を切削するように構成されている、
骨内に経路を切削するための器具。
【請求項16】
請求項15記載の器具であって、
骨内に切削された前記湾曲した経路が、前記骨に対する経椎間孔アプローチに対応している、器具。
【請求項17】
請求項15記載の器具であって、
前記ガイド部材の前記湾曲した開口内での前記ビット部材の位置調整に適合する、少なくとも1つのベアリングアセンブリを備える、器具。
【請求項18】
請求項15記載の器具であって、
前記ガイド部材の曲率が、所定の切削経路に対応するように可変である、器具。
【請求項19】
ガイド部材であってその中に湾曲した開口を画定する湾曲したガイド部材を有する器具を提供するステップと、
前記ガイド部材の前記開口内にビット部材を配置するステップと、
前記ビット部材に回転運動を賦与するために前記器具を駆動するステップと、
前記ビット部材を骨と係合させるステップと、
骨内に湾曲した経路を切削するために前記ビット部材に直進方向の力を賦与するステップと、
を含む、骨内に湾曲した経路を切削するための方法。
【請求項20】
請求項19記載の器具であって、
前記湾曲した経路が可変である、方法。
【請求項21】
請求項18記載の器具であって、
前記器具を駆動するステップが、ギアアセンブリを介して前記ビット部材に回転運動を賦与する、方法。
【請求項22】
請求項18記載の器具であって、
前記器具を駆動するステップが、空気圧システムを介して前記ビット部材に回転運動を賦与する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図32】
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【図33】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2006−517457(P2006−517457A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503518(P2006−503518)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/004110
【国際公開番号】WO2004/071282
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(500273034)エスディージーアイ・ホールディングス・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】