説明

骨再生及び増大を促進するための複合埋植物ならびにそれらの製造及び使用方法。

複合マトリックス、埋植物及び足場の製造のために、還元糖により架橋されたコラーゲンに基づくマトリックスを用いる。複合マトリックスは、異なる密度の還元糖架橋コラーゲンマトリックスを含む少なくとも2つの層を有することができる。骨再生及び/又は増大用途において複合マトリックスを用いることができる。グリケート化及び/又は還元糖架橋されたコラーゲンを含む足場は、細胞増殖及び/又は成長及び/又は分化のための向上した支持を示す。複合マトリックスのより密度の高いコラーゲンマトリックスは、初期に細胞障壁として機能し、後に骨化支持層として機能する二重の効果を有することができる。種々のコラーゲンの型及びコラーゲン混合物を用いて、且つ還元糖又は還元糖の混合物を用いてコラーゲンを架橋することにより、複合マトリックス、埋植物及び足場を製造することができる。複合マトリックス、埋植物及び足場は、添加物及び/又は生細胞を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連米国出願へのクロスリファレンス
本出願は、2006年7月27日に申請された「骨再生及び増大を促進するための複合埋植物ならびにそれらの製造及び使用方法(COMPOSITE IMPLANTS FOR PROMOTING BONE REGENERATION AND AUGMENTATION AND METHODS FOR THEIR PREPARATION AND USE)」という題名の米国暫定特許出願第60/833,476号明細書からの優先権及びその利益を請求し、その特許出願は引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に骨の再生及び増大を促進するための埋植可能な装置、さらに特定的に還元糖架橋コラーゲンに基づく複合マトリックス、それらの使用方法及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
歯槽骨喪失は、初期の歯の喪失及び歯周病に二次的なものであり、重大な機能的及び美的問題に導く。最近の30年間、デンタルインプラントの使用を介し、無くなったか又は見込みのない歯の置き換えが可能である。しかしながら、これらは将来の人工器官的装置(prosthetic device)上への咬合負荷に耐えることができ、且つ最適の美的結果を与えるのに十分な、適した長さ及び直径のインプラントに順応する骨質の囲いを必要とする。かくして多くの場合、歯槽骨増大は、デンタルインプラントの長期間の機能的及び美的成功のために必須のことである。
【0004】
骨増大法のための最も普通の方法は、軟組織侵入を妨げ、且つ骨形成の可能性を有する選択的な細胞系が欠損に居つく(populate)のを可能にするような障壁下における骨移植片の使用を含む。これらは間葉細胞の移動及び分化を助長して骨芽細胞を形成し、且つ欠損内に骨を据える(lay down)のに用いられる。さらにそのような装置は、細胞移動を支える足場として働くこともできる。当該技術分野において既知である通り、移植片は天然源(ヒト及び他の動物)由来又は種々の合成材料由来であることができる。骨移植片は通常、凝塊としての患者の血液と混合された、あるいは無菌食塩水と混合された0.25〜2mmの範囲の粒度を有する粉末として用いられる。いくつかの場合、埋植物のゲルもしくはパテ様稠度は、材料の取り扱いを向上させる。
【0005】
そのような骨移植片の主な欠点は、移植片の長期間の再吸収及び置き換えであり、それは得られる増大した骨の機械的性質を危うくし得る。
【0006】
整形外科的骨欠損のような種々の骨欠損の処置においても、類似の問題に遭遇し得る。これらの装置(マトリックス)を増大及び骨折の処置などのために用いることができる。
【0007】
骨増大を支えるための材料は、理想的には以下の性質を有するべきである:
1.障壁を機械的に支える能力。
2.移植片材料は、最小のアレルギー又は免疫原性反応を以って生物適合性でなければならない。
3.移植片は、疾患の伝染の危険から安全でなければならない。
4.移植片材料は、好ましくは細胞が骨欠損の奥まった空間に移動し且つ居つくことを助長する足場として働くべきである。
5.移植片は、好ましくは6〜12ヶ月以内に完全な分解を経るべきである。
6.移植片は、好ましくは骨マトリックスタンパク質を模しているべきであり、且つ骨化を経ることができるべきである。
7.好ましくは、移植片は適した成長因子のための担体として働くべきである。
8.移植片は、未経験の臨床医によってさえ取り扱うのに容易で、その製造及び埋植に最小の熟練を必要として、時間を節約し、且つ可能な合併症を減少させるべきである。
【0008】
従って、上記の性質の可能な限り多くを合わせ持つ骨移植片又は埋植物があるのは、有利であろう。
【発明の概要】
【0009】
従って本出願の方法の態様に従い、複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置の製造方法を提供する。方法は、第1の懸濁化溶液中に原線維化コラーゲン粒子を含む懸濁液を圧縮して第1の密度を有する第1のマトリックスを形成し、第2の懸濁化溶液中に原線維化コラーゲン粒子を含む懸濁液を第1のマトリックスに適用して、第1のマトリックスに付着した第2のマトリックスを形成し、第2のマトリックスは第1の密度より低い第2の密度を有し、第1のマトリックス及び第2のマトリックスを乾燥して、乾燥多重密度複合マトリックスを形成し、そして多重密度複合マトリックスを還元糖と反応させて、複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置を形成する段階を含む。
【0010】
さらに、本出願の方法の態様に従い、反応の段階は、エタノールを含むインキュベーション溶液中で複合多重密度埋植可能装置を還元糖と一緒にインキュベーションすることを含む。
【0011】
さらに、本出願の方法の態様に従い、インキュベーション溶液は70%エタノールを含む。
【0012】
さらに、本出願の方法の態様に従い、還元糖はD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる。
【0013】
さらに、本出願の方法の態様に従い、第1の懸濁化溶液、該第2の懸濁化溶液、該第1のマトリックス及び該第2のマトリックスの少なくとも1つに、少なくとも1種の追加の物質を加える。
【0014】
さらに、本出願の方法の態様に従い、方法は複合埋植可能装置に生細胞を加える段階も含む。細胞は培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞(bone building cells)、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる。
【0015】
本出願の埋植可能装置の態様に従い、上記の方法のいずれかにより製造される複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置も提供する。
【0016】
本出願の埋植物の態様に従い、架橋コラーゲンに基づく複合多重密度埋植物も提供する。埋植物は、第1の密度を有する第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックス及び第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスに付着した少なくとも1つの第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスを含む。第2のコラーゲンに基づくマトリックスは、第1の密度より低い第2の密度を有する。
【0017】
さらに、本出願の埋植物の態様に従い、エタノールを含むインキュベーション溶液中で還元糖を用いてコラーゲンを架橋することにより、第1及び第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスを得る。
【0018】
さらに、本出願の埋植物の態様に従い、インキュベーション溶液は70%エタノールを含む。
【0019】
さらに、本出願の埋植物の態様に従い、還元糖はD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる。
【0020】
さらに、本出願の埋植物の態様に従い、複合埋植物は少なくとも1種の追加の物質を含む。
【0021】
さらに、本出願の埋植物の態様に従い、埋植物は、培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる生細胞を含む。
【0022】
本出願の方法の態様に従い、骨欠損の処置のための複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置の使用方法も提供する。方法は、第1の密度を有する第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックス及び第1のコラーゲンに基づくマトリックスに付着した少なくとも1つの第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスを含むグリケート化架橋コラーゲンに基づく複合多重密度埋植可能装置を骨欠損に適用する段階を含む。第2のコラーゲンに基づくマトリックスは、第1の密度より低い第2の密度を有する。少なくとも第2のコラーゲンに基づくマトリックスは、骨欠損内における骨形成を促進するために、骨欠損内に配置される。第1のコラーゲンに基づくマトリックスは、骨欠損内における骨組織以外の組織の形成を少なくとも部分的に妨げる。
【0023】
さらに、本出願の方法の態様に従い、エタノールを含むインキュベーション溶液中でコラーゲンに基づく複合多重密度埋植可能装置を還元糖と一緒にインキュベーションすることにより、埋植可能装置を得る。
【0024】
さらに、本出願の方法の態様に従い、インキュベーション溶液は70%エタノールを含む。
【0025】
さらに、本出願の方法の態様に従い、還元糖はD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる。
【0026】
さらに、本出願の方法の態様に従い、複合埋植可能装置は少なくとも1種の追加の物質を含む。
【0027】
本出願の方法の態様に従い、細胞増殖及び細胞分化のための改良された足場としての還元糖架橋コラーゲンマトリックスの使用方法も提供する。方法は、還元糖を用いて架橋されたコラーゲンマトリックスを含んでなる足場を準備し、そして足場を生細胞と一緒にインキュベーションして、細胞の成長及び/又は増殖及び/又は分化の向上を誘導する段階を含む。
【0028】
さらに、本出願の方法の態様に従い、細胞は培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類
細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる。
【0029】
さらに、本出願の方法の態様に従い、エタノールを含むインキュベーション溶液中で、コラーゲンに基づくマトリックスを還元糖と一緒にインキュベーションすることにより、足場を得る。
【0030】
さらに、本出願の方法の態様に従い、インキュベーション溶液は70%エタノールを含む。
【0031】
さらに、本出願の方法の態様に従い、還元糖はD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる。
【0032】
さらに、本出願の方法の態様に従い、足場は少なくとも1種の追加の物質を含む。
【0033】
最後に、本出願の方法、足場、複合マトリックス及び複合埋植物の追加の態様に従い、少なくとも1種の追加の物質は、抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキトサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明を理解し、且ついかにして実際にそれを行ない得るかを理解するために、ここでいくつかの好ましい態様を制限ではない例としてのみ、添付の図面に言及して記述する:
【図1】図1は、還元糖架橋コラーゲンに基づくスポンジ及び還元糖架橋コラーゲン障壁膜を含む足場を含んでなる複合マトリックスの埋植から12週間後に、ラット頭蓋冠の実験的な骨欠損の埋植物から切り出された組織のいくつかの領域を示す複合顕微鏡写真であり;
【図2】図2は、本発明の方法の態様に従う、異なる密度を有する部分を持つ複合埋植可能架橋コラーゲンマトリックスを示す略断面図であり;
【図3】図3は、本発明の方法の態様に従う、骨欠損の処置のためにブタコラーゲンから製造された異なる密度を有する部分を持つ複合埋植可能架橋コラーゲンマトリックスを示す写真であり;
【図4】図4は、本発明の方法の態様に従う、骨欠損の処置のための異なる密度を有する部分を持つ埋植可能複合架橋コラーゲンマトリックスで処置された骨欠損の略断面図を示す略グラフであり;そして
【図5】図5は、リボース架橋ブタコラーゲンに基づくコラーゲンスポンジの線維芽細胞集団を、ホルムアルデヒドで安定化されたコラーゲンに基づく別の商業的に入手可能なコラーゲンスポンジの線維芽細胞集団と定量的に比較する試験管内実験の結果を示す略グラフである。
【0035】
発明の詳細な記述
本出願の目的のために、「還元糖」という用語は、いずれの天然及び/又は人工の還元糖ならびにそのような還元糖のいずれの誘導体としても定義され、グリセロース(グリセルアルデヒド)、トレオース、エリトロース、リキソース、キシロース、アラビノース、アロース、アルトース、グルコース、マノース(manose)、グロース、イドース、ガラクトース、フルクトース、タロース、ジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、セプトース、オクトース、ナノース、デコース、還元二糖、マルトース、ラクトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース及び還元三糖及び還元オリゴ糖ならびにそのような還元糖のいずれかの誘導体を含むがこれらに限られないことを注意する。
【0036】
コラーゲンという用語は、本出願の目的のために、天然のコラーゲン及び/又は精製コラーゲン及び/又は化学的に修飾されたコラーゲン及び/又はタンパク質分解処理されたコラーゲン及び/又は遺伝子操作されたコラーゲン及び/又は人工的に作られたコラーゲンのいずれの形態としても定義され、自然コラーゲン(native collagen)、原線維コラーゲン、原線維アテロペプチドコラーゲン、凍結乾燥(lyophylized)コラーゲン、凍結乾燥(freeze dried)コラーゲン、動物源から得られるコラーゲン、遺伝子的に改変された植物及び/又は微生物及び/又は哺乳類及び/又は多細胞生物により生産されるコラーゲン、ブタコラーゲン、ウシコラーゲン、ヒトコラーゲン、組換えコラーゲン、ペプシン処理されたコラーゲン、再構築されたコラーゲン、再構築された精製コラーゲン、再構築されたアテロペプチド精製コラーゲン及びそれらのいずれかの組み合わせを含むが、これらに限られない。
【0037】
実験1
この実験は、還元糖を用いて架橋されたコラーゲンマトリックス内における生体内新骨形成の組織学的証拠を記述する。ラット頭蓋冠モデルを用い、コラーゲンに基づく膜障壁と一緒に用いることができる骨化促進骨欠損充填材料としての、還元糖で架橋されたコラーゲンに基づくスポンジ−様マトリックス材料の性能を研究した。
【0038】
引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となるVerna et al.による論文(Verna C,Bosch C,Dalstra M,et al著,Healing patterns in calvarial bone defects following guided bone regeneration in rats.J.Clin.Periodontol.29:2002年,865−870)に記載されている通りに、若いラットの頭蓋中に限界的な寸法の欠損(直径5mm)を外科手術により作った。
【0039】
適合するように整えられた(trimmed to fit)リボース架橋ブタコラーゲンスポンジ(下記に記載する通りに製造された−例えば下記の実施例4を参照されたい)を骨欠損に充填し、ColBar LifeScience Ltd.,Herzliya,Israelから商業的に入手可能な整えられたOssixTM−PLUSグリケート化コラーゲン障壁膜で覆った。埋植から4、8及び12週間後に、ラットを犠牲死さ
せ、埋植された部位を切り出した。切り出された埋植物のパラフィンブロックを作り、連続切片を切断し、Mallory Trichrome染色を用いて染色した。
【0040】
埋植から12週間後に、連続切片の顕微鏡視覚試験下で、スポンジ内に新しく形成された骨の明白な領域が注目された。新しく形成された骨は、欠損の一方の側から他方の側への架橋を作り、欠損の完全な消散を可能にする生物学的足場として作用するスポンジの可能性を示唆した。さらに、骨の本来の膜(original envelope)の上のスポンジ内に形成された新しい骨は、スポンジが骨を増大させることができることを示唆している。組織学的結果を図1に示す。
【0041】
OssixTM−PLUS膜により与えられる障壁効果(急速に成長する線維芽細胞がスポンジに居つく(populating)のを妨げる)は、観察される骨増大を支え、それは、その存在がないと(スポンジのみ、データは示されない)新しい骨の形成が観察されなかったからである。
【0042】
ここで、上記の(Mallory Trichrome染色で染色された)コラーゲンスポンジと障壁膜の組み合わせで処置されてから12週間後におけるラット頭蓋冠骨欠損の実験的モデルから切り出された組織の断面を示す複合顕微鏡写真である図1に言及する。
【0043】
図1のAと明示されている顕微鏡写真において、欠損を架橋する新しく形成された骨をスポンジ内で観察することができる。OssixTM−PLUS障壁膜の残留物はスポンジの上にある(原倍率(original magnification)x4)。
【0044】
図1のBと明示されている顕微鏡写真は、欠損領域のもっと高い倍率を示す(原倍率x10)。骨の本来の膜の上のスポンジ内に新しい骨が形成されている領域に注目されたい。
【0045】
図1のCと明示されている顕微鏡写真は、図1のAと明示されている部分の顕微鏡写真と異なる拡大された領域(原倍率x40)を示す。スポンジの腔内に新しい骨が形成され、スポンジの壁を観察することができる(矢印)。
【0046】
上記の実験の結果は、コラーゲンに基づく膜障壁と一緒に用いられる場合の、コラーゲンスポンジ材料の内部での実質的な骨増大を示す。12週間モデルの動物群において、スポンジ−様(より低い密度)領域内に実質的且つ明白に観察され得る骨増大があったことにここで気付くのは、興味深い。コラーゲン障壁膜は、スポンジを覆うのに用いられた、より密度の高いOssixTM−PLUS障壁膜の骨化における第1段階に該当し得る無機質化(mineralization)の兆候を示した。
【0047】
本出願の糖架橋コラーゲンマトリックスの新規な優れた骨再生及び骨増大性を支持する、イヌにおけるさらなる生体内実験が、引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となるJournal of Periodontology 78,2007年,112−121中で公開されたYuval Zubery,Arie Goldlust,Antoine Alves,and Eran Nirによる“OSSIFICATION OF A NOVEL CROSS−LINKED PORCINE COLLAGEN BARRIER FOR GUIDED BONE REGENERATION IN DOGS”という題名の論文に開示されている。これらの実験の結果は、論文に詳細に記載されている通り、他の種々の架橋剤で架橋された他の商業的に入手可能なコラーゲン膜と比較して、骨再生及び骨増大の促進におけるブタリボース架橋コラーゲンマトリックスの新規且つ予測され得なかった優れた性質をさらに支持している。
【0048】
より密度の高い障壁膜の二重の時間依存性の効果も、Zubery et al.による上記の論文に明白に示されていることも注目され、その論文は、より密度の高い障壁膜が初期により密度の低いコラーゲンスポンジ層が占める骨欠損領域中への線維芽細胞の浸透を妨げる有効な障壁として機能しながら、欠損治癒プロセスのもっと後の段階に、骨形成細胞がより密度の高いコラーゲン障壁膜への侵入に成功して障壁膜の実質的に完全な骨化を生じ、且つ骨再生及び増大プロセスの増進に関与することを明白に示している。
【0049】
本発明の他の態様に従い、骨再生及び増大のための足場として働く比較的低密度のコラーゲンに基づく材料を有する部分ならびに最初に骨欠損中への他の非−骨形成細胞及び組織の侵入を妨げるための障壁として働くためのより密度の高いコラーゲンを有する他の部分を含む、複合骨移植片埋植物(composite bone graft implant)を提供する。複合骨移植片の予測し得なかった利点は、複合埋植物の障壁(より密度の高い部分)が初期に障壁材料として機能しながら、それが増大プロセスのもっと後の段階に、それ自身が骨化されることによって欠損のさらなる骨化を支えもすることである。
【0050】
ここで、本発明の方法の態様に従う異なる密度を有する部分を持つ複合埋植可能架橋コラーゲンマトリックスを示す略断面図である図2に言及する。複合マトリックス1は、比較的低い密度(スポンジ−様構造)を有する還元糖架橋コラーゲンを含む第1の部分2を含み、それは骨形成細胞又は組織に対して誘導性(conductive)であり、そこにおける骨組織形成のための足場として働く。複合マトリックス1は、比較的高い密度を有する還元糖架橋コラーゲンを含む第2の部分4も含み、それはマトリックス1の第1の部分2中への望ましくない細胞又は組織の浸透を妨げるか又は減少させ、マトリックスの第1の部分2における結合組織の形成を減少させるか又は妨げるための障壁として(少なくとも初期に)働くことができる。複合マトリックスの利点は、部分4が上記で説明した障壁として働く他に、骨化されることによって骨形成を支えることにより(少なくとも増大の比較的進行した段階に)、骨増大を強化することもできることである。
【実施例1】
【0051】
引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに、ブタ原線維コラーゲンを調製した。4500rpmにおける遠心により、原線維化コラーゲンを濃縮した。すべての遠心は(他に特定的にことわらなければ)、SORVALL(R) Instruments DUPONT,USAから商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを有するモデルRC5C遠心機を用いて行なわれた。
【0052】
原線維化コラーゲンの濃度は、遠心後に75mg/mL(Lowry標準法により決定される)であった。
【0053】
50ミリリットル(50mL)の原線維化コラーゲンを、140mmx120mmのステンレススチールの皿中に注いだ。原線維化コラーゲンを等しく分散させ、メッシュ(Propyltex 05−1 25/30,SEFAR AG,Heiden,Switzerlandから商業的に入手可能)で覆った。原線維化コラーゲンを圧縮するために、有孔ポリスチレン板をメッシュの上に置き、板の上に5キログラムの重りを置いた。圧縮を4℃で18時間続けた。
【0054】
圧縮後、重りを除去し、放出された緩衝液を排水し、メッシュを除去して圧縮された原線維化コラーゲンの第1の部分を与えた。10ミリモルリン酸塩緩衝液(PBS pH7.36)中の原線維化コラーゲン(37.5mg/mL)の懸濁液の100mLを、圧縮
された原線維化コラーゲン層の上に注ぎ、均一に分配した。皿を凍結乾燥機(Heto Lab Equipment DK−3450 Allerod,Denmarkから商業的に入手可能なFreeze dryer model FD 8)内に移し、8時間予備−凍結し、24時間凍結乾燥した。コンデンサー温度は−80℃であった。予備−凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥の間の棚温度は:+30℃であり、凍結乾燥の間の真空度は、約0.01バールであった。
【0055】
120mLの無水エタノール、80mLのPBS緩衝液(10mM,pH7.36)及び2グラムのDL−グリセルアルデヒドを含有する200mLの溶液を、乾燥された原線維化コラーゲンに加え、37℃で24時間インキュベーションして、複合コラーゲン構造の架橋を行なった。後に、合わせたコラーゲン生成物を脱イオン水で徹底的に洗浄し、上記と同じ条件を用いて凍結乾燥した。
【0056】
ここで、実施例1において上記に記載した本発明の方法の態様に従い、骨欠損の処置のためにブタコラーゲンから製造された異なる密度を有する部分を持つ複合埋植可能架橋コラーゲンマトリックスを示す写真である図3に言及する。6と明示される領域は、複合マトリックスのより低い密度の部分を示し、8と明示される領域は、障壁層として機能するより密度の高い部分を示す。
【実施例2】
【0057】
引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに、ブタ原線維コラーゲンを調製した。4500rpmにおける遠心により、原線維化コラーゲンを濃縮した。すべての遠心は(他に特定的にことわらなければ)、SORVALL(R) Instruments DUPONT,USAから商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを有するモデルRC5C遠心機を用いて行なわれた。
【0058】
450mLの精製コラーゲン(濃度:2.73mg/mL)を50mLの原線維化緩衝液と混合し(米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通り)、皿中に注いだ。混合物を37℃で18時間インキュベーションし、ゲルを形成した。原線維化コラーゲンをメッシュ(Propyltex 05−1 25/30,SEFAR AG,Heiden,Switzerlandから商業的に入手可能)で覆った。ゲルを圧縮して膜を形成するために、有孔ステンレススチール板をメッシュの上に置き、ゲル上に1.9kgの重りを37℃で18時間置いた。
【0059】
圧縮後、重りを除去し、放出された緩衝液を排水し、メッシュを除去して圧縮された原線維化コラーゲンの第1の部分を与えた。圧縮された膜を140mmx120mmのステンレススチールの皿中に入れ、米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに調製された10ミリモルリン酸塩緩衝液(PBS pH7.36)中のブタ原線維化コラーゲン(37.5mg/mL)の懸濁液の100mLを、圧縮された原線維化コラーゲン層の上に注ぎ、均一に分配した。皿を凍結乾燥機(Heto Lab Equipment DK−3450 Allerod,Denmarkから商業的に入手可能なFreeze dryer model FD 8)内に移し、8時間予備−凍結し、24時間凍結乾燥した。コンデンサー温度は−80℃であった。予備−凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥の間の棚温度は+30℃であり、凍結乾燥の間の真空度は、約0.01バールであった。
【0060】
120mLの無水エタノール(Merck,Germanyから商業的に入手可能)、80mLのPBS緩衝液(10mM,pH7.36)及び2グラムのDL−グリセルアルデヒド(Sigma,USAからカタログ番号G5001として商業的に入手可能)を含
有する200mLの溶液を、乾燥された(凍結乾燥された)原線維化コラーゲンに加え、37℃で24時間インキュベーションして、複合コラーゲン構造の架橋を行なった。合わせたコラーゲン生成物を脱イオン水で徹底的に洗浄し、上記と同じ条件を用いて凍結乾燥した。
【実施例3】
【0061】
引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに、ブタ原線維コラーゲンを調製した。4500rpmにおける遠心により、原線維化コラーゲンを濃縮した。すべての遠心は(他に特定的にことわらなければ)、SORVALL(R) Instruments DUPONT,USAから商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを有するモデルRC5C遠心機を用いて行なわれた。
【0062】
450mLの精製コラーゲン(濃度:2.73mg/mL)を50mLの原線維化緩衝液と混合し(米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通り)、皿中に注いだ。混合物を37℃で18時間インキュベーションし、ゲルを形成した。原線維化コラーゲンをメッシュ(Propyltex 05−1 25/30,SEFAR AG,Heiden,Switzerlandから商業的に入手可能)で覆った。ゲルを圧縮して膜を形成するために、有孔ステンレススチール板をメッシュの上に置き、ゲル上に1.9kgの重りを37℃で18時間置いた。
【0063】
圧縮後、重りを除去し、放出された緩衝液を排水し、メッシュを除去して圧縮された原線維化コラーゲンの第1の部分を与えた。圧縮された膜を140mmx120mmのステンレススチールの皿中に入れ、米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに調製された10ミリモルリン酸塩緩衝液(PBS pH7.36)中のブタ原線維化コラーゲン(37.5mg/mL)の懸濁液の100mLを、圧縮された原線維化コラーゲン層の上に注ぎ、均一に分配した。皿を凍結乾燥機(Heto Lab Equipment DK−3450 Allerod,Denmarkから商業的に入手可能なFreeze dryer model FD 8)内に移し、8時間予備−凍結し、24時間凍結乾燥した。コンデンサー温度は−80℃であった。予備−凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥の間の棚温度は+30℃であり、凍結乾燥の間の真空度は、約0.01バールであった。
【0064】
120mLの無水エタノール(Merck,Germanyから商業的に入手可能)、80mLのPBS緩衝液(10mM,pH7.36)及び3グラムのD(−)リボース(Sigma,USAからカタログ番号R7500として商業的に入手可能)を含有する200mLの溶液を、乾燥された(凍結乾燥された)原線維化コラーゲンに加え、37℃で14日間インキュベーションして、複合コラーゲン構造のリボース架橋を行なった。合わせたリボース架橋されたコラーゲン生成物を脱イオン水で徹底的に洗浄し、上記と同じ条件を用いて凍結乾燥した。
【実施例4】
【0065】
引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに、ブタ原線維コラーゲンを調製した。4500rpmにおける遠心により、原線維化コラーゲンを濃縮した。すべての遠心は(他に特定的にことわらなければ)、SORVALL(R) Instruments DUPONT,USAから商業的に入手可能なSORVALL SS−34ローターを有するモデルRC5C遠心機を用いて行なわれた。
【0066】
原線維化コラーゲンの濃度は、遠心の後に15mg/mL(Lowry標準法により測
定)であった。
【0067】
米国特許第6,682,760号明細書に詳細に記載されている通りに調製された10ミリモルリン酸塩緩衝液(PBS pH7.36)中のブタ原線維化コラーゲン(15.0mg/mL)の懸濁液の100mLを、ステンレススチールの皿中に注いだ。皿を凍結乾燥機(Heto Lab Equipment DK−3450 Allerod,Denmarkから商業的に入手可能なFreeze dryer model FD 8)内に移し、8時間予備−凍結し、24時間凍結乾燥した。コンデンサー温度は−80℃であった。予備−凍結の間の棚温度は−40℃であった。凍結乾燥の間の棚温度は+30℃であり、凍結乾燥の間の真空度は、約0.01バールであった。
【0068】
120mLの無水エタノール(Merck,Germanyから商業的に入手可能)、80mLのPBS緩衝液(10mM,pH7.36)及び3グラムのD(−)リボース(Sigma,USAからカタログ番号R7500として商業的に入手可能)を含有する200mLの溶液を、乾燥された(凍結乾燥された)原線維化コラーゲンに加え、37℃で4、7、11及び14日間インキュベーションして、コラーゲン構造のリボース架橋を行なった。リボース架橋されたコラーゲン生成物を脱イオン水で徹底的に洗浄し、上記と同じ条件を用いて凍結乾燥した。
【0069】
上記で実施例1〜3に記載され、図2及び3に例示されるような複合マトリックスを使用する利点は、上記で記載したラットモデル実験において行なわれたような2つの異なる型の装置を製造し、成形する必要がないことである。そうではなくて、複合マトリックスを使用する医師、外科医又は歯科医は簡単に、1片の材料1を骨欠損の寸法及び形に近い寸法及び形に切断することができ、それを欠損に対して照合した後に必要な時には切断片をさらに整えることができる。
【0070】
必要な形及び寸法が達成された後、使用者又は医師は、成形されたマトリックスを、低密度部分6で欠損を充填し、より密度が高い障壁部分8を、処置される骨欠損の外側の組織又は環境に面するように配置して(下記の図4を参照されたい)、骨中の欠損内に挿入する。
【0071】
ここで、本発明の方法の態様に従う、骨欠損を処置するための異なる密度を有する部分を持つ埋植可能複合架橋コラーゲンマトリックス16で処置された骨欠損の断面を示す断面図である図4に言及する。骨10はその中に骨欠損12を有する。成形された複合マトリックス14は、より低い密度を有する部分18が欠損12の壁に面し、より密度の高い障壁部分16が骨10の表面に隣接して、好ましくは欠損12の開口部を完全に覆って、欠損12及び/又は複合マトリックス14のより低い密度の部分18の空間に居つく望ましくない細胞(例えば線維芽細胞)の浸透を妨げるべく位置するように、欠損12中に挿入される。かくして部分18は、欠損12中及び/又は部分18中への線維芽細胞及び/又は他の望ましくない細胞又は組織の浸透を妨げるかもしくは減少させる障壁として機能する複合マトリックス14の部分16に保護されながら、骨組織成長のための適した骨化基質(足場)として機能することができる。
【0072】
部分18内で骨構成が進行し、且つ欠損12が骨組織で満たされると共に、部分16も同様に徐々に骨化し、骨増大を増進し、且つ増大した骨組織の一体性を強化することができる。
【0073】
還元糖架橋コラーゲンスポンジを用いる試験管内細胞成長実験
スポンジ内で組織を成長させる可能性を、種々の細胞型の細胞培養を介して、試験管内でも評価した。一次培養されたヒト包皮線維芽細胞ならびに多能性マウス骨髄細胞系(D
1)は、還元糖架橋スポンジに浸透し、スポンジ腔内で非常に良く増殖した。
【0074】
実験2
実施例4において上記に開示した通りに、リボース架橋ブタコラーゲンスポンジを製造した。グリケート化(及び架橋)インキュベーションを37℃で7日間行い、コラーゲン構造のリボース架橋を行なった。リボース架橋されたコラーゲン生成物を脱イオン水で徹底的に洗浄し、上記と同じ条件を用いて凍結乾燥した。得られるリボース架橋されたコラーゲンスポンジがヒト包皮線維芽細胞の増殖及び/又は分化を支えるための足場として働く能力を、Sulzer Medica(Sulzer Dental Inc.USA)から商業的に入手可能なウシコラーゲンスポンジ製品(CollaCot(R))と比較した。Sulzer Dental Inc.は最近Zimmer Dental Inc.,CA,U.S.Aにより買収されたので、同じスポンジ製品が同じ名前CollaCot(R)の下でZimmer Dental Inc.,CA,U.S.Aから商業的に入手可能であり続けていることに注意する。
【0075】
Sulzer CollaCot(R)スポンジは、ウシ深部屈筋(deep flexor)(アキレス(Achilles))腱から抽出されたウシコラーゲン及びGAGを含み、ホルムアルデヒドで安定化された。
【0076】
得られる架橋コラーゲンスポンジの小片を一次培養されたヒト包皮線維芽細胞と一緒にインキュベーションした。継代16の一次線維芽細胞(ヒト包皮から)を用いた。スポンジに播種するために、回転するバスケットが備えられた2個の100mLのセルスピナー(cell spinners)を用いた。スポンジをバスケット中に入れ(スピナー当たりに6個のスポンジ)、繊維芽細胞を播種した。第1のスピナーにおいて、6個のColbar(リボース架橋ブタコラーゲン)スポンジに71x10個の線維芽細胞を播種した。第2のスピナーにおいて、6個の市販のSulzer CollaCot(R)スポンジ(ホルムアルデヒド安定化ウシコラーゲン)スポンジに79x10個の同じ線維芽細胞を播種した。
【0077】
実験全体を通じて、20mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、10% FBS(胎児ウシ血清)及び20mg/mLのゲンタマイシン(Gentamycin)が補足されたDMEM(Dulbeco Modified Eagle’s Medium)生育倍地を用いた。播種の後、スポンジを組織培養インキュベーター中で37℃においてインキュベーションし、約2日毎に倍地を変えた。播種から20日後に細胞が居ついた(populated)スポンジを収穫し、組織学的及び定量的分析を行なった。
【0078】
次いで低温−切断(crio−sectioning)のために、標準的な方法を用いてスポンジを取り出し、固定し、パラフィン中に埋め込んだ。5μmの厚さのスポンジのパラフィン切片を、Hematoxylin & Eosine染色を用いて染色した。染色された切片をX10−X40の倍率で顕微鏡により観察し、活性な一次ヒト線維芽細胞がスポンジの腔内で新しいコラーゲンのゆるい網目を作っているのが観察された。これらの新しく形成されたコラーゲンの網目は、他の線維芽細胞ならびにスポンジコラーゲン壁と接触していた。
【0079】
顕微鏡写真の視覚検査は、一次培養されたヒト線維芽細胞がリボース−架橋されたブタコラーゲンスポンジ中で均一に増殖することを明らかにした。対照的に、同じ線維芽細胞がSulzer Medicaのウシコラーゲンスポンジの主に端で成長し(もっとずっと低い程度に)、そしてスポンジの中央の切片では成長せず、おそらくSulzer Medicaのスポンジの細胞浸透及びその中への移動のより大きな困難性を示している。
【0080】
ヒト包皮線維芽細胞によるゆるいコラーゲン形成の顕微鏡による観察及びスポンジの端上に上皮様層を形成するそれらの能力は、COLBARリボース架橋コラーゲンスポンジ(下記ではCOLBARスポンジとも呼ばれる)が組織の増殖及び分化のための好ましい足場であり得ることを意味する。グリケート化及び架橋されたコラーゲンスポンジ内におけるヒト線維芽細胞の成長を、商業的に入手可能なウシコラーゲンスポンジ(CollaCote(R))と比較もし、予想に反してCOLBARスポンジにおける方がより優れていることが見出された。多能性幹細胞もスポンジ内で増殖し(flourished)、生物学的足場としてCOLBAR還元糖架橋コラーゲンスポンジを用いながら分化を誘導する可能性を示唆している。
【0081】
2つの異なるスポンジ内における線維芽細胞分布の程度の定量的な評価も行なった。ブタリボース架橋コラーゲンスポンジ及びSulzerウシホルムアルデヒド安定化コラーゲンスポンジのパラフィン埋め込みブロックから連続パラフィン切片を採取した。各スポンジに関して、それぞれ6ミクロンの厚さを有する10個のミクロトーム連続切片を切断し、第3番目毎の切片のみを分析した(分析される切片の間に12ミクロンの間隔があるように)。各スポンジの切片番号1、4、7及び10(すなわち第1、第4、第7及び第10切片)を、自動細胞カウンティング法により分析した。これらの4個の切片は、各スポンジに関する60マイクロメーターの奥行き(deep)の直方体(rectangular)部分に相当する。
【0082】
自動細胞カウンティングは、Maerzhauser Scan 100x80 Motorized顕微鏡ステージを有するNikon Eclipse 50i顕微鏡を用いて行なわれた。顕微鏡をNikon Digital Sight DS−5M カメラに連結させた。レンズ倍率は10Xであった。Nikon Instruments Inc.,NY,U.S.Aから商業的に入手可能なNIS Elements AR 2.30 SP4 Build 384ソフトウェアを用いることにより、スポンジの全長に及ぶ複数の画像から成る綴じ合わせ画像(stitched image)を形成した。
【0083】
各(1x1mm)領域において、ソフトウェアにより自動的に細胞をカウントした。ブタリボース架橋コラーゲンスポンジに関する綴じ合わせ画像寸法は15190x1976画素であり、10.5x1.1ミリメートルの切片寸法に相当する。Sulzerスポンジに関する綴じ合わせ画像寸法は9091x1921画素であり、6.1x1.1ミリメートルの切片寸法に相当する(SulzerスポンジはCOLBARブタリボース架橋コラーゲンスポンジより短かったことに注意されたい)。両スポンジに関し、カウント当たりの面積は1x1ミリメートルであった。自動細胞カウンティングの結果を下記の図5に示す。
【0084】
ここで、リボース架橋ブタコラーゲンに基づくコラーゲンスポンジの線維芽細胞集団を、ホルムアルデヒドで安定化されたコラーゲンに基づく別の商業的に入手可能なコラーゲンスポンジの線維芽細胞集団と定量的に比較する試験管内実験の結果を示す略グラフである図5に言及する。
【0085】
図5のグラフにおいて、縦軸はカウントされた細胞の数を示し、横軸はミリメーターにおけるスポンジの長さを示す。中空の記号(中空の三角形、中空の菱形、中空の丸及び中空の四角形)は、それぞれCOLBAR還元糖架橋スポンジのスポンジの幅に沿って(スポンジの長さ及び高さに垂直な方向で)1ミクロン、20ミクロン、40ミクロン及び60ミクロンにおいて採取された切片1、4、7及び10の4つの異なる結果を示す。中空の記号と一緒になった破線は、4つの細胞カウントの平均値を通過する曲線を示す(スポ
ンジの長さのそれぞれの特定の値において採取された第1、第4、第7及び第10切片のそれぞれ1X1ミリメーターの領域から得た)。誤差バー(error bars)は、特定のスポンジの長さにおける4つの測定値の群の各平均値に関する平均の標準偏差を示す。
【0086】
塗りつぶされた記号(塗りつぶされた三角形、塗りつぶされた菱形、塗りつぶされた丸および塗りつぶされた四角形)は、それぞれSulzerのホルムアルデヒド安定化CollaCote(R)ウシコラーゲンスポンジのスポンジの幅に沿って(スポンジの長さ及び高さに垂直な方向で)1ミクロン、20ミクロン、40ミクロン及び60ミクロンにおいて採取された切片1、4、7及び10の4つの異なる結果を示す。塗りつぶされた記号と一緒になった実線は、4つの細胞カウントの平均値を通過する曲線を示す(Sulzerスポンジの長さのそれぞれの特定の値において採取された第1、第4、第7及び第10切片のそれぞれ1X1ミリメーターの領域から得た)。誤差バーは、特定のスポンジの長さにおける4つの測定値の群の各平均値に関する平均の標準偏差を示す。
【0087】
図5のグラフから、平均された細胞カウントがSulzerスポンジにおけるよりCOLBARスポンジにおいて、一貫して有意に高いことがわかる。両スポンジにおいて、細胞カウントはスポンジの中央部におけるよりスポンジの末端に向かってより高く、それはスポンジの端からスポンジの内部への線維芽細胞の移動の速度と関連する効果の故にあり得る(しかし必然的にではない)。
【0088】
さらに、COLBARスポンジに関し、スポンジの長さに沿った一方の端近くの細胞カウント(横軸上の0.5ミリメートルの値により示される)が、同じスポンジの反対の端における細胞カウント(横軸上の9.5ミリメートルの値により示される)より有意に高いことが注目される。これはおそらく、スポンジの9.5ミリメートル末端におけるスポンジのより高い密度が原因であり得、それはスポンジのこの末端がスポンジの凍結乾燥の間に凍結乾燥皿の底と接触しており、COLBARスポンジのこの末端においてより密度の高い(そしておそらく浸透性が低い)スポンジ構造を生ずるからである。
【0089】
しかしながら、COLBARスポンジの細胞カウントは、対応する長さにおいて常にSulzerスポンジの細胞カウントより高いことが注目される。細胞カウントにおける増加は、0.5ミリメートルのスポンジの長さでのSulzerスポンジに対するCOLBARスポンジの細胞カウントにおける約358%の細胞カウント増加から、Sulzerスポンジの中心(2.5ミリメートルのスポンジの長さにおける)に対するCOLBARスポンジの中心での(4.5ミリメートルのスポンジの長さでの)細胞カウントにおける約565%の細胞カウント増加の範囲である。
【0090】
COLBARスポンジのピーク値(9.5ミリメートルの長さにおける)をSulzerスポンジのピーク値(5.5ミリメートルの長さにおける)と比較すると、Sulzerスポンジに対するCOLBARスポンジの細胞カウント増加は約389%である。
【0091】
Sulzer CollaCot(R)スポンジと比較して、上記に開示された通りに製造されるCOLBARリボース架橋ブタコラーゲンスポンジは実質的に且つ予想に反して、同じ条件下で培養された一次ヒト線維芽細胞の浸透、成長及び増殖により誘導性であると結論することができる。
【0092】
COLBARスポンジのこの利点に関する理由は現在明らかではないが、それはおそらく少量の架橋剤が両スポンジの架橋コラーゲンからゆっくり放出され得るということの故であろうことが注目される。還元糖架橋コラーゲンから放出されるそのような物質の性質及び化学的組成は明白に知られていないか、又は特性化されていないが(グリケート化コ
ラーゲンの架橋の起こり得る二次的転位の故に)、少量のホルムアルデヒドがそれらの毒性のために細胞増殖を実際に遅らせるか又は阻害することは、十分に実証されていることである。
【0093】
グリケート化及び/又は還元糖架橋されたコラーゲンマトリックス自身により細胞に与えられる実際の構造及び部分が、Sulzerコラーゲンスポンジ及び/又は他の非−グリケート化架橋コラーゲンマトリックスにより与えられる構造又は部分より、細胞の移動及び/又は浸透及び/又は生存力及び/又は増殖に好ましいかあるいは支えることができるということもあり得る(しかし本明細書では証明されていない)。
【0094】
上記の実施例1の実験は、還元糖架橋された比較的低密度のコラーゲン足場及び圧縮された還元糖架橋コラーゲンを含んでなる比較的高密度の膜−様障壁の組み合わせの使用に基づく複合マトリックスの実施(implementation)を示しているが、これは単に例としてであり、本出願の複合マトリックスの組成を還元糖架橋コラーゲン材料のみに制限することは意図されていないことが注目される。そうではなくて、複合マトリックスのマトリックスに追加の型の材料を加えることができる。
【0095】
例えば複合マトリックス14の部分16及び/又は18ならびに図2のマトリックス1の部分2及び/又は4は、還元糖架橋コラーゲンの他に、マトリックスの又は装置の選ばれた部分の性質を修正するために、他の型の生物適合性材料又は生物適合性材料のいずれかの適した混合物を含むこともできる。そのような材料にはヒアルロン酸(HA)及び/又はヒアルロナン及び/又はその適した誘導体及び/又は塩及び/又はエステル、キトサン及び/又はヒアルロナン及び/又はその適した誘導体及び/又は塩及び/又はエステル、種々のオリゴ糖類及び/又は多糖類及び/又はその適した誘導体及び/又は塩及び/又はエステル、当該技術分野において既知である種々の生物適合性合成ポリマー、架橋及び/又は非−架橋タンパク質(例えばこれらに限られないが、新しい骨の無機質化において役割を果たすアルカリ性ホスファターゼ及び/又はピロホスファターゼ)、架橋及び/又は非−架橋糖タンパク質など、リン酸カルシウムナノ粒子及び/又はヒドロキシ−アパタイト結晶(骨増大を加速するために用いることができる)、当該技術分野において既知のいずれの成長因子も含む成長因子、例えばこれらに限られないがBMP’s、PDGFなどが含まれ得るが、これらに限られず、上記のいずれかの適した組み合わせを用いることもできる。
【0096】
本発明の態様に従い、上記の複合膜に、膜の架橋の前又は後に追加の物質及び添加物を加えることができることが注目される。
【0097】
さらに、本発明の複合膜に加えることができる材料又は物質は、天然及び/又は合成のポリマーなどのような構造材料に限られず、小分子、薬剤、麻酔材料、鎮痛材料又は他の所望の材料又は物質を含むがこれらに限られない他の型の添加物も含むことができる。上記の材料と本出願において開示される他の材料のいずれかの組み合わせを用いることもできる。
【0098】
本発明の埋植されるマトリックスを形成する還元糖架橋コラーゲンに加えられる追加の材料は、架橋又は非−架橋生物適合性天然又は合成ポリマーであることができる。本発明の埋植物のコラーゲンに基づくマトリックスに加えることができるそのようなポリマー又は他の物質は、上記の実施例1〜3に記載されている複合マトリックスの形成に用いられるグリケート化及び/又は架橋プロセスの間に、コラーゲン内に捕獲される及び/又はコラーゲンに架橋することができる。
【0099】
例えば装置4のマトリックスの部分2及び4の1つもしくはそれより多くへの添加物と
してキトサンが用いられる場合、グリケート化プロセス及び続く架橋は、コラーゲンの分子を互いに架橋するのみでなく、キトサン中の遊離のアミノ基及びコラーゲン中のリシンアミノ基のグリケート化を介して、キトサン主鎖をコラーゲン分子に連結する架橋も形成する。得られる複合マトリックスは、種々の生物学的及び物理化学的性質を有することができる。2005年9月2日に申請されたBayer et al.への同時係属米国暫定出願第60/713,390号明細書は、中でもコラーゲン及びアミノ−基含有多糖類又はアミノ誘導体化多糖類を含むそのような架橋マトリックスならびにそれらの製造方法を開示している。
【0100】
さらに、実施例1に記載された複合マトリックスの還元糖架橋コラーゲンマトリックスの形成に用いられるグリケート化及び架橋反応は、架橋性還元糖としてDL−グリセルアルデヒドを使用するが、当該技術分野において既知の他のいずれの架橋性還元糖又は還元糖誘導体も、本発明の複合マトリックスを形成するコラーゲンマトリックスの架橋のために用いられ得ることが注目される。例えば両方とも引用することによりそれらの記載事項全体が本明細書の内容となるPitaru et al.への米国特許第5,955,438及び6,346,515号明細書に、水溶液中における架橋が記載されている。これらの特許に記載されている方法、架橋性還元糖及びコラーゲンの型をすべて、本発明の複合マトリックス及び装置の製造において用いることができる。類似して、引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となるNoff et al.への米国特許第6,682,760号明細書に記載されているすべての方法、架橋性糖類、溶媒系(適した緩衝剤及び/又は塩を含むかもしくは含まない極性又は親水性溶媒及び水を含む)ならびにコラーゲンの型も、本発明の複合マトリックス及び装置の製造及び架橋に用いることができる。
【0101】
本発明の複合多重密度膜の態様の架橋において用いられる架橋法を、当該技術分野において既知である通り、還元糖又は還元糖誘導体のD又はL型のいずれか、あるいはD及びL型の混合物を用いて適用することができることも注目される。
【0102】
コラーゲン及び種々のアミノ基含有多糖類及び/又はアミノ誘導体化多糖類の混合マトリックスの製造方法は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる2005年9月2日に申請された“CROSS−LINKED POLYSACCHARIDE
MATRICES AND METHODS FOR THEIR PREPARATION”という題名のBayerへの同時係属米国暫定特許出願第60/713,390号明細書に記載されている。同時係属暫定出願第60/713,390号明細書に記載されている方法、材料及び誘導体化反応も、本発明の追加の態様に従う混合型複合マトリックスの製造に応用及び/又は使用することができる。
【0103】
さらに、上記で開示された複合マトリックスの例は、それぞれ異なるコラーゲン密度を有する2つの部分又は層を有するが、本発明の複合マトリックスは2つより多い層又は2つより多い部分を有し得ることが注目される。例えば本発明のさらに別の態様に従い、3つの部分を有する複合マトリックスを製造し、骨誘導(induction)又は誘導(conduction)のために用いることができる。乾燥の前に埋植物1の部分2の上に低密度のコラーゲン粒子を有する原線維化コラーゲンの追加の層を加え、それぞれ異なるコラーゲンの密度を有する3つの部分を持つ3層複合マトリックスとすることにより、これを行なうことができる。3層複合マトリックスを、次いで上記の通りに乾燥し、極性溶媒を含むかもしくは含まない反応混合物中で還元糖を用いて架橋することができる。得られる3層複合マトリックスを、次いで上記の通りに洗浄し、乾燥するか又は凍結乾燥することができる。
【0104】
さらに、グリケート化還元糖架橋コラーゲンの2つもしくはそれより多い層を有する複
合マトリックスの寸法及び形は、処置の必要な骨欠損の要求及び型に従って変わり得ることが注目される。かくして埋植されるマトリックスの種々の層又は部分の厚さを、マトリックスの各層又は部分を形成する時に用いられる材料の量及び/又は濃度を制御することにより、随意に変えることができる。中でも特定の用途に依存して、層又は部分のいずれの型の形、寸法、数及び各層又は部分の厚さも、本発明のマトリックスにおいて用いることができる。
【0105】
本発明の別の態様に従い、マトリックスの一部の1つもしくはそれより多い次元(dimensions)に沿った、あるいはマトリックスの全長に沿った密度勾配を有するマトリックスを製造することもできることは、当該技術分野における熟練者に認識されるであろう。マトリックスの1つもしくはそれより多い部分内に密度勾配を作るための種々の方法を用いることができる。例えば図2のマトリックス1の部分2及び4の1つもしくはそれより多くの次元に沿って密度勾配を作るために、遠心法を用いることができる。連続的又は断続的密度勾配を作るための他の方法には、それぞれ中のコラーゲンに基づく材料の異なる密度を有する2つの異なる懸濁液を混合し、得られる混合物を層4の上に重ねることが含まれ得るが、これに限られない。しかしながら、これに限られないが回転法のような、当該技術分野において既知の勾配形成のための他のいずれの方法も、密度勾配を有する複合マトリックスの形成において用いることができる。
【0106】
さらに、本発明のさらに別の態様に従い、後に放出されるべくマトリックス中に導入され得る種々の添加材料又は添加物を、本発明の複合マトリックス中に含むことは有用であり得ることが注目される。そのような添加物には、比較的小さいか又は中程度の寸法の分子、材料又は物質、例えばこれらに限られないが抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、BMP’s、骨芽細胞誘引因子もしくは物質ならびに他のいずれかの所望の薬剤又は製剤又は組成物が含まれ得るがこれらに限られない。
【0107】
本発明の複合マトリックス中に含まれることができる他の物質又は化合物には、中でも種々のタンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、例えばこれらに限られないがコンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン
サルフェート、ヒアルロナン、プロテオグリカン、例えばレシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ及びピロホスファターゼが含まれ得る。
【0108】
さらに、遺伝子治療に関連する材料、例えばこれらに限られないがDNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アンチ−センスDNAもしくはRNA、プラスミド、ベクターなど、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAもしくはRNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、改変されたウイルス遺伝子構築物あるいは核酸又は化学的に改変された核酸を含有する他のいずれかの物質又は化合物あるいは上記で開示された物質、化合物及び遺伝子構築物の種々の組み合わせ又は混合物も本発明の複合マトリックス中に含まれることができ、そして細胞吸収及び転写を促進するために必要なベクター、例えばこれらに限られないが当該技術分野において既知の種々のウイルス性もしくは非−ウイルス性ベクターも含まれることが
できる。
【0109】
上記及び/又は下記で開示される物質、材料、添加物、遺伝子構築物、遺伝子治療材料、薬剤及び他のいずれかの添加物のいずれの組み合わせも、本出願の複合マトリックスに加えることができることが注目される。
【0110】
本発明の複合膜への添加物として用いることができる上記で開示された材料又は物質及びそのような材料又は物質のいずれかの組み合わせのすべてを、架橋反応(還元糖架橋剤を用いる)を行なう前又はその後のいずれかに加えることができる。しかしながら、1種もしくはそれより多い添加物を加え、コラーゲンの架橋を行い、そして次いで1種もしくはそれより多い追加の物質及び/又は添加物を含む溶液中に架橋されたコラーゲンを浸すことにより、追加の物質を加えることも可能である。
【0111】
本発明の埋植可能装置及び/又は複合膜を、生細胞を含ませることにより改変することもできることが、当該技術分野における熟練者により認識されるであろう。そのような生細胞は、埋植物が埋植されるはずの患者に由来する自系細胞であることができるが、遺伝子的に適合性のドナーからの細胞であることもできる。細胞は、これらに限られないが骨芽細胞、先祖細胞、幹細胞、前駆細胞、胚幹細胞、成人由来幹細胞、細胞培養又は細胞系に由来する細胞、非−分化細胞などのような、骨形成において支える役割又は補助する役割を有し得るいずれの型の生細胞であることもできる。そのような細胞の懸濁液中に、あるいはそのような細胞が存在する倍地中に装置又は埋植物あるいはそれらの一部を浸すことにより、本発明の装置にそのような細胞を加えることができる。あるいはまた、埋植物、装置又は複合膜を、上記で開示された細胞のいずれかと一緒に、装置又は複合膜の足場部分内へのそのような細胞の浸透又は移動を保証するのに十分な時間、インキュベーションすることができる。インキュベーション又は他の細胞添加法の後、細胞が装入された装置、埋植物又は複合膜を、上記の通りに骨欠損中に埋植するか又は挿入することができる。
【0112】
そのような添加物又は材料を、架橋段階の前に、複合マトリックスの製造のために用いられるコラーゲンに基づく材料と簡単に混合することができる。コラーゲン及び/又は他のポリマーと混合されたコラーゲンを含有する組成物を架橋した後、加えられた物質又は添加物のいくらか又は全部は、架橋されたマトリックス(又は複数のマトリックス)中に捕獲され得、そして欠損内又はその近辺でそれらの生物学的影響を発揮するためにマトリックスから放出され得る。あるいはまた、アミノ基を含有するいくつかの分子(例えばこれらに限られないがリシンもしくはアルギニン含有タンパク質及びポリペプチドなど)を、グリケート化反応及びさらなる転位及び/又は架橋段階により、コラーゲン(リシン)アミノ基を介して、あるいは混合された膜中で用いられる多糖のアミノ基を介してコラーゲン又は多糖主鎖に共有結合させることができる。そのような共有結合した分子又は薬剤は、得られるマトリックスの構造及び生理学的性質を改変することができ、当該技術分野で既知の種々の有用な生物学的性質、例えば足場に浸透する細胞のための分子的きっかけ(molecular cues)として働く性質などをマトリックスに与えることができる。
【0113】
さらに、上記に記載された本発明の複合マトリックスに、その埋植の前に、マトリックス又は骨欠損内における骨組織形成を補助するか又は促進するのに有用であり得るいずれかの適した型の生細胞を播種することもできることが注目され、そのような細胞には骨芽細胞、幹細胞又は当該技術分野において既知の他のいずれかの骨構成細胞が含まれ得るが、これらに限られない。
【0114】
本発明の複合マトリックスにおいて、自然コラーゲン、原線維コラーゲン、原線維アテ
ロペプチドコラーゲン、凍結乾燥コラーゲン、動物源から得られるコラーゲン、ヒトコラーゲン、組換えコラーゲン、タンパク質分解的に消化されたコラーゲン、ペプシン処理されたコラーゲン、再構築されたコラーゲン、I型、II型及びIX型コラーゲンあるいは当該技術分野において既知の他のいずれかの型のコラーゲンの他のいずれかの適した混合物ならびにそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られないいずれの型のコラーゲンも使用できることが注目される。
【0115】
本出願の目的のために、「グリケート化コラーゲン」という用語は、還元糖と、又は還元糖誘導体と反応したいずれの型のコラーゲンも意味し、且つコラーゲンのグリケート化の後の続く転位及び/又は架橋において生成し得るすべての型の架橋コラーゲンも含むことが注目される。
【0116】
本明細書で開示された例は歯槽骨増大に関して記載しているが、本明細書に記載される装置及び方法は、記載される口腔外科手術法に制限されず、整形外科、形成外科、美容外科及び他の型の外科手術ならびに骨移植片埋植法のためのいずれの型の骨における骨欠損、骨折などの処置をも含むいずれの型の方法にも容易に修正及び応用され得ることが、当該技術分野における熟練者に認識されるであろう。かくして本発明の複合マトリックスを用い、人間又は他の種の動物中のいずれの型の骨のいずれの型の骨欠損又は骨折も処置することができる。
【0117】
本明細書に開示されるグリケート化コラーゲンに基づく及び/又は還元糖架橋コラーゲンに基づく複合埋植物のいずれも、ならびに本出願中で開示される還元糖架橋コラーゲンに基づく足場及びスポンジのいずれも、1種もしくはそれより多い添加物、例えばこれらに限られないが抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキトサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせも含むことができることが注目される。
【0118】
さらに、本明細書に開示される複合及び/又は還元糖架橋コラーゲンに基づく埋植物のいずれも、ならびに本出願中に開示されるグリケート化コラーゲンに基づく及び/又は還元糖架橋コラーゲンに基づく足場及びスポンジのいずれも、その中に生細胞も含むことが
できる。生細胞には、培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限られない。上記で開示された適した播種及びインキュベーションにより、あるいは当該技術分野において既知の細胞播種のために他のいずれかの方法により、そのような細胞を複合埋植物及び/又はスポンジ及び/又は足場中に導入することができる。
【0119】
さらに、本明細書に開示される複合スポンジ、埋植物及び足場材料の特定の例は、1種類の還元糖を用いてグリケート化及び架橋されるが、これは決して強制ではなく、上記で開示された複合スポンジ、埋植物、足場材料のいずれも、上記で開示された還元糖のいずれかの適した混合物の使用によりグリケート化及び/又は架橋されることもできる。類似して、本明細書に開示される複合スポンジ、埋植物及び足場材料の特定の例は、1つの型のコラーゲンのグリケート化及び/又は架橋により製造されるが、これは決して強制ではなく、異なるコラーゲンの型のいずれかの適した混合物も含む上記で開示されたコラーゲンの型のいずれも(添加物及び/又は追加のポリマー及び/又は生細胞を含むかもしくは含まない)、上記で開示された複合スポンジ、埋植物及び足場材料の製造において用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置の製造方法であって:
第1の懸濁化溶液中に原線維化コラーゲン粒子を含んでなる懸濁液を圧縮して第1の密度を有する第1のマトリックスを形成し;
第2の懸濁化溶液中に原線維化コラーゲン粒子を含んでなる懸濁液を該第1のマトリックスに適用して、該第1のマトリックスに付着した第2のマトリックスを形成し、該第2のマトリックスは該第1の密度より低い第2の密度を有し;
該第1のマトリックス及び該第2のマトリックスを乾燥して、乾燥多重密度複合マトリックスを形成し;そして
該多重密度複合マトリックスを還元糖と反応させて、該複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置を形成する
段階を含んでなる方法。
【請求項2】
該反応の段階が、エタノールを含んでなるインキュベーション溶液中で該複合多重密度埋植可能装置を還元糖と一緒にインキュベーションすることを含む、請求項1に従う方法。
【請求項3】
該インキュベーション溶液が70%エタノールを含む請求項2に従う方法。
【請求項4】
該還元糖がD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる請求項1に従う方法。
【請求項5】
該第1の懸濁化溶液、該第2の懸濁化溶液、該第1のマトリックス及び該第2のマトリックスの少なくとも1つに、少なくとも1種の追加の物質を加える請求項1に従う方法。
【請求項6】
該少なくとも1種の追加の物質が抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキトサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項5に従う方法。
【請求項7】
該複合埋植可能装置に生細胞を加える段階をさらに含み、該細胞が培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞(bone building cells)、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項1に従う方法。
【請求項8】
請求項1の方法により製造される複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置。
【請求項9】
請求項6の方法により製造される複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置。
【請求項10】
請求項7の方法により製造される生細胞を含んでなる複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置。
【請求項11】
第1の密度を有する第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックス;及び
該第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスに付着した少なくとも1つの第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックス
を含んでなり、該第2のコラーゲンに基づくマトリックスは、該第1の密度より低い第2の密度を有する架橋コラーゲンに基づく複合多重密度埋植物。
【請求項12】
エタノールを含んでなるインキュベーション溶液中で、還元糖を用いてコラーゲンを架橋することにより、該第1及び該第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスを得る請求項11に従う複合埋植物。
【請求項13】
該インキュベーション溶液が70%エタノールを含む請求項11に従う複合埋植物。
【請求項14】
該還元糖がD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる請求項11に従う複合埋植物。
【請求項15】
該埋植物が少なくとも1種の追加の物質を含む請求項11に従う複合埋植物。
【請求項16】
該少なくとも1種の追加の物質が抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキトサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖
タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項15に従う複合埋植物。
【請求項17】
培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる生細胞をさらに含む請求項11に従う複合埋植物。
【請求項18】
骨欠損を処置するための複合多重密度架橋コラーゲン埋植可能装置の使用方法であって:
第1の密度を有する第1の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックス及び該第1のコラーゲンに基づくマトリックスに付着した少なくとも1つの第2の還元糖架橋コラーゲンに基づくマトリックスを含んでなり、該第2のコラーゲンに基づくマトリックスが、該第1の密度より低い第2の密度を有するグリケート化架橋コラーゲンに基づく複合多重密度埋植可能装置を該骨欠損に適用する
段階を含んでなり、ここで該少なくとも第2のコラーゲンに基づくマトリックスは該骨欠損内における骨形成を促進するために該骨欠損内に配置され、且つここで該第1のコラーゲンに基づくマトリックスは、該骨欠損内における骨組織以外の組織の形成を、少なくとも部分的に妨げる方法。
【請求項19】
エタノールを含んでなるインキュベーション溶液中でコラーゲンに基づく複合多重密度埋植可能装置を還元糖と一緒にインキュベーションすることにより、該埋植可能装置が得られる請求項18に従う方法。
【請求項20】
該インキュベーション溶液が70%エタノールを含む請求項19に従う方法。
【請求項21】
該還元糖がD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる請求項19に従う方法。
【請求項22】
該複合埋植可能装置が少なくとも1種の追加の物質を含む請求項19に従う方法。
【請求項23】
該少なくとも1種の追加の物質が抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキ
トサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項22に従う方法。
【請求項24】
細胞増殖及び細胞分化のための改良された足場としての還元糖架橋コラーゲンマトリックスの使用方法であって:
還元糖を用いて架橋されたコラーゲンマトリックスを含んでなる足場を準備し;そして
該足場を生細胞と一緒にインキュベーションして、該細胞の成長及び/又は増殖及び/又は分化の向上を誘導する
段階を含んでなる方法。
【請求項25】
該細胞が培養細胞、幹細胞、ヒト細胞、動物細胞、線維芽細胞、多能性骨髄細胞、多能性幹細胞、骨構成細胞、骨芽細胞、間葉細胞、哺乳類細胞、初代細胞、遺伝子的に改変された細胞、神経細胞及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項24に従う方法。
【請求項26】
エタノールを含んでなるインキュベーション溶液中でコラーゲンに基づくマトリックスを還元糖と一緒にインキュベーションすることにより、該足場が得られる請求項24に従う方法。
【請求項27】
該インキュベーション溶液が70%エタノールを含む請求項26に従う方法。
【請求項28】
該還元糖がD(−)リボース及びDLグリセルアルデヒドから選ばれる請求項24に従う方法。
【請求項29】
該足場が少なくとも1種の追加の物質を含む請求項24に従う方法。
【請求項30】
該少なくとも1種の追加の物質が抗微生物剤、抗−炎症剤、抗−バクテリア剤、抗−菌・カビ剤、組織誘導性を有する1種もしくはそれより多い因子、成長因子、成長促進及び/又は成長阻害性タンパク質又は因子、細胞外マトリックス成分、麻酔性材料、鎮痛性材料、骨芽細胞誘引因子、薬剤、製剤、製薬学的組成物、タンパク質、糖タンパク質、ムコタンパク、ムコ多糖、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン 4−サルフェート、コンドロイチン 6−サルフェート、ケラタン サルフェート、デルマタン サルフェート、ヘパリン、ヘパラン サルフェート、プロテオグリカン、レシチンの豊富な間質プロテオグリカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカン、アグレカン、シンデカン、ベータ−グリカン、ベルシカン、セントログリカン、セルグリシン、フィブロネクチン、フィブログリカン、コンドロアドヘリン、フィブリン、トロンボスポンジン−5、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、アルカリ性ホスファターゼ、ピロホスファターゼ、遺伝子治療に関連する材料、DNA、RNA、DNAもしくはRNAのフラグメント、核酸、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、同種異系材料、核酸、オリゴヌクレオチド、キメラDNA/RNA構築物、DNAプローブ、RNAプローブ、アンチ−センスDNA、アンチ−センスRNA、遺伝子、遺伝子の一部、天然の又は人工的に作られるオリゴヌクレオチドを含む組成物、プラスミドDNA、コスミドDNA、ウイルス遺伝子構築物、ヒアルロナン、ヒアルロナン誘導体、ヒアルロナン塩、ヒアルロナンエステル、キトサン、キトサン誘導体、キトサン塩、そのキトサンエステル、オリゴ糖、多糖類、多糖塩、多糖誘導体、多糖エステル、オリゴ糖誘導体、オリゴ糖塩、オリゴ糖エステル、生物適合性合成ポリマー、架橋タンパク質、架橋糖タンパク質、非−架橋糖タンパク質、リン酸カルシウムナノ粒子、ヒドロキシ−アパタイ
ト結晶、成長因子、BMP、PDGF及びそれらのいずれかの組み合わせから選ばれる請求項29に従う方法。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−544400(P2009−544400A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521418(P2009−521418)
【出願日】平成19年7月29日(2007.7.29)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000946
【国際公開番号】WO2008/012828
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508064702)コルバー・ライフサイエンス・リミテツド (2)
【Fターム(参考)】