説明

骨形成を促進するための組成物および方法

骨形成を促進するための方法を提供する。より具体的には、破骨細胞形成を促進することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。1つの態様において、移植可能材料および破骨細胞刺激物質を含む移植物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]骨形成を促進するための方法を提供する。より具体的には、破骨細胞を刺激することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
[002]骨移植片の概説
[003]傷害、疾患、創傷、または手術によって引き起こされる骨欠損の迅速でそして有効な修復が、整形外科手術の目的である。この目的に向けて、骨欠損の修復で使用するために、多くの組成物および材料が用いられるかまたは提唱されてきている。組成物および材料の生物学的、物理的、および機械的特性は、多様な整形外科適用におけるその適切さおよび性能に影響を及ぼす主な要因の1つである。
【0003】
[004]骨には、多様なタイプの細胞および豊富なミネラル化細胞外マトリックスが含まれる。骨吸収および骨形成は、正常な体の形態形成および体におけるカルシウムホメオスタシスに関与するプロセスである。生理学的役割に加え、骨吸収は、骨粗鬆症、代謝性骨疾患、骨折、および悪性高カルシウム血症などの病的障害において、役割を果たす。
【0004】
[005]自己移植片または自己骨としてもまた知られる自己海綿骨(「ACB」)は、骨移植片の代表的な存在と見なされてきた。ACBには、骨形成細胞が含まれ、この細胞は、骨治癒を補助する潜在能力を有し、非免疫原性であり、そして健康なレシピエントに適しているはずの構造的および機能的特性を有する。採取するのに適切な量のACBを持たない人もいる。これらの人々には、例えば高齢者および以前手術を受けた人々が含まれる。移植に適した寸法および品質のACBを欠く個体もあり、そしてACBの採取と関連するドナー部位の疼痛および罹患率は、患者およびその医師に深刻な問題をもたらしうる。
【0005】
[006]代替骨移植片材料の同定および開発に多くの努力がなされてきている。Uristは、骨誘導の理論、および骨を脱灰する、すなわち脱ミネラル化骨マトリックス(DBM)を作製するための方法に関する、将来性のある論文を公表した。Urist M.R.ら, Bone Formation by Autoinduction, Science 1965; 150(698):893−9; Urist M.R.ら, The Bone Induction Principle, Clin. Orthop. Rel. Res. 53:243−283, 1967。DBMは、DBM内に含有される骨誘導性因子によって、げっ歯類の異所性部位に移植された際に骨増殖を誘導する点で、骨誘導性材料である。Honsawekら(2000)。現在、多くの骨誘導性因子があることが知られており、例えば、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−ベータ)スーパーファミリーの一部である、BMP 1〜18(骨形態形成タンパク質)がある。BMP−2が広く研究されてきている。また、DBMには、骨誘導性であるだけでなく、さらに骨増殖にも寄与する他のタンパク質もまた存在し、これには、線維芽細胞増殖因子2(FGF−2)、インスリン様増殖因子IおよびII(IGF−IおよびIGF−II)、血小板由来増殖因子(PDGF)、およびトランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGF−ベータ1)が含まれる(Hauschkaら 1986; Canalisら, 1988; Mohanら 1996)。
【0006】
[007]骨移植適用は、骨格部位の必要性によって違いが生じる。特定の適用は「構造移植片」を必要とし、そして他の適用は「骨形成移植片」を必要とする。これらの必要性は、互いに排他的ではなく、そしていくつかの適用は、構造骨形成移植片から利益を得る可能性もある。移植片はまた、例えば、生物活性物質のための送達ビヒクルとして働くなど、他の有益な生物学的特性も有しうる。生物活性物質には、宿主において、局所的にまたは全身性に作用する生理学的または薬理学的活性物質も含まれる。
【0007】
[008]構造移植片は、その1つの役割が、手術部位で、機械的または構造的支持を提供することである移植片である。こうした移植片は、耐荷重性であるのに必要な強度を提供する、ミネラル化骨組織の実質的な部分を含有してもよい。構造移植片を必要とする適用の例には、介在性移植片、脊椎固定術、関節プラトー、関節癒合、大規模骨再構築等が含まれる。移植に際しての骨移植物の生体力学的特性は、骨移植物を作製するのに用いられる骨の特定の供給源;ドナー組織の多様な物理的特性;および移植前の骨の調製、保存および保管のために選択した方法、ならびに移植片にさらされる荷重(loading)のタイプを含む、多様な要因によって決定される。
【0008】
[009]生得的な強度のため、すなわちレシピエント部位での耐荷重能のため、骨移植片において部分的にミネラル化骨を用いてもよい。構造骨移植物は、慣用的に、移植目的のために収集された皮質骨をプロセシングし、そして次いで機械加工するかまたは別の方式で成形することによって、作製される。骨移植物は、粒子の凝集物の一体化骨を含んでもよい。さらに、骨移植物は、実質的に固形であっても、流動性であっても、または成形可能であってもよい。皮質骨は、構造骨移植物のための特定の適用に応じて、非常に多様な立体構造に形成可能である。構造骨移植物はしばしば、複雑な形状、例えば一連の段;凹表面または凸表面;先細表面;平面;隣接する骨、ツール、または移植物、六角型凹面、ねじ穴の対応する表面とかみ合うための表面;鋸歯状等で提供される。
【0009】
[010]骨形成移植片は、その1つの役割が、その部位での新規骨組織の増殖を増進するかまたは加速させる移植片である。こうした移植片は、新規骨組織の増殖に必要な骨誘導性を改善するための脱ミネラル化骨組織を含有してもよい。「骨形成移植片」を必要とする適用の例には、欠損の充填、脊椎固定術、関節癒合等が含まれる。
【0010】
[011]骨治癒、またはリモデリングは、一般的に、存在する骨の破骨細胞による吸収、新規血管の形成、およびそれに続く、骨芽細胞による新規骨の成長を含む、多段階プロセスを含む。骨吸収および骨形成は、このように関連している。骨吸収は、一般的に、破骨細胞補充速度、ならびに破骨細胞活性の強度および期間によって決定される。破骨細胞補充から始まり、破骨細胞は、造血前駆体、例えば単球マクロファージ細胞系譜から分かれたCFU−Mに由来する。in vivoで骨吸収を刺激し、そしてin vitroで骨髄培養から破骨細胞形成を増加させ、そして骨粗鬆症の病因に関連付けられてきている剤には、副甲状腺ホルモン、および特定の条件下で、IL−6が含まれる。骨吸収後、骨リモデリングサイクルは、骨芽細胞を用いた骨形成に続く。
【0011】
[012]破骨細胞は、ミネラル化骨、象牙質、および石灰化軟骨を吸収するよう機能する。破骨細胞起源および機能の概説は、本明細書に援用される、“The Osteoclast”(Bone, Vol. 2, B.K. Hall監修, CRC Press, 1991, 272ページ)に見出されうる。単核および多核破骨細胞が骨を吸収しうる。破骨細胞は、造血単核幹細胞または造血前駆体から生じる血液由来細胞である。該前駆体は、いくつかの破骨細胞特異的遺伝子およびタンパク質を発現し、互いに融合し、そして機能的に成熟した破骨細胞に分化する。破骨細胞の分化および機能は、一般的に、多様な骨指向性ホルモンおよび局所因子によって調節される。これらの因子は、直接、または他の骨細胞を介して間接的に、破骨細胞およびその前駆体に作用する。破骨細胞は、骨のミネラル相および有機相の両方を吸収する。該細胞は一般的に、およそ1〜およそ50の間の核を含有し、そして直径およそ20〜およそ200マイクロメートルを超える範囲である。骨梁において、これらは、表面上の浅い窩を占め、そしてハバース骨においては、カッティングコーン(cutting cones)の最先端を占める。光学顕微鏡特徴には、不規則な細胞形状、泡状の好酸性細胞質、骨付着の線条周囲ゾーン、および酒石酸耐性酸ホスファターゼの陽性染色が含まれる。電子顕微鏡特徴は、多くのミトコンドリア、粗面小胞体、多数のゴルジ複合体、中心体における一対の中心子、液胞、および多くの顆粒である。波状縁は、吸収骨表面および細胞表面間の界面に位置する。破骨細胞は、コラゲナーゼおよび酸ホスファターゼを分泌する。波状縁で分泌されるHイオンの形成には、炭酸脱水素酵素が利用される。骨梁吸収部位で作用する破骨細胞の寿命は、平均約4週間である。
【0012】
[013]骨芽細胞は、骨形成細胞である。骨芽細胞起源および機能の概説は、本明細書に援用される、“The Osteoblast and Osteocyte”(Bone, Vol. 1, B.K. Hall監修, CRC Press, 1991, 494ページ)に見出されうる。該細胞は、有機コラーゲンマトリックス(および非コラーゲン性タンパク質)を産生し、これがミネラル化を経て、層板骨および線維性骨の両方を形成する。骨芽細胞は、一般的に、骨間質細胞系譜から生じ、そして破骨細胞が以前骨を吸収した骨リモデリング部位に出現する。骨芽細胞の顕著な特徴は、偏心性核、ゴルジ体、細胞突起、ギャップ結合、小胞体、およびコラーゲン分泌顆粒である。
【0013】
[014]健康な骨において、吸収および形成を含む骨リモデリングは、連続したプロセスである。すなわち、骨吸収後の骨形成は、連続して、そしてバランスが取れた様式で起こる。より具体的には、骨リモデリングは、破骨細胞による骨の浸食、その後、骨吸収、その後、新規骨形成を含む。全体として、これらのプロセスは各々、表面に基づくプロセスの一部である。
【0014】
[015]骨吸収および形成のバランスを維持する制御系は、RANKL/OPG系(核因子κBの受容体活性化因子リガンドおよびオステオプロテジェリン(OPG)制御系)である。316アミノ酸膜貫通タンパク質であるRANKLは、海綿骨(または骨梁)において、骨芽細胞/間質細胞によって高発現される。RANKLは、ホモ三量体として、破骨細胞およびその前駆体(プレ破骨細胞)を含む単球/マクロファージ系譜細胞の表面上の616アミノ酸膜貫通受容体(やはり三量体)であるRANK(核因子κBの受容体活性化因子)に結合する。RANKLは、例えばADAMタンパク質(ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ( isintegrin nd etalloprotease))を介して、細胞分化、機能、および生存を制御する多数の細胞内シグナルを生成することによって、破骨細胞活性を刺激する。したがって、骨芽細胞(骨形成細胞)は、破骨細胞(骨を破壊する細胞)の形成を刺激し、そしてこれに寄与する。
【0015】
[016]骨芽細胞はさらに、破骨細胞の形成を制御する役割を有する。骨芽細胞はRANKLを産生し、そして発現することによって、破骨細胞を刺激する一方、骨芽細胞はまた、RANKLに結合しそしてこれを遮断する、380アミノ酸可溶性受容体であるOPGを分泌することによっても、破骨細胞形成を制御する。一般的に、OPGは、破骨細胞形成を阻害する。骨芽細胞による発現に加えて、OPGは、間質、心血管、および他の細胞によって発現される。
【0016】
[017]骨表面上で完全に分化した破骨細胞は、例えば、骨マトリックス中または他の骨細胞膜上に存在する、ホルモン、サイトカイン、または接着分子などの多様な刺激に反応して、骨を吸収し始めることも可能である。破骨細胞の骨吸収活性は、1,25(OH)(ビタミンD)、PTH(副甲状腺ホルモン)、およびPTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)に反応して、骨芽細胞系UMR細胞によって産生されるいくつかの因子によって、破骨細胞の骨吸収活性が増進されうる。破骨細胞の純度が低く、そして十分な数でないため、破骨細胞活性の研究は、一般的に、電気生理学、免疫細胞化学、組織化学、および単細胞分子技術などの手法を伴う単細胞研究に限定される。
【0017】
[018]傷害または手術によるなどの、骨に対する外傷の場合、創傷が生成される。これは、骨代謝回転の正常なバランスを崩して、吸収よりも骨成長に有利にする。創傷に対する体の最初の反応は炎症であり、これが、刺激された破骨細胞活性ならびに全身マクロファージ活性(マクロファージ活性は、一般的に、骨粒子に限定される)を通じて、骨吸収速度の一時的な増加につながる。
【0018】
[019]吸収を刺激するための1つの機構は、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)の分泌を通じる。MCSFは、脂肪細胞、血管内皮細胞、および平滑筋細胞を含む、多様な細胞種によって分泌されうる。MCSFは、RANKLと組み合わされると、血中を循環する破骨細胞前駆体から、新規破骨細胞の産生を刺激しうる。したがって、骨吸収は、MCSFが誘導する、さらなる破骨細胞の存在によって刺激される。
【0019】
[020]RANKLの発現を刺激し、MCSFの分泌を刺激し、OPGの分泌を阻害し(例えば、PTH(副甲状腺ホルモン)による)、そして/またはRANKLおよびMCSFによって開始される細胞事象の発生カスケードを実行することによって、多様な他の制御タンパク質が吸収/形成バランスに影響を及ぼしうる。こうした制御タンパク質の例には、限定なしに、ADAM−12(ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ−12);PTH;PTHrP;VEGF(血管内皮増殖因子);ヒドロコルチゾン;1,25ジヒドロキシビタミンD3;PGE2(プロスタグランジンE2);TNFアルファ(腫瘍壊死因子−アルファ);IL−1ベータ(インターロイキン−3ベータ)、IL−3、IL−6;およびbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Urist M.R., Bone Formation by Autoinduction, Science 1965; 150(698):893−9
【非特許文献2】Urist M.R.ら, The Bone Induction Principle, Clin. Orthop. Rel. Res. 53:243−283, 1967
【非特許文献3】Honsawekら(2000)
【非特許文献4】Hauschkaら 1986
【非特許文献5】Canalisら, 1988
【非特許文献6】Mohanら 1996
【非特許文献7】“The Osteoclast” (Bone, Vol. 2, B.K. Hall監修, CRC Press, 1991, 272ページ)
【非特許文献8】“The Osteoblast and Osteocyte” (Bone, Vol. 1, B.K. Hall監修, CRC Press, 1991, 494ページ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
[021]特定のタイプの骨移植片は、遅い速度でリモデリングすることが知られる。例えば、構造移植片は、数年の期間に渡ってリモデリングすることが知られる。したがって、こうしたタイプの骨移植片には、骨治癒プロセス速度を増加させることが特に有益である。脱ミネラル化骨および/または増殖因子を使用するものなどの、骨治癒速度を増加させる慣用的なアプローチは、主に、骨芽細胞活性を増加させる、すなわち骨形成速度を増加させることに重点を置く。こうしたアプローチは、骨治癒プロセスにおける吸収およびリモデリングの影響を直接利用しない。したがって、骨吸収速度を刺激し、そしてしたがって骨治癒の全体の速度を刺激するため、創傷部位にMCSF、RANKL、および/または多様な他の制御タンパク質を供給することによって、破骨細胞活性を刺激してもよい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[028]骨形成を促進するための方法を提供する。骨リモデリングは、吸収として知られる破骨細胞による骨浸食の後の骨形成を含む。正常な骨生物学においては、これらの吸収および形成活性がカップリングされているため、骨吸収の開始は、形成事象を誘発しうる。破骨細胞形成(破骨細胞生成)を、そしてしたがって骨浸食を促進して、最終的に骨形成を刺激することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。いくつかの態様において、骨芽細胞形成を促進することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。他の態様において、破骨細胞の骨吸収活性を増進することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。いくつかの態様において、破骨細胞および骨芽細胞形成は、破骨細胞活性の増進を伴いまたは伴わずに促進される。
【0023】
[029]骨形成を促進するための移植物を提供する。1つの態様において、移植物は、移植可能材料、およびin vivoで破骨細胞形成を刺激する刺激物質を含む。
[030]移植物を形成する方法をさらに提供する。1つの態様において、方法は、移植可能材料を提供し、刺激物質を提供し、ここで、刺激物質は、in vivoで破骨細胞形成を刺激するか、またはin vivoで破骨細胞の骨吸収活性を増進して、そして刺激物質と移植可能材料を合わせる工程を含む。
【0024】
[031]多数の態様を開示するが、以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の態様が当業者には明らかであろう。明らかであるように、本明細書に開示する方法は、多様な明らかな側面において修飾可能であり、すべて、本解説の精神および範囲から逸脱しない。したがって、詳細な説明は、事実上、例示と見なされ、そして制限と見なされないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】[022]図1は、破骨細胞および骨芽細胞分化およびシグナル伝達の概略図を示す。
【図2−1】[023]図2Aおよび2BはC2C12対照培養を示す。[024]図2Cおよび2Dは、C1C12細胞培養に投与されたRAW単核細胞を示す。
【図2−2】[025]図2Eは、アルカリホスファターゼ染色後の、C2C12のみの培養に比較した際のRAW/C2C12培養の吸光度を示す。
【図2−3】[026]図2Fは、アルカリホスファターゼ染色後の、C2C12のみの培養に比較した際のRAW/C2C12培養の吸光度を示す。
【図3】図3は、ラット大腿中の皮質欠損における新規骨形成に対するRANKLの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
[032]生体適合性は、本明細書において、in vivoで投与した際、望ましくない長期の影響を誘導しない物質を記載するよう意図される。
【0027】
[033]骨は、本明細書において、自己、同種、異種、またはトランスジェニック起源の皮質骨、海綿骨、または皮質海綿骨である骨を指す。
[034]炎症は、本明細書において、感染または刺激に対する免疫系の最初の反応である。本明細書において、炎症は、感染が存在しない多核化巨細胞の存在によって特徴付けられる組織反応を指す。
【0028】
[035]骨芽細胞形成は、本明細書において、骨芽細胞を部位に運ぶ(または補充する)か、または骨芽細胞が部位で形成されるようにする、任意のプロセスを指す。こうしたプロセスには、分化、補充、同化、および活性化が含まれてもよい。骨芽細胞形成は、多能性細胞、幹細胞、前駆体細胞、プレ骨芽細胞などの他の細胞から、骨芽細胞の形成を導くプロセスを指すよう意図される。骨芽細胞形成はまた、骨芽細胞を部位に補充するかまたは引きつけ、そして/または骨芽細胞分裂(有糸分裂)を誘導するプロセスも指してもよい。一般的に、骨芽細胞形成は、骨芽細胞が部位に新規組織を作るように導きうる、任意のプロセスを指す。骨芽細胞形成はまた、骨芽細胞産生を指してもよい。
【0029】
[036]破骨細胞形成は、本明細書において、破骨細胞を部位に運ぶ(または補充する)か、または破骨細胞が部位で形成されるようにする、任意のプロセスを指す。こうしたプロセスには、破骨細胞補充(走化性、遊走)、造血細胞系譜内またはプレ破骨細胞からの破骨細胞分化、および破骨細胞活性化が含まれてもよい。破骨細胞形成はまた、多核破骨細胞の形成における破骨細胞融合も指す。破骨細胞形成にはまた、部位で、骨の破骨細胞浸食につながる任意のプロセスも含まれる。本明細書において、「破骨細胞形成」、「破骨細胞補充」および「破骨細胞産生」は、交換可能に用いられる。
【0030】
[037]骨伝導性(osteoconductive)は、本明細書において、骨誘導性ではない物質が、骨がそれに沿って成長しうる適切なテンプレートまたは物質として働く能力を指す。
【0031】
[038]骨形成性は、本明細書において、骨形成、骨伝導、および/または骨誘導などの1以上の機構によって、新規骨組織の成長を増進するかまたは加速させる剤、材料、または移植物の能力を指す。
【0032】
[039]骨誘導性は、本明細書において、新規骨形成を刺激する潜在能力を有する宿主から細胞を補充しうる性質を指す。動物の柔組織において、異所骨の形成を誘導しうるいかなる材料も、骨誘導性と見なされる。例えば、大部分の骨誘導性材料は、Edwardsら、1998の方法にしたがってアッセイした際、無胸腺ラットにおいて、骨形成を誘導する。他の例では、骨誘導は、細胞補充、および補充された細胞の骨形成表現型への誘導を生じると見なされる。
【0033】
[040]前駆体または前駆細胞は、本明細書において、より成熟した細胞タイプになるか、こうしたタイプを形成するか、またはこうしたタイプに分化しうる細胞を指す。破骨細胞前駆体は、プレ破骨細胞または造血細胞系譜由来細胞であってもよい。
【0034】
[041]リモデリングは、本明細書において、移植された組織が類似の宿主組織によって置換されるプロセスを指す。骨リモデリングは2つの段階:骨吸収および骨形成を含む。
[042]吸収は、移植された組織が体によって吸収され、そして事実上消失するプロセスを指す。移植された組織と類似の宿主組織の形成が続く場合には、吸収は、リモデリングの第一の段階でありうる。
【0035】
[043]刺激物質は、本明細書において、破骨細胞形成を生じるか、または破骨細胞の骨吸収活性を増進する、細胞事象の発生カスケードに関与することによって、破骨細胞形成を刺激する、タンパク質、化学的化合物、または細胞などの任意の物質を指す。
【0036】
[044]I.概説
[045]骨形成を促進するための方法を提供する。より具体的には、破骨細胞形成を促進することによる、または破骨細胞の骨吸収活性を増進することによる、骨形成を促進するための方法を提供する。したがって、破骨細胞および関連吸収を刺激して、骨のリモデリングを刺激するための方法を提供する。
【0037】
[046]破骨細胞は、造血単核幹細胞または造血前駆体由来の血液由来細胞である。前駆体は互いに融合し、そして機能的に成熟した骨細胞に分化する。破骨細胞および骨芽細胞系譜にある細胞は、細胞−細胞接触、分散性パラクリン因子および細胞−骨マトリックス相互作用を通じて互いにコミュニケートする。破骨細胞−骨芽細胞コミュニケーションは、骨リモデリングの開始期、遷移期および終結期に、基本的多細胞単位(basic multicellular unit(BMU))で起こる。開始期には、造血前駆体がBMUに補充される。これらの前駆体は、c−Fms、RANKを含む細胞表面受容体、および破骨細胞関連受容体(OSCAR)などの同時刺激分子を発現しており、そしてリガンドを発現する骨芽細胞との細胞−細胞接触後、破骨細胞に分化する。破骨細胞上のエフリンB2および骨芽細胞前駆体上のEphB4間の相互作用によって生じる二方向性シグナル伝達は、遷移を促進する(Matsuo K, Irie N., Osteoclast−Osteoblast Communication, Arch Biochem Biophys. 2008 May 15;473(2):201−91)。
【0038】
[047]仮骨(bone callus)形成は、骨芽性新規骨付加および破骨性吸収活性に依存する。リモデリング期中、破骨細胞は非常に活性が高い。骨吸収に深く関与し、破骨細胞活性を制御する、核因子κBの受容体活性化因子(RANK)、そのリガンド(RANKL)、およびオステオプロテジェリン(OPG)の発見とともに、破骨細胞生物学の主なパラダイムが出現してきた。RANKは、破骨細胞および免疫系細胞上の膜受容体であり、そして破骨細胞の分化、生存および活性化を促進するには、RANKLとの結合が必要である。
【0039】
[048]最近、Marchelliらは、萎縮性偽関節骨幹骨折の患者において、治癒した、および治癒中の対照に比較して、平均血清OPGレベルが有意に増加することを立証した。患者において血清OPGレベルが有意により高いことから、破骨細胞下方制御とともに、RANK/RANKL/OPG系における不均衡が示唆されうる(Marchelli Dら, J. Orthop. Traumatol., 2009 Jun; 10(2): 55)。
【0040】
[049]さらに、Gerstenfeldらは、破骨細胞阻害剤(アレンドロネートおよびデノスマブ)が、片側横断大腿骨折マウスにおける、軟骨の除去および骨折仮骨のリモデリングを遅延させることを立証した(Gerstenfeld LCら, J. Bone. Miner. Res., 2009 Feb; 24(2): 196−208)。
【0041】
[050]骨リモデリングは、破骨細胞による骨浸食および吸収後の、骨芽細胞による骨形成を含む。本明細書に提供する方法は、破骨細胞産生、そしてしたがって骨吸収を刺激して、新規骨形成を含む骨リモデリングを刺激する工程を含む。さらなる態様において、破骨細胞の骨吸収活性を増進してもよい。別の態様において、本明細書に提供する方法は、骨芽細胞産生の代わりにまたはこれに加えて、破骨細胞産生を刺激して、骨リモデリングを刺激する工程を含む。骨芽細胞を既知の方法によって刺激してもよく、こうした方法には、限定されるわけではないが、どちらも本明細書に援用される、WO/2005/123191; Andress, IGF−binding protein−5 stimulates osteoblast activity and bone accretion in ovariectomized mice, Am. J. Physiol. Endocrinol. Metabl., Vol. 281, Issue 2, E283−288, August 2001が含まれる。破骨細胞産生、破骨細胞増進、および/または骨芽細胞産生を刺激し、そしてそれによって骨リモデリングおよび形成を刺激する、移植物を提供してもよい。移植物には、破骨細胞産生を刺激するかまたは破骨細胞の吸収活性を増進するための、1以上の刺激物質が含まれてもよい。移植物にはさらに、骨芽細胞産生を刺激するための1以上の刺激物質が含まれてもよい。実質的に骨芽細胞活性のみを増加させることによる、骨成長を刺激するための慣用的なアプローチとは対照的に、破骨細胞活性の刺激は、骨治癒の吸収およびリモデリングの側面を利用する。いくつかの態様において、破骨細胞産生を刺激し、そしてまた、骨芽細胞産生も刺激する、移植物を提供してもよい。
【0042】
[051]移植物は、以下により完全に記載するように、体内に移植するのに適した任意の材料を含んでもよい。一般的に、移植物は、任意の天然または合成構造(骨、組織、タンパク質、炭水化物、ポリマー、またはその他)またはこれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、移植物は、すべての目的のために本明細書に援用される、米国特許第6,294,187号および第6,696,073号に記載されるものなどの骨またはポリマーを含んでもよい。移植物は、その全体が本明細書に援用される、すべて、骨マトリックス組成物および方法に関する、米国特許出願第12/140,044号、ならびに米国特許公報第2007/0098756号および第2007/0110820号に記載されるものなどの骨材料を含んでもよい。移植物が骨を含む態様において、骨は、自己、同種、異種、トランスジェニックであっても、または遺伝的に操作されていてもよい。さらに、当該技術分野に知られる方法を利用して、骨、例えば同種ドナー骨を得てもよい。骨由来要素は、例えば、本明細書に援用される米国特許第6,616,698号に記載されるような多様な適切な方法によって、容易に得られうる。
【0043】
[052]したがって、移植材料および少なくとも1つの刺激物質を含む移植物を提供する。移植された際、移植物は破骨細胞産生を刺激し、それによって吸収プロセスを刺激し、そして骨リモデリングおよび移植片取り込み速度を増加させる。一般的に、いくつかの態様において、移植物は、ある期間に渡って、破骨細胞刺激を提供する、タンパク質放出曲線を生じてもよい。いくつかの態様において、本明細書で提供する移植物は、破骨細胞産生に加えてまたはその代わりに、骨芽細胞産生を刺激してもよい。
【0044】
[053]骨格の多様な部分で、破骨細胞刺激因子が有害な効果を生じる潜在的可能性を減少させるため、破骨細胞刺激因子の放出が、時間、位置、または両方の意味で、局所的であるように、破骨細胞刺激因子を、キャリアー上、手術部位に置いてもよい。これは、手術移植物上に局在した破骨細胞活性を提供することも可能であり、一方、破骨細胞によって放出される増殖因子は、移植片部位全体を移動し、そして主に移植片部位内で、骨芽細胞を刺激することも可能である。ポリマー、セラミックなどの材料、骨などの組織、またはこれらの組み合わせなどの材料を含む、任意の適切なキャリアーを破骨細胞刺激因子用に用いてもよい。材料は、刺激因子(単数または複数)が、主に材料に近い破骨細胞によって取り込まれるように、ゆっくりと刺激因子を放出してもよい。あるいは、因子はまた、主に骨芽細胞作用によって放出されてもよい。リン酸カルシウムセラミックまたは皮質骨(同種移植片または異種移植片)などの材料は、破骨細胞によってゆっくりと吸収される。刺激因子がリン酸カルシウムセラミックまたは皮質骨内にある場合、破骨細胞活性は、刺激因子を放出し、より迅速な破骨細胞活性および材料のより迅速な吸収を促進しうる。これは、破骨細胞活性局在化を補助しうる。さらに、通常は数年存続するであろう材料が、より短い時間でリモデリングするようにして、したがって部位の完全な治癒を加速することも可能であるため、これは、全体として移植片治癒に好適でありうる。さらに、破骨細胞刺激物質はまた、破骨細胞関連DNA、RNAまたはsiRNA(低分子干渉RNA)を含有するように操作されている細胞によって放出されることもまた可能である。したがって、因子放出プロフィールは、遺伝子取り込みおよびトランスフェクション/形質転換効率によって調節されうる。
【0045】
[054]II.移植可能材料の提供
[055]多様な態様において、移植物に、任意の適切な移植可能材料を用いてもよい。適切な材料には、限定なしに、生体適合性移植物を形成するのに使用可能な、任意の天然または合成構造(骨、組織、タンパク質、炭水化物、ポリマー、またはその他)またはこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの態様において、移植物は、完全にミネラル化された骨を含む。別の態様において、移植物はリン酸カルシウムミネラルを含み、該リン酸カルシウムミネラルは、合成、非合成であるか、または骨に由来する。一般的に、移植物は、骨(自己、同種、異種、トランスジェニック;ミネラル化、脱ミネラル化、または部分的に脱ミネラル化)、ポリマー(例えばポリアルキレン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(グラクサノン(glaxanone))、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ピロリカシド(pyrolicacid))、ポリ(ホスファゼン)、ポリカーボネート、他の生体吸収性ポリマー、例えばDacronまたは他の既知の手術用プラスチック、天然生物学的由来材料、例えばコラーゲン(既知のコラーゲン材料、およびその全体が本明細書に援用される、2008年2月12日出願の米国特許出願第12/030,181号に開示されるようなコラーゲン材料を含む)、ゼラチン、キトサン、アルギネート、セラミック(骨成長エンハンサー、ヒドロキシアパタイト等を含む)、PEEK(ポリエーテル−エーテルケトン)、乾燥生物分解性材料、金属、複合材料、生体適合性織物(例えば綿、絹、リネン)、細胞外マトリックス構成要素、組織、または合成および天然材料の複合体、あるいはその他を含む。
【0046】
[056]移植物の材料は、特定の特性、例えば構造、支持、X線不透過性、または他の特性を示すように選択可能である。例示的材料には、場合によってあらかじめ決定された粒子サイズの表面脱ミネラル化骨、場合によってプレスされた脱ミネラル化骨線維、および/または同種移植片が含まれる。物質が生物学的である態様に関しては、物質は、自己、同種、異種、またはトランスジェニックであってもよい。他の適切な材料には、例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、コラーゲン、同種移植片骨、自己移植片骨、軟骨刺激物質、同種移植片軟骨、TCP、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウム、ポリマー、ナノ線維ポリマー、増殖因子、増殖因子のキャリアー、組織の増殖因子抽出物、脱ミネラル化骨マトリックス、象牙質、骨髄吸引物、多様な骨誘導性または骨伝導性キャリアーと組み合わせた骨髄吸引物、脂質由来または骨髄由来成体幹細胞の濃縮物、臍帯由来幹細胞、多様な骨誘導性または骨伝導性キャリアーと組み合わせた成体または胚性幹細胞、トランスフェクション細胞株、骨膜由来の骨形成細胞、骨刺激および軟骨刺激材料の組み合わせ、骨形成性または軟骨形成性細胞系譜由来の拘束された(committed)または部分的に拘束された細胞、あるいは上記のいずれかの組み合わせが含まれる。1つの態様にしたがって、材料は、その全体が本明細書に援用される、すべて、骨マトリックス組成物および方法に関する、米国特許出願第12/140,044号、ならびに米国特許公報第2007/0098756号および第2007/0110820号に記載されるものなどの骨誘導性骨マトリックス組成物であってもよい。提供されるような移植のための材料は、均質であるか、または一般的に単一の物質であってもよく、あるいは不均一であるか、または物質の混合物であってもよい。
【0047】
[057]移植物は、多様な形状、形、構造、および耐荷重能のものであってもよい。移植物材料として用いるのに適したコラーゲン材料は、すべて本明細書に援用される、米国特許出願第11/673,972号、米国特許出願第12/030,188号、PCT出願第PCT/US2008/053763号、およびPCT出願第PCT/US2009/33799号に開示されるような、ヒト・コラーゲンの分散物から形成されてもよい。移植物は、例えばコラーゲンとともに、緩やかに接着した粒子状材料で作製された形状保持固体を含んでもよい。移植物はまた、鋳造、多孔固体、または単に緊密に充填され、周囲組織によって適所に保持される粒子凝集物も含んでもよい。例えば、すべて、あらゆる目的のため、その全体が本明細書に援用される、米国特許第6,863,694号、第6,843,807号、第6,808,585号、第6,294,041号、第6,123,731号、および第5,899,939号を参照されたい。パルプ状にされた(masticated)筋肉または他の組織もまた使用可能である。いくつかの態様において、移植物は、硬化性(settable)および/または注入可能な材料、例えばポリマー性セメント、硬化性リン酸カルシウム、硬化性ポリビニルアルコール、ポリウレタン、または液体硬化性ポリマーを含んでもよい。適切な硬化性リン酸カルシウムが、本明細書に援用される米国特許第5,336,264号および第6,953,594号に開示される。さらに、バイオ複合材料を用いてもよい。バイオ複合材料を調製するのに適した材料は、すべて、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に援用される、米国特許公報第2007/0191963号、第2006/0216323号、および第2005/0251267号、米国特許第6,696,073号、第6,478,825号、第6,440,444号、および第6,294,187号に開示される。米国特許第7,323,193号、第7,163,691号、第6,863,694号、第6,808,585号、第6,616,698号、第6,599,520号、第6,436,138号、第5,676,146号、第5,510,396号、第5,507,813号、第5,484,601号、第5,439,684号、第5,405,390号、第5,314,476号、第5,298,254号、第5,290,558号、第5,284,655号、第5,236,456号、第5,073,373号、米国特許出願公報第2007/0098756号、第2007/0110820号;第2007/0154563号;第2009/0130173号、および第2009/0192474号、ならびに米国特許出願第12/171,168号;第12/205,539号;第12/140,062号;第12/267,985号;第12/140,025号;第12/267,985号;第12/254,619号、第61/108,350号;第61/152,057号;第61/154,673号;第61/154,679号、および第61/154,689号もまた、その全体が本明細書に援用される。
【0048】
[058]移植物が分解中に材料を放出するように、移植物の材料を選択しそして処理してもよい。したがって、移植物が体に吸収されるにつれて、活性放出材料が放出されるように、骨形態形成タンパク質(BMP)、増殖因子、抗生物質、血管形成促進材料(以下により詳細に論じる)、生物活性物質(以下により詳細に論じる)、または他の活性放出材料を移植物材料に取り込んでもよい。例えば、活性放出材料を、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)などの生物分解性ポリエステルで製造されるものなどの生物分解性ポリマー移植物に取り込んでもよい。いくつかの態様において、ポリ(エチレングリコール)(PEG)を生物分解性ポリエステルに取り込んで、親水性および他の物理化学特性を付加して、薬剤送達を増進してもよい。
【0049】
[059]いくつかの態様において、移植物には、その内容が本明細書に援用される、米国特許第6,399,693号に記載されるような、1以上の他の構成要素、例えば、結合剤、接着剤、充填剤、生物学的活性構成要素、補強構成要素または補強構造、およびカップリング剤が含まれてもよい。さらなる例示的な移植物は、その内容が本明細書に援用される、米国特許第6,478,825号に記載されるような、異種、同種、トランスジェニック、操作、および/または自己皮質および/または海綿骨の粒子、粉末、顆粒、線維、ストリップ、および/またはより大きいピース、ならびに他のミネラル、化合物、および結合剤を含有してもよい。移植物はまた、本明細書に援用される、米国特許第7,291,345号および米国公報第2006/0216323号に記載されるような、ポリマー、生物学に基づくポリウレタン、無機セラミックス、およびリン酸カルシウム材料も含んでもよい。
【0050】
[060]移植物を成形してもよい。所望のサイズおよび立体配置の移植物を提供するため、個々にまたは組み合わせて使用可能な多様な方法によって、成形移植物を生成してもよい。例えば、成形移植物および移植物を成形する方法が、本明細書に援用される米国特許第6,696,073号に論じられる。
【0051】
[061]いくつかの態様にしたがって、1以上の生物活性剤または生物活性化合物で、移植物の材料を補充するか、さらに処理するか、または化学的に修飾してもよい。本明細書において、生物活性剤または生物活性化合物は、生物学的または化学的事象を改変するか、阻害するか、活性化するか、または別の方式でこれに影響を及ぼす化合物または実体を指す。例えば、生物活性剤には、限定されるわけではないが、骨形成性または軟骨形成性タンパク質またはペプチド;米国特許第5,073,373号に記載されるような脱ミネラル化骨粉;コラーゲン、不溶性コラーゲン誘導体等、およびそれが溶解された可溶性固体および/または液体;抗AIDS物質;抗癌物質;抗微生物剤および/または抗生物質、例えばエリスロマイシン、バシトラシン、ネオマイシン、ペニシリン、ポリマイシンB、テトラサイクリン、ビオマイシン(biomycin)、クロロマイセチン、およびストレプトマイシン、セファゾリン、アンピシリン、アザクタム、トブラマイシン、クリンダマイシンおよびゲンタマイシン等;免疫抑制剤;抗ウイルス物質、例えば肝炎に対して有効な物質;酵素阻害剤;ホルモン;神経毒;オピオイド;催眠剤;抗ヒスタミン剤;潤滑剤;精神安定剤;抗痙攣剤;筋弛緩剤および抗パーキンソン物質;チャネル遮断剤を含む鎮痙剤および筋肉収縮剤;縮瞳剤および抗コリン作用剤;抗緑内障化合物;抗寄生虫および/または抗原生動物化合物;細胞増殖阻害剤および抗接着分子を含む細胞−細胞外マトリックス相互作用の調節剤;血管拡張剤;DNA、RNA、またはタンパク質合成の阻害剤;抗高血圧剤;鎮痛剤;解熱剤;ステロイドおよび非ステロイド抗炎症剤;抗血管形成因子;血管形成因子およびこうした因子を含有するポリマー性キャリアー;抗分泌因子;抗凝固剤および/または抗血栓剤;局部麻酔剤;点眼剤;プロスタグランジン;抗鬱剤;抗精神病物質;制吐剤;画像化剤;デキストラン、グルコースなどの殺生物/生物静止性(biostatic)の糖;アミノ酸;ペプチド;ビタミン;無機要素;タンパク質合成の補因子;内分泌組織または組織断片;合成装置;アルカリホスファターゼ、コラゲナーゼ、ペプチダーゼ、オキシダーゼなどの酵素;実質細胞を含むポリマー細胞骨格;コラーゲン格子;抗原性剤;細胞骨格剤;軟骨断片;軟骨細胞、骨髄細胞、間葉系幹細胞などの生存細胞;天然抽出物;遺伝子操作された生存細胞または別の方式で修飾された生存細胞;増殖させたかまたは培養した細胞;プラスミド、ウイルスベクター、または他の手段によって送達されるDNA;組織移植物;血液、血清、柔組織、骨髄等の自己組織;生物接着剤;骨形態形成タンパク質(BMP);骨誘導性因子(IFO);フィブロネクチン(FN);内皮細胞増殖因子(ECGF);血管内皮増殖因子(VEGF);セメント質付着抽出物(CAE);ケタンセリン:ヒト成長ホルモン(HGH);動物成長ホルモン;上皮増殖因子(EGF);インターロイキン、例えばインターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2);ヒト・アルファトロンビン;トランスフォーミング増殖因子(TGF−ベータ);インスリン様増殖因子(IGF−1、IGF−2);副甲状腺ホルモン(PTH);血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞増殖因子(FGF、BFGF等);歯根膜走化性因子(PDLGF);エナメル基質タンパク質;増殖および分化因子(GDF);タンパク質のヘッジホッグファミリー;タンパク質受容体分子;上記増殖因子由来の小ペプチド;骨促進剤;サイトカイン;ソマトトロピン;骨消化剤;抗腫瘍剤;細胞誘因剤および付着剤;免疫抑制剤;浸透増進剤、例えばポリエチレングリコールのラウリン酸(laureate)、ミリスチン酸およびステアリン酸モノエステルの脂肪酸エステル、エナミン誘導体、アルファ−ケトアルデヒド等;ならびに核酸が含まれてもよい。
【0052】
[062]特定の態様において、生物活性剤は薬剤であってもよい。薬剤は、合成または天然存在薬剤であってもよい。薬剤は、小分子または巨大分子、ペプチド、ヌクレオチドまたはその組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、生物活性剤は、増殖因子、サイトカイン、細胞外マトリックス分子、あるいはその断片または誘導体、例えばRGDなどのタンパク質またはペプチド配列であってもよい。本発明で使用するのに適した生物活性剤および特定の薬剤のより完全な列挙は、Axel KleemannおよびJurgen Engelによる、“Pharmaceutical Substances: Syntheses, Patents, Applications”, Thieme Medical Publishing, 1999; the “Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, and Biologicals”, Susan Budavariら監修, CRC Press, 1996;およびUnited States Pharmacopeia−25/National Formulary−20, 米国薬局方協会、メリーランド州ロックビル刊行, 2001に見出されうる。
【0053】
[063]本明細書の説明は、移植物がミネラル化骨を含む態様に重点を置く。これは例示目的のみのためであり、そして限定を意図しないことが認識されるものとする。
[064]III.少なくとも1つの刺激物質の提供
[065]刺激物質を提供する。刺激物質は、破骨細胞形成につながるシグナル伝達カスケードに関与するか、これを刺激するか、またはこれに影響を及ぼす、タンパク質、ペプチド、ホルモン、ヌクレオチド、小分子、巨大分子またはその組み合わせなどのいかなる物質であってもよい。刺激物質はまた、破骨細胞の骨吸収活性を増進する任意の物質であってもよい。いくつかの態様において、刺激物質は、あるいはまたはさらに、骨芽細胞形成を刺激してもよい。刺激物質はまた、破骨細胞分裂または融合を増加させてもよい。いくつかの態様において、刺激物質は、破骨細胞成熟を増進するか、または破骨細胞寿命を延長させうる。刺激物質が破骨細胞活性を直接刺激することから刺激物質を選択してもよいし、または刺激物質が破骨細胞形成または活性を阻害する因子または細胞に競合するか、これらを不活性化するか、これらに結合するか、またはこれらを下方制御することから、刺激物質を選択してもよい。例えば、刺激物質は、OPGまたは他の破骨細胞阻害剤の分泌を減少させ、それによって破骨細胞形成の阻害を防止してもよい。したがって、広い意味で、刺激物質は、「破骨細胞刺激剤」または「抗破骨細胞阻害剤」であってもよい。
【0054】
[066]破骨細胞活性を直接刺激するタンパク質は、MCSFまたはカスケードのさらに先で分泌される他のタンパク質、例えばADAMタンパク質、例えばADAM−12の分泌を刺激可能である。破骨細胞活性を刺激する例示的な刺激物質には、MCSF、RANKL、ADAM−12、インターロイキン(IL−1ベータ、IL−3、IL−6、IL−11)、およびbFGFが含まれる。シグナル伝達カスケードのさらに先での適用を有しうる別の例は、IL−3である。IL−3は、1,25ジヒドロキシビタミンD3および/またはPGE2(プロスタグランジンE2)の存在下で、破骨細胞上のカルシトニン(CT)受容体の発現を導くことも可能であり、そしてしたがって、破骨細胞の成熟に寄与する。TNF−アルファ(腫瘍壊死因子アルファ)、およびまたはVEGF(血管内皮増殖因子)によって、RANK−MCSF系から独立の他の系を開始してもよい。
【0055】
[067]いくつかの態様において、刺激物質は、破骨細胞形成または破骨細胞活性を阻害する因子に選択的に結合し、そして/または該因子を不活性化させることも可能である。例えば、移植物材料は、抗OPG抗体、断片、または他のOPG結合タンパク質を含有しうる。いくつかの態様において、刺激物質は、阻害因子に選択的に結合するポリマーであってもよい。
【0056】
[068]傷害または移植物部位でのプレ破骨細胞の接着、補充、または保持は、破骨細胞形成および刺激を補助しうる。TNFアルファおよびIL−1はどちらも、微小血管内皮細胞を刺激して、プレ破骨細胞を捕捉することによって、傷害骨部位で、細胞接着を促進する。破骨細胞形成の他の適切な刺激剤には、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、甲状腺ホルモン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子アルファ、トランスフォーミング増殖因子アルファおよび上皮増殖因子、ロイコトリエン、ビタミンA、インスリン様増殖因子−1、肝細胞増殖因子、骨形態形成タンパク質−2、およびプロスタグランジンEが含まれる。
【0057】
[069]骨芽性間質細胞は、細胞−細胞相互作用/シグナル伝達の機構を通じて、破骨細胞前駆体の破骨細胞への分化に影響を及ぼしうる。骨向性ホルモンおよびサイトカインは、前駆体細胞の破骨細胞への分化を制御する。破骨細胞前駆体の破骨細胞への分化は、少なくとも3つの独立のシグナル伝達経路:1α,25(OH)、cAMP、およびgp130が仲介するシグナルによって制御されうる。骨向性ホルモンおよびサイトカインのターゲット細胞は、骨芽性細胞であってもよい。骨芽性細胞は、骨向性ホルモンおよびサイトカインに反応して、破骨細胞分化を誘導するかまたは刺激する因子を産生しうる。骨芽性細胞はまた、破骨細胞発生を制御するM−CSFおよび補体C3などのいくつかの可溶性因子も産生する。M−CSFは、破骨細胞前駆体の増殖および分化、ならびに成熟破骨細胞の遊走、走化性、および生存において役割を有する。したがって、刺激物質は、骨芽性間質細胞、骨向性ホルモン、およびサイトカインに影響を及ぼしてもよい。
【0058】
[070]骨吸収を刺激する分子因子はまた、骨形成も刺激しうる。OPGの分泌を減少させる例示的なタンパク質には、PTHおよびヒドロコルチゾンが含まれる。例えば、ヒドロコルチゾンは、OPGの産生を阻害することによって破骨細胞活性を刺激し、そしてその使用の副作用として、骨吸収を引き起こすことが知られる。
【0059】
[071]多様な態様において、刺激物質は、核酸または核酸含有化合物であってもよい。核酸は、剤をターゲット細胞核に送達する、関連核局在化シグナルを有してもよい。核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよいし、あるいは二本鎖または一本鎖配列両方の部分を含有してもよい。核酸は、ゲノムおよびcDNA両方のDNA、RNAまたはハイブリッドであってもよく、この場合、核酸は、デオキシリボおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニンを含む塩基、および限定されるわけではないが、4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュードウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン(maninosylqueosine)、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、および2,6−ジアミノプリンを含む既知の任意の塩基類似体の任意の組み合わせを含有する。
【0060】
[072]1つの側面において、核酸は、機能性核酸を含み、ここで「機能性核酸」は、任意の生物活性核酸を指す。機能性核酸は、酵素機能を有するか、核酸の転写を制御するか、コードされるタンパク質の発現に干渉するように、mRNAの翻訳を制御するか、または細胞における他の生理学的プロセスに影響を及ぼしてもよい。機能性核酸には、例えばそして限定なしに、リボザイム、アンチセンス核酸、デコイオリゴヌクレオチド核酸、および干渉RNA(RNAi)が含まれる。これらにはまた、低分子干渉RNA(siRNA)も含まれる。
【0061】
[073]多様な態様において、上記の破骨細胞刺激タンパク質をコードしてもよい核酸、DNAおよび/またはRNAを移植物内に取り込んでもよい。タンパク質全体またはタンパク質の部分のみをコードするように、DNAまたはRNAを操作してもよい。いくつかの態様において、核酸をアミノ酸または他の分子と組み合わせて、in vivoの細胞による取り込みを補助してもよい。多様な態様において、核酸のこの取り込みは、一過性または安定発現を生じうる。
【0062】
[074]刺激物質には、非コード核酸、DNA、RNA、および核タンパク質が含まれてもよい。これらの刺激物質は、破骨細胞および/または骨芽細胞形成および/または活性に影響を及ぼしうる。多様な態様において、刺激物質は、例えば、破骨細胞形成を阻害する因子の発現を下方制御しうる干渉RNA(RNAi)であってもよい。こうした移植物は、例えば、破骨細胞形成を防止するかまたは破骨細胞活性を減少させるかいずれかの因子に向けられるsiRNAを含有してもよい。これらの核酸は、「アンチセンス核酸」と称されることも可能であり、そして対応する相補的なまたは実質的に相補的な核酸鎖にハイブリダイズして、相補鎖によってコードされる遺伝子の発現を阻害すると特徴付けられる、核酸、特にオリゴヌクレオチドの形のものを含む。
【0063】
[075]アンチセンス分子は、適切なベクター中のターゲット遺伝子配列のすべてまたは一部の発現によって産生可能であり、ここで、転写開始は、アンチセンス鎖がRNA分子として産生されるように方向づけられる。あるいは、アンチセンス分子は合成オリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般的に、少なくとも長さ約7ヌクレオチド、一般的には少なくとも約12、より一般的には少なくとも約20であり、そして約500以下、一般的には約50以下、より一般的には約35ヌクレオチド以下であり、ここで、長さは、阻害効率、交差反応の欠如を含む特異性等によって支配される。一般的に、長さ7〜8塩基の短いオリゴヌクレオチドは、遺伝子発現の強くそして選択的な阻害剤でありうる(例えば、Wagnerら, Nature Biotechnol. 14:840−844(1996)を参照されたい)。
【0064】
[076]オリゴヌクレオチド用の特異的配列の選択は、実験的方法を用いてもよく、ここで、in vitroまたは動物モデルにおいて、ターゲット遺伝子の発現阻害に関して、いくつかの候補配列をアッセイする。配列の組み合わせもまた用いてもよく、ここで、mRNA配列のいくつかの領域をアンチセンス相補性に関して選択する。アンチセンス核酸は、例えば、そして限定なしに、受容体、ホルモン、シグナル伝達分子、ペプチド、および膜貫通タンパク質を含む、任意の発現されるタンパク質に向けられてもよい。
【0065】
[077]多様な態様において、刺激物質は細胞であってもよいし、または刺激物質に加えて、細胞を添加してもよい。例えば、細胞はまた、移植前に移植物材料と組み合わされてもよい。いくつかの態様において、細胞は破骨細胞前駆体細胞であってもよい。他の態様において、細胞は、破骨細胞分化を誘導してもよいし、または破骨細胞活性を刺激してもよい。さらに他の態様において、細胞は間質細胞、骨芽細胞、または間葉系細胞を含む骨芽細胞前駆体であってもよい。
【0066】
[078]いくつかの態様において、刺激物質をコードする遺伝子のバージョンまたは該遺伝子の過剰なコピーを含有する細胞を移植物材料に添加してもよい。例えば、刺激物質を分泌するか、発現するか、または産生するように操作された細胞を移植物と組み合わせてもよい。次いで、これらの細胞は、タンパク質または他の分子を含む破骨細胞刺激物質を局所的に産生してもよい。
【0067】
[079]あるいは、刺激物質は、破骨細胞阻害剤の形成を減少させるか、または該剤を阻害する物質であってもよい。こうした抗破骨細胞阻害剤には、カルシトニン、カルシトニン関連ペプチド、エストロゲンおよびアンドロゲン、グルココルチコイド、インターフェロン−γ、およびインターロイキン−4の形成または活性を減少させる物質が含まれてもよい。さらなる態様において、刺激物質には、骨芽細胞を刺激する物質、例えば増殖因子および他の誘導性物質が含まれてもよい。こうした物質は、幹細胞の骨芽細胞への分化に影響を及ぼしうる。上に同定する物質、他の刺激物質、ならびにこれらの混合物および組み合わせのいずれもが本発明で使用可能である。
【0068】
[080]IV.移植物材料への少なくとも1つの刺激物質の適用
[081]いくつかの態様において、少なくとも1つの刺激物質とともに移植物を提供する。こうした物質を移植物材料に直接添加してもよいし、または移植物材料に混合物として添加してもよい。物質は、適用のin vivo部位で、物質を維持可能な適切なキャリアー材料と会合していてもよい。キャリアーは生体適合性でin vivo生物分解性であり、そして細胞浸潤を可能にするため、十分に多孔であってもよい。
【0069】
[082]1つの態様において、ミネラル化骨などのミネラル化構成要素、リン酸カルシウム、または硫酸カルシウムを含む移植物に、少なくとも1つの刺激物質を添加する。別の態様において、移植物とともに含まれる構成要素内への刺激物質の取り込みによって、少なくとも1つの刺激物質を移植物に添加する。タンパク質の送達のために構成要素を設計し、そして形成してもよい。こうした構成要素には、例えば、DBMまたはポリマーマトリックスが含まれてもよい。
【0070】
[083]いくつかの態様において、移植物は、ミネラル化構成要素、およびヒドロゲル、ポリマー、コラーゲン、または硫酸カルシウムなどのより迅速な吸収ミネラルなどのマトリックスの混合物を含んでもよい。混合物は、ある期間に渡って破骨細胞刺激を提供する、タンパク質放出曲線を生じるように発展させてもよい。混合物とともに、少なくとも1つの刺激物質を提供してもよい。被包およびマイクロカプセル化、ならびにポリマーが再吸収するにつれて薬剤が溶出され始めるような、再吸収可能ポリマー内への分子の付着を含めて、物質を送達するための多様な方法を用いてもよい。「ポリマー薬剤」を参照されたい(例えば、http://rutchem.rutgers.edu/content dynamic/faculty/kathryn uhrich.shtml)。他の方法には、表面上への材料の凍結乾燥および表面上への物質の固定(例えば化学的付着による)が含まれる。
【0071】
[084]刺激物質をキャリアーに添加して物質混合物を形成してもよく、そして該混合物を用いて、移植物をコーティングしてもよい。移植物を物質槽中に浸すことによって、移植物に物質を含浸させてもよく、この槽は、懸濁物、溶液、あるいは物質および液体または気体の任意の他の混合物であってもよい。移植物材料を微粒子状にして、そしてキャリアーに添加してもよく、そしてまた物質もキャリアーに添加してもよい。
【0072】
[085]V.移植物の形成
[086]移植物を成形し、鋳造してもよく、そして/または移植物は変形性であってもよい。移植物は、一体化移植物またはより小さい要素の凝集物を含んでもよい。移植物は、シート、プレート、ディスク、トンネル、円錐、管、またはその他などの、決定されたまたは通常の形状または立体配置を取ってもよい。作製済みの形状には、限定されるわけではないが、単一部位使用のための三日月型エプロン、骨内(intra−bony)欠損のために歯間に配置するためのI形状、頬側および舌の歯槽堤両方が関与する欠損のための四角形のビブ、中和プレート、再構築プレート、支持プレート、T支持プレート、スプーンプレート、クローバー型プレート、顆状プレート、圧縮プレート、ブリッジプレート、または波状プレートが含まれてもよい。部分的管状ならびに平面プレートを骨移植片から製作してもよい。こうしたプレートには、例えば、起伏のある凹面、ボウル型、または欠損型のコンホメーションが含まれてもよい。移植物は、機械加工されるか、または任意の適切な機械的成形手段によって成形されてもよい。コンピュータ化モデリングは、非常に正確に骨修復部位に移植物をカスタムフィットさせる、複雑に成形された三次元構造を提供しうる。移植物は、in vivoの移植物の配置に合わせた固定要素または他の形状を有してもよい。移植物が成形されるかまたは鋳造可能である態様において、移植物は、液体中で干渉性(coherence)を有してもよい。
【0073】
[087]一般的に、一体化移植物は、特定の寸法または立体配置に機械加工するのに適している。上述のように、材料の凝集物を含む移植物を鋳造し、そして/または機械加工してもよい。あるいは、こうした凝集移植物を押出成形するかまたは別の方式で形成してもよい。1つの態様において、ミネラル化骨粒子をキャリアーと組み合わせ、そしてキャリアーおよびミネラル化骨粒子の組み合わせを鋳造することによって、ミネラル化骨粒子の凝集物で形成される移植物を形成してもよい。鋳造されたキャリアーおよびミネラル化骨粒子をさらに機械加工してもよい。いくつかの態様において、移植物をジェルまたはペーストとして形成してもよい。一般的に、有用なDBM移植物が、各々、本明細書に援用される、米国特許第5,073,373号;第5,284,655号;第5,290,558号;第5,314,476号;第5,507,813号;第5,510,396号;および第5,676,146号に開示される。
【0074】
[088]1つの態様にしたがって、移植物は、大きなセグメント状同種移植片ピース、例えば骨軟骨または他の一般的に大きな同種移植片ピースを含む。こうした移植物を腫瘍再構築および外傷のために用いてもよい。特定の態様にしたがって、大きなセグメント状同種移植片ピースはミネラル化骨である。
【0075】
[089]いくつかの態様において、移植物は、別の構造または被覆、例えばメッシュバッグまたはケージ内に提供されてもよい(上に援用する参考文献を参照されたい)。被覆中で提供されるこうした移植物は、実質的に、粘着性、鋳造可能、注入可能、固形、流動性、または粒子状であってもよい。例えば、被覆が、そうでなければ緩んでいてそして粘着性でない骨セグメントを保持するように、刺激物質を含む複数の骨セグメントを被覆中に配置してもよい。
【0076】
[090]いくつかの態様において、移植物は構造移植物であり、そしてしたがって、in vivoで耐荷重位置に適した立体配置を有してもよい。例えば、移植物は、皮質骨または密なヒドロキシアパタイトの隣接する骨格を含んでもよい。構造骨移植物に関する特定の適用に応じて、皮質骨を多様な立体配置に構成してもよい。構造骨移植物は、しばしば、複雑な形状、例えば、一連の段;凹表面または凸表面;先細表面;平面;隣接する骨、ツール、または移植物、六角型凹面、ねじ穴の対応する表面とかみ合うための表面;鋸歯状等で提供される。
【0077】
[091]したがって、多様な態様において、移植物は一体化しているか、または粒子の凝集物を含んでもよい。移植物は、実質的に固形、流動性、または鋳造可能であってもよい。移植物は、実質的に粘着性であってもよいし、または例えば被覆によって保持される複数のセグメントを含んでもよい。
【0078】
[092]VI.場合による添加物
[093]場合によって、移植物に他の添加物を提供してもよい。用いる添加物の量は、添加物のタイプ、使用する特定の添加調製物の比活性、および移植物の意図される使用に応じて多様でありうることが認識されるであろう。所望の量は、使用者によって容易に決定可能である。任意の多様な内科的および/または外科的に有用な場合による物質を、治療前、治療中、または治療後に、組織中に取り込んでもよいし、または組織と会合させてもよい。
【0079】
[094]特定の態様において、添加物は、移植物に吸着しているかまたは別の方式で移植物と会合している。特定の態様において、添加物がin vivoで受容体または作用部位と自由に会合するように、リンカーを用いて、添加物を移植物に付着させる。他の態様において、添加物は、移植物に共有的にまたは非共有的にのいずれかで付着する。添加物を、持続放出形式で、移植物内に提供してもよい。例えば、添加物を、生物分解性ナノ球体、ミクロ球体等の中に被包してもよい。
【0080】
[095]適切な添加物には、血管形成促進物質、生物活性剤、内科的/外科的に有用な物質、および骨誘導剤が含まれる。当業者には、本明細書に含まれる場合による物質のリストが包括的ではなく、そして他の物質を本明細書に開示する移植物とともに提供してもよいことが理解されるであろう。
【0081】
[096]骨誘導剤
[097]刺激物質に加えて、他の骨誘導剤を移植物に添加してもよい。これらの剤を活性化型または非活性化型で添加してもよい。これらの剤を移植物調製中、いかなる時点で添加してもよい。
【0082】
[098]骨誘導剤には、骨形成を導くかまたは増進する任意の剤が含まれる。骨誘導剤はこれをいかなる方式で行ってもよく、例えば剤は、骨形成に関与する細胞の補充を導いてもよいし、剤がマトリックス分泌を導き、該マトリックスが続いてミネラル化を経てもよいし、その他でもよい。適切な骨誘導剤には、BMP、トランスフォーミング増殖因子(TGF−0)等が含まれる。1つの態様において、誘導剤は、移植物への誘導剤の結合を促進するアミノ酸配列を含むように遺伝子操作される。本明細書に援用されるSebaldら、PCT/EPOO/00637は、DBMとともに使用するのに適した例示的な操作増殖因子の産生を記載する。
【0083】
[099]VII.使用
[0100]移植物を骨修復部位、例えば傷害、手術の経過中にもたらされた欠損、感染、悪性腫瘍、または発生奇形から生じる部位に適用してもよい。いくつかの態様において、耐荷重機能を有する移植物を部位に適用してもよい。移植物を、代謝性骨疾患の治療、骨治癒、軟骨修復、脊椎円板修復、腱修復、疾患または手術によって生成される欠損の修復、硬膜修復に用いてもよく、そして非常に多様な整形外科、歯周、神経外科、ならびに口腔および顎顔面外科処置において、さらに用いてもよい。構造移植片を必要とする適用の例には、介在性移植片、脊椎固定術、関節プラトー、関節癒合、大規模骨再構築等が含まれる。破骨細胞刺激特性を有する巨大移植物は、治癒プロセスに寄与しうる。移植物をさらに、獣医学的適用に用いてもよい。
【0084】
[0101]移植物をさらに、薬剤送達デバイスとして用いて、例えば創傷治癒を促進する因子または剤を送達してもよい。あるいはまたはさらに移植物を用いて、抗生物質、抗新生物剤、増殖因子、造血因子、栄養素、上記の他の生物活性剤等を含む他の薬学的剤を送達してもよい。移植物とともに含まれる生物活性剤の量は非常に多様であってもよく、そしてこれは、送達される剤、投与部位、および患者の生理学的状態などの要因に応じるであろう。移植物の意図される使用に基づいて、特定の場合の最適レベルを決定する。
【0085】
[0102]欠損部位における移植物の配置の直前に、場合による材料、例えば自己移植片骨髄吸引物、自己移植片骨、選択される自己移植片細胞の調製物、骨促進作用をコードする遺伝子を含有する自己移植片細胞等を、移植物と合わせてもよい。望ましい場合、任意の適切な固定手段、例えば縫合、ステープル、生物接着剤、ネジ、ピン、リベット、他の留め具等を用いて、移植物を骨修復部位に移植してもよいし、あるいは周囲を柔組織でクロージングすることによって適所に保持してもよい。
【実施例】
【0086】
[0103]VIII.実施例
[0104]実施例1
[0105]本実施例は、プレ破骨細胞を提供すると、間葉系分化が生じることを示す。破骨細胞は、造血単核幹細胞または造血前駆体由来の血液由来細胞である。該前駆体は、互いに融合し、そして機能的に成熟した骨細胞に分化する。破骨細胞および骨芽細胞系譜にある細胞は、細胞−細胞接触、分散性パラクリン因子および細胞−骨マトリックス相互作用を通じて互いにコミュニケートする。破骨細胞−骨芽細胞コミュニケーションは、骨リモデリングの開始期、遷移期および終結期に、基本的多細胞単位(BMU)で起こる。開始期では、造血前駆細胞が基本的多細胞単位に補充され、そして骨芽細胞との細胞−細胞接触を通じて、破骨細胞に分化するよう誘導される。破骨細胞上のエフリンB2および骨芽細胞前駆体上のEphB4間で二方向性シグナル伝達が起こる。
【0087】
[0106]間葉系細胞分化に対する破骨細胞前駆体の影響を試験するため、破骨細胞前駆体細胞株、RAWを、間葉系細胞株、C2C12と共培養した。DMEM、L−グルタミン、アスコルビン酸、ベータ−グリセロリン酸およびデキサメタゾンを含有する骨形成性分化培地を用いて、細胞を1:4の比で植え付けた。C2C12間葉系細胞株の培養を対照として用いた。
【0088】
[0107]マーカーとしてアルカリホスファターゼ染色を用いて、第10日に骨芽細胞分化を評価した(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイスのアルカリホスファターゼ染色キット)。また、視覚的マーカーとして細胞をアリザリンレッドでも染色した。アルカリホスファターゼおよびアリザリンレッドを590nmで測定した。図2は、これらの研究の結果を示す。アルカリホスファターゼ(ALP)およびアリザリンレッド(AR)を用いて細胞を染色した。A: C2C12対照培養;AR。B: C2C12対照培養;ALP。C: C2C12およびRAW共培養(AR)。D: C2C12およびRAW共培養;ALP。E: 590nmのALP吸光度。F: 590nmのAR吸光度。対応のないスチューデントT検定を用いてデータを分析した。
【0089】
[0108]RAWおよびC2C12細胞の共培養(図2CおよびD)は、C2C12対照培養(図2AおよびB)に比較した際、有意に高いレベルのアルカリホスファターゼおよびアリザリンレッド染色を示した。染色した培養の吸光度を590nmで測定し、そして図2Eおよび2Fに示す。図2Eは、アルカリホスファターゼ染色のグラフであり、C2C12のみの培養に比較した際、RAW/C2C12培養中で測定した吸光度が2倍の増加より大きいことを示す。
【0090】
[0109]これらのデータは、C2C12間葉系細胞が、RAW破骨細胞前駆体細胞の存在下で、骨芽細胞に分化するよう誘導されたことを示唆する。したがって、自己破骨細胞前駆体を含む植付け移植物材料は、移植される材料に骨誘導特徴を付加するであろう。
【0091】
[0110]実施例2
[0111]仮骨形成は、骨芽性新規骨形成および破骨性吸収活性に依存する。リモデリング期中、破骨細胞活性が非常に高い。破骨細胞生物学の主なパラダイムは、核因子κBの受容体活性化因子(RANK)、そのリガンド(RANKL)、およびオステオプロテジェリン(OPG)の発見とともに生じてきた。これらの因子は、骨吸収および破骨細胞活性制御に深く関与している。RANKは、破骨細胞およびいくつかの免疫系細胞上で見られる膜受容体である。RANKは、RANKLに結合して、破骨細胞の分化、生存および活性化を促進する。
【0092】
[0112]最近、Marchelliらは、萎縮性偽関節骨幹骨折の患者において、治癒した、および治癒中の対照に比較して、平均血清OPGレベルが有意に増加することを立証した。患者において血清OPGレベルが有意により高いことから、破骨細胞下方制御とともに、RANK/RANKL/OPG系における不均衡が示唆されうる(Marchelli Dら, J. Orthop. Traumatol., 2009 Jun; 10(2): 55)。
【0093】
[0113]DBMと混合された組換えRANKLが骨治癒を補助しうるかどうかを試験するため、ラット大腿における致命的欠損モデルを用いた。無胸腺ラットにおいて、3ミリメートルの欠損を生成した。ラットを2群に分け、1つの群の骨欠損に150mgのGrafton(登録商標)DBM FLEX(Osteotech、ニュージャージー州イートンタウン)を移植し、第二の群に、2マイクログラムの組換えRANKLと混合したGrafton(登録商標)DBM FLEXを与えた。3週間後、ラット大腿欠損をMicroCTで評価した。図2に示すように、RANKL治療群は、対照群に比較して、有意に(p<0.05)より高いレベルの新規骨形成を示した(図3)。対応のあるスチューデントt検定を用いて、データを分析した。
【0094】
[0114]これらの結果は、骨移植物材料と混合した組換えRANKLが、骨形成を刺激するための刺激物質として作用しうることを示唆する。
[0115]実施例3
[0116]非脱ミネラル化皮質骨を、一体化移植物として切断するか、または粒子を得るために粉々にする。材料をMSCF溶液に浸して飽和吸着させ、そして次いで凍結乾燥する。
【0095】
[0117]実施例4
[0118]非脱ミネラル化皮質骨を、一体化移植物として切断する。IL−3およびヒドロコルチゾンをアルギネートキャリアーと合わせて、タンパク質混合物を形成する。非脱ミネラル化皮質骨移植物をタンパク質混合物でコーティングする。ヒドロゲルコーティングをカルシウムイオンで架橋する。
【0096】
[0119]実施例5
[0120]リン酸カルシウムをポリマーマトリックスと合わせる。VEGFをポリマーマイクロ/ナノ粒子内に被包する。VEGF含有マイクロ/ナノ粒子を水またはエタノール中に懸濁し、そして次いで、リン酸カルシウムに適用する。
【0097】
[0121]実施例6
[0122]一体化移植物を提供する。該移植物は、部分的に脱ミネラル化された粒子状骨、破骨細胞刺激因子、およびポリマーマトリックスを、二酸化炭素などの臨界または超臨界流体下で混合することによって、形成される。
【0098】
[0123]実施例7
[0124]非脱ミネラル化海綿骨を粒子状にし、そしてグリセロールと混合する。MCSFおよびRANKLの混合物を粒子状海綿骨とグリセロールの組み合わせに添加する。生じた混合物をモールドに装填し、そして圧縮する。
【0099】
[0125]実施例8
[0126]部分的に脱ミネラル化された粒子状海綿骨をグリセロールキャリアーと混合し、そして硫酸カルシウムマトリックスに適用する。TNF−アルファをコラーゲンキャリアーと混合して、タンパク質混合物を形成する。該タンパク質混合物を、部分的に脱ミネラル化された粒子状骨および硫酸カルシウムマトリックスに適用する。
【0100】
[0127]実施例9
[0128]ヒドロキシアパタイト移植物を形成する。MCSFおよびIL−1をフカン(fucane)キャリアーと合わせて、タンパク質混合物を形成する。ヒドロキシアパタイト移植物を、該タンパク質混合物でコーティングする。
【0101】
[0129]実施例10
[0130]一体化ミネラル化皮質骨移植物を提供する。PTHまたはPTHrPを、粒子状脱ミネラル化骨マトリックスおよびグリセロールキャリアーの混合物に添加する。一体化皮質骨移植物を混合物でコーティングする。
【0102】
[0131]実施例11
[0132]表面脱ミネラル化粒子状皮質骨をプラスミドDNAと合わせる。PTH PTHrPプラスミドを、コーティングすることによって粒子状骨上に直接装填するか、またはまずポリマーマイクロ/ナノ球体内に被包し、そして次いで表面脱ミネラル化皮質骨と混合するかいずれかを行う。
【0103】
[0133]本発明は、多様な態様に言及しながら記載されてきているが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形状および詳細に変化を加えうることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨形成を促進するための移植物であって:
移植可能材料;および
破骨細胞形成を刺激する刺激物質;
を含む、前記移植物。
【請求項2】
材料がミネラル化骨である、請求項1の移植物。
【請求項3】
材料がヒドロキシアパタイトである、請求項1の移植物。
【請求項4】
材料がリン酸カルシウム材料である、請求項1の移植物。
【請求項5】
第二の刺激物質をさらに含み、第二の刺激物質が、in vivoで、骨芽細胞形成または補充を刺激する、請求項1の移植物。
【請求項6】
第二の刺激物質をさらに含み、第二の刺激物質が、in vivoで、破骨細胞の吸収活性を増進する、請求項1の移植物。
【請求項7】
刺激物質が、RANKL、MCSF、ADAM−12、PTH、PTHrP、VEGF、ヒドロコルチゾン、1,25ジヒドロキシビタミンD3、PGE2、TNFアルファ、IL−1ベータ、IL−3、IL−6、IL−11、およびbFGFの1つである、請求項1の移植物。
【請求項8】
刺激物質が、RANKL、MCSF、ADAM−12、PTH、PTHrP、VEGF、ヒドロコルチゾン、1,25ジヒドロキシビタミンD3、PGE2、TNFアルファ、IL−1ベータ、IL−3、IL−6、IL−11、およびbFGFの1以上をコードするDNAである、請求項1の移植物。
【請求項9】
移植物が耐荷重性である、請求項1の移植物。
【請求項10】
移植可能材料が大きなセグメント状同種移植片ピースを含む、請求項1の移植物。
【請求項11】
移植片を形成する方法であって:
移植可能材料に、in vivoで破骨細胞形成を刺激する刺激物質を適用する
工程を含む、前記方法。
【請求項12】
移植可能材料がミネラル化骨である、請求項11の方法。
【請求項13】
移植可能材料がヒドロキシアパタイトである、請求項11の方法。
【請求項14】
移植可能材料がリン酸カルシウム材料である、請求項11の方法。
【請求項15】
第二の刺激物質を適用する工程をさらに含み、第二の刺激物質が、in vivoで、骨芽細胞形成を刺激する、請求項11の方法。
【請求項16】
第二の刺激物質を提供する工程をさらに含み、第二の刺激物質が、in vivoで、破骨細胞の吸収活性を増進する、請求項11の方法。
【請求項17】
刺激物質が、RANKL、MCSF、ADAM−12、PTH、PTHrP、VEGF、ヒドロコルチゾン、1,25ジヒドロキシビタミンD3、PGE2、TNFアルファ、IL−1ベータ、IL−3、IL−6、IL−11、およびbFGFの1つである、請求項11の方法。
【請求項18】
刺激物質が、RANKL、MCSF、ADAM−12、PTH、PTHrP、VEGF、ヒドロコルチゾン、1,25ジヒドロキシビタミンD3、PGE2、TNFアルファ、IL−1ベータ、IL−3、IL−6、IL−11、およびbFGFの1以上をコードするDNAである、請求項11の移植物。
【請求項19】
刺激物質を移植可能材料と合わせる工程が、刺激物質をキャリアーと混合し、そして混合した刺激物質およびキャリアーで、移植可能材料をコーティングする工程を含む、請求項11の方法。
【請求項20】
刺激物質を移植可能材料と合わせる工程が、刺激物質およびキャリアーを、移植可能材料と、臨界または超臨界二酸化炭素下で混合する工程を含む、請求項11の方法。
【請求項21】
刺激物質を移植可能材料と合わせる工程が、刺激物質をキャリアー内に被包し、そしてキャリアーを移植可能材料と混合する工程を含む、請求項11の方法。
【請求項22】
刺激物質を移植可能材料と合わせる工程が、移植可能材料を、刺激物質の槽に浸す工程を含む、請求項11の方法。
【請求項23】
刺激物質をマトリックスと合わせる工程をさらに含む、請求項11の方法。
【請求項24】
移植可能材料を成形する工程をさらに含む、請求項11の方法。
【請求項25】
約100ミリグラムの移植可能材料あたり、RANKL約0.5マイクログラム〜約2マイクログラムの間の濃度で、RANKLを移植可能材料に添加する、請求項17の方法。
【請求項26】
患者における骨欠損を治療する方法であって:
移植可能材料を提供し;
in vivoで、破骨細胞形成または補充を刺激する刺激物質を提供し;そして
細胞を刺激物質と、および移植可能材料と合わせる;
工程を含む、前記方法。
【請求項27】
細胞が、移植前に、移植可能材料および刺激物質と合わせた濃縮自己細胞である、請求項26の方法。

【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【図1】
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【図2−1】
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【公表番号】特表2012−506733(P2012−506733A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533403(P2011−533403)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/062055
【国際公開番号】WO2010/048610
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】