骨標的アルカリホスファターゼ、キット及びその使用方法
構造:Z−sALP−Y−スペーサー−X−Wn−Vを有するポリペプチドを含む骨標的アルカリホスファターゼ(配列中、sALPはアルカリホスファターゼの細胞外ドメインであり、Vは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Wnはn=10〜16のポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸である)。キット及びその使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年5月11日出願の米国仮出願第60/917,589号の優先権を主張する。上記の文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
連邦支援研究又は開発に関する陳述
該当なし。
【0003】
本発明は、骨標的アルカリホスファターゼ、キット及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
低ホスファターゼ血症(HPP)は、希少な遺伝型のくる病又は骨軟化症(Whyte、2001)であり、発生率はカナダのメノナイトでは2,500出生当たり1もあり(Greenberg、1993)、本疾患の更に重症な型は一般集団において100,000出生当たり1の発生率である。もっと軽度の型は更に蔓延している。この「代謝の先天異常」は、アルカリホスファターゼの組織非特異的イソ酵素(TNALP;a.k.a肝臓/骨/腎臓型ALP)をコードする遺伝子(ALPL)の機能喪失突然変異(単数又は複数)により引き起こされる(Weissら、1988;Henthornら、1992a;Henthornら、1992b;Zurutuzaら、1999;Millan、1995)。その生化学的特徴は、血清中の亜正常ALP活性であり(低リン血症)、それにより、3種類のホスホ化合物基質、無機ピロリン酸(PPi)、ホスホエタノールアミン(PEA)及びピロドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿中レベルが上昇する(Whyte、1994)。
【0005】
HPPは、歴史的に診断時の年齢によって分類され、(最も重症から最も軽度まで)出生時、乳児期、小児期、成人期、及び歯限局型低ホスファターゼ血症型の幅がある著しい範囲の重症度を特徴とする(Whyte、2001)。死産では子宮内でほぼ完全に骨ミネラル化がなく、又は突発性骨折及び歯科疾患が成人期にはじめて起こることもある。出生時(致死性)低ホスファターゼ血症は子宮内で発現され、死産を引き起こすことがある。一部の新生児は数日間生き延びることもあるが、胸部の再生不良性のくる病のため呼吸困難が深刻化する。乳児期HPPでは、6月齢前に診断すると、生後発育は、食欲不振の開始、不十分な体重増加、及びくる病の出現までは正常であると思われる。放射線学的特徴は独特であり、障害性骨格ミネラル化を示し、進行性骨格脱ミネラル化が肋骨骨折及び胸部奇形をもたらすこともある。小児期低ホスファターゼ血症は、きわめて変化しやすい臨床的発現も有する。乳歯の成熟前の喪失は、歯根と歯周靭帯を繋いでいるセメント質の形成不全、発育不全又は異形成から生じる。くる病は低身長を引き起こし、骨格奇形には、フレアー骨幹端の結果として湾曲脚、手関節、膝及び足関節の拡張が挙げられることがある。成人期HPPは通常中年期に症状が見つかるが、くる病及び/又は歯の早期脱落、それに続く青年期及び若年成人期の健康という経歴があることが多い。再発中足骨疲労骨折がよく起こり、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着が関節炎の発作及びピロリン酸関節症を引き起こす。唯一の臨床的異常が歯科疾患であるときには、歯限局型低ホスファターゼ血症と診断され、放射線学的研究及び骨生検でさえくる病又は骨軟化症の症状をなにも明らかにしない。
【0006】
重症臨床型の低ホスファターゼ血症は、通常、亜正常レベルの血清AP活性を示しているような患者の親の常染色体劣性遺伝形質として遺伝する(Whyte、2001)。もっと軽度の型の低ホスファターゼ血症、即ち、成人期及び歯限局型低ホスファターゼ血症では、常染色体優性遺伝形式も記述されている(Whyte、2001)。
【0007】
健康な骨格では、TNALPは、エクト酵素が特に豊富な(Morrisら、1992)脱落基質小胞(MV)の膜上を含む、骨芽細胞及び軟骨細胞の細胞膜の表面に存在するエクト酵素である(Aliら、1970;Bernard、1978)。骨ミネラル化中のヒドロキシアパタイトの沈着は、通常はこれらのMVの管腔内で開始される(Andersonら、2005a)。電子顕微鏡法により、重症HPP患者及びAkp2−1−マウス(TNALPヌルマウスモデル、下参照)由来のTNALP欠損MVはヒドロキシアパタイト結晶を含有するが、小胞外結晶増殖は遅延しているように思われることが明らかにされている(Anderson、1997;Anderson、2004)。この欠損は、TNALP活性の欠損によるカルシウム沈着(Meyer、1984)の強力な阻害剤であるPPiの細胞外蓄積のせいだと考えられている(Hessleら、2002;Harmeyら、2004;Harmeyら、2006)。
【0008】
PPiが、0.01〜0.1mMの範囲でほぼ生理的濃度で存在している場合、PPiには、器官培養ニワトリ大腿骨中でのミネラル化を刺激する能力があり(Anderson&Reynolds、1973)、単離されたラットMVによってもミネラル化を刺激する能力がある(Andersonら、2005b)が、1mMを超える濃度では、PPiはヒドロキシアパタイト結晶を被膜することによりリン酸カルシウムミネラル形成を阻害し、したがって、ミネラル結晶成長及び増殖性自己核形成を妨げる。したがって、PPiには二重の生理学的役割があることになり、即ち、PPiは、低濃度ではミネラル化の促進剤として、しかし高濃度ではミネラル化の阻害剤として機能することができる。TNALPは、ミネラル化阻害剤PPiを加水分解してミネラル沈殿及び成長を促進することが明らかにされている(Rezendeら、1998)。Akp2−1−マウスを使った最近の研究では、インビボでのTNALPの主な役割は、細胞外PPiプールの大きさを制限して、適切な骨格ミネラル化を可能にすることが示されている(Hessleら、2002;Harmeyら、2004)。
【0009】
低ホスファターゼ血症の重症度は変わりやすく、TNALP突然変異の性質により調節される。酵素活性部位近傍、ホモ二量体界面、クラウンドメイン、アミノ末端アーム及びカルシウム結合部位におけるミスセンス突然変異はすべて、TNALPの触媒活性に影響を与えることが見出されている(Zurutuzaら、1999)。更に、他のミスセンス、ナンセンス、フレームシフト及びスプライス部位突然変異は、異常性突然変異タンパク質又は細胞表面上に亜正常活性をもたらす細胞内輸送欠損を生じることが明らかにされている。突然変異の数の多さ及び低ホスファターゼ血症では複合ヘテロ接合体が頻繁に発生しているという事実も、この疾患でよく観察される変わりやすい発現度及び不完全な表現率を説明する(Whyte、2001)。
【0010】
ヒト型のこの疾患に関する進歩は、動物モデルとしてのTNALPヌルマウス(Akp2−1−)の存在から大きな恩恵を受けている。これらのAkp2−1−マウスは、正常にミネラル化された骨格を持って生まれると、乳児期HPPを著しくよく表現型模写するが、生後約6日でX線検査的に明らかなくる病を発症し、12〜16日の間で重症の骨格低ミネラル化及び無呼吸の発症及びPLP(ビタミンB6)代謝の障害に起因し得るてんかん性発作を患って死ぬ(Waymireら、1995;Narisawaら、1997;Feddeら、1999;Narisawaら、2001)。
【0011】
一部のTNALP活性部位突然変異は、PPi又はPLPを別々に代謝する酵素の能力に影響を与えることが明らかにされている(Di Mauroら、2002)。PLPとPPiの両方がTNALPの確証済みの天然基質であり、PLP代謝における異常は、Akp2−1−マウスで観察されるてんかん性発作を説明し(Waymireら、1995;Narisawaら、2001)、PPi代謝における異常は、低ホスファターゼ血症のこのマウスモデルにおける骨格表現型を説明する(Hessleら、2002;Andersonら、2004;Harmeyら、2004;Harmeyら、2006;Andersonら、2005a)。
【0012】
HHPには確立した薬物療法は存在しない。骨パジェット病患者由来のTNALP豊富血漿及び精製胎盤ALPの静脈内(i.v.)注入を使った酵素補充療法(ERT)の事例報告では、患児を救うことはできなかったことが記載されている(Whyteら、1982;Whyteら、1984)。別の類似の研究では、Weningerら(Weningerら、1989)は、精製ヒト肝臓TNALPの注入により、低ホスファターゼ血症が重症の早熟男児にERTを試みた。治療(1.2IU/kg/min)は生後3週間で開始され、生後10週まで週1回の間隔で繰り返されたが、その時期に子供は死亡した。TNALPの試料は10mlの生理食塩水で希釈され、臍帯動脈カテーテルを介して30分かけて注入された。毒性又はアレルギー性の副作用は観察されなかった。血清TNALP活性は、37と62時間の間の半減期で、治療前の3IU/Lから最大レベルの195IU/Lまで増加した。しかし、経時的放射線学的検査では、骨ミネラル化の改善はまったく示されなかった(Weningerら、1989)。
【0013】
ALP活性は、血行路ではなく、骨格それ自体で増加させなければならないと思われる。この仮説は、乳児期HPPに罹った2人の女子が、TNALP含有細胞を骨格全体に導入する骨髄細胞移植の後、一見有利な応答を示したことによって支持されている(Whyteら、2003)。したがって、これらの患者の骨格に活性TNALPを供給する必要性があるように思われる。最近の報告では、ポリアスパラギン酸配列は組換えTNALPに骨ホーミング特性を与えることが示されている(Crineらの国際公開第2005/103263号;Nishiokaら、2006)。
【0014】
最近の報告では、突然変異型のTNALP R450C(NasuらはR433C突然変異体に言及しているが、彼のナンバリングは成熟タンパク質に適用し、シグナルペプチドを含むタンパク質には適用しない)は、アルカリホスファターゼ活性を強く阻害する各サブユニットの450位のシステイン残基間のジスルフィド架橋により結合された二量体構造を有するタンパク質を産生することが明らかにされた。Nasuらは、機能の喪失は鎖間のジスルフィド架橋から生じ、R450Cに関連する致死的低ホスファターゼ血症の分子的機序であると結論づけた(Nasuら、2006)。
【0015】
本説明はいくつかの文献に言及しており、その文献の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
HPPに罹った患者の臨床管理及び治療の現在の限界を考慮すると、代わりの効率的治療が必要とされた。したがって、本発明は、HPPの治療のための効率的酵素補充療法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願人の知る限り、及びTNALP又は他のALPイソ酵素が静脈内に送達されたTNALPヌルマウス又はHPP乳児のいずれかにおける以前の酵素補充療法の試みとは対照的に、本発明は、臨床X線検査上の及び生化学的変化のほぼ完全な回復が酵素補充のみで生じることが実証された最初の機会を印す。
【0018】
骨標的sALP
本発明の骨標的組成物は、アミノ側からカルボキシル側へ順に、sALP、スペーサー、及び骨標的負に帯電したペプチドを含む融合タンパク質を含む。
【0019】
ALP
ALPの4種類の既知イソ酵素があり、即ち、下で更に説明される組織非特異的アルカリホスファターゼ、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)(例えば、[NP−112603]、[NP−001623])、生殖細胞アルカリホスファターゼ(GCALP)(例えば、[P10696])及び腸アルカリホスファターゼ(例えば、[NP−001622])である。これらの酵素は、きわめて類似の三次元構造を有する。その触媒部位のそれぞれには、2つのZnと1つのMgを含む酵素活性に必要な金属イオンのための4つの金属結合ドメインを含有する。これらの酵素は、リン酸のモノエステルの加水分解を触媒し、高濃度のリン酸受容体の存在下でリン酸転移反応も触媒する。PALPは、ホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピロドキサール5’−リン酸(PLP)に向かって生理学的に活性であり、3つ全てがTNALPに対する既知の天然基質であることが特に明らかにされている(Whyte、1995)。これらのイソ酵素間のアラインメントは図30に示されている。
【0020】
TNALP
前述の通り、TNALPは、糖脂質を通じてそのC末端に固定された膜結合型タンパク質である(Swiss−Prot、P05186)。この糖脂質アンカー(GPI)は、一時的膜アンカーとしても前記GPIの付加のためのシグナルとしても働く疎水性C末端の除去後、翻訳後的に付加される。したがって、下の全ての実施例で使用される可溶性ヒトTNALPは、疎水性C末端配列の最初のアミノ酸、即ちアラニンが終止コドンにより置き換えられているTNALPを含む。そのようにして形成された可溶性TNALP(本明細書ではsTNALPと呼ばれる)は、触媒部位の形成に必要な天然固定化型のTNALPの全アミノ酸を含有しているが、GPI膜アンカーを欠いている。既知のTNALPには、ヒトTNALP[NP−000469、AAI10910、AAH90861、AAH66116、AAH21289、AAI26166];アカゲザルTNALP[XP−001109717];ラットTNALP[NP−037191];イヌTNALP[AAF64516];ブタTNALP[AAN64273]、マウス[NP−031457]、ウシ[NP−789828、NP−776412、AAI18209、AAC33858]、及びネコ[NP−001036028]が挙げられる。
【0021】
本発明の骨標的組成物は、ヒトALPイソ酵素の及び既知の機能的TNALP(ヒト、マウス、ラット、ウシ、ネコ及びイヌ)のALP細胞外ドメインから導かれるコンセンサス配列を満たす配列を包含する。本明細書で使用するように、用語「細胞外ドメイン」とは、天然タンパク質のどんな機能的細胞外部分(即ち、ペプチドシグナルがない)にも言及することを意図されている。最初のアミノ酸1〜501(分泌されると18〜501)(Odaら、J.Biochem 126:694〜699、1999)、アミノ酸1〜504(分泌されると18〜504)(Berndらの米国特許第6,905,689号)及びアミノ酸1〜505(分泌されると18〜505)(Tomatsuらの米国特許出願公開第2007/0081984号)を保持する組換えsTNALPは酵素的に活性であることが明らかにされている。本明細書に示される実施例は、最初のTNALPのアミノ酸1〜502(分泌されると18〜502)(図3)を保持する組換えsTNALPも酵素的に活性であることを明らかにしている。これは、アミノ酸残基は、その酵素活性に影響を与えずに天然タンパク質のC末端から取り除くことができることを示している。
【0022】
下の表1は、HPPを引き起こすことが知られている194突然変異体の一覧を示す。本発明の骨標的ポリペプチドの特定の実施形態では、ALP配列はこれらの突然変異体のどれも含まない。
【0023】
したがって、本発明のsALPでは、種々のTNALPの及びヒトALPイソ酵素のアラインメントから導かれるコンセンサス配列のナンバリングを使用して、22位のアミノ酸はフェニルアラニン残基ではなく;33位(シグナルペプチドのない配列では11位)のアミノ酸はシステイン残基ではなく;38位(シグナルペプチドのない配列では16位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;42位(シグナルペプチドのない配列では20位)のアミノ酸はプロリン残基ではなく;45位(シグナルペプチドのない配列では23位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;56位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;67位(シグナルペプチドのない配列では45位)のアミノ酸残基はロイシン、イソロイシン又はバリン残基ではなく;68位(シグナルペプチドのない配列では46位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;73位(シグナルペプチドのない配列では51位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;76位(シグナルペプチドのない配列では54位)のアミノ酸残基はシステイン、セリン、プロリン又はヒスチジン残基ではなく;77位(シグナルペプチドのない配列では55位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;80位(シグナルペプチドのない配列では58位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;81位(シグナルペプチドのない配列では59位)のアミノ酸残基はアスパラギン残基ではなく;105位(シグナルペプチドのない配列では83位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;113位(シグナルペプチドのない配列では89位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;116位(シグナルペプチドのない配列では94位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;117位(シグナルペプチドのない配列では95位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;119位(シグナルペプチドのない配列では97位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;121位(シグナルペプチドのない配列では99位)のアミノ酸残基はセリン又はスレオニン残基ではなく;125位(シグナルペプチドのない配列では103位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;128位(シグナルペプチドのない配列では106位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;133位(シグナルペプチドのない配列では111位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;134位(シグナルペプチドのない配列では112位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;137位(シグナルペプチドのない配列では115位)のアミノ酸残基はスレオニン又はバリン残基ではなく;139位(シグナルペプチドのない配列では117位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はアスパラギン残基ではなく;141位(シグナルペプチドのない配列では119位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;153位(シグナルペプチドのない配列では131位)のアミノ酸残基はアラニン又はイソロイシン残基ではなく;167位(シグナルペプチドのない配列では145位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;172位(シグナルペプチドのない配列では150位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;175位(シグナルペプチドのない配列では153位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;176位(シグナルペプチドのない配列では154位)のアミノ酸残基はチロシン又はアルギニン残基ではなく;181位(シグナルペプチドのない配列では159位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;182位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;184位(シグナルペプチドのない配列では162位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;186位(シグナルペプチドのない配列では164位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;189位(シグナルペプチドのない配列では167位)のアミノ酸残基はトリプトファン残基ではなく;194位(シグナルペプチドのない配列では172位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;196位(シグナルペプチドのない配列では174位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;197位(シグナルペプチドのない配列では175位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;198位(シグナルペプチドのない配列では176位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;206位(シグナルペプチドのない配列では184位)のアミノ酸残基はチロシン残基ではなく;208位(シグナルペプチドのない配列では186位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;207位(シグナルペプチドのない配列では190位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;216位(シグナルペプチドのない配列では194位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;217位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;223位(シグナルペプチドのない配列では201位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;225位(シグナルペプチドのない配列では203位)のアミノ酸残基はバリン又はアラニン残基ではなく;226位(シグナルペプチドのない配列では204位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;228位(シグナルペプチドのない配列では206位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はグルタミン残基ではなく;229位(シグナルペプチドのない配列では207位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;231位(シグナルペプチドのない配列では209位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;240位(シグナルペプチドのない配列では218位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;251位(シグナルペプチドのない配列では229位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;254位(シグナルペプチドのない配列では232位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;269位(シグナルペプチドのない配列では247位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;277位(シグナルペプチドのない配列では255位)のアミノ酸残基はシステイン、ロイシン又はヒスチジン残基ではなく;280位(シグナルペプチドのない配列では258位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;295位(シグナルペプチドのない配列では273位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;297位(シグナルペプチドのない配列では275位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;298位(シグナルペプチドのない配列では276位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;300位(シグナルペプチドのない配列では278位)のアミノ酸残基はチロシン又はアラニン残基ではなく;301位(シグナルペプチドのない配列では279位)のアミノ酸残基はバリン、スレオニン又はイソロイシン残基ではなく;303位(シグナルペプチドのない配列では281位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;304位(シグナルペプチドのない配列では282位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;305位(シグナルペプチドのない配列では283位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;312位(シグナルペプチドのない配列では290位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;313位(シグナルペプチドのない配列では291位)のアミノ酸残基はセリン又はロイシン残基ではなく;317位(シグナルペプチドのない配列では295位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;332位(シグナルペプチドのない配列では310位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;333位(シグナルペプチドのない配列では311位)のアミノ酸残基はシステイン、グリシン又はロイシン残基ではなく;334位(シグナルペプチドのない配列では312位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;340位(シグナルペプチドのない配列では318位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;345位(シグナルペプチドのない配列では323位)のアミノ酸残基はアルギニン又はグルタミン酸残基ではなく;354位(シグナルペプチドのない配列では332位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;360位(シグナルペプチドのない配列では338位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;361位(シグナルペプチドのない配列では339位)のアミノ酸残基はスレオニン又はイソロイシン残基ではなく;377位(シグナルペプチドのない配列では355位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;380位(シグナルペプチドのない配列では358位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;383位(シグナルペプチドのない配列では361位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;384位(シグナルペプチドのない配列では362位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;387位(シグナルペプチドのない配列では365位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;388位(シグナルペプチドのない配列では366位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;395位(シグナルペプチドのない配列では373位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;397位(シグナルペプチドのない配列では375位)のアミノ酸残基はシステイン又はヒスチジン残基ではなく;398位(シグナルペプチドのない配列では376位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;401位(シグナルペプチドのない配列では379位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;405位(シグナルペプチドのない配列では383位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;406位(シグナルペプチドのない配列では384位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;412位(シグナルペプチドのない配列では390位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;416位(シグナルペプチドのない配列では394位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;417位(シグナルペプチドのない配列では395位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;420位(シグナルペプチドのない配列では398位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;423位(シグナルペプチドのない配列では401位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;426位(シグナルペプチドのない配列では404位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;429位(シグナルペプチドのない配列では407位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;430位(シグナルペプチドのない配列では408位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;432位(シグナルペプチドのない配列では410位)のアミノ酸残基はシステイン又はアスパラギン酸残基ではなく;434位(シグナルペプチドのない配列では412位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;435位(シグナルペプチドのない配列では413位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;442位(シグナルペプチドのない配列では420位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;451位(シグナルペプチドのない配列では429位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;456位(シグナルペプチドのない配列では434位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はシステイン残基ではなく;458位(シグナルペプチドのない配列では436位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;460位(シグナルペプチドのない配列では438位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;461位(シグナルペプチドのない配列では439位)のアミノ酸残基はセリン又はアスパラギン酸残基ではなく;462位(シグナルペプチドのない配列では440位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はアルギニン残基ではなく;465位(シグナルペプチドのない配列では443位)のアミノ酸残基はメチオニン又はロイシン残基ではなく;472位(シグナルペプチドのない配列では450位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;473位(シグナルペプチドのない配列では451位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;474位(シグ
ナルペプチドのない配列では452位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;479位(シグナルペプチドのない配列では457位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;482位(シグナルペプチドのない配列では460位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;484位(シグナルペプチドのない配列では462位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;495位(シグナルペプチドのない配列では473位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;496位(シグナルペプチドのない配列では474位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;及び497位(シグナルペプチドのない配列では475位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではない。
【0024】
その上更に具体的には、sTNALPを本発明の骨標的sALPにおいて使用する場合、ヒトTNALP配列のナンバリングを使用して、17位のアミノ酸はフェニルアラニン残基ではなく;28位(シグナルペプチドのない配列では11位)のアミノ酸はシステイン残基ではなく;33位(シグナルペプチドのない配列では16位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;37位(シグナルペプチドのない配列では20位)のアミノ酸はプロリン残基ではなく;40位(シグナルペプチドのない配列では23位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;51位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;62位(シグナルペプチドのない配列では45位)のアミノ酸残基はロイシン、イソロイシン又はバリン残基ではなく;63位(シグナルペプチドのない配列では46位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;68位(シグナルペプチドのない配列では51位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;71位(シグナルペプチドのない配列では54位)のアミノ酸残基はシステイン、セリン、プロリン又はヒスチジン残基ではなく;72位(シグナルペプチドのない配列では55位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;75位(シグナルペプチドのない配列では58位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;76位(シグナルペプチドのない配列では59位)のアミノ酸残基はアスパラギン残基ではなく;100位(シグナルペプチドのない配列では83位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;108位(シグナルペプチドのない配列では89位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;111位(シグナルペプチドのない配列では94位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;112位(シグナルペプチドのない配列では95位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;114位(シグナルペプチドのない配列では97位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;116位(シグナルペプチドのない配列では99位)のアミノ酸残基はセリン又はスレオニン残基ではなく;120位(シグナルペプチドのない配列では103位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;123位(シグナルペプチドのない配列では106位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;128位(シグナルペプチドのない配列では111位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;129位(シグナルペプチドのない配列では112位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;132位(シグナルペプチドのない配列では115位)のアミノ酸残基はスレオニン又はバリン残基ではなく;134位(シグナルペプチドのない配列では117位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はアスパラギン残基ではなく;136位(シグナルペプチドのない配列では119位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;148位(シグナルペプチドのない配列では131位)のアミノ酸残基はアラニン又はイソロイシン残基ではなく;162位(シグナルペプチドのない配列では145位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;167位(シグナルペプチドのない配列では150位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;170位(シグナルペプチドのない配列では153位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;171位(シグナルペプチドのない配列では154位)のアミノ酸残基はチロシン又はアルギニン残基ではなく;176位(シグナルペプチドのない配列では159位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;177位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;179位(シグナルペプチドのない配列では162位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;181位(シグナルペプチドのない配列では164位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;184位(シグナルペプチドのない配列では167位)のアミノ酸残基はトリプトファン残基ではなく;189位(シグナルペプチドのない配列では172位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;191位(シグナルペプチドのない配列では174位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;192位(シグナルペプチドのない配列では175位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;193位(シグナルペプチドのない配列では176位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;201位(シグナルペプチドのない配列では184位)のアミノ酸残基はチロシン残基ではなく;203位(シグナルペプチドのない配列では186位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;207位(シグナルペプチドのない配列では190位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;211位(シグナルペプチドのない配列では194位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;212位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;218位(シグナルペプチドのない配列では201位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;220位(シグナルペプチドのない配列では203位)のアミノ酸残基はバリン又はアラニン残基ではなく;221位(シグナルペプチドのない配列では204位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;223位(シグナルペプチドのない配列では206位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はグルタミン残基ではなく;224位(シグナルペプチドのない配列では207位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;226位(シグナルペプチドのない配列では209位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;235位(シグナルペプチドのない配列では218位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;246位(シグナルペプチドのない配列では229位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;249位(シグナルペプチドのない配列では232位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;264位(シグナルペプチドのない配列では247位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;272位(シグナルペプチドのない配列では255位)のアミノ酸残基はシステイン、ロイシン又はヒスチジン残基ではなく;275位(シグナルペプチドのない配列では258位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;289位(シグナルペプチドのない配列では272位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;291位(シグナルペプチドのない配列では274位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;292位(シグナルペプチドのない配列では275位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;294位(シグナルペプチドのない配列では277位)のアミノ酸残基はチロシン又はアラニン残基ではなく;295位(シグナルペプチドのない配列では278位)のアミノ酸残基はバリン、スレオニン又はイソロイシン残基ではなく;297位(シグナルペプチドのない配列では280位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;298位(シグナルペプチドのない配列では281位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;299位(シグナルペプチドのない配列では282位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;306位(シグナルペプチドのない配列では289位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;307位(シグナルペプチドのない配列では290位)のアミノ酸残基はセリン又はロイシン残基ではなく;311位(シグナルペプチドのない配列では294位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;326位(シグナルペプチドのない配列では309位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;327位(シグナルペプチドのない配列では310位)のアミノ酸残基はシステイン、グリシン又はロイシン残基ではなく;328位(シグナルペプチドのない配列では311位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;334位(シグナルペプチドのない配列では317位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;339位(シグナルペプチドのない配列では322位)のアミノ酸残基はアルギニン又はグルタミン酸残基ではなく;348位(シグナルペプチドのない配列では331位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;354位(シグナルペプチドのない配列では337位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;355位(シグナルペプチドのない配列では338位)のアミノ酸残基はスレオニン又はイソロイシン残基ではなく;371位(シグナルペプチドのない配列では354位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;374位(シグナルペプチドのない配列では357位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;377位(シグナルペプチドのない配列では360位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;378位(シグナルペプチドのない配列では361位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;381位(シグナルペプチドのない配列では364位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;382位(シグナルペプチドのない配列では365位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;389位(シグナルペプチドのない配列では372位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;391位(シグナルペプチドのない配列では374位)のアミノ酸残基はシステイン又はヒスチジン残基ではなく;392位(シグナルペプチドのない配列では375位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;395位(シグナルペプチドのない配列では378位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;399位(シグナルペプチドのない配列では382位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;400位(シグナルペプチドのない配列では383位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;406位(シグナルペプチドのない配列では389位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;410位(シグナルペプチドのない配列では393位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;411位(シグナルペプチドのない配列では394位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;414位(シグナルペプチドのない配列では397位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;417位(シグナルペプチドのない配列では400位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;420位(シグナルペプチドのない配列では403位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;423位(シグナルペプチドのない配列では406位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;424位(シグナルペプチドのない配列では407位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;426位(シグナルペプチドのない配列では409位)のアミノ酸残基はシステイン又はアスパラギン酸残基ではなく;428位(シグナルペプチドのない配列では411位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;429位(シグナルペプチドのない配列では412位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;436位(シグナルペプチドのない配列では419位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;445位(シグナルペプチドのない配列では428位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;450位(シグナルペプチドのない配列では433位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はシステイン残基ではなく;452位(シグナルペプチドのない配列では435位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;454位(シグナルペプチドのない配列では437位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;455位(シグナルペプチドのない配列では438位)のアミノ酸残基はセリン又はアスパラギン酸残基ではなく;456位(シグナルペプチドのない配列では439位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はアルギニン残基ではなく;459位(シグナルペプチドのない配列では442位)のアミノ酸残基はメチオニン又はロイシン残基ではなく;466位(シグナルペプチドのない配列では449位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;467位(シグナルペプチドのない配列では450位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;468位(シグナルペプチドのない配列では451位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;473位(シグナルペプチ
ドのない配列では456位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;476位(シグナルペプチドのない配列では459位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;478位(シグナルペプチドのない配列では461位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;489位(シグナルペプチドのない配列では472位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;490位(シグナルペプチドのない配列では473位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;及び491位(シグナルペプチドのない配列では474位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではない。他の特定の実施形態では、1つ又は複数のXは、アラインメントの配列中のその位置に見出されるアミノ酸のいずれか、又はこれらのアミノ酸のいずれかの保存若しくは半保存された置換を構成する残基であると定義される。他の特定の実施形態では、Xはアラインメントの配列中のその位置に見出されるアミノ酸のいずれかであると定義される。例えば、51位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はアラニン又はバリン残基であり;177位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はアラニン又はセリン残基であり;212位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はイソロイシン又はバリン残基であり;291位(シグナルペプチドのない配列では274位)のアミノ酸残基はグルタミン酸又はアスパラギン酸残基であり;及び374位(シグナルペプチドのない配列では357位)のアミノ酸残基はバリン又はイソロイシン残基である。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の骨標的融合タンパク質中のsALPフラグメントは、ヒトALPイソ酵素と、ヒトTNALPのアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504又は18〜505に対応する種々の哺乳動物種由来のTNALPのアラインメントから導かれるコンセンサス配列のフラグメントのうちのいずれか1つからなる。これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号15のアミノ酸残基23〜508、23〜509、23〜510、23〜511、23〜512、23〜513、23〜514及び23〜515である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸を除く任意のアミノ酸である。他の特定の実施形態では、これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号18のアミノ酸残基23〜508、23〜509、23〜510、23〜511、23〜512、23〜513、23〜514及び23〜515である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、前記コンセンサスが導かれるアラインメントの前記種のいずれか1つのALP及びヒトALPイソ酵素の中のその位置に見出される任意のアミノ酸であるが、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸ではない(図30参照)。
【0026】
他の特定の実施形態では、本発明の骨標的融合タンパク質中のsALPフラグメントは、ヒトTNALPのアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505に対応する種々の哺乳動物種由来のTNALPのアラインメントから導かれるコンセンサス配列のフラグメントのうちのいずれかからなる。これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号16のアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸を除く任意のアミノ酸である。他の特定の実施形態では、これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号19のアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、前記コンセンサスが導かれるアラインメントの種のいずれか1つのTNALP中のその位置に見出される任意のアミノ酸であるが、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸ではない(図31参照)。
【0027】
表1:ヒトTNALPにおける病的突然変異体
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
【表1−5】
【表1−6】
【表1−7】
【表1−8】
【表1−9】
【表1−10】
【表1−11】
【0028】
スペーサー
この理論に限定されることなく、下の実施例に示される骨標的sALP融合タンパク質中で使用されるFcフラグメントは、sTNALP−Fc−D10の発現がsTNALP−D10の発現より高度であった(下の実施例2参照)ので、前記タンパク質をより効率よく折り畳ませるスペーサーとして働くと考えられる。1つの可能な説明は、Fcフラグメントの導入により、試験されたsALP配列のC末端に付加された高度に負に帯電したD10配列の存在により引き起こされる反発力が軽減されるというものである。
【0029】
本発明に有用なスペーサーには、Fcを含むポリペプチド、及びsALP配列のC末端に付加された高度に負に帯電したD10配列の存在により引き起こされる反発力を軽減することができる親水性で可動性のポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態では、前記スペーサーは、2つのsALP単量体由来の2つのsALPドメインが互いに相互作用をして最小の触媒的に活性な実体を構成するのを妨げる立体障害を軽減する。
【0030】
フラグメント結晶化可能領域(Fc)フラグメント
本発明に有用なFcフラグメントには、ヒンジ並びにCH2及びCH3ドメインを含むIgGのFCフラグメントが挙げられる。例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4を使うことができる。
【0031】
負に帯電したペプチド
本発明による負に帯電したペプチドは、D10〜D16又はE10〜E16からなる群から選択されるポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸でもよい。
【0032】
特定の実施形態では、本発明の骨標的sALP融合タンパク質は、二量体又は四量体を形成するように会合される。
【0033】
この特定の理論に限定されることなく、Fcをスペーサーとして含むポリペプチドを使用する本発明の特定の実施形態では、二量体は、2つのFcフラグメントのヒンジ領域に位置する2つのジスルフィド結合を通じて共有結合している2つの骨標的sALP単量体で構成されていると推定される。この二量体立体配置では、鎖間ジスルフィド結合の形成により課せられる立体障害は、会合して正常細胞に存在する二量体の最小触媒的に活性な実体になるsALPドメインの会合を妨げていると推定される。
【0034】
この特定の理論に限定されることなく、その四量体構造においては、融合タンパク質の会合は、1つの二量体からの1つのsALPドメインと別の二量体からの別の1つのsALPドメインを含むと考えられている。同一Fc結合二量体からの2つのsALPドメインが互いに相互作用をして最小の触媒的に活性な実体を構成するのをおそらく妨げている構造障害は、本明細書に示す実施例中に記載されるFcよりも長いスペーサーを、sALPフラグメントとポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸フラグメントの間に挿入することにより最終的に除去することができるのであろう。
【0035】
骨標的sALPは、1)ポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸から下流に;及び/又は2)ポリアスパラギン酸とFcフラグメントの間に;及び/又は3)FcフラグメントなどのスペーサーとsALPフラグメントの間に、更に任意選択で1つ又は複数の追加のアミノ酸を含んでいてよい。これは、例えば、骨標的コンジュゲートを作製するために使われるクローニング戦略が外来性アミノ酸をこれらの位置に導入する場合である。しかし、外来性アミノ酸は、追加のGPIアンカー付加シグナルを与えないように選択すべきである。宿主細胞のトランスアミダーゼにより切断されている設計配列の可能性は、Ikezawaにより記載されている通りに予測することができる(Ikezawa、2002)。
【0036】
本発明は、本明細書に明示的に述べられているものを含むグリコリゼーション、アセチル化、アミド化、ブロッケージ、ホルミル化、γカルボキシグルタミン酸ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化、ピロリドンカルボン酸、及び硫酸化によるなどの翻訳後修飾された融合タンパク質も包含している。
【0037】
用語「組換えタンパク質」は、原核又は真核宿主細胞に挿入された遺伝子操作された核酸によりコードされているタンパク質に言及するために本明細書では使用されている。核酸は、通常、宿主細胞に適したプラスミド又はウイルスなどのベクター内に置かれている。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、本明細書に示される実施例において本発明のコンジュゲートを発現するための宿主として使用されてきたが、当業者であれば、当技術分野では常用である方法に従って組換えタンパク質を産生するのに他のいくつかの宿主を使用してもよいことは理解されるであろう。代表的な方法は、Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に開示されている。本明細書で使用される「切断可能な組換えタンパク質」は、分泌された/可溶性のタンパク質を産生するように宿主酵素により切断してもよい組換えタンパク質に言及することを意図している。そのように限定されることなく、HEK293細胞、PerC6、ベビーハムスター腎臓細胞も使用することができる。
【0038】
本明細書で使用するように、用語「ポリペプチドの発現をもたらすのに適した条件」とは、本発明の融合タンパク質の産生を可能にするいかなる培地にも言及することを意図されている。そのように限定されることなく、この培地には、緩衝液、炭酸水素及び/又はHEPES、塩素、リン酸、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄のようなイオン、単糖類のような炭素源、アミノ酸、潜在的な脂質、ヌクレオチド、ビタミン並びにインスリンのような増殖因子で調製した培地;2〜4mMのL−グルタミンと5%ウシ胎仔血清を補充したαMEM、DMEM、Ham’s−F12及びIMDMのような通常の市販の培地;2〜4mMのL−グルタミンを補充したHyclone(商標)、SFM4CHO、Sigma CHO DHFR−、Cambrex POWER(商標)CHO CDのような通常の市販の動物タンパク質無添加培地が挙げられる。これらの培地は、安定なタンパク質産物発現を可能にする選択圧を維持するために、チミジン、ヒポキサンチン及びL−グリシンなしで調製されるのが望ましい。
【0039】
そのように限定されることなく、本発明の融合物を発現するのに有用な宿主細胞には、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。本発明の融合タンパク質を発現するための対象の特定のCHO細胞には、CHO−DG44及びCHOduk−とも呼ばれるCHO/dhfr−が挙げられる。この後者の細胞系はアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC番号CRL−9096)を通じて入手可能である。
【0040】
用語「骨組織」は、大部分がコラーゲンを含有する有機基質で構成された骨芽細胞により合成され、ヒドロキシアパタイト結晶の沈着によりミネラル化された組織に言及するために本明細書では使用されている。
【0041】
本発明の骨送達コンジュゲートに含まれる融合タンパク質は、有効量の融合タンパク質を骨に与えることにより骨欠損状態の治療療法に有用である。融合タンパク質は、任意の標準的薬学的に許容可能な担体中の医薬組成物の形で提供され、任意の標準的手法により、例えば、静脈注射により投与される。
【0042】
本明細書で使用するように、用語「HPP表現型」は、くる病(成長軟骨板の欠損)、骨軟化症、無機ピロリン酸(PPi)、ホスホエタノールアミン(PEA)、若しくはピリドキサール5’−リン酸(PLP)の上昇した血液及び/又は尿レベル、発作、骨痛、軟骨石灰化症をもたらす関節中のピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着(CPPD)並びに早死のうちのいずれか1つに言及するように意図されている。そのように限定されることなく、HPP表現型は、(大腿骨、脛骨、上腕骨、橈骨、尺骨などの)長骨長の減少、全骨の平均密度の減少及び大腿骨、脛骨、肋骨と中足骨、及び指骨などの骨の骨ミネラル化の減少、歯ミネラル化の減少、乳歯の早期喪失(例えば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は形成異常)を伴う発育遅延により実証することができる。そのように限定されることなく、骨ミネラル化欠損の改善又は予防は、長骨長の増加、骨及び/又は歯におけるミネラル化の増加、脚の湾曲の改善、骨痛の減少並びに関節中のCPPD結晶沈着症の減少のうちの1つ又は複数により観察してよい。
【0043】
本明細書で使用するように、語句「低ホスファターゼ血症表現型を改善する」中の用語「改善する」は、既存のHPP表現型のいかなる部分的又は完全な減少にも言及するように意図されている。同様に、語句「低ホスファターゼ血症表現型を予防する」中の用語「予防する」は、HPP表現型の発生のいかなる遅延若しくは緩徐化にも、又はHPP表現型の発生のいかなる部分的若しくは完全な回避にも言及するように意図されている。
【0044】
本明細書で使用するように、用語「対象」は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、サル、ウマ等を含むいかなる哺乳動物にも言及するように意図されている。特定の実施形態では、前記用語はヒトに言及している。
【0045】
本明細書で使用するように、本発明の化合物を投与する方法における用語「それを必要とする対象」は、本発明の化合物を受けることから恩恵を受けると考えられる対象に言及するように意図されている。特定の実施形態では、前記用語は、既に少なくとも1つのHPP表現型を有する対象、又は少なくとも1つの若しくは少なくとももう1つのHPP表現型を発現する可能性がある対象に言及している。別の実施形態では、前記用語は、セメント質の形成不全、発育不全若しくは異形成を有する対象、又はセメント質の形成不全、発育不全若しくは異形成を発症しそうな対象に更に言及している。
【0046】
本明細書で使用するように、「少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある対象」は、遺伝子(ALPL)に少なくとも1つの機能喪失突然変異を有する対象である。
【0047】
本明細書で使用するように、「歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を発症しそうな対象」は、HPP又は細菌感染による歯周病を有する対象である。細菌感染による歯周病は、歯の剥離をもたらす可能性があるセメント質の変質を誘発することがある。
【0048】
投与経路
本発明の骨標的sALPは、経口的に、経鼻的に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、舌下に、髄腔内に、又は皮内になどの経路により投与することができる。投与経路は、環境及び治療目的などの種々の要因に依拠することがある。本明細書で使用するように、対象は、HPP若しくはHPPに付随する他の表現型を特徴づける骨ミネラル化欠損の予防若しくは改善、又は欠損セメント質の予防若しくは改善が望ましいヒトなどの動物に言及している。
【0049】
例として、本発明の医薬組成物は、液体、溶液、懸濁液、丸薬、カプセル、錠剤、ジェルキャップ、粉末、ゲル、軟膏剤、クリーム、ネビュラ、ミスト、微粒化蒸気、エアロゾル、又はフィトソームの形状でよい。経口投与では、錠剤又はカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、又は湿潤剤などの薬学的に許容可能な賦形剤を使用して従来の手段により調製することができる。前記錠剤は当技術分野で公知の方法によりコーティングすることができる。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形状を取ることができ、又は使用前に生理食塩水若しくは他の適切な液体媒体とともに構成するための乾燥製品として提示することができる。本発明の栄養補助食品は、懸濁化剤、乳化剤、非水溶媒、保存剤、緩衝塩、香料、発色、及び甘味剤などの薬学的に許容可能な添加剤も必要に応じて含有することができる。経口投与用調製物は、活性成分の制御された放出をするように適切に処方することもできる。
【0050】
強酸性胃酸との長い接触に抵抗するが、弱酸性又は中性の腸環境では溶解するように、本発明の錠剤上に腸溶コーティングを更に使うことができる。そのように限定することなく、酢酸フタル酸セルロース、Eudragit(商標)及びヒドロキシプロピルフタル酸メチルセルロース(HPMCP)を、本発明の医薬組成物の腸溶コーティングに使用することができる。一般に使用される酢酸フタル酸セルロース濃度は、コア重量の0.5〜9.0%である。可塑剤を添加すればこのコーティング材の耐水性は改良され、そのような可塑剤を使った製剤は、酢酸フタル酸セルロースのみを使用する場合よりも効果的である。酢酸フタル酸セルロースは、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリブチルグリコール酸、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコール酸、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリアセチン、及びトリプロピオニンを含む多くに可塑剤に適合性である。酢酸フタル酸セルロースは、薬物制御放出調製物においてエチルセルロースなどの他のコーティング剤と組み合わせても使用される。
【0051】
投与量
いかなる量の医薬組成物も対象に投与することができる。その投与量は、投与方法及び対象の年齢を含む多くの要因に依拠することになる。典型的には、単回投与内に含有される本発明の骨標的ALPの量は、著しい毒性を誘導することなくHPPにおける骨ミネラル化欠損を効果的に予防する、遅延させる又は改善する量になる。本明細書で使用するように、用語「治療的な有効量」は、目的の治療効果を達成し、有害な副作用は回避するのに有効な量に言及するように意図されている。典型的には、本発明による骨標的sALPは、0.001〜500mg/kg/日、更に特定の実施形態では、約0.1〜約100mg/kg/日、更に特定の実施形態では、約0.2〜約20mg/kg/日の範囲の用量で対象に投与することができる。Mahmoodらの相対成長率法(Mahmoodら、2003)を使用して、マウスからヒトへ用量を外挿することができる。投与量は、疾患の程度及び患者の異なるパラメータなどの従来の要因に従って臨床医が適合させることになる。
【0052】
骨標的sALPの治療的な有効量は、直接測定してもよい。有効量は毎日又は毎週若しくはその一部分で与えてもよい。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日当たり体重1kg当たり約0.001mg〜約500mgまで(例えば、0.05、0.01、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、0.8、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、50mg、100mg、又は250mg)の量で投与することができる。投与量は、単回又は多数回投与計画のいずれで与えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、有効量は、約0.1〜約100mg/kg/日、1日当たり約0.2mg〜約20mgの骨標的sALP、1日当たり約1mg〜約10mgの骨標的sALP、1週当たり約0.07mg〜約210mgの骨標的sALP、1週当たり約1.4mg〜約140mgの骨標的sALP、3日毎に約0.3mg〜約300mgの骨標的sALP、1日おきに約0.4mg〜約40mgの骨標的sALP、及び1日おきに約2mg〜約20mgの骨標的sALPに及ぶ用量である。
【0053】
実際の用量は、それぞれの患者特有の臨床学的要因に基づいて担当医によって、又は栄養士によって、慎重に選択され用量設定しなければならないので、これらの数字は指針に過ぎない。最適日用量は当技術分野で公知の方法によって決定され、上記の患者の年齢などの要因及び他の臨床的な関連要因などの要因により影響されることになる。更に、患者は他の疾患又は状態のための薬を服用していてもよい。その他の薬は、骨標的sALPが患者に与えられる期間中継続してもよいが、そのような場合には低用量から開始して有害な副作用が経験されるかどうかを判定するのが特に賢明である。
【0054】
担体/溶媒
骨標的sALPを含有する調製物は、薬学的に許容可能な無菌水性若しくは非水溶媒、懸濁液又は乳濁液と組み合わせて患者に与えてもよい。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、及び注射用有機エステルである。水性担体には、水、水アルコール溶液、生理食塩水を含む乳濁液又は懸濁液、及び塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖溶液、ブドウ糖プラス塩化ナトリウム溶液、乳糖を含有するリンゲル溶液又は固定油を含む緩衝医療用非経口溶媒が挙げられる。静脈内溶媒は、液体と栄養補填剤、リンゲルブドウ糖を主成分とする補填剤などの電解質補填剤などを含んでいてよい。
【0055】
更に別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、制御された放出システムで送達することができる。一実施形態では、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、架橋両親媒性ブロック共重合体及びハイドロゲル、ポリヒドロキシブタン酸並びにポリジヒドロピランを含む高分子材料を使うことができ(SmolenとBall、「制御された薬物バイオアベイラビリティ、薬物製品設計と性能(Controlled Drug Bioavailability,Drug product design and performance)」、1984、John Wiley&Sons;RanadeとHollinger、「製剤送達システム、薬理学及び毒性学シリーズ(Drug product Delivery Systems,pharmacology and toxicology series)」、2003、第2版、CRRC Pressも参照)、別の実施形態では、ポンプを使用してもよい(Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574)。
【0056】
本発明の融合タンパク質は、希釈剤として適した賦形剤溶液(例えば、ショ糖)を使った凍結乾燥した粉末の形であってもよい。
【0057】
更に、本発明によるヌクレオチドセグメント又はタンパク質を、いくつかの形で個体に導入することができる。例えば、骨芽細胞を苦しんでいる個体から単離し、本発明によるヌクレオチド構築物で形質転換し、静脈内注射を含むいくつかの形で苦しんでいる個体に再導入することができる。代わりに、前記ヌクレオチド構築物を、例えば、注射により苦しんでいる個体に直接投与することができる。前記ヌクレオチド構築物は、特定の細胞型を標的にするように設計し、異なった経路を通じて投与されるように工学的に改変することができるリポソームなどの媒体を通じて送達することもできる。
【0058】
本発明の融合タンパク質は、遺伝子治療により有利に送達することもできる。有用な遺伝子治療法には、例えば、治療タンパク質用にアデノウイルスベクターを使用してタンパク質産生細胞として肝細胞を標的にするジェンザイム社の国際公開第06060641号A2、米国特許第7179903号及び国際公開第0136620号A2に記載されている治療法が挙げられる。
【0059】
「遺伝子送達媒体」は、宿主細胞内に挿入されたポリヌクレオチドを運ぶことができる任意の分子として定義される。遺伝子送達媒体の例は、リポソーム、天然ポリマーと合成ポリマーを含む生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、及び細菌、又はバキュロウイルス、アデノウイルス及びレトロウイルスなどのウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター並びに、種々の真核生物及び原核生物宿主における発現のために記載されており、単純なタンパク質発現のためだけではなく遺伝子治療のためにも使用してよい当技術分野で典型的に使用される他の組換え媒体である。本明細書で使用される「遺伝子送達」、「遺伝子移入」などは、外来性ポリヌクレオチド(「トランス遺伝子」と呼ばれることもある)の宿主細胞への導入に言及する用語であり、導入のために使用される方法とは無関係である。そのような方法には、ベクター媒介遺伝子移入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクション、又は種々の他のタンパク質ベース若しくは脂質ベース遺伝子送達複合体)並びに(エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達及びポリヌクレオチドの導入のために使用される種々の他の技術などの)「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促進する技術などの種々の公知の技術が挙げられる。導入されたポリヌクレオチドは宿主細胞内で安定的に維持されても一過性に維持されてもよい。安定的維持には典型的に、導入されたポリヌクレオチドが、宿主細胞と適合性の複製起点を含有する、或いは染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)などの宿主細胞のレプリコン又は核若しくはミトコンドリア染色体に組み込まれる必要がある。いくつかのベクターは、当技術分野で公知であり本明細書に記載するように、遺伝子の哺乳動物細胞への移入を媒介することができることが知られている。
【0060】
「ウイルスベクター」は、インビバ、エキソビバ又はインビトロのいずれかで、宿主細胞内に送達されるポリヌクレオチドを含む組換え的に産生されたウイルス又はウイルス粒子として定義される。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、国際公開第06002203号A2に記載されたウイルスベクターなどのアデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスなどが挙げられる。セムリキ森林ウイルスベースベクター及びシンドビスウイルスベースベクターなどのアルファウイルスは、遺伝子治療及び免疫療法において使用するためにも開発された。
【0061】
遺伝子移入がアデノウイルス(Ad)又はアデノ随伴ウイルス(MV)などのDNAウイルスベクターにより媒介される態様では、ベクター構築物は、ウイルスゲノム又はその一部を含むポリヌクレオチド、及びトランス遺伝子に言及する。アデノウイルス(Ad)は、50を超えるセロタイプを含む、相対的によく特徴づけられている同種グループのウイルスである。例えば、国際PCT出願番号WO95/27071を参照されたい。Adは増殖するのが容易で、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。組換えAd由来ベクター、特に野生型ウイルスの組換え及び産生の可能性を減少させる組換えAd由来ベクターも構築済みである。国際PCT出願番号WO95/00655及びWO95/11984を参照されたい。プロモーター及びポリヌクレオチドを動作可能的に連結することができるクローニング部位の両方を含有するベクターは、当技術分野では公知である。そのようなベクターは、インビトロ又はインビボでRNAを転写することができ、Stratagene社(ラホーヤ、カリフォルニア州)及びPromega Biotech社(マディソン、ウィスコンシン州)などの供給源から市販されている。発現及び/又はインビトロ転写を最適化するためには、転写又は翻訳レベルのいずれかで、発現を妨げる又は減少させる可能性にある余分な潜在的に不適切な代わりの翻訳開始コドン又は他の配列を除去するためにクローンの5’及び/又は3’非翻訳部分を取り除く、付加又は改変する必要がある可能性がある。
【0062】
本発明の骨標的sALPは、骨ミネラル化欠損又はHPPの別の有害な症状を改善する少なくとも1つの他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。本発明の骨標的sALPは、セメント質欠損を改善する少なくとも1つの他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。
【0063】
用語「高度な厳密性の条件」は、高度に相同性の配列が結合するのを可能にする条件に言及するよう意図されている。そのように限定することなく、そのような条件の例は、ハンドブック「分子クローニング(Molecular cloning)」、Laboratory manual、Sambrookらの1989年第2版に収載されており、300〜1500ヌクレオチドの核酸では、6×SSC又は6×SSPE、デンハート試薬又はなし、0.5%SDS及び高度な厳密性の条件を得るために使用される温度はほとんどの場合約68℃(Sambrookの9.47〜9.55ページ参照)。特定の核酸プローブのために使用される最適温度は、経験的に計算してもよいが、選択される緩衝液条件には代案の余地があるが、これらのきわめて公知の条件範囲内で、捕獲される核酸は著しく変わることはないであろう。実際、Sambrookは、「選択はかなりの程度まで個人的好みに左右される」ことをはっきりと示している(9.47ページ参照)。Sambrookは、核酸プローブ中のグアニンとシトシンの割合及びプローブの長さに従って変化する最適温度を計算する式(Tmよりも10〜20℃低く、Tm=81.5℃+16.6(log10[Na+])+0.41(G+Cの割合)−0.63(ホルムアミド%−(600/l))と明記している(Sambrookの9.50及び9.51ページ参照)。
【0064】
キット
本発明は、本発明による核酸、タンパク質又はリガンドを含む、HPP表現型又はセメント質欠損を改善又は予防するためのキットにも関する。例えば、前記キットは、本発明の骨標的組成物又は同一物をコードするベクター、及びHPP表現型を改善又は予防するために対象に前記組成物又はベクターを投与するための使用説明書を含んでいてもよい。そのようなキットは、HPP表現型を予防又は改善することができる少なくとも1つの他の活性薬剤を更に含んでいてもよい。前記キットを使用してHPP対象のHPP表現型を予防又は改善する場合、前記キットは、HPPの他のどんな有害な症状も予防又は改善することができる少なくとも1つの他の活性薬剤を更に含んでいてもよい。更に、本発明による区画化されたキットには、試薬が別々の容器に含有されるどんなキットも挙げられる。そのような容器には、小ガラス容器、プラスチック容器、又はプラスチック若しくは紙の条片が挙げられる。そのような容器は、試料及び試薬が相互汚染しないように、並びに各容器の薬剤又は溶液が定量的な形で区画から区画へと添加することができるように、区画から区画への試薬の効率的な移動を可能にする。
【0065】
更に具体的には、本発明の第1の態様によれば、構造:Z−sALP−Y−スペーサー−X−Wn−Vを有するポリペプチドを含む骨標的アルカリホスファターゼ(配列中、sALPはアルカリホスファターゼの細胞外ドメインであり、Vは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Wnはn=10〜16のポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸である)が提供される。
【0066】
特定の実施形態では、sALPは、配列番号15のアミノ酸残基23〜508を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号15のアミノ酸残基23〜512からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号18のアミノ酸残基23〜508を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号18のアミノ酸残基23〜512からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号16のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号16のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号8のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号8のアミノ酸残基18〜502からなる。
【0067】
別の特定の実施形態では、スペーサーは、フラグメント結晶化可能領域(Fc)を含む。別の特定の実施形態では、Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む。別の特定の実施形態では、Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである。別の特定の実施形態では、Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである。別の特定の実施形態では、Fcは配列番号3に記載の通りである。別の特定の実施形態では、Wnはポリアスパラギン酸である。別の特定の実施形態では、n=10である。別の特定の実施形態では、Zは不在である。別の特定の実施形態では、Yは2つのアミノ酸残基である。別の特定の実施形態では、Yはロイシン−リシンである。別の特定の実施形態では、Xは2つのアミノ酸残基である。別の特定の実施形態では、Xはアスパラギン酸−イソロイシンである。別の特定の実施形態では、Vは不在である。別の特定の実施形態では、ポリペプチドは配列番号4に記載の通りである。
【0068】
別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、ポリペプチドを二量体を含む形で含む。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、ポリペプチドを四量体の形で含む。
【0069】
別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、薬学的に許容可能な担体中に存在する。別の特定の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は生理食塩水である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、凍結乾燥された形である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約0.2〜約20mg/kgの1日投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、3日毎に投与される約0.6〜約60mg/kgの投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約1.4〜約140mg/kgの1週投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約0.5mg/kgの1週投与量である。
【0070】
更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸が提供される。
【0071】
本発明の別の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードする配列からなる単離された核酸が提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、配列番号17に記載の配列を含む単離された核酸が提供される。
【0072】
本発明の別の態様によれば、本発明の核酸を含む組換え発現ベクターが提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明の核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルスベクターが提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明のベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた、単離された組換え宿主細胞が提供される。
【0073】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを作製する方法であって、骨標的アルカリホスファターゼの発現をもたらすのに適した条件下で、本発明の宿主細胞を培養することと、及び培地から骨標的アルカリホスファターゼを回収することを含む方法が提供される。
【0074】
特定の実施形態では、宿主細胞は、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。別の特定の実施形態では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞はCHO−DG44細胞である。
【0075】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼ、及び低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキットが提供される。
【0076】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼ、及び歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキットが提供される。
【0077】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量の骨標的アルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において少なくとも1つのHPP表現型が改善又は予防される方法が提供される。
【0078】
特定の実施形態では、対象は少なくとも1つのHPP表現型を有する。別の特定の実施形態では、対象は少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型はHPP関連発作を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、乳歯の早期喪失を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、不完全な骨ミネラル化を含む。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な大腿骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な脛骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な中足骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な肋骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、無機ピロリン酸(PPi)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ホスホエタノールアミン(PEA)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、不十分な体重増加を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、くる病を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、骨痛を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を含む。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は乳児期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は小児期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は出生時HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は成人期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は歯限局型低ホスファターゼ血症HPPを有する。
【0079】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量の骨標的アルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成が改善又は予防される方法が提供される。
【0080】
特定の実施形態では、投与は、対象の細胞をアルカリホスファターゼをコードする核酸でトランスフェクトすることを含む。別の特定の実施形態では、細胞をトランスフェクトすることは、骨標的アルカリホスファターゼが発現され、活性型で分泌され、前記細胞を有する対象に投与されるように、インビトロで実施される。別の特定の実施形態では、投与は、対象への骨標的アルカリホスファターゼの皮下投与を含む。別の特定の実施形態では、投与は、対象への骨標的アルカリホスファターゼの静脈内投与を含む。
【0081】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのHPP表現型の改善又は予防に使用するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼが提供される。
【0082】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成の改善又は予防に使用するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼが提供される。
【0083】
本発明の別の態様によれば、医薬品の製造における、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0084】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのHPP表現型を改善又は予防するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0085】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0086】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照してほんの一例として示した、その特定の実施形態の以下の非限定的説明を読めば更に明らかになろう。
【0087】
添付の図面については以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】hsTNALP−FcD10により例示される本発明の骨標的ALPの設計及び概略構造を示す図である。パネルAは、N末端シグナルペプチドとGPI付加用一過性膜アンカー付加シグナルとを含むヒト組織非特異的アルカリ性ホスファターゼ遺伝子(TNALP)の完全一次翻訳産物の概略図を示す。パネルBは、融合タンパク質の一次翻訳産物を示す。パネルCは、切断可能TNALPシグナルペプチドを欠く一次翻訳産物を示す。
【図2】hTNALP−FcD10のタンパク質配列((配列番号1)、N末端ペプチドシグナル(最初の17アミノ酸)を含む)を示す図であり、hTNALPの部分(配列番号2)は、イタリック体であり、イタリック体で下線付きのペプチドシグナル部分を含み、Fcフラグメントは下線付きである(配列番号3)。
【図3】本明細書において示される実施例で使用されるhsTNALP−FcD10のタンパク質配列(配列番号4)(N末端ペプチドシグナルを有さない)を示す図であり、hsTNALP部分(配列番号5)はイタリック体であり、Fcフラグメントは下線付きである(配列番号3)。二重下線付きのアスパラギン(N)残基は、推定上のNグリコシル化部位に対応し、太字のアミノ酸残基(LK及びDI)は、それぞれhsTNALPとFcの間、及びFcとD10ドメインの間のリンカーに相当する。これらのリンカーは、cDNAの工学的改変時に導入されるエンドヌクレアーゼ制限部位に由来する。
【図4】CHO−DG44細胞におけるsTNALP−D10及びsTNALP−FcD10の発現の比較を示すグラフである。
【図5】Sephacryl(商標)3−300によるプロテインAセファロース分子篩クロマトグラフィーにおけるsTNALP−FcD10の精製、並びに還元(DTT+)条件及び非還元(DTT−)条件の下での精製sTNALP−FcD10のSDS−PAGE解析を示す図である。sTNALP−FcD10の概略図も示す。Protein A−Sepharose(商標)アフィニティークロマトグラフィーにより精製されたタンパク質をSDS−PAGEで解析し、Sypro(商標)Rubyでバンドを染色した。sTNALP−FcD10の主要な種は、還元条件下で90,000Da、及び非還元条件下で200,000Daの見かけの分子質量で移動した。
【図6】sTNALP−FcD10におけるパパイン切断部位の位置を示す図である。
【図7】TSK−Gel G3000WXLカラムにおけるsTNALP−FcD10の非変性SEC−HPLC解析を示すグラフである。通常の曲線:パパイン消化試料。−X−曲線:パパインが非存在であること以外は同一の条件でインキュベートした同じ試料(対照)。
【図8】どのフラグメントがゲル上のどのバンドに対応するのかを示す、パパインの存在下又は非存在下でインキュベートされたsTNALP−FcD10のSDS−PAGE解析を示す写真である。解析は、還元(+DTT)又は非還元(−DTT)の条件下で行った。
【図9】インビトロ結合アッセイを示すグラフである。sTNALP−FcD10及びウシ腎臓組織非特異的アルカリホスファターゼを例2に記載の再組成ミネラル結合アッセイで比較した。総活性は、遊離画分及び結合画分において回収された酵素活性の合計である。総活性は、それぞれウシ及びsTNALP−FcD10の形態の酵素についての各セットのアッセイにおいて導入された酵素活性の初期量の84%及び96%であることが分かった。結果は、2つの結合の平均である。
【図10】成体WTマウスの血清、脛骨及び筋肉におけるsTNALP−FcD10の薬物動態プロファイル及び分布プロファイルを示すグラフである。血清、脛骨及び筋肉におけるsTNALP−FcD10の濃度は、成体WTマウスにおける5mg/kgの単回ボーラス静脈内注射の後のμg/組織1g(湿重量)で表す。
【図11】新生児WTマウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度の薬物動態プロファイルを示すグラフである。(1日齢)新生児WTマウスにおける3.7mg/kgの単回の腹腔内注射(パネルA)又は皮下注射(パネルB)の後の時間の関数としてのsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図12】血清中のsTNALP−FcD10の予測薬物動態プロファイルを示すグラフである。新生児マウスにおける10mg/Kgの反復皮下注射(24時間毎)後のsTNALP−FcD10の予測最大(Cmax)循環定常レベル及び予測最小(Cmin)循環定常レベル。
【図13】新生児マウスの血清中のsTNALP−FcD10の実験的に試験された薬物動態プロファイルを示すグラフである。新生児マウスにおける10mg/Kgの最終皮下注射の24時間後のsTNALP−FcD10の測定最小(Cmin)循環定常レベル。ホモ:ホモ接合、ヘテロ:ヘテロ接合。
【図14】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。1mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日15日間投与したマウスの16日目におけるsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図15】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける血清中PPi濃度に関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。血清中PPi濃度の測定。1mg/kgの低用量は、ERT投与マウスのPPiレベルの正常化に十分だった。
【図16】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨端軟骨形態に関する、短期(15日間)低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。未投与のAkp2−/−マウス及び投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるWTの成長板のGoldnerの三重染色。近位脛骨の成長板(骨端軟骨)は、Akp2−/−マウスに注射されたsTNALP−FcD10及び媒体の両方において肥大領域の過度の拡大を示し、それは早期くる病と一致していた。しかしながら、骨端軟骨形態は、sTNALP−FcD10が投与された動物においてあまり支障を来たしていないと思われた。
【図17】投与を受けたAkp2−/−マウスの骨端軟骨肥大面積の大きさに関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。成長板の肥大面積の大きさは、総成長板面積の割合で表される。投与マウスにおける肥大面積の正常化を示す。
【図18】投与を受けたAkp2−/−マウスの体重に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。体重に対するsTNALP−FcD10の効果。
【図19】投与を受けたAkp2−/−マウスの長骨長に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。大腿骨及び脛骨の長さ(16日目に行われた測定)に対するsTNALP−FcD10の効果。
【図20】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日15日間投与したマウスの16日目のsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図21】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨のミネラル化に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。Akp2−/−マウス(16日齢)の足、胸郭及び後肢のX線解析及びFaxitron(商標)画像分布表。骨ミネラル化の欠損の程度を考慮するために、足及び胸郭を重症、中等度又は健康に分類した。下腿は、単に異常(少なくとも1つの欠損)又は健康(目に見える欠損なし)に分類した。
【図22】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける歯の欠損に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。媒体又はsTNALP−FcD10を注射したAkp2−/−マウス並びに野生型マウスの歯の組織学的解析。Millanらに記載されるように、薄片を調製し、染色した。PDL=歯周靭帯。
【図23】投与を受けたAkp2−/−マウスの生存期間に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。対照の媒体だけを投与したAkp2−/−マウスの早期の死亡と比較した、sTNALP−FcD10を投与したAkp2−/−マウスの長期生存期間。
【図24】投与を受けたAkp2−/−マウスの大きさ、移動性及び外観に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。投与により、投与を受けたAkp2−/−マウスの大きさ、移動性及び外観は正常化される。同腹仔の未投与マウスを比較のために示す。
【図25】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨のミネラル化及び長さに関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。WTマウスと比較した、46日齢及び53日齢の投与を受けたAkp2−/−マウスの中足骨のX線像。
【図26】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日52日間投与したマウスの53日目でのsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図27】A)毎日4.3mg/kg(Tx−1)又は3日毎に15.2mg/kg(Tx−3)又は1週毎に15.2mg/kg(Tx−7)のいずれかの投与量でsTNALP−FcD10の投与を受けたAkp2−/−マウスの生存曲線、及びB)これらの投与計画の各々についての生存期間の中央値を示す図である。投与マウスの生存期間を、媒体注射マウスの生存期間と比較した。
【図28】A)出生後15日目に開始した毎日8.2mg/kgの投与量(RTx)でsTNALP−FcD10の投与を受けたAkp2−/−マウスの生存曲線、及びB)投与マウス及び媒体注射マウスについての生存期間の中央値を示す図である。投与マウスの生存期間を、媒体注射マウス(R媒体)の生存期間と比較する。
【図29】出生後15日目から開始した、Akp2−/−マウス(RTx)に注射された毎日8.2mg/kgの投与量のsTNALP−FcD10の、体重に対する効果を示すグラフである。毎日の体重は、媒体注射Akp2−/−マウス(R媒体)又は野生型同腹仔(WT)と比較される。
【図30】CLUSTAL(商標)W(1.82)多重配列アラインメントによって確立された種々のALPのアラインメント、即ち、ウシTNALP配列(配列番号6);ネコTNALP配列(配列番号7)、ヒトTNALP配列(配列番号8)、マウスTNALP配列(配列番号9)、ラットTNALP配列(配列番号10)及び部分的イヌTNALP配列(配列番号11)(ここで最初の22のアミノ酸残基の性質は不明である);ヒトIALP(配列番号12)(受入番号:NP_001622)、ヒトGCALP(配列番号13)(受託番号P10696)及びヒトPLALP(配列番号14)(受託番号NP_112603)を示す図である。「*」は、その列の残基がアラインメントの全ての配列において同一であることを示し、「:」は、保存された置換が認められたことを示し、「.」は、半保存された置換が認められたことを示す。このアラインメント(配列番号15)から誘導されたコンセンサス配列も示されるが、ここでxは任意のアミノ酸である。
【図31】CLUSTAL(商標)W(1.82)多重配列アラインメントによって確立された種々の種に由来するTNALPのアラインメント、即ち、ウシ配列(配列番号6);ネコ配列(配列番号7)、ヒト配列(配列番号8)、マウス配列(配列番号9)、ラット配列(配列番号10)及び部分的イヌ配列(配列番号11)(ここで最初の22のアミノ酸残基の性質は不明である)を示す図である。「*」は、その列の残基がアラインメントの全ての配列において同一であることを示し、「:」は、保存された置換が認められたことを示し、「.」は、半保存された置換が認められたことを示す。このアラインメント(配列番号16)から誘導されたコンセンサス配列も示されるが、ここでxは任意のアミノ酸である。
【図32】図1に記載したポリペプチド配列をコードする核酸配列(配列番号17)を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下に示す実施例は、組換え型のALPの皮下注射を使ったTNALPノックアウト(Akp2−/−)マウスの最初の成功した治療を示している。Akp2−/−マウスは、重症の、致死することも多い、幼児期型の低ホスファターゼ血症を要約している。
【0090】
幼児期HPPに付随する骨格の生化学的異常の多くを反映した、十分に報告されているTNSALPホモ接合ヌルマウスモデルが使用された。10連続アスパラギン酸(D10)残基から構成された骨標的配列に融合されたヒトIgG−1の結晶性フラグメント(Fc)領域の形で両方のスペーサーを含有するようカルボキシ末端で工学的に改変された新規の可溶性組換え型のヒトTNSALPでマウスを治療した。腎臓から精製された天然TNSALPと比べて、改変された組換え型の酵素は、その酵素活性を保持したまま、はるかに貪欲にヒドロキシアパタイトに結合することが明らかにされた。本発明の組換えTNSLPで治療すると、媒体のみを受けたマウスと比べると、ホモ接合体のヌルマウスの血漿PPiレベルが驚くほど正常化され、足胸部、後肢及び歯列のミネラル化が改善された。前記治療は、骨格表現型のほぼX線検査正常化で、生存期間を延長することも明らかにされた。
【0091】
その有益なインビボ治療効果に加えて、驚くべきことに、スペーサーを含有する組換え活性型の改変された酵素は、そのようなスペーサーを欠くその組換え対応物よりも高いレベルで発現されることが発見された。更に、前記酵素は四量体として機能することが実証された。
【0092】
本発明は、以下の非限定的実施例により更に詳細に例示される。
【実施例】
【0093】
(例1)
組換えsTNALP−FcD10の発現及び精製
組換えTNALPの発現及び精製を容易にするために、TNALPにおけるGPIアンカー付加を指定する疎水性C末端配列を除去して可溶性の分泌酵素とした(Di Mauroら、2002)。また、ヒトIgG(γ1型(IgG1)、Swiss−Prot P01857)のFc領域でTNALPエクトドメインのコード配列を拡大させた。これにより、Protein Aクロマトグラフィーにおける組換え酵素の精製を迅速に行うことが可能になり、驚くべきことにその発現を増大させることも可能になった。更に、組換えTNALPを骨組織にターゲティングするために、Fc領域のC末端にデカアスパルテート(D10)配列を付加した。このキメラ型のTNALP(sTNALP−FcD10と呼ぶ)は、生理学的基質として、人工基質p−ニトロフェニルリン酸を用いてpH9.8でアッセイした場合と、無機ピロリン酸(PPi)を用いてpH7.4でアッセイした場合との両方において、完全な酵素活性を保持する。天然型のTNALPのように、N末端シグナルペプチドは、粗面小胞体を横断するタンパク質の共翻訳的トランスロケーションの間に切断される。その設計及び構造を、図1に概略的に例示する。図2に、融合タンパク質(シグナルペプチドを含む)のアミノ酸配列を示す。図3に、分泌される融合タンパク質(即ちシグナルペプチドを有さない)のアミノ酸配列を示す。
【0094】
この融合タンパク質を構築するために用いた方法は、以下の通りである。融合タンパク質コードするcDNA(図32参照)を、NheI及びBamHIエンドヌクレアーゼ制限部位を用いて、pIRESベクター(Clontech(商標))のIRESの上流側に位置する第1のマルチクローニング部位に挿入した。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を、SmaI及びXbaIエンドヌクレアーゼ制限部位を用いて、IRESの下流側に位置する第2のマルチクローニング部位に挿入した。Lipofectamine(商標)トランスフェクションキット(Invitrogen)を用いて、DHFR遺伝子の両対立遺伝子が欠失したチャイニーズハムスター卵巣(CHO−DG44)細胞(Urlaubら、1983、Dr Lawrence A.(Chasin、Columbia University)から得た)内に、得られたベクターをトランスフェクションした。トランスフェクションの2日後、培地を交換し、ヌクレオチド不含培地(5%透析FBSを補充したIMDM)中に細胞を15日間維持し、プラーククローニングのための安定なトランスフェクタントを単離した。
【0095】
ヌクレオチド不含培地中で増殖した、3個の最良のクローン又は最初に選択された5個に由来する細胞をプールし、メトトレキサート(MTX)を含有する培地(IMDM+5%透析FBS)中でその濃度を上昇させながら更に培養した。5%FBSが補充されたIMDM培地を含有するCellstacks(商標)(Corning)中で、50nM MTX耐性の培養物を更に増殖させた。コンフルエントに達した後、即座にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞層をリンスし、タンパク質発現を増加させるために3.5mM酪酸ナトリウムを含有するIMDMで細胞のインキュベーションを更に3日間行った。培養の終了時、使用済みの培地中のsTNALP−FcD10の濃度は、TNALP酵素活性を測定することによって評価したところ3.5mg/Lであった。
【0096】
遊離したp−ニトロフェノールの吸光度が反応産物量に比例するALP活性についての熱量アッセイを用いて使用済みの培地中のsALP−FcD10の濃度を定量した。反応は、10μLの希釈された使用済み培地及び1mM pNPPを含有する100μLのALP緩衝液(20mMビス−トリスプロパン(HCl)pH9、50mM NaCl、0.5mM MgCl2、及び50μM ZnCl2)中で生じた。最後に後者の化合物を添加して反応を開始させた。分光光度プレートリーダを用いて20分間に亘り45秒毎に405nmで吸光度を記録した。最も急な勾配を8つの連続値に合わせることによって、初速度として表されるsTNALP−FcD10触媒活性を評価した。sALP−FcD10の濃度を変化させて標準液を調製し、先に記載したようにALP活性を決定した。標準濃度のLogの関数としての初速度のLogをプロットすることによって標準曲線を作成した。異なる試料におけるsTNALP−FcD10濃度を、それらのそれぞれのALP吸光度を用いて標準曲線から読み取った。精製された組換え酵素の既知の濃度の活性をプロットすることにより得られた較正曲線を用いて、活性の測定値をsALP−FcD10の濃度に変換した。
【0097】
次いでタンジェント流濾過を用いてPBSに対して培養液上清の濃縮及び透析を行い、150mM NaCl(10mM PO4ナトリウム)で平衡化したMabSelect SuRe(商標)カラム(GE Health Care)にそれを添加した。結合したタンパク質を、50mMトリスpH11(pH11.0緩衝液)で溶出した。回収した画分を、200mMトリス−HCl pH5.5でpH8〜9に調整した。溶出物質のほとんどを含む画分を、0.1mM MgCl2(20μM ZnCl2)を含有する150mM NaCl(25mM PO4ナトリウム)pH7.4緩衝液に対して透析し、無菌条件下で0.22μm(Millipore、Millex−GP(商標))膜で濾過した。精製手順の全収率を、Sypro(商標)ruby染色したSDS−PAGEにより評価したところ、95%超の純度で50%であった。精製したsTNALP−FcD10調製物を、数カ月間4℃で保存し、安定したままとした。
【0098】
また、以下の精製手法も試験したところ、成功であった。タンジェント流濾過を用いてPBSに対して培養液上清の濃縮及び透析を行い、PBSで平衡化したProtein A−Sepharose(商標)カラム(Hi−Trap(商標)5mL、GE Health Care)にそれを添加した。結合したタンパク質を、100mMクエン酸pH4.0緩衝液で溶出した。回収した画分を、直ちに1M トリスpH9.0でpH7.5に調整した。溶出物質のほとんどを含む画分を、0.1mM MgCl2(20μM ZnCl2)を含有する150mM NaCl(25mM PO4ナトリウム)pH7.4緩衝液に対して透析し、無菌条件下で0.22μm(Millipore、Millex−GP(商標))膜で濾過した。精製手順の全収率を、Sypro(商標)ruby染色したSDS−PAGEにより評価したところ、95%超の純度で50%であった。精製したsTNALP−FcD10調製物を、数カ月間4℃で保存し、安定したままとした。
【0099】
トランスフェクションしたCHO−DG44194細胞をメトトレキサートの存在下でその濃度を上昇させながら培養することによって、sTNALP−FcD10遺伝子のコピー数を増加させた。100nMメトトレキサート耐性の細胞のクローンを単離し、高収率でsTNALP−FcD10を生成する能力について評価した。最も良い産生株を、ウシ胎仔血清を含まないHyclone media(商標)SFM4CHO(商標)(カタログ番号SH30549)の懸濁液中の培養に適応させた。それらの条件下で高産生収率を維持した培養物を使い捨て式Wave(商標)バイオリアクタバッグに移した。1mL当たり0.4×106個の細胞の密度で培地(総容積25L)に播種した。細胞密度が2×106個/mLに達するまで、培養の温度を37℃に維持した。次いで温度を30℃に低下させ、培養物に、125mLのCHO用一般的供給物(Sigma、C1615)を補充した。それらの条件により、培養培地中において、細胞分裂が遅くなり、産物分泌が増大することが分かった。これらの条件を6日間維持した後、分泌sTNALP−FcD10を含有する細胞培養上清を収集した。
【0100】
(例2)
sTNALP−D10及びsTNALP−FcD10の発現の比較
sTNALP−FcD10又はsTNALP−D10のいずれかをコードするプラスミドベクターを、Lipofectamine(商標)を使用してCHO−DG44細胞においてトランスフェクションし、上記の例1に記載したようにDHFR遺伝子を発現する細胞の生存を促進するように設計された選択培地(即ちヌクレオチドを含まない)中で増殖させた。安定したトランスフェクタントをプラーククローニングによって単離し、上記の例1にも記載したアルカリホスファターゼ酵素アッセイを使用してタンパク質発現のそれらのレベルの順に分類した。スクリーニングにより、sTNALP−D10についてのみ1個のクローン(0.120pg/細胞/日)、sTNALP−FcD10については5個のクローン(0.377、0.258、0.203、0.099及び0.088pg/細胞/日)を同定することができた。メトトレキサート(MTX)遺伝子の増幅を、上記の例1に記載したように行い(0〜100mMの範囲のMTX)、それによりsTNALP−FcD10については発現を8倍増大させることができたが、一方でsTNALP−D10の培養物では増幅は認められなかった(図4参照)。細胞系の発達のための同様の方法を使用して、予想外にも、sTNALP−FcD10タンパク質は、sTNALP−D10よりも容易に発現することが分かった(図4参照)。
【0101】
(例3)
sTNALP−FcD10の特性評価
sTNALP−FcD10を、まずProtein−A Sepharose(商標)で精製し、還元条件及び非還元条件の下でSDS−PAGEで解析した。
【0102】
それは、還元条件下で、約90,000Daの見かけの分子質量で広いバンドとして移動した(図5のDTT+)。ペプチドN−グリコシダーゼF(PNGAse F)による消化により、タンパク質の見かけの分子質量は約80,000に減少したが、それは図1に示される非グリコシル化sTNALP−FcD10単量体の80,500Daの算出質量に非常に近いものである。血清中の可溶性TNALPは、骨芽細胞の外表面にGPIアンカータンパク質として存在するTNALPと同様に、酵素の総重量の20%以下を含む炭水化物を有する高グリコシル化タンパク質である(Farley及びMagnusson、2005)。TNALPに対する特異的な炭水化物構造は同定されなかったが、配列の試験により、酵素がN−結合型グリコシル化のための5つの推定上の部位を有することが示され、生化学試験により、N−結合型炭水化物及びO−結合型炭水化物の両方についての証拠が示された(Nosjeanら、1997)。より以前のこれらの見解と一致して、sTNALP−FcD10の電気泳動移動及びPNGAse Fに対するその感受性により、それもまた高N−グリコシル化タンパク質であることが示唆される。血清中の可溶性TNALPは、骨芽細胞の外表面にGPIアンカータンパク質として存在するTNALPと同様に、酵素の総重量の20%以下を含む炭水化物を有する高グリコシル化タンパク質である(Farley及びMagnusson、2005)。
【0103】
非還元条件下でSDS−PAGEを繰り返した際、sTNALP−FcD10の見かけの分子質量が200,000であることが判明し(図5のDTT−)、それは、天然で未変性のTNALP等のホモ二量体の見かけの分子質量と一致していた(Millan、2006)。このホモ二量体は、2つの単量体Fc領域の間の2つのジスルフィド架橋の形成から生じ得る(図5の右上のパネル)。
【0104】
次に、150mM NaCl(20mMトリスpH7.5緩衝液)で平衡化したSephacryl(商標)S−300(GE Health Care)のカラムでサイズ排除FPLCクロマトグラフィーを用いて、天然条件下における精製sTNALP−FcD10の分子質量を評価した。事前に、標準タンパク質キット(HMW較正キット、GE Health Care)でカラムを較正した(図5の左下のパネル)。
【0105】
回収したクロマトグラフィー画分を、アルカリホスファターゼ酵素活性及び各ピークの物質についてアッセイした。驚くべきことに、前記物質の78%は370kDaのタンパク質に対応する位置で溶出しており(図5の左下のパネル)、それにより、CHO細胞において産生される天然sTNALP−FcD10組換え酵素についての四量体形態が示唆された。Sephacryl S−300カラムからの画分を活性について試験した際、酵素活性の全てが370kDaの画分と関連していた。残留物質の分子量は非常により高かったが、このことは、いくつかのsTNALP−FcD10凝集体の形成を示していた。後者が共に四量体を維持する非共有結合を破壊するためSDS−pageで観察することができない四量体形態と、凝集体形態との両方を、還元条件下でSDS−PAGEにより見かけの分子量が90,000のsTNALP−FcD10単量体として分解し(DTT+、図5の右下のパネル)、非還元条件下で見かけの分子量が200,000の二量体として分解した(DTT−、図5の右下のパネル)。組換えsTNALP−FcD10は、2つのsTNALP−FcD10ジスルフィド結合二量体の非共有結合性会合によって形成される酵素的機能性ホモ四量体から主になると思われる。
【0106】
限定されたパパイン消化により、sTNALP−FcD10の四量体構造を更に試験した(図6〜8)。このプロテアーゼは、ヒンジ領域の近くにあり、且つ、ジスルフィド結合のN末端側のIgG重鎖を切断し、それにより単量体Fabフラグメント及び二量体ジスルフィド結合Fc二量体の全体を作製することが知られている。したがって、sTNALP−FcD10の消化により、酵素的活性sTNALP二量体は、無損傷Fcドメインから遊離されることになる(図6参照)。
【0107】
400μgのsTNALP−FcD10を含むアリコートを、250μMジチオトレイトールを含有する20mMリン酸緩衝液(pH7.0)中で208mUのパパインアガロース(Sigma)により消化させた。緩やかな撹拌下で、37℃で1時間消化を進行させた。遠心分離によりパパインアガロースビーズを除去させることによって、反応を停止させた。それらの条件では、インキュベーションの最初の4時間においてsTNALP−FcD10酵素活性の著しい低下は認められなかった。次に、パパインアガロースの存在下又は非存在下で1時間インキュベーションしたsTNALP−FcD10を、非変性条件でTSK−Gel G3000WXL(Tosoh Bioscience)によるSEC−HPLCによって解析した。
【0108】
図7は、見かけの分子量370kDaで溶出する主な産物が、パパイン消化の1時間後には認められなかったことを示す。それらの条件において、パパイン消化により、それぞれ135kDa及び62kDaの2つの主要フラグメントが作製される。また、35kDaの分子量のマイナーピークも認められた。
【0109】
還元SDS−PAGE条件(DTT+、図8)の下で、パパインが投与されていない試料の産物を、単量体sTNALP−FcD10に対応することが既に示された主要なバンドに分割した(102kDa)(DTT+、パパイン−)。ウェスタンブロットにおいて、このバンドを、TNALPとIgG1分子のFcドメインとの両方に対する抗体で実際染色することができる(図示せず)。パパイン消化の後、このバンドは、以下の2つの主要なフラグメントに切断される。1)抗Fc抗体に結合するが抗TNALP抗体には結合せず、FcD10フラグメントに対応することが提唱されている32kDaのバンド;及び、2)抗ALP抗体で染色され得るが抗Fc抗体では染色され得ず、したがってTNALPエクトドメイン単量体に対応すると考えられる、幅広く、且つ、拡散したタンパク質バンド(66〜90kDa)。この物質の不均質性は、おそらくそのグリコシル化に起因するものであり、なぜならば、それがペプチド−N−グリコシダーゼFによる消化によって還元され得るからであり、それはまたその見かけの分子質量を52kDaにまで減少させる(結果は示さず)。
【0110】
非還元条件(DTT−、図8)の下で、パパインを含まずにインキュベーションされたsTNALP−FcD10は、SDS−Pageにおいて216kDaのタンパク質として移動することが分かった(DTT−、パパイン−、図8)。また、ウェスタンブロット法により、このタンパク質がTNALP部分及びFc部分の両方のエピトープを含むことが示される。(結果は示されない)。この分子種は、ジスルフィド結合したsTNALP−FcD10二量体からなることが既に提唱された。非還元条件(DTT−、パパイン+)の下でのパパイン切断によって、還元条件下の場合と同様に2つの主要フラグメントが作製される。ウェスタンブロットにおいて、55kDaのフラグメントは、抗Fc抗体で染色することができるが、抗TNALP抗体で染色することはできない。このフラグメントは、天然の条件でSEC−HPLCにより観察された62kDaの種とほとんど同一であり、ジスルフィド結合したFc二量体に対応することが提唱されている。他の主要な種は、還元条件下で観察される主要なタンパク質バンド(66〜90kDa)と共に移動する。このことは、それがTNALPエクトドメイン単量体から構成されることと一致している。非変性条件でHPLCにより解析する場合、これらの単量体は、135kDaの種としてSECカラムから溶出する酵素的活性TNALP二量体において非共有結合的に会合する。
【0111】
(例4)
ヒドロキシアパタイトに対するsTNALP−FcD10タンパク質及びウシ腎臓sALPの親和性の比較
また、以下の手順を用いて、ヒドロキシアパタイトに対する精製sTNALP−FcD10タンパク質の親和性を、ウシ腎臓(組織非特異性)可溶アルカリホスファターゼ(Calzyme)と比較した。ウシ腎臓TNALPが市販されていたので、それをヒト骨TNALPの代わりに使用した。まず、1M HClでヒドロキシアパタイトセラミックビーズ(Biorad)を可溶化し、その溶液を10N NaOHでpH7.4にすることによりミネラルを沈殿させた。100μLの150mM NaCl(80mMリン酸ナトリウム、pH7.4)緩衝液において5μgのタンパク質で750μgのミネラルを含有するミネラル懸濁液のアリコートをインキュベーションすることによって、この再組成ミネラルへの結合を行った。試料を、回転輪上に30分間21±2℃で維持した。低速遠心分離によってミネラルを遠沈し、ミネラルペレット及び上清の両方において得られた総酵素活性を測定した。図9は、sTNALP−FcD10が、ウシ腎臓TNALPよりも、再組成ヒドロキシアパタイトミネラルに効率的に結合することを明確に示している。更に、アッセイにおいて導入されたほとんどの組換えsTNALP−FcD10タンパク質量を、結合画分及び非結合画分の両方において得られた酵素活性を合計することによって得た。このことは、再組成ミネラル相への組換えタンパク質の結合によってその酵素活性が著しく変化しないことを示す。
【0112】
(例5)
マウスモデル
相同組換え(Narisawaら、1997;Feddeら、1999)によりNeoカセットをマウスTNALP遺伝子(Akp2)のエクソンVIに挿入することによって、Akp2−/−マウスを作製した。この突然変異によってAkp2遺伝子の機能的不活性化が引き起こされ、これらのノックアウトマウスにおいてmRNAもTNALPタンパク質も検出され得なかった(Narisawaら、1997)。表現型的に、Akp2−/−マウスは、重症小児性HPPを模倣する。これらのマウスは、出生時には明らかな低ホスファターゼ血症の表現型を有さず、通常6日目又はその頃に骨格の欠損が発現し、その後悪化する。それらのマウスは、くる病により発育が阻害され、てんかん発作及び無呼吸を発現し、出生後12〜16日目の間に死亡することが報告された。HPP患者と同様に、Akp2−/−マウスは、TNALP活性の全身的不足、ALP基質(PPi、PLP及びPEA)の内因的蓄積、による低リン血症を特徴とし、くる病又は骨軟化症につながる骨格基質ミネラル化の欠損を患う(Feddeら、1999)。
【0113】
どのようにしてアルカリホスファターゼの不足がヒト及びマウスにおける疾患の神経病学的発現を生じさせ得るのかについて理解するためには、CNSにおけるビタミンB6の役割及び代謝について検討する必要がある。ビタミンB6は、神経伝達物質(γ−アミノ酪酸(GABA)、ドーパミン及びセロトニン)の生合成に関与するものを含む少なくとも110種の酵素の補因子としての役割を果たす重要な栄養素である。ビタミンB6は、3種の遊離型(又はビタマー)、即ち、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)及びピリドキシン(PN)に見出すことが可能であり、それらの全ては対応する5’−リン酸誘導体(PLP、PMP及びPNP)にリン酸化され得る(Jansonius、1998)。リン酸基の除去は、ALPの機能であり、主にTNALPイソ酵素の機能である(Whyte、2001)。脱リン酸化ビタマーのみが細胞内に輸送され得ることから、低ホスファターゼ血症におけるTNALP活性の低下により、血漿中PLPの著しい増加(Whyteら、1985;Whyte、2001)と、GABAの脳内濃度の減少につながる末梢組織及び中枢神経系におけるPLPの細胞内の不足とが生じる。また、これらのマウスに認められたてんかん発作は、PLPの不足によるグルタミン酸脱炭酸酵素機能不全の結果として生じるという仮説が立てられている(Waymireら、1995)。
【0114】
ピリドキシンの補充により、Akp2−/−マウスのてんかん発作が抑制されるが、出生後18〜22日目まで数日間寿命が延びるだけである(Narisawaら、2001)。故に、本研究における全ての動物(種畜、授乳雌、幼獣及び離乳子畜)には、ピリドキシンの濃度を増加(325ppm)させた、改変された実験室用齧歯類食餌5001を自由に供した。
【0115】
ヘテロ接合体の交配によって、Akp2−/−マウス(12.5%C57BL/6〜87.5%129Jハイブリッドバックグラウンド)を維持した。動物(その幼獣を伴う種畜対又は授乳雌)を、自動潅水システムを備えた、換気が行われる固形底のプラスチックケージに収容した。全ての動物には、325ppmのピリドキシンを有する改変された実験室用齧歯類食餌5001(番号48057、TestDiet(商標))を自由に供した。食餌中の混入物(例えば、重金属、アフラトキシン、有機リン化合物、塩化炭化水素、PCB)の最大許容濃度は、製造業者により保証された。治験薬の毒性に影響を及ぼす既知の混入物は、食餌材料中に存在しなかった。
【0116】
(例6)
WTマウスに注射されたsTNALP−FcD10の薬物動態及び組織分布
血液試料の採取
血液試料をヘパリンリチウムチューブ(VWR、番号CBD365958)内に採取し、最高で20分間氷上に置き、その後室温で10分間、2500gで遠心分離した。少なくとも、15μLの血漿を0.5mLチューブ(Sarstedt、番号72.699)内に移し、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。可能な場合、別の50μL以下の血漿を0.5mLチューブ内に移し、65℃で10分間不活化し、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。いずれの残留血漿も15μLのアリコートにプールし、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。
【0117】
血漿中sTNALP−FcD10の決定
血漿試料中のsTNALP−FcD10の存在について、比色酵素アッセイを用いて投与完了時に評価した。吸光度の増加が産物への基質転化率に比例する色素原基質を用いて、酵素活性を決定した。10μLの希釈血漿試料を添加した0.5mM MgCl2及び50μM ZnCl2を含有する100μLの50mM NaCl緩衝液(20mMビス−トリスプロパン(HCl)pH9緩衝液)において反応を行った。反応を開始するために、ALP基質のp−ニトロフェニルを、1mMの終濃度で最後に添加した。Spectramax(商標)190(Molecular devices)プレートリーダを用いて、20分間に亘って45秒毎に405nmで吸光度を記録した。隣接する8つの読取値に最も急な勾配を適用することにより、初期反応速度として表したsTNALP−FcD10酵素活性を評価した。治験薬の濃度を変化させて標準液を調製し、例1において先に記載したように酵素活性を決定した。標準液の量の対数の関数としての初期速度の対数をプロットすることによって標準曲線を作成した。異なる血漿試料のsTNALP−FcD10濃度を、それぞれの酵素活性を用いて標準曲線から直接読み取った。
【0118】
血漿中PPiの決定
既に記載したように、6−ホスホ[6−3H]グルコネートの反応生成物からのUDP−D−[6−3H]グルコース(Amersham Pharmacia)の活性炭上の示差吸着を用いて、心臓穿刺から得た血清中のPPiの循環値を測定した(Johnsonら、1999)。
【0119】
sTNALP−FcD10の半減期及び組織分布
成体WTマウスにおいて、マウスに注射したsTNALP−FcD10の半減期及び組織分布を決定した。図10は、成体WTマウスへの5mg/kgの単回ボーラス静脈内注射の後の、その薬物動態及び組織分布をまとめたものである。
【0120】
最高1μg/g骨(湿重量)の骨において[125I]標識sTNALP−FcD10が蓄積した血液において、半減期は34時間であった。この半減期は、報告された不成功の臨床試験において既に観察されたものと同等である。実験中に放射標識sTNALP−FcD10の有意な低下は認められなかったので、骨をターゲティングした物質の濃度は非常に安定的であると思われた。筋肉中の放射標識酵素の量が、血液中のsTNALP−FcD10酵素活性の量と平行して減少したことから、sTNALP−FcD10の蓄積は筋肉中に認められなかった。
【0121】
新生児マウスにおいて。Akp2−/−マウスが12〜16日目の間に死亡し、かかる若いマウスに静脈内注射は適当でないことから、3.7mg/Kgの投与量を用いて、WT新生児マウスにおいて腹腔内経路及び皮下経路を用いて、血清中のsTNALP−FcD10の薬物動態解析を繰り返した。注射部位における予測不可能な損失につながる腹腔内の高圧のため、腹腔内経路は適切でないことが分かった(図11A)。図11BのPK実験に示すように、皮下経路は、新生児マウスにおいて再現性がより大きかった。下記の表2に、新生児マウス及び成体マウスにおけるsTNALP−FcD10の薬物動態パラメータを報告する。
表2:新生児WTマウスにおけるsTNALP−FcD10の薬物動態パラメータ
【表2】
【0122】
これらのPKデータを、WinNonlin(商標)ソフトウェア(Pharsight Corporation、Mountain View、CA)によって解析し、それを、毎日の反復皮下注射の後に達成されるsTNALP−FcD10の循環血中濃度を予測するために用いた。循環sTNALP−FcD10は、それぞれ26.4及び36.6μg/mLであるCmin値とCmax値との間で変動する定常状態の血清中濃度に達した(図12)。定常状態は、1日用量10mg/kgを5〜6回投与した後に達成された。
【0123】
1日量10mg/kgのsTNALP−FcD10の注射を5回行った後、予測妥当性を実験的に試験した。注射日にマウスの遺伝子型を識別することはできなかった。試験されたマウスの中で、どのマウスがヘテロ接合で、どのマウスがホモ接合であったのかは、後で決定した。全ての異なる遺伝子型の行動に差は認められなかった。最後の注射の24時間後、即ち6日目(Cmin)に、循環ALP活性を測定した際、実験の濃度と予測濃度との間に良好な一致が認められた(図13)。投与を受けなかったこれらの5日齢の動物において、血清中TNALP濃度は、0.58μg/mLであった。これらの濃度は、年齢と共に低下することになる。したがって、注射の投与計画によって、通常のTNALP濃度よりも約50倍高いsTNALP−FcD10の定常状態の血清中濃度への増加が可能になったことが算出された。
【0124】
(例7)
ボーラス静脈内投与の後の成体WTマウスの骨におけるsTNALP−FcD10の濃度
129J成体WTマウスに、投与量5mg/kgでsTNALP−FcD10を静脈内投与した。T=25時間での骨におけるsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:0.64μg/g;脛骨:1.33μg/g;及び大腿骨:1.37μg/g、平均濃度:1.11μg/g。ラットにおいて、骨組織は総質量の16.3%である。この割合もまたマウスにおいて明らかにされることが期待される。この実験に使用するマウスの体重は18.4gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約18.4g×0.163=3.00gだった。骨組織のsTNALP−FcD10の算出量は3.33μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(3.33μg/(5μg/g*18.4g))*100=4%だった。
【0125】
T=96時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:0.83μg/g;脛骨:1.33μg/g;及び大腿骨:1.63μg/g、平均濃度:11.26μg/g。この実験に使用するマウスの体重は17.8gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約17.8g×0.163=2.90gだった。したがって、マウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約3.66μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(3.66μg/(5μg/g*17.8g))*100=4%だった。
【0126】
(例8)
ボーラス皮下注射の15日後の新生児WTマウスの骨におけるsTNALP−FcD10の濃度
129J新生児のWTマウスに、投与量4.3mg/kgでsTNALP−FcD10を、総投与量65mg/kgで15日間毎日皮下投与した。T=24時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:6.45μg/g;脛骨:3.05μg/g;及び大腿骨:3.71μg/g、平均濃度:4.40μg/g。この実験に使用するマウスの体重は9.83gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約9.83g×0.163=1.60gだった。したがって、その際のマウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約7.04μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(7.04μg/(65μg/g*9.83g))*100=1%だった。
【0127】
T=168時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:5.33μg/g;脛骨:1.37μg/g;及び大腿骨:1.88μg/g、平均濃度:2.86μg/g。この実験に使用するマウスの体重は14.0gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約14.0g×0.163=2.28gだった。したがって、その際のマウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約6.52μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(6.52μg/(65μg/g*14g))*100=0.7%だった。下記の表3に、例7及び8の結果をまとめる。
表3:sTNALP−FcD10の平均濃度及び骨における注射投与量の割合
【表3】
(1)示された時間は、最後の注射からのものである。
【0128】
(例9)
Akp2−/−マウスにおけるHPPについての低用量(1mg/kg)のsTNALP−FcD10の短期(15日間)の有効性
sTNALP−FcD10の皮下注射を、1mg/kgを用いてAkp2−/−マウスにおいて15日間毎日行った。投与群は、19匹の同腹仔から構成された。Akp2−/−マウスには、媒体(N=13)又はsTNALP−FcD10(N=12)を投与した。対照は、15匹のWTマウス(1匹の同腹仔につき1匹)からなった。対照に対して注射を行わなかった。例6に記載したように、最後の注射の24時間後に血液を採取した。
【0129】
図14は、16日目の血清中の酵素活性が検出レベルをわずかに超えたに過ぎないことを示している。血清中のsTNALP−FcD10の値は低かったが、血清中PPi濃度を補正した(図15)。未投与のAkp2−/−マウスは、血清中PPi濃度が1.90±0.64μmol/mLだったのに対して、投与されたAkp2−/−マウスは、濃度が1.41±0.30μmol/mLであり、WTマウス(1.52±0.35μmol/mL)と同等だった。
【0130】
Akp2−/−動物における近位脛骨の成長板は、WT動物と比較して肥大領域の若干の拡幅を示した(図16の野生型との媒体の比較)。Akp2−/−マウスの株において以前になされた同じ観察(Hessleら、2002)は、くる病と一致する。sTNALP−FcD10を15日間投与した動物では、媒体(未投与)と比較して、骨端軟骨形態の正常化に向かう傾向が認められた(図17)。
【0131】
(例10)
Akp2−/−マウスのHPPについての高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の短期(15日間)の有効性
成長及び骨ミネラル化に対する、有意により高い用量のsTNALP−FcD10(8.2mg/kg)を用いた毎日15日間の皮下注射を評価するために、20匹の同腹仔からのマウス(合計で141匹のマウス)を用いた。それらを以下の2群に分けた。1)媒体が投与されたAkp2−/−マウス(N=19);2)sTNALP−FcD10が投与されたAkp2−/−マウス(N=20);更に1匹の同腹仔につき1匹のWTマウス(投与なし)(N=18)がいた。
【0132】
体重
Akp2−/−マウスの成長は、WTマウスよりも遅かった。1日目において、媒体動物、sTNALP−FcD10動物及びWT動物の間に体重の統計学的な差は認められなかった。しかしながら、1日平均体重は、6日目で相違した(図18)。WT(4.2±0.6g)及び媒体(3.7±0.7g)の間の差は、6日目に統計学的有意性に達した(p=0.0217)が、媒体(5.9±1.0g)及びsTNALP−FcD10を投与した場合の値(6.7±1.0g)の間の差は、11日目に統計学的有意性に達し(p=0.04)、逆に投与群のほうがWTよりも重かった。16日目において、投与動物(8.2±1.1g)及びWT(8.4±0.8g)の平均体重に統計学的な差はなかった。sTNALP−FcD10が投与された動物の体重は、媒体が投与された動物(6.6±1.4g)よりも統計学的に大きかった(p=0.026)。体重について、ERT群とWT群との間に有意差はいずれの時点においても認められなかった。
【0133】
骨長
この実験の終了時(16日目)、脛骨の長さは、Akp2−/−マウスにとっての骨格の有益性を示す更なる測定値を提供した。ERTの脛骨長は、12.6±0.7mmであり、媒体が投与された動物(11.7±1.1mm)より長かった(p=0.0135)(図19)。また、sTNALP−FcD10(9.2±0.4mm)群と媒体(8.6±0.8mm)群との間で大腿骨長を比較した際においても、統計学的な差が得られた(p=0.0267)。WTマウスと比較してERTの脛骨長又は大腿骨長に統計学的な差は示されなかった。脛骨及び大腿骨の成長の部分的維持(即ち、約2週齢で明らかに認められる骨成長の減少の部分的防止)は、剖検時に長さを測定することにより観察された(図19)。
【0134】
5匹以外の全ての動物において、16日目での投与を受けたAkp2−/−マウスの血漿中のsTNALP−FcD10の濃度は、検出可能であるが非常に多様であることが分かった(図20)。比較目的のために、正常動物の循環TNALP濃度を示す。
【0135】
骨ミネラル化
足及び胸郭のFaxitron(商標)画像のブラインド評価において、Akp2−/−マウスのミネラル化の欠損の重症度を2つの程度に区別した(図21)。重症に罹患したマウス(重症)には、指の骨(指骨)及び二次骨化中心の欠如が認められた。中等度に罹患した(中程度)マウスには、異常な二次骨化中心があったが、指の骨は全て存在した。WTマウス(健康)は、通常の構築物と共に存在する全ての骨構造を有した。後肢のX線画像も同様に、急性骨折又は慢性骨折のエビデンスが存在する場合には異常と、いずれの異常所見もない場合には健康と類別した(図21)。ERTは、重症の欠損を有するAkp2−/−マウスの数で記録された足のミネラル化の欠損をできる限り小さく抑え、それは、未投与群では5例だったが、ERT群では0例だった(図21の表)。カイ二乗は有意であったが(p≦0.05)、それは、ERTが後天性骨欠損の重症度を低下させたことを示している。重症に罹患した小児性HPP患者は、多くの場合、呼吸の支持を不可能にする肋骨のミネラル低下及び骨折により死亡するため、胸部も綿密に検討した。また、ERTは、重症の異形胸郭の発現率を減少させた(図21の表)。カイ二乗解析は、p≦0.025で有意だった。同様に、後肢は、全投与動物で健康であると思われた(図21の表)。カイ二乗解析は、p≦0.025で有意だった。
【0136】
歯の欠損
16日齢マウスからの下顎骨を、カコジル酸ナトリウム緩衝アルデヒド溶液中に終夜浸漬固定し、第一大臼歯、根元の切歯及び周囲の歯槽骨を含むセグメントに切断した。試料を、等級分けされたエタノール系で脱水し、アクリル(LR White)樹脂又はエポキシ(Epon812)樹脂のいずれかで浸潤し、その後55℃で2日間組織含有樹脂ブロックの重合を行った。薄切片(1μm)は、ダイヤモンドナイフを用いたウルトラミクロトームで切断し、ガラススライドに載置した切片を、1%の硝酸銀を用いてミネラルについて染色し(フォンコッサ染色、黒)、1%トルイジンブルーで対比染色した。比較組織学的解析のために、下顎骨までの(第一大臼歯の最も近心の根と同じレベルでの)前額面切片により、縦に切断された大臼歯と断面化された切歯とを得た。
【0137】
Akp2−/−マウスからの歯の組織学的検査により、野生型動物と比較して、象牙質組織のミネラル化は不十分であり、歯周靭帯と象牙質との間のセメント質はごくわずかしかないことが示される(図22、Akp2−/−媒体及びWT−正常の比較)。また、図22に、象牙質のミネラル化の修復及びセメント質の形成について示す(Akp2−/−投与vsWT−正常)。
【0138】
(例11)
Akp2−/−マウスのHPPについての高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の長期(52日間)の有効性
最終的に、Akp2−/−マウスの長期の生存及び骨ミネラル化を評価するために、sTNALP−FcD10(8.2mg/kg)又は媒体のいずれかを52日間毎日投与した(皮下注射)。
【0139】
マウスの生存期間、活動性及び外観
未投与のマウスは、生存期間の中央値が18.5日間だった(図23)のに対して、ERTでは生存期間が非常に増加し、この投与によってもまた、投与を受けたマウスの正常な活動性及び健康な外観は維持された(図24)。
【0140】
骨ミネラル化
16日齢のAkp2−/−マウスの足のX線写真は、前記疾患の特質である二次的な骨形成の欠損を示した(図25参照)。これらの欠損は、46日間又は53日間のsTNALP−FcD10の1日用量によって、全投与マウスにおいて予防された(図25)。
【0141】
ALP活性
53日後に投与を受けたAkp2−/−マウスにおいて血漿中ALP活性レベルを測定した。図26は、ほとんどの値が1〜4μg/mLのALP活性だったことを示している。しかしながら、3匹の動物のALP濃度は検出することができなかった。
【0142】
興味深いことに、sTNALP−FcD10の定常状態の血清中濃度が達成可能なWTマウスと異なり、投与を受けたAkp2−/−マウスにおいて測定されたALPの血清中濃度は、ばらつきが大きかった。
【0143】
(例12)
Akp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の異なる投与間隔の長期間の有効性
新生児Akp2−/−マウスに、毎日4.3mg/kg(Tx−1)、3日毎に15.2mg/kg(Tx−3)又は7日毎に15.2mg/kg(Tx−7)のsTNALP−FcD10を注射した。投与を43日間行い、44日目、即ち最後の注射の24時間後にマウスを屠殺した。それらのマウスの生存期間及び骨格のミネラル化のあらゆる向上を評価するために、それらのマウスのモニタリングを行った。
【0144】
マウスの生存期間
投与を受けたマウスの生存期間は、媒体が注射されたマウスと比較して増加した(図27)。この増加は、統計学的に有意だった(p<0.0001)。投与群の生存曲線をそれら自身の間で比較した際、統計学的な有意差はなかった。
【0145】
骨ミネラル化
A)各投与について、足のX線写真を解析し、正常と異常とに区分した。下記の表4に、数及び割合(括弧内)を示す。23日目及び試験終了時(23〜45日目)に骨ミネラル化の欠損について評価した。
表4:足のX線写真の区分
【表4】
B)
【表5】
【0146】
試験の中間において、3日毎に15.2mg/kgで投与したsTNALP−FcD10によって、79%のマウスにおいて骨ミネラル化の欠損が正常化した。この正常化の率は、7日毎に15.2mg/kgを投与したマウスで評価した正規化の率50%と比較した場合、統計学的有意性に近かった(カイ二乗;p=0.0596)。他のいかなる相互投与比較も、統計学的に有意でなかったか、若しくは有意性に近くなかった。
【0147】
試験終了時、正常化のパーセントは、23日目に評価した正常化のパーセントと比較して、全ての投与群において改善した。全てのsTNALP−FcD10投与の中の分布を比較するカイ二乗検定は、有意でなかった(p=0.1844)。3日毎に投与されたマウスで認められた正常化の100%の率は、毎日投与されたマウス(83%、p=0.0634)又は7日毎に投与されたマウス(85%、p=0.0789)における率と比較した場合、統計学的有意性に近かった。
【0148】
しかしながら、全投与群において、23日目で異常と分類された動物の有意な比率は改善し、試験終了時には正常になった。毎日投与群において6匹の動物のうちの3匹が正常化し;3日毎に投与されたマウスにおいて4匹のうちの4匹が改善し、最後に、毎週投与群において10匹のうちの7匹が正常になった。投与間隔を置くことによって満足な結果が提供されるが、最良の結果は、毎日投与した量が最も高かった場合に得られた。
【0149】
(例13)
15日齢のAkp2−/−マウスの高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の長期間の有効性
15日齢のマウスにおいて、例11に記載された通りの有効性の試験を行ったが、それは、足のX線写真で観察した場合の骨格の欠損を明示するために開始したものであった(例11、図25参照)。試験終了時までsTNALP−FcD10を投与した。生存期間、体重及び骨格のミネラル化についてのあらゆる改善を評価するために、動物のモニタリングを行った。
【0150】
マウスの生存期間
15日目で開始した8.2mg/kgのsTNALP−FcD10のAkp2−/−マウスへの毎日の注射により、媒体が注射されたマウスと比較して、生存期間は増加した(図28)。この増加は、統計学的に有意だった(p<0.05)。
【0151】
体重
試験開始時、体重の有意差は群間に認められなかった(図29)。投与の初めは(15日目)、Akp2−/−マウスの体重は野生型動物よりも小さかった。媒体が注射された動物の体重は減少し続けたが、一方で、sTNALP−FcD10が投与されたAkp2−/−マウスは、投与開始の4〜5日後に体重の増加が始まり、試験終了時まで体重の増加が続いたが、野生型動物の値には達しなかった。この体重増加は、sTNALP−FcD10が投与された動物の健康の改善を示唆している。
【0152】
骨ミネラル化
各投与について、足のX線写真を解析し、正常と異常とに区別した。表5に、数及び割合(括弧内)を示す。剖検時にX線写真を撮影した。
【0153】
剖検時に撮影された足のX線写真から認められるように、出生後15日目に開始したAkp2−/−マウスへの毎日8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の投与によって、ミネラル化は改善した。正常動物は、Akp2−/−マウスの媒体注射群において12%であったのと比較して、sTNALP−FcD10投与群において41%であった。この差は、ほとんど統計学的有意性(カイ二乗検定におけるp=0.0645)に達した。
表5:足のX線写真の分布
【表6】
【0154】
(例14)
Akp2−/−マウスの救出に対するsTNALP−FcD10の異なる投与間隔の長期の有効性
マウスに、12日目において投与を開始し、8.2mg/Kgの媒体(RV)を毎日46/47日目まで皮下注入(RTx−1)した後、又は、8.2.mg/Kgを毎日7日間注入した後、3日毎に24.6mg/Kg(RTx−3)又は7日毎に57.4mg/Kg(RTx−7)を注射した。生存期間の中央値は、RVマウスについては19.5日間、RTx−7マウスについては21.0日間、RTx−3マウスについては30.5日間、及びRTx−1マウスについては37.5日間であった。全例において、媒体投与群と比較した場合、生存期間は統計学的に増加した。既知の低ホスファターゼ血症のAkp2−/−マウスにおいて、ERTの明確な有益性が認められる。毎日よりも少ない投与によっても、生存期間を統計学的に増加させると思われる。
【0155】
(例15)
幼若Sprague−Dawleyラットにおける最大耐量の静脈内注射の毒性試験
本試験の目的は、治験薬(sTNALP−FcD10)の最大耐量(MTD)及び毒性を決定した後、静脈内注射によって幼若Sprague−Dawleyラットに反復投与を行うことであった。例15〜18において、使用するsALP−FcD10は、図3に具体的に記載されているものである。
【0156】
下記の表6に記載されるように、静脈内注射によって4週間、1週間に1回、幼若Sprague−Dawleyラット(開始時に22日齢〜24日齢)にsTNALP−FcD10を投与した。
表6:試験デザイン
【表7】
【0157】
試験の全体に亘って、死亡率、体重及び臨床状態について動物のモニタリングを行った。全ての動物において、血液学的検査、凝固系検査及び臨床化学検査の評価を行った。定期に、ラットを安楽死させ、剖検を行った。各動物について、選択された組織の試料を保持し、組織学的処理を行い、顕微鏡検査を行った。
【0158】
本試験において死亡は認められず、治験薬に関連する凝固系パラメータ又は器官重量の変化は認められなかった。特に、高用量の雄の体重が低用量の場合よりも約10%下回ったが、このことは、投与に関連する効果を示唆している。
【0159】
1回目の投与の際、群1及び2の動物に臨床徴候は認められなかった。しかしながら、群3及び4の動物において、動物は投与後直ちに弱くなったように見え、群4の一部の動物は、軽度から中等度の活動性の低下を示した。また、その2つの群では、四肢の皮膚変色(赤色又は青色の外観)を伴う肢、耳介及び鼻口部の軽度な腫脹も認められた。群4の動物において認められた他の臨床徴候としては、過度の引掻き行動、立毛及び過呼吸が挙げられた。
【0160】
2回目の投与の際(8日目)の群1及び2の動物について記録された臨床徴候は、四肢の皮膚変色(赤色又は青色の外観)を伴う肢、耳介及び鼻口部の腫脹だった。また、同じ群の動物については、3回目及び4回目の投与の際(15及び22日目)についても同様の皮膚腫脹の臨床徴候が記録された。4回目の投与の際(22日目)、群1の雌に軽度の活動亢進が認められたのに対して、群2の雄に活動低下が認められた。群3及び4の動物については、1回目の投与の場合から4回目にかけて投与が進行するにつれて、運動活動性の低下、立毛、過呼吸、並びに皮膚着色を伴う肢、耳介及び鼻口部の腫脹の臨床徴候がよりはっきりと認められるようになった。これらの臨床徴候は、投与に関連するものであったと考えられる。16〜19日目及び23日目において、軽度の腫脹及び耳介の皮膚着色(赤色の外観)が1匹の動物(群1)に認められた。同様の臨床徴候は、23日目において別の動物(群2)に認められた。
【0161】
前記臨床徴候は急性であり、投与が進行するにつれて重症度は大きくなったが、それらは一過性だった。全ての臨床徴候は、治験薬(sTNALP−FcD10)の投与後50分以内に出現し、一部の動物は約30分間〜2時間以内に回復した。他の動物については、翌朝(次の予定の観察時)において完全に回復した。
【0162】
バックグラウンド値と比較して、最後の投与量の後に測定された血小板数(PLT)の投与に関連する低下が、全ての投与群からの雄及び雌について認められた。3つの最高の投与レベルが投与された動物においては、主にその割合だけでなく、網状赤血球の絶対数の増加も一般に認められた。
【0163】
血清中のアルカリホスファターゼの濃度は、希釈後であっても、分析機器によって定量され得たものよりも高かった。低用量の雌について得ることができた結果は、バックグラウンドの範囲よりも非常に高かった。これは、治験薬が活性修飾ALPであることから期待されたものである。
【0164】
群3の6匹の動物のうちの3匹(2匹の雄/1匹の雌)及び群4の6匹の動物のうちの4匹(2匹の雄/2匹の雌)に、腺胃の暗色の病巣/領域及び/又はへこみが肉眼で認められた。
【0165】
全体の結果の相関を取ると、群3の6匹の動物のうちの3匹(2匹の雄/1匹の雌)及び群4の6匹の動物のうちの4匹(2匹の雄/2匹の雌)に、粘膜下浮腫に関連する場合がある軽微〜軽度の腺胃のびらん/潰瘍が顕微鏡によって認められた。
【0166】
結論として、幼若Sprague−Dawleyラットへの1週間に1回のsTNALP−FcD10の4週間の静脈内注射は、試験された投与レベルのいずれにおいても死亡は引き起こさなかったが、有害な臨床徴候、軽度の血液学的検査値の変化、並びに90及び180mg/kgの投与レベルで粘膜下浮腫に関連する場合がある腺胃のびらん/潰瘍形成を引き起こした。
【0167】
試験された2つの最低の投与レベル(10及び30mg/kg)での治験薬の投与に関連した変化は、投与日に明らかに認められた一過性の臨床徴候のみに限定された。臨床徴候は、90mg/kgの投与レベルでより重症だったが、それらも一過性だった。180mg/kgが投与された動物に認められた臨床徴候はあまりに重症だったので、今後の試験におけるこの投与レベルの使用は阻止される。したがって、次のより長期の試験の最も高い推奨投与レベルは90mg/kgである。
【0168】
(例16)
幼若カニクイザルにおける静脈内注射及び注入の最大耐量の毒性試験
この試験の目的は、幼若カニクイザルへの静脈内注射又は注入により1回投与する際のsTNALP−FcD10の最大耐量を決定することだった。下記の表7に示すように、治験薬の投与製剤を、漸増的に1回投与した。
表7:試験デザイン
*主要試験の動物にのみ46日目に投与を行った。
【表8】
【0169】
最後の投与後、試験から動物を解放した。試験中にモニタリングを行ったパラメータは、死亡、臨床観察、体重、食欲、毒物動態、血液学的検査値及び臨床化学検査値だった。
【0170】
死亡、有害な臨床徴候又は体重に対する影響は、試験中に認められなかった。
【0171】
投与量に比例したアルカリホスファターゼの著しい増加が、試験全体に亘って全ての動物に認められた。治験薬が合成アルカリホスファターゼだったことから、この増加は、主に各投与後の動物の血流中の薬剤の存在によるものだった。
【0172】
試験中にアラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加が3匹の動物に認められたが、剖検を行わなかったので、この所見の毒物学的な意義は不明である。
【0173】
sTNALP−FcD10の薬物動態についての特性を、サルへの5、15、45、90及び180mg/kgの単回静脈内投与後に十分に評価した。静脈内注射については、平均AUC∞値は、797〜2950mg・h/Lの範囲であり、平均Cmax値は、65〜396mg/Lの範囲であり、試験された投与範囲を超えていた。注入については、平均AUC∞値は、9410〜48400mg・h/Lの範囲であり、Cmax値は、1230〜7720mg/Lの範囲であり、試験された投与範囲を超えていた。
【0174】
sTNALP−FcD10の平均t1/2値は、sTNALP−FcD10の投与レベルの増加と共に減少すると思われた。sTNALP−FcD10の全身クリアランスは投与レベルに亘って相対的に一貫していたが、90mg/kg投与群は、他の投与レベルと比較した際に実質的により低いクリアランスを有し(約5倍)、薬物動態学的に異常値であると思われた。性別に関連する明らかな傾向は認められなかった。
【0175】
要約すると、回復的な血液化学的検査値の変化が試験中にいくつか認められたが、最高で180mg/kgのsTNALP−FcD10の静脈内注射/注入の忍容性は、幼若カニクイザルにおいて良好だった。故に、この試験の条件下で、最大耐量は少なくとも180mg/kgであると考えられた。
【0176】
(例17)
28日間の回復期間を伴う、幼若アルビノラットにおけるsTNALP−FcD10の4週間(1週間に1回)の静脈内注射の毒性試験
この試験の目的は、28日間の回復を伴う、少なくとも4週間連続で幼若ラットに静脈内注射することによって1週間に1回投与(合計4回の投与)されたsTNALP−FcD10の潜在的毒性を調査することだった。動物には、試験1、8、15及び22日目に投与を行い、回復期間は試験29日目から開始した。下記の表8に試験デザインを詳述する。
表8:試験デザイン
【表9】
【0177】
以下の評価を行った。臨床徴候(1日2回)、体重(順化期間中に1回、産後21日目から毎週)、摂食量(毎週)、眼科学的検査(投与終了時及び回復期間終了時)、血液学的検査(剖検時)、血清化学的検査(剖検時)、尿検査(29日目及び回復期間終了時)、骨代謝の生化学的マーカー:オステオカルシン(骨形成マーカー)及びC−テロペプチド(骨吸収マーカー)(計画された剖検の前の朝)、抗体評価(1日目及び剖検時)、治験薬血中濃度評価(16日目及び23日目)、骨密度計測(DXA、インビボで1日目の28匹の主要試験及び回復試験動物並びに14日目の56匹の回復試験動物、エクスビボでpQCTによる)、剖検時のX線撮影及び肉眼での観察、器官重量、及び組織検査。
【0178】
90mg/kg/回が投与された1匹の雄が試験25日目に死亡しているのが発見された。このラットについて重要な組織学的観察はなされていなかったため(それぞれ軽度及び軽微と類別された肺出血及び胸腺出血)、その死因についての病理学的調査に基づく決定はなされなかった。治験薬血中濃度評価のためにこの動物の採血を23日目に行ったが、22日目においては毒性についての証拠はなかったことから、この手順がその死亡に寄与した可能性があった。sTNALP−FcD10に関連する死亡或いは眼科学的検査、尿検査、骨形成マーカー(オステオカルシン)、器官重量、総体的病状、X線検査又は顕微鏡検査に対する影響はなかった。
【0179】
3、30及び/又は90mg/kg/回の群で認められたsTNALP−FcD10関連の臨床徴候は、急性の注入反応であると考えられる。それらとしては、投与の5、15、30及び/又は60分後でのケージの横での観察中における、部分的閉眼、筋緊張の低下、横臥、猫背姿勢、触診時の冷え、非協調運動、活動性の低下、異常歩行、及び/又は青色、赤色及び/又は後肢及び/又は前肢の硬い腫脹が挙げられた。これらの観察は、一過性のものであって、非投与日又は回復期間中には認められなかった。
【0180】
一般に、軽度の体重減少及び体重増加の傾向は、回復期間中の3、30及び/又は90mg/kg/回の群の雄について認められた。付属肢骨格の2種の骨(大腿骨及び脛骨)の骨の大きさに対する影響は、体重減少と相関していた。一般に、摂食量の減少は、体重減少と一致していた。体重は、sTNALP−FcD10が投与された雌についての対照と同等だった。
【0181】
一般に、90mg/kg/回で投与したsTNALP−FcD10は、対照群と比較した絶対好中球数、単球数及び/又は好酸球数の軽度減少に関連していた。更に、対照群と比較して、リンパ球数、血小板数及び絶対網状赤血球数の軽度上昇が認められた。回復期間終了時、これらの軽度の変化は、90mg/kgが投与された動物において依然として認められた。
【0182】
一般に、sTNALP−FcD10は、対照と比較して、全ての投与群においてアルカリホスファターゼの統計学的に有意の用量関連増加との関連があった。治験薬(アルカリホスファターゼ)の性質(他の肝酵素のいかなる変化もなく、組織病理学的相関がないこと)を考慮すると、これらの増加は、sTNALP−FcD10の循環値によるものである可能性がある。リンの軽度の統計学的に有意な増加が、4週目の間に90mg/kg/回でsTNALP−FcD10が投与された雄において認められたが、これは、血清中総カルシウムの有意でない増加と関連があった。回復終了時、これらの変化は、統計学的に有意なものを含めて、対照の値に戻った。
【0183】
4週間連続で最高90mg/kg/回で1週間に1回静脈内投与された幼若ラットにおいてsTNALP−FcD10に関連した器官重量、X線、肉眼又は顕微鏡による変化はなかった。投与完了後、28日間の回復を与えられたこれらの動物のサブセットにおいて同定される遅発性効果はなかった。
【0184】
対照よりも軽度に低い平均CTx値が、投与を受けた雌について認められた(90mg/kg/回で統計学的有意性を達成)。これらのより低い値は、骨密度解析と一致しておらず、雄について得られた結果とも一致していなかったため、これらの低下について、偶発的性質を除外することはできない。
【0185】
群間に認められた骨密度計測及び骨形状パラメータの大きなばらつきは、急激な成長相によるものであった。回復終了時、面積及びBMC(DXA及びpQCTによって評価される)は、投与を受けた雄で一般により低かったが、このことは、これらの動物の骨がより小さいことを示唆している。骨の大きさに及ぼす影響は、2つの異なる手法によって付属肢骨格の2種の骨(大腿骨及び脛骨)において認められたが、一貫した影響は、中軸骨格については認められなかった(頭殿長に影響しないことを示唆している)。面積及びBMCが減少したにもかかわらず、平均BMD値は一般に対照と同等だったが、このことは、BMC及び面積に及ぼす影響は、成長に及ぼす影響の次に大きいものであったことを示唆している。投与を受けた雄について、対照よりも体重が減少し、摂食量が減少したことは、これらのデータと一致している。しかしながら、回復時の小さな群の大きさ、性別に関する一貫性の欠如、並びにばらつきによって、これらの結果が複雑になったため、これらの減少について、偶発的性質を完全に除外することはできない。
【0186】
結論として、28日間の回復を伴う、幼若ラットへの3、30及び90mg/kg/回の投与量による少なくとも4週間連続での1週間に1回の静脈内注射によって、投与後最高60分間に認められた非協調活動性及び活動性の低下並びに足腫脹を含む一過性の注射関連の影響に関連した臨床徴候が生じた。90mg/kg/回で投与を受けた雄は、体重及び摂食量の軽度の減少を示したが、それらは、密度計測法によって評価した脛骨及び大腿骨が軽度により小さいことと相関していた。雌については、対照よりも軽度に低いC−テロペプチド濃度の平均値が得られた。血清中リン濃度は、軽度に、但し有意に、90mg/kg/回の群において増加した。血清中アルカリ性ホスファターゼ濃度の上昇は、sTNALP−FcD10の循環値によるものである可能性があった。sTNALP−FcD10は、投与期間中又は回復期間中、雌についての骨密度計測及び骨形状に対して有意味な影響も一貫性のある影響も及ぼさなかった。投与期間中、雄について、骨密度計測又は骨形状に対する生物学的に有意な影響は認められなかった。一般に、対照に対して、平均体重の低下に対応する骨密度計測(骨ミネラル含量及び/又はDXA及びpQCTによって評価される面積)及び骨形状パラメータの軽度の減少が、回復期間終了時に雄について認められた。全ての所見は、高用量の雄について継続した体重及び骨の大きさに対する効果を除いて、28日間の投与を行わない期間の後に回復した。投与終了時又は回復期間終了時に異所性石灰化のエビデンスはなかった。あらゆる投与レベルでのsTNALP−FcD10の投与に関連した、X線、肉眼又は顕微鏡による所見並びに器官重量の変化はなかった。注射反応は、一過性のものであり、3及び30mg/kg/回の群において毒性を評価するために用いられたいかなるパラメータに対するいかなる影響も生じさせなかったため、それは有害であるとは考えられなかった。90mg/kg/回の群において、この反応は、より重症であり、体重増加の低下、摂食量の減少、及び場合によっては骨成長の低下を伴ったため、この群における影響は有害であると考えられた。したがって、無毒性量(NOAEL)は、この試験において30mg/kg/回であると考えられた。
【0187】
(例18)
28日間の回復期間を伴う、幼若カニクイザルにおける4週間の静脈内注射の毒性試験
この試験の目的は、4週間の緩やかなボーラス静脈内注射によって1週間に1回投与した際の幼若カニクイザルにおけるsTNALP−FcD10の毒性及び毒物動態を決定すること、及び28日間の回復期間後のあらゆる変化の回復能を評価することだった。
【0188】
下記の表9に示すように、28日間の回復期間を伴う、1週間に1回、4週間、緩やかな静脈内ボーラス注射によって幼若カニクイザルに対照及び治験薬投与製剤を投与した。
表9:試験デザイン
【表10】
*群1の動物に、媒体/対照薬(25mMリン酸ナトリウムpH7.4(150mM NaCl))を投与した。
【0189】
最後の投与(22日目)の後、主要試験の動物を29日目に安楽死させたが、一方で残りの回復試験の動物を更に28日間観察し、その後57日目に安楽死させた。主要試験及び回復試験の全ての動物の剖検検査を行った。
【0190】
試験中又はその終結時に行った評価としては、死亡、臨床状態、体重、食欲、身体測定値、骨発育のX線撮影評価、眼科学的検査、心電図検査、毒物動態、免疫原性、血液学的検査、凝固系検査、臨床化学検査、尿検査、骨代謝のバイオマーカー、器官重量、エクスビボでの骨ミネラル密度解析、総体及び組織検査が挙げられた。
【0191】
試験中に、死亡も、投与に関連する有害な臨床観察も認められなかった。
【0192】
投与終了時及び回復期間終了時に記録された身体測定値に基づいて、頭蓋外周或いは上腕骨、前腕、脛骨又は骨盤肢の長さに顕著な群間差はなかった。
【0193】
いずれの投与レベルにおいても、治験薬の投与に関連した体重の変化も摂食量の変化もなかった。いずれの投与レベルにおいても、治験薬に関連した眼科的所見又は心電図グラフ的所見はなかった。いずれの投与レベルにおいても、治験薬の投与に関連した血液学的検査、赤血球形態検査、凝固系検査又は尿検査の変化はなかった。投与期間中又は回復期間中、臨床生化学パラメータにおいて毒性学的に有意な変化はなかった。アルカリホスファターゼの軽度〜顕著な用量関連増加が、投与期間全体に亘るほとんどの評価の場合において、全ての治験薬投与動物において認められた。一般に、アルカリホスファターゼ濃度は、回復期間の終了までに対照値とほとんど同等になった。治験薬が合成アルカリホスファターゼであることから、この増加は、主に各投与後の動物の血流中の薬剤の存在によるものであり、したがってこれらの増加は有害でないと考えられた。
【0194】
投与期間及び回復期間の終了時、絶対的又は相対的な器官重量に顕著な群間差は認められず、肉眼による又は顕微鏡による治験薬関連の所見もなかった。認められた組織学的変化は、偶発的所見、この種の共通のバックグラウンドの所見、又は実験的な操作のなんらかの側面に関連する所見のいずれかであると考えられた。生殖器官は、一般に未成熟であったが、この年齢のサルについて正常であると考えられた。
【0195】
結論として、4週間の回復期間を伴う、0、5、15及び45mg/kgの投与レベルでの雄及び雌のカニクイザルへの4週間のsTNALP−FcD10の毎週の静脈内注射は、いずれの投与レベルでも毒性の証拠はなかった。故に、高投与レベル(45mg/kg)は、この試験において無毒性量(NOAEL)であると考えられた。
【0196】
(例19)
ヒトについての最大推奨初回用量の決定
無毒性量(NOAEL、Guidance for Industry and Reviewers、2002年12月を参照すること)を確立することによって、ヒトについての最大推奨初回用量(MRSD)を算出する。皮下に毎日1mg/kg、5mg/kg及び8.2mg/kg;3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、90mg/kg及び180mg/kgを含む上記の製剤の各種濃度を、マウス、ラット及びサルで試験した。最も感受性が高い種(即ちラット)のNOAELは、30mg/kgだった。
【0197】
ラットからヒトへの変換係数6を提供する公表された変換表を使用して、この用量をヒト等価用量(HED)に拡大した。その種についての30mg/kgのNOAELは、ヒトについての5mg/kgと同等である。
【0198】
この値(5mg/kg)を安全係数10で割った。したがって、算出されたMRSDは0.5mg/kgである。したがって、60kgの平均的な体重のヒトについては、1週間に30mgの用量、又は毎日4.28mgの1日用量を、臨床試験を開始するために注射することが可能であった。
【0199】
本発明は、その特定の実施形態によって以上に記載されたが、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されている主題発明の精神及び本質から逸脱することなく改変することができる。
【0200】
(参考文献)
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年5月11日出願の米国仮出願第60/917,589号の優先権を主張する。上記の文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
連邦支援研究又は開発に関する陳述
該当なし。
【0003】
本発明は、骨標的アルカリホスファターゼ、キット及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
低ホスファターゼ血症(HPP)は、希少な遺伝型のくる病又は骨軟化症(Whyte、2001)であり、発生率はカナダのメノナイトでは2,500出生当たり1もあり(Greenberg、1993)、本疾患の更に重症な型は一般集団において100,000出生当たり1の発生率である。もっと軽度の型は更に蔓延している。この「代謝の先天異常」は、アルカリホスファターゼの組織非特異的イソ酵素(TNALP;a.k.a肝臓/骨/腎臓型ALP)をコードする遺伝子(ALPL)の機能喪失突然変異(単数又は複数)により引き起こされる(Weissら、1988;Henthornら、1992a;Henthornら、1992b;Zurutuzaら、1999;Millan、1995)。その生化学的特徴は、血清中の亜正常ALP活性であり(低リン血症)、それにより、3種類のホスホ化合物基質、無機ピロリン酸(PPi)、ホスホエタノールアミン(PEA)及びピロドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿中レベルが上昇する(Whyte、1994)。
【0005】
HPPは、歴史的に診断時の年齢によって分類され、(最も重症から最も軽度まで)出生時、乳児期、小児期、成人期、及び歯限局型低ホスファターゼ血症型の幅がある著しい範囲の重症度を特徴とする(Whyte、2001)。死産では子宮内でほぼ完全に骨ミネラル化がなく、又は突発性骨折及び歯科疾患が成人期にはじめて起こることもある。出生時(致死性)低ホスファターゼ血症は子宮内で発現され、死産を引き起こすことがある。一部の新生児は数日間生き延びることもあるが、胸部の再生不良性のくる病のため呼吸困難が深刻化する。乳児期HPPでは、6月齢前に診断すると、生後発育は、食欲不振の開始、不十分な体重増加、及びくる病の出現までは正常であると思われる。放射線学的特徴は独特であり、障害性骨格ミネラル化を示し、進行性骨格脱ミネラル化が肋骨骨折及び胸部奇形をもたらすこともある。小児期低ホスファターゼ血症は、きわめて変化しやすい臨床的発現も有する。乳歯の成熟前の喪失は、歯根と歯周靭帯を繋いでいるセメント質の形成不全、発育不全又は異形成から生じる。くる病は低身長を引き起こし、骨格奇形には、フレアー骨幹端の結果として湾曲脚、手関節、膝及び足関節の拡張が挙げられることがある。成人期HPPは通常中年期に症状が見つかるが、くる病及び/又は歯の早期脱落、それに続く青年期及び若年成人期の健康という経歴があることが多い。再発中足骨疲労骨折がよく起こり、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着が関節炎の発作及びピロリン酸関節症を引き起こす。唯一の臨床的異常が歯科疾患であるときには、歯限局型低ホスファターゼ血症と診断され、放射線学的研究及び骨生検でさえくる病又は骨軟化症の症状をなにも明らかにしない。
【0006】
重症臨床型の低ホスファターゼ血症は、通常、亜正常レベルの血清AP活性を示しているような患者の親の常染色体劣性遺伝形質として遺伝する(Whyte、2001)。もっと軽度の型の低ホスファターゼ血症、即ち、成人期及び歯限局型低ホスファターゼ血症では、常染色体優性遺伝形式も記述されている(Whyte、2001)。
【0007】
健康な骨格では、TNALPは、エクト酵素が特に豊富な(Morrisら、1992)脱落基質小胞(MV)の膜上を含む、骨芽細胞及び軟骨細胞の細胞膜の表面に存在するエクト酵素である(Aliら、1970;Bernard、1978)。骨ミネラル化中のヒドロキシアパタイトの沈着は、通常はこれらのMVの管腔内で開始される(Andersonら、2005a)。電子顕微鏡法により、重症HPP患者及びAkp2−1−マウス(TNALPヌルマウスモデル、下参照)由来のTNALP欠損MVはヒドロキシアパタイト結晶を含有するが、小胞外結晶増殖は遅延しているように思われることが明らかにされている(Anderson、1997;Anderson、2004)。この欠損は、TNALP活性の欠損によるカルシウム沈着(Meyer、1984)の強力な阻害剤であるPPiの細胞外蓄積のせいだと考えられている(Hessleら、2002;Harmeyら、2004;Harmeyら、2006)。
【0008】
PPiが、0.01〜0.1mMの範囲でほぼ生理的濃度で存在している場合、PPiには、器官培養ニワトリ大腿骨中でのミネラル化を刺激する能力があり(Anderson&Reynolds、1973)、単離されたラットMVによってもミネラル化を刺激する能力がある(Andersonら、2005b)が、1mMを超える濃度では、PPiはヒドロキシアパタイト結晶を被膜することによりリン酸カルシウムミネラル形成を阻害し、したがって、ミネラル結晶成長及び増殖性自己核形成を妨げる。したがって、PPiには二重の生理学的役割があることになり、即ち、PPiは、低濃度ではミネラル化の促進剤として、しかし高濃度ではミネラル化の阻害剤として機能することができる。TNALPは、ミネラル化阻害剤PPiを加水分解してミネラル沈殿及び成長を促進することが明らかにされている(Rezendeら、1998)。Akp2−1−マウスを使った最近の研究では、インビボでのTNALPの主な役割は、細胞外PPiプールの大きさを制限して、適切な骨格ミネラル化を可能にすることが示されている(Hessleら、2002;Harmeyら、2004)。
【0009】
低ホスファターゼ血症の重症度は変わりやすく、TNALP突然変異の性質により調節される。酵素活性部位近傍、ホモ二量体界面、クラウンドメイン、アミノ末端アーム及びカルシウム結合部位におけるミスセンス突然変異はすべて、TNALPの触媒活性に影響を与えることが見出されている(Zurutuzaら、1999)。更に、他のミスセンス、ナンセンス、フレームシフト及びスプライス部位突然変異は、異常性突然変異タンパク質又は細胞表面上に亜正常活性をもたらす細胞内輸送欠損を生じることが明らかにされている。突然変異の数の多さ及び低ホスファターゼ血症では複合ヘテロ接合体が頻繁に発生しているという事実も、この疾患でよく観察される変わりやすい発現度及び不完全な表現率を説明する(Whyte、2001)。
【0010】
ヒト型のこの疾患に関する進歩は、動物モデルとしてのTNALPヌルマウス(Akp2−1−)の存在から大きな恩恵を受けている。これらのAkp2−1−マウスは、正常にミネラル化された骨格を持って生まれると、乳児期HPPを著しくよく表現型模写するが、生後約6日でX線検査的に明らかなくる病を発症し、12〜16日の間で重症の骨格低ミネラル化及び無呼吸の発症及びPLP(ビタミンB6)代謝の障害に起因し得るてんかん性発作を患って死ぬ(Waymireら、1995;Narisawaら、1997;Feddeら、1999;Narisawaら、2001)。
【0011】
一部のTNALP活性部位突然変異は、PPi又はPLPを別々に代謝する酵素の能力に影響を与えることが明らかにされている(Di Mauroら、2002)。PLPとPPiの両方がTNALPの確証済みの天然基質であり、PLP代謝における異常は、Akp2−1−マウスで観察されるてんかん性発作を説明し(Waymireら、1995;Narisawaら、2001)、PPi代謝における異常は、低ホスファターゼ血症のこのマウスモデルにおける骨格表現型を説明する(Hessleら、2002;Andersonら、2004;Harmeyら、2004;Harmeyら、2006;Andersonら、2005a)。
【0012】
HHPには確立した薬物療法は存在しない。骨パジェット病患者由来のTNALP豊富血漿及び精製胎盤ALPの静脈内(i.v.)注入を使った酵素補充療法(ERT)の事例報告では、患児を救うことはできなかったことが記載されている(Whyteら、1982;Whyteら、1984)。別の類似の研究では、Weningerら(Weningerら、1989)は、精製ヒト肝臓TNALPの注入により、低ホスファターゼ血症が重症の早熟男児にERTを試みた。治療(1.2IU/kg/min)は生後3週間で開始され、生後10週まで週1回の間隔で繰り返されたが、その時期に子供は死亡した。TNALPの試料は10mlの生理食塩水で希釈され、臍帯動脈カテーテルを介して30分かけて注入された。毒性又はアレルギー性の副作用は観察されなかった。血清TNALP活性は、37と62時間の間の半減期で、治療前の3IU/Lから最大レベルの195IU/Lまで増加した。しかし、経時的放射線学的検査では、骨ミネラル化の改善はまったく示されなかった(Weningerら、1989)。
【0013】
ALP活性は、血行路ではなく、骨格それ自体で増加させなければならないと思われる。この仮説は、乳児期HPPに罹った2人の女子が、TNALP含有細胞を骨格全体に導入する骨髄細胞移植の後、一見有利な応答を示したことによって支持されている(Whyteら、2003)。したがって、これらの患者の骨格に活性TNALPを供給する必要性があるように思われる。最近の報告では、ポリアスパラギン酸配列は組換えTNALPに骨ホーミング特性を与えることが示されている(Crineらの国際公開第2005/103263号;Nishiokaら、2006)。
【0014】
最近の報告では、突然変異型のTNALP R450C(NasuらはR433C突然変異体に言及しているが、彼のナンバリングは成熟タンパク質に適用し、シグナルペプチドを含むタンパク質には適用しない)は、アルカリホスファターゼ活性を強く阻害する各サブユニットの450位のシステイン残基間のジスルフィド架橋により結合された二量体構造を有するタンパク質を産生することが明らかにされた。Nasuらは、機能の喪失は鎖間のジスルフィド架橋から生じ、R450Cに関連する致死的低ホスファターゼ血症の分子的機序であると結論づけた(Nasuら、2006)。
【0015】
本説明はいくつかの文献に言及しており、その文献の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
HPPに罹った患者の臨床管理及び治療の現在の限界を考慮すると、代わりの効率的治療が必要とされた。したがって、本発明は、HPPの治療のための効率的酵素補充療法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願人の知る限り、及びTNALP又は他のALPイソ酵素が静脈内に送達されたTNALPヌルマウス又はHPP乳児のいずれかにおける以前の酵素補充療法の試みとは対照的に、本発明は、臨床X線検査上の及び生化学的変化のほぼ完全な回復が酵素補充のみで生じることが実証された最初の機会を印す。
【0018】
骨標的sALP
本発明の骨標的組成物は、アミノ側からカルボキシル側へ順に、sALP、スペーサー、及び骨標的負に帯電したペプチドを含む融合タンパク質を含む。
【0019】
ALP
ALPの4種類の既知イソ酵素があり、即ち、下で更に説明される組織非特異的アルカリホスファターゼ、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)(例えば、[NP−112603]、[NP−001623])、生殖細胞アルカリホスファターゼ(GCALP)(例えば、[P10696])及び腸アルカリホスファターゼ(例えば、[NP−001622])である。これらの酵素は、きわめて類似の三次元構造を有する。その触媒部位のそれぞれには、2つのZnと1つのMgを含む酵素活性に必要な金属イオンのための4つの金属結合ドメインを含有する。これらの酵素は、リン酸のモノエステルの加水分解を触媒し、高濃度のリン酸受容体の存在下でリン酸転移反応も触媒する。PALPは、ホスホエタノールアミン(PEA)、無機ピロリン酸(PPi)及びピロドキサール5’−リン酸(PLP)に向かって生理学的に活性であり、3つ全てがTNALPに対する既知の天然基質であることが特に明らかにされている(Whyte、1995)。これらのイソ酵素間のアラインメントは図30に示されている。
【0020】
TNALP
前述の通り、TNALPは、糖脂質を通じてそのC末端に固定された膜結合型タンパク質である(Swiss−Prot、P05186)。この糖脂質アンカー(GPI)は、一時的膜アンカーとしても前記GPIの付加のためのシグナルとしても働く疎水性C末端の除去後、翻訳後的に付加される。したがって、下の全ての実施例で使用される可溶性ヒトTNALPは、疎水性C末端配列の最初のアミノ酸、即ちアラニンが終止コドンにより置き換えられているTNALPを含む。そのようにして形成された可溶性TNALP(本明細書ではsTNALPと呼ばれる)は、触媒部位の形成に必要な天然固定化型のTNALPの全アミノ酸を含有しているが、GPI膜アンカーを欠いている。既知のTNALPには、ヒトTNALP[NP−000469、AAI10910、AAH90861、AAH66116、AAH21289、AAI26166];アカゲザルTNALP[XP−001109717];ラットTNALP[NP−037191];イヌTNALP[AAF64516];ブタTNALP[AAN64273]、マウス[NP−031457]、ウシ[NP−789828、NP−776412、AAI18209、AAC33858]、及びネコ[NP−001036028]が挙げられる。
【0021】
本発明の骨標的組成物は、ヒトALPイソ酵素の及び既知の機能的TNALP(ヒト、マウス、ラット、ウシ、ネコ及びイヌ)のALP細胞外ドメインから導かれるコンセンサス配列を満たす配列を包含する。本明細書で使用するように、用語「細胞外ドメイン」とは、天然タンパク質のどんな機能的細胞外部分(即ち、ペプチドシグナルがない)にも言及することを意図されている。最初のアミノ酸1〜501(分泌されると18〜501)(Odaら、J.Biochem 126:694〜699、1999)、アミノ酸1〜504(分泌されると18〜504)(Berndらの米国特許第6,905,689号)及びアミノ酸1〜505(分泌されると18〜505)(Tomatsuらの米国特許出願公開第2007/0081984号)を保持する組換えsTNALPは酵素的に活性であることが明らかにされている。本明細書に示される実施例は、最初のTNALPのアミノ酸1〜502(分泌されると18〜502)(図3)を保持する組換えsTNALPも酵素的に活性であることを明らかにしている。これは、アミノ酸残基は、その酵素活性に影響を与えずに天然タンパク質のC末端から取り除くことができることを示している。
【0022】
下の表1は、HPPを引き起こすことが知られている194突然変異体の一覧を示す。本発明の骨標的ポリペプチドの特定の実施形態では、ALP配列はこれらの突然変異体のどれも含まない。
【0023】
したがって、本発明のsALPでは、種々のTNALPの及びヒトALPイソ酵素のアラインメントから導かれるコンセンサス配列のナンバリングを使用して、22位のアミノ酸はフェニルアラニン残基ではなく;33位(シグナルペプチドのない配列では11位)のアミノ酸はシステイン残基ではなく;38位(シグナルペプチドのない配列では16位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;42位(シグナルペプチドのない配列では20位)のアミノ酸はプロリン残基ではなく;45位(シグナルペプチドのない配列では23位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;56位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;67位(シグナルペプチドのない配列では45位)のアミノ酸残基はロイシン、イソロイシン又はバリン残基ではなく;68位(シグナルペプチドのない配列では46位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;73位(シグナルペプチドのない配列では51位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;76位(シグナルペプチドのない配列では54位)のアミノ酸残基はシステイン、セリン、プロリン又はヒスチジン残基ではなく;77位(シグナルペプチドのない配列では55位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;80位(シグナルペプチドのない配列では58位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;81位(シグナルペプチドのない配列では59位)のアミノ酸残基はアスパラギン残基ではなく;105位(シグナルペプチドのない配列では83位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;113位(シグナルペプチドのない配列では89位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;116位(シグナルペプチドのない配列では94位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;117位(シグナルペプチドのない配列では95位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;119位(シグナルペプチドのない配列では97位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;121位(シグナルペプチドのない配列では99位)のアミノ酸残基はセリン又はスレオニン残基ではなく;125位(シグナルペプチドのない配列では103位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;128位(シグナルペプチドのない配列では106位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;133位(シグナルペプチドのない配列では111位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;134位(シグナルペプチドのない配列では112位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;137位(シグナルペプチドのない配列では115位)のアミノ酸残基はスレオニン又はバリン残基ではなく;139位(シグナルペプチドのない配列では117位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はアスパラギン残基ではなく;141位(シグナルペプチドのない配列では119位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;153位(シグナルペプチドのない配列では131位)のアミノ酸残基はアラニン又はイソロイシン残基ではなく;167位(シグナルペプチドのない配列では145位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;172位(シグナルペプチドのない配列では150位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;175位(シグナルペプチドのない配列では153位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;176位(シグナルペプチドのない配列では154位)のアミノ酸残基はチロシン又はアルギニン残基ではなく;181位(シグナルペプチドのない配列では159位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;182位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;184位(シグナルペプチドのない配列では162位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;186位(シグナルペプチドのない配列では164位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;189位(シグナルペプチドのない配列では167位)のアミノ酸残基はトリプトファン残基ではなく;194位(シグナルペプチドのない配列では172位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;196位(シグナルペプチドのない配列では174位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;197位(シグナルペプチドのない配列では175位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;198位(シグナルペプチドのない配列では176位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;206位(シグナルペプチドのない配列では184位)のアミノ酸残基はチロシン残基ではなく;208位(シグナルペプチドのない配列では186位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;207位(シグナルペプチドのない配列では190位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;216位(シグナルペプチドのない配列では194位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;217位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;223位(シグナルペプチドのない配列では201位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;225位(シグナルペプチドのない配列では203位)のアミノ酸残基はバリン又はアラニン残基ではなく;226位(シグナルペプチドのない配列では204位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;228位(シグナルペプチドのない配列では206位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はグルタミン残基ではなく;229位(シグナルペプチドのない配列では207位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;231位(シグナルペプチドのない配列では209位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;240位(シグナルペプチドのない配列では218位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;251位(シグナルペプチドのない配列では229位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;254位(シグナルペプチドのない配列では232位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;269位(シグナルペプチドのない配列では247位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;277位(シグナルペプチドのない配列では255位)のアミノ酸残基はシステイン、ロイシン又はヒスチジン残基ではなく;280位(シグナルペプチドのない配列では258位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;295位(シグナルペプチドのない配列では273位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;297位(シグナルペプチドのない配列では275位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;298位(シグナルペプチドのない配列では276位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;300位(シグナルペプチドのない配列では278位)のアミノ酸残基はチロシン又はアラニン残基ではなく;301位(シグナルペプチドのない配列では279位)のアミノ酸残基はバリン、スレオニン又はイソロイシン残基ではなく;303位(シグナルペプチドのない配列では281位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;304位(シグナルペプチドのない配列では282位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;305位(シグナルペプチドのない配列では283位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;312位(シグナルペプチドのない配列では290位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;313位(シグナルペプチドのない配列では291位)のアミノ酸残基はセリン又はロイシン残基ではなく;317位(シグナルペプチドのない配列では295位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;332位(シグナルペプチドのない配列では310位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;333位(シグナルペプチドのない配列では311位)のアミノ酸残基はシステイン、グリシン又はロイシン残基ではなく;334位(シグナルペプチドのない配列では312位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;340位(シグナルペプチドのない配列では318位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;345位(シグナルペプチドのない配列では323位)のアミノ酸残基はアルギニン又はグルタミン酸残基ではなく;354位(シグナルペプチドのない配列では332位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;360位(シグナルペプチドのない配列では338位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;361位(シグナルペプチドのない配列では339位)のアミノ酸残基はスレオニン又はイソロイシン残基ではなく;377位(シグナルペプチドのない配列では355位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;380位(シグナルペプチドのない配列では358位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;383位(シグナルペプチドのない配列では361位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;384位(シグナルペプチドのない配列では362位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;387位(シグナルペプチドのない配列では365位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;388位(シグナルペプチドのない配列では366位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;395位(シグナルペプチドのない配列では373位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;397位(シグナルペプチドのない配列では375位)のアミノ酸残基はシステイン又はヒスチジン残基ではなく;398位(シグナルペプチドのない配列では376位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;401位(シグナルペプチドのない配列では379位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;405位(シグナルペプチドのない配列では383位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;406位(シグナルペプチドのない配列では384位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;412位(シグナルペプチドのない配列では390位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;416位(シグナルペプチドのない配列では394位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;417位(シグナルペプチドのない配列では395位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;420位(シグナルペプチドのない配列では398位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;423位(シグナルペプチドのない配列では401位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;426位(シグナルペプチドのない配列では404位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;429位(シグナルペプチドのない配列では407位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;430位(シグナルペプチドのない配列では408位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;432位(シグナルペプチドのない配列では410位)のアミノ酸残基はシステイン又はアスパラギン酸残基ではなく;434位(シグナルペプチドのない配列では412位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;435位(シグナルペプチドのない配列では413位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;442位(シグナルペプチドのない配列では420位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;451位(シグナルペプチドのない配列では429位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;456位(シグナルペプチドのない配列では434位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はシステイン残基ではなく;458位(シグナルペプチドのない配列では436位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;460位(シグナルペプチドのない配列では438位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;461位(シグナルペプチドのない配列では439位)のアミノ酸残基はセリン又はアスパラギン酸残基ではなく;462位(シグナルペプチドのない配列では440位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はアルギニン残基ではなく;465位(シグナルペプチドのない配列では443位)のアミノ酸残基はメチオニン又はロイシン残基ではなく;472位(シグナルペプチドのない配列では450位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;473位(シグナルペプチドのない配列では451位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;474位(シグ
ナルペプチドのない配列では452位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;479位(シグナルペプチドのない配列では457位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;482位(シグナルペプチドのない配列では460位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;484位(シグナルペプチドのない配列では462位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;495位(シグナルペプチドのない配列では473位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;496位(シグナルペプチドのない配列では474位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;及び497位(シグナルペプチドのない配列では475位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではない。
【0024】
その上更に具体的には、sTNALPを本発明の骨標的sALPにおいて使用する場合、ヒトTNALP配列のナンバリングを使用して、17位のアミノ酸はフェニルアラニン残基ではなく;28位(シグナルペプチドのない配列では11位)のアミノ酸はシステイン残基ではなく;33位(シグナルペプチドのない配列では16位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;37位(シグナルペプチドのない配列では20位)のアミノ酸はプロリン残基ではなく;40位(シグナルペプチドのない配列では23位)のアミノ酸はバリン残基ではなく;51位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;62位(シグナルペプチドのない配列では45位)のアミノ酸残基はロイシン、イソロイシン又はバリン残基ではなく;63位(シグナルペプチドのない配列では46位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;68位(シグナルペプチドのない配列では51位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;71位(シグナルペプチドのない配列では54位)のアミノ酸残基はシステイン、セリン、プロリン又はヒスチジン残基ではなく;72位(シグナルペプチドのない配列では55位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;75位(シグナルペプチドのない配列では58位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;76位(シグナルペプチドのない配列では59位)のアミノ酸残基はアスパラギン残基ではなく;100位(シグナルペプチドのない配列では83位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;108位(シグナルペプチドのない配列では89位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;111位(シグナルペプチドのない配列では94位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;112位(シグナルペプチドのない配列では95位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;114位(シグナルペプチドのない配列では97位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;116位(シグナルペプチドのない配列では99位)のアミノ酸残基はセリン又はスレオニン残基ではなく;120位(シグナルペプチドのない配列では103位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;123位(シグナルペプチドのない配列では106位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;128位(シグナルペプチドのない配列では111位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;129位(シグナルペプチドのない配列では112位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;132位(シグナルペプチドのない配列では115位)のアミノ酸残基はスレオニン又はバリン残基ではなく;134位(シグナルペプチドのない配列では117位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はアスパラギン残基ではなく;136位(シグナルペプチドのない配列では119位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;148位(シグナルペプチドのない配列では131位)のアミノ酸残基はアラニン又はイソロイシン残基ではなく;162位(シグナルペプチドのない配列では145位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;167位(シグナルペプチドのない配列では150位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;170位(シグナルペプチドのない配列では153位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;171位(シグナルペプチドのない配列では154位)のアミノ酸残基はチロシン又はアルギニン残基ではなく;176位(シグナルペプチドのない配列では159位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;177位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;179位(シグナルペプチドのない配列では162位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;181位(シグナルペプチドのない配列では164位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;184位(シグナルペプチドのない配列では167位)のアミノ酸残基はトリプトファン残基ではなく;189位(シグナルペプチドのない配列では172位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;191位(シグナルペプチドのない配列では174位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;192位(シグナルペプチドのない配列では175位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;193位(シグナルペプチドのない配列では176位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;201位(シグナルペプチドのない配列では184位)のアミノ酸残基はチロシン残基ではなく;203位(シグナルペプチドのない配列では186位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;207位(シグナルペプチドのない配列では190位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;211位(シグナルペプチドのない配列では194位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;212位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;218位(シグナルペプチドのない配列では201位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;220位(シグナルペプチドのない配列では203位)のアミノ酸残基はバリン又はアラニン残基ではなく;221位(シグナルペプチドのない配列では204位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;223位(シグナルペプチドのない配列では206位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はグルタミン残基ではなく;224位(シグナルペプチドのない配列では207位)のアミノ酸残基はグルタミン酸残基ではなく;226位(シグナルペプチドのない配列では209位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;235位(シグナルペプチドのない配列では218位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;246位(シグナルペプチドのない配列では229位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;249位(シグナルペプチドのない配列では232位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;264位(シグナルペプチドのない配列では247位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;272位(シグナルペプチドのない配列では255位)のアミノ酸残基はシステイン、ロイシン又はヒスチジン残基ではなく;275位(シグナルペプチドのない配列では258位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;289位(シグナルペプチドのない配列では272位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;291位(シグナルペプチドのない配列では274位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;292位(シグナルペプチドのない配列では275位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;294位(シグナルペプチドのない配列では277位)のアミノ酸残基はチロシン又はアラニン残基ではなく;295位(シグナルペプチドのない配列では278位)のアミノ酸残基はバリン、スレオニン又はイソロイシン残基ではなく;297位(シグナルペプチドのない配列では280位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;298位(シグナルペプチドのない配列では281位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;299位(シグナルペプチドのない配列では282位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;306位(シグナルペプチドのない配列では289位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;307位(シグナルペプチドのない配列では290位)のアミノ酸残基はセリン又はロイシン残基ではなく;311位(シグナルペプチドのない配列では294位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;326位(シグナルペプチドのない配列では309位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;327位(シグナルペプチドのない配列では310位)のアミノ酸残基はシステイン、グリシン又はロイシン残基ではなく;328位(シグナルペプチドのない配列では311位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;334位(シグナルペプチドのない配列では317位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;339位(シグナルペプチドのない配列では322位)のアミノ酸残基はアルギニン又はグルタミン酸残基ではなく;348位(シグナルペプチドのない配列では331位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;354位(シグナルペプチドのない配列では337位)のアミノ酸残基はアスパラギン酸残基ではなく;355位(シグナルペプチドのない配列では338位)のアミノ酸残基はスレオニン又はイソロイシン残基ではなく;371位(シグナルペプチドのない配列では354位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;374位(シグナルペプチドのない配列では357位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;377位(シグナルペプチドのない配列では360位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;378位(シグナルペプチドのない配列では361位)のアミノ酸残基はバリン残基ではなく;381位(シグナルペプチドのない配列では364位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;382位(シグナルペプチドのない配列では365位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;389位(シグナルペプチドのない配列では372位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;391位(シグナルペプチドのない配列では374位)のアミノ酸残基はシステイン又はヒスチジン残基ではなく;392位(シグナルペプチドのない配列では375位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;395位(シグナルペプチドのない配列では378位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;399位(シグナルペプチドのない配列では382位)のアミノ酸残基はセリン又はバリン残基ではなく;400位(シグナルペプチドのない配列では383位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;406位(シグナルペプチドのない配列では389位)のアミノ酸残基はグリシン残基ではなく;410位(シグナルペプチドのない配列では393位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;411位(シグナルペプチドのない配列では394位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;414位(シグナルペプチドのない配列では397位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;417位(シグナルペプチドのない配列では400位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;420位(シグナルペプチドのない配列では403位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;423位(シグナルペプチドのない配列では406位)のアミノ酸残基はアラニン残基ではなく;424位(シグナルペプチドのない配列では407位)のアミノ酸残基はメチオニン残基ではなく;426位(シグナルペプチドのない配列では409位)のアミノ酸残基はシステイン又はアスパラギン酸残基ではなく;428位(シグナルペプチドのない配列では411位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;429位(シグナルペプチドのない配列では412位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;436位(シグナルペプチドのない配列では419位)のアミノ酸残基はヒスチジン残基ではなく;445位(シグナルペプチドのない配列では428位)のアミノ酸残基はプロリン残基ではなく;450位(シグナルペプチドのない配列では433位)のアミノ酸残基はヒスチジン又はシステイン残基ではなく;452位(シグナルペプチドのない配列では435位)のアミノ酸残基はリシン残基ではなく;454位(シグナルペプチドのない配列では437位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではなく;455位(シグナルペプチドのない配列では438位)のアミノ酸残基はセリン又はアスパラギン酸残基ではなく;456位(シグナルペプチドのない配列では439位)のアミノ酸残基はトリプトファン又はアルギニン残基ではなく;459位(シグナルペプチドのない配列では442位)のアミノ酸残基はメチオニン又はロイシン残基ではなく;466位(シグナルペプチドのない配列では449位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;467位(シグナルペプチドのない配列では450位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;468位(シグナルペプチドのない配列では451位)のアミノ酸残基はスレオニン残基ではなく;473位(シグナルペプチ
ドのない配列では456位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;476位(シグナルペプチドのない配列では459位)のアミノ酸残基はリシン又はグリシン残基ではなく;478位(シグナルペプチドのない配列では461位)のアミノ酸残基はロイシン残基ではなく;489位(シグナルペプチドのない配列では472位)のアミノ酸残基はセリン残基ではなく;490位(シグナルペプチドのない配列では473位)のアミノ酸残基はフェニルアラニン残基ではなく;及び491位(シグナルペプチドのない配列では474位)のアミノ酸残基はアルギニン残基ではない。他の特定の実施形態では、1つ又は複数のXは、アラインメントの配列中のその位置に見出されるアミノ酸のいずれか、又はこれらのアミノ酸のいずれかの保存若しくは半保存された置換を構成する残基であると定義される。他の特定の実施形態では、Xはアラインメントの配列中のその位置に見出されるアミノ酸のいずれかであると定義される。例えば、51位(シグナルペプチドのない配列では34位)のアミノ酸残基はアラニン又はバリン残基であり;177位(シグナルペプチドのない配列では160位)のアミノ酸残基はアラニン又はセリン残基であり;212位(シグナルペプチドのない配列では195位)のアミノ酸残基はイソロイシン又はバリン残基であり;291位(シグナルペプチドのない配列では274位)のアミノ酸残基はグルタミン酸又はアスパラギン酸残基であり;及び374位(シグナルペプチドのない配列では357位)のアミノ酸残基はバリン又はイソロイシン残基である。
【0025】
特定の実施形態では、本発明の骨標的融合タンパク質中のsALPフラグメントは、ヒトALPイソ酵素と、ヒトTNALPのアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504又は18〜505に対応する種々の哺乳動物種由来のTNALPのアラインメントから導かれるコンセンサス配列のフラグメントのうちのいずれか1つからなる。これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号15のアミノ酸残基23〜508、23〜509、23〜510、23〜511、23〜512、23〜513、23〜514及び23〜515である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸を除く任意のアミノ酸である。他の特定の実施形態では、これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号18のアミノ酸残基23〜508、23〜509、23〜510、23〜511、23〜512、23〜513、23〜514及び23〜515である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、前記コンセンサスが導かれるアラインメントの前記種のいずれか1つのALP及びヒトALPイソ酵素の中のその位置に見出される任意のアミノ酸であるが、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸ではない(図30参照)。
【0026】
他の特定の実施形態では、本発明の骨標的融合タンパク質中のsALPフラグメントは、ヒトTNALPのアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505に対応する種々の哺乳動物種由来のTNALPのアラインメントから導かれるコンセンサス配列のフラグメントのうちのいずれかからなる。これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号16のアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸を除く任意のアミノ酸である。他の特定の実施形態では、これらのコンセンサスフラグメントは、それぞれ配列番号19のアミノ酸残基18〜498、18〜499、18〜500、18〜501、18〜502、18〜503、18〜504及び18〜505である。これらのコンセンサスフラグメントでは、Xは、前記コンセンサスが導かれるアラインメントの種のいずれか1つのTNALP中のその位置に見出される任意のアミノ酸であるが、表1に報告されているヒトTNALPのその位置での病的突然変異に対応するアミノ酸ではない(図31参照)。
【0027】
表1:ヒトTNALPにおける病的突然変異体
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
【表1−5】
【表1−6】
【表1−7】
【表1−8】
【表1−9】
【表1−10】
【表1−11】
【0028】
スペーサー
この理論に限定されることなく、下の実施例に示される骨標的sALP融合タンパク質中で使用されるFcフラグメントは、sTNALP−Fc−D10の発現がsTNALP−D10の発現より高度であった(下の実施例2参照)ので、前記タンパク質をより効率よく折り畳ませるスペーサーとして働くと考えられる。1つの可能な説明は、Fcフラグメントの導入により、試験されたsALP配列のC末端に付加された高度に負に帯電したD10配列の存在により引き起こされる反発力が軽減されるというものである。
【0029】
本発明に有用なスペーサーには、Fcを含むポリペプチド、及びsALP配列のC末端に付加された高度に負に帯電したD10配列の存在により引き起こされる反発力を軽減することができる親水性で可動性のポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態では、前記スペーサーは、2つのsALP単量体由来の2つのsALPドメインが互いに相互作用をして最小の触媒的に活性な実体を構成するのを妨げる立体障害を軽減する。
【0030】
フラグメント結晶化可能領域(Fc)フラグメント
本発明に有用なFcフラグメントには、ヒンジ並びにCH2及びCH3ドメインを含むIgGのFCフラグメントが挙げられる。例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4を使うことができる。
【0031】
負に帯電したペプチド
本発明による負に帯電したペプチドは、D10〜D16又はE10〜E16からなる群から選択されるポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸でもよい。
【0032】
特定の実施形態では、本発明の骨標的sALP融合タンパク質は、二量体又は四量体を形成するように会合される。
【0033】
この特定の理論に限定されることなく、Fcをスペーサーとして含むポリペプチドを使用する本発明の特定の実施形態では、二量体は、2つのFcフラグメントのヒンジ領域に位置する2つのジスルフィド結合を通じて共有結合している2つの骨標的sALP単量体で構成されていると推定される。この二量体立体配置では、鎖間ジスルフィド結合の形成により課せられる立体障害は、会合して正常細胞に存在する二量体の最小触媒的に活性な実体になるsALPドメインの会合を妨げていると推定される。
【0034】
この特定の理論に限定されることなく、その四量体構造においては、融合タンパク質の会合は、1つの二量体からの1つのsALPドメインと別の二量体からの別の1つのsALPドメインを含むと考えられている。同一Fc結合二量体からの2つのsALPドメインが互いに相互作用をして最小の触媒的に活性な実体を構成するのをおそらく妨げている構造障害は、本明細書に示す実施例中に記載されるFcよりも長いスペーサーを、sALPフラグメントとポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸フラグメントの間に挿入することにより最終的に除去することができるのであろう。
【0035】
骨標的sALPは、1)ポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸から下流に;及び/又は2)ポリアスパラギン酸とFcフラグメントの間に;及び/又は3)FcフラグメントなどのスペーサーとsALPフラグメントの間に、更に任意選択で1つ又は複数の追加のアミノ酸を含んでいてよい。これは、例えば、骨標的コンジュゲートを作製するために使われるクローニング戦略が外来性アミノ酸をこれらの位置に導入する場合である。しかし、外来性アミノ酸は、追加のGPIアンカー付加シグナルを与えないように選択すべきである。宿主細胞のトランスアミダーゼにより切断されている設計配列の可能性は、Ikezawaにより記載されている通りに予測することができる(Ikezawa、2002)。
【0036】
本発明は、本明細書に明示的に述べられているものを含むグリコリゼーション、アセチル化、アミド化、ブロッケージ、ホルミル化、γカルボキシグルタミン酸ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化、ピロリドンカルボン酸、及び硫酸化によるなどの翻訳後修飾された融合タンパク質も包含している。
【0037】
用語「組換えタンパク質」は、原核又は真核宿主細胞に挿入された遺伝子操作された核酸によりコードされているタンパク質に言及するために本明細書では使用されている。核酸は、通常、宿主細胞に適したプラスミド又はウイルスなどのベクター内に置かれている。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、本明細書に示される実施例において本発明のコンジュゲートを発現するための宿主として使用されてきたが、当業者であれば、当技術分野では常用である方法に従って組換えタンパク質を産生するのに他のいくつかの宿主を使用してもよいことは理解されるであろう。代表的な方法は、Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に開示されている。本明細書で使用される「切断可能な組換えタンパク質」は、分泌された/可溶性のタンパク質を産生するように宿主酵素により切断してもよい組換えタンパク質に言及することを意図している。そのように限定されることなく、HEK293細胞、PerC6、ベビーハムスター腎臓細胞も使用することができる。
【0038】
本明細書で使用するように、用語「ポリペプチドの発現をもたらすのに適した条件」とは、本発明の融合タンパク質の産生を可能にするいかなる培地にも言及することを意図されている。そのように限定されることなく、この培地には、緩衝液、炭酸水素及び/又はHEPES、塩素、リン酸、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄のようなイオン、単糖類のような炭素源、アミノ酸、潜在的な脂質、ヌクレオチド、ビタミン並びにインスリンのような増殖因子で調製した培地;2〜4mMのL−グルタミンと5%ウシ胎仔血清を補充したαMEM、DMEM、Ham’s−F12及びIMDMのような通常の市販の培地;2〜4mMのL−グルタミンを補充したHyclone(商標)、SFM4CHO、Sigma CHO DHFR−、Cambrex POWER(商標)CHO CDのような通常の市販の動物タンパク質無添加培地が挙げられる。これらの培地は、安定なタンパク質産物発現を可能にする選択圧を維持するために、チミジン、ヒポキサンチン及びL−グリシンなしで調製されるのが望ましい。
【0039】
そのように限定されることなく、本発明の融合物を発現するのに有用な宿主細胞には、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。本発明の融合タンパク質を発現するための対象の特定のCHO細胞には、CHO−DG44及びCHOduk−とも呼ばれるCHO/dhfr−が挙げられる。この後者の細胞系はアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC番号CRL−9096)を通じて入手可能である。
【0040】
用語「骨組織」は、大部分がコラーゲンを含有する有機基質で構成された骨芽細胞により合成され、ヒドロキシアパタイト結晶の沈着によりミネラル化された組織に言及するために本明細書では使用されている。
【0041】
本発明の骨送達コンジュゲートに含まれる融合タンパク質は、有効量の融合タンパク質を骨に与えることにより骨欠損状態の治療療法に有用である。融合タンパク質は、任意の標準的薬学的に許容可能な担体中の医薬組成物の形で提供され、任意の標準的手法により、例えば、静脈注射により投与される。
【0042】
本明細書で使用するように、用語「HPP表現型」は、くる病(成長軟骨板の欠損)、骨軟化症、無機ピロリン酸(PPi)、ホスホエタノールアミン(PEA)、若しくはピリドキサール5’−リン酸(PLP)の上昇した血液及び/又は尿レベル、発作、骨痛、軟骨石灰化症をもたらす関節中のピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着(CPPD)並びに早死のうちのいずれか1つに言及するように意図されている。そのように限定されることなく、HPP表現型は、(大腿骨、脛骨、上腕骨、橈骨、尺骨などの)長骨長の減少、全骨の平均密度の減少及び大腿骨、脛骨、肋骨と中足骨、及び指骨などの骨の骨ミネラル化の減少、歯ミネラル化の減少、乳歯の早期喪失(例えば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は形成異常)を伴う発育遅延により実証することができる。そのように限定されることなく、骨ミネラル化欠損の改善又は予防は、長骨長の増加、骨及び/又は歯におけるミネラル化の増加、脚の湾曲の改善、骨痛の減少並びに関節中のCPPD結晶沈着症の減少のうちの1つ又は複数により観察してよい。
【0043】
本明細書で使用するように、語句「低ホスファターゼ血症表現型を改善する」中の用語「改善する」は、既存のHPP表現型のいかなる部分的又は完全な減少にも言及するように意図されている。同様に、語句「低ホスファターゼ血症表現型を予防する」中の用語「予防する」は、HPP表現型の発生のいかなる遅延若しくは緩徐化にも、又はHPP表現型の発生のいかなる部分的若しくは完全な回避にも言及するように意図されている。
【0044】
本明細書で使用するように、用語「対象」は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、サル、ウマ等を含むいかなる哺乳動物にも言及するように意図されている。特定の実施形態では、前記用語はヒトに言及している。
【0045】
本明細書で使用するように、本発明の化合物を投与する方法における用語「それを必要とする対象」は、本発明の化合物を受けることから恩恵を受けると考えられる対象に言及するように意図されている。特定の実施形態では、前記用語は、既に少なくとも1つのHPP表現型を有する対象、又は少なくとも1つの若しくは少なくとももう1つのHPP表現型を発現する可能性がある対象に言及している。別の実施形態では、前記用語は、セメント質の形成不全、発育不全若しくは異形成を有する対象、又はセメント質の形成不全、発育不全若しくは異形成を発症しそうな対象に更に言及している。
【0046】
本明細書で使用するように、「少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある対象」は、遺伝子(ALPL)に少なくとも1つの機能喪失突然変異を有する対象である。
【0047】
本明細書で使用するように、「歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を発症しそうな対象」は、HPP又は細菌感染による歯周病を有する対象である。細菌感染による歯周病は、歯の剥離をもたらす可能性があるセメント質の変質を誘発することがある。
【0048】
投与経路
本発明の骨標的sALPは、経口的に、経鼻的に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、舌下に、髄腔内に、又は皮内になどの経路により投与することができる。投与経路は、環境及び治療目的などの種々の要因に依拠することがある。本明細書で使用するように、対象は、HPP若しくはHPPに付随する他の表現型を特徴づける骨ミネラル化欠損の予防若しくは改善、又は欠損セメント質の予防若しくは改善が望ましいヒトなどの動物に言及している。
【0049】
例として、本発明の医薬組成物は、液体、溶液、懸濁液、丸薬、カプセル、錠剤、ジェルキャップ、粉末、ゲル、軟膏剤、クリーム、ネビュラ、ミスト、微粒化蒸気、エアロゾル、又はフィトソームの形状でよい。経口投与では、錠剤又はカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、又は湿潤剤などの薬学的に許容可能な賦形剤を使用して従来の手段により調製することができる。前記錠剤は当技術分野で公知の方法によりコーティングすることができる。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形状を取ることができ、又は使用前に生理食塩水若しくは他の適切な液体媒体とともに構成するための乾燥製品として提示することができる。本発明の栄養補助食品は、懸濁化剤、乳化剤、非水溶媒、保存剤、緩衝塩、香料、発色、及び甘味剤などの薬学的に許容可能な添加剤も必要に応じて含有することができる。経口投与用調製物は、活性成分の制御された放出をするように適切に処方することもできる。
【0050】
強酸性胃酸との長い接触に抵抗するが、弱酸性又は中性の腸環境では溶解するように、本発明の錠剤上に腸溶コーティングを更に使うことができる。そのように限定することなく、酢酸フタル酸セルロース、Eudragit(商標)及びヒドロキシプロピルフタル酸メチルセルロース(HPMCP)を、本発明の医薬組成物の腸溶コーティングに使用することができる。一般に使用される酢酸フタル酸セルロース濃度は、コア重量の0.5〜9.0%である。可塑剤を添加すればこのコーティング材の耐水性は改良され、そのような可塑剤を使った製剤は、酢酸フタル酸セルロースのみを使用する場合よりも効果的である。酢酸フタル酸セルロースは、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリブチルグリコール酸、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコール酸、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリアセチン、及びトリプロピオニンを含む多くに可塑剤に適合性である。酢酸フタル酸セルロースは、薬物制御放出調製物においてエチルセルロースなどの他のコーティング剤と組み合わせても使用される。
【0051】
投与量
いかなる量の医薬組成物も対象に投与することができる。その投与量は、投与方法及び対象の年齢を含む多くの要因に依拠することになる。典型的には、単回投与内に含有される本発明の骨標的ALPの量は、著しい毒性を誘導することなくHPPにおける骨ミネラル化欠損を効果的に予防する、遅延させる又は改善する量になる。本明細書で使用するように、用語「治療的な有効量」は、目的の治療効果を達成し、有害な副作用は回避するのに有効な量に言及するように意図されている。典型的には、本発明による骨標的sALPは、0.001〜500mg/kg/日、更に特定の実施形態では、約0.1〜約100mg/kg/日、更に特定の実施形態では、約0.2〜約20mg/kg/日の範囲の用量で対象に投与することができる。Mahmoodらの相対成長率法(Mahmoodら、2003)を使用して、マウスからヒトへ用量を外挿することができる。投与量は、疾患の程度及び患者の異なるパラメータなどの従来の要因に従って臨床医が適合させることになる。
【0052】
骨標的sALPの治療的な有効量は、直接測定してもよい。有効量は毎日又は毎週若しくはその一部分で与えてもよい。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日当たり体重1kg当たり約0.001mg〜約500mgまで(例えば、0.05、0.01、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、0.8、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、50mg、100mg、又は250mg)の量で投与することができる。投与量は、単回又は多数回投与計画のいずれで与えてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、有効量は、約0.1〜約100mg/kg/日、1日当たり約0.2mg〜約20mgの骨標的sALP、1日当たり約1mg〜約10mgの骨標的sALP、1週当たり約0.07mg〜約210mgの骨標的sALP、1週当たり約1.4mg〜約140mgの骨標的sALP、3日毎に約0.3mg〜約300mgの骨標的sALP、1日おきに約0.4mg〜約40mgの骨標的sALP、及び1日おきに約2mg〜約20mgの骨標的sALPに及ぶ用量である。
【0053】
実際の用量は、それぞれの患者特有の臨床学的要因に基づいて担当医によって、又は栄養士によって、慎重に選択され用量設定しなければならないので、これらの数字は指針に過ぎない。最適日用量は当技術分野で公知の方法によって決定され、上記の患者の年齢などの要因及び他の臨床的な関連要因などの要因により影響されることになる。更に、患者は他の疾患又は状態のための薬を服用していてもよい。その他の薬は、骨標的sALPが患者に与えられる期間中継続してもよいが、そのような場合には低用量から開始して有害な副作用が経験されるかどうかを判定するのが特に賢明である。
【0054】
担体/溶媒
骨標的sALPを含有する調製物は、薬学的に許容可能な無菌水性若しくは非水溶媒、懸濁液又は乳濁液と組み合わせて患者に与えてもよい。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、及び注射用有機エステルである。水性担体には、水、水アルコール溶液、生理食塩水を含む乳濁液又は懸濁液、及び塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖溶液、ブドウ糖プラス塩化ナトリウム溶液、乳糖を含有するリンゲル溶液又は固定油を含む緩衝医療用非経口溶媒が挙げられる。静脈内溶媒は、液体と栄養補填剤、リンゲルブドウ糖を主成分とする補填剤などの電解質補填剤などを含んでいてよい。
【0055】
更に別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、制御された放出システムで送達することができる。一実施形態では、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、架橋両親媒性ブロック共重合体及びハイドロゲル、ポリヒドロキシブタン酸並びにポリジヒドロピランを含む高分子材料を使うことができ(SmolenとBall、「制御された薬物バイオアベイラビリティ、薬物製品設計と性能(Controlled Drug Bioavailability,Drug product design and performance)」、1984、John Wiley&Sons;RanadeとHollinger、「製剤送達システム、薬理学及び毒性学シリーズ(Drug product Delivery Systems,pharmacology and toxicology series)」、2003、第2版、CRRC Pressも参照)、別の実施形態では、ポンプを使用してもよい(Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:574)。
【0056】
本発明の融合タンパク質は、希釈剤として適した賦形剤溶液(例えば、ショ糖)を使った凍結乾燥した粉末の形であってもよい。
【0057】
更に、本発明によるヌクレオチドセグメント又はタンパク質を、いくつかの形で個体に導入することができる。例えば、骨芽細胞を苦しんでいる個体から単離し、本発明によるヌクレオチド構築物で形質転換し、静脈内注射を含むいくつかの形で苦しんでいる個体に再導入することができる。代わりに、前記ヌクレオチド構築物を、例えば、注射により苦しんでいる個体に直接投与することができる。前記ヌクレオチド構築物は、特定の細胞型を標的にするように設計し、異なった経路を通じて投与されるように工学的に改変することができるリポソームなどの媒体を通じて送達することもできる。
【0058】
本発明の融合タンパク質は、遺伝子治療により有利に送達することもできる。有用な遺伝子治療法には、例えば、治療タンパク質用にアデノウイルスベクターを使用してタンパク質産生細胞として肝細胞を標的にするジェンザイム社の国際公開第06060641号A2、米国特許第7179903号及び国際公開第0136620号A2に記載されている治療法が挙げられる。
【0059】
「遺伝子送達媒体」は、宿主細胞内に挿入されたポリヌクレオチドを運ぶことができる任意の分子として定義される。遺伝子送達媒体の例は、リポソーム、天然ポリマーと合成ポリマーを含む生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、及び細菌、又はバキュロウイルス、アデノウイルス及びレトロウイルスなどのウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター並びに、種々の真核生物及び原核生物宿主における発現のために記載されており、単純なタンパク質発現のためだけではなく遺伝子治療のためにも使用してよい当技術分野で典型的に使用される他の組換え媒体である。本明細書で使用される「遺伝子送達」、「遺伝子移入」などは、外来性ポリヌクレオチド(「トランス遺伝子」と呼ばれることもある)の宿主細胞への導入に言及する用語であり、導入のために使用される方法とは無関係である。そのような方法には、ベクター媒介遺伝子移入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクション、又は種々の他のタンパク質ベース若しくは脂質ベース遺伝子送達複合体)並びに(エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達及びポリヌクレオチドの導入のために使用される種々の他の技術などの)「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促進する技術などの種々の公知の技術が挙げられる。導入されたポリヌクレオチドは宿主細胞内で安定的に維持されても一過性に維持されてもよい。安定的維持には典型的に、導入されたポリヌクレオチドが、宿主細胞と適合性の複製起点を含有する、或いは染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)などの宿主細胞のレプリコン又は核若しくはミトコンドリア染色体に組み込まれる必要がある。いくつかのベクターは、当技術分野で公知であり本明細書に記載するように、遺伝子の哺乳動物細胞への移入を媒介することができることが知られている。
【0060】
「ウイルスベクター」は、インビバ、エキソビバ又はインビトロのいずれかで、宿主細胞内に送達されるポリヌクレオチドを含む組換え的に産生されたウイルス又はウイルス粒子として定義される。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、国際公開第06002203号A2に記載されたウイルスベクターなどのアデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスなどが挙げられる。セムリキ森林ウイルスベースベクター及びシンドビスウイルスベースベクターなどのアルファウイルスは、遺伝子治療及び免疫療法において使用するためにも開発された。
【0061】
遺伝子移入がアデノウイルス(Ad)又はアデノ随伴ウイルス(MV)などのDNAウイルスベクターにより媒介される態様では、ベクター構築物は、ウイルスゲノム又はその一部を含むポリヌクレオチド、及びトランス遺伝子に言及する。アデノウイルス(Ad)は、50を超えるセロタイプを含む、相対的によく特徴づけられている同種グループのウイルスである。例えば、国際PCT出願番号WO95/27071を参照されたい。Adは増殖するのが容易で、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。組換えAd由来ベクター、特に野生型ウイルスの組換え及び産生の可能性を減少させる組換えAd由来ベクターも構築済みである。国際PCT出願番号WO95/00655及びWO95/11984を参照されたい。プロモーター及びポリヌクレオチドを動作可能的に連結することができるクローニング部位の両方を含有するベクターは、当技術分野では公知である。そのようなベクターは、インビトロ又はインビボでRNAを転写することができ、Stratagene社(ラホーヤ、カリフォルニア州)及びPromega Biotech社(マディソン、ウィスコンシン州)などの供給源から市販されている。発現及び/又はインビトロ転写を最適化するためには、転写又は翻訳レベルのいずれかで、発現を妨げる又は減少させる可能性にある余分な潜在的に不適切な代わりの翻訳開始コドン又は他の配列を除去するためにクローンの5’及び/又は3’非翻訳部分を取り除く、付加又は改変する必要がある可能性がある。
【0062】
本発明の骨標的sALPは、骨ミネラル化欠損又はHPPの別の有害な症状を改善する少なくとも1つの他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。本発明の骨標的sALPは、セメント質欠損を改善する少なくとも1つの他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。
【0063】
用語「高度な厳密性の条件」は、高度に相同性の配列が結合するのを可能にする条件に言及するよう意図されている。そのように限定することなく、そのような条件の例は、ハンドブック「分子クローニング(Molecular cloning)」、Laboratory manual、Sambrookらの1989年第2版に収載されており、300〜1500ヌクレオチドの核酸では、6×SSC又は6×SSPE、デンハート試薬又はなし、0.5%SDS及び高度な厳密性の条件を得るために使用される温度はほとんどの場合約68℃(Sambrookの9.47〜9.55ページ参照)。特定の核酸プローブのために使用される最適温度は、経験的に計算してもよいが、選択される緩衝液条件には代案の余地があるが、これらのきわめて公知の条件範囲内で、捕獲される核酸は著しく変わることはないであろう。実際、Sambrookは、「選択はかなりの程度まで個人的好みに左右される」ことをはっきりと示している(9.47ページ参照)。Sambrookは、核酸プローブ中のグアニンとシトシンの割合及びプローブの長さに従って変化する最適温度を計算する式(Tmよりも10〜20℃低く、Tm=81.5℃+16.6(log10[Na+])+0.41(G+Cの割合)−0.63(ホルムアミド%−(600/l))と明記している(Sambrookの9.50及び9.51ページ参照)。
【0064】
キット
本発明は、本発明による核酸、タンパク質又はリガンドを含む、HPP表現型又はセメント質欠損を改善又は予防するためのキットにも関する。例えば、前記キットは、本発明の骨標的組成物又は同一物をコードするベクター、及びHPP表現型を改善又は予防するために対象に前記組成物又はベクターを投与するための使用説明書を含んでいてもよい。そのようなキットは、HPP表現型を予防又は改善することができる少なくとも1つの他の活性薬剤を更に含んでいてもよい。前記キットを使用してHPP対象のHPP表現型を予防又は改善する場合、前記キットは、HPPの他のどんな有害な症状も予防又は改善することができる少なくとも1つの他の活性薬剤を更に含んでいてもよい。更に、本発明による区画化されたキットには、試薬が別々の容器に含有されるどんなキットも挙げられる。そのような容器には、小ガラス容器、プラスチック容器、又はプラスチック若しくは紙の条片が挙げられる。そのような容器は、試料及び試薬が相互汚染しないように、並びに各容器の薬剤又は溶液が定量的な形で区画から区画へと添加することができるように、区画から区画への試薬の効率的な移動を可能にする。
【0065】
更に具体的には、本発明の第1の態様によれば、構造:Z−sALP−Y−スペーサー−X−Wn−Vを有するポリペプチドを含む骨標的アルカリホスファターゼ(配列中、sALPはアルカリホスファターゼの細胞外ドメインであり、Vは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Xは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Yは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Zは不在又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、Wnはn=10〜16のポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸である)が提供される。
【0066】
特定の実施形態では、sALPは、配列番号15のアミノ酸残基23〜508を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号15のアミノ酸残基23〜512からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号18のアミノ酸残基23〜508を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号18のアミノ酸残基23〜512からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号16のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号16のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号8のアミノ酸残基18〜498を含む。別の特定の実施形態では、sALPは、配列番号8のアミノ酸残基18〜502からなる。
【0067】
別の特定の実施形態では、スペーサーは、フラグメント結晶化可能領域(Fc)を含む。別の特定の実施形態では、Fcは、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む。別の特定の実施形態では、Fcは、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである。別の特定の実施形態では、Fcは、免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである。別の特定の実施形態では、Fcは配列番号3に記載の通りである。別の特定の実施形態では、Wnはポリアスパラギン酸である。別の特定の実施形態では、n=10である。別の特定の実施形態では、Zは不在である。別の特定の実施形態では、Yは2つのアミノ酸残基である。別の特定の実施形態では、Yはロイシン−リシンである。別の特定の実施形態では、Xは2つのアミノ酸残基である。別の特定の実施形態では、Xはアスパラギン酸−イソロイシンである。別の特定の実施形態では、Vは不在である。別の特定の実施形態では、ポリペプチドは配列番号4に記載の通りである。
【0068】
別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、ポリペプチドを二量体を含む形で含む。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、ポリペプチドを四量体の形で含む。
【0069】
別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、薬学的に許容可能な担体中に存在する。別の特定の実施形態では、薬学的に許容可能な担体は生理食塩水である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、凍結乾燥された形である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約0.2〜約20mg/kgの1日投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、3日毎に投与される約0.6〜約60mg/kgの投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約1.4〜約140mg/kgの1週投与量である。別の特定の実施形態では、骨標的アルカリホスファターゼは、約0.5mg/kgの1週投与量である。
【0070】
更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸が提供される。
【0071】
本発明の別の態様によれば、本発明のポリペプチドをコードする配列からなる単離された核酸が提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、配列番号17に記載の配列を含む単離された核酸が提供される。
【0072】
本発明の別の態様によれば、本発明の核酸を含む組換え発現ベクターが提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明の核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルスベクターが提供される。更に具体的には、本発明の別の態様によれば、本発明のベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた、単離された組換え宿主細胞が提供される。
【0073】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを作製する方法であって、骨標的アルカリホスファターゼの発現をもたらすのに適した条件下で、本発明の宿主細胞を培養することと、及び培地から骨標的アルカリホスファターゼを回収することを含む方法が提供される。
【0074】
特定の実施形態では、宿主細胞は、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。別の特定の実施形態では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞はCHO−DG44細胞である。
【0075】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼ、及び低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキットが提供される。
【0076】
本発明の別の態様によれば、本発明の骨標的アルカリホスファターゼ、及び歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキットが提供される。
【0077】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量の骨標的アルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において少なくとも1つのHPP表現型が改善又は予防される方法が提供される。
【0078】
特定の実施形態では、対象は少なくとも1つのHPP表現型を有する。別の特定の実施形態では、対象は少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型はHPP関連発作を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、乳歯の早期喪失を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、不完全な骨ミネラル化を含む。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な大腿骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な脛骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な中足骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、不完全な骨ミネラル化は、不完全な肋骨ミネラル化である。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、無機ピロリン酸(PPi)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ホスホエタノールアミン(PEA)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、不十分な体重増加を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、くる病を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、骨痛を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着を含む。別の特定の実施形態では、少なくとも1つのHPP表現型は、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を含む。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は乳児期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は小児期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は出生時HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は成人期HPPを有する。別の特定の実施形態では、それを必要とする対象は歯限局型低ホスファターゼ血症HPPを有する。
【0079】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために、本発明の骨標的アルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量の骨標的アルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成が改善又は予防される方法が提供される。
【0080】
特定の実施形態では、投与は、対象の細胞をアルカリホスファターゼをコードする核酸でトランスフェクトすることを含む。別の特定の実施形態では、細胞をトランスフェクトすることは、骨標的アルカリホスファターゼが発現され、活性型で分泌され、前記細胞を有する対象に投与されるように、インビトロで実施される。別の特定の実施形態では、投与は、対象への骨標的アルカリホスファターゼの皮下投与を含む。別の特定の実施形態では、投与は、対象への骨標的アルカリホスファターゼの静脈内投与を含む。
【0081】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのHPP表現型の改善又は予防に使用するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼが提供される。
【0082】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成の改善又は予防に使用するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼが提供される。
【0083】
本発明の別の態様によれば、医薬品の製造における、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0084】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのHPP表現型を改善又は予防するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0085】
本発明の別の態様によれば、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するための、本発明の骨標的アルカリホスファターゼの使用が提供される。
【0086】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照してほんの一例として示した、その特定の実施形態の以下の非限定的説明を読めば更に明らかになろう。
【0087】
添付の図面については以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】hsTNALP−FcD10により例示される本発明の骨標的ALPの設計及び概略構造を示す図である。パネルAは、N末端シグナルペプチドとGPI付加用一過性膜アンカー付加シグナルとを含むヒト組織非特異的アルカリ性ホスファターゼ遺伝子(TNALP)の完全一次翻訳産物の概略図を示す。パネルBは、融合タンパク質の一次翻訳産物を示す。パネルCは、切断可能TNALPシグナルペプチドを欠く一次翻訳産物を示す。
【図2】hTNALP−FcD10のタンパク質配列((配列番号1)、N末端ペプチドシグナル(最初の17アミノ酸)を含む)を示す図であり、hTNALPの部分(配列番号2)は、イタリック体であり、イタリック体で下線付きのペプチドシグナル部分を含み、Fcフラグメントは下線付きである(配列番号3)。
【図3】本明細書において示される実施例で使用されるhsTNALP−FcD10のタンパク質配列(配列番号4)(N末端ペプチドシグナルを有さない)を示す図であり、hsTNALP部分(配列番号5)はイタリック体であり、Fcフラグメントは下線付きである(配列番号3)。二重下線付きのアスパラギン(N)残基は、推定上のNグリコシル化部位に対応し、太字のアミノ酸残基(LK及びDI)は、それぞれhsTNALPとFcの間、及びFcとD10ドメインの間のリンカーに相当する。これらのリンカーは、cDNAの工学的改変時に導入されるエンドヌクレアーゼ制限部位に由来する。
【図4】CHO−DG44細胞におけるsTNALP−D10及びsTNALP−FcD10の発現の比較を示すグラフである。
【図5】Sephacryl(商標)3−300によるプロテインAセファロース分子篩クロマトグラフィーにおけるsTNALP−FcD10の精製、並びに還元(DTT+)条件及び非還元(DTT−)条件の下での精製sTNALP−FcD10のSDS−PAGE解析を示す図である。sTNALP−FcD10の概略図も示す。Protein A−Sepharose(商標)アフィニティークロマトグラフィーにより精製されたタンパク質をSDS−PAGEで解析し、Sypro(商標)Rubyでバンドを染色した。sTNALP−FcD10の主要な種は、還元条件下で90,000Da、及び非還元条件下で200,000Daの見かけの分子質量で移動した。
【図6】sTNALP−FcD10におけるパパイン切断部位の位置を示す図である。
【図7】TSK−Gel G3000WXLカラムにおけるsTNALP−FcD10の非変性SEC−HPLC解析を示すグラフである。通常の曲線:パパイン消化試料。−X−曲線:パパインが非存在であること以外は同一の条件でインキュベートした同じ試料(対照)。
【図8】どのフラグメントがゲル上のどのバンドに対応するのかを示す、パパインの存在下又は非存在下でインキュベートされたsTNALP−FcD10のSDS−PAGE解析を示す写真である。解析は、還元(+DTT)又は非還元(−DTT)の条件下で行った。
【図9】インビトロ結合アッセイを示すグラフである。sTNALP−FcD10及びウシ腎臓組織非特異的アルカリホスファターゼを例2に記載の再組成ミネラル結合アッセイで比較した。総活性は、遊離画分及び結合画分において回収された酵素活性の合計である。総活性は、それぞれウシ及びsTNALP−FcD10の形態の酵素についての各セットのアッセイにおいて導入された酵素活性の初期量の84%及び96%であることが分かった。結果は、2つの結合の平均である。
【図10】成体WTマウスの血清、脛骨及び筋肉におけるsTNALP−FcD10の薬物動態プロファイル及び分布プロファイルを示すグラフである。血清、脛骨及び筋肉におけるsTNALP−FcD10の濃度は、成体WTマウスにおける5mg/kgの単回ボーラス静脈内注射の後のμg/組織1g(湿重量)で表す。
【図11】新生児WTマウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度の薬物動態プロファイルを示すグラフである。(1日齢)新生児WTマウスにおける3.7mg/kgの単回の腹腔内注射(パネルA)又は皮下注射(パネルB)の後の時間の関数としてのsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図12】血清中のsTNALP−FcD10の予測薬物動態プロファイルを示すグラフである。新生児マウスにおける10mg/Kgの反復皮下注射(24時間毎)後のsTNALP−FcD10の予測最大(Cmax)循環定常レベル及び予測最小(Cmin)循環定常レベル。
【図13】新生児マウスの血清中のsTNALP−FcD10の実験的に試験された薬物動態プロファイルを示すグラフである。新生児マウスにおける10mg/Kgの最終皮下注射の24時間後のsTNALP−FcD10の測定最小(Cmin)循環定常レベル。ホモ:ホモ接合、ヘテロ:ヘテロ接合。
【図14】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。1mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日15日間投与したマウスの16日目におけるsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図15】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける血清中PPi濃度に関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。血清中PPi濃度の測定。1mg/kgの低用量は、ERT投与マウスのPPiレベルの正常化に十分だった。
【図16】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨端軟骨形態に関する、短期(15日間)低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。未投与のAkp2−/−マウス及び投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるWTの成長板のGoldnerの三重染色。近位脛骨の成長板(骨端軟骨)は、Akp2−/−マウスに注射されたsTNALP−FcD10及び媒体の両方において肥大領域の過度の拡大を示し、それは早期くる病と一致していた。しかしながら、骨端軟骨形態は、sTNALP−FcD10が投与された動物においてあまり支障を来たしていないと思われた。
【図17】投与を受けたAkp2−/−マウスの骨端軟骨肥大面積の大きさに関する、短期(15日間)、低用量(1mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。成長板の肥大面積の大きさは、総成長板面積の割合で表される。投与マウスにおける肥大面積の正常化を示す。
【図18】投与を受けたAkp2−/−マウスの体重に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。体重に対するsTNALP−FcD10の効果。
【図19】投与を受けたAkp2−/−マウスの長骨長に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。大腿骨及び脛骨の長さ(16日目に行われた測定)に対するsTNALP−FcD10の効果。
【図20】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日15日間投与したマウスの16日目のsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図21】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨のミネラル化に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。Akp2−/−マウス(16日齢)の足、胸郭及び後肢のX線解析及びFaxitron(商標)画像分布表。骨ミネラル化の欠損の程度を考慮するために、足及び胸郭を重症、中等度又は健康に分類した。下腿は、単に異常(少なくとも1つの欠損)又は健康(目に見える欠損なし)に分類した。
【図22】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける歯の欠損に関する、短期(15日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。媒体又はsTNALP−FcD10を注射したAkp2−/−マウス並びに野生型マウスの歯の組織学的解析。Millanらに記載されるように、薄片を調製し、染色した。PDL=歯周靭帯。
【図23】投与を受けたAkp2−/−マウスの生存期間に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。対照の媒体だけを投与したAkp2−/−マウスの早期の死亡と比較した、sTNALP−FcD10を投与したAkp2−/−マウスの長期生存期間。
【図24】投与を受けたAkp2−/−マウスの大きさ、移動性及び外観に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。投与により、投与を受けたAkp2−/−マウスの大きさ、移動性及び外観は正常化される。同腹仔の未投与マウスを比較のために示す。
【図25】投与を受けたAkp2−/−マウスにおける骨のミネラル化及び長さに関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示す写真である。WTマウスと比較した、46日齢及び53日齢の投与を受けたAkp2−/−マウスの中足骨のX線像。
【図26】投与を受けたAkp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の血清中濃度に関する、長期(52日間)、高用量(8.2mg/Kg)の有効性の結果を示すグラフである。8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の皮下注射を毎日52日間投与したマウスの53日目でのsTNALP−FcD10の血清中濃度。
【図27】A)毎日4.3mg/kg(Tx−1)又は3日毎に15.2mg/kg(Tx−3)又は1週毎に15.2mg/kg(Tx−7)のいずれかの投与量でsTNALP−FcD10の投与を受けたAkp2−/−マウスの生存曲線、及びB)これらの投与計画の各々についての生存期間の中央値を示す図である。投与マウスの生存期間を、媒体注射マウスの生存期間と比較した。
【図28】A)出生後15日目に開始した毎日8.2mg/kgの投与量(RTx)でsTNALP−FcD10の投与を受けたAkp2−/−マウスの生存曲線、及びB)投与マウス及び媒体注射マウスについての生存期間の中央値を示す図である。投与マウスの生存期間を、媒体注射マウス(R媒体)の生存期間と比較する。
【図29】出生後15日目から開始した、Akp2−/−マウス(RTx)に注射された毎日8.2mg/kgの投与量のsTNALP−FcD10の、体重に対する効果を示すグラフである。毎日の体重は、媒体注射Akp2−/−マウス(R媒体)又は野生型同腹仔(WT)と比較される。
【図30】CLUSTAL(商標)W(1.82)多重配列アラインメントによって確立された種々のALPのアラインメント、即ち、ウシTNALP配列(配列番号6);ネコTNALP配列(配列番号7)、ヒトTNALP配列(配列番号8)、マウスTNALP配列(配列番号9)、ラットTNALP配列(配列番号10)及び部分的イヌTNALP配列(配列番号11)(ここで最初の22のアミノ酸残基の性質は不明である);ヒトIALP(配列番号12)(受入番号:NP_001622)、ヒトGCALP(配列番号13)(受託番号P10696)及びヒトPLALP(配列番号14)(受託番号NP_112603)を示す図である。「*」は、その列の残基がアラインメントの全ての配列において同一であることを示し、「:」は、保存された置換が認められたことを示し、「.」は、半保存された置換が認められたことを示す。このアラインメント(配列番号15)から誘導されたコンセンサス配列も示されるが、ここでxは任意のアミノ酸である。
【図31】CLUSTAL(商標)W(1.82)多重配列アラインメントによって確立された種々の種に由来するTNALPのアラインメント、即ち、ウシ配列(配列番号6);ネコ配列(配列番号7)、ヒト配列(配列番号8)、マウス配列(配列番号9)、ラット配列(配列番号10)及び部分的イヌ配列(配列番号11)(ここで最初の22のアミノ酸残基の性質は不明である)を示す図である。「*」は、その列の残基がアラインメントの全ての配列において同一であることを示し、「:」は、保存された置換が認められたことを示し、「.」は、半保存された置換が認められたことを示す。このアラインメント(配列番号16)から誘導されたコンセンサス配列も示されるが、ここでxは任意のアミノ酸である。
【図32】図1に記載したポリペプチド配列をコードする核酸配列(配列番号17)を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下に示す実施例は、組換え型のALPの皮下注射を使ったTNALPノックアウト(Akp2−/−)マウスの最初の成功した治療を示している。Akp2−/−マウスは、重症の、致死することも多い、幼児期型の低ホスファターゼ血症を要約している。
【0090】
幼児期HPPに付随する骨格の生化学的異常の多くを反映した、十分に報告されているTNSALPホモ接合ヌルマウスモデルが使用された。10連続アスパラギン酸(D10)残基から構成された骨標的配列に融合されたヒトIgG−1の結晶性フラグメント(Fc)領域の形で両方のスペーサーを含有するようカルボキシ末端で工学的に改変された新規の可溶性組換え型のヒトTNSALPでマウスを治療した。腎臓から精製された天然TNSALPと比べて、改変された組換え型の酵素は、その酵素活性を保持したまま、はるかに貪欲にヒドロキシアパタイトに結合することが明らかにされた。本発明の組換えTNSLPで治療すると、媒体のみを受けたマウスと比べると、ホモ接合体のヌルマウスの血漿PPiレベルが驚くほど正常化され、足胸部、後肢及び歯列のミネラル化が改善された。前記治療は、骨格表現型のほぼX線検査正常化で、生存期間を延長することも明らかにされた。
【0091】
その有益なインビボ治療効果に加えて、驚くべきことに、スペーサーを含有する組換え活性型の改変された酵素は、そのようなスペーサーを欠くその組換え対応物よりも高いレベルで発現されることが発見された。更に、前記酵素は四量体として機能することが実証された。
【0092】
本発明は、以下の非限定的実施例により更に詳細に例示される。
【実施例】
【0093】
(例1)
組換えsTNALP−FcD10の発現及び精製
組換えTNALPの発現及び精製を容易にするために、TNALPにおけるGPIアンカー付加を指定する疎水性C末端配列を除去して可溶性の分泌酵素とした(Di Mauroら、2002)。また、ヒトIgG(γ1型(IgG1)、Swiss−Prot P01857)のFc領域でTNALPエクトドメインのコード配列を拡大させた。これにより、Protein Aクロマトグラフィーにおける組換え酵素の精製を迅速に行うことが可能になり、驚くべきことにその発現を増大させることも可能になった。更に、組換えTNALPを骨組織にターゲティングするために、Fc領域のC末端にデカアスパルテート(D10)配列を付加した。このキメラ型のTNALP(sTNALP−FcD10と呼ぶ)は、生理学的基質として、人工基質p−ニトロフェニルリン酸を用いてpH9.8でアッセイした場合と、無機ピロリン酸(PPi)を用いてpH7.4でアッセイした場合との両方において、完全な酵素活性を保持する。天然型のTNALPのように、N末端シグナルペプチドは、粗面小胞体を横断するタンパク質の共翻訳的トランスロケーションの間に切断される。その設計及び構造を、図1に概略的に例示する。図2に、融合タンパク質(シグナルペプチドを含む)のアミノ酸配列を示す。図3に、分泌される融合タンパク質(即ちシグナルペプチドを有さない)のアミノ酸配列を示す。
【0094】
この融合タンパク質を構築するために用いた方法は、以下の通りである。融合タンパク質コードするcDNA(図32参照)を、NheI及びBamHIエンドヌクレアーゼ制限部位を用いて、pIRESベクター(Clontech(商標))のIRESの上流側に位置する第1のマルチクローニング部位に挿入した。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を、SmaI及びXbaIエンドヌクレアーゼ制限部位を用いて、IRESの下流側に位置する第2のマルチクローニング部位に挿入した。Lipofectamine(商標)トランスフェクションキット(Invitrogen)を用いて、DHFR遺伝子の両対立遺伝子が欠失したチャイニーズハムスター卵巣(CHO−DG44)細胞(Urlaubら、1983、Dr Lawrence A.(Chasin、Columbia University)から得た)内に、得られたベクターをトランスフェクションした。トランスフェクションの2日後、培地を交換し、ヌクレオチド不含培地(5%透析FBSを補充したIMDM)中に細胞を15日間維持し、プラーククローニングのための安定なトランスフェクタントを単離した。
【0095】
ヌクレオチド不含培地中で増殖した、3個の最良のクローン又は最初に選択された5個に由来する細胞をプールし、メトトレキサート(MTX)を含有する培地(IMDM+5%透析FBS)中でその濃度を上昇させながら更に培養した。5%FBSが補充されたIMDM培地を含有するCellstacks(商標)(Corning)中で、50nM MTX耐性の培養物を更に増殖させた。コンフルエントに達した後、即座にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞層をリンスし、タンパク質発現を増加させるために3.5mM酪酸ナトリウムを含有するIMDMで細胞のインキュベーションを更に3日間行った。培養の終了時、使用済みの培地中のsTNALP−FcD10の濃度は、TNALP酵素活性を測定することによって評価したところ3.5mg/Lであった。
【0096】
遊離したp−ニトロフェノールの吸光度が反応産物量に比例するALP活性についての熱量アッセイを用いて使用済みの培地中のsALP−FcD10の濃度を定量した。反応は、10μLの希釈された使用済み培地及び1mM pNPPを含有する100μLのALP緩衝液(20mMビス−トリスプロパン(HCl)pH9、50mM NaCl、0.5mM MgCl2、及び50μM ZnCl2)中で生じた。最後に後者の化合物を添加して反応を開始させた。分光光度プレートリーダを用いて20分間に亘り45秒毎に405nmで吸光度を記録した。最も急な勾配を8つの連続値に合わせることによって、初速度として表されるsTNALP−FcD10触媒活性を評価した。sALP−FcD10の濃度を変化させて標準液を調製し、先に記載したようにALP活性を決定した。標準濃度のLogの関数としての初速度のLogをプロットすることによって標準曲線を作成した。異なる試料におけるsTNALP−FcD10濃度を、それらのそれぞれのALP吸光度を用いて標準曲線から読み取った。精製された組換え酵素の既知の濃度の活性をプロットすることにより得られた較正曲線を用いて、活性の測定値をsALP−FcD10の濃度に変換した。
【0097】
次いでタンジェント流濾過を用いてPBSに対して培養液上清の濃縮及び透析を行い、150mM NaCl(10mM PO4ナトリウム)で平衡化したMabSelect SuRe(商標)カラム(GE Health Care)にそれを添加した。結合したタンパク質を、50mMトリスpH11(pH11.0緩衝液)で溶出した。回収した画分を、200mMトリス−HCl pH5.5でpH8〜9に調整した。溶出物質のほとんどを含む画分を、0.1mM MgCl2(20μM ZnCl2)を含有する150mM NaCl(25mM PO4ナトリウム)pH7.4緩衝液に対して透析し、無菌条件下で0.22μm(Millipore、Millex−GP(商標))膜で濾過した。精製手順の全収率を、Sypro(商標)ruby染色したSDS−PAGEにより評価したところ、95%超の純度で50%であった。精製したsTNALP−FcD10調製物を、数カ月間4℃で保存し、安定したままとした。
【0098】
また、以下の精製手法も試験したところ、成功であった。タンジェント流濾過を用いてPBSに対して培養液上清の濃縮及び透析を行い、PBSで平衡化したProtein A−Sepharose(商標)カラム(Hi−Trap(商標)5mL、GE Health Care)にそれを添加した。結合したタンパク質を、100mMクエン酸pH4.0緩衝液で溶出した。回収した画分を、直ちに1M トリスpH9.0でpH7.5に調整した。溶出物質のほとんどを含む画分を、0.1mM MgCl2(20μM ZnCl2)を含有する150mM NaCl(25mM PO4ナトリウム)pH7.4緩衝液に対して透析し、無菌条件下で0.22μm(Millipore、Millex−GP(商標))膜で濾過した。精製手順の全収率を、Sypro(商標)ruby染色したSDS−PAGEにより評価したところ、95%超の純度で50%であった。精製したsTNALP−FcD10調製物を、数カ月間4℃で保存し、安定したままとした。
【0099】
トランスフェクションしたCHO−DG44194細胞をメトトレキサートの存在下でその濃度を上昇させながら培養することによって、sTNALP−FcD10遺伝子のコピー数を増加させた。100nMメトトレキサート耐性の細胞のクローンを単離し、高収率でsTNALP−FcD10を生成する能力について評価した。最も良い産生株を、ウシ胎仔血清を含まないHyclone media(商標)SFM4CHO(商標)(カタログ番号SH30549)の懸濁液中の培養に適応させた。それらの条件下で高産生収率を維持した培養物を使い捨て式Wave(商標)バイオリアクタバッグに移した。1mL当たり0.4×106個の細胞の密度で培地(総容積25L)に播種した。細胞密度が2×106個/mLに達するまで、培養の温度を37℃に維持した。次いで温度を30℃に低下させ、培養物に、125mLのCHO用一般的供給物(Sigma、C1615)を補充した。それらの条件により、培養培地中において、細胞分裂が遅くなり、産物分泌が増大することが分かった。これらの条件を6日間維持した後、分泌sTNALP−FcD10を含有する細胞培養上清を収集した。
【0100】
(例2)
sTNALP−D10及びsTNALP−FcD10の発現の比較
sTNALP−FcD10又はsTNALP−D10のいずれかをコードするプラスミドベクターを、Lipofectamine(商標)を使用してCHO−DG44細胞においてトランスフェクションし、上記の例1に記載したようにDHFR遺伝子を発現する細胞の生存を促進するように設計された選択培地(即ちヌクレオチドを含まない)中で増殖させた。安定したトランスフェクタントをプラーククローニングによって単離し、上記の例1にも記載したアルカリホスファターゼ酵素アッセイを使用してタンパク質発現のそれらのレベルの順に分類した。スクリーニングにより、sTNALP−D10についてのみ1個のクローン(0.120pg/細胞/日)、sTNALP−FcD10については5個のクローン(0.377、0.258、0.203、0.099及び0.088pg/細胞/日)を同定することができた。メトトレキサート(MTX)遺伝子の増幅を、上記の例1に記載したように行い(0〜100mMの範囲のMTX)、それによりsTNALP−FcD10については発現を8倍増大させることができたが、一方でsTNALP−D10の培養物では増幅は認められなかった(図4参照)。細胞系の発達のための同様の方法を使用して、予想外にも、sTNALP−FcD10タンパク質は、sTNALP−D10よりも容易に発現することが分かった(図4参照)。
【0101】
(例3)
sTNALP−FcD10の特性評価
sTNALP−FcD10を、まずProtein−A Sepharose(商標)で精製し、還元条件及び非還元条件の下でSDS−PAGEで解析した。
【0102】
それは、還元条件下で、約90,000Daの見かけの分子質量で広いバンドとして移動した(図5のDTT+)。ペプチドN−グリコシダーゼF(PNGAse F)による消化により、タンパク質の見かけの分子質量は約80,000に減少したが、それは図1に示される非グリコシル化sTNALP−FcD10単量体の80,500Daの算出質量に非常に近いものである。血清中の可溶性TNALPは、骨芽細胞の外表面にGPIアンカータンパク質として存在するTNALPと同様に、酵素の総重量の20%以下を含む炭水化物を有する高グリコシル化タンパク質である(Farley及びMagnusson、2005)。TNALPに対する特異的な炭水化物構造は同定されなかったが、配列の試験により、酵素がN−結合型グリコシル化のための5つの推定上の部位を有することが示され、生化学試験により、N−結合型炭水化物及びO−結合型炭水化物の両方についての証拠が示された(Nosjeanら、1997)。より以前のこれらの見解と一致して、sTNALP−FcD10の電気泳動移動及びPNGAse Fに対するその感受性により、それもまた高N−グリコシル化タンパク質であることが示唆される。血清中の可溶性TNALPは、骨芽細胞の外表面にGPIアンカータンパク質として存在するTNALPと同様に、酵素の総重量の20%以下を含む炭水化物を有する高グリコシル化タンパク質である(Farley及びMagnusson、2005)。
【0103】
非還元条件下でSDS−PAGEを繰り返した際、sTNALP−FcD10の見かけの分子質量が200,000であることが判明し(図5のDTT−)、それは、天然で未変性のTNALP等のホモ二量体の見かけの分子質量と一致していた(Millan、2006)。このホモ二量体は、2つの単量体Fc領域の間の2つのジスルフィド架橋の形成から生じ得る(図5の右上のパネル)。
【0104】
次に、150mM NaCl(20mMトリスpH7.5緩衝液)で平衡化したSephacryl(商標)S−300(GE Health Care)のカラムでサイズ排除FPLCクロマトグラフィーを用いて、天然条件下における精製sTNALP−FcD10の分子質量を評価した。事前に、標準タンパク質キット(HMW較正キット、GE Health Care)でカラムを較正した(図5の左下のパネル)。
【0105】
回収したクロマトグラフィー画分を、アルカリホスファターゼ酵素活性及び各ピークの物質についてアッセイした。驚くべきことに、前記物質の78%は370kDaのタンパク質に対応する位置で溶出しており(図5の左下のパネル)、それにより、CHO細胞において産生される天然sTNALP−FcD10組換え酵素についての四量体形態が示唆された。Sephacryl S−300カラムからの画分を活性について試験した際、酵素活性の全てが370kDaの画分と関連していた。残留物質の分子量は非常により高かったが、このことは、いくつかのsTNALP−FcD10凝集体の形成を示していた。後者が共に四量体を維持する非共有結合を破壊するためSDS−pageで観察することができない四量体形態と、凝集体形態との両方を、還元条件下でSDS−PAGEにより見かけの分子量が90,000のsTNALP−FcD10単量体として分解し(DTT+、図5の右下のパネル)、非還元条件下で見かけの分子量が200,000の二量体として分解した(DTT−、図5の右下のパネル)。組換えsTNALP−FcD10は、2つのsTNALP−FcD10ジスルフィド結合二量体の非共有結合性会合によって形成される酵素的機能性ホモ四量体から主になると思われる。
【0106】
限定されたパパイン消化により、sTNALP−FcD10の四量体構造を更に試験した(図6〜8)。このプロテアーゼは、ヒンジ領域の近くにあり、且つ、ジスルフィド結合のN末端側のIgG重鎖を切断し、それにより単量体Fabフラグメント及び二量体ジスルフィド結合Fc二量体の全体を作製することが知られている。したがって、sTNALP−FcD10の消化により、酵素的活性sTNALP二量体は、無損傷Fcドメインから遊離されることになる(図6参照)。
【0107】
400μgのsTNALP−FcD10を含むアリコートを、250μMジチオトレイトールを含有する20mMリン酸緩衝液(pH7.0)中で208mUのパパインアガロース(Sigma)により消化させた。緩やかな撹拌下で、37℃で1時間消化を進行させた。遠心分離によりパパインアガロースビーズを除去させることによって、反応を停止させた。それらの条件では、インキュベーションの最初の4時間においてsTNALP−FcD10酵素活性の著しい低下は認められなかった。次に、パパインアガロースの存在下又は非存在下で1時間インキュベーションしたsTNALP−FcD10を、非変性条件でTSK−Gel G3000WXL(Tosoh Bioscience)によるSEC−HPLCによって解析した。
【0108】
図7は、見かけの分子量370kDaで溶出する主な産物が、パパイン消化の1時間後には認められなかったことを示す。それらの条件において、パパイン消化により、それぞれ135kDa及び62kDaの2つの主要フラグメントが作製される。また、35kDaの分子量のマイナーピークも認められた。
【0109】
還元SDS−PAGE条件(DTT+、図8)の下で、パパインが投与されていない試料の産物を、単量体sTNALP−FcD10に対応することが既に示された主要なバンドに分割した(102kDa)(DTT+、パパイン−)。ウェスタンブロットにおいて、このバンドを、TNALPとIgG1分子のFcドメインとの両方に対する抗体で実際染色することができる(図示せず)。パパイン消化の後、このバンドは、以下の2つの主要なフラグメントに切断される。1)抗Fc抗体に結合するが抗TNALP抗体には結合せず、FcD10フラグメントに対応することが提唱されている32kDaのバンド;及び、2)抗ALP抗体で染色され得るが抗Fc抗体では染色され得ず、したがってTNALPエクトドメイン単量体に対応すると考えられる、幅広く、且つ、拡散したタンパク質バンド(66〜90kDa)。この物質の不均質性は、おそらくそのグリコシル化に起因するものであり、なぜならば、それがペプチド−N−グリコシダーゼFによる消化によって還元され得るからであり、それはまたその見かけの分子質量を52kDaにまで減少させる(結果は示さず)。
【0110】
非還元条件(DTT−、図8)の下で、パパインを含まずにインキュベーションされたsTNALP−FcD10は、SDS−Pageにおいて216kDaのタンパク質として移動することが分かった(DTT−、パパイン−、図8)。また、ウェスタンブロット法により、このタンパク質がTNALP部分及びFc部分の両方のエピトープを含むことが示される。(結果は示されない)。この分子種は、ジスルフィド結合したsTNALP−FcD10二量体からなることが既に提唱された。非還元条件(DTT−、パパイン+)の下でのパパイン切断によって、還元条件下の場合と同様に2つの主要フラグメントが作製される。ウェスタンブロットにおいて、55kDaのフラグメントは、抗Fc抗体で染色することができるが、抗TNALP抗体で染色することはできない。このフラグメントは、天然の条件でSEC−HPLCにより観察された62kDaの種とほとんど同一であり、ジスルフィド結合したFc二量体に対応することが提唱されている。他の主要な種は、還元条件下で観察される主要なタンパク質バンド(66〜90kDa)と共に移動する。このことは、それがTNALPエクトドメイン単量体から構成されることと一致している。非変性条件でHPLCにより解析する場合、これらの単量体は、135kDaの種としてSECカラムから溶出する酵素的活性TNALP二量体において非共有結合的に会合する。
【0111】
(例4)
ヒドロキシアパタイトに対するsTNALP−FcD10タンパク質及びウシ腎臓sALPの親和性の比較
また、以下の手順を用いて、ヒドロキシアパタイトに対する精製sTNALP−FcD10タンパク質の親和性を、ウシ腎臓(組織非特異性)可溶アルカリホスファターゼ(Calzyme)と比較した。ウシ腎臓TNALPが市販されていたので、それをヒト骨TNALPの代わりに使用した。まず、1M HClでヒドロキシアパタイトセラミックビーズ(Biorad)を可溶化し、その溶液を10N NaOHでpH7.4にすることによりミネラルを沈殿させた。100μLの150mM NaCl(80mMリン酸ナトリウム、pH7.4)緩衝液において5μgのタンパク質で750μgのミネラルを含有するミネラル懸濁液のアリコートをインキュベーションすることによって、この再組成ミネラルへの結合を行った。試料を、回転輪上に30分間21±2℃で維持した。低速遠心分離によってミネラルを遠沈し、ミネラルペレット及び上清の両方において得られた総酵素活性を測定した。図9は、sTNALP−FcD10が、ウシ腎臓TNALPよりも、再組成ヒドロキシアパタイトミネラルに効率的に結合することを明確に示している。更に、アッセイにおいて導入されたほとんどの組換えsTNALP−FcD10タンパク質量を、結合画分及び非結合画分の両方において得られた酵素活性を合計することによって得た。このことは、再組成ミネラル相への組換えタンパク質の結合によってその酵素活性が著しく変化しないことを示す。
【0112】
(例5)
マウスモデル
相同組換え(Narisawaら、1997;Feddeら、1999)によりNeoカセットをマウスTNALP遺伝子(Akp2)のエクソンVIに挿入することによって、Akp2−/−マウスを作製した。この突然変異によってAkp2遺伝子の機能的不活性化が引き起こされ、これらのノックアウトマウスにおいてmRNAもTNALPタンパク質も検出され得なかった(Narisawaら、1997)。表現型的に、Akp2−/−マウスは、重症小児性HPPを模倣する。これらのマウスは、出生時には明らかな低ホスファターゼ血症の表現型を有さず、通常6日目又はその頃に骨格の欠損が発現し、その後悪化する。それらのマウスは、くる病により発育が阻害され、てんかん発作及び無呼吸を発現し、出生後12〜16日目の間に死亡することが報告された。HPP患者と同様に、Akp2−/−マウスは、TNALP活性の全身的不足、ALP基質(PPi、PLP及びPEA)の内因的蓄積、による低リン血症を特徴とし、くる病又は骨軟化症につながる骨格基質ミネラル化の欠損を患う(Feddeら、1999)。
【0113】
どのようにしてアルカリホスファターゼの不足がヒト及びマウスにおける疾患の神経病学的発現を生じさせ得るのかについて理解するためには、CNSにおけるビタミンB6の役割及び代謝について検討する必要がある。ビタミンB6は、神経伝達物質(γ−アミノ酪酸(GABA)、ドーパミン及びセロトニン)の生合成に関与するものを含む少なくとも110種の酵素の補因子としての役割を果たす重要な栄養素である。ビタミンB6は、3種の遊離型(又はビタマー)、即ち、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)及びピリドキシン(PN)に見出すことが可能であり、それらの全ては対応する5’−リン酸誘導体(PLP、PMP及びPNP)にリン酸化され得る(Jansonius、1998)。リン酸基の除去は、ALPの機能であり、主にTNALPイソ酵素の機能である(Whyte、2001)。脱リン酸化ビタマーのみが細胞内に輸送され得ることから、低ホスファターゼ血症におけるTNALP活性の低下により、血漿中PLPの著しい増加(Whyteら、1985;Whyte、2001)と、GABAの脳内濃度の減少につながる末梢組織及び中枢神経系におけるPLPの細胞内の不足とが生じる。また、これらのマウスに認められたてんかん発作は、PLPの不足によるグルタミン酸脱炭酸酵素機能不全の結果として生じるという仮説が立てられている(Waymireら、1995)。
【0114】
ピリドキシンの補充により、Akp2−/−マウスのてんかん発作が抑制されるが、出生後18〜22日目まで数日間寿命が延びるだけである(Narisawaら、2001)。故に、本研究における全ての動物(種畜、授乳雌、幼獣及び離乳子畜)には、ピリドキシンの濃度を増加(325ppm)させた、改変された実験室用齧歯類食餌5001を自由に供した。
【0115】
ヘテロ接合体の交配によって、Akp2−/−マウス(12.5%C57BL/6〜87.5%129Jハイブリッドバックグラウンド)を維持した。動物(その幼獣を伴う種畜対又は授乳雌)を、自動潅水システムを備えた、換気が行われる固形底のプラスチックケージに収容した。全ての動物には、325ppmのピリドキシンを有する改変された実験室用齧歯類食餌5001(番号48057、TestDiet(商標))を自由に供した。食餌中の混入物(例えば、重金属、アフラトキシン、有機リン化合物、塩化炭化水素、PCB)の最大許容濃度は、製造業者により保証された。治験薬の毒性に影響を及ぼす既知の混入物は、食餌材料中に存在しなかった。
【0116】
(例6)
WTマウスに注射されたsTNALP−FcD10の薬物動態及び組織分布
血液試料の採取
血液試料をヘパリンリチウムチューブ(VWR、番号CBD365958)内に採取し、最高で20分間氷上に置き、その後室温で10分間、2500gで遠心分離した。少なくとも、15μLの血漿を0.5mLチューブ(Sarstedt、番号72.699)内に移し、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。可能な場合、別の50μL以下の血漿を0.5mLチューブ内に移し、65℃で10分間不活化し、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。いずれの残留血漿も15μLのアリコートにプールし、液体窒素中で凍結し、アッセイするまで−80℃で保持した。
【0117】
血漿中sTNALP−FcD10の決定
血漿試料中のsTNALP−FcD10の存在について、比色酵素アッセイを用いて投与完了時に評価した。吸光度の増加が産物への基質転化率に比例する色素原基質を用いて、酵素活性を決定した。10μLの希釈血漿試料を添加した0.5mM MgCl2及び50μM ZnCl2を含有する100μLの50mM NaCl緩衝液(20mMビス−トリスプロパン(HCl)pH9緩衝液)において反応を行った。反応を開始するために、ALP基質のp−ニトロフェニルを、1mMの終濃度で最後に添加した。Spectramax(商標)190(Molecular devices)プレートリーダを用いて、20分間に亘って45秒毎に405nmで吸光度を記録した。隣接する8つの読取値に最も急な勾配を適用することにより、初期反応速度として表したsTNALP−FcD10酵素活性を評価した。治験薬の濃度を変化させて標準液を調製し、例1において先に記載したように酵素活性を決定した。標準液の量の対数の関数としての初期速度の対数をプロットすることによって標準曲線を作成した。異なる血漿試料のsTNALP−FcD10濃度を、それぞれの酵素活性を用いて標準曲線から直接読み取った。
【0118】
血漿中PPiの決定
既に記載したように、6−ホスホ[6−3H]グルコネートの反応生成物からのUDP−D−[6−3H]グルコース(Amersham Pharmacia)の活性炭上の示差吸着を用いて、心臓穿刺から得た血清中のPPiの循環値を測定した(Johnsonら、1999)。
【0119】
sTNALP−FcD10の半減期及び組織分布
成体WTマウスにおいて、マウスに注射したsTNALP−FcD10の半減期及び組織分布を決定した。図10は、成体WTマウスへの5mg/kgの単回ボーラス静脈内注射の後の、その薬物動態及び組織分布をまとめたものである。
【0120】
最高1μg/g骨(湿重量)の骨において[125I]標識sTNALP−FcD10が蓄積した血液において、半減期は34時間であった。この半減期は、報告された不成功の臨床試験において既に観察されたものと同等である。実験中に放射標識sTNALP−FcD10の有意な低下は認められなかったので、骨をターゲティングした物質の濃度は非常に安定的であると思われた。筋肉中の放射標識酵素の量が、血液中のsTNALP−FcD10酵素活性の量と平行して減少したことから、sTNALP−FcD10の蓄積は筋肉中に認められなかった。
【0121】
新生児マウスにおいて。Akp2−/−マウスが12〜16日目の間に死亡し、かかる若いマウスに静脈内注射は適当でないことから、3.7mg/Kgの投与量を用いて、WT新生児マウスにおいて腹腔内経路及び皮下経路を用いて、血清中のsTNALP−FcD10の薬物動態解析を繰り返した。注射部位における予測不可能な損失につながる腹腔内の高圧のため、腹腔内経路は適切でないことが分かった(図11A)。図11BのPK実験に示すように、皮下経路は、新生児マウスにおいて再現性がより大きかった。下記の表2に、新生児マウス及び成体マウスにおけるsTNALP−FcD10の薬物動態パラメータを報告する。
表2:新生児WTマウスにおけるsTNALP−FcD10の薬物動態パラメータ
【表2】
【0122】
これらのPKデータを、WinNonlin(商標)ソフトウェア(Pharsight Corporation、Mountain View、CA)によって解析し、それを、毎日の反復皮下注射の後に達成されるsTNALP−FcD10の循環血中濃度を予測するために用いた。循環sTNALP−FcD10は、それぞれ26.4及び36.6μg/mLであるCmin値とCmax値との間で変動する定常状態の血清中濃度に達した(図12)。定常状態は、1日用量10mg/kgを5〜6回投与した後に達成された。
【0123】
1日量10mg/kgのsTNALP−FcD10の注射を5回行った後、予測妥当性を実験的に試験した。注射日にマウスの遺伝子型を識別することはできなかった。試験されたマウスの中で、どのマウスがヘテロ接合で、どのマウスがホモ接合であったのかは、後で決定した。全ての異なる遺伝子型の行動に差は認められなかった。最後の注射の24時間後、即ち6日目(Cmin)に、循環ALP活性を測定した際、実験の濃度と予測濃度との間に良好な一致が認められた(図13)。投与を受けなかったこれらの5日齢の動物において、血清中TNALP濃度は、0.58μg/mLであった。これらの濃度は、年齢と共に低下することになる。したがって、注射の投与計画によって、通常のTNALP濃度よりも約50倍高いsTNALP−FcD10の定常状態の血清中濃度への増加が可能になったことが算出された。
【0124】
(例7)
ボーラス静脈内投与の後の成体WTマウスの骨におけるsTNALP−FcD10の濃度
129J成体WTマウスに、投与量5mg/kgでsTNALP−FcD10を静脈内投与した。T=25時間での骨におけるsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:0.64μg/g;脛骨:1.33μg/g;及び大腿骨:1.37μg/g、平均濃度:1.11μg/g。ラットにおいて、骨組織は総質量の16.3%である。この割合もまたマウスにおいて明らかにされることが期待される。この実験に使用するマウスの体重は18.4gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約18.4g×0.163=3.00gだった。骨組織のsTNALP−FcD10の算出量は3.33μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(3.33μg/(5μg/g*18.4g))*100=4%だった。
【0125】
T=96時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:0.83μg/g;脛骨:1.33μg/g;及び大腿骨:1.63μg/g、平均濃度:11.26μg/g。この実験に使用するマウスの体重は17.8gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約17.8g×0.163=2.90gだった。したがって、マウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約3.66μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(3.66μg/(5μg/g*17.8g))*100=4%だった。
【0126】
(例8)
ボーラス皮下注射の15日後の新生児WTマウスの骨におけるsTNALP−FcD10の濃度
129J新生児のWTマウスに、投与量4.3mg/kgでsTNALP−FcD10を、総投与量65mg/kgで15日間毎日皮下投与した。T=24時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:6.45μg/g;脛骨:3.05μg/g;及び大腿骨:3.71μg/g、平均濃度:4.40μg/g。この実験に使用するマウスの体重は9.83gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約9.83g×0.163=1.60gだった。したがって、その際のマウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約7.04μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(7.04μg/(65μg/g*9.83g))*100=1%だった。
【0127】
T=168時間での骨のsTNALP−FcD10濃度は、以下の通りだった。頭頂骨:5.33μg/g;脛骨:1.37μg/g;及び大腿骨:1.88μg/g、平均濃度:2.86μg/g。この実験に使用するマウスの体重は14.0gだった。したがって、これらのマウスの算出骨組織重量は、約14.0g×0.163=2.28gだった。したがって、その際のマウス骨組織のsTNALP−FcD10の量は約6.52μgだった。したがって、骨組織における注射投与量の割合は、(6.52μg/(65μg/g*14g))*100=0.7%だった。下記の表3に、例7及び8の結果をまとめる。
表3:sTNALP−FcD10の平均濃度及び骨における注射投与量の割合
【表3】
(1)示された時間は、最後の注射からのものである。
【0128】
(例9)
Akp2−/−マウスにおけるHPPについての低用量(1mg/kg)のsTNALP−FcD10の短期(15日間)の有効性
sTNALP−FcD10の皮下注射を、1mg/kgを用いてAkp2−/−マウスにおいて15日間毎日行った。投与群は、19匹の同腹仔から構成された。Akp2−/−マウスには、媒体(N=13)又はsTNALP−FcD10(N=12)を投与した。対照は、15匹のWTマウス(1匹の同腹仔につき1匹)からなった。対照に対して注射を行わなかった。例6に記載したように、最後の注射の24時間後に血液を採取した。
【0129】
図14は、16日目の血清中の酵素活性が検出レベルをわずかに超えたに過ぎないことを示している。血清中のsTNALP−FcD10の値は低かったが、血清中PPi濃度を補正した(図15)。未投与のAkp2−/−マウスは、血清中PPi濃度が1.90±0.64μmol/mLだったのに対して、投与されたAkp2−/−マウスは、濃度が1.41±0.30μmol/mLであり、WTマウス(1.52±0.35μmol/mL)と同等だった。
【0130】
Akp2−/−動物における近位脛骨の成長板は、WT動物と比較して肥大領域の若干の拡幅を示した(図16の野生型との媒体の比較)。Akp2−/−マウスの株において以前になされた同じ観察(Hessleら、2002)は、くる病と一致する。sTNALP−FcD10を15日間投与した動物では、媒体(未投与)と比較して、骨端軟骨形態の正常化に向かう傾向が認められた(図17)。
【0131】
(例10)
Akp2−/−マウスのHPPについての高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の短期(15日間)の有効性
成長及び骨ミネラル化に対する、有意により高い用量のsTNALP−FcD10(8.2mg/kg)を用いた毎日15日間の皮下注射を評価するために、20匹の同腹仔からのマウス(合計で141匹のマウス)を用いた。それらを以下の2群に分けた。1)媒体が投与されたAkp2−/−マウス(N=19);2)sTNALP−FcD10が投与されたAkp2−/−マウス(N=20);更に1匹の同腹仔につき1匹のWTマウス(投与なし)(N=18)がいた。
【0132】
体重
Akp2−/−マウスの成長は、WTマウスよりも遅かった。1日目において、媒体動物、sTNALP−FcD10動物及びWT動物の間に体重の統計学的な差は認められなかった。しかしながら、1日平均体重は、6日目で相違した(図18)。WT(4.2±0.6g)及び媒体(3.7±0.7g)の間の差は、6日目に統計学的有意性に達した(p=0.0217)が、媒体(5.9±1.0g)及びsTNALP−FcD10を投与した場合の値(6.7±1.0g)の間の差は、11日目に統計学的有意性に達し(p=0.04)、逆に投与群のほうがWTよりも重かった。16日目において、投与動物(8.2±1.1g)及びWT(8.4±0.8g)の平均体重に統計学的な差はなかった。sTNALP−FcD10が投与された動物の体重は、媒体が投与された動物(6.6±1.4g)よりも統計学的に大きかった(p=0.026)。体重について、ERT群とWT群との間に有意差はいずれの時点においても認められなかった。
【0133】
骨長
この実験の終了時(16日目)、脛骨の長さは、Akp2−/−マウスにとっての骨格の有益性を示す更なる測定値を提供した。ERTの脛骨長は、12.6±0.7mmであり、媒体が投与された動物(11.7±1.1mm)より長かった(p=0.0135)(図19)。また、sTNALP−FcD10(9.2±0.4mm)群と媒体(8.6±0.8mm)群との間で大腿骨長を比較した際においても、統計学的な差が得られた(p=0.0267)。WTマウスと比較してERTの脛骨長又は大腿骨長に統計学的な差は示されなかった。脛骨及び大腿骨の成長の部分的維持(即ち、約2週齢で明らかに認められる骨成長の減少の部分的防止)は、剖検時に長さを測定することにより観察された(図19)。
【0134】
5匹以外の全ての動物において、16日目での投与を受けたAkp2−/−マウスの血漿中のsTNALP−FcD10の濃度は、検出可能であるが非常に多様であることが分かった(図20)。比較目的のために、正常動物の循環TNALP濃度を示す。
【0135】
骨ミネラル化
足及び胸郭のFaxitron(商標)画像のブラインド評価において、Akp2−/−マウスのミネラル化の欠損の重症度を2つの程度に区別した(図21)。重症に罹患したマウス(重症)には、指の骨(指骨)及び二次骨化中心の欠如が認められた。中等度に罹患した(中程度)マウスには、異常な二次骨化中心があったが、指の骨は全て存在した。WTマウス(健康)は、通常の構築物と共に存在する全ての骨構造を有した。後肢のX線画像も同様に、急性骨折又は慢性骨折のエビデンスが存在する場合には異常と、いずれの異常所見もない場合には健康と類別した(図21)。ERTは、重症の欠損を有するAkp2−/−マウスの数で記録された足のミネラル化の欠損をできる限り小さく抑え、それは、未投与群では5例だったが、ERT群では0例だった(図21の表)。カイ二乗は有意であったが(p≦0.05)、それは、ERTが後天性骨欠損の重症度を低下させたことを示している。重症に罹患した小児性HPP患者は、多くの場合、呼吸の支持を不可能にする肋骨のミネラル低下及び骨折により死亡するため、胸部も綿密に検討した。また、ERTは、重症の異形胸郭の発現率を減少させた(図21の表)。カイ二乗解析は、p≦0.025で有意だった。同様に、後肢は、全投与動物で健康であると思われた(図21の表)。カイ二乗解析は、p≦0.025で有意だった。
【0136】
歯の欠損
16日齢マウスからの下顎骨を、カコジル酸ナトリウム緩衝アルデヒド溶液中に終夜浸漬固定し、第一大臼歯、根元の切歯及び周囲の歯槽骨を含むセグメントに切断した。試料を、等級分けされたエタノール系で脱水し、アクリル(LR White)樹脂又はエポキシ(Epon812)樹脂のいずれかで浸潤し、その後55℃で2日間組織含有樹脂ブロックの重合を行った。薄切片(1μm)は、ダイヤモンドナイフを用いたウルトラミクロトームで切断し、ガラススライドに載置した切片を、1%の硝酸銀を用いてミネラルについて染色し(フォンコッサ染色、黒)、1%トルイジンブルーで対比染色した。比較組織学的解析のために、下顎骨までの(第一大臼歯の最も近心の根と同じレベルでの)前額面切片により、縦に切断された大臼歯と断面化された切歯とを得た。
【0137】
Akp2−/−マウスからの歯の組織学的検査により、野生型動物と比較して、象牙質組織のミネラル化は不十分であり、歯周靭帯と象牙質との間のセメント質はごくわずかしかないことが示される(図22、Akp2−/−媒体及びWT−正常の比較)。また、図22に、象牙質のミネラル化の修復及びセメント質の形成について示す(Akp2−/−投与vsWT−正常)。
【0138】
(例11)
Akp2−/−マウスのHPPについての高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の長期(52日間)の有効性
最終的に、Akp2−/−マウスの長期の生存及び骨ミネラル化を評価するために、sTNALP−FcD10(8.2mg/kg)又は媒体のいずれかを52日間毎日投与した(皮下注射)。
【0139】
マウスの生存期間、活動性及び外観
未投与のマウスは、生存期間の中央値が18.5日間だった(図23)のに対して、ERTでは生存期間が非常に増加し、この投与によってもまた、投与を受けたマウスの正常な活動性及び健康な外観は維持された(図24)。
【0140】
骨ミネラル化
16日齢のAkp2−/−マウスの足のX線写真は、前記疾患の特質である二次的な骨形成の欠損を示した(図25参照)。これらの欠損は、46日間又は53日間のsTNALP−FcD10の1日用量によって、全投与マウスにおいて予防された(図25)。
【0141】
ALP活性
53日後に投与を受けたAkp2−/−マウスにおいて血漿中ALP活性レベルを測定した。図26は、ほとんどの値が1〜4μg/mLのALP活性だったことを示している。しかしながら、3匹の動物のALP濃度は検出することができなかった。
【0142】
興味深いことに、sTNALP−FcD10の定常状態の血清中濃度が達成可能なWTマウスと異なり、投与を受けたAkp2−/−マウスにおいて測定されたALPの血清中濃度は、ばらつきが大きかった。
【0143】
(例12)
Akp2−/−マウスにおけるsTNALP−FcD10の異なる投与間隔の長期間の有効性
新生児Akp2−/−マウスに、毎日4.3mg/kg(Tx−1)、3日毎に15.2mg/kg(Tx−3)又は7日毎に15.2mg/kg(Tx−7)のsTNALP−FcD10を注射した。投与を43日間行い、44日目、即ち最後の注射の24時間後にマウスを屠殺した。それらのマウスの生存期間及び骨格のミネラル化のあらゆる向上を評価するために、それらのマウスのモニタリングを行った。
【0144】
マウスの生存期間
投与を受けたマウスの生存期間は、媒体が注射されたマウスと比較して増加した(図27)。この増加は、統計学的に有意だった(p<0.0001)。投与群の生存曲線をそれら自身の間で比較した際、統計学的な有意差はなかった。
【0145】
骨ミネラル化
A)各投与について、足のX線写真を解析し、正常と異常とに区分した。下記の表4に、数及び割合(括弧内)を示す。23日目及び試験終了時(23〜45日目)に骨ミネラル化の欠損について評価した。
表4:足のX線写真の区分
【表4】
B)
【表5】
【0146】
試験の中間において、3日毎に15.2mg/kgで投与したsTNALP−FcD10によって、79%のマウスにおいて骨ミネラル化の欠損が正常化した。この正常化の率は、7日毎に15.2mg/kgを投与したマウスで評価した正規化の率50%と比較した場合、統計学的有意性に近かった(カイ二乗;p=0.0596)。他のいかなる相互投与比較も、統計学的に有意でなかったか、若しくは有意性に近くなかった。
【0147】
試験終了時、正常化のパーセントは、23日目に評価した正常化のパーセントと比較して、全ての投与群において改善した。全てのsTNALP−FcD10投与の中の分布を比較するカイ二乗検定は、有意でなかった(p=0.1844)。3日毎に投与されたマウスで認められた正常化の100%の率は、毎日投与されたマウス(83%、p=0.0634)又は7日毎に投与されたマウス(85%、p=0.0789)における率と比較した場合、統計学的有意性に近かった。
【0148】
しかしながら、全投与群において、23日目で異常と分類された動物の有意な比率は改善し、試験終了時には正常になった。毎日投与群において6匹の動物のうちの3匹が正常化し;3日毎に投与されたマウスにおいて4匹のうちの4匹が改善し、最後に、毎週投与群において10匹のうちの7匹が正常になった。投与間隔を置くことによって満足な結果が提供されるが、最良の結果は、毎日投与した量が最も高かった場合に得られた。
【0149】
(例13)
15日齢のAkp2−/−マウスの高用量(8.2mg/kg)のsTNALP−FcD10の長期間の有効性
15日齢のマウスにおいて、例11に記載された通りの有効性の試験を行ったが、それは、足のX線写真で観察した場合の骨格の欠損を明示するために開始したものであった(例11、図25参照)。試験終了時までsTNALP−FcD10を投与した。生存期間、体重及び骨格のミネラル化についてのあらゆる改善を評価するために、動物のモニタリングを行った。
【0150】
マウスの生存期間
15日目で開始した8.2mg/kgのsTNALP−FcD10のAkp2−/−マウスへの毎日の注射により、媒体が注射されたマウスと比較して、生存期間は増加した(図28)。この増加は、統計学的に有意だった(p<0.05)。
【0151】
体重
試験開始時、体重の有意差は群間に認められなかった(図29)。投与の初めは(15日目)、Akp2−/−マウスの体重は野生型動物よりも小さかった。媒体が注射された動物の体重は減少し続けたが、一方で、sTNALP−FcD10が投与されたAkp2−/−マウスは、投与開始の4〜5日後に体重の増加が始まり、試験終了時まで体重の増加が続いたが、野生型動物の値には達しなかった。この体重増加は、sTNALP−FcD10が投与された動物の健康の改善を示唆している。
【0152】
骨ミネラル化
各投与について、足のX線写真を解析し、正常と異常とに区別した。表5に、数及び割合(括弧内)を示す。剖検時にX線写真を撮影した。
【0153】
剖検時に撮影された足のX線写真から認められるように、出生後15日目に開始したAkp2−/−マウスへの毎日8.2mg/kgのsTNALP−FcD10の投与によって、ミネラル化は改善した。正常動物は、Akp2−/−マウスの媒体注射群において12%であったのと比較して、sTNALP−FcD10投与群において41%であった。この差は、ほとんど統計学的有意性(カイ二乗検定におけるp=0.0645)に達した。
表5:足のX線写真の分布
【表6】
【0154】
(例14)
Akp2−/−マウスの救出に対するsTNALP−FcD10の異なる投与間隔の長期の有効性
マウスに、12日目において投与を開始し、8.2mg/Kgの媒体(RV)を毎日46/47日目まで皮下注入(RTx−1)した後、又は、8.2.mg/Kgを毎日7日間注入した後、3日毎に24.6mg/Kg(RTx−3)又は7日毎に57.4mg/Kg(RTx−7)を注射した。生存期間の中央値は、RVマウスについては19.5日間、RTx−7マウスについては21.0日間、RTx−3マウスについては30.5日間、及びRTx−1マウスについては37.5日間であった。全例において、媒体投与群と比較した場合、生存期間は統計学的に増加した。既知の低ホスファターゼ血症のAkp2−/−マウスにおいて、ERTの明確な有益性が認められる。毎日よりも少ない投与によっても、生存期間を統計学的に増加させると思われる。
【0155】
(例15)
幼若Sprague−Dawleyラットにおける最大耐量の静脈内注射の毒性試験
本試験の目的は、治験薬(sTNALP−FcD10)の最大耐量(MTD)及び毒性を決定した後、静脈内注射によって幼若Sprague−Dawleyラットに反復投与を行うことであった。例15〜18において、使用するsALP−FcD10は、図3に具体的に記載されているものである。
【0156】
下記の表6に記載されるように、静脈内注射によって4週間、1週間に1回、幼若Sprague−Dawleyラット(開始時に22日齢〜24日齢)にsTNALP−FcD10を投与した。
表6:試験デザイン
【表7】
【0157】
試験の全体に亘って、死亡率、体重及び臨床状態について動物のモニタリングを行った。全ての動物において、血液学的検査、凝固系検査及び臨床化学検査の評価を行った。定期に、ラットを安楽死させ、剖検を行った。各動物について、選択された組織の試料を保持し、組織学的処理を行い、顕微鏡検査を行った。
【0158】
本試験において死亡は認められず、治験薬に関連する凝固系パラメータ又は器官重量の変化は認められなかった。特に、高用量の雄の体重が低用量の場合よりも約10%下回ったが、このことは、投与に関連する効果を示唆している。
【0159】
1回目の投与の際、群1及び2の動物に臨床徴候は認められなかった。しかしながら、群3及び4の動物において、動物は投与後直ちに弱くなったように見え、群4の一部の動物は、軽度から中等度の活動性の低下を示した。また、その2つの群では、四肢の皮膚変色(赤色又は青色の外観)を伴う肢、耳介及び鼻口部の軽度な腫脹も認められた。群4の動物において認められた他の臨床徴候としては、過度の引掻き行動、立毛及び過呼吸が挙げられた。
【0160】
2回目の投与の際(8日目)の群1及び2の動物について記録された臨床徴候は、四肢の皮膚変色(赤色又は青色の外観)を伴う肢、耳介及び鼻口部の腫脹だった。また、同じ群の動物については、3回目及び4回目の投与の際(15及び22日目)についても同様の皮膚腫脹の臨床徴候が記録された。4回目の投与の際(22日目)、群1の雌に軽度の活動亢進が認められたのに対して、群2の雄に活動低下が認められた。群3及び4の動物については、1回目の投与の場合から4回目にかけて投与が進行するにつれて、運動活動性の低下、立毛、過呼吸、並びに皮膚着色を伴う肢、耳介及び鼻口部の腫脹の臨床徴候がよりはっきりと認められるようになった。これらの臨床徴候は、投与に関連するものであったと考えられる。16〜19日目及び23日目において、軽度の腫脹及び耳介の皮膚着色(赤色の外観)が1匹の動物(群1)に認められた。同様の臨床徴候は、23日目において別の動物(群2)に認められた。
【0161】
前記臨床徴候は急性であり、投与が進行するにつれて重症度は大きくなったが、それらは一過性だった。全ての臨床徴候は、治験薬(sTNALP−FcD10)の投与後50分以内に出現し、一部の動物は約30分間〜2時間以内に回復した。他の動物については、翌朝(次の予定の観察時)において完全に回復した。
【0162】
バックグラウンド値と比較して、最後の投与量の後に測定された血小板数(PLT)の投与に関連する低下が、全ての投与群からの雄及び雌について認められた。3つの最高の投与レベルが投与された動物においては、主にその割合だけでなく、網状赤血球の絶対数の増加も一般に認められた。
【0163】
血清中のアルカリホスファターゼの濃度は、希釈後であっても、分析機器によって定量され得たものよりも高かった。低用量の雌について得ることができた結果は、バックグラウンドの範囲よりも非常に高かった。これは、治験薬が活性修飾ALPであることから期待されたものである。
【0164】
群3の6匹の動物のうちの3匹(2匹の雄/1匹の雌)及び群4の6匹の動物のうちの4匹(2匹の雄/2匹の雌)に、腺胃の暗色の病巣/領域及び/又はへこみが肉眼で認められた。
【0165】
全体の結果の相関を取ると、群3の6匹の動物のうちの3匹(2匹の雄/1匹の雌)及び群4の6匹の動物のうちの4匹(2匹の雄/2匹の雌)に、粘膜下浮腫に関連する場合がある軽微〜軽度の腺胃のびらん/潰瘍が顕微鏡によって認められた。
【0166】
結論として、幼若Sprague−Dawleyラットへの1週間に1回のsTNALP−FcD10の4週間の静脈内注射は、試験された投与レベルのいずれにおいても死亡は引き起こさなかったが、有害な臨床徴候、軽度の血液学的検査値の変化、並びに90及び180mg/kgの投与レベルで粘膜下浮腫に関連する場合がある腺胃のびらん/潰瘍形成を引き起こした。
【0167】
試験された2つの最低の投与レベル(10及び30mg/kg)での治験薬の投与に関連した変化は、投与日に明らかに認められた一過性の臨床徴候のみに限定された。臨床徴候は、90mg/kgの投与レベルでより重症だったが、それらも一過性だった。180mg/kgが投与された動物に認められた臨床徴候はあまりに重症だったので、今後の試験におけるこの投与レベルの使用は阻止される。したがって、次のより長期の試験の最も高い推奨投与レベルは90mg/kgである。
【0168】
(例16)
幼若カニクイザルにおける静脈内注射及び注入の最大耐量の毒性試験
この試験の目的は、幼若カニクイザルへの静脈内注射又は注入により1回投与する際のsTNALP−FcD10の最大耐量を決定することだった。下記の表7に示すように、治験薬の投与製剤を、漸増的に1回投与した。
表7:試験デザイン
*主要試験の動物にのみ46日目に投与を行った。
【表8】
【0169】
最後の投与後、試験から動物を解放した。試験中にモニタリングを行ったパラメータは、死亡、臨床観察、体重、食欲、毒物動態、血液学的検査値及び臨床化学検査値だった。
【0170】
死亡、有害な臨床徴候又は体重に対する影響は、試験中に認められなかった。
【0171】
投与量に比例したアルカリホスファターゼの著しい増加が、試験全体に亘って全ての動物に認められた。治験薬が合成アルカリホスファターゼだったことから、この増加は、主に各投与後の動物の血流中の薬剤の存在によるものだった。
【0172】
試験中にアラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加が3匹の動物に認められたが、剖検を行わなかったので、この所見の毒物学的な意義は不明である。
【0173】
sTNALP−FcD10の薬物動態についての特性を、サルへの5、15、45、90及び180mg/kgの単回静脈内投与後に十分に評価した。静脈内注射については、平均AUC∞値は、797〜2950mg・h/Lの範囲であり、平均Cmax値は、65〜396mg/Lの範囲であり、試験された投与範囲を超えていた。注入については、平均AUC∞値は、9410〜48400mg・h/Lの範囲であり、Cmax値は、1230〜7720mg/Lの範囲であり、試験された投与範囲を超えていた。
【0174】
sTNALP−FcD10の平均t1/2値は、sTNALP−FcD10の投与レベルの増加と共に減少すると思われた。sTNALP−FcD10の全身クリアランスは投与レベルに亘って相対的に一貫していたが、90mg/kg投与群は、他の投与レベルと比較した際に実質的により低いクリアランスを有し(約5倍)、薬物動態学的に異常値であると思われた。性別に関連する明らかな傾向は認められなかった。
【0175】
要約すると、回復的な血液化学的検査値の変化が試験中にいくつか認められたが、最高で180mg/kgのsTNALP−FcD10の静脈内注射/注入の忍容性は、幼若カニクイザルにおいて良好だった。故に、この試験の条件下で、最大耐量は少なくとも180mg/kgであると考えられた。
【0176】
(例17)
28日間の回復期間を伴う、幼若アルビノラットにおけるsTNALP−FcD10の4週間(1週間に1回)の静脈内注射の毒性試験
この試験の目的は、28日間の回復を伴う、少なくとも4週間連続で幼若ラットに静脈内注射することによって1週間に1回投与(合計4回の投与)されたsTNALP−FcD10の潜在的毒性を調査することだった。動物には、試験1、8、15及び22日目に投与を行い、回復期間は試験29日目から開始した。下記の表8に試験デザインを詳述する。
表8:試験デザイン
【表9】
【0177】
以下の評価を行った。臨床徴候(1日2回)、体重(順化期間中に1回、産後21日目から毎週)、摂食量(毎週)、眼科学的検査(投与終了時及び回復期間終了時)、血液学的検査(剖検時)、血清化学的検査(剖検時)、尿検査(29日目及び回復期間終了時)、骨代謝の生化学的マーカー:オステオカルシン(骨形成マーカー)及びC−テロペプチド(骨吸収マーカー)(計画された剖検の前の朝)、抗体評価(1日目及び剖検時)、治験薬血中濃度評価(16日目及び23日目)、骨密度計測(DXA、インビボで1日目の28匹の主要試験及び回復試験動物並びに14日目の56匹の回復試験動物、エクスビボでpQCTによる)、剖検時のX線撮影及び肉眼での観察、器官重量、及び組織検査。
【0178】
90mg/kg/回が投与された1匹の雄が試験25日目に死亡しているのが発見された。このラットについて重要な組織学的観察はなされていなかったため(それぞれ軽度及び軽微と類別された肺出血及び胸腺出血)、その死因についての病理学的調査に基づく決定はなされなかった。治験薬血中濃度評価のためにこの動物の採血を23日目に行ったが、22日目においては毒性についての証拠はなかったことから、この手順がその死亡に寄与した可能性があった。sTNALP−FcD10に関連する死亡或いは眼科学的検査、尿検査、骨形成マーカー(オステオカルシン)、器官重量、総体的病状、X線検査又は顕微鏡検査に対する影響はなかった。
【0179】
3、30及び/又は90mg/kg/回の群で認められたsTNALP−FcD10関連の臨床徴候は、急性の注入反応であると考えられる。それらとしては、投与の5、15、30及び/又は60分後でのケージの横での観察中における、部分的閉眼、筋緊張の低下、横臥、猫背姿勢、触診時の冷え、非協調運動、活動性の低下、異常歩行、及び/又は青色、赤色及び/又は後肢及び/又は前肢の硬い腫脹が挙げられた。これらの観察は、一過性のものであって、非投与日又は回復期間中には認められなかった。
【0180】
一般に、軽度の体重減少及び体重増加の傾向は、回復期間中の3、30及び/又は90mg/kg/回の群の雄について認められた。付属肢骨格の2種の骨(大腿骨及び脛骨)の骨の大きさに対する影響は、体重減少と相関していた。一般に、摂食量の減少は、体重減少と一致していた。体重は、sTNALP−FcD10が投与された雌についての対照と同等だった。
【0181】
一般に、90mg/kg/回で投与したsTNALP−FcD10は、対照群と比較した絶対好中球数、単球数及び/又は好酸球数の軽度減少に関連していた。更に、対照群と比較して、リンパ球数、血小板数及び絶対網状赤血球数の軽度上昇が認められた。回復期間終了時、これらの軽度の変化は、90mg/kgが投与された動物において依然として認められた。
【0182】
一般に、sTNALP−FcD10は、対照と比較して、全ての投与群においてアルカリホスファターゼの統計学的に有意の用量関連増加との関連があった。治験薬(アルカリホスファターゼ)の性質(他の肝酵素のいかなる変化もなく、組織病理学的相関がないこと)を考慮すると、これらの増加は、sTNALP−FcD10の循環値によるものである可能性がある。リンの軽度の統計学的に有意な増加が、4週目の間に90mg/kg/回でsTNALP−FcD10が投与された雄において認められたが、これは、血清中総カルシウムの有意でない増加と関連があった。回復終了時、これらの変化は、統計学的に有意なものを含めて、対照の値に戻った。
【0183】
4週間連続で最高90mg/kg/回で1週間に1回静脈内投与された幼若ラットにおいてsTNALP−FcD10に関連した器官重量、X線、肉眼又は顕微鏡による変化はなかった。投与完了後、28日間の回復を与えられたこれらの動物のサブセットにおいて同定される遅発性効果はなかった。
【0184】
対照よりも軽度に低い平均CTx値が、投与を受けた雌について認められた(90mg/kg/回で統計学的有意性を達成)。これらのより低い値は、骨密度解析と一致しておらず、雄について得られた結果とも一致していなかったため、これらの低下について、偶発的性質を除外することはできない。
【0185】
群間に認められた骨密度計測及び骨形状パラメータの大きなばらつきは、急激な成長相によるものであった。回復終了時、面積及びBMC(DXA及びpQCTによって評価される)は、投与を受けた雄で一般により低かったが、このことは、これらの動物の骨がより小さいことを示唆している。骨の大きさに及ぼす影響は、2つの異なる手法によって付属肢骨格の2種の骨(大腿骨及び脛骨)において認められたが、一貫した影響は、中軸骨格については認められなかった(頭殿長に影響しないことを示唆している)。面積及びBMCが減少したにもかかわらず、平均BMD値は一般に対照と同等だったが、このことは、BMC及び面積に及ぼす影響は、成長に及ぼす影響の次に大きいものであったことを示唆している。投与を受けた雄について、対照よりも体重が減少し、摂食量が減少したことは、これらのデータと一致している。しかしながら、回復時の小さな群の大きさ、性別に関する一貫性の欠如、並びにばらつきによって、これらの結果が複雑になったため、これらの減少について、偶発的性質を完全に除外することはできない。
【0186】
結論として、28日間の回復を伴う、幼若ラットへの3、30及び90mg/kg/回の投与量による少なくとも4週間連続での1週間に1回の静脈内注射によって、投与後最高60分間に認められた非協調活動性及び活動性の低下並びに足腫脹を含む一過性の注射関連の影響に関連した臨床徴候が生じた。90mg/kg/回で投与を受けた雄は、体重及び摂食量の軽度の減少を示したが、それらは、密度計測法によって評価した脛骨及び大腿骨が軽度により小さいことと相関していた。雌については、対照よりも軽度に低いC−テロペプチド濃度の平均値が得られた。血清中リン濃度は、軽度に、但し有意に、90mg/kg/回の群において増加した。血清中アルカリ性ホスファターゼ濃度の上昇は、sTNALP−FcD10の循環値によるものである可能性があった。sTNALP−FcD10は、投与期間中又は回復期間中、雌についての骨密度計測及び骨形状に対して有意味な影響も一貫性のある影響も及ぼさなかった。投与期間中、雄について、骨密度計測又は骨形状に対する生物学的に有意な影響は認められなかった。一般に、対照に対して、平均体重の低下に対応する骨密度計測(骨ミネラル含量及び/又はDXA及びpQCTによって評価される面積)及び骨形状パラメータの軽度の減少が、回復期間終了時に雄について認められた。全ての所見は、高用量の雄について継続した体重及び骨の大きさに対する効果を除いて、28日間の投与を行わない期間の後に回復した。投与終了時又は回復期間終了時に異所性石灰化のエビデンスはなかった。あらゆる投与レベルでのsTNALP−FcD10の投与に関連した、X線、肉眼又は顕微鏡による所見並びに器官重量の変化はなかった。注射反応は、一過性のものであり、3及び30mg/kg/回の群において毒性を評価するために用いられたいかなるパラメータに対するいかなる影響も生じさせなかったため、それは有害であるとは考えられなかった。90mg/kg/回の群において、この反応は、より重症であり、体重増加の低下、摂食量の減少、及び場合によっては骨成長の低下を伴ったため、この群における影響は有害であると考えられた。したがって、無毒性量(NOAEL)は、この試験において30mg/kg/回であると考えられた。
【0187】
(例18)
28日間の回復期間を伴う、幼若カニクイザルにおける4週間の静脈内注射の毒性試験
この試験の目的は、4週間の緩やかなボーラス静脈内注射によって1週間に1回投与した際の幼若カニクイザルにおけるsTNALP−FcD10の毒性及び毒物動態を決定すること、及び28日間の回復期間後のあらゆる変化の回復能を評価することだった。
【0188】
下記の表9に示すように、28日間の回復期間を伴う、1週間に1回、4週間、緩やかな静脈内ボーラス注射によって幼若カニクイザルに対照及び治験薬投与製剤を投与した。
表9:試験デザイン
【表10】
*群1の動物に、媒体/対照薬(25mMリン酸ナトリウムpH7.4(150mM NaCl))を投与した。
【0189】
最後の投与(22日目)の後、主要試験の動物を29日目に安楽死させたが、一方で残りの回復試験の動物を更に28日間観察し、その後57日目に安楽死させた。主要試験及び回復試験の全ての動物の剖検検査を行った。
【0190】
試験中又はその終結時に行った評価としては、死亡、臨床状態、体重、食欲、身体測定値、骨発育のX線撮影評価、眼科学的検査、心電図検査、毒物動態、免疫原性、血液学的検査、凝固系検査、臨床化学検査、尿検査、骨代謝のバイオマーカー、器官重量、エクスビボでの骨ミネラル密度解析、総体及び組織検査が挙げられた。
【0191】
試験中に、死亡も、投与に関連する有害な臨床観察も認められなかった。
【0192】
投与終了時及び回復期間終了時に記録された身体測定値に基づいて、頭蓋外周或いは上腕骨、前腕、脛骨又は骨盤肢の長さに顕著な群間差はなかった。
【0193】
いずれの投与レベルにおいても、治験薬の投与に関連した体重の変化も摂食量の変化もなかった。いずれの投与レベルにおいても、治験薬に関連した眼科的所見又は心電図グラフ的所見はなかった。いずれの投与レベルにおいても、治験薬の投与に関連した血液学的検査、赤血球形態検査、凝固系検査又は尿検査の変化はなかった。投与期間中又は回復期間中、臨床生化学パラメータにおいて毒性学的に有意な変化はなかった。アルカリホスファターゼの軽度〜顕著な用量関連増加が、投与期間全体に亘るほとんどの評価の場合において、全ての治験薬投与動物において認められた。一般に、アルカリホスファターゼ濃度は、回復期間の終了までに対照値とほとんど同等になった。治験薬が合成アルカリホスファターゼであることから、この増加は、主に各投与後の動物の血流中の薬剤の存在によるものであり、したがってこれらの増加は有害でないと考えられた。
【0194】
投与期間及び回復期間の終了時、絶対的又は相対的な器官重量に顕著な群間差は認められず、肉眼による又は顕微鏡による治験薬関連の所見もなかった。認められた組織学的変化は、偶発的所見、この種の共通のバックグラウンドの所見、又は実験的な操作のなんらかの側面に関連する所見のいずれかであると考えられた。生殖器官は、一般に未成熟であったが、この年齢のサルについて正常であると考えられた。
【0195】
結論として、4週間の回復期間を伴う、0、5、15及び45mg/kgの投与レベルでの雄及び雌のカニクイザルへの4週間のsTNALP−FcD10の毎週の静脈内注射は、いずれの投与レベルでも毒性の証拠はなかった。故に、高投与レベル(45mg/kg)は、この試験において無毒性量(NOAEL)であると考えられた。
【0196】
(例19)
ヒトについての最大推奨初回用量の決定
無毒性量(NOAEL、Guidance for Industry and Reviewers、2002年12月を参照すること)を確立することによって、ヒトについての最大推奨初回用量(MRSD)を算出する。皮下に毎日1mg/kg、5mg/kg及び8.2mg/kg;3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、45mg/kg、90mg/kg及び180mg/kgを含む上記の製剤の各種濃度を、マウス、ラット及びサルで試験した。最も感受性が高い種(即ちラット)のNOAELは、30mg/kgだった。
【0197】
ラットからヒトへの変換係数6を提供する公表された変換表を使用して、この用量をヒト等価用量(HED)に拡大した。その種についての30mg/kgのNOAELは、ヒトについての5mg/kgと同等である。
【0198】
この値(5mg/kg)を安全係数10で割った。したがって、算出されたMRSDは0.5mg/kgである。したがって、60kgの平均的な体重のヒトについては、1週間に30mgの用量、又は毎日4.28mgの1日用量を、臨床試験を開始するために注射することが可能であった。
【0199】
本発明は、その特定の実施形態によって以上に記載されたが、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されている主題発明の精神及び本質から逸脱することなく改変することができる。
【0200】
(参考文献)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
Z−sALP−Y−スペーサー−X−Wn−V
を有するポリペプチドを含む骨標的アルカリホスファターゼ
(配列中、sALPはアルカリホスファターゼの細胞外ドメインであり、
Vは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Xは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Yは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Zは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Wnはn=10〜16のポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸である)。
【請求項2】
sALPが配列番号15のアミノ酸残基23〜508を含む、請求項1に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項3】
sALPが配列番号15のアミノ酸残基23〜512からなる、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項4】
sALPが配列番号18のアミノ酸残基23〜508を含む、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項5】
sALPが配列番号18のアミノ酸残基23〜512からなる、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項6】
sALPが配列番号16のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項7】
sALPが配列番号16のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項6に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項8】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項6に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項9】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項8に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項10】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項8に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項11】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項10に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項12】
sALPが配列番号8のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項10に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項13】
sALPが配列番号8のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項12に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項14】
スペーサーがフラグメント結晶化可能領域(Fc)を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項15】
FcがCH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む請求項14に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項16】
Fcが、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである、請求項14又は15に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項17】
Fcが免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである、請求項16に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項18】
Fcが配列番号3に記載の通りである、請求項14から17までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項19】
Wnがポリアスパラギン酸である、請求項1から18までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項20】
n=10である、請求項1から19までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項21】
Zが不在である、請求項1から20までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項22】
Yが2つのアミノ酸残基である、請求項1から21までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項23】
Yがロイシン−リシンである、請求項22に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項24】
Xが2つのアミノ酸残基である、請求項1から23までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項25】
Xがアスパラギン酸−イソロイシンである、請求項24に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項26】
Vが不在である、請求項1から24までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項27】
前記ポリペプチドが配列番号4に記載の通りである、請求項1に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項28】
前記ポリペプチドを二量体を含む形で含む、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項29】
前記ポリペプチドを四量体の形で含む、請求項1から28までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項30】
薬学的に許容可能な担体中に存在する、請求項1から29までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項31】
薬学的に許容可能な担体が生理食塩水である、請求項30に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項32】
凍結乾燥された形の、請求項31に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項33】
約0.2〜約20mg/kgの1日投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項34】
3日毎に投与される約0.6〜約60mg/kgの投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項35】
約1.4〜約140mg/kgの1週投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項36】
約0.5mg/kgの1週投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項37】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸。
【請求項38】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列からなる単離された核酸。
【請求項39】
配列番号17に記載の配列を含む単離された核酸。
【請求項40】
請求項37から39までのいずれか一項に記載の核酸を含む組換え発現ベクター。
【請求項41】
請求項37から39までのいずれか一項に記載の核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項42】
請求項40又は41に記載のベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた、単離された組換え宿主細胞。
【請求項43】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを作製する方法であって、アルカリホスファターゼの発現をもたらすのに適した条件下で、請求項42に記載の宿主細胞を培養すること、及び培地からアルカリホスファターゼを回収することを含む方法。
【請求項44】
宿主細胞が、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
宿主細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
宿主細胞がCHO−DG44細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ、及び低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキット。
【請求項48】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ、及び歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキット。
【請求項49】
少なくとも1つの低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために、請求項1から36までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量のアルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において少なくとも1つのHPP表現型が改善又は予防される方法。
【請求項50】
対象が少なくとも1つのHPP表現型を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
対象が少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1つのHPP表現型がHPP関連発作を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも1つのHPP表現型が乳歯の早期喪失を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1つのHPP表現型が不完全な骨ミネラル化を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
不完全な骨ミネラル化が不完全な大腿骨ミネラル化である、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
不完全な骨ミネラル化が不完全な脛骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
不完全な骨ミネラル化が不完全な中足骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
不完全な骨ミネラル化が不完全な肋骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つのHPP表現型が、無機ピロリン酸(PPi)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つのHPP表現型が、ホスホエタノールアミン(PEA)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つのHPP表現型が、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つのHPP表現型が不十分な体重増加を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1つのHPP表現型がくる病を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つのHPP表現型が骨痛を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つのHPP表現型が、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1つのHPP表現型が、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
それを必要とする対象が幼児期HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
それを必要とする対象が小児期HPPを有する、請求項49から66までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
それを必要とする対象が出生時HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
それを必要とする対象が成人期HPPを有する、請求項49から66までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
それを必要とする対象が歯限局型低ホスファターゼ血症HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために、請求項1から36までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量のアルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成が改善又は予防される方法。
【請求項73】
前記投与が、アルカリホスファターゼをコードする核酸で対象の細胞をトランスフェクトすることを含む、請求項49から72までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
細胞をトランスフェクトすることが、アルカリホスファターゼが発現され、活性型で分泌され、前記細胞を有する対象に投与されるように、インビトロで実施される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記投与が、対象へのアルカリホスファターゼの皮下投与を含む、請求項49から72までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記投与が、対象へのアルカリホスファターゼの静脈内投与を含む、請求項49から70までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも1つのHPP表現型の改善又は予防に使用するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項78】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成の改善又は予防に使用するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項79】
医薬品の製造における、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【請求項80】
少なくとも1つのHPP表現型を改善又は予防するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【請求項81】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【請求項1】
構造:
Z−sALP−Y−スペーサー−X−Wn−V
を有するポリペプチドを含む骨標的アルカリホスファターゼ
(配列中、sALPはアルカリホスファターゼの細胞外ドメインであり、
Vは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Xは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Yは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Zは不在である又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり、
Wnはn=10〜16のポリアスパラギン酸又はポリグルタミン酸である)。
【請求項2】
sALPが配列番号15のアミノ酸残基23〜508を含む、請求項1に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項3】
sALPが配列番号15のアミノ酸残基23〜512からなる、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項4】
sALPが配列番号18のアミノ酸残基23〜508を含む、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項5】
sALPが配列番号18のアミノ酸残基23〜512からなる、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項6】
sALPが配列番号16のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項2に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項7】
sALPが配列番号16のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項6に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項8】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項6に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項9】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項8に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項10】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項8に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項11】
sALPが配列番号19のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項10に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項12】
sALPが配列番号8のアミノ酸残基18〜498を含む、請求項10に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項13】
sALPが配列番号8のアミノ酸残基18〜502からなる、請求項12に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項14】
スペーサーがフラグメント結晶化可能領域(Fc)を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項15】
FcがCH2ドメイン、CH3ドメイン及びヒンジ領域を含む請求項14に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項16】
Fcが、IgG−1、IgG−2、IgG−3、IgG−3及びIgG−4からなる群から選択される免疫グロブリンの定常ドメインである、請求項14又は15に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項17】
Fcが免疫グロブリンIgG−1の定常ドメインである、請求項16に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項18】
Fcが配列番号3に記載の通りである、請求項14から17までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項19】
Wnがポリアスパラギン酸である、請求項1から18までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項20】
n=10である、請求項1から19までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項21】
Zが不在である、請求項1から20までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項22】
Yが2つのアミノ酸残基である、請求項1から21までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項23】
Yがロイシン−リシンである、請求項22に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項24】
Xが2つのアミノ酸残基である、請求項1から23までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項25】
Xがアスパラギン酸−イソロイシンである、請求項24に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項26】
Vが不在である、請求項1から24までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項27】
前記ポリペプチドが配列番号4に記載の通りである、請求項1に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項28】
前記ポリペプチドを二量体を含む形で含む、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項29】
前記ポリペプチドを四量体の形で含む、請求項1から28までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項30】
薬学的に許容可能な担体中に存在する、請求項1から29までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項31】
薬学的に許容可能な担体が生理食塩水である、請求項30に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項32】
凍結乾燥された形の、請求項31に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項33】
約0.2〜約20mg/kgの1日投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項34】
3日毎に投与される約0.6〜約60mg/kgの投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項35】
約1.4〜約140mg/kgの1週投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項36】
約0.5mg/kgの1週投与量である、請求項1から32までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項37】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸。
【請求項38】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする配列からなる単離された核酸。
【請求項39】
配列番号17に記載の配列を含む単離された核酸。
【請求項40】
請求項37から39までのいずれか一項に記載の核酸を含む組換え発現ベクター。
【請求項41】
請求項37から39までのいずれか一項に記載の核酸を含む組換えアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項42】
請求項40又は41に記載のベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた、単離された組換え宿主細胞。
【請求項43】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを作製する方法であって、アルカリホスファターゼの発現をもたらすのに適した条件下で、請求項42に記載の宿主細胞を培養すること、及び培地からアルカリホスファターゼを回収することを含む方法。
【請求項44】
宿主細胞が、L細胞、C127細胞、3T3細胞、CHO細胞、BHK細胞、COS−7細胞又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
宿主細胞がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
宿主細胞がCHO−DG44細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ、及び低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキット。
【請求項48】
請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ、及び歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために対象に前記ポリペプチドを投与するための使用説明書を含むキット。
【請求項49】
少なくとも1つの低ホスファターゼ血症(HPP)表現型を改善又は予防するために、請求項1から36までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量のアルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において少なくとも1つのHPP表現型が改善又は予防される方法。
【請求項50】
対象が少なくとも1つのHPP表現型を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
対象が少なくとも1つのHPP表現型を発現する可能性がある、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1つのHPP表現型がHPP関連発作を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも1つのHPP表現型が乳歯の早期喪失を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1つのHPP表現型が不完全な骨ミネラル化を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
不完全な骨ミネラル化が不完全な大腿骨ミネラル化である、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
不完全な骨ミネラル化が不完全な脛骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
不完全な骨ミネラル化が不完全な中足骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
不完全な骨ミネラル化が不完全な肋骨ミネラル化である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つのHPP表現型が、無機ピロリン酸(PPi)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つのHPP表現型が、ホスホエタノールアミン(PEA)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つのHPP表現型が、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)の血液及び/又は尿レベルの上昇を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つのHPP表現型が不十分な体重増加を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
少なくとも1つのHPP表現型がくる病を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも1つのHPP表現型が骨痛を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つのHPP表現型が、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1つのHPP表現型が、歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を含む、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
それを必要とする対象が幼児期HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
それを必要とする対象が小児期HPPを有する、請求項49から66までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
それを必要とする対象が出生時HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
それを必要とする対象が成人期HPPを有する、請求項49から66までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
それを必要とする対象が歯限局型低ホスファターゼ血症HPPを有する、請求項49から51までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するために、請求項1から36までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼを使用する方法であって、治療有効量のアルカリホスファターゼをそれを必要とする対象に投与することを含み、それによって対象において歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成が改善又は予防される方法。
【請求項73】
前記投与が、アルカリホスファターゼをコードする核酸で対象の細胞をトランスフェクトすることを含む、請求項49から72までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
細胞をトランスフェクトすることが、アルカリホスファターゼが発現され、活性型で分泌され、前記細胞を有する対象に投与されるように、インビトロで実施される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記投与が、対象へのアルカリホスファターゼの皮下投与を含む、請求項49から72までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記投与が、対象へのアルカリホスファターゼの静脈内投与を含む、請求項49から70までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
少なくとも1つのHPP表現型の改善又は予防に使用するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項78】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成の改善又は予防に使用するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼ。
【請求項79】
医薬品の製造における、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【請求項80】
少なくとも1つのHPP表現型を改善又は予防するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【請求項81】
歯セメント質の形成不全、発育不全又は異形成を改善又は予防するための、請求項1から27までのいずれか一項に記載のアルカリホスファターゼの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30−1】
【図30−2】
【図31−1】
【図31−2】
【図31−3】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30−1】
【図30−2】
【図31−1】
【図31−2】
【図31−3】
【図32】
【公表番号】特表2010−526543(P2010−526543A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507770(P2010−507770)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000923
【国際公開番号】WO2008/138131
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509312396)エノビア ファルマ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000923
【国際公開番号】WO2008/138131
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509312396)エノビア ファルマ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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