説明

骨粉砕装置

【課題】 遺骨を順次投入しながら粉砕可能で、粉砕された遺骨の微粉末が煙状に噴き出すことない骨粉砕装置を提供する。
【解決手段】 内部に形成された骨粉砕空間11内で高速回転する回転剛体15と衝突させることにより骨を粉砕する粉砕動作部10と、粉砕前の骨を粉砕動作部10の入口12を経由して骨粉砕空間11内へ導入する骨導入部20と、粉砕動作部10の出口13から排出される骨粉砕空間11内で粉砕された粉末状の微細骨を収容する収容部30と、粉砕動作部10と収容部30間を連絡する排出路40と、収容部30、排出路40または粉砕動作部10の出口13から骨導入部20または粉砕動作部10の入口12に連絡する管状の帰還路50を備え、粉砕動作部10の粉砕動作中に骨粉砕空間11を通過する気流を、帰還路50を介して、粉砕動作部10の出口13から粉砕動作部10の入口12へ循環させて、骨の微粉末を循環する気流内に閉じ込める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人または動物の骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、火葬場等において火葬された人またはペット等の動物の焼骨(遺骨)は、寺院等の墓に埋葬するか、納骨堂等に納められて供養されている。
【0003】
火葬場で拾骨される遺骨の量は地方の風習や火葬場のシステムによって異なるが、一般に、東日本では全骨を、西日本では部分骨を拾骨すると言われており、多い場合では、拾骨量が成人男性で2kgを超える場合もある(下記非特許文献1参照)。また、全骨を拾骨しない場合、拾骨されなかった多くの焼骨(遺骨)及び骨灰は、特定業者によって引き取られ骨灰として一般焼却ゴミ灰と同様に処分されている。遺族にとっては、故人の遺骨がゴミとして処理されることに抵抗があるものと考えられる。
【0004】
遺骨は、粉砕して1〜2mm程度以下の粒径の粒状或いは粉末(以下、粒状と粉末を同義として取り扱う)にすることで嵩容量が半分以下に小さくなるため、多くの遺骨を骨壷に収容する、或いは、分骨する際の取り扱いに便利である。また、近年、遺骨を粉末化して海や山に散骨する自然葬を希望する人が増加している。この場合、人手によって遺骨を粉末化するには、乳鉢と乳棒或いはハンマー等の器具を用いて、遺骨を磨り潰すか叩き潰して粉砕することが行われているが、大量の遺骨を処理するには、時間と労力を有するばかりか、細かい均質な粉末状にするには困難を伴うものである。また、遺族によっては、故人の遺骨を人手により粉砕することに抵抗を感じる人もいると考えられる。
【0005】
そこで、遺骨を均質に機械的に粉末化する骨粉砕装置が開発されている(例えば、下記特許文献1参照)。また、遺族に代って遺骨の粉末化を代行する業者も存在する(例えば、下記非特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−40684号公報
【非特許文献1】“ご遺骨を1mm以下の粉末状に致します。”、[online]、彩月庵、[平成20年8月24日検索]、インターネット<URL:http://www.saigetuan.com/powder/powder.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遺族によっては、遺骨の粉砕を厳粛なものと受け止めて、機械的に処理するにしても、僧侶等の同伴の下に遺族が遺骨の粉砕処理を行うことで、遺族の精神的な負担を軽減しつつ故人を供養でき、更に、遺骨の粉末化による利益(嵩容量の低下等)を得ることを希望する場合がある。
【0008】
しかしながら、一般に業者に遺骨の粉砕を依頼した場合は、遺族が立ち会わずに処理されてしまうために、故人を偲びながら遺骨粉砕処理が行えないという問題がある。また、上記特許文献1に例示した骨粉砕装置は、閉塞容器と、該閉塞容器内に高速回転可能に設けられた回転体と、該回転体を高速回転駆動する駆動手段と、前記閉塞容器内に投入された骨を前記回転体に繰返し衝突させる繰返し衝突手段を備えた構成であるため、粉砕処理対象の遺骨を全て閉塞容器内に投入するか、或いは、数回に分けて粉砕する場合には、都度、処理済の粉砕された遺骨を取り出し、粉砕前の遺骨を新たに投入するという手間が生じる。
【0009】
そこで、遺骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置があれば、僧侶等の読経とともに敬虔な気持ちで、遺骨の多寡に拘らず、遺骨を一つずつ投入しながらゆっくりと粉砕処理をすることができる。即ち、遺族が故人を偲びながら遺骨粉砕処理を行うことが可能となる。
【0010】
しかしながら、本願発明者が鋭意検討したところ、上記特許文献1に例示したような骨粉砕装置の閉塞容器に対して単純に遺骨の投入口を設けて、粉砕処理途中に遺骨を投入すると、該投入口から、処理された遺骨の微粉末(粉末化された遺骨の内の特に微細な粉末)が煙状に噴き出すという問題が生じる。そこで、閉塞容器に遺骨の微粉末等を強制排気する排気口を設けて、外部に排出する場合、骨粉砕装置を寺の堂内等の屋内に設置して、遺骨の粉砕処理を行うとすると、排気口に長い排気用ダクトを設けて、堂内を這わすという手間が生じ、外見上も好ましいものではない。また、排気用ダクトを設ける代わりに、閉塞容器に設けた排気口に遺骨の微粉末を除去して濾過するフィルタを設けることも考えられるが、微粉末化した骨は粘性があるため、直ぐにフィルタが目詰まりし、投入口から、処理された遺骨の微粉末が煙状に噴き出すことになる。
【0011】
また、本願発明者は、閉塞容器に粉末化した遺骨を排出する出口を設け、遺骨を粉末化した回収する容器と当該出口の間を、筒状のフィルタ素材で連絡して、当該出口から排気される微粉末をフィルタ処理する対策も鋭意試みたが、同様の目詰まりの問題が生じ、またフィルタ面積を大きく確保するには、筒状のフィルタ素材を大きくする必要から、設置上の問題が生じ、処理された遺骨の微粉末が煙状に噴き出すことの十分な解決策とはならなかった。
【0012】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遺骨を順次投入しながら粉砕可能で、且つ、粉砕された遺骨の微粉末が煙状に噴き出すことない骨粉砕装置を提供し、寺の堂内等の屋内においても遺族が遺骨の粉砕処理を行うことを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る骨粉砕装置は、人または動物の骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置であって、内部に形成された骨粉砕空間内で高速回転する回転剛体と衝突させることにより前記骨を粉砕する粉砕動作部と、粉砕前の前記骨を前記粉砕動作部の入口を経由して前記骨粉砕空間内へ導入する骨導入部と、前記粉砕動作部の出口から排出される前記骨粉砕空間内で粉砕された粒状または粉末状の微細骨を収容する収容部と、前記粉砕動作部と前記収容部間を連絡する排出路と、前記収容部、前記排出路、または、前記粉砕動作部の出口から、前記骨導入部または前記粉砕動作部の入口に連絡する管状の帰還路を備えてなり、前記粉砕動作部の粉砕動作中に前記骨粉砕空間を通過する気流を、前記帰還路を介して、前記粉砕動作部の出口から前記粉砕動作部の入口へ循環させることを第1の特徴とする。
【0014】
上記第1の特徴の骨粉砕装置によれば、骨導入部に粉砕前の骨を投入すると、粉砕動作部の入口を経由して骨粉砕空間内へ導入された骨が、骨粉砕空間内において高速回転する回転剛体と衝突して粉砕され粉末化し、粉末化した微細骨が粉砕動作部の出口から収容部に排出され収容される。ここで、骨粉砕空間内での粉砕処理で生じる骨の微粉末が、粉砕動作中に発生する粉砕動作部の出口から帰還路を介して粉砕動作部の入口へ循環する気流に乗って循環するため、骨粉砕装置の外部に煙状に噴き出すことが防止される。この結果、本骨粉砕装置を寺の堂内等の屋内に自由に設置して、静かな雰囲気の中で遺族が故人を偲びながらゆっくりと遺骨粉砕処理を行うことが可能となる。
【0015】
更に、本特徴の骨粉砕装置は、骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置であるので、主たる機構部分である粉砕動作部を、例えば後述するような仏教等の宗教に関連する像の内部に収容した場合に、粉砕動作部を当該像の内部に収容した状態で骨の粉砕処理を逐次行うことができ、粉砕動作部を解体して骨粉砕空間内から粉砕された微細骨を回収する必要がない。
【0016】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記第1の特徴に加えて、前記粉砕動作部の前記回転剛体の回転によって、前記粉砕動作部の入口から前記骨粉砕空間内を通って前記粉砕動作部の出口へ抜ける気流が発生することを第2の特徴とする。
【0017】
上記第2の特徴の骨粉砕装置によれば、回転剛体の回転によって循環気流が発生するので、当該循環気流を発生させるための機構を別途設ける必要がなく、骨粉砕装置の構成を簡素化できる。
【0018】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記第1または第2の特徴に加えて、前記粉砕動作部が、前記骨粉砕空間を内部に形成する筐体と、前記筐体の壁面に設けられた前記入口及び前記出口用の2つの開口部と、前記骨粉砕空間内に収容される回転盤と回転盤から回転軸心より偏心して突出する1または複数の棒状体からなる回転体と、前記出口用の開口部を覆う、前記微細骨の粒径の設定範囲内の口径の貫通孔を複数備える多孔板と、前記筐体外部に設けられ、回転軸の先端が前記骨粉砕空間内に挿入して前記回転盤と接続している回転駆動機と、を備えることを第3の特徴とする。
【0019】
上記第3の特徴の骨粉砕装置によれば、上記第1の特徴構成の骨粉砕装置の粉砕動作部が、具体的に構成される。より詳細には、1または複数の棒状体が回転盤から回転軸心より偏心して突出する構造であるため、1または複数の棒状体が回転軸心廻りに所定の回転半径で骨粉砕空間内を大きく高速で回転移動するので、筐体の内部に形成される骨粉砕空間内に、入口用の開口部から導入された粉砕前の骨が、当該回転移動する棒状体と衝突し、粉砕されるとともに、粉砕片は更に筐体内壁に衝突して粉砕されるとともに、跳ね返って再度当該回転移動する棒状体と衝突し、更に細かく粉砕され、最終的に所定の粒径以下に粒状または粉末状となる。ここで、出口用の開口部を覆うように設けられた多孔板の貫通孔の口径が微細骨の粒径の設定範囲内であるので、貫通孔の口径より大きい骨は、出口から収容部へとは排出されず多孔板の表面で跳ね返され、骨粉砕空間内で貫通孔の口径より小さくなるまで再度粉砕され、貫通孔の口径より小さく粉砕された微細骨のみが、多孔板の貫通孔を通過して出口から収容部へとは排出される。これにより、粒径の揃った微細骨が収容部に収容されることになる。
【0020】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記第3の特徴に加えて、前記入口用の開口部が、前記回転駆動機が取り付けられている前記筐体の壁面と、前記回転盤を挟んで対向する壁面の前記回転軸心上に設けられ、前記出口用の開口部は、前記筐体の底部壁面に設けられていることを第4の特徴とする。
【0021】
上記第4の特徴の骨粉砕装置によれば、高速で回転移動する棒状体の移動軌跡で囲まれた空間内に粉砕前の骨が投入され、投入された骨は落下して棒状体と衝突して粉砕され、更に落下して筐体の底部壁面に設けられた出口用の開口部から排出されるため、粉砕片が入口用の開口部から逆流して飛び出るのを効果的に抑制できる。また、仮に一部の粉砕片が入口用の開口部から逆流して飛び出るとしても、骨導入部を入口用の開口部から上方に向けて設置すれば、重力により飛び出た粉砕片が骨粉砕空間内に再投入される。
【0022】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記第3または第4の特徴に加えて、前記回転体の前記棒状体の長手方向に垂直な断面形状が楔形であることを第5の特徴とする。
【0023】
上記第5の特徴の骨粉砕装置によれば、棒状体が回転翼として働き、粉砕動作部が送風機として動作するようになり、粉砕動作部の出口から帰還路を介して粉砕動作部の入口へ循環する気流が発生し、骨粉砕空間内での粉砕処理で生じる骨の微粉末を当該循環する気流内に効率的に閉じ込めることが可能となる。
【0024】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記何れかの特徴に加えて、前記排出路の少なくとも一部が、前記微細骨の微粉末を透過しない細かさの濾過布で構成されていることを第6の特徴とする。
【0025】
上記第6の特徴の骨粉砕装置によれば、仮に、粉砕動作部の出口から帰還路を介して粉砕動作部の入口までの排気圧が一時的に高くなっても、排出路の濾過布を通して排気を大気に放出して排気圧を調整することができ、微細骨の微粉末が粉砕動作部の入口から骨導入部へと逆流するのを防止できる。
【0026】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記何れかの特徴に加えて、前記帰還路の先端と前記骨導入部の合流個所において、前記帰還路の前記骨導入部に向かう軸心方向と前記骨導入部を形成する管路の前記粉砕動作部の入口に向かう軸心方向とが鋭角に交差することを第7の特徴とする。
【0027】
上記第7の特徴の骨粉砕装置によれば、帰還路の先端と骨導入部の合流個所で、帰還路の先端から骨導入部の奥へとスムーズな気流となるので、骨導入部の入口から当該合流箇所へ向かう気流が誘導されるため、循環する気流内に閉じ込められている微粉末が、当該合流箇所から骨導入部の入口へと逆流して外部に放出されるのを防止できる。
【0028】
本発明に係る骨粉砕装置は、更に、上記何れかの特徴に加えて、少なくとも前記粉砕動作部と前記骨導入部の一部と前記排出路の一部が、仏教等の宗教に関連する像の内部に収容されていることを第8の特徴とする。
【0029】
上記第8の特徴の骨粉砕装置によれば、骨粉砕装置の機構部分が外部に露出せずに仏教等の宗教に関連する像の内部に収容されるため、遺骨の粉砕処理を一種の宗教的な行為としてより好適に行うことが可能となる。また、骨粉砕装置の機構部分、特に、粉砕動作部が像内部に収容されるため、粉砕動作部で発生する雑音や振動を像内部で吸収して低雑音化或いは低振動化を図ることができる。
【0030】
上記第8の特徴において、更に好適には、前記収容部が、前記像を載置する台の天板の下面側に、取り外し可能に設けられている。これにより、骨粉砕装置の粉砕動作部を含む主たる機構部分を像の内部から取り外すことなく、収容部だけを像を載置する台から取り外すだけで、粉砕された微細骨を簡単に回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明に係る骨粉砕装置の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。尚、以下の説明で使用する図面は、本発明に係る骨粉砕装置の構成或いは構造の一例を簡略的に示すもので、必ずしも図中の各部の形状は、実際の形状に対して完全な相似形とはなっていない部分もあるが、各部の相対的な位置関係は明確に示されている。尚、図1〜図5では、特に断らない限り、各構造物の外面を実線で内面または内部構造を破線で示している。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の骨粉砕装置1は、内部に形成された骨粉砕空間11内で焼骨を粉砕する粉砕動作部10、粉砕前の焼骨を骨粉砕空間11内へ導入する骨導入部20、骨粉砕空間11内で粉砕された粒状または粉末状の微細骨を収容する収容部30、粉砕動作部10から収容部30へ微細骨を排出する排出路40、及び、収容部30の上部から骨導入部20の中間部に連絡する管状の帰還路50を備えて構成されている。図1は、骨粉砕装置1の概略構造を簡略的に示す正面図と側面図である。図1の正面図において、粉砕動作部10と骨導入部20と収容部30は、夫々太い破線で全体を囲んで、各配置を示している。また、図1中、帰還路50は、その両端の接続口以外は、1本の実線で簡略表記している。本実施形態では、骨粉砕装置1を収容する白象の置物60(詳細は後述、二点鎖線で表示)の左側面側を、骨粉砕装置1の正面と規定する。
【0033】
図2に示すように、粉砕動作部10は、骨粉砕空間11を内部に形成する筐体14を備え、筐体14の右面壁部14aには入口12となると開口部が形成され、筐体14の底面は出口13として開口し、その下側に排出路40の上側部分を構成する微細骨を受け入れる漏斗状の受け口41が固定的に接続している。粉砕動作部10は、更に、骨粉砕空間11内に収容される円形平板状の回転盤15aと回転盤15aから回転軸心Xより外側に偏心して回転軸心方向(X方向)に筐体14の右面壁部14aに向けて突出する2本の第1棒状体15bからなる回転体(回転剛体)15、出口13の開口部を覆う多数の貫通孔を有する多孔板16(ドットパターンで表示)、筐体14の背面側外部に設けられ、回転軸の先端が骨粉砕空間11内に挿入して回転盤15aに固定されている電動モータ(回転駆動機)17、筐体14の左面壁部14bの内壁面から右面壁部14aに向けて突出するように固定されている2本の第2棒状体18を備えて構成されている。尚、図2は、粉砕動作部10と骨導入部20と排出路40の受け口41の概略構造を示す正面図である。尚、図2において、筐体14は、内部構造の回転体15と多孔板16を透視して実線で示している。以下、説明の便宜上、回転軸心Xの延伸方向をX方向、X方向と直交する2つの互いに直交する方向をY方向及びZ方向とし、X及びY方向を水平に設定し、Z方向を鉛直方向に設定する。本実施形態では、X方向は、骨粉砕装置1の左右方向となる。
【0034】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、筐体14は、夫々ステンレス(SUS304)等の鋼板を加工して形成された5つの壁部材を接続して構成されている。内部に形成される骨粉砕空間11のX方向と垂直な断面(YZ面)における断面形状は、左右対称・上下非対称で上辺と下辺が平行な6角形となっている。6角形の上側を構成する2等辺台形と下側を構成する2等辺台形は、上側の高さが下側より低く、中央より上側が膨らんだ6角形状となっている。従って、回転軸心Xの骨粉砕空間11の位置も、中央より上側にある。骨粉砕空間11の大きさの理解を容易にするために、各部の寸法を参考に記載すると、上記6角形の上辺、下辺、左右の上側辺、左右の下側辺は、夫々、約70mm、約80mm、約60mm、約115mmである。また、骨粉砕空間11のX方向の奥行は、約80mmである。
【0035】
筐体14の右面壁部14aは、上記6角形の断面形状の開口を有する長方形の第1右面壁部材と入口12用の楕円形の開口を有する長方形の第2右面壁部材を、間に第1右面壁部材と同形状のシール部材を挟んでボルト締め(不図示)により一体化され形成されている。尚、第1右面壁部材の下端部には、第1右面壁部材と第2右面壁部材をボルト締めする際に第2右面壁部材の下端部を挟み込み落下を防止するための金具が設けられている。左面壁部14bは、上側が上記6角形の断面形状と上側の3辺が一致する2等辺台形で下側が長方形の6角形状の左面壁部材で構成され、その下端部が垂直に折れ曲がって取り付け用のボルト穴を有するフランジを構成している。他の2つの壁部材は、上面壁部14cと屈曲した前後の側面壁部14dを構成している。また、筐体14の底面は、上述のように出口13として長方形(本実施形態では正方形)に開口している。第2右面壁部材を除く4つの壁部材は夫々溶接により相互に接続している。尚、図3は、第2右面壁部材を取り外して、骨粉砕空間11を露出させた状態の粉砕動作部10と排出路40の受け口41を、右面壁部14a側から左面壁部14b側に見た側面図である。
【0036】
回転体15を構成する回転盤15aと第1棒状体15b、及び、第2棒状体18は、ステンレス(SUS304)等の鋼材を加工して形成されている。回転盤15aと第1棒状体15b、及び、第2棒状体18と左面壁部14bは、夫々溶接により相互に接続している。第1棒状体15bの断面形状は、楔形で回転方向に向かって先細りしており、内側の側面は曲面になっており、第1棒状体15bは回転翼として働き、回転軸心Xの廻りを回転移動することで、第1棒状体15bの回転軌跡の内側から外側に向けて気流が発生する。この結果、粉砕動作部10は、所謂シロッコファン(送風機)として機能し、入口12から吸い込まれた空気は出口13より排出される。この結果、粉砕動作部10での骨粉砕処理によって、骨粉砕空間11内で発生する微細骨より微細な骨の微粉末は、気流に乗って出口13より排出路40を経由して収容部30に向けて排出される。尚、第1棒状体15bの本数は、2本に限らず、1本或いは3本以上でも良い。
【0037】
多孔板16は、長方形のステンレス(SUS304)等の鋼板に、例えば、直径約3mmの貫通孔を蜂の巣状に約5.5mmの間隔(中心間の間隔)で多数打ち抜き加工して形成されている。多孔板16は、図3に示すように、両端部分が筐体14の左右の側面14dの下側部分の内壁に内接し、中央部分が2本の第2棒状体18の上側に接して、第1棒状体15bの回転移動軌跡の外周面に沿って湾曲した状態で支持され、骨粉砕空間11内において出口13を上から覆うように固定されている。多孔板16の幅は骨粉砕空間11のX方向の奥行と同寸法で、長さは、上述の支持状態で、両端が左右の側面壁部14dの屈曲箇所に丁度当接する長さとなっている。
【0038】
電動モータ17の回転軸の先端に板材が設けられ、当該板材と回転盤15aがボルト締めにより固定されることで、電動モータの回転軸の回転が、回転体15に伝達され、2本の第1棒状体15bが、回転軸心Xの廻りを回転移動する。電動モータ17は、例えば、サンコーミタチ(株)製のハンドグラインダー(型番SGS38X2、無負荷回転数:24000回転/分)のヘッド部分を取り外した本体部等が利用可能である。駆動電源は、商用交流電源或いはバッテリ等の直流電源の何れでも構わないが、本実施形態では、商用交流電源(100V、50/60Hz)の使用を想定している。
【0039】
骨導入部20は、ステンレス(SUS304)等の鋼板を加工して形成され、上側部分の受入部21と下側部分の導入管22が分離可能に接続して構成されている。受入部21は、粉砕前の骨を受け入れる底部に開口部を有する受け皿21aと、底部開口部から下方向に伸びる下部配管21bで構成され、下部配管21bは、後述する帰還路50の可撓性ホース51の先端と接続する接続口21cを有している。導入管22は、下方部の管軸が斜めに屈曲しており、下端部が右面壁部14aの第2右面壁部材の開口部の周縁部と溶接により接続している。従って、骨導入部20の導入管22と右面壁部14aの第2右面壁部材とは一体化している。受入部21は、骨の粉砕処理時に下部配管21bの下端部を導入管22の上端部に着脱自在に取り付けて使用する。尚、受入部21の下部配管21bと導入管22の内径は、共に約72mmで、下部配管21bの下端部には、導入管22の上端部と嵌合するためのプラスチック製の継手部材21dが設けられている。
【0040】
尚、本実施形態では、図1に示すように、骨粉砕装置1は、粉砕動作部10と骨導入部20の導入管22と排出路40の受け口41が一体となって、白象の置物60(仏教等の宗教に関連する像に相当。図中二点鎖線で表示)の内部に収容されている。置物60はFRP(繊維強化プラスチック)等で外形部分が成形され、内部の空洞部分に骨粉砕装置1が設置固定されている。骨粉砕装置1は、左面壁部14bの下端部に形成されたフランジ、排出路40の受け口41の下端部に形成されたフランジの各ボルト穴にボルトを通して、置物60の内側に予め固定された取り付け用金具のネジ穴と該ボルトが螺合して固定されている。また、置物60の白象の背中部分に上部開口部61が設けられており、上部開口部61を介して、骨導入部20の導入管22と受入部21が連結する。また、白象の置物60は、台70(図中二点鎖線で表示)の天板71の上に載置される。更に、白象の置物60は、粉砕動作部10等を設置作業や保守点検作業のために、外形部分が分割ラインLで上下に2分割可能に構成され、粉砕動作部10等が露出できるように設計されている。尚、本実施形態では、骨粉砕装置1を収容する置物60として、「釈尊は白い象の姿になって摩椰夫人の胎内に入り誕生された」という逸話より、白象が仏教と密接な関係があることを考慮して、白象の置物が選択されているが、置物60は白象の置物に限定されるものではない。
【0041】
図4に示すように、収容部30は、ステンレスまたはアルミ等の金属製の有底筒状の容器31と蓋32で構成され、容器31と蓋32は留め金(不図示)で着脱自在に固定される。蓋32は、後述する配管43、52とボルトを通すための開口部を有し、台70の天板71の裏面にボルト等によって固定されている。
【0042】
図4に示すように、排出路40は、上側部分と中間部分と下側部分の3つの部分で構成されている。上側部分は、置物60の内部に収容される漏斗状の受け口41で構成される。受け口41は、ステンレス(SUS304)等の鋼材を加工して形成され、その上端の周縁部は筐体14の底面の周縁部と同形状(正方形)で相互に溶接により接続され、その下端の周縁部は円形で外側に向けて円環状のフランジが形成されている。尚、受け口41の当該フランジには、上述の置物60への固定用のボルト穴が形成されている。中間部分は、通気性のある筒状の濾過布42で形成され、濾過布42の上端周縁部が、受け口41のフランジと置物60の間に挟み込まれて受け口41と接続する。本実施形態では、濾過布42は、例えば、ポリプロピレン長繊維(パイレン9A等)を使用した濾過布で、その繊維間に、空気は通すが、微細骨より微細な骨の微粉末は通過させない程度の多数の微細孔を有する。これにより、排出路40における排気圧の調整が自動的に行われる。濾過布42は、白象の置物60の腹部分に設けられた下部開口部62を通過しての置物60外側(下側)に露出しており、下端部が円筒状の接続部材で終端処理されている。下側部分は、台70の天板71を上下に貫通するステンレス製等の配管43で形成され、天板71に固定されている。配管43の上端部は、濾過布42の円筒状の接続部材と着脱自在に嵌合して接続し、下端部は、収容部30の蓋32の第1の開口部を通り、収容部30の上部に露出している。本実施形態では、排出路40の中間部分に濾過布42を用いることで、受け口41の排出口の口径と配管43の口径が異なっていても、自在に両者間を連結できるという効果も有する。更に、濾過布42は、布製であるので、遺骨の粉砕処理時以外の未使用時には、置物60の内部に固定されている受け口41の中に畳んで収納しておくことができる。この場合、白象の置物60の下部開口部62は別途設けた蓋で閉ざされる。
【0043】
図4及び図5に示すように、帰還路50は、例えばポリ塩化ビニル製等の表面が蛇腹状の可撓性ホース51と木製の台70の天板71を上下に貫通するステンレス製等の配管52で形成され、配管52は天板71に固定されている。可撓性ホース51は、一方端(根元)が配管52の上端部と着脱自在に連結し、他方端(先端)が骨導入部20の受入部21の下部配管21bに設けられた接続口21cと着脱自在に接続している。また、配管52の下端部は、収容部30の蓋32の第2の開口部を通り、収容部30の上部に露出している。より具体的には、排出路40の配管43と帰還路50の配管52は、収容部30の蓋32の裏側に配置するステンレス製等の円盤33に、蓋32と同様に4つの開口部を設け、その内の2つの開口部に上側に突出する配管43と配管52を溶接等で取り付け、配管43と配管52を天板71に設けた開口を通過させて上方に突出させた状態で、蓋32と円盤33と天板71に設けた他の2つの開口にボルトを通して、蓋32と円盤を天板71の下側に固定している。帰還路50を上述のように設置したことにより、骨粉砕空間11から出口13を出て、排出路40、収容部30の上部、帰還路50、接続口21c、導入管22を経由して、入口12に戻る循環路が形成され、骨粉砕空間11において、2本の第1棒状体15bが回転移動することで生じる気流が、当該循環路内を循環する。このため、骨粉砕空間11内で発生する微細骨より微細な骨の微粉末も、当該循環する気流に乗って、当該循環路内を循環して外部に噴出することがない。尚、本実施形態では、帰還路50の可撓性ホース51は、置物60の遺族等の参列者が対面しない裏側に目立たないように設置している。
【0044】
更に、本実施形態では、図5に示すように、帰還路50(可撓性ホース51)の先端と受入部21が接続する接続口21c(合流個所)において、帰還路50の接続口21cに向かう軸心方向と受入部21の下部配管の粉砕動作部10の入口12方向に向かう軸心方向(下方向)とが鋭角α(本実施形態では約35°)に交差している。これにより、上記循環路内の気流の循環がより円滑に行われる。また、当該合流個所において帰還路50の先端から受入部21の下部配管の下流側へスムーズに注入される気流によって、受入部21の接続口21c(合流個所)より受け皿側においても、受け皿の底部開口部側から当該合流箇所へ向かう気流が誘導されるため、上記循環路内の気流に乗って循環している微粉末は、当該合流箇所から骨導入部20の受入部21側へと逆流して外部に噴出せず、上記循環路内の気流内に閉じ込められる。
【0045】
次に、本実施形態の骨粉砕装置1を用いた遺骨の粉砕処理について説明する。尚、以下の説明は、骨粉砕装置1の一つの使用形態を説明するもので、必ずしも当該使用形態に限定されるものではない。
【0046】
先ず、台70に載置された白象の置物60内に一部が収容された骨粉砕装置1を、図1に示すように組み立てて、寺の堂内等の屋内に設置する。電動モータ17の電源コードを、商用交流電源のACコンセントに接続し、電動モータ17を起動する。随伴する僧侶の読経或いは故人を偲ぶ音楽等を聞きながら、遺族或いは僧侶が遺骨を一つ或いは数個ずつ受入部21に投入する。投入された遺骨(粉砕前の骨)は、導入管22を通過して入口12より粉砕動作部10の骨粉砕空間11内に投入される。骨粉砕空間11内に投入された遺骨は、骨粉砕空間11内で回転移動する2本の第1棒状体15bの移動軌跡で囲まれる空間内において下方に向かって落下するとともに、高速で回転移動する2本の第1棒状体15bと衝突して粉砕される。骨の粉砕片は、筐体14の内壁或いは多孔板16に衝突して一部が粉砕され、または、跳ね返されることで、再度高速で回転移動する2本の第1棒状体15bと衝突して粉砕される。これらの衝突を繰り返すことで、骨粉砕空間11内に投入された遺骨は、徐々に細かく粉砕され、最終的に多孔板16の貫通孔より細かな微細骨となると、当該貫通孔及び出口13を通過して落下する。落下した微細骨は排出路40を通過して収容部30の容器31内に回収される。
【0047】
一方、電動モータ17の起動とともに高速で回転移動する2本の第1棒状体15bによって、第1棒状体15bの回転軌跡の内側から外側に向けて気流が発生し、入口12から骨粉砕空間11内に吸い込まれた空気は出口13より排出され、排出路40、帰還路50、導入管22を経由して、入口12に戻る気流の循環路が形成される。従って、上記遺骨の粉砕処理により骨粉砕空間11内で発生する微細骨より更に微細な骨の微粉末も、当該循環する気流に乗って、当該循環路内を循環して外部に噴出することがない。従って、外部に噴出する骨の微粉末に煩わされることなく、遺骨の粉砕処理を続行することができる。
【0048】
尚、本実施形態では、排出路40の中間部分が通気性のある濾過布42で構成されているので、排出路40における排気圧の調整が自動的に行われる。ここで、濾過布42は、骨の微粉末が通過しない程度の多数の微細孔を有するので、濾過布42を通して骨の微粉末が外部に漏れ出すことは抑制されるが、遺骨の粉砕処理の開始直後には、循環路内を循環する気流が十分には発生していないため、初期に発生した骨の微粉末や、既に濾過布42の繊維に付着していた骨の微粉末が、一時的に外部に漏れ出すことが考えられるが、当該一時的な骨の微粉末の外部へ漏れ出しまでを完全に抑制できなくても、実使用上は全く問題ない。従って、濾過布42は、遺骨の粉砕処理の定常動作時において、骨の微粉末の外部へ漏れ出しを抑制できれば十分である。
【0049】
遺骨の粉砕処理が終了すると、電動モータ17の作動を停止し、容器31を蓋32から取り外し、中に回収された粉末化した微細骨を別途用意した骨壺や散骨用の袋等の容器に移し替える。
【0050】
本実施形態では、図1に示すように、骨粉砕装置1は、粉砕動作部10と骨導入部20の導入管22と排出路40の受け口41が一体となって、白象の置物60の内部に収容されており、収容部30の蓋32は台70の天板71の裏面に固定され、排出路40の中間部分の濾過布42は未使用時には、受け口41の中に収納され、外部からは見えないか、見え難い状態となっている。また、それ以外の構成部品である骨導入部20の受入部21と帰還路50の可撓性ホース51は、未使用時には骨粉砕装置1の本体部分から取り外すことができる。従って、遺骨の粉砕処理が終了した後の未使用時には、濾過布42を受け口41の中に収納し、受入部21と可撓性ホース51を取り外して、受入部21を取り外した後の置物60の上部開口部61の上に、蓋或いは別の像を載置することで、未使用時には、白象の置物60を鑑賞用或いは祭礼用の置物として使用することができる。尚、図6に示すように、上部開口部61の上に載置する別の像としては、釈迦誕生仏(不図示)を内部に配した花御堂63とすることで、花祭り行事や法話の材料として活用できる。
【0051】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、骨粉砕装置1は、粉砕動作部10と骨導入部20の導入管22と排出路40の受け口41が一体となって、台70上に載置された置物60の内部に収容され、収容部30が台70に設置される形態を、一例として説明したが、骨粉砕装置1は、必ずしも白象等の置物60の内部に収容しなくても構わず、骨粉砕装置1自体で使用しても良い。また、骨粉砕装置1は、置物60等の内部に一部ではなく、全部を収容するようにしても構わない。
【0052】
また、上記実施形態では、帰還路50の可撓性ホース51は、置物60の外部に設置する形態としたが、可撓性ホース51の一部を置物60の内部を通過するように配置するか、更には、帰還路50を置物60の内部と台70の内部に予め設置しておくのも好ましい形態である。
【0053】
〈2〉上記実施形態では、骨粉砕装置1は、図1〜図5に示す構造のものを説明したが、骨粉砕装置1の粉砕動作部10、骨導入部20、収容部30、排出路40、及び、帰還路50の各部の構造は、粉砕動作部10が内部に形成された骨粉砕空間11内で回転体15の回転動作によって骨を粉砕し、骨導入部20が投入された骨を骨粉砕空間11内に導入し、収容部30が粉砕された骨を収容し、排出路40が粉砕動作部10の出口13と収容部30の間を連絡し、帰還路50が収容部30の上部または排出路40の収容部30側の端部から骨導入部20の中間部に掛けて連絡する構造であって、粉砕動作中に骨粉砕空間11内に発生する気流が、帰還路50を経由して循環する限りにおいて、図1〜図5に示す構造に限定されるものではない。
【0054】
また、各部を構成する材料、形状、寸法も、上記実施形態で例示した材料、形状、寸法に限定されるものではない。例えば、骨粉砕空間11の断面形状は6角形ではなく、他の多角形や楕円や曲線と直線で構成される形状等でもよい。
【0055】
〈3〉上記実施形態では、粉砕動作部10の回転体15の回転軸心Xは水平方向に設定していたが、斜めに傾けることで、筐体14の右面壁部14aに形成される入口12を斜め上方に向け、筐体14の底面の出口を斜め下方に向けて構成しても良い。
【0056】
〈4〉上記実施形態では、帰還路50の一方端(根元)を配管52で構成し、収容部30の容器31の上部に接続する構成としたが、帰還路50の一方端(根元)は、収容部30ではなく、排出路40、粉砕動作部10の出口13に接続するようにしても構わない。排出路40と接続する場合、排出路40の配管43をT字型の分岐継手管で構成し、可撓性ホース51の一方端(根元)を当該分岐口に接続すれば良い。また、粉砕動作部10の出口13に接続する場合、粉砕動作部10の出口13を、微細骨の排出用と気流の排出用に分離して設けても良く、或いは、排出路40の受け口41を二股に構成して一方に濾過布42を接続し、他方に可撓性ホース51の一方端(根元)を接続すれば良い。
【0057】
更に、上記実施形態では、帰還路50の他方端(先端)を受入部21の下部配管に設けられた接続口21cに接続する構成としたが、帰還路50の他方端(先端)と接続する接続口を、受入部21の下部配管ではなく、導入管22の中間部分に設ける構成としても構わない。また、粉砕動作部10の入口12を、粉砕前の骨の入口と気流の入口に分離して設けても良く、この場合、帰還路50の可撓性ホース51の他方端(先端)は、受入部21の下部配管に設けられた接続口21cではなく、当該気流の入口に接続する構成となる。
【0058】
〈5〉上記実施形態では、排出路40の中間部分を筒状の濾過布42としたが、当該中間部分は、必ずしも濾過布でなくても良く、また、その素材もポリプロピレン長繊維に限定されるものではない。また、循環気流による骨の微粉末の閉じ込めが十分であれば、排出路40の中間部分は必ずしも通気性を備えていなくても構わない。
【0059】
〈6〉上記実施形態では、粉砕動作部10の回転体15の回転動作によって骨粉砕空間11内に入口12から出口13へ流れる気流が発生する場合を説明したが、回転体15の回転動作によって循環路に気流の循環が生じない場合は、循環路の粉砕前の骨或いは微細骨が通過しない箇所に、粉砕動作中に粉砕動作部10の出口13から帰還路50を経由して入口12に循環する気流を発生させる送風機を設けるようにしても構わない。この場合、回転体15の駆動と当該送風機の駆動を同じ電動モータで行うようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る骨粉砕装置は、人または動物の骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る骨粉砕装置の一実施形態における概略構造を簡略的に示す正面図と側面図
【図2】図1に示す骨粉砕装置の粉砕動作部と骨導入部と排出路の受け口の概略構造を簡略的に示す一部破断正面図
【図3】図1に示す骨粉砕装置の骨粉砕空間を露出した状態の粉砕動作部と排出路の受け口を右面壁部側から左面壁部側に見た概略構造を簡略的に示す側面図
【図4】図1に示す骨粉砕装置の排出路と収容部と帰還路の概略の構造を簡略的に示す正面図
【図5】図1に示す骨粉砕装置の帰還路と骨導入部の概略構造を簡略的に示す側面図
【図6】図1に示す骨粉砕装置の未使用時における白象の置物の状態を簡略的に示す正面図
【符号の説明】
【0062】
1: 骨粉砕装置
10: 粉砕動作部
11: 骨粉砕空間
12: 入口
13: 出口
14: 筐体
14a: 右面壁部
14b: 左面壁部
14c: 上面壁部
14d: 側面壁部
15: 回転体(回転剛体)
15a: 回転盤
15b: 第1棒状体
16: 多孔板
17: 電動モータ(回転駆動機)
18: 第2棒状体
20: 骨導入部
21: 受入部
21a: 受け皿
21b: 下部配管
21c: 接続口
21d: 継手部材
22: 導入管
30: 収容部
31: 容器
32: 蓋
33: 円盤
40: 排出路
41: 受け口
42: 筒状の濾過布
43: 配管
50: 帰還路
51: 可撓性ホース
52: 配管
60: 白象の置物(像)
61: 上部開口部
62: 下部開口部
63: 白象の置物(像)の上に未使用時に載置する花御堂の置物
70: 台
71: 天板
L: 分割ライン
X: 回転軸心


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または動物の骨を順次投入しながら粉砕可能な骨粉砕装置であって、
内部に形成された骨粉砕空間内で、高速回転する回転剛体と衝突させることにより前記骨を粉砕する粉砕動作部と、
粉砕前の前記骨を前記粉砕動作部の入口を経由して前記骨粉砕空間内へ導入する骨導入部と、
前記粉砕動作部の出口から排出される前記骨粉砕空間内で粉砕された粒状または粉末状の微細骨を収容する収容部と、
前記粉砕動作部と前記収容部間を連絡する排出路と、
前記収容部、前記排出路、または、前記粉砕動作部の出口から、前記骨導入部または前記粉砕動作部の入口に連絡する管状の帰還路と、を備えてなり、
前記粉砕動作部の粉砕動作中に前記骨粉砕空間を通過する気流を、前記帰還路を介して、前記粉砕動作部の出口から前記粉砕動作部の入口へ循環させることを特徴とする骨粉砕装置。
【請求項2】
前記粉砕動作部の前記回転剛体の回転によって、前記粉砕動作部の入口から前記骨粉砕空間内を通って前記粉砕動作部の出口へ抜ける気流が発生することを特徴とする請求項1に記載の骨粉砕装置。
【請求項3】
前記粉砕動作部は、
前記骨粉砕空間を内部に形成する筐体と、
前記筐体の壁面に設けられた前記入口と前記出口用の2つの開口部と、
前記骨粉砕空間内に収容される回転盤と回転盤から回転軸心より偏心して突出する1または複数の棒状体からなる回転体と、
前記出口用の開口部を覆う、前記微細骨の粒径の設定範囲内の口径の貫通孔を複数備える多孔板と、
前記筐体外部に設けられ、回転軸の先端が前記骨粉砕空間内に挿入して前記回転盤と接続している回転駆動機と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の骨粉砕装置。
【請求項4】
前記入口用の開口部は、前記回転駆動機が取り付けられている前記筐体の壁面と、前記回転盤を挟んで対向する壁面の前記回転軸心上に設けられ、
前記出口用の開口部は、前記筐体の底部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の骨粉砕装置。
【請求項5】
前記回転体の前記棒状体の長手方向に垂直な断面形状が楔形であることを特徴とする請求項3または4に記載の骨粉砕装置。
【請求項6】
前記排出路の少なくとも一部が、前記微細骨の微粉末を透過しない細かさの濾過布で構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の骨粉砕装置。
【請求項7】
前記帰還路の先端と前記骨導入部の合流個所において、前記帰還路の前記骨導入部に向かう軸心方向と前記骨導入部を形成する管路の前記粉砕動作部の入口に向かう軸心方向とが鋭角に交差することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の骨粉砕装置。
【請求項8】
少なくとも前記粉砕動作部と前記骨導入部の一部と前記排出路の一部が、仏教等の宗教に関連する像の内部に収容されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の骨粉砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−63953(P2010−63953A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230196(P2008−230196)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【特許番号】特許第4277962号(P4277962)
【特許公報発行日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(308028094)
【Fターム(参考)】